説明

ロールタイプの装置によって可撓性支持体を液状シリコーン組成物でコーティングする際のミスト発生を制御するための方法

本発明は、高速ロール上での紙や合成ポリマー(ポリオレフィン、ポリエステル)、織物原料のシートのような様々な可撓性支持体上へのシリコーンコーティングの一般分野に関する。本発明は、高速で作動するロールタイプのコーティング装置を用いて可撓性支持体を架橋したコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物でコーティングする時のミストの発生を制御するための効果的な方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、高速ロール上で紙又は合成ポリマー(ポリオレフィン、ポリエステル等)又は織物原料(textile)のシートのような様々な可撓性支持体をシリコーンでコーティングする分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、重付加によって、脱水素縮合によって、重縮合によって、カチオンルートで又はフリーラジカルルートで架橋して特に剥離特性及び/又は撥水特性を有する保護コーティング又はフィルムを形成することができる1種以上のポリオルガノシロキサンを含む液状組成物による可撓性材料のコーティングに関する。
【0003】
可撓性支持体は、紙、厚紙、プラスチックフィルム又は金属フィルムであることができる。これらのシリコーンでコーティングされた支持体の用途には、例えば:食品用途(焼き型、ラッピング)用の紙、粘着ラベル/テープ、パッキング及びシーリング材料等がある。
【背景技術】
【0004】
これらの可撓性支持体の架橋性(即ち架橋可能な)液状シリコーンによるコーティングは、連続的に且つ非常に高速で作動するコーティング装置によって実施される。これらの装置は、複数のロール(特にプレスロール及びコーティングロールを含む)から成るコーティングヘッドを含み、これに互いに連関した一連のロールによって架橋性液状シリコーン組成物が連続的に供給される。可撓性支持体のウェブがプレスロールとコーティングロールとの間を高速で循環し、それにより少なくとも一方の面を(コーティングヘッドの下流に配置された架橋手段によって架橋させることが予定される)シリコーンフィルムでコーティングされる。これらの架橋手段は、例えば熱、放射線(例えば紫外線)又は電子ビームの放射源であることができる。
【0005】
生産性の競争において、剥離性シリコーンでコーティングされた可撓性支持体の製造業者は、ますます高速化が求められる可撓性支持体ウェブ進行線速度に適した液状シリコーンコーティング配合物を求めている。高速コーティングのための新たなシリコーン配合物についてのこの研究において、経済性のファクターはもちろん無視できないことである。
【0006】
しかしながら、連続コーティング機についての高速化は、コーティングロールから動いている可撓性支持体ウェブへの液状シリコーンフィルムの移動に関しての問題点の代名詞であることが知られている。これらの移動の問題(「スプリッティング」)は、特にコーティングヘッドの周辺領域並びにより特定的には回転しているロール同士の接触点及び/又はコーティングロールとコーティングされるべき可撓性支持体との間の接触点において、ミスト又はエーロゾルの発生(「ミスティング(ミスト形成)(misting)」、「フォギング(fogging)」)となって現れてくる。このミスト又はこのエーロゾルの密度は、進行線速度が増すにつれて、従ってロールの回転速度が増すにつれて、増大する。
【0007】
この現象は、まず第一に消耗材料の損失、そしてとりわけ下流(例えばオーブン)において支持体上にコーティング液体の液滴が堆積するという結果を招き、これはコーティングの品質をひどく損なうものである。
【0008】
さらに、望ましくないミストの形成は、ロールコーティング装置の付近で高レベルのエーロゾルに曝される作業者にとっての産業衛生及び安全性の観点から、不利な結果をもたらす。このエーロゾルは有毒な場合がある。
【0009】
さらに、ミスティングはロールコーティング装置の急速な汚染をもたらし、メンテナンス上の制約及び早過ぎる消耗を引き起こす。
【0010】
このミストという結果に対して保護するためには、コーティングヘッドの周りにミストを捕捉することができる吸引システムを配置させるのが一般的である。
【0011】
さらに、この現象を未然に防ぐためのコーティングヘッドの調整法が当業者にはいくつか知られている。その例には、以下のものが包含される:
A.速度を低下させる。これは生産性にとって不利である。
B.シリコーン付着率を減らす。これは得ることが望まれる可撓性シリコーン支持体の特性(外観、被覆性、剥離性、機械的特性)にとって不利である。
C.コーティングロールの接線速度と紙の線速度との間の差を大きくする。しかし一定の差を超えるとコーティング層の均質性がひどく妨げられる。さらに、この手段によると、ミストの密度を減らすことは可能であるが、コーティング速度を有意に増加させるのに充分にミストを除去することはできない。
D.コーティングロールとプレスロールとの間の圧力を高める。ここでもまた、ある程度の限界があり、充分にはミスト形成現象をなくせない。
【0012】
ロールコーティング機におけるミストの形成を制御するための別のアプローチは、液状シリコーンコーティング組成物の配合に働きかけることから成るものである。
【0013】
このアプローチに従えば、シリコーンコーティング液体を構成するポリオルガノシロキサンの数による平均重合度を低減させ、従ってシリコーンコーティング浴の粘度を低下させることによって、ミストの密度を抑制することが知られている。
【0014】
これらの既知の技術には、特性、特に得ることが求められる可撓性シリコーンで処理された支持体の剥離性をかなり変化させてしまうという重大な欠点がある。
【0015】
シリコーン配合物を介するこのアプローチを例証するために、国際公開WO2004/046248号パンフレットを引用することができる。この国際公開パンフレットには、可撓性支持体コーティング用途用のミスティング防止用添加剤として星形枝分れシリコーンポリマーを使用することが記載されている。これらの星形枝分れシリコーンポリマーの調製方法は、反応性≡SiH単位を含有するポリオルガノシロキサンと長鎖オレフィンとを(ヒドロシリル化によって)不完全に反応させて一部置換されたポリヒドロオルガノシロキサンを得て、これを次いでヒドロシリル化によってMQタイプのビニルシリコーン樹脂及び長鎖ジオレフィンと反応させることを含む。この種の組成物は比較的複雑であり、従って得るのに費用がかかることは明白である。さらに、これらは依然として高速シリコーンロールコーティングにおけるミスト形成の制御に関して、改善の余地を残す。
【0016】
ヨーロッパ特許公開第0716115号公報には、ロールによる高速コーティング用のシリコーン組成物の調製方法が記載されており、この組成物はミストの密度を下げることができると示されている。この方法に従えば、トリメチルシリルを末端とする重合度12のポリジメチルメチルヒドロシロキサン、並びに末端基がジメチルビニルシロキシ基であり且つ重合度が300である、ペルフルオロエチルブチル及びメチルビニル官能基で置換されたポリジメチルシロキサン0.01%、並びにポリプロピレングリコール及び随意にステアリル又はオレイルアルコールが用いられる。これは、ポリオキシプロピレン基で官能化されたポリジメチルシロキサンをもたらす。これらの官能化ポリジメチルシロキサンは、他の官能化ポリジメチルシロキサン(例えばヘキセニル単位で官能化されたもの)と組み合わされ、また、白金をベースとするヒドロシリル化触媒とも組み合わされて、ミスト形成の減少を可能にするシリコーンコーティング組成物を形成する。この官能化単位は、ステアリン酸又はオレイン酸残基のような疎水性残基であることができる。
【0017】
米国特許第4808391号明細書に記載された発明は、シリコーンをベースとするインク及びワニス、より特定的にはこれらのインク/ワニスを高速で作動するローラーコーティング機を用いて基材に塗布する方法に関する。この特許明細書には特に、15000〜50000mPa・sの範囲の25℃における粘度を有するビニルを末端基とするポリジメチルシロキサンを含む組成物が開示されている。これらの液状コーティング組成物はさらに、白金をベースとする触媒及び高い比表面積を有するシリカ(より特定的にはヒュームドシリカ)から成るレオロジー添加剤を含む。
【0018】
米国特許第6057033号明細書には、可撓性支持体上をコーティングして、UV誘発カチオン架橋後に剥離コーティングを形成することが予定されるシリコーン組成物が開示されている。これらの組成物は、ポリオルガノシロキサンに加えて、平均長さ15〜100μm及び平均厚さ5〜40μmのセルロース繊維を含む。用いられるポリオルガノシロキサンは、UV誘発フリーラジカル架橋を可能にするアクリルオキシ又はメタクリルオキシタイプの架橋性基で官能化されたポリオルガノシロキサンである。
【0019】
この組成物中に加えられたセルロース繊維は、脆弱でない架橋シリコーン剥離コーティングを得るという技術上の問題点の解決策を提供することを可能にする。このセルロース繊維は次の点に関して改善をもたらすことが示されている:支持体へのシリコーンコーティングフィルムの移動、打抜き耐性、機械的特性(引張抵抗及び引裂抵抗)、紙へのコーティングの固着、紙内部へのコーティング液の吸収の減少、そしてついでにミスト形成の減少。
【0020】
この最後の点については、米国特許第6057033号明細書にはセルロース繊維がもたらすミストの減少を評価するための量的要素が何ら提供されていない。この減少は全く不充分なままであると考える必要がある。
【0021】
特開平6−264011号公報には、フィルム形成性樹脂及び溶剤を含み、さらに直径1〜10μmのワックス粒子を含み、最も粗大な粒子の直径が支持体に塗布された湿ったフィルムコーティングの厚さの150%以下であるコーティング液が記載されている。この種のコーティング液は、ミスト形成の抑制によって少なくとも10〜30m/分のコーティング速度の増大が可能だろうと推測される。この文献はシリコーンコーティングに関するものではないので、このような文献の教示はかけ離れたものである。
【特許文献1】国際公開WO2004/046248号パンフレット
【特許文献2】ヨーロッパ特許公開第0716115号公報
【特許文献3】米国特許第4808391号明細書
【特許文献4】米国特許第6057033号明細書
【特許文献5】特開平6−264011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
この従来技術に鑑みて、本発明の本質的な目的の1つは、架橋したコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物で可撓性支持体をコーティングする(高速で作動するロールコーティング装置によって行われるコーティング)時のミスティング(ミスト形成)を効果的に制御する方法を提供することにある。
【0023】
本発明の別の本質的な目的は、架橋させることが予定されるシリコーン組成物で可撓性支持体をコーティングする(高速で作動するロールコーティング装置で行われるコーティング)時のミスティングを簡単且つ経済的に制御する方法を提供することにある。
【0024】
本発明の別の本質的な目的は、架橋させることによって剥離コーティングとなることができるシリコーン組成物によってロール上で高速で可撓性材料をコーティングする時のミストの形成を減少させることができる新たな添加剤を提供することにある。
【0025】
本発明の別の本質的な目的は、架橋させることによって剥離コーティングとなることができるシリコーン組成物による可撓性支持体のコーティングの一環としてミスティングを制御する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
これらのすべての目的及び他の目的は、本発明によって達成される。本発明は、まず第1に、可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法を提供し、この方法は、次の工程:
(a)次の成分:
・重付加によって、脱水素縮合によって、重縮合によって、カチオンルートで又はフリーラジカルルートで架橋可能な少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA、
・随意としての1種以上の架橋用有機ケイ素化合物B、
・随意としての、前記ポリオルガノシロキサンAに予定される反応のタイプに応じて選択される種類の1種以上の触媒又は光開始剤C、
・随意としての1種以上の粘着調節剤系K、及び
・随意としての1種以上の架橋抑制剤D:
を含む、シリコーンコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物Xを調製する工程;並びに
(b)ロールコーティング装置によって可撓性支持体上に前記液状シリコーン組成物Xをコーティングする工程:
を含み、
工程(a)において前記液状シリコーン組成物Xに次の特徴を有するミスティング防止用添加剤Eを添加することを特徴とし、
前記ミスティング防止用添加剤Eの特徴は、
◆希釈剤J'又は溶剤J''によって随意に希釈した後に、液体の形にあること;
◆前記ミスティング防止用添加剤Eの損失角δの正接(tanδ)(これは粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比である)が1より大きいこと;並びに
◆(1)次のもの:
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFと、
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH単位及び/又は≡SiR単位(ここで、RはC1〜C40カルビノール基である)を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGとを、
▲1種以上の脱水素縮合触媒H、並びに
▲随意としての1種以上の架橋抑制剤I及び/又は1種以上の溶剤J
の存在下で、好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において、反応させ、その際、成分F及びGの性状及び量を、[反応性≡SiOH単位の数]:[反応性≡SiH単位の数]の比が1:1にならないように決定し、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵(揮発分除去)及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する
ことによって得ることができ、好ましくは得られたものであること:
である。
【発明の効果】
【0027】
本発明者らは、ミスト形成に対する効果的な制御を達成し、その結果として、高速で作動するロールコーティングシステムにおけるミストの発生に関連した問題の有意の改善を達成したという点で、賞賛に値するものである。
【0028】
ミスティング防止用添加剤Eの調製態様において規定される条件、即ち反応の性状(脱水素縮合反応)及び1:1ではない[反応性≡SiOH単位の数]:[反応性≡SiH単位の数]の比で操作するという要件が、非常に顕著なミスティング防止特性を示す液体の形の添加剤が得られることを可能にする。特定の科学理論やメカニズムに縛りつけられることは望まないが、本発明に従うミスティング防止用添加剤Eのこの特性は、この比の選択及び伴われる反応の性状(脱水素縮合反応)によるものであり、これらが高速で作動するロールコーティングシステムにおけるミスティングを制御するのに有用な粘弾性を有する分岐鎖状ポリマーを得ることを可能にしていると思われる。本発明に従うミスティング防止用添加剤Eの流動学的挙動はまた、弾性モジュラス(G')及び粘性モジュラス(G'')の値によっても示すことができる。本発明に従うミスティング防止用添加剤Eは、
(a)希釈剤J'又は溶剤J''によって随意に希釈した後に、液体の形にあり、そして
(b)前記ミスティング防止用添加剤Eの損失角δの正接(tanδ)(これは粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比である)が1より大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明に従うミスティング防止用添加剤Eは、コーティングの間のミスティングの量を減らすのに充分な量で用いられる。当業者であればもちろん、通常の試験によって困難なくこれらの量を決定できる。例えば、シリコーンコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物Xの総重量に対して0.1〜15重量部の量で本発明に従う添加剤を用いることができる。
【0030】
「脱水素縮合」とは、≡SiH単位と≡SiOH単位との間の反応であって、≡Si−O−Si≡結合の形成及び気体状水素の放出をもたらすものである。この反応は、有効量の脱水素縮合触媒Hによって触媒される。
【0031】
当業者であれば、用いる触媒のタイプに応じて脱水素縮合触媒Hの有効量を決定できるだろう。
【0032】
本発明の目的のための有効量とは、反応を開始させるのに充分な量である。この量は、組成物の最適貯蔵寿命を可能にするために、できるだけ少なくしなければならない。有用な触媒濃度は、反応させるべきオルガノシロキサンポリマー固体の重量に対して1×10-6〜5重量部の範囲、好ましくは1×10-6〜1×10-2重量部の範囲である。
【0033】
脱水素縮合反応を開始させることができる任意の触媒が好適であろう。白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、ホウ素、スズ又はイリジウムをベースとする金属触媒があり、白金触媒が最も一般的である(フランス国特許第1209131B号明細書、米国特許第4262107号明細書、ヨーロッパ特許公開第1167424A号公報、フランス国特許第2806930A号明細書)。
【0034】
例えば、米国特許第4262107号明細書に記載されたロジウム錯体(RhCl3[(C817)2S]3)、Karstedt触媒のような白金錯体、及び白金、ロジウム、パラジウム、スズ又はイリジウムをベースとする金属触媒を用いることができる。イリジウムをベースとする触媒には、次の化合物が包含される:IrCl(CO)(TPP)2、Ir(CO)2(acac);IrH(Cl)2(TPP)3;[IrCl(シクロオクテン)2]2、IrI(CO)(TPP)2及びIrH(CO)(TPP)3(これらの式中のTPPはトリフェニルホスフィン基を意味し、acacはアセチルアセトネート基を意味する)。
【0035】
また、ジブチルスズジラウレート又はNollの著書"Chemistry and Technology of Silicones"、第205及び307頁、Academic Press社、1968年、第2版に記載されたもののような触媒を用いることもできる。他の触媒としては、フランス国特許第2806930A号明細書に記載されたトリ(ペンタフルオロフェニル)ボランタイプのホウ素誘導体のようなものもある。フランス国特許第1209131B号明細書には特にクロロ白金酸(H2PtCl6・6H2O)をベースとする触媒が開示されている。
【0036】
架橋抑制剤Dは一般的に、使用準備のできた組成物に所定の可使時間を付与するために用いられる。一方で触媒本体の性状及び組成物中におけるその濃度(所定の架橋速度をもたらす)を変化させ、他方で遅延剤の性状及びその濃度を変化させることによって、可使時間を調節することができる。触媒本体の活性は、加熱することによって回復される(熱活性化)。遅延剤は、アセチレン性アルコール(エチニルシクロヘキサノール:ECH)及び/若しくはマレイン酸ジアリル及び/若しくはトリアリルイソシアヌレート及び/若しくはマレイン酸ジアルキル(マレイン酸ジエチル)及び/若しくはアルキニルジカルボン酸ジアルキル(アセチレンジカルボン酸ジエチル)から、又はポリオルガノシロキサン(これは環状であり且つ少なくとも1個のアルケニルで置換されているのが有利であり、テトラメチルビニルシクロテトラシロキサンが特に好ましい)、若しくはアルキル含有マレエートから選択するのが好ましい。
【0037】
アセチレン性アルコール(例えばフランス国特許第1528464B号明細書及び同第2372874A号明細書を参照されたい)は、本発明に従って有用な遅延剤である。その例には、次のものが包含される:
・1−エチニルシクロヘキサン−1−オール;
・3−メチル−1−ドデシン−3−オール;
・3,7,11−トリメチル−1−ドデシン−3−オール;
・1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オール;
・3−エチル−6−エチル−1−ノニン−3−オール;
・3−メチル−1−ペンタデシン−3−オール。
【0038】
これらのα−アセチレン性アルコールは、市販されている製品である。
【0039】
本発明に従って有用な遅延剤の別の例には、ホスフィン誘導体、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト{Ciba社より商品名Irgafos 168(登録商標)として販売}、又は国際公開WO2004/061003号パンフレットに記載されたもの、特に次式のIrgafos(登録商標)P-EPQ化合物が包含される。
【化1】

【0040】
この種の遅延剤は、特に触媒系の金属に対して1〜100モル当量で存在させる。
【0041】
本発明の方法のために構想される架橋抑制剤I及びI'は、例えば抑制剤Dについて記載したものである。好ましくは、I'はトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト{Ciba社より商品名Irgafos 168(登録商標)として販売}である。
【0042】
シリコーンコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物Xにおいて、架橋したシリコーンコーティングの剥離特性に対する制御を可能にするために、1種以上の粘着調節剤系Kを用いるのが有利であり得る。
【0043】
剥離紙又はポリマー系支持体を有する粘着テープ用のシリコーン配合物中の粘着調節剤系の例としては、ヨーロッパ特許公開第0601938A号公報を挙げることができ、その内容をすべて本明細書中に取り入れる。
【0044】
1つの態様に従えば、粘着調節剤系Kは、
・重付加によって架橋する配合物の場合には、式MDViQ;MMViQ;MMViViQ;MMViDDViQ;MDHQ又はMMHQのポリオルガノシロキサン樹脂であり;
・重縮合によって架橋する配合物の場合には、式MOHQのポリオルガノシロキサン樹脂であり;そして
・放射線下で架橋する配合物の場合には、式MD'Q又はMM'Qのポリオルガノシロキサン樹脂である。
【0045】
希釈剤及び/又は溶剤J、J'及びJ''の例には、脂肪族及び芳香族溶剤並びに塩素化溶剤が包含され、その例には、ホワイトスピリット、メチルエチルケトン及びアセトンのようなケトン類、イソプロパノール及びn−ブチルアルコールのようなアルコール類、飽和、不飽和又は芳香族炭化水素類、有利にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン及びベンゼン、並びに「ナフサ」石油留分;C7〜C8石油留分、ハロゲン化炭化水素、並びにそれらの混合物がある。
【0046】
シリコーンコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物XのポリオルガノシロキサンAは、金属触媒(この場合には白金をベースとする触媒)の存在下で周囲温度において又は加熱時に重付加反応によって架橋するタイプのものであることができる。これらは、RTV(室温加硫性)と称される架橋性ポリオルガノシロキサン組成物又はHTV(これは「高温加硫性」の略号である)と称される重付加ポリオルガノシロキサン組成物である。
【0047】
2構成型(2液型)又は1構成型(1液型)RTV又は重付加HTVポリオルガノシロキサン組成物は、本質的に、一般的に金属触媒(好ましくは白金触媒)の存在下でヒドロシリル基とシリルアルケニル基との反応によって硬化又は架橋する。これらは、例えば米国特許第3220972号明細書、同第3284406号明細書、同第3436366号明細書、同第3697473号明細書及び同第4340709号明細書に記載されている。
【0048】
ポリオルガノシロキサンAはまた、周囲温度において湿分の作用下で、一般的に金属触媒(例えばスズ化合物)の存在下で重縮合反応によって架橋するタイプのもの(重縮合RTV)であってもよい。このタイプのポリオルガノシロキサンを用いる組成物は、例えば米国特許第3065194号明細書、同第3542901号明細書、同第3779986号明細書、同第4417042号明細書及びフランス国特許第2638752号明細書(1構成型組成物)並びに米国特許第3678002号明細書、同第3888815号明細書、同第3933729号明細書及び同第4064096号明細書(2構成型組成物)に記載されている。
【0049】
これらの重縮合RTV組成物の一部となるポリオルガノシロキサンAは、ヒドロキシル基又は加水分解性基(加水分解可能な基)(例えばアルコキシ基)を有する線状、分岐状又は網目状(架橋)ポリシロキサンである。かかる組成物にはさらに架橋剤を含ませることができ、この架橋剤は特に少なくとも3個の加水分解性基を有する化合物、例えばケイ酸塩、アルキルトリアルコキシシラン又はアミノアルキルトリアルコキシシランである。
【0050】
前記液状シリコーン組成物Xはさらに、カチオンルート又はフリーラジカルルートで、
・有効量のカチオン開始剤系(熱開始剤及び/若しくは光開始剤)−有機金属錯体若しくはオニウムホウ酸塩タイプの開始剤、プロトン供与性有機溶剤(イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等)の存在下で、且つ/又は
・場合によりフリーラジカル開始剤の存在下で、化学線(UV)若しくは電子ビームで活性化して、
架橋可能な1種以上のポリオルガノシロキサンAを含むことができる。
【0051】
これらのポリオルガノシロキサンは、例えば線状又は環状エポキシシリコーン及び/又はビニルエチルシリコーンである。この種のエポキシ又はビニルオキシ官能性ポリオルガノシロキサンは、特にドイツ国特許第4009889号明細書、ヨーロッパ特許公開第0396130号公報、同第0355381号公報、同第0105341号公報、フランス国特許第2110115号明細書及び同第2526800号明細書に記載されている。
【0052】
エポキシ官能性ポリオルガノシロキサンは、≡SiH単位含有オイルと4−ビニルシクロヘキセノン又はアリルグリシジルエーテルのようなエポキシ官能性化合物とのヒドロシリル化反応によって調製することができる。ビニルオキシ官能性ポリオルガノシロキサンは、SiH単位含有オイルとアリルビニルエーテル又はアリルビニルオキシエトキシベンゼンのようなビニルオキシ官能性化合物とのヒドロシリル化反応によって調製することができる。
【0053】
本発明の方法の1つの好ましい態様に従えば、ミスティング防止用添加剤Eが添加される(シリコーンコーティングの前駆体となる)液状シリコーン組成物Xは、
・重付加によって架橋可能な少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA、
・随意としての1種以上の架橋用有機ケイ素化合物B、
・1種以上の重付加反応触媒C1、
・随意としての1種以上の粘着調節剤系K、及び
・随意としての1種以上の架橋抑制剤D:
を含む。
【0054】
この好ましい態様に従えば、ポリオルガノシロキサンAは重付加によって架橋するタイプのものであって、式(III):
【化2】

のシロキシ単位を有し且つ随意としてのその他の単位の少なくとも一部が平均式(IV):
【化3】

のシロキシ単位であるものである。これら式中、
Wはアルケニル基、好ましくはビニル又はアリルであり、
記号Zは同一であっても異なっていてもよく、
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わし、
aは1又は2、好ましくは1であり、
bは0、1又は2であり、
a+bは1、2又は3であり、そして
cは0、1、2又は3である。
【0055】
重付加によって架橋可能なポリオルガノシロキサンAの例には、ジメチルビニルシリルを末端とするジメチルポリシロキサン、トリメチルシリルを末端とするメチルビニルジメチルポリシロキサンコポリマー及びジメチルビニルシリルを末端とするメチルビニルジメチルポリシロキサンコポリマーがある。
【0056】
架橋用有機ケイ素化合物Bは、式(V):
【化4】

の単位を有し且つ随意としてのその他の単位の少なくとも一部が平均式(VI):
【化5】

の単位であるタイプのものである。これら式中、
記号Lは同一であっても異なっていてもよく、
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わし、
cは0、1又は2であり、そして
gは0、1、2又は3である。
【0057】
架橋用有機ケイ素化合物Bの例には、例えば、
・ヒドロジメチルシリルを末端とするジメチルポリシロキサンポリマー、
・ポリ(ジメチルシロキサン)(メチルヒドロシロキシ)α,ω−ジメチルヒドロシロキサンポリマー、
・MDD':ジメチルヒドロメチルポリシロキサン(ジメチル)単位を有し且つトリメチルシリルを末端とするコポリマー、
・M'DD':ジメチルヒドロメチルポリシロキサン単位を有し且つヒドロジメチルシリルを末端とするコポリマー、
・MD':トリメチルシリルを末端とするヒドロメチルポリシロキサン。
【0058】
重付加触媒C1は、例えば白金族に属する少なくとも1種の金属から成る。この触媒は、特に白金化合物及びロジウム化合物から選択することができる。特に米国特許第3159601号明細書、同第3159602号明細書、同第3220972号明細書、ヨーロッパ特許公開第0057459A号公報、同第0188978A号公報及び同第0190530A号公報に記載された白金と有機物質との錯体、並びに米国特許第3419593号明細書、同第3715334号明細書、同第3377432号明細書及び同第3814730号明細書に記載された白金とビニルオルガノシロキサンとの錯体を用いることができる。一般的に好ましい触媒は、白金である。この場合、白金金属の重量として計算した重付加触媒C1の重量による量は、2〜400ppmの範囲とするのが一般的である。
【0059】
これらの成分に加えて、シリコーンコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物Xにはさらに、重付加によって、重縮合によって、カチオンルートで又はフリーラジカルルートで架橋するシリコーン組成物において一般的な1種以上の添加剤を含ませることができる。例えば顔料等を挙げることができる。
【0060】
本発明の方法の1つの有利な実施形態に従えば、ミスティング防止用添加剤Eは、次の特徴を有する:
◆希釈剤J'又は溶剤J''によって随意に希釈した後に、液体の形にあること;
◆前記ミスティング防止用添加剤Eの損失角δの正接(tanδ)(これは粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比である)が1より大きいこと;並びに
◆(1)次のもの:
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFと、
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH単位及び/又は≡SiR単位(ここで、RはC1〜C40カルビノール基である)を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGとを、
▲脱水素縮合触媒H(好ましくは白金ベースの金属触媒)、及び
▲随意としての1種以上の架橋抑制剤I
の存在下で、好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において、反応させ、その際、成分F及びGの性状及び量を、
(a)[反応性≡SiOH単位の数]:[反応性≡SiH単位の数]の比が1:1より小さく、好ましくは1:2より小さく、より一層好ましくは1:3〜1:50の範囲、さらにより一層好ましくは1:3〜1:15の範囲となる
ように決定し、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する
ことによって得ることができ、好ましくは得られたものであること。
【0061】
この態様に従えば、前記ミスティング防止用添加剤Eは、1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を含む分岐状ポリマー又はかかる分岐状ポリマーを少なくとも1種含む混合物である。
【0062】
[反応性≡SiOH単位の数]:[反応性≡SiH単位の数]の比が1:3〜1:50の範囲、より一層好ましくは1:3〜1:15の範囲である添加剤を調製するのが非常に有利である。実際、この比をこれらの範囲内に保つことによって、適当な分岐度を有していながらゲル化の問題を示すことがない(それによって溶剤又は希釈剤による希釈が不要になる)ミスティング防止用添加剤を調製することができる。分岐度は、大きすぎてはならないが、ミスティング防止効果を得るのに適した粘弾性を維持しながら液体の形にある添加剤を得るのに充分なものでもなければならない。
【0063】
脱水素縮合触媒Hとして白金ベースの金属触媒を用いることによって、こうして得られる添加剤のミスティング防止性能を向上させることが可能になる。
【0064】
本発明の方法の1つの好ましい実施形態に従えば、上記の調製方法に従って得られる特に好ましいミスティング防止用添加剤Eは、次の平均式:
【化6】

(ここで、
a、c及びdは0より大きい数であり、
bは0以上であり、
cは0.5モル%<c<10モル%であり、
dは0.05モル%<d<10モル%であり、
D'はHR22SiO2/2であり、
TはR23SiO3/2であり、
MはR242526SiO1/2であり、
DはR2728SiO2/2である)
を有するものであり、このミスティング防止用添加剤Eは、残留単位DOH及び/又はTOHを10モル%まで含有することができ、ここで、
OHはR2930(OH)SiO1/2であり、そして
OHはR31(OH)SiO2/2であり、
記号R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30及びR31は同一であっても異なっていてもよく、互いに独立してそれぞれが
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わす。
【0065】
この方法の1つの特に有利な態様に従えば、工程(1)において脱水素縮合触媒Hは白金ベースの金属触媒であり、そして
・工程(1)の後に得られた反応生成物を好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において式CH2=CHRaの少なくとも1種の化合物と反応させ、その際、これら反応成分の量は好ましくは[反応性≡SiH単位の数]:[反応性CH2=CH−官能基の数]の比が1:1以下となるように選択され、また、Raはハロゲン、水素、C1〜C60炭化水素基、C1〜C60ポリエステル基、C1〜C60ニトリル基、C1〜C60ハロアルキル基、1個以上のケイ素原子を含有する基、及びC1〜C60ポリエーテル基より成る群から選択される一価の基であり、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵(揮発分除去)及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する。
【0066】
本発明に従う方法の別態様に従えば、ミスティング防止用添加剤Eは、分岐状ポリオルガノシロキサンL又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンLを含む混合物であり、このミスティング防止用添加剤Eは、少なくとも1個の反応性≡SiOH及び/又は≡SiR単位(ここで、Rはカルビノール基である)を含有し、且つ次の特徴:
◆希釈剤J'又は溶剤J''によって随意に希釈した後に、液体の形にあること;
◆前記ミスティング防止用添加剤Eの損失角δの正接(tanδ)(これは粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比である)が1より大きいこと;並びに
◆(1)次のもの:
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFと、
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH単位及び/又は≡SiR単位(ここで、RはC1〜C40カルビノール基である)を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGとを
▲脱水素縮合触媒H、並びに
▲随意としての1種以上の架橋抑制剤I及び/又は1種以上の溶剤J
の存在下で、好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において、反応させ、その際、成分F及びGの性状及び量を、[反応性≡SiH単位の数]:[反応性≡SiOH単位及び/又は反応性≡Si−カルビノール単位の数]の比が1:1より小さく、好ましくは1:2より小さく、より一層好ましくは1:3〜1:50の範囲となるように決定し、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する
ことによって得ることができ、好ましくは得られたものであること:
を有する。
【0067】
成分Fは、1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有するオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFであって次式を有するものであるのが好ましい。
【化7】

ここで、
u、y、w、x及びzは0以上の数であり、w+zは0より大きく、好ましくはyは0であり、
MはR123SiO1/2であり、
DはR45SiO2/2であり、
D'はHR6SiO2/2であり、
TはR7SiO3/2であり、
QはSiO4/2であり、
M'はHR89SiO1/2であり、
記号R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、互いに独立してそれぞれが
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わす。
【0068】
成分Fの例には、トリメチルシロキシ及び/又はヒドロジメチルシロキシ末端基を有するポリメチルヒドロシロキサンが包含される。本発明にとって特に好適なものは、例えば次式の化合物である。
【化8】

ここで、a、b、c、d及びeは0〜500の範囲の数であり、
式S1のポリマーにおいては
0≦a≦500、好ましくは1≦a≦150、好ましくは1≦a≦10であり且つ
1≦b≦500、好ましくは1≦b≦50、好ましくは1≦b≦10であり;
式S2のポリマーにおいては
0≦c≦500であり;
式S3のポリマーにおいては
0≦d≦50、好ましくは1≦d≦50であり且つ0≦e≦500、好ましくは1≦e≦150である。
【0069】
化合物Gは、1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH及び/又は≡SiR単位(ここで、Rはカルビノール基である)を有するオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGであって、式(I)及び(II)の構造より成る群から選択されるのが好ましい。
【化9】

【化10】

ここで、
i、j、k、l、m及びnは0以上の数であり、i+kは0より大きく、好ましくはmは0であり且つsは0であり、
o、p、q、r、s及びtは0以上の数であり、p+tは0より大きく、
MはR101112SiO1/2であり、
DはR1314SiO2/2であり、
RはRR15SiO2/2であり、
TはR16SiO3/2であり、
QはSiO4/2であり、
RはRR1718SiO1/2であり、
OHはR1920(OH)SiO1/2であり、
OHはR21(OH)SiO2/2であり、
RはC1〜C40カルビノール基であり、そして
記号R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は同一であっても異なっていてもよく、互いに独立してそれぞれが
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わす。
【0070】
成分Gとして本発明にとって特に好適なものは、次式の化合物である。
【化11】

ここで、1≦f≦1200、好ましくは1≦f≦500、さらにより一層好ましくは4≦f≦250である。
【0071】
別の局面に従えば、本発明は、分岐状ポリオルガノシロキサンL'又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL'を含む混合物であって、
◆液体の形にあること;
◆該分岐状ポリオルガノシロキサンL'又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL'を含む混合物の損失角δの正接(tanδ)(これは粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比である)が1より大きいこと;並びに
◆(1)次のもの:
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFと、
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH単位及び/又は≡SiR単位(ここで、RはC1〜C40カルビノール基である)を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGとを、
▲白金ベースの金属触媒である脱水素縮合触媒H、及び
▲随意としての1種以上の架橋抑制剤I
の存在下で、好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において、反応させ、その際、成分F及びGの性状及び量を、
(a)[反応性≡SiOH単位の数]:[反応性≡SiH単位の数]の比が1:3〜1:50の範囲となる
ように決定し、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する
ことによって得ることができるものであること:
を特徴とするものを提供する。
【0072】
分岐状ポリオルガノシロキサンL'及びL''の調製用に用いられる成分の説明は、本発明の方法について記載した通りである。
【0073】
上記の方法に従って得られる分岐状ポリオルガノシロキサンL'は、反応性≡SiH官能基を含有し、そして液体の形で存在するためシリコーンコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物X中において用いるのが容易であるという利点を有する。さらに脱水素縮合触媒Hとして白金ベースの金属触媒を用いることにより、驚くべきことに、はるかにより一層効果的なミスティング防止用添加剤を得ることができる。
【0074】
分岐状ポリオルガノシロキサンL'又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL'を含む混合物の調製方法の1つの好ましい態様に従えば、
・工程(1)の後に得られた反応生成物を好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において式CH2=CHRaの少なくとも1種の化合物と反応させ、その際、これら反応成分の量は好ましくは[反応性≡SiH単位の数]:[反応性CH2=CH−官能基の数]の比が1:1以下となるように選択され、
・また、Raはハロゲン、水素、C1〜C60炭化水素基、C1〜C60ポリエステル基、C1〜C60ニトリル基、C1〜C60ハロアルキル基、1個以上のケイ素原子を含有する基、及びC1〜C60ポリエーテル基より成る群から選択される一価の基である。
【0075】
1つの有利な実施形態に従えば、前記分岐状ポリオルガノシロキサンL'又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL'を含む混合物は、平均式:
【化12】

を有するものであり、ここで、
a、c及びdは0より大きい数であり、
bは0以上であり、
cは0.5モル%<c<10モル%であり、
dは0.05モル%<d<9モル%であり、
D'はHR22SiO2/2であり、
TはR23SiO3/2であり、
MはR242526SiO1/2であり、
DはR2728SiO2/2であり;
さらにこの分岐状ポリオルガノシロキサンL'は残留単位DOH及び/又はTOHを10モル%まで含有することができ、ここで、
OHはR2930(OH)SiO1/2であり、そして
OHはR31(OH)SiO2/2であり;
記号R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30及びR31は同一であっても異なっていてもよく、互いに独立してそれぞれが
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わす。
【0076】
本発明はまた、分岐状ポリオルガノシロキサンL''又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL''を含む混合物であって、
◆該分岐状ポリオルガノシロキサンL''が少なくとも1個の反応性≡SiOH及び/又は≡SiR単位(ここで、Rはカルビノール基である)を有すること;
◆希釈剤J'又は溶剤J''によって随意に希釈した後に、液体の形にあること;
◆該分岐状ポリオルガノシロキサンL''又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL''を含む混合物の損失角δの正接(tanδ)(これは粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比である)が1より大きいこと;並びに
◆(1)次のもの:
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFと、
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH単位及び/又は≡SiR単位(ここで、RはC1〜C40カルビノール基である)を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGとを、
▲脱水素縮合触媒H、並びに
▲随意としての1種以上の架橋抑制剤I及び/又は1種以上の溶剤J
の存在下で、好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において、反応させ、その際、成分F及びGの性状及び量を、[反応性≡SiH単位の数]:[反応性≡SiOH単位及び/又は反応性≡Si−カルビノール単位の数]の比が1:1より小さく、好ましくは1:2より小さく、より一層好ましくは1:3〜1:50の範囲となるように決定し、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する
ことによって得ることができるものであること:
を特徴とする、前記分岐状ポリオルガノシロキサンL''又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL''を含む混合物にも関する。
【0077】
本発明の別の主題は、シリコーンコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物Xであって、
・重付加によって、脱水素縮合によって、重縮合によって、カチオンルートで若しくはフリーラジカルルートで架橋可能な少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA、及び/又は1種以上の粘着調節剤系K、及び/又は1種以上の架橋抑制剤D、及び/又は1種以上の架橋用有機ケイ素化合物B、及び/又は前記ポリオルガノシロキサンAに予定される反応のタイプに応じて選択される種類の1種以上の触媒若しくは光開始剤C、並びに
・前記の少なくとも1種のミスティング防止用添加剤E
を含む前記液状シリコーン組成物Xに関する。
【0078】
本発明の最後の主題は、可撓性支持体をシリコーンコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物Xでコーティングする時のミスティングを減らすための、上で規定したミスティング防止用添加剤Eの使用に関する。
【0079】
従って、本発明が、高速で作動するロールコーティング装置によって可撓性支持体(例えば紙、フィルム又はポリマーフィルム)をコーティングする時のミストの生成を抑制する手段であって、独創性があり、簡単で、経済的で、且つ信頼性があるものを提供することは、明らかである。実際の工業上の結果は、コーティングの品質に対して有害であるこのミスティング現象が発生することなく、運転速度をさらに高めることができるということである。本発明によって提供される制御手段はまた、可撓性支持体の少なくとも一方の面上に得ることが望まれる架橋したシリコーンコーティングの外観品質、被覆性、剥離特性及び機械的特性(剥がれ落ち)に影響を及ぼさないという無視できない利点をも有する。
【0080】
さらに、ミスティングの減少は、高速で作動するロールを用いた工業用シリコーンコーティング装置のそばに立つ人員にとっての衛生及び安全性の条件を有意に向上させる。
【実施例】
【0081】
以下の実施例は、本発明の特定実施形態を例示することを目的とするものであり、本発明の範囲をこれら実施形態に限定するものではない。
【0082】
(I)ミスティング防止用添加剤Eの調製:
【0083】
例1:
【0084】
100g当たり0.0597当量の≡SiOHを含有するシリコーンオイル29.8g、100g当たり0.4当量の≡SiHを含有するシリコーンオイル50g、Pt含有率10〜12%のKarstedtPt溶液16mg、及びエチニルシクロヘキサノール(ECH)抑制剤25.3mgを不活性雰囲気下において導入する。この混合物を、≡SiOH基の転化度(DC)が約95%になるまで、120℃において6時間加熱撹拌する。冷却後に、Ciba社から入手したIrgafos(登録商標)168を2.64mg添加する。得られた分岐状シリコーンオイルは、168mm2/秒の粘度を有し、100g当たり0.188当量の≡SiHを含有していた[SiH:SiOH比=11.2:1]。
【0085】
例2:
【0086】
100g当たり0.0597当量の≡SiOHを含有するシリコーンオイル436.4g、トルエン1020g及びIrCl(CO)(PPh3)2触媒80mgを不活性雰囲気下において導入する。この混合物中に、100g当たり0.4当量の≡SiHを含有するシリコーンオイル523.7gを周囲温度において2時間かけて流し込む。この反応混合物を、≡SiOH基のDCが約90%になるまで、さらに2.5時間撹拌する。揮発性成分をストリッピングした後に、得られた分岐状シリコーンオイルは、960mm2/秒の粘度を有し、100g当たり0.09当量のSiHを含有していた[SiH:SiOH比=8:1]。
【0087】
例3:
【0088】
100g当たり0.455当量の≡SiOHを含有するシリコーンオイル0.86g、100g当たり0.052当量の≡SiHを含有するシリコーンオイル80g、Pt含有率10〜12%のKarstedtPt溶液16mg及び(ECH)抑制剤25.7mgを不活性雰囲気下において導入する。この混合物を、≡SiOHのDCが約85%になるまで、120℃において6時間加熱撹拌する。冷却後に、Irgafos(登録商標)168を2.64mg添加する。得られた分岐状シリコーンオイルは、477mm2/秒の粘度を有し、100g当たり0.045当量の≡SiHを含有していた[SiH:SiOH比=10.6:1]。
【0089】
例4:
【0090】
100g当たり0.014当量の≡SiOHを含有するシリコーンオイル80g、100g当たり0.4当量の≡SiHを含有するシリコーンオイル10g、Pt含有率10〜12%のKarstedtPt溶液18mg及び(ECH)抑制剤33mgを不活性雰囲気下において導入する。この混合物を、≡SiOHのDCが約75%になるまで、120℃において6時間加熱撹拌する。冷却後に、Irgafos(登録商標)168を2.8mg添加する。得られた分岐状シリコーンオイルは、31000mm2/秒の粘度を有し、100g当たり0.028当量の≡SiHを含有していた[SiH:SiOH比=3.57:1]。
【0091】
例5:
【0092】
キシレン10g及びPt含有率10〜12%のKarstedtPt溶液18mgを不活性雰囲気下において導入する。この混合物を120℃において加熱撹拌し、次いでこの混合物中に、100g当たり0.014当量の≡SiOHを含有するシリコーンオイル65.5g及び100g当たり0.4当量のSiHを含有するシリコーンオイル24.4gを一緒に3時間かけて流し込む。この反応混合物を、≡SiOHのDCが約86%になるまで、120℃にさらに3時間加熱する。揮発性成分をストリッピングした後に、得られた分岐状シリコーンオイルは、11600mm2/秒の粘度を有し、100g当たり0.087当量の≡SiHを含有していた[SiH:SiOH比=10.63:1]。この生成物の実験式は、29Si−NMR及び1H−NMRで測定してMD52D'3.40.6Mだった。
【0093】
例6:(例5に対する比較例)
【0094】
比較として、式M0.71.23.3の樹脂9.2g、式D4の環状ポリシロキサン(オクタメチルシクロテトラシロキサン)164.4g、式M24のシリコーンオイル(テトラデカメチルヘキサシロキサン)16.6g及び式MD'50Mの≡SiH単位含有ポリシロキサン9.8gを、Tonsil(Sud-Chemie社より販売されているモンモリロナイト)の存在下で75℃において20時間再分散させることによって、例5のものと同様の実験式を有する分岐状シリコーンを調製した。濾過し、ストリッピングによって揮発性成分を除去した後に、得られた分岐状シリコーン生成物は、135mm2/秒の粘度を有していた。この生成物の実験式は、29Si−NMR及び1H−NMRで測定してMD67D'3.60.5Mだった。このポリマーの実験式は例5のポリマーについて記載したものに非常に近いことに注目すべきである。
【0095】
例7: 後の官能化
【0096】
100g当たり0.014当量の≡SiOHを含有するシリコーンオイル28.1g及びPt含有率10〜12%のKarstedtPt溶液26.3mgを不活性雰囲気下において導入する。この混合物を100℃に加熱撹拌し、次いで100g当たり0.4当量の≡SiHを含有するシリコーンオイル33.3g及び100g当たり0.014当量の≡SiOHを含有するシリコーンオイル78.8gを2時間かけて同時に流し込む。この反応混合物を次いで100℃にさらに2時間加熱する。この混合物を85℃に冷却し、次いでテトラデセン49gを添加する。この混合物を85℃に3時間加熱し、次いで冷却する。揮発性成分をストリッピングした後に、得られた分岐状シリコーンオイルは、2730mm2/秒の粘度を有し、100g当たり0.4ミリ当量の≡SiHを含有していた。
【0097】
例8:比SiH/SiOH=2/1
【0098】
100g当たり0.014当量の≡SiOHを含有するシリコーンオイル160.15g、Pt含有率10〜12%のKarstedtPt溶液300mg及び100g当たり0.4当量の≡SiHを含有するシリコーンオイル20gを不活性雰囲気下において導入する。この混合物を110℃に1.5時間加熱撹拌したが、ゲルの形成をもたらした。このことは、この物質がそのままで用いることはできずに、希釈剤や溶剤での希釈を必要とすることを意味する。
【0099】
損失角δの正接(tanδ)のパラメーター(=粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比)の測定:
【0100】
次の通りのレオメーターを用いて、2つの例について異なる振動数で粘弾性を測定した:Rheometric ARES/直径:50mm/円錐角/角度:0.04ラジアン/円錐平面間隔:53μm。得られた結果を下記の表にまとめる。
【0101】
【表1】

【0102】
(II)ミスティング防止用添加剤としての試験
【0103】
(I)において調製した分岐状シリコーンを、ミスティング防止用添加剤として試験した。観察された結果を、測定されたミスティング品質(mg/m3)として、又は異なるロール回転速度について、添加剤を用いて若しくは添加剤なしで測定したミスティングの比の形で、下記の表にまとめる。
【0104】
試験の説明
【0105】
高速で作動するロールコーティング装置で生成するミストを分析し且つ定量測定するために、再現性よく作動して900m/分を超える線速度で紙のウェブを搬送することができる実験室規模の2本ロール装置(フランス国グルノーブル所在のErmap社より入手)を用いた。その2本のロール(プレスロール、コーティングロール)は、10cmの直径を有する。プレスロールはゴムで被覆され、コーティングロールはクロムで被覆されている。コーティングロールは、2本のロールの速度が同期するようにダンベル形状にカットされている。プレスロールはモーターで駆動させることができ、一定圧力でコーティングロールと接触する。シリコーンコーティング液は、2本のロールの間隙中に直接注がれる。用いた液の量は。0.25ミリリットルである。
【0106】
次に、シリコーンポリマーA1(末端基がジメチルビニルシロキシ基でブロックされた粘度220mPa・sのポリジメチルシロキサン)と例4〜7に記載した生成物とをポリマー100重量部中に前記生成物2重量部の割合で混合することによって、様々な組成物を調製した。これらの組成物を、必要な時にはロール装置のバレル上で均質化させる。次いで、被検調製物を塗り広げたロール上で上記の回転システムを用いる。次いで、これらロールの回転速度を次第に高める。並行して、フランス国所在のITS社より販売されている粒子カウンターと称される測定装置をロールの間の接触点付近に置くことによって、ミストの密度を測定する。ミスト密度測定の結果は、所定測定速度における空気1m3当たりのシリコーンエーロゾルのmg数で表わされる。
【0107】
下記の表に、得られた結果をまとめる。
【0108】
【表2】

【0109】
これらの結果は、Ptをベースとする脱水素触媒を用いて調製した本発明に従う分岐状ポリマー(例4、5及び7)はイリジウムをベースとする脱水素触媒を用いて調製した本発明に従う分岐状ポリマー(例2)より3〜9倍高い活性を有することを示している。
【0110】
さらに、例5(本発明)と例6(比較例)との比較は、脱水素縮合反応によって得られた分岐状ポリマーが別の合成ルートによって得られた分岐状ポリマーより大いに優れたミスティング防止活性を有することを示している。
【0111】
【表3】

【0112】
紙支持体上のシリコーン剥離コーティングの調製
【0113】
次の物質を順次混合することによって、浴を得た:
・末端をジメチルビニルシロキシ基でブロックされた粘度220mPa・sのポリジメチルシロキサンシリコーンポリマー、
・本発明に従う添加剤(例2、4、5及び7)、
・ポリヒドロメチルシロキサンとポリジメチルシロキサンコポリマーとから成るオイルの混合物(これら2種のタイプのコポリマーは、トリメチルシロキサン基でブロックされたものである)、
・ジビニルテトラメチルジシロキサン中の溶液状のPt含有触媒(Karstedt触媒)。
【0114】
この混合物の割合は、最終浴中で、ビニル基の全モル数とヒドロシロキサン基の全モル数との間の比が1.75となり、白金濃度が110ppmになり、そしてエチニルシクロヘキサン−1−オール含有率が配合物の重量に対して約0.15重量%となるように、計算される。さらに、本発明に従うミスティング防止用添加剤は、末端をジメチルビニルシロキシ基でブロックされた粘度220mPa・sのポリジメチルシロキサンシリコーンポリマーに、配合物の総重量に対して2重量%の割合で、添加される。これらの浴を連続的に用いて、コーティングヘッドが4本の濡れたロールを供えたヘッドであるコーティング機によって「グラシン」紙支持体をコーティングする。このヘッドの下流で、約195℃の空気を循環させた乾燥機を用いて、前記シリコーンコーティングを130〜160℃の範囲の最大温度にすることによって、このシリコーンコーティングを硬化させる。
【0115】
上記の浴を連続的に用いてコーティングを実施した後に、コーティングの際のミストの減少に関して同等の結果が得られ、得られたコーティングは指触乾燥状態であり、剥離特性を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程:
(a)次の成分:
・重付加によって、脱水素縮合によって、重縮合によって、カチオンルートで又はフリーラジカルルートで架橋可能な少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA、
・随意としての1種以上の架橋用有機ケイ素化合物B、
・随意としての、前記ポリオルガノシロキサンAに予定される反応のタイプに応じて選択される種類の1種以上の触媒又は光開始剤C、
・随意としての1種以上の粘着調節剤系K、及び
・随意としての1種以上の架橋抑制剤D:
を含む、シリコーンコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物Xを調製する工程;並びに
(b)ロールコーティング装置によって可撓性支持体上に前記液状シリコーン組成物Xをコーティングする工程:
を含む、可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法であって、
工程(a)において前記液状シリコーン組成物Xに次の特徴を有するミスティング防止用添加剤Eを添加することを特徴とし、
前記ミスティング防止用添加剤Eの特徴が、
◆希釈剤J'又は溶剤J''によって随意に希釈した後に、液体の形にあること;
◆前記ミスティング防止用添加剤Eの損失角δの正接(tanδ)(これは粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比である)が1より大きいこと;並びに
◆(1)次のもの:
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFと、
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH単位及び/又は≡SiR単位(ここで、RはC1〜C40カルビノール基である)を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGとを、
▲1種以上の脱水素縮合触媒H、並びに
▲随意としての1種以上の架橋抑制剤I及び/又は1種以上の溶剤J
の存在下で、好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において、反応させ、その際、成分F及びGの性状及び量を、[反応性≡SiOH単位の数]:[反応性≡SiH単位の数]の比が1:1にならないように決定し、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する
ことによって得ることができるものであること:
である、前記ミスティング制御方法。
【請求項2】
前記ミスティング防止用添加剤Eが次の特徴:
◆希釈剤J'又は溶剤J''によって随意に希釈した後に、液体の形にあること;
◆前記ミスティング防止用添加剤Eの損失角δの正接(tanδ)(これは粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比である)が1より大きいこと;並びに
◆(1)次のもの:
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFと、
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH単位及び/又は≡SiR単位(ここで、RはC1〜C40カルビノール基である)を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGとを、
▲脱水素縮合触媒H(好ましくは白金ベースの金属触媒)、及び
▲随意としての1種以上の架橋抑制剤I
の存在下で、好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において、反応させ、その際、成分F及びGの性状及び量を、
(a)[反応性≡SiOH単位の数]:[反応性≡SiH単位の数]の比が1:1より小さく、好ましくは1:2より小さく、より一層好ましくは1:3〜1:50の範囲、さらにより一層好ましくは1:3〜1:15の範囲となる
ように決定し、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する
ことによって得ることができるものであること:
を有することを特徴とする、請求項1に記載の可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法。
【請求項3】
前記ミスティング防止用添加剤Eが次の平均式:
【化1】

を有し、ここで、
a、c及びdは0より大きい数であり、
bは0以上であり、
cは0.5モル%<c<10モル%であり、
dは0.05モル%<d<10モル%であり、
D'はHR22SiO2/2であり、
TはR23SiO3/2であり、
MはR242526SiO1/2であり、
DはR2728SiO2/2であり;
前記ミスティング防止用添加剤Eが残留単位DOH及び/又はTOHを10モル%まで含有することができ、ここで、
OHはR2930(OH)SiO1/2であり、そして
OHはR31(OH)SiO2/2であり;
記号R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30及びR31は同一であっても異なっていてもよく、互いに独立してそれぞれが
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わす、請求項2に記載の可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法。
【請求項4】
工程(1)において前記脱水素縮合触媒Hが白金ベースの金属触媒であり、そして
工程(1)の後に得られた反応生成物を好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において式CH2=CHRaの少なくとも1種の化合物と反応させ、その際、これら反応成分の量が好ましくは[反応性≡SiH単位の数]:[反応性CH2=CH−官能基の数]の比が1:1以下となるように選択され、
aがハロゲン、水素、C1〜C60炭化水素基、C1〜C60ポリエステル基、C1〜C60ニトリル基、C1〜C60ハロアルキル基、1個以上のケイ素原子を含有する基、及びC1〜C60ポリエーテル基より成る群から選択される一価の基であり、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する
ことを特徴とする、請求項2に記載の可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法。
【請求項5】
前記ミスティング防止用添加剤Eが分岐状ポリオルガノシロキサンL又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンLを含む混合物であり、このミスティング防止用添加剤Eが少なくとも1個の反応性≡SiOH及び/又は≡SiR単位(ここで、Rはカルビノール基である)を含有し、且つ次の特徴:
◆希釈剤J'又は溶剤J''によって随意に希釈した後に、液体の形にあること;
◆前記ミスティング防止用添加剤Eの損失角δの正接(tanδ)(これは粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比である)が1より大きいこと;並びに
◆(1)次のもの:
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFと、
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH単位及び/又は≡SiR単位(ここで、RはC1〜C40カルビノール基である)を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGとを
▲脱水素縮合触媒H、並びに
▲随意としての1種以上の架橋抑制剤I及び/又は1種以上の溶剤J
の存在下で、好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において、反応させ、その際、成分F及びGの性状及び量を、[反応性≡SiH単位の数]:[反応性≡SiOH単位及び/又は反応性≡Si−カルビノール単位の数]の比が1:1より小さく、好ましくは1:2より小さく、より一層好ましくは1:3〜1:50の範囲となるように決定し、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する
ことによって得ることができるものであること:
を有する、請求項1に記載の可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法。
【請求項6】
前記脱水素縮合触媒Hが白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、ホウ素、スズ又はイリジウムをベースとする金属触媒である、請求項1、2及び5のいずれかに記載の可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法。
【請求項7】
前記の1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有するオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFが一般式:
【化2】

{ここで、
u、y、w、x及びzは0以上の数であり、w+zは0より大きく、好ましくはyは0であり、
MはR123SiO1/2であり、
DはR45SiO2/2であり、
D'はHR6SiO2/2であり、
TはR7SiO3/2であり、
QはSiO4/2であり、
M'はHR89SiO1/2であり、
記号R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、互いに独立してそれぞれが
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わす}
を有する、請求項1、2及び5のいずれかに記載の可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法。
【請求項8】
前記オルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGが1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH及び/又は≡SiR単位(ここで、Rはカルビノール基である)を有し且つ式(I)及び(II):
【化3】

【化4】

{ここで、
i、j、k、l、m及びnは0以上の数であり、i+kは0より大きく、好ましくはmは0であり且つsは0であり、
o、p、q、r、s及びtは0以上の数であり、p+tは0より大きく、
MはR101112SiO1/2であり、
DはR1314SiO2/2であり、
RはRR15SiO2/2であり、
TはR16SiO3/2であり、
QはSiO4/2であり、
RはRR1718SiO1/2であり、
OHはR1920(OH)SiO1/2であり、
OHはR21(OH)SiO2/2であり、
RはC1〜C40カルビノール基であり、そして
記号R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は同一であっても異なっていてもよく、互いに独立してそれぞれが
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わす}
の化合物より成る群から選択される、請求項1、2及び5のいずれかに記載の可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のミスティング防止用添加剤Eが添加されるシリコーンコーティングの前駆体となる前記液状シリコーン組成物Xが、
・重付加によって架橋可能な少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA、
・1種以上の架橋用有機ケイ素化合物B、
・1種以上の重付加反応触媒C1、
・随意としての1種以上の粘着調節剤系K、及び
・随意としての1種以上の架橋抑制剤D:
を含む、請求項1に記載の可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法。
【請求項10】
前記の重付加によって架橋可能なポリオルガノシロキサンAが式(III):
【化5】

の単位を有し且つ随意としてのその他の単位の少なくとも一部が平均式(IV):
【化6】

の単位であるものである
{これら式中、
Wはアルケニル基、好ましくはビニル又はアリルであり、
記号Zは同一であっても異なっていてもよく、
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わし、
aは1又は2、好ましくは1であり、
bは0、1又は2であり、
a+bは1、2又は3であり、そして
cは0、1、2又は3である}
ことを特徴とする、請求項9に記載の可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法。
【請求項11】
前記の架橋用有機ケイ素化合物Bが式(V):
【化7】

の単位を有し且つ随意としてのその他の単位の少なくとも一部が平均式(VI):
【化8】

の単位であるものである
{これら式中、
記号Lは同一であっても異なっていてもよく、
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わし、
cは0、1又は2であり、そして
gは0、1、2又は3である}
ことを特徴とする、請求項9に記載の可撓性支持体をコーティングする時のミスティングの制御方法。
【請求項12】
分岐状ポリオルガノシロキサンL'又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL'を含む混合物であって、
◆液体の形にあること;
◆該分岐状ポリオルガノシロキサンL'又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL'を含む混合物の損失角δの正接(tanδ)(これは粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比である)が1より大きいこと;並びに
◆(1)次のもの:
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFと、
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH単位及び/又は≡SiR単位(ここで、RはC1〜C40カルビノール基である)を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGとを、
▲白金ベースの金属触媒である脱水素縮合触媒H、及び
▲随意としての1種以上の架橋抑制剤I
の存在下で、好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において、反応させ、その際、成分F及びGの性状及び量を、
(a)[反応性≡SiOH単位の数]:[反応性≡SiH単位の数]の比が1:3〜1:50の範囲となる
ように決定し、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する
ことによって得ることができるものであること:
を特徴とする、前記分岐状ポリオルガノシロキサンL'又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL'を含む混合物。
【請求項13】
前記脱水素縮合触媒Hが白金ベースの金属触媒であり、
工程(1)の後に得られた反応生成物を好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において式CH2=CHRaの少なくとも1種の化合物と反応させ、その際、これら反応成分の量が好ましくは[反応性≡SiH単位の数]:[反応性CH2=CH−官能基の数]の比が1:1以下となるように選択され、また、Raはハロゲン、水素、C1〜C60炭化水素基、C1〜C60ポリエステル基、C1〜C60ニトリル基、C1〜C60ハロアルキル基、1個以上のケイ素原子を含有する基、及びC1〜C60ポリエーテル基より成る群から選択される一価の基である
ことを特徴とする、請求項12に記載の分岐状ポリオルガノシロキサンL'又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL'を含む混合物。
【請求項14】
平均式:
【化9】

を有し、ここで、
a、c及びdは0より大きい数であり、
bは0以上であり、
cは0.5モル%<c<10モル%であり、
dは0.05モル%<d<9モル%であり、
D'はHR22SiO2/2であり、
TはR23SiO3/2であり、
MはR242526SiO1/2であり、
DはR2728SiO2/2であり;
さらに残留単位DOH及び/又はTOHを10モル%まで含有することができ、ここで、
OHはR2930(OH)SiO1/2であり、そして
OHはR31(OH)SiO2/2であり;
記号R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30及びR31は同一であっても異なっていてもよく、互いに独立してそれぞれが
・1〜20個の炭素原子を有し且つ随意に少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換された直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基(このアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、オクチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルであるのが好ましい)、
・5〜8個の環炭素原子を有し且つ随意に置換されたシクロアルキル基、
・6〜12個の炭素原子を有し且つ随意に置換されたアリール基、並びに/又は
・アルキル部分が5〜14個の炭素原子を有し且つアリール部分が6〜12個の炭素原子を有し且つ随意にアリール部分上をハロゲン及び/若しくはアルキルで置換されたアラルキル基
を表わす、請求項12に記載の分岐状ポリオルガノシロキサンL'又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL'を含む混合物。
【請求項15】
分岐状ポリオルガノシロキサンL''又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL''を含む混合物であって、
◆該分岐状ポリオルガノシロキサンL''が少なくとも1個の反応性≡SiOH及び/又は≡SiR単位(ここで、Rはカルビノール基である)を有すること;
◆希釈剤J'又は溶剤J''によって随意に希釈した後に、液体の形にあること;
◆該分岐状ポリオルガノシロキサンL''又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL''を含む混合物の損失角δの正接(tanδ)(これは粘性モジュラス(G'')対弾性モジュラス(G')の比である)が1より大きいこと;並びに
◆(1)次のもの:
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiH単位を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーFと、
■1分子当たりに少なくとも1個の反応性≡SiOH単位及び/又は≡SiR単位(ここで、RはC1〜C40カルビノール基である)を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーGとを、
▲脱水素縮合触媒H、好ましくは白金ベースの金属触媒である脱水素縮合触媒H、並びに
▲随意としての1種以上の架橋抑制剤I及び/又は1種以上の溶剤J
の存在下で、好ましくは0℃〜200℃の範囲の温度において、反応させ、その際、成分F及びGの性状及び量を、[反応性≡SiH単位の数]:[反応性≡SiOH単位及び/又は反応性≡Si−カルビノール単位の数]の比が1:1より小さく、好ましくは1:2より小さく、より一層好ましくは1:3〜1:50の範囲となるように決定し、そして
(2)必要に応じて脱水素縮合触媒Hの除去及び/又は脱蔵及び/又は架橋抑制剤I'の添加の後に、ミスティング防止用添加剤Eを単離する
ことによって得ることができるものであること:
を特徴とする、前記分岐状ポリオルガノシロキサンL''又は少なくとも1種の分岐状ポリオルガノシロキサンL''を含む混合物。
【請求項16】
シリコーンコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物Xであって、
・重付加によって、脱水素縮合によって、重縮合によって、カチオンルートで若しくはフリーラジカルルートで架橋可能な少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA、及び/又は1種以上の粘着調節剤系K、及び/又は1種以上の架橋抑制剤D、及び/又は1種以上の架橋用有機ケイ素化合物B、及び/又は前記ポリオルガノシロキサンAに予定される反応のタイプに応じて選択される種類の1種以上の触媒若しくは光開始剤C、並びに
・請求項1〜15のいずれかに記載の少なくとも1種のミスティング防止用添加剤E
を含む、前記液状シリコーン組成物X。
【請求項17】
可撓性支持体をシリコーンコーティングの前駆体となる液状シリコーン組成物Xでコーティングする時のミスティングを減らすための、請求項1〜16のいずれかに記載のミスティング防止用添加剤Eの使用。

【公表番号】特表2009−526091(P2009−526091A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543843(P2008−543843)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069465
【国際公開番号】WO2007/068657
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(507421304)ブルースター シリコーン フランス (62)
【氏名又は名称原語表記】BLUESTAR SILICONES FRANCE
【住所又は居所原語表記】21,AVENUE GEORGES POMPIDOU F−69486 LYON CEDEX 03 FRANCE
【Fターム(参考)】