説明

ロータリ耕耘装置用の整地部材

【課題】コスト的に有利であり、尚且つ作業性も良いロータリ耕耘装置用の整地部材を提供すること。
【解決手段】可撓性を有する2つの平板18を備え、2つの平板18のそれぞれの上端部18aがロータリ耕耘装置のカバー11の後端部に連結された状態で、2つの平板18がカバー11の後端部に沿って横方向に並設されており、平板18の下辺部18bに沿った横向き姿勢で横方向に並設されて取り付けられた状態、及び平板18の外側縦辺部18eに沿った縦向き姿勢で平板18に取り付けられた状態に姿勢変更自在に、金属製の支持板25を2つの平板18のそれぞれに備えてあるロータリ耕耘装置用の整地部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型作業機や乗用型のトラクタに装備されるロータリ耕耘装置に使用される整地部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば歩行型作業機においてロータリ耕耘装置を備えた場合、特許文献1及び2に開示されているように、ロータリ耕耘装置(特許文献1の図1の6)のカバー(特許文献1の図1の20)の後端部に、背面視で横長の長方形状の整地部材(特許文献1の図1及び図2の21)を連結することがある。
これにより、ロータリ耕耘装置によって耕起された土が、整地部材により受け止められて、整地部材の下辺部によって均平面が形成される(均平作業)。
【0003】
前述のように、ロータリ耕耘装置によって耕起された土を平面状に形成する均平作業に対して、ロータリ耕耘装置によって耕起された土を右及び左の横側に押し分けて、ロータリ耕耘装置の右及び左の横側に畝を形成する畝立て作業がある。畝立て作業を行う場合には、特許文献1及び2のような整地部材をロータリ耕耘装置から取り外し、特許文献3に開示されているような整地部材(特許文献3の図2の14)を、ロータリ耕耘装置の後部に連結する。
これにより、ロータリ耕耘装置によって耕起された土が、整地部材により右及び左の横側に押し分けられて、右及び左の横側に畝(右及び左の横側の畝の壁部、畝の底部)が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−153604号公報
【特許文献2】特開平6−153602号公報
【特許文献3】特開2003−52202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の歩行型作業機においては、均平作業及び畝立て作業のそれぞれに対応する2種類の整地部材を用意する必要があると共に、各作業に応じてそれらの整地部材を付け替える必要があるので、コストと作業性の面で改善の余地がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、コスト的に有利であり、尚且つ作業性も良いロータリ耕耘装置用の整地部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔第1発明の構成〕
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、
可撓性を有する2つの平板を備え、
前記2つの平板のそれぞれの上端部がロータリ耕耘装置のカバーの後端部に連結された状態で、前記2つの平板が前記カバーの後端部に沿って横方向に並設されており、
前記平板の下辺部に沿った横向き姿勢で横方向に並設されて取り付けられた状態、及び前記平板の外側縦辺部に沿った縦向き姿勢で前記平板に取り付けられた状態に姿勢変更自在に、金属製の支持板を前記2つの平板のそれぞれに備えてあることを特徴とする。
【0007】
〔作用及び効果〕
本発明により均平作業を行う場合、2つの平板の下辺部を、ロータリ耕耘装置のカバーの後端部から垂れ下げると共に、金属製の2つの支持板のそれぞれを、2つの平板の下辺部に沿う横向き姿勢で横方向に取り付けて並設する。
これにより、ロータリ耕耘装置によって耕起された土が2つの平板により受け止められて、2つの平板全体が後方(上方)に移動する状態になると共に、圃場に接地する2つの平板の下辺部によって均平面が形成される。このとき、各平板の下辺部に沿う支持板が、重しのような役割を果たして各平板の下辺部のばたつきを抑えるので、均平面が安定して形成される。
【0008】
また本発明により畝立て作業を行う場合、金属製の2つの支持板のそれぞれを、2つの平板の外側縦辺部に沿った縦向き姿勢で平板に取り付けておく。
これにより、ロータリ耕耘装置によって耕起された土が、並設する2つの平板により受け止められる際、各平板の外側縦辺部に沿う支持板が、重しのような役割を果たして各平板の外側縦辺部を外側から押え付けるような状態となるので、平板の外側縦辺部は後方に移動せず、一方そのような支持板のない各平板の内側の横側部が、後方に移動して斜めに後方に折れ曲がるような状態となる(例えば図8参照)。この状態において、2つの平板の折れ曲がった横側部のそれぞれによって、畝の右壁部及び左壁部が形成されることとなり、結果として、2つの平板の間に内盛りの畝が形成される。
【0009】
従って、本発明によれば一つのロータリ耕耘装置用の整地部材により均平作業及び畝立て作業が行えるようになる。即ち、従来のように各作業に応じて2種類の整地部材を用意する必要がなく、付け替える必要もなくなるので、コスト的に有利であると共に作業性も向上する。
【0010】
〔第2発明の構成〕
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、
前記2つの支持板のそれぞれの一端が、前記2つの平板のそれぞれの外側下端部に枢支連結されていることを特徴とする。
【0011】
〔作用及び効果〕
本発明によれば、支持板を平板外側下端部の枢支軸周りに自在に回動させることにより姿勢変更することができるので、平板に対して支持板を取り付けたり、取り外したりして姿勢変更する必要がない。その結果、支持板の姿勢変更を簡易に行うことができるようになり、作業性がより一層向上する。
【0012】
〔第3発明の構成〕
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、
前記2つの支持板が記平板の下辺部に沿った横向き姿勢で平板に取り付けられた状態において、前記2つの支持板が連結可能に構成されることを特徴とする。
【0013】
〔作用及び効果〕
本発明によれば、並設する2つの平板の下辺部が、横向き姿勢で連結された支持板によって支持されることとなるため、均平作業を行う際、一方の平板のみが後方に移動して浮き上がるような状況が防止される。その結果、ロータリ耕耘装置によって耕起された土が、2つの平板の間から漏れ難くなるので、耕耘地をより確実に均平化することができる。
【0014】
〔第4発明の構成〕
本発明のうちの請求項4に記載の発明では、
前記支持板に整地部が備えられていることを特徴とする。
【0015】
〔作用及び効果〕
本発明によれば、均平作業時において、支持板を横向き姿勢にすると、可撓性を有する平板に加えて金属製の支持板の整地部によって耕耘地を整地するため、平板によってのみ耕耘地を整地する場合と比べて、均平作業を行ったときの耕耘地表面の形状がより均一な状態となり易い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】歩行型作業機の全体側面図
【図2】歩行型作業機の全体平面図
【図3】ロータリ耕耘装置及び整地部材の縦断側面図(均平作業)
【図4】ロータリ耕耘装置及び整地部材の背面図(均平作業)
【図5】平板、中部材、及び支持板の要部拡大図(a)と横断面図(b)
【図6】ロータリ耕耘装置及び整地部材の斜視図(均平作業)
【図7】ロータリ耕耘装置及び整地部材の縦断側面図(畝立て作業)
【図8】ロータリ耕耘装置及び整地部材の背面図(畝立て作業)
【図9】主クラッチレバー付近の側面図
【図10】主クラッチレバー付近の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び図2に示すように、ミッションケース1の下部の右及び左側部に車軸2が備えられて、右及び左の車軸2に走行用の車輪3が連結されており、ミッションケース1の前部に連結された支持フレーム4にエンジン5が支持されて、歩行型作業機が構成されている。ミッションケース1の上部から斜め後方下方に伝動ケース6が延出されて、伝動ケース6から斜め後方上方に操縦ハンドル7が延出されており、伝動ケース6にロータリ耕耘装置8が備えられている。尚、操縦ハンドル7には、エンジン5の動力をミッションケース1に伝達する主クラッチ(図示せず)を操作する主クラッチレバー28が設けられている。
【0018】
次に、ロータリ耕耘装置8について説明する。
図1及び図2に示すように、伝動ケース6の下部から右及び左側に駆動軸9が延出されて、右及び左の駆動軸9に複数の耕耘爪10が固定されており、耕耘爪10の上方を覆うカバー11、及び抵抗棒12等を備えて、ロータリ耕耘装置8が構成されている。右及び左の駆動軸9及び耕耘爪10は、通常は正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動されるのであり、逆転方向(図3の矢印A2の方向)にも回転駆動することが可能である。
【0019】
次に、カバー11について説明する。
図3及び図4に示すように、カバー11は、半円筒状の天井部11aの右及び左側部に、扇形状の横壁部11bが連結されて構成され、伝動ケース6の上方、右及び左の駆動軸9及び耕耘爪10の上方を覆っており、伝動ケース6にカバー11(天井部11a)が連結されている。
【0020】
次に、抵抗棒12について説明する。
図3及び図4に示すように、伝動ケース6に固定されたブラケット13が後方に延出され、幅狭の角パイプ状のブラケット14がブラケット13に固定されて、ブラケット14がカバー11(天井部11a)の開口部から上方に突出している。ブラケット14の右側面の開口部(図示せず)には、抵抗棒12をブラケット14に固定するためのロックボルト16が設けられており、ブラケット14の上部の後方側面には、図3の仮想線に示すように耕耘爪10のメンテナンス等を行う際に平板18の中部材21を掛止することによって平板18を捲り上げた状態に保持し得るフック部14aが設けられている。
【0021】
図3及び図4に示すように、抵抗棒12は細長い棒状に構成されており、その下部が後方側に屈曲した状態で延出されている。抵抗棒12の下部の下側には、断面くの字型で平板状の接地部12aが固定されている。
【0022】
抵抗棒12の上部には、その長手方向に沿って、複数個の固定孔12bが開口されている。図3及び図4に示す状態は、抵抗棒12がブラケット14に挿入されて、ロックボルト16が抵抗棒12の固定孔12bの一つに挿入された状態であり、抵抗棒12がブラケット14に固定された状態である。この状態で、伝動ケース6の真後ろに抵抗棒12が位置しており、カバー11(天井部11a)の後端部の左右方向中央部の下方に、抵抗棒12の接地部12aが位置している。
【0023】
図3及び図4に示す状態において、右及び左の駆動軸9及び耕耘爪10を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動しながら前進することにより、圃場の耕耘(耕起)が行われる。抵抗棒12の接地部12aが圃場に接地することにより、圃場に対するロータリ耕耘装置8の高さが決められて、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さが決められる。
【0024】
本実施形態においては、必要に応じてロータリ耕耘装置8の耕耘深さを変更することができる。例えば、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さをより深く設定したいとするなら、ロックボルト16を回して取り外した後、抵抗棒12を上方向に移動させ、ロックボルト16を、抵抗棒12のより下方に位置する別の固定孔12bに再びネジ込んで挿入して抵抗棒12を固定すれば良い。これにより、ロータリ耕耘装置8に対する抵抗棒12(接地部12a)の高さがより高い位置に変更されるため、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さがより深く設定される。一方、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さをより浅く設定したいとするなら、ロックボルト16を回して取り外した後、抵抗棒12を下方向に移動させ、ロックボルト16を、抵抗棒12のより上方に位置する別の固定孔12bに再びネジ込んで挿入して抵抗棒12を固定すれば良い。
【0025】
次に、整地部材17について説明する。
図2,図3,図4に示すように、整地部材17は、可撓性を有するゴム板等により構成される正方形状の2つの平板18,18と、金属製の中部材21と、金属製で長板状の2つの支持板25,25とを備えて構成されている。
【0026】
2つの平板18は、それらの上辺部18a(平板18の上端部)を合わせた長さが、カバー11(天井部11a)の後端部11cと略同じ長さ(幅)に設定されており、カバー11(天井部11a)の後端部11cに沿って横方向に並設されている。
より詳細には、2つの平板18の上辺部18aは、カバー11(天井部11a)の後端部11cの上面(後面)に載せ付けられており、さらに2つの固定部材19,19(金属製の細長い平板)のそれぞれが、2つの平板18の上辺部18aの上に載せ付けられている。各固定部材19の複数箇所(本実施形態においては2箇所)において、ボルト20がカバー11(天井部11a)の後端部11c、平板18の上辺部18a及び固定部材19に貫通して締め付けられており、固定部材19及びボルト20によって、平板18の上辺部18aがカバー11(天井部11a)の後端部11cに固定されている。
尚、本明細書中、平板18の表面を歩行型作業機の後方に面する側とし、裏面をロータリ耕運装置8に面する側とする。
各平板18の表面外側上部には、後述する支持板25の第1ダルマ孔26及び第2ダルマ孔27のそれぞれを掛止させるための第1掛止ピン18c及び第2掛止ピン18dが設けられている。
【0027】
中部材21は、いずれか一方の平板18の表面内側下端部に、2つのボルト23とナット24によってその上端部分が固定されている。
図5(b)に示すように、中部材21の略中央部には連結ピン21aが設けられており、連結ピン21aの頭部と中部材21との間には、後述する2つの支持板25の端部同士が互いに重なり合った状態で介在し得る程度の隙間が設けられている。
図5(a)に示すように、中部材21の下端部には、下方ほど先細となる整地部21bが設けられている。尚、整地部21bには長孔である貫通孔21cが設けられており、図3に示すように、この中部材21の貫通孔21cを、ブラケット14のフック部14aに着脱自在に掛止させることができるように構成されている。
【0028】
図4及び図5(a)に示すように、支持板25には、支持板25の長辺方向に長い長孔25a、2つの小孔26a,26bと1つの大孔26cとがL字状に連設する第1ダルマ孔26、1つの小孔27aと1つの大孔27bが連設する第2ダルマ孔27、及び鋸歯状の整地部25bが設けられている。
長孔25aは、支持板25の端部に設けられており、支持ピン22を挿入可能に構成される。
第1ダルマ孔26は、支持板25の長孔25aとは反対側の端部に設けられており、2つの小孔26a,26bのそれぞれが支持板25の長辺方向及び短辺方向に沿って互いに直交する向きで大孔26cに連設する。
第2ダルマ孔27は、支持板25の長辺方向における長孔25aと第1ダルマ孔26との間に設けられている。
【0029】
支持板25の長孔25aの短径の大きさは、支持ピン22の軸部径よりも大きく、且つ支持ピン22の頭部径よりも小さく構成されている。そのため、支持ピン22の軸部を支持板25の長孔25aに挿入して平板18の外側下端部に固定することによって、支持板25は支持ピン22を支点として円弧運動可能に平板18に枢支連結される。その結果、2つの支持板25は、図4及び図6に示すように平板18の下辺部18bに沿った横向き姿勢で横方向に並設されて取り付けられた状態、及び図8に示すように平板18の外側縦辺部18eに沿った縦向き姿勢で取り付けられた状態に姿勢変更自在に構成される。
【0030】
次に、主クラッチレバー28について説明する。
図1及び図9に示すように、本実施形態における主クラッチレバー28は、操縦ハンドル7の把持部7aの下方側に設けられている所謂デッドマンクラッチレバーであり、把持部7aと一緒に握られることにより主クラッチを入りにし、手を放すことにより主クラッチを切りにする
【0031】
図9に示すように、主クラッチレバー28は、第1取付金具29及び第2取付金具30によって操縦ハンドル7の下側に設けられている。
図10に示すように、第1取付金具29は、ボルト32を挿通させるためのボルト貫通孔を有する断面「コ」の字状の金具であって、操縦ハンドル7の下側に溶接によって固定されている。
【0032】
図9及び図10に示すように、第2取付金具30は、側面視にて「く」の字状に屈曲された断面「コ」の字状の金具である。
第2取付金具30の開放端部側には、ボルト32を挿通させるためのボルト貫通孔(図示せず)が設けられており、屈曲部付近には、支軸ピン31を挿通させるためのピン貫通孔(図示せず)が設けられており、他端部には、ケーブル34のケーブルアウタ始端部34bを固定するための係止孔30cが設けられている。
【0033】
図9及び図10に示すように、第2取付金具30は、そのボルト貫通孔と第1取付金具29のボルト貫通孔とに亘ってボルト32を挿通させてナット33で締結することによって、第1取付金具29に連結されており、このとき、図10に示すように、第2取付金具30は、その開放端部の片方を第1取付金具29の天井部に当接させることで、ボルト32の軸心周りで回らないように回り止めがなされている。
【0034】
主クラッチレバー28は、第2取付金具30に軸支される基部28aと、操縦ハンドル7の把持部7aと一緒に握られる把持部28bとを備えて構成されており、主クラッチレバー28の基部28aには、支軸ピン31を挿通させるためのピン貫通孔(図示せず)が設けられており、基部28aと把持部28bとの境目付近の内側には、接続ピン35が設けられている。
主クラッチレバー28は、その基部28aを第2取付金具30の内側に配置させて、基部28aのピン貫通孔と、第2取付金具30のピン貫通孔とに亘って支軸ピン31を挿通させることによって、支軸ピン31の軸心周りに回動可能に第2取付金具30に軸支される。
【0035】
ケーブル34は、ケーブルインナ34cとケーブルアウタ34aとを備えて構成されており、ケーブルアウタ34aの始端部34bが第2取付金具30の係止孔30cに固定されている。ケーブルインナ34cの端部には、図示しない接続部が設けられており、当該接続部が主クラッチレバー28の接続ピン35に係止される。
【0036】
図9に示すように、本実施形態における主クラッチレバー28は、その把持部28bを握って主クラッチを入り状態にしたときに、第2取付金具30の係止孔30cと、支軸ピン31と、主クラッチレバー28内の接続ピン35とが、側面視にて略一直線上に並ぶように構成されており、主クラッチを入り状態にするときの操作荷重は、上方から押えて操作する従来の主クラッチレバーを操作する際に必要となる操作荷重と略同程度になる。
【0037】
次に、均平作業について説明する。
図4,図5,図6に示すように、均平作業を行う場合、縦向き姿勢にある2つの支持板25を、支持ピン22を中心に下方向に回転させることによって、平板18の下辺部18bに沿った横向き姿勢で横方向に並設させて、中部材の連結ピン21aを各支持板25の第1ダルマ孔26の大孔26cから挿入して、第1ダルマ孔26の小孔26bを連結ピン21aに掛止させることで、2つの支持板25,25の端部が互いに重なり合った状態で連結される。このとき、図4に示すように中部材21の整地部21bと2つの支持板25の整地部25bとが直線状に連設される。
【0038】
この状態において、図4,図5,図6に示すように、2つの平板18の下辺部18bのそれぞれが、2つの支持板25により支持された状態でカバー11(天井部11a)の後端部11cから垂れ下がる格好となる。
【0039】
図6に示すように、機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置8において、右及び左の駆動軸9及び耕耘爪10を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動することにより、耕起された土が2つの平板18の裏面により受け止められて、2つの平板18の全体が後方(上方)に移動する状態となるのであり、平板18に加えて、平板18の下辺部18bに設けられている中部材21の整地部21bと2つの支持板25の整地部25bによって均平面が形成される。
【0040】
次に、畝立て作業について説明する。
図7及び図8に示すように、畝立て作業を行う場合、横向き姿勢にある2つの支持板25のそれぞれを、支持ピン22を中心に上方向に回転させることによって各平板18の外側縦辺部18eに沿った縦向き姿勢として、各平板18の第1掛止ピン18c及び第2掛止ピン18dのそれぞれを、支持板25の第1ダルマ孔26の大孔26c及び第2ダルマ孔27の大孔27bから挿入して、各平板18の第1掛止ピン18c及び第2掛止ピン18dのそれぞれに第1ダルマ孔26の小孔26a及び第2ダルマ孔27の小孔27aを掛止させることで、2つの支持板25が固定されるように構成されている。
【0041】
この状態において、図7及び図8に示すように、機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置8において、右及び左の駆動軸9及び耕耘爪10を正転方向(図7の矢印A1の方向)に回転駆動することにより、耕起された土が平板18により受け止められる際、各平板18の外側縦辺部18eに沿う支持板25が、重しのような役割を果たして各平板18の外側縦辺部18eを外側から押え付けるような状態となるので、各平板18の外側縦辺部18eは後方に移動せず、一方支持板25のない各平板18の内側の横側部が後方に移動することになる。
【0042】
これにより、図4に示すように、各平板18の外側下端部を起点とし、平板18における一点鎖線B1の付近を折り曲げ線として、図8に示すように、各平板18の内側の横側部が、斜めに後方に折れ曲がるような状態となる。この状態において、2つの平板の折れ曲がった横側部のそれぞれによって、畝の右壁部C1及び左壁部C2が形成されることとなり、結果として、2つの平板の間に内盛りの畝Cが形成される。
【0043】
以上より、本実施形態のロータリ耕耘装置用の整地部材17によれば、1つのロータリ耕耘装置用の整地部材17により均平作業及び畝立て作業が行えるようになる。即ち、従来のように各作業に応じて2種類の整地部材を用意する必要がなく、付け替える必要もなくなるので、コスト的に有利であると共に作業性も向上する。
【0044】
また、支持板25を平板18の外側下端部の支持ピン22(枢支軸)周りに自在に回動させることより姿勢変更することができるので、平板18に対して支持板25を取り付けたり、取り外したりして姿勢変更する必要がない。その結果、支持板25の姿勢変更を簡易に行うことができるようになり、作業性がより一層向上する。
【0045】
また特に均平作業を行う際、並設する2つの平板18の下辺部が、横向き姿勢で連結された支持板25,25によって支持されることとなるため、一方の平板18のみが後方に移動して浮き上がるような状況が防止される。その結果、ロータリ耕耘装置8によって耕起された土が、2つの平板18の間から漏れ難くなるので、耕耘地をより確実に均平化することができる。さらに、支持板25を横向き姿勢にすると、平板18に加えて金属製の支持板25の整地部25bによって耕耘地を整地するため、平板18によってのみ耕耘地を整地する場合と比べて、均平作業を行ったときの耕耘地表面の形状がより均一な状態となり易い。
【0046】
〔別実施形態〕
〔1〕前述の実施形態における第1掛止ピン18c及び第2掛止ピン18dを、例えば、平板18の外側上端部を切り欠いてカバー11(天井部11a)の後端部11cの上面(後面)に設けることによって、縦向き姿勢の支持板25をカバー11に連結する構成としても良い。
〔2〕前述の実施形態における支持板25は、平板18に対して着脱自在な構成とすることによって横向き姿勢と縦向き姿勢とを姿勢変更自在に構成するようにしても良い。尚、このように構成した場合には、中部材21を廃止しても良い。
〔3〕前述の実施形態における中部材21と支持板25において、整地部21b,25bを設けない構成としても良い。従ってこの構成において均平作業を行う場合、圃場に接地する2つの平板18の下辺部18bによって均平面が形成される。このとき、各平板18の下辺部18bに沿う支持板25が、重しのような役割を果たして各平板18の下辺部18bのばたつきが抑えられるので、均平面が安定して形成される。
〔4〕本発明は、走行用の車輪2とロータリ耕耘装置8とを別々に備えた歩行型作業機ばかりではなく、図1及び図2において走行用の車輪3を廃止し、右及び左の車軸2に耕耘爪10を連結してロータリ耕耘装置8を構成した歩行型作業機や、乗用型のトラクタに装備されるロータリ耕耘装置8にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明は、歩行型作業機や乗用型のトラクタに装備されるロータリ耕耘装置に使用される整地部材に有用であり、コスト削減と作業性の向上を図る場合に適している。
【符号の説明】
【0048】
11 カバー
11c カバーの後端部
18 平板
18a 上辺部
18b 下辺部
18e 外側縦辺部
25 支持板
25b 整地部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する2つの平板を備え、
前記2つの平板のそれぞれの上端部がロータリ耕耘装置のカバーの後端部に連結された状態で、前記2つの平板が前記カバーの後端部に沿って横方向に並設されており、
前記平板の下辺部に沿った横向き姿勢で横方向に並設されて取り付けられた状態、及び前記平板の外側縦辺部に沿った縦向き姿勢で前記平板に取り付けられた状態に姿勢変更自在に、金属製の支持板を前記2つの平板のそれぞれに備えてあるロータリ耕耘装置用の整地部材。
【請求項2】
前記2つの支持板のそれぞれの一端が、前記2つの平板のそれぞれの外側下端部に枢支連結されている請求項1に記載のロータリ耕耘装置用の整地部材。
【請求項3】
前記2つの支持板が記平板の下辺部に沿った横向き姿勢で平板に取り付けられた状態において、前記2つの支持板が連結可能に構成される請求項1又は2に記載のロータリ耕耘装置用の整地部材。
【請求項4】
前記支持板に整地部が備えられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のロータリ耕耘装置用の整地部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−178708(P2010−178708A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27003(P2009−27003)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】