説明

ワイヤボンディング方法、回路装置及び回路装置パッケイジ方法

【課題】マルチチップモジュール構造を有する回路装置の低背化、機能向上、小型化、システム化が可能なワイヤボンディング方法、回路装置及び回路装置パッケイジ方法を提供する。
【解決手段】絶縁膜被覆ワイヤを用いたボンディング方法は、絶縁膜被覆ワイヤの自由端である始端に対して、ボール220を形成するステップ(a)と、この形成されたボールを用いて第1ボンディングを行うステップ(b)と、絶縁膜被覆ワイヤの第1ボンディングを行った部分の被覆の除去を行うとともに絶縁膜被覆ワイヤの終端に対する第2ボンディングを行う部分の被覆の除去を行うステップ(c)と、第2ボンディングを行うステップ(d)とを備える。本発明の回路装置はこのような絶縁膜被覆ワイヤを用いたボンディング方法を利用して作製されたものである。第2ボンディングについても、ボールの形成および被覆の除去を行ってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁膜被覆ワイヤを用いたボンディング方法およびこれを用いて作製された回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、DVC(Digital Video Cassette)、DSC(Digital Still Camera)といったポータブルエレクトロニクス機器の高機能化が加速する中で、こうした製品が市場で受け入れられるためには小型・軽量化が必須となっている。また、その実現のために高集積のシステムLSIが求められている。
【0003】
一方、これらのエレクトロニクス機器に対しては、より使いやすく便利なものが求められており、機器に使用されるLSIに対し、高機能化、高性能化が要求されている。このため、LSIチップの高集積化にともないそのI/O(入出力)数が増大する一方でパッケイジ自体の小型化要求も強い。これらを両立させるために、半導体部品の高集積な基板実装に適合した半導体・基板パッケイジの開発が強く求められている。こうした要求に対応するため、CSP(Chip Size Package)と呼ばれるパッケイジ技術が種々開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1は、基板の上に搭載された半導体チップの上に、別の半導体チップがパッケイジ化された半導体パッケイジがさらに搭載されたマルチチップモジュール構造の回路装置が開示されている(特許文献1の図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2005−209882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の回路装置では、半導体パッケイジに設けられた電極と基板に設けられた電極との接続がワイヤによってなされているため、ワイヤの折り返しに必要な厚さ分が回路装置の厚さを厚くせざるを得ない。このため、回路装置の低背化または小型化に制約が生じていた。
【0007】
上記接続に用いられるワイヤは、芯線を露出した非絶縁体(導体)である。また、接合パッドは、非絶縁ワイヤが短絡を起こさずに使用できる位の十分大きいギャップでチップの入力および出力が分離されなければならないことを必要とする。また、非絶縁ワイヤの使用は、ワイヤの相対的に大きなギャップを必要とし、かつ、短絡を回避するための接合ワイヤパターンにおける配置制限を必要する。そのような大きなギャップの必要性は、微細化に反すると共に、アッセンブル装置の速度や効率性を減じる不必要に長い回路長を必要とする。
【0008】
最近では、それゆえに、絶縁膜(絶縁性)被覆ワイヤの使用が提案されている。しかしながら、絶縁膜被覆ワイヤは、通常の方法では、接合することができない。
【0009】
図2に、絶縁膜被覆ワイヤの従来の接合方法を説明する。2点間のワイヤの接合は、まず、長尺のワイヤの自由端の接合である第1ボンドを形成し、ついで、非自由端側の接合である第2ボンドを形成する。通常のボール・ウエッジボンディングでは、絶縁膜被覆ワイヤ127aに、電気的な絶縁破壊のポテンシャルを超える放電アーク426の電気エネルギーを印加することによって、キャピラリ430を貫通したワイヤの自由端は溶かされ、絶縁体は破壊され、適切なボールが形成される。形成されたボールは、接合パッド122のパッド表面上に超音波溶接される。すなわち、リード127a,127bと接合パッド122との接合は、超音波接合によって行われる。
【0010】
図2に示したように、絶縁膜被覆ワイヤの従来の接合方法では、絶縁膜が電気エネルギーで焼け焦がされ、被覆残渣212が残り、絶縁体の品質が保証されない。また、通常のリード127a,127bと接合パッド122との接合は、超音波接合のみでは、同じく被覆残渣212が残り、絶縁の品質が保証されない課題があった。
【0011】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、マルチチップモジュール構造を有する回路装置の低背化、機能向上、小型化、システム化が可能なワイヤボンディング方法、回路装置及び回路装置パッケイジ方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、回路装置は、絶縁膜被覆ワイヤの芯線端部に形成されたボールに確実にツールを押し付けボンディングできるワイヤボンディング方法、回路装置及び回路装置パッケイジ方法を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、特定の構成のボンディング装置を用いた高信頼性のワイヤボンディング方法、回路装置及び回路装置パッケイジ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ワイヤボンディング方法、すなわち半導体や電子部品の組立て、基板への取り付け等、接合対象が微小・微細な接合方法で、半導体チップの電極部とリードフレーム及び基板上の導体等を細いワイヤを用いて接続する方法を提供するものであり、ワイヤボンディングの位置が、絶縁膜被覆ワイヤを使用し、かつ、被覆残渣を除去するので、絶縁の品質が保証されるため、回路装置の低背化または薄型化が可能になる。
より具体的には次のような態様をとりうる。
(1)本発明のボンディング方法は、絶縁膜被覆ワイヤを用いたボンディング方法であって、前記絶縁膜被覆ワイヤの自由端である始端に対して、ボールを形成するステップと、このボールを用いて第1ボンディングを行うステップと、前記絶縁膜被覆ワイヤの前記第1ボンディングを行った部分の被覆の除去を行うとともに、前記絶縁膜被覆ワイヤの終端に対する第2ボンディングを行う部分の被覆の除去を行うステップと、前記第2ボンディングを行うステップとを備えたことを特徴とする。
【0015】
(2)上記(1)記載のボンディング方法において、前記第1および第2ボンディングは、導電性キャピラリを使用した電気トーチにより行うことを特徴とする。
【0016】
(3)上記(1)記載のボンディング方法において、前記ボールの形成を行う前に、前記絶縁膜ワイヤの所定の位置を放熱クランプで保持するステップを備えたことを特徴とする。
【0017】
(4)本発明の他のボンディング方法は、絶縁膜被覆ワイヤを用いたボンディング方法であって、前記絶縁膜被覆ワイヤの自由端である始端に対して、ボールを形成するとともに被覆の除去を行うステップと、前記始端に対する第1ボンディングを行うステップと、前記絶縁膜被覆ワイヤを所望の長さで切断するステップと、前記絶縁膜被覆ワイヤのカットされた側の自由端である終端に対して、ボールを形成するとともに被覆の除去を行うステップと、前記終端に対する第2ボンディングを行うステップとを備えたことを特徴とする。
【0018】
(5)上記(4)記載のボンディング方法において、前記絶縁膜被覆ワイヤの始端および終端のボールの形成および被覆の除去は水素トーチを用いて行うことを特徴とする。
【0019】
(6)上記(4)または(5)記載のボンディング方法において、予め定められた前記絶縁膜被覆ワイヤの水素トーチの挿入量と被覆溶け上がり量との関係から、前記水素トーチの挿入量を制御することにより、規定量以内の被覆の溶け上がりを得ることを特徴とする。
【0020】
(7)上記(4)〜(6)のいずれかに記載のボンディング方法において、前記第1および第2ボンディングをサーモソニックボンディングで行うことを特徴とする。
【0021】
(8)本発明による回路装置は、複数の半導体チップを搭載し、前記半導体チップ同士の接続端子間を絶縁膜被覆ワイヤを用いたワイヤボンディングで接続した第1の配線板と、複数の半導体チップを搭載し、前記半導体チップ同士の接続端子間を絶縁膜被覆ワイヤを用いたワイヤボンディングで接続した第2の配線板とを備え、前記第1および第2の配線板のそれぞれの接続端子間を絶縁膜被覆ワイヤを用いたワイヤボンディングで接続したことを特徴とする。
【0022】
(9)上記(8)に記載の回路装置において、前記半導体チップ内部においても、複数の接続端子間を絶縁膜被覆ワイヤを用いたワイヤボンディングで接続したことを特徴とする。
【0023】
(10)上記(8)に記載の回路装置において、前記半導体チップの複数の接続端子の間で交差接続を行ったことを特徴とする。
【0024】
(11)上記(8)に記載の回路装置において、第1の配線板上の個別配線用端子から第2の配線板に接続するための前記第1の配線板上の配線板間コネクタ端子へのバックプレーン配線を有することを特徴とする。
【0025】
(12)上記(8)〜(11)のいずれかに記載の回路装置において、前記配線板において斜め45°配線により、配線を行った絶縁膜被覆ワイヤを有することを特徴とする。
【0026】
(13)上記(8)〜(12)のいずれかに記載の回路装置において、前記第1および第2ボンディングがなされた絶縁膜被覆ワイヤは配線板の表面に接着されたことを特徴とする。
【0027】
(14)上記(13)に記載の回路装置において、加熱電極付ボンディングツールにより、所定の超音波振動および押圧力をもって、前記絶縁膜被覆ワイヤを前記配線板に接着したことを特徴とする。
【0028】
(15)上記(8)〜(14)のいずれかに記載の回路装置において、複数の前記絶縁膜被覆ワイヤを使用して基板間を接続する基板間可動ケーブルを形成したことを特徴とする。
【0029】
(16)上記(8)〜(15)のいずれかに記載の回路装置において、1つの接続端子に対する1つの絶縁膜被覆ワイヤの既接合ボールに対して他の絶縁膜被覆ワイヤの新たなボールを接合して積層した積層接続部を有することを特徴とする。
【0030】
(17)本発明の回路装置のパッケイジ方法は、上記(4)に記載のボンディング方法を用いて配線板上に搭載された回路素子の配線を行った後、当該回路素子を封止部材で被覆することを特徴とする。
【0031】
本発明にいう配線板とは、配線を有する基板をいい、後述する「基板」、「プリント基板」の他、「インタポーザ」等も含みうる。また、本発明にいう接続端子とは、広く、配線が接続される端子をいい、後述する「パッド」「ボンディングパッド」「電極パッド」「電極引き出し用パッド」「接合パッド」「接続端子」「個別配線用端子」「コネクタ端子」「接続用主端子」「外部接続用主端子」「プリント基板端子」「電極」等を含みうる。
【発明の効果】
【0032】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば以下のような効果を奏することができる。
【0033】
上記の態様において、ワイヤボンディング方法(すなわち半導体や電子部品の組立て、基板への取り付け等、接合対象が微小・微細な接合方法で、半導体チップの電極部とリードフレーム及び基板上の導体等を細いワイヤを用いて接続する方法)において、ワイヤボンディングの位置が、絶縁膜被覆ワイヤを使用し、かつ被覆の残渣を除去するので、絶縁の品質が保証され、回路装置の低背化または薄型化が可能になる。
【0034】
すなわち、絶縁膜被覆ワイヤを使用することにより、更に電極引き出し用のパッドにワイヤを積層することで、電極パッド数を最小化できる。その結果、回路装置に与える効果として次のような格別な効果が得られる。
(A)チップの複数のボンディングパッドの間の交差接続を行うことができ、回路装置の設計の自由度を損なうことなくフリップチップを用いてパッケイジオンパッケイジによる三次元実装を可能とし、機器設計の自由度が向上する。
(B)プリント基板やパッケイジ、インタポーザの構造を簡素化できるため、相対的に高密度化に伴う基板コストの増大を招くことなく、機器の小型化や薄型化、コスト低減が可能となる。機器内のデータ転送速度の高速化は機器内配線数の増加を招き、プリント基板やインタポーザの多層化が避けられないが、本発明によって基板の層数、配線数を減らすことができる。
(C)個別配線用端子から他方の基板間コネクタ端子へのバックプレーン配線により、導通穴(スルーホール)がなくなることで、配線長を短縮化でき、プリント基板やインタポーザの多層化が避けられる。
(D)基板間可動ケーブルにより、コネクタやケーブルが不要になり、着脱/可動部の接続信頼性が向上する。
(E)ユーザニーズの多様化に対応して、基本の機能を最小限として必要と考える機能を機能追加方式の機能モジュールを可能にした回路装置を提供する。
(F)電極引き出し用パッドに複数本ワイヤを接続できるため、電極引き出し用パッドのために必要なスペースを増大させることがない。
(G)均一の直径のワイヤを信号線に用いるため信号線のばらつきが少なく、安定した特性インピーダンスを有するプリント基板を提供できることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の回路装置の実施例の機能構成図である。
【図2】従来の被覆線ボールボンディングの関係を示す図である。
【図3】本実施例に係わる半導体装置の構造の断面図である。
【図4】半導体チップのクロス配線を示す説明図である。
【図5】樹脂封止によるワイヤ流れを示す説明図である。
【図6】キャピラリ寸法、ワイヤ径によるパッド間隔の決定要因を示す図である。
【図7】絶縁膜被覆ワイヤの電気トーチによるボール形成を示す説明図である。
【図8】電気トーチの放電電源回路を示す説明図である。
【図9】ワイヤ長さと放電電圧の関係を示す説明図である。
【図10】本実施例の絶縁膜被覆ワイヤのボール・ウエッジボンディングを示す説明図である。
【図11】本実施例の絶縁膜被覆ワイヤのボール・ウエッジボンディングのフローを示す説明図である。
【図12】本実施例の回路装置の任意の位置において、配線の切断、接続を行い、回路を変更することにより、回路装置を修正する方法を示す方式の説明図である。
【図13】チップの複数のボンディングパッドの間の交差接続を行う、または基板の複数のリードの間の交差接続、および個別配線用端子から他方の基板間コネクタ端子へのバックプレーン配線の関係を示す説明図である。
【図14】本実施例の斜め配線の説明図である。
【図15】本実施例における供試被覆ワイヤ、および供試基板の仕様を示す説明図である。
【図16】本実施例による絶縁膜被覆ワイヤの接合ボール形成を示す説明図である。
【図17】本実施例による絶縁膜被覆ワイヤの水素トーチの挿入量と被覆溶け上がり量との関係を示す図およびグラフである。
【図18】挿入量により所望の溶け上がり量以内に被覆除去し、ボール径を所望量以内に制御する方法の説明図である。
【図19】本実施例によるサーモソニックボンディング接合後の積層絶縁膜被覆ワイヤボンディング状況を示す図である。
【図20】本実施例によるボール・ボールボンディングを行うための被覆ワイヤボンディング装置における第1ボンディングのサーモソニックボンディング状況を示す図である。
【図21】本実施例による第1ボンディング後のワイヤカットの状況を示す図である。
【図22】本実施例による第2ボンディングにおける被覆除去・ボール形成の状況を示す図である。
【図23】本実施例による第2ボンディングを示す図である。
【図24】本実施例による個別配線用端子から他方の基板間コネクタ端子へのバックプレーン配線の関係を示す説明図である。
【図25】本実施例による個別配線用端子から他方の基板間コネクタ端子へのバックプレーン配線の布線状況を示す説明図である。
【図26】本実施例による個別配線用端子から他方の基板間コネクタ端子へのバックプレーン配線の布線のための接着条件を示す説明図である。
【図27】本実施例の斜め配線およびクロス配線を示す説明図である。
【図28】本実施例による基板間可動ケーブルを示す説明図である。
【図29】本実施例によるボンディングツールの昇降タイミングと高周波加熱、超音波印加及び接着印加タイミングの関係を示すタイムチャートである。
【図30】本実施例による機能追加方式回路装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
本実施の形態は、絶縁膜被覆ワイヤを使用することにより、チップの複数のボンディングパッドの間の交差接続を行う、または基板の複数のリードの間の交差接続を行うことができるようにするためのものである。ボンディングパッドとは、金属配線が露出された部分であって、半導体チップの内部に集積化された回路パターンを半導体チップの外部に連結するための通路としての端子である。
【実施例1】
【0038】
図1を参照して、本発明の回路装置の実施例1を説明する。
【0039】
図1は、本実施例の回路装置1の構成図である。この回路装置1は、プリント基板200として、半導体チップ100を搭載した複数の接着剤付基板(接着剤付絶縁基板)250間を基板間可動ケーブル300で相互に接続した構成を有する。本発明における基板間可動ケーブルとは、細いケーブルを複数、平面状に束ねて、帯のようにしたフラットケーブルをいう。
【0040】
一般に、回路装置では、複雑化・高速化に伴い、機器内配線数の増加を招き、プリント基板やインタポーザの多層化が避けられない他、配線のインピーダンス管理も複雑になり、更に、多数のコネクタを使用することになる。本実施例において、半導体チップ100間の接続距離を短縮できる構造10は、半導体チップ間の配線である。これにより、交差接続を避けるための中継インタポーザを配置することなく、チップの複数のボンディングパッドの間の交差接続を行うことができる。バックプレーン配線は、半導体チップとコネクタ間の配線であり、従来、ワイヤを使用し、X方向とY方向に布線されている。本実施例のバックプレーン配線20では、斜め配線の最短配線が可能である。
【0041】
また、接着剤付基板250に対して接着剤付配線202の側面がほぼその全長に亘って接着接合されており、ワイヤ配線の高さを低減することができる。さらに、基板内への導通穴(スルーホール)がなくなり、プリント基板やインタポーザの多層化が避けられる。
【0042】
接着剤付配線202の布線は、接着剤付基板250に接着接合ができるため、配線を案内するガイドピンを設ける必要がなく、プリント基板の配線数を減らすことができる。よって、その分、微細化しにくいパッド領域も減じられ、半導体チップ面積を縮小化できる。なお、必ずしも接着剤付基板250と接着剤付配線202の両方を接着剤付とする必要はなく、その一方のみを接着剤付としても良い。
【0043】
通常、複数の基板間は、両方のエッジコネクタに対して、可動部ケーブルを有する脱着部コネクタにより、相互の接続を行っている。これに対して、本実施例では、コネクタ部(コネクタ端子)301に接合ボール(または圧着ボール)208によるボール・ボールボンディングによる基板間可動ケーブル300を接続する構成とする。これにより、コネクタやケーブルが不要になり、通常のコネクタやケーブルでは、機械的な抜き差しや折り曲げを長時間行うと接続信頼性が低下することがあるが、本実施例の基板間可動ケーブル300では、着脱することがなく、可動部は、折り曲げが自由であり、接続信頼性が向上できる。
【0044】
本実施例では、ボード間の実装を例に示しているが、これらを組み合わせた電子機器システムとして構成しても良い。
【0045】
図2で示したように、従来のボール・ウエッジボンディングでは、絶縁膜被覆ワイヤの絶縁膜が電気エネルギーで焼け焦がされ、被覆残渣212が残り、絶縁体の品質が保証されない。また、リードと接合パッドとの接合についても、超音波接合のみでは、同じく被覆残渣が残り、絶縁の品質が保証されない課題があった。
【0046】
図3に半導体チップ100の構造の一例を示す。インタポーザと称される主基板121には、複数の接続用主端子122が配置され、その裏面には複数の外部接続用主端子123が配置されている。そして、接続用主端子122は所望の外部接続用主端子123と内部接続されている。配線127aが、半導体チップ115の表面端子130と主基板121の所望の接続用主端子122との間で、ワイヤボンディングにより接続されている。このような回路装置では、半導体パッケイジに設けられた電極と基板に設けられた電極との接続がワイヤによってなされているため、通常、ワイヤの折り返しに必要な厚さ分だけ回路装置の厚さを厚くせざるを得ない。このため、回路装置の低背化または小型化に制約が生じるという問題があった。これに対して本実施例では、後述するように、圧着ボール208と圧着ボール208を絶縁膜被覆ワイヤ202で接続することにより、内蔵IC270同士の表面端子116を接続し、回路装置の低背化、または小型化ができるための構成を有する。
【0047】
図4は、内蔵IC270の絶縁膜被覆ワイヤ127aのクロス配線を示す説明図である。図示のように、チップの複数のボンディングパッドの間の交差接続295を行うことができる。これは、回路装置の設計の自由度を損なうことなく、三次元実装を可能とするものである。更に前述したように、圧着ボール208と図示しない接合ボールを絶縁膜被覆ワイヤ127aで接続することにより、内蔵IC270同士の表面端子116を接合していることを、片側のみを拡大して図示している。圧着ボール208は絶縁膜被覆ワイヤ127aの芯線127’の先端部に形成される。
【0048】
図5は、絶縁膜被覆ワイヤ127bでの図示しない主封止材の樹脂封止によるワイヤ流れを示す説明図である。サブ半導体チップ126の表面端子125と主基板の接続用主端子122との接続は、絶縁膜被覆ワイヤ127bで行われるため、ワイヤ同士が接触していても短絡することなく、短絡を回避するための設計上の、接合ワイヤパターンにおけるループ高さHや表面端子間のピッチPなどの配置制限条件を回避できる。すなわち、ループ高さが高いと、ワイヤの自重が重くなるため、ワイヤが倒れてしまう。そのため、ループの高さは、100μm〜250μmが限界である。また、上から見た平面図の接続用主端子122のピッチPが端子が接触しない程度まで接近しても、主封止部材128の樹脂封止の際の流動状態でも、ワイヤを構成する導線が樹脂膜で被覆されているため、ワイヤ同士が接触しても短絡する問題は生じない。
【0049】
図6は、キャピラリ430の先端径T、キャピラリ角度α、ワイヤ径d、ループ高さH、ボール高さhによるパッド間隔Pの決定要因を示す図である。式(1)から、パッド間隔Pは、キャピラリ先端形状、ワイヤ径dとボールサイズ、ループ高さ、ボンディングの位置精度がその決定要因となっていることが分かる。具体例としては、T=φ152μm,α=10°,H=250μm,h=25μm,d=φ30μmの場合、P=111μmとなる。高密度実装化に当たり、キャピラリ先端径Tおよびキャピラリ角度αを狭小化することになるが、この結果、キャピラリの損傷を招くことになり、ワイヤの細線化もワイヤの耐久性が損なわれ、パッド間隔の狭小化がますます困難であることを示している。なお、図6中、Dは圧着ボールの直径を表している。
【数1】

【実施例2】
【0050】
図7は、絶縁膜被覆ワイヤ127aの電気トーチ411によるボール形成を示す説明図である。上述したように、通常のワイヤボンディング装置では被覆残渣212が発生し、絶縁の品質が保証されない課題があった。以下ではこのような被覆残渣を有効の除去する方法を説明する。
【0051】
図8を参照して、本発明の回路装置のパッケイジ方法の実施例2を説明する。
【0052】
図8は、本実施例の電気トーチ411の放電電源回路405を示す説明図である。導電性キャピラリ430を採用する。ワイヤ長さは長さ計471により測定し、その測定値に基づいて放電電圧の値を変えられる構成になっている。放電電源回路405は、可変コンデンサ52を有する。可変コンデンサ52は、コンデンサ51の充電と放電電流の供給ができる。放電電源回路405は、さらに、可変コンデンサ52の充電のトリガースイッチ機能を与えるサイリスタ54と、このサイリスタ54と直列な可変抵抗53とを有する。集電ブラシ55は、アーク電源5の陽極側に装着されており、回転スプール460に電気的に接続されている。ローラ470は、ワイヤ127aを繰り出すよう機能する。長さ計471は、ローラ470の軸上に装着されており、供給するワイヤ127aの長さを測長しながら、ワイヤ長さを減算している。この長さ計471に接続された減算カウンタ472に基づいて、可変抵抗53の抵抗値を変えている。
【0053】
図9は、ワイヤ長さXと放電電圧Yとの関係を示す説明図である。ワイヤ長さXにより、放電電圧Yを式(2)によって変えられるようになっている。
【数2】

ここで、Xは、1スプールのワイヤの長さである。これはワイヤの使われ始めの長さは例えば500mである。放電電圧Yは、ワイヤの長さXと比例関係にある。式(2)は、減算カウンタ472で測長した長さ分だけ放電電圧Yが変化するように、可変抵抗53の抵抗値を変えるようになっている。
【0054】
図10は、本実施例の半導体被覆ワイヤボンダー400による絶縁膜被覆金線ワイヤ(ホルマール系)のボール・ウエッジボンディング方法を示す説明図である。まず、図10(a)に示すように、導電性キャピラリ430を使用し、電気トーチ411により、ボール220を形成する。ついで図10(b)に示すように、ワイヤの始端(自由端)について第1ボンディングを行う。次に図10(c)に示すように、第1ボンディング後のワイヤについて、所定の箇所でその被覆の除去を行う。その後、図10(d)に示すように、第1ボンディングされたワイヤの始点からワイヤのルーピングおよびその終端を対象とする第2ボンディングを行う。
【0055】
図11は、図10のボール・ウエッジボンディング方法の処理手順を表したフロー図である。S500では、導電性キャピラリ430を使用し、電気トーチ411により、ボール220を形成する。S502では、始端を対象とする第1ボンディングを行う。S504では、ルーピング前に、電気トーチ411’により、第1ボンディングした部分の被覆の除去、および、第2ボンディングを行う部分の被覆の除去を行う。続くS506では、ルーピングおよび終端を対象とする第2ボンディングを行う。S508では、図10(a)に示したように、被覆の溶け上がり防止のためのキャピラリ直下に放熱クランプ440を設けて放熱し、被覆の溶け上がり量を所望の長さに設定することができる。被覆の除去は、電気トーチ411’を用いて行うことができる。このようなステップは繰り返して実行される。なお、図11に示した各ステップの実行順は可能な範囲で適宜変更することが可能である。
【実施例3】
【0056】
図12を参照して、本発明の回路装置の実施例3を説明する。
【0057】
図12は、本実施例の回路装置の任意の位置において、配線の切断、再接続を行い、回路を変更することにより、回路装置を修正する方法を示す説明図である。図12(a)は修正前の構成を示す断面図、図12(b)は修正後の構成を示す断面図である。
【0058】
プリント基板200の外部接続用主端子123またはプリント基板端子132において、テスト用プローブ134により、内部配線断線部210が検出されると、エキシマレーザビーム135によって、プリント基板端子132をパターンカットし、補修配線202で補修配線を行う。本実施例の受動・能動部品内蔵基板構造は、究極の3次元実装に近い。これらの部品は、本実施例の接合ボール・ボールボンディングにより、圧着ボール208を介して、当該部品の接続端子201に絶縁膜被覆ワイヤ127aをワイヤボンディングするものである。主封止部材128を使用することにより、樹脂部材とSIチップとの熱膨張差による信頼性の低下を防ぎ、内部応力発生を緩和している。本実施例では、ワイヤのループ高さがゼロであり、回路部品の低背化ができるための構造を有している特徴がある。これにより、ユーザニーズの多様化に対応して、基本の機能を最小限として必要と考えられる機能を有しながら、ユーザが搭載を要望する内蔵IC−a270または内蔵IC−b270’、内蔵抵抗260、内蔵コンデンサ280、などで構成し、カスタマイズすることができる。すなわち、このような機能追加方式の機能モジュールを実現することができる構成の回路装置600が提供される。
【0059】
図13は、チップの複数のボンディングパッドの間の交差接続を行う、または基板の複数のリードの間の交差接続、および個別配線用端子から他方の基板間コネクタ端子301へのバックプレーン配線20の関係を示す説明図である。本実施例の接合ボールによるボール・ボールボンディングにより、圧着ボール208を介してパッドや端子301に絶縁膜被覆ワイヤ202をワイヤボンディングするものである。
【0060】
図14は、本実施例の斜め45°配線202の説明図である。図14の斜め配線により、45°斜め配線長/XY配線長×100=1.4b/2b×100=70%となる。これから、XY配線長に比べて、45°斜め配線長は、100%−70%=30%となり、配線長が30%短縮し、その結果として、ワイヤのコストは30%低減することが判明する。
【0061】
図15は、絶縁膜被覆ワイヤ、および供試基板の仕様を示す。絶縁膜被覆ワイヤとしては、金製の芯線にポリイミドの被覆を施したものである。具体的には、20〜100μmの芯線径、1〜15μm(好ましくは1〜10μm)の被覆膜厚、330℃の被覆耐熱温度、500℃の被覆耐軟化温度を有する。供試基板としては、セラミックス製の基材、タングステン製の導体、ニッケル製のメッキ下地、金製のメッキ表面を用いている。なお、供試基板はセラミックス製として示したが、これに限る必要はなく、一般の樹脂製プリント基板にも適用できる。ここで、絶縁膜被覆は、ポリイミドのみでなく、通常の絶縁膜であればよい。また、芯線は、金線のみでなく、銅線または、銅(Cu)コアにAu,Ag,Snコートされた複合ワイヤを用いることも可能である。
【0062】
図16は、本実施例による絶縁膜被覆ワイヤ202の接合ボール形成の方法を示す説明図である。まず、本実施例の絶縁膜被覆ワイヤとしてのポリイミドAu線の線材を供給し、ワイヤ先端から所定の距離の位置で、放熱クランプ440によりワイヤを保持する。次いで、放熱クランプ440により放熱しつつ、水素トーチ550の水素炎551をワイヤに近づけるように移動させて、ワイヤ先端部に照射し、被覆除去と接合ボール形成を同時に行う。このような方法により、被覆の溶け上がりを所定の長さ(例えば0.2mm)以内に被覆除去し、所望の径を有する接合ボール220を形成することができる。
【0063】
図17は、本実施例による絶縁膜被覆ワイヤの水素トーチの挿入量と被覆溶け上がり量との関係を示す図およびグラフである。挿入量xは、水素トーチのセンタ中心からの、絶縁膜被覆ワイヤ202の突き出し量の寸法である。
【0064】
図18は、挿入量xにより、ボール径を所望量以内に制御する方法の説明図である。図18の下のグラフは、挿入量xを0から0.6mmの範囲で変化させたときのボール220のボール直径d(μm)の変化を示している。このグラフは、挿入量xが大きいほどボール直径dも大きくなることを示している。この結果から、ボール径dを3σ(σ、すなわち標準偏差)で、±6μm以内に制御できることが判明した。図18に示す被覆溶け上がり量?は、ボールの付け根から被覆端部までの距離である。被覆溶け上がりは、水素トーチの燃焼エネルギーにより絶縁膜被覆が溶け上がるものである。ワイヤの根本方向へ伝わる熱の大部分が放熱クランプ440により放散されるため、放熱クランプ440の位置を水素トーチから所定の距離(図17の例では0.6mm)に位置させるとき、被覆溶け上がり量?は、挿入量xに応じてほぼ所望の溶け上がり量(例えば0.2mm)以内に被覆除去することができる。
【0065】
図19は、本実施例によるサーモソニックボンディング接合を行った圧着ボール208を段積みした状況を示している。この結果から、電極引き出し用パッドまたは接続端子201に絶縁膜被覆ワイヤ202を積層し、高密度配線ができることを示している。配線のときは、45°斜め配線することにより、図14で説明したように配線長が短縮化できる効果がある。また、電極引き出し用パッドまたは接続端子201上に重ねて複数本配線することができる。すなわち、複数本のワイヤを同一電極パッドに接続できるため、電極パッドの不要なスペースを増大させることがない。また、例えば、ワイヤボンディングが失敗しても、図示しないが、接合ボールだけを残し、配線を取り除いた後、残された接合ボールの上に、接合ボールを重ねて積層してボンディングすることもできる。
【実施例4】
【0066】
図20を参照して、本発明の回路装置の実施例4を説明する。
【0067】
図20は、本実施例によるボール・ボールボンディングを行うための被覆ワイヤボンディング装置500の構成例を示している。特に図20は、第1ボンディングのサーモソニックボンディング状況を示す図である。この図は、絶縁膜被覆ワイヤ202のボール形成された接合ボール220を接続端子201に接合していること示している。本実施例の被覆ワイヤボンディング装置500は、ボンディングには、加熱電極付ボンディングツール501を用いてサーモソニックボンディングを行い、超音波接合には、ホーン504、押え部品505、506、圧電素子508、ランジュバン振動子509、超音波電源514から構成されている超音波接合手段を使用する。サーモソニックボンディングとは、超音波振動を加えながら熱圧着を行う接合方法であり、加熱電極付ボンディングツール501の他に超音波接合手段を利用する。ワイヤ202の支持は、可動部510、ガイド560と連結された放熱クランプ440で行う。ワイヤ202の切断は、可動部510から突出可能なワイヤカッター540で行う。可動部510およびワイヤカッター540は、支持系512に支持され、モーター等の駆動源545により駆動される。接合ボール220の位置決めには、図示しない真空吸引手段により真空吸引533を使用する。ワイヤ202の供給は、スプール570からワイヤを繰り出すことにより行える構成になっている。
【0068】
図21は、本実施例による第1ボンディング後のワイヤカットの状況を示す図である。図20と同様の要素には同じ参照番号を付して、重複した説明は省略する。この段階では、第1ボンディング後のワイヤ202が必要な長さだけ繰り出されて、ワイヤカッター540で切断される様子を示している。
【0069】
図22は、本実施例による第2ボンディングにおける被覆除去・ボール形成の状況を示す図である。図20と同様の要素には同じ参照番号を付して、重複した説明は省略する。この段階において、絶縁膜被覆ワイヤ202のカットされた後端に対して、水素トーチ550によって、図16に示したように被覆除去および接合ボール220の形成を同時に行う。なお、図20に示した第1ボンディングにおける絶縁膜被覆ワイヤ202の始端の被覆除去および接合ボール220の形成も、同様に水素トーチ550で行うことができる。
【0070】
図23は、本実施例による第2ボンディングを示す図である。図20と同様の要素には同じ参照番号を付して、重複した説明は省略する。接合ボール220のボンディングには、加熱電極付ボンディングツール501を用いて行う。接合ボール220の位置決めには、真空吸引533を使用し、接合ボール220を保持しながら第2ボンディングを行う。
【0071】
図24は、本実施例による個別配線用端子から他方の基板間コネクタ端子へのバックプレーン配線の関係を示す説明図である。加熱電極付ボンディングツール501により、超音波振動25kHzで押圧し、ワイヤ202を接着剤付基板250に接着し、図示しないX−Yテーブルで布線し、バックプレーン配線を行う。その際、支持系513に支持されたモーターのような駆動源546により加熱電極付ボンディングツール501の昇降が制御される。(要素513,546は便宜上、図20〜図23では図示省略してある。)接着剤としては、日立化成のAS−U01を膜厚100μmで使用している。ボンディングツール501内の高周波加熱のためのヒータを構成する抵抗の制御は、コントローラ561から高周波電源575を制御し、高周波トランス565を介して行われる。
【0072】
図25は、本実施例による個別配線用端子201から他方の基板間コネクタ端子301へのバックプレーン配線の布線状況を示す説明図である。ワイヤ202を接着剤付基板250に接着し、他のワイヤに重ねてクロス配線している。ワイヤ202は、接着剤として、日立化成のHAW−2160Dを膜厚15μmの厚みのものを使用して、接着塗布しながら、布線している。
【0073】
図26は、本実施例による個別配線用端子201から他方の基板間コネクタ端子301へのバックプレーン配線の布線のための接着条件を示す説明図である。例1は、絶縁膜被覆ワイヤ202を接着剤付基板250に配線固定した状態を示している。例2は、この状態に対して、さらに、別の絶縁膜被覆ワイヤ202を重ねてクロス配線した状態を示している。接着条件の例としては、超音波振動の振動数は25KHz、押圧力は75gfで行い、接着剤付基板250の接着剤として、例えば日立化成AS−U01を使用し、膜厚100μmの厚みだけ、接着塗布している。
【0074】
図27は、本実施例のワイヤ202の斜め配線およびクロス配線を示す説明図である。一般的なプリント配線基板とは異なり、均一直径のワイヤを信号線に用いるため、信号線の寸法のばらつきが少なく、ワイヤ始終端以外に信号線途中の導通穴(ビア)218が不要となり、総配線長を短縮することができる。
【実施例5】
【0075】
図28を参照して、本発明の回路装置の実施例5を説明する。
【0076】
図28は、本実施例による基板間可動ケーブル300の構成例を示す説明図である。基板間可動ケーブル300は、ワイヤ322を使用し、その端部を圧着ボール208でコネクタ端子301に接続している。基板間可動ケーブル300により、従来のコネクタやケーブルが不要になり、着脱/可動部の接続信頼性が向上する回路装置が実現される。
【0077】
図29は、本実施例による被覆ワイヤボンディング装置500と、そのボンディングツール501の昇降タイミングと、高周波加熱、超音波印加および接着タイミングの関係を示すタイムチャートである。制御装置は、ボンディングツール501内の高周波加熱のためのヒータを構成する抵抗を、コントローラ561から高周波電源575を制御し、高周波トランス565を介して行う。制御装置は、さらに、モーターのような駆動源546の制御によりボンディングツール501のヘッドの昇降量を制御する。さらに、超音波電源514の制御によりボンディングツール501の超音波振動の印加タイミング、および、ヒータの制御によりボンディングツール501の発熱タイミングを制御する。なお、接着塗布による布線の場合は発熱しないで、超音波振動のみを印加する。
【実施例6】
【0078】
図30を参照して、本発明の回路装置の実施例6を説明する。
【0079】
図30は、本実施例によるコンデンサ、抵抗などの受動部品、およびICなどの能動部品を含む回路素子を内蔵した基板の構成を示す機能追加方式の機能モジュール回路装置600を示す図である。この回路素子内蔵基板構造は3次元実装に近い。これらの部品は、接合ボール・ボールボンディングにより、当該部品の接続端子201に絶縁膜被覆ワイヤ202aをその芯線202a’に形成した圧着ボール208でワイヤボンディングするものであり、その後、プリント基板200を反転296して、樹脂封止の際に封止部材128を使用することにより、樹脂中にコンデンサ280、内蔵抵抗260等の受動部品、またはICなどの能動部品を埋め込む。この構造は、樹脂部とSi(シリコン)との熱膨張差による内部応力の発生を緩和できるための構造であるため、信頼性の低下を防ぎ、内部応力発生を緩和することができる。また、ワイヤのループ高さがゼロであり、回路部品の低背化ができるための構成を有している。これにより、ユーザニーズの多様化に対応して、基本の機能を最小限として構成しつつ、必要と考える機能を有しながら、ユーザが搭載を要望する内蔵IC−a270、または内蔵IC−b270’、内蔵抵抗260、内蔵コンデンサ280などを構成し、ユーザニーズをカスタマイズできる。このようにして、機能追加方式の機能モジュール回路装置600を提供することができる。これにより、通常の多機能化回路装置のように、ユーザが希望しない機能を付加することにより回路装置がコスト高になるのを防止している。
【0080】
以上、本発明の実施の形態によれば次のような格別な効果が得られる。
【0081】
第1に、絶縁膜被覆ワイヤを用い、かつそのボンディングにおいて、被覆を除去することにより被覆残渣が残らず、絶縁体の品質を向上させることができる。また、絶縁被覆ワイヤの仕様により、チップの複数のボンディングパッドの間の交差接続を行うことができ、回路装置の設計の自由度を損なうことなくフリップチップを用いてパッケイジオンパッケイジによる三次元実装を可能とし、機器設計の自由度が向上する。
【0082】
第2に、プリント基板やパッケイジ、インタポーザの構造を簡素化できるため、相対的に高密度化に伴う基板コストの増大を招くことなく、機器の小型化や薄型化、コスト低減が可能となる。機器内のデータ転送速度の高速化は機器内配線数の増加を招き、プリント基板やインタポーザの多層化が避けられないが、本発明によって基板の層数、配線数を減らすことができる。
【0083】
第3に、個別配線用端子から他方の基板間コネクタ端子へのバックプレーン配線により、導通穴(スルーホール)がなくなることで、配線長を短縮化でき、プリント基板やインタポーザの多層化が避けられる。
【0084】
第4に、基板間可動ケーブルにより、コネクタやケーブルが不要になり、着脱/可動部の接続信頼性が向上する。
【0085】
第5に、ユーザニーズの多様化に対応して、基本の機能を最小限として必要と考える機能を有しながら、ユーザの要望する内蔵IC,抵抗、コンデンサなどの機能追加型の機能モジュール搭載することを可能にした回路装置を提供できる。
【0086】
第6に、電極引き出し用パッドに複数本ワイヤを接続できるため、電極引き出し用パッドのために必要なスペースを増大させることがない。
【0087】
第7に、均一の直径のワイヤを信号線に用いるため信号線のばらつきが少なく、安定した特性インピーダンスを有するプリント基板を提供できる。
また、図20の被覆ワイヤボンディング装置500によれば、第1ボンド側において、ワイヤの始端の被覆除去および接合ボール220の形成後、ワイヤを水平にした状態で始端のボンディングを行うことができる。これにより、第1ボンド側のループ高さを最低限とすることができる。
【符号の説明】
【0088】
回路装置
10 半導体チップ配線
20 バックプレーン配線
100 半導体チップ
123 外部接続用主端子
127a,127b ワイヤ(リードまたは配線)
128 主封止部材
132 プリント基板端子
134 テスト用プローブ
135 エキシマレーザビーム
200 プリント基板
201 接続端子
202 配線(ワイヤ)
208 接合ボール(圧着ボール)
210 内部配線断線部
218 導通穴(ビア)
250 接着剤付基板
260 内蔵抵抗
270,270’内蔵IC
280 内蔵コンデンサ
300 基板間可動ケーブル
301 コネクタ部(コネクタ端子)またはボンディングパッド
400 半導体チップ被覆ワイヤボンダー
405 放電電源
411 電気トーチ
426 放電アーク
430 キャピラリ
440 放熱クランプ
460 回転スプール
500 被覆ワイヤボンディング装置
501 加熱電極付ボンディングツール
504 ホーン
505,506 押え部品
508 圧電素子
509 ランジュバン振動子
510 可動部
512,513 支持系
514 超音波電源
533 真空吸引
540 ワイヤカッター
545,546 駆動源
550 水素トーチ
560 ガイド
561 コントローラ
565 高周波トランス
570 スプール
575 高周波電源
600 機能追加方式の機能モジュール回路装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜被覆ワイヤを用いたボンディング方法であって、
前記絶縁膜被覆ワイヤの自由端である始端に対して、ボールを形成するステップと、
この形成されたボールを用いて第1ボンディングを行うステップと、
前記絶縁膜被覆ワイヤの前記第1ボンディングを行った部分の被覆の除去を行うとともに、前記絶縁膜被覆ワイヤの終端に対する第2ボンディングを行う部分の被覆の除去を行うステップと、
前記第2ボンディングを行うステップと
を備えたボンディング方法。
【請求項2】
前記第1および第2ボンディングは、導電性キャピラリを使用した電気トーチにより行う請求項1または2に記載のボンディング方法。
【請求項3】
前記ボールの形成を行う前に、前記絶縁膜ワイヤの所定の位置を放熱クランプで保持するステップを備えた請求項1に記載のボンディング方法。
【請求項4】
絶縁膜被覆ワイヤを用いたボンディング方法であって、
前記絶縁膜被覆ワイヤの自由端である始端に対して、ボールを形成するとともに被覆の除去を行うステップと、
前記始端に対する第1ボンディングを行うステップと、
前記絶縁膜被覆ワイヤを所望の長さで切断するステップと、
前記絶縁膜被覆ワイヤのカットされた側の自由端である終端に対して、ボールを形成するとともに被覆の除去を行うステップと、
前記終端に対する第2ボンディングを行うステップと
を備えたボンディング方法。
【請求項5】
前記絶縁膜被覆ワイヤの始端および終端のボールの形成および被覆の除去は水素トーチを用いて行う請求項4に記載のボンディング方法。
【請求項6】
予め定められた前記絶縁膜被覆ワイヤの水素トーチの挿入量と被覆溶け上がり量との関係から、前記水素トーチの挿入量を制御することにより、規定量以内の被覆の溶け上がりを得る請求項4または5に記載のボンディング方法。
【請求項7】
前記第1および第2ボンディングをサーモソニックボンディングで行う請求項4〜6のいずれかに記載のボンディング方法。
【請求項8】
複数の半導体チップを搭載し、前記半導体チップ同士の接続端子間を絶縁膜被覆ワイヤを用いたワイヤボンディングで接続した第1の配線板と、
複数の半導体チップを搭載し、前記半導体チップ同士の接続端子間を絶縁膜被覆ワイヤを用いたワイヤボンディングで接続した第2の配線板とを備え、
前記第1および第2の配線板のそれぞれの接続端子間を絶縁膜被覆ワイヤを用いたワイヤボンディングで接続したことを特徴とする回路装置。
【請求項9】
前記半導体チップ内部においても、複数の接続端子間を絶縁膜被覆ワイヤを用いたワイヤボンディングで接続したことを特徴とする請求項8に記載の回路装置。
【請求項10】
前記半導体チップの複数の接続端子の間で交差接続を行ったことを特徴とする請求項8に記載の回路装置。
【請求項11】
第1の配線板上の個別配線用端子から第2の配線板に接続するための前記第1の配線板上の配線板間コネクタ端子へのバックプレーン配線を有する請求項8に記載の回路装置。
【請求項12】
前記配線板において斜め45°配線により、配線を行った絶縁膜被覆ワイヤを有することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の回路装置。
【請求項13】
前記第1および第2ボンディングがなされた絶縁膜被覆ワイヤは配線板の表面に接着されたことを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の回路装置。
【請求項14】
加熱電極付ボンディングツールにより、所定の超音波振動および押圧力をもって、前記絶縁膜被覆ワイヤを前記配線板に接着したことを特徴とする請求項13に記載の回路装置。
【請求項15】
複数の前記絶縁膜被覆ワイヤを使用して基板間を接続する基板間可動ケーブルを形成したことを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の回路装置。
【請求項16】
1つの接続端子に対する1つの絶縁膜被覆ワイヤの既接合ボールに対して他の絶縁膜被覆ワイヤの新たなボールを接合して積層した積層接続部を有する請求項8〜15のいずれかに記載の回路装置。
【請求項17】
請求項4に記載のボンディング方法を用いて配線板上に搭載された回路素子の配線を行った後、当該回路素子を封止部材で被覆することを特徴とする回路装置のパッケイジ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−164800(P2012−164800A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23817(P2011−23817)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(509087139)
【Fターム(参考)】