説明

ワイパブレード

【課題】ウインドガラスの払拭動作時におけるブレードラバーの傾きやねじれを抑制してワイパブレードの払拭性を向上させることができ、かつ、ブレードホルダとブレードラバーの組み付け作業をスムーズに行うことができるワイパブレードを提供する。
【解決手段】ワイパブレード10は、ヘッド部13aと、ウインドガラスに接触するリップ部13bと、ヘッド部13aとリップ部13bの間に位置する連結部とを備えるブレードラバー13と、長手方向の両端部にヘッド部13aを保持する保持部16を備え、アーム連結部15においてワイパアーム4に連結されるブレードホルダ12とを有する。そして、保持部16はそれぞれ連結部を挟んで対向する一対の保持爪を備え、ブレードラバー13の連結部の保持爪に挟まれる部位は、その幅が他の部位より広い幅広部となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパアームの先端に取り付けられて車両のウインドガラスを払拭するワイパブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車やバス、トラックなどの車両にはフロントウインドガラスやリアウインドガラスに付着した雨、雪、虫、前車の飛沫等を拭き取って運転者の視界を確保するためにワイパブレードが設けられている。ワイパブレードは車両のワイパアームの先端に取り付けられ、ワイパアームがワイパモータにより駆動されることによりウインドガラスの下端の下反転位置とガラス面上の上反転位置との間を揺動してガラス面を払拭する。
【0003】
このようなワイパブレードとしては、長手方向の両端部にそれぞれ保持部が設けられたブレードホルダをワイパアームに取り付け、板バネ部材が装着されたブレードラバーを各保持部においてブレードホルダに装着することにより、ワイパアームからの押さえ力を長手方向に離れた各保持部の2カ所からブレードラバーに加えて、ブレードラバーのガラス面に対する分布圧を均一化させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−231499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図12に示すように、前記したような従来のワイパブレード110では、ブレードラバー113の幅方向W(ウインドガラスに平行でかつ短手方向)の大きさが当該ブレードラバー113を保持するブレードホルダ112の保持部116の内寸に比べて若干小さく形成されていた。また、ブレードラバー113の厚み方向H(ウインドガラスに垂直な方向)の大きさについても、当該ブレードラバー113を保持するブレードホルダ112の保持部116の内寸に比べて若干小さく形成されていた。これは、ブレードラバー113とブレードホルダ112を組み付ける際に、板バネ部材114を装着した状態のブレードラバー113を、ブレードホルダ112の長手方向から2つの保持部116に順次挿入して装着するため、ブレードラバー113の大きさが保持部116に対してある程度の余裕を持った状態でないと、組み付け作業ができないか非常に煩雑になるためである。
【0005】
しかしながら、前記したようなワイパブレード110では、ブレードラバー113をブレードホルダ112によりしっかりと固定することができないため、ウインドガラスの払拭動作を開始してブレードラバー113に払拭抵抗が加えられると、図13に示すように、ブレードラバー113が保持部116の中で必要以上に傾いてしまったり、ねじれたりすることがあった。特に、反転位置で反転動作を行う際に傾きやねじれが生じやすく、このため、正常な払拭動作が行えず、拭き残しやジャダー(振動)、異音等を生じ、ワイパブレードの払拭性が低下する場合があった。
【0006】
本発明の目的は、ウインドガラスの払拭動作時におけるブレードラバーの傾きやねじれを抑制してワイパブレードの払拭性を向上させることができ、かつ、ブレードホルダとブレードラバーの組み付け作業をスムーズに行うことができるワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のワイパブレードは、車両に揺動可能に取り付けられるワイパアームの先端に取り付けられ、車両のウインドガラスを払拭するワイパブレードであって、ヘッド部と、前記ウインドガラスに接触するリップ部と、前記ヘッド部と前記リップ部の間に位置する連結部とを備えるブレードラバーと、長手方向の両端部に前記ヘッド部を保持する保持部を備え、アーム連結部において前記ワイパアームに連結されるブレードホルダとを有し、前記保持部はそれぞれ前記連結部を挟んで対向する一対の保持爪を備え、前記ブレードラバーの前記連結部の前記保持爪に挟まれる部位は、その幅が他の部位よりも広い幅広部となっていることを特徴とする。
【0008】
本発明のワイパブレードは、前記ブレードラバーの前記幅広部の幅は一対の前記保持爪間の幅以上となっていることを特徴とする。
【0009】
本発明のワイパブレードは、前記ブレードラバーの前記幅広部の幅は一対の前記保持爪間で最大幅となっていることを特徴とする。
【0010】
本発明のワイパブレードは、前記ブレードラバーの前記連結部は他の部位から前記幅広部に向けて徐々に幅が広がるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のワイパブレードは、前記ブレードラバーの前記ヘッド部の前記保持部により保持される部位は、その厚みが他の部位より厚い肉厚部となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ブレードホルダの2つの保持部はそれぞれ、ブレードラバーの連結部を挟んで対向する一対の保持爪を有しており、ブレードラバーの連結部における保持爪により挟まれる部位は、その幅が他の部位より広い幅広部となっているため、ブレードラバーがブレードホルダの保持部の中でガタつくことがなくしっかり固定される。このため、ウインドガラスの払拭動作時におけるブレードラバーの傾きやねじれを抑制し、拭き残しやジャダー(振動)、異音等の生じない正常な払拭動作を行うことができる。この結果、ワイパブレードの払拭性を向上させることができる。
【0013】
しかも、ブレードラバーの連結部における幅広部は、ブレードホルダの保持部に対応する部分にのみ形成されており、他の部位は幅が狭くなっているため、ブレードラバーとブレードホルダの組み付け時に、ブレードラバーをブレードホルダの長手方向から2つの保持部に順次挿入して装着する際には、ほとんど抵抗なくブレードラバーをブレードホルダに挿入することができる。これにより、ブレードホルダとブレードラバーの組み付け作業は支障なくスムーズに行うことができる。
【0014】
また、本発明によれば、ブレードラバーの連結部における幅広部の幅が、ブレードホルダの保持部における一対の保持爪間の幅以上となっているため、各保持爪により連結部を把持して、ブレードラバーをブレードホルダの保持部で確実に固定することができる。
【0015】
また、本発明によれば、ブレードラバーの連結部における幅広部の幅が、ブレードホルダの保持部における一対の保持爪間で最大幅となっているため、ブレードホルダとブレードラバーの組み付け時に支障を来たす部位を極力少なくし、効率よくブレードラバーをブレードホルダの保持部で固定することができる。
【0016】
また、本発明によれば、ブレードラバーの連結部が、他の部位から幅広部に向けて徐々に幅が広がるように形成されているため、ブレードホルダとブレードラバーの組み付け時に幅広部もスムーズにブレードホルダに挿入することができ、ブレードホルダとブレードラバーの組み付け作業をよりスムーズに行うことができる。
【0017】
また、本発明によれば、ブレードラバーのヘッド部におけるブレードホルダの保持部で保持される部位の厚みが他の部位より厚い肉厚部となっているため、ブレードホルダの保持部に対して、ブレードラバーの連結部における幅広部でブレードラバーを幅方向(ウインドガラスに平行でかつ短手方向)に固定すると共に、当該肉厚部でブレードラバーを厚み方向(ウインドガラスに垂直な方向)に固定することができ、ブレードラバーをブレードホルダの保持部でより確実に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施の形態であるワイパブレードを備えたワイパ装置の概略を示す説明図であり、図1に示す車両1にはフロントウインドガラス2(以下、ウインドガラス2とする)に付着した雨や前車の飛沫等を拭き取って運転者の視界を確保するためにワイパ装置3が設けられている。このワイパ装置3は運転席側と助手席側の2本のワイパアーム4を備えており、各ワイパアーム4はその基端部においてワイパ軸5に固定されている。各ワイパ軸5は車両1に揺動自在に支持されるとともにリンク機構6を介してワイパモータ7に連結されており、ワイパモータ7が作動するとワイパアーム4は所定の範囲で揺動する。
【0020】
ワイパアーム4の先端にはそれぞれワイパブレード10が取り付けられており、これらのワイパブレード10はワイパアーム4から押さえ力を加えられた状態でウインドガラス2に弾圧的に接触している。そして、ワイパモータ7が作動してワイパアーム4が揺動すると、各ワイパブレード10はガラス面上の払拭範囲2aを揺動してウインドガラス2を払拭する。
【0021】
図2は本発明の一実施の形態であるワイパブレードを示す斜視図である。このワイパブレード10は、車体に揺動自在に支持されるワイパアーム4の先端に揺動自在に取り付けられるブレードホルダ12と、ブレードホルダ12に保持されるブレードラバー13とを有しており、ブレードラバー13はブレードホルダ12を介してワイパアーム4の押さえ力が加えられることによりウインドガラス2に弾圧的に接触している。
【0022】
図3は図2に示すA−A線に沿う断面図であり、図4は図2に示すB−B線に沿う断面図である。また、図5は図4に示すC−C線に沿う断面図であり、図6は図5に示す幅広部と保持爪との係合部分の詳細を示す断面図であり、図7は図4に示すD−D線に沿う断面図である。
【0023】
ブレードラバー13は天然ゴム又は合成ゴム等の弾性材料により形成されており、図3及び図4に示すように、ヘッド部13aと、ウインドガラスに接触するリップ部13bと、ヘッド部13aとリップ部13bの間に位置し双方を連結する連結部13cとを備えた長手方向に一様断面の略棒状に形成されている。リップ部13bは連結部13cやリップ部13bよりも払拭方向の幅が狭く形成されたネック部13dを介して連結部13cに連結されており、これにより、リップ部13bはヘッド部13a及び連結部13cに対して払拭方向に傾動自在とされている。
【0024】
ヘッド部13aの払拭方向の両側部には、それぞれが払拭方向に凹む装着溝13eが形成されている。これらの装着溝13eは、それぞれがヘッド部13aの長手方向の一端から他端に達するように長手方向に伸びて形成されており、それぞれの装着溝13eは隔壁部13fにより互いに隔離された状態で払拭方向に並べて配置されている。そして、これらの装着溝13eにはバーティブラとも称される板バネ部材14が組み込まれている。
【0025】
板バネ部材14は鋼板等の板材を打ち抜き加工することによりブレードラバー13と同程度の長さ寸法の平板状に形成されており、ウインドガラスに垂直な方向に弾性変形自在となっている。従って、板バネ部材14が組み込まれたブレードラバー13は板バネ部材14と一体的にウインドガラスに垂直な方向つまりガラス面に対する湾曲度を変化させる方向に弾性変形自在とされている。また、板バネ部材14は自然状態ではそのウインドガラスに垂直な方向に向けてウインドガラスの曲率よりも強く湾曲しており、これにより、板バネ部材14が組み込まれたブレードラバー13もウインドガラスから離れた状態ではウインドガラスよりも強く湾曲している。
【0026】
なお、本実施の形態においては、鋼板により形成された板バネ部材14を用いているが、これに限られず、例えば硬質の樹脂等により形成された板バネ部材等、ウインドガラスに垂直な方向に弾性変形自在なものであれば、他の材料により形成された板バネ部材を用いても良い。
【0027】
ブレードホルダ12は樹脂材料により天壁部12aと一対の側壁部12bとを備えた断面略コ字状に形成され、その長さ寸法はブレードラバー13の半分程度とされている。図2に示すように、天壁部12aの長手方向のほぼ中間部にはアーム連結部15が設けられており、ブレードホルダ12はこのアーム連結部15においてワイパアーム4の先端に連結され、取り付けられる。このアーム連結部15は、ワイパブレード10を車両に搭載したときに車両の前方側、つまり、車室内から離れた位置に配置されるブレードホルダ12の前壁面12cに設けられている。
【0028】
図2に示すように、ブレードホルダ12の長手方向の両端部には保持部16,16が設けられており、図3から図6に示すように、これらの保持部16はそれぞれ側壁部12bと一体に形成される一対の保持爪17,17を有している。これらの保持爪17,17はブレードラバー13の長手方向に直交し、かつ払拭方向に平行な方向に向けて側壁部12bから突出する断面矩形の突起状に形成されており、互いにその先端部を対向させるように配置されている。
【0029】
一方、ヘッド部13aとリップ部13bとの間つまり連結部13cの両側部には、それぞれ上下をアーム部13gとヘッド部13aとにより区画されて、一対の保持溝18,18が設けられている。これらの保持溝18,18は当該ブレードラバー13の長手方向に沿って伸びるとともに連結部13cを挟んで払拭方向に並べて配置されており、各保持爪17,17は当該連結部13cを挟むように、それぞれ対応する保持溝18,18に係合するようになっている。これにより、図4に示すように、ブレードラバー13のヘッド部13aは、保持爪17と天壁部12aと両側壁部12bとの間に挟み込まれて保持部16,16により保持される。
【0030】
ここで、図4、図5及び図6に示すように、ブレードラバー13の連結部13cの各保持部16,16に対応する部位にはそれぞれ幅広部13h,13hが設けられており、各保持部16,16は対応する幅広部13h,13hにおいてブレードラバー13を保持するようになっている。図6に示すように、ブレードラバー13の連結部13cの大部分の部位の幅寸法w1は保持爪17,17間の幅w2よりも狭く形成され、当該連結部13cの各保持爪17,17により挟まれる部位は前記した幅広部13h,13hとなってその幅寸法w3は他の部位の幅寸法w1よりも広くされている。これにより、各保持爪17,17の先端部とブレードラバー13の連結部13cとの間の隙間を小さくして、ブレードラバー13を保持部16の中でガタつくことがなくしっかりと固定することができる。このため、ウインドガラス2の払拭動作時におけるブレードラバー13の傾きやねじれを抑制し、拭き残しやジャダー(振動)、異音等の生じない正常な払拭動作を行うことができる。
【0031】
しかも、幅広部13hは連結部13cの各保持部16,16に対応する部分のみに形成され、他の部位は幅広部13hより幅が狭くなっているので、ワイパブレード10の製造時におけるブレードラバー13とブレードホルダ12の組み付け時に、ブレードラバー13をブレードホルダ12の長手方向から2つの保持部16,16に順次挿入して装着する際には、ほとんど抵抗なくブレードラバー13をブレードホルダ12に挿入することができる。これにより、ブレードホルダ12とブレードラバー13の組み付け作業は支障なくスムーズに行うことができる。
【0032】
また、本実施の形態では、前記したブレードラバー13の連結部13cにおける幅広部13hの幅は、ブレードホルダ12の保持部16における一対の保持爪17,17間の幅以上(さらに詳しくは、保持爪17,17間の幅と丁度同じか若干広い幅)に形成されている。これにより、ブレードラバー13をブレードホルダ12の保持部16の保持爪17,17間で確実に固定することができる。
【0033】
さらに、前記したブレードラバー13の連結部13cにおける幅広部13hの幅は、ブレードホルダ12の保持部16における一対の保持爪17,17間で最大幅となるように形成されている。すなわち、連結部13cの他の部位は、幅広部13hよりも確実に幅が狭くなるため、2箇所の幅広部13h以外の連結部13cは、ブレードホルダ12への組み付け挿入時に、保持爪17を含むブレードホルダ12の内壁等に引っ掛かったり、必要以上の圧力を受けたりすることがない。これにより、ブレードホルダ12とブレードラバー13の組み付け時に支障を来たす部位を極力少なくし、効率よくブレードラバー13をブレードホルダ12の保持部16で固定することができる。
【0034】
またさらに、ブレードラバー13の連結部13cは、幅の狭い他の部位から幅広部13hに向けて徐々に幅が広がる、すなわち幅広部13hに向けて緩やかに無段階的に幅が広がり幅広部13hからは緩やかに無段階的に幅が狭くなるように形成されている。このため、ブレードホルダ12とブレードラバー13の組み付け時に幅広部13hもスムーズにブレードホルダ12に挿入することができ、ブレードホルダ12とブレードラバー13の組み付け作業をよりスムーズに行うことができる。
【0035】
また、図4及び図7に示すように、本実施の形態のブレードラバー13は、前記したような連結部13cにおける幅方向の変化に加えて、ヘッド部13aにおけるブレードホルダ12の保持部16で保持される部位の厚みが他の部位より厚い肉厚部13iとなっている。これにより、ブレードホルダ12の保持部16に対して、ブレードラバー13の連結部13cにおける幅広部13hでブレードラバー13を幅方向W(ウインドガラスに平行でかつ短手方向)に固定すると共に、当該肉厚部13iでブレードラバー13を厚み方向H(ウインドガラスに垂直な方向)に固定することができ、ブレードラバー13をブレードホルダ12の保持部16でより確実に固定することができる。
【0036】
なお、ブレードラバー13のヘッド部13aの肉厚部13iは、ヘッド部13aがブレードホルダ12の保持部16に接触する付近のみに形成されており、他の部位は肉厚部13iより厚みが薄くなっている。このため、ワイパブレード10の製造時におけるブレードラバー13とブレードホルダ12の組み付け時に、ブレードラバー13をブレードホルダ12の長手方向から2つの保持部16,16に順次挿入して装着する際には、ほとんど抵抗なくブレードラバー13をブレードホルダ12に挿入することができる。これにより、ブレードホルダ12とブレードラバー13の組み付け作業は支障なくスムーズに行うことができる。
【0037】
また、本実施の形態では、前記したブレードラバー13のヘッド部13aにおける肉厚部13iの厚みは、ブレードホルダ12の保持部16における上下の内壁の厚み以上(さらに詳しくは、内壁の厚みと丁度同じか若干厚い厚み)に形成されている。これにより、ブレードラバー13をブレードホルダ12の保持部16の内壁で確実に固定することができる。
【0038】
さらに、前記したブレードラバー13のヘッド部13aにおける肉厚部13iの厚みは、ブレードホルダ12の保持部16で最大厚みとなるように形成されている。すなわち、ヘッド部13aの他の部位は、肉厚部13iよりも確実に厚みが薄くなるため、2箇所の肉厚部13i以外のヘッド部13aは、ブレードホルダ12への組み付け挿入時に、保持部16を含むブレードホルダ12の内壁等に引っ掛かったり、必要以上の圧力を受けたりすることがない。これにより、ブレードホルダ12とブレードラバー13の組み付け時に支障を来たす部位を極力少なくし、効率よくブレードラバー13をブレードホルダ12の保持部16で固定することができる。
【0039】
またさらに、ブレードラバー13のヘッド部13aは、厚みの薄い他の部位から肉厚部13iに向けて徐々に厚みが厚くなる、すなわち肉厚部13iに向けて緩やかに無段階的に厚みが厚くなり肉厚部13iからは緩やかに無段階的に厚みが薄くなるように形成されている。このため、ブレードホルダ12とブレードラバー13の組み付け時に肉厚部13iもスムーズにブレードホルダ12に挿入することができ、ブレードホルダ12とブレードラバー13の組み付け作業をよりスムーズに行うことができる。
【0040】
このように、このワイパブレード10では、ブレードラバー13はブレードホルダ12の両端部に設けられる保持部16,16の2点においてしっかりと確実に保持されるようになっている。従って、ワイパアーム4からの押さえ力がアーム連結部15を介してブレードホルダ12に加えられると、その押さえ力はブレードホルダ12の両端部分からブレードラバー13に加えられ、これにより、ブレードラバー13は弾圧的にウインドガラスに接触する。各保持部16においては、ブレードホルダ12の側壁部12bによりヘッド部13aの装着溝13eが閉塞され、これにより、装着溝13eに装着される各板バネ部材14は装着溝13e内に保持される。
【0041】
図2に示すように、ブレードラバー13の両先端部分には樹脂製のキャップ19が装着されており、このキャップ19によりブレードラバー13の先端部分を覆って板バネ部材14の先端部を装着溝13e内に保持するようにしている。
【0042】
本実施の形態では、図3に示すように、ブレードホルダ12の天壁面12dつまりウインドガラス2に対向する面の反対面には、風受け部としてのフィン20がブレードホルダ12の長手方向に沿って設けられている。また、車両1の前方側に配置されるアーム連結部15の前壁面15aには、車両1の後方側に配置されるアーム連結部15の後壁面15bに向けて上向きに傾斜する取付部側風受け部21がブレードホルダ12の長手方向に沿って設けられている。また、図2及び図4に示すように、ブレードホルダ12の車両1前方側の前壁面12cには、ブレードホルダ12の後壁面12fに向けて上向きに傾斜する前壁側風受け部22がブレードホルダ12の長手方向に設けられている。
【0043】
前記したフィン20、取付部側風受け部21、前壁側風受け部22が風を受けると、その風力によりブレードラバー13がウインドガラスに向けて押圧されることにより、ブレードラバー13とウインドガラスとの密着性が増し、払拭性の向上を図ることができる。
【0044】
また、図3に示すように、フィン20とアーム連結部15との間に、フィン20に沿って流れる気流が通過し得る溝状の凹部23がアーム連結部15の背面側に形成される。ウインドガラス2の払拭時にワイパアーム4によってワイパブレード10を揺動させることによりワイパブレード10の長手方向が車幅方向から車両1の前後方向に向けて傾いた場合、フィン20に沿って流れる気流は凹部23を通じて車両1後方に流れアーム連結部15に衝突することによる気流の乱れが生じにくいので、ワイパブレード10の浮き上がりを抑制することができ、払拭性の向上を図ることができる。
【0045】
図8から図10は他の実施の形態であるワイパブレードを示す斜視図である。なお、図8及び図9において、図2から図7に示す部材と共通する部材については同一の番号を付して重複した説明を省略する。なお、図9は図8に示すE−E線に沿う断面図であり、図10は図8に示すカバーの斜視図である。
【0046】
図8に示すワイパブレード30においては、ブレードホルダ12の両端部にカバー31を装着してワイパブレード10の外観品質の向上を図っている。図9及び図10に示すように、カバー31は天壁部31aと一対の側壁部31bとを有する断面略コ字状に形成され、ブレードホルダ12と結合するための一部が開口したカバー取付部33が一方の端部に形成されている。カバー31の長手方向の両端部にはそれぞれブレードホルダ12と同様の図示されない保持爪が形成される。そして、これらの保持爪を連結部13cに係合させることにより、カバー31はブレードホルダ12に対してウインドガラス2に垂直な方向に揺動可能な状態でブレードラバー13に装着され、ブレードラバー13の端部を覆うことになる。
【0047】
図9に示すように、ブレードホルダ12の天壁部12aにはブレードラバー13に向けて伸びる係合凸状部12eが一体として設けられており、この係合凸状部12eにはカバー取付部33の開口部分が係合される。つまり、ブレードラバー13のヘッド部13aは保持爪17とカバー取付部33と天壁部12aと両側壁部12bとの間に挟み込まれており、これによりヘッド部13aは保持部16により保持されている。
【0048】
なお、カバー31の保持爪17の位置に当たる連結部13cは、前記した実施の形態の連結部13cにおけるブレードホルダ12の保持部16の保持爪17の位置の幅広部13hと同様の幅広部(図示略)となっている。このようにすることで、カバー31とブレードラバー13とをしっかりと固定することができる。
【0049】
また、カバー31の保持爪17の位置に当たるヘッド部13aを、前記した実施の形態のヘッド部13aにおけるブレードホルダ12の保持部16の位置の肉厚部13iと同様の肉厚部としても良い。このようにすることで、さらに、カバー31とブレードラバー13とをしっかりと固定することができる。
【0050】
なお、カバー31の装着方法としては、保持爪を連結部13cに係合させる構造に限らず、例えば、保持爪に代えてカバー31のブレードホルダ12側の一端に係合突起を設け、ブレードホルダ12の端部にカバー31に向けて開口する係合孔を設け、係合突起にゴムカバーを装着した状態で係合孔に係合させることにより、カバー31をブレードホルダ12の端部に揺動自在に装着するようにしても良い。
【0051】
ブレードラバー13がウインドガラスに接触した状態になると、カバー31の天壁部31aの外面はブレードホルダ12の天壁部12aに面一となり、また、カバー31の側壁部31bはそれぞれに対応するブレードホルダ12の側壁部12bと面一になる。従って、ブレードホルダ12にカバー31を装着することにより、ブレードホルダ12からカバー31に至るまでの形状の一体感が増し、このワイパブレード30の外観品質の向上を図ることができる。
【0052】
カバー31の天壁面31cには、フィンとも称されるカバー側風受け部32がカバー31の長手方向に沿って設けられている。このカバー側風受け部32が風を受けると、ブレードラバー13がウインドガラスに向けて押圧されるようになっている。すなわち、図8に示すワイパブレード30においては、風を受けたときにブレードラバー13をウインドガラスに向けて押圧することになる各フィン20〜22に加えてカバー側風受け部32が設けられ、払拭性の向上が図られている。また、フィン20に沿ってワイパブレード10の長手方向に流れる気流の抜けを良くする凹部23が設けられることにより、払拭性の向上が図られている。
【0053】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更である。例えば、ブレードラバー13の連結部13cにおける保持爪17,17間の部位が幅広部13hとなる代わりに、図11に示すように、保持爪17,17間における連結部13cに、幅方向Wに向けて1又は複数の突起13jが設けられて、ブレードラバー13を保持部16に固定するようになっていても良い。また、ブレードホルダ12の保持部16におけるブレードラバー13のヘッド部13aの厚み方向Hの大きさ(厚み)が肉厚部13iとなる代わりに、図11に示すように、ヘッド部13aの下面(上面又は上下面でも可)に、厚み方向Hに向けて1又は複数の突起13kが設けられて、ブレードラバー13を保持部16に固定するようになっていても良い。さらに、図11に示すように、突起13jと突起13kの両方が設けられていても良い。
【0054】
また、本発明は、タンデム式、対向払拭式等、様々なタイプのワイパ装置に用いられるワイパブレードに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態であるワイパブレードを備えたワイパ装置の概略を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態であるワイパブレードを示す斜視図である。
【図3】図2に示すA−A線に沿う断面図である。
【図4】図2に示すB−B線に沿う断面図である。
【図5】図4に示すC−C線に沿う断面図である。
【図6】図5に示す幅広部と保持爪との係合部分の詳細を示す断面図である。
【図7】図4に示すD−D線に沿う断面図である。
【図8】他の実施の形態であるワイパブレードを示す斜視図である。
【図9】図8に示すE−E線に沿う断面図である。
【図10】図9に示すカバーの斜視図である。
【図11】図2に示すワイパブレードの変形例を示す断面図である。
【図12】従来のワイパブレードにおけるブレードホルダの保持部の様子を示す断面図である。
【図13】図12に示すワイパブレードにおいてブレードラバーが保持部の中で傾いてしまった状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 車両
2 フロントウインドガラス
2a 払拭範囲
3 ワイパ装置
4 ワイパアーム
5 ワイパ軸
6 リンク機構
7 ワイパモータ
10 ワイパブレード
12 ブレードホルダ
12a 天壁部
12b 側壁部
12c 前壁面
12d 天壁面
12e 係合凸状部
12f 後壁面
13 ブレードラバー
13a ヘッド部
13b リップ部
13c 連結部
13d ネック部
13e 装着溝
13f 隔壁部
13g アーム部
13h 幅広部
13i 肉厚部
13j 突起
13k 突起
14 板バネ部材
15 アーム連結部
15a 前壁面
15b 後壁面
16a 保持部
16b 保持部
17 保持爪
18 保持溝
19 キャップ
20 フィン
21 取付部側風受け部
22 前壁側風受け部
23 凹部
30 ワイパブレード
31 カバー
31a 天壁部
31b 側壁部
31c 天壁面
31d 前壁面
31e 後壁面
32 カバー側風受け部
33 カバー取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に揺動可能に取り付けられるワイパアームの先端に取り付けられ、車両のウインドガラスを払拭するワイパブレードであって、
ヘッド部と、前記ウインドガラスに接触するリップ部と、前記ヘッド部と前記リップ部の間に位置する連結部とを備えるブレードラバーと、
長手方向の両端部に前記ヘッド部を保持する保持部を備え、アーム連結部において前記ワイパアームに連結されるブレードホルダとを有し、
前記保持部はそれぞれ前記連結部を挟んで対向する一対の保持爪を備え、前記ブレードラバーの前記連結部の前記保持爪に挟まれる部位は、その幅が他の部位よりも広い幅広部となっていることを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
請求項1記載のワイパブレードにおいて、前記ブレードラバーの前記幅広部の幅は一対の前記保持爪間の幅以上となっていることを特徴とするワイパブレード。
【請求項3】
請求項1または2記載のワイパブレードにおいて、前記ブレードラバーの前記幅広部の幅は一対の前記保持爪間で最大幅となっていることを特徴とするワイパブレード。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記ブレードラバーの前記連結部は他の部位から前記幅広部に向けて徐々に幅が広がるように形成されていることを特徴とするワイパブレード。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記ブレードラバーの前記ヘッド部の前記保持部により保持される部位は、その厚みが他の部位より厚い肉厚部となっていることを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−114746(P2008−114746A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300353(P2006−300353)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】