説明

ワイヤレス通信を利用した自動の受け取り、検査、在庫管理および報告

【課題】プロセスプラント内のプロセス制御デバイスの在庫管理システムの提供。
【解決手段】システムは、ワークステーションと、プロセスプラントの環境で実行されるプロセスを制御するための1つ以上のプロセス制御デバイスの計器仕様データを格納するデータベースと、プロセス制御デバイスとワイヤレスで通信するワイヤレスゲートウェイと、ワイヤレスゲートウェイ、ワークステーション、及びデータベースを相互接続する通信バスと、ワークステーションで実行される在庫制御アプリケーション(AP)とを含む。在庫制御APは、受け取ったプロセス制御デバイスからデバイスデータを受信するように、ワイヤレスゲートウェイを介して該デバイスに照会し、更に受け取ったプロセス制御デバイスの計器仕様データを取得するためにデータベースにアクセスし、受信したデバイスデータを取得した計器仕様データと比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロセスプラントの環境におけるプロセス制御デバイスの在庫管理に関する。より具体的には、本開示は、プロセスプラントにおいてプロセス制御デバイスまたは他の装置を受け取り、受け取ったプロセス制御デバイスまたは他の装置をワイヤレスで検査し、受け取ったデバイスまたは他の装置と、受け取ったデバイスまたは他の装置を定義する計器仕様との間の不一致を調整し、そうでない場合にはプロセス制御デバイスおよび他のプロセス関連の装置の在庫を管理するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学、石油または他の処理で使用されるシステム等のプロセス制御システムは、典型的には、アナログ、デジタルまたはアナログ/デジタルを組み合わせたバスを介して、少なくとも1つのホストまたはオペレータワークステーションおよび1つ以上のフィールドデバイスに通信可能に結合される中央管理されたプロセスコントローラを含む。例えば、バルブ、バルブ位置決め装置、スイッチおよびトランスミッタ(例えば温度、圧力および流量センサ)であってもよい、フィールドデバイスは、バルブの開閉およびプロセスパラメータの測定等のプロセス内の機能を実行する。プロセスコントローラは、フィールドデバイスおよび/またはフィールドデバイスに関する他の情報によって行われるプロセス計測を示す信号を受信し、制御ルーチンを実装するためにこの情報を利用し、次いで、プロセスの動作を制御するように、バスを通じてフィールドデバイスへ送信される制御信号を生成する。フィールドデバイスおよびコントローラからの情報は、典型的には、オペレータが、プロセスの現在のステータスの視認、プロセス動作の修正等のプロセスに対して、任意の所望の機能を実行できるようにするために、オペレータワークステーションによって実行される1つ以上のアプリケーションで利用可能にされる。
【0003】
従来のフィールドデバイスは、以前、アナログバスまたはアナログラインを介して、アナログ(例えば4〜20ミリアンペア)信号からプロセスコントローラへ、またはプロセスコントローラからアナログ信号へ送受信を行うために利用されていた。これらの4〜20mAの信号は、デバイスによって行われる計測、およびデバイスの動作を制御するために必要なコントローラによって生成される制御信号を示すことについて、本質的に制限されていた。しかしながら、過去十年間程度、マイクロプロセッサおよびメモリを含むスマートフィールドデバイスが、プロセス制御業界において普及してきている。プロセス内での第一の機能の実行に加えて、スマートフィールドデバイスは、デバイスに関するデータを格納し、デジタルまたはデジタルとアナログを組み合わせたフォーマットで、コントローラおよび/または他のデバイスと通信し、自己較正、識別、診断等の二次的なタスクを実行する。HART.RTM.、PROFIBUS.RTM.、WORLDFIP.RTM.、Device−Net.RTM.、およびCANプロトコル等の多数の標準的およびオープンなスマートデバイス通信プロトコルが、異なる製造元によって作成されたマートフィールドデバイスを、同じプロセス制御ネットワーク内で共に使用できるようにするために、開発された。より最近になって、スマートフィールドデバイスにはワイヤレストランシーバが装備されており、これによって、スマートフィールドデバイスは、プロセスプラントの環境内の種々のオペレータワークステーションで実行されるプロセスコントローラおよびアプリケーションとワイヤレスで通信することが可能になった。HARTワイヤレス通信プロトコル等の種々のワイヤレス通信プロトコルが、ワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスまたは他のプロセス制御装置およびプロセスコントローラ、オペレータワークステーション等の間のワイヤレス通信に役立つように開発された。
【0004】
設置されると、プロセス制御デバイスは、動作上の損傷が生じ、時間の経過につれて不具合が起こる場合がある。予期しないデバイス不具合によって生じるプロセスのダウンタイムを最小限にするためには、不具合が生じる場合に、代替パーツをすぐに利用できるようにするために、スペアプロセス制御フィールドデバイスの在庫を維持しておくことが望ましい。かかる在庫の管理には、多くの課題がある場合がある。各フィールドデバイスは、個別に識別する必要があり、意図されている特定のプロセス制御機能が実行可能であることを確実にするために、特定の仕様に適合する必要がある。中程度のサイズのプロセスプラントの計装部門であっても、3,000〜6,000のフィールドデバイスを含む場合がある。かかる環境において全てのフィールドデバイスを追跡し続け、スペアパーツの在庫を監視し、代替フィールドデバイスを発注し、フィールドデバイスを受け取り、受け取ったデバイスを検査することが、きわめて大きいタスクとなる可能性がある。
【0005】
特に厄介なのは、受け取ったデバイスが指定された要件に適合することを確実にするために、受け取ったフィールドデバイスおよび他の装置を検査するタスクである。以前、これは、受け取り時に各個々のプロセス制御フィールドデバイスを梱包から出し、指定された要件との適合を確実にするために、フィールドデバイスを物理的に検査することが必要であった。これは、非常に時間がかかる場合があり、また、受け取ったフィールドデバイスを検査する担当者が、指定されたデバイスと実際に受け取られたデバイスとの間の不一致を見逃すことがあった場合に、エラーが起こしがちになる可能性がある。
【0006】
スマートプロセス制御フィールドデバイスが現れたことにより、この問題はある程度軽減された。スマートプロセス制御フィールドデバイスは、スマートプロセス制御フィールドデバイスの内部メモリに格納された仕様データと共に出荷される場合がある。デバイスに格納される仕様データは、デバイスおよびそれがどのように構成されるかを記載する。デバイスメモリに格納された仕様データは、例えば、デバイスを識別するデバイスタグ、サプライヤから出荷の際に、作動範囲、容量、サイズ、構成材料、およびデバイスに組み込まれたセンサの種類を記載する種々のオペレーティングパラメータ値を含んでもよい。実際に、デバイスメモリに格納されるデータは、デバイスの発注のために用いられる仕様の全てを含んでもよい。
【0007】
プロセスプラントでスマートプロセス制御フィールドデバイスを受け取る場合、受け取り担当者は、受け取ったデバイスの内部メモリからデバイスデータを読み取るように適合された検査設備へ、デバイスを接続してもよい。検査設備に組み込まれた在庫制御アプリケーションは、プロセスプラントの環境全体で利用されるフィールドデバイスのために仕様データを格納するデータベースにアクセスしてもよい。在庫制御アプリケーションは、受け取ったスマートプロセス制御フィールドデバイスが、デバイス仕様に従って構成および出荷されたことを確実にするために、デバイスメモリから読み込まれたデバイスデータを、デバイスのデータベースに格納された仕様データと比較してもよい。この半自動の手順は、工場受け取り担当者による純粋に手動の検査よりも有利であるが、それでも、デバイスは、少なくとも一部を梱包から出し、テスト器具に個別に接続することが必要である。これは、特に何百または何千ものプロセス制御フィールドデバイスが定期的に受け取られる場合、不都合であり、時間がかかる場合がある。
【0008】
プロセス制御フィールドデバイスの最新の在庫の維持における別の困難な点は、個々のプロセス制御フィールドデバイスの仕様変更を追跡することである。時間の経過と共に、種々のプロセス制御フィールドデバイスの仕様を、プロセスパフォーマンスを向上させるために、または他の理由で、変更する場合がある。かかる変更は、設計変更、またはもともと指定されたデバイスのパフォーマンスまたはコスト節約にいくらかの改善を提供する、より新しいデバイスの導入の結果であるかもしれない。かかる変更は、その仕様が変更された代替プロセス制御フィールドデバイスについて発行された発注書に反映する必要がある。状況をより複雑にしているのは、代替プロセス制御デバイスのために既に発注が行われた後で、またはプロセスプラントにおいて代替デバイスが既に受け取られ、在庫内に配置された後でも、仕様を変更する場合があるということである。この場合、既存のプロセス制御デバイスを、旧式の仕様に従って構成されるスペアデバイスと取り替えることは望ましくない。
【0009】
代替プロセス制御フィールドデバイスの在庫の維持における最終的な課題は、単純な理由のものの1つである。設置されたフィールドデバイスおよび在庫に保持されているスペアフィールドデバイスの両方を含む、プロセスプラント内のプロセス制御フィールドデバイスの全てを追跡し続けることは、複雑であり、時間もかかる可能性がある。しかしながら、フィールドデバイスが故障するまたはその予想される動作寿命が尽きそうになっている場合、故障したまたは古くなりつつあるフィールドデバイスを、制御されたプロセスへの妨害をなるべく少なくして取り替えてもよいように、適切な代替パーツが利用可能となることを確実にするために、在庫の監視は必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、プロセスプラントの環境内のプロセス制御デバイスの在庫を管理するためのシステムおよび方法に関する。一実施形態に従い、在庫制御システムは、コンピュータワークステーションと、プロセスプラントの環境で実行されるプロセスを制御するために使用される1つ以上のプロセス制御デバイスのために、計器仕様データを格納するデータベースと、プロセスプラントの環境内に位置するワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスとワイヤレスで通信するように適合されるワイヤレスゲートウェイと、ワイヤレスゲートウェイ、コンピュータワークステーション、およびデータベースを相互接続する通信バスと、を含む。在庫制御アプリケーションは、コンピュータワークステーションによって実行される。在庫制御アプリケーションは、受け取ったプロセス制御デバイスからデバイスデータを受信するように、ワイヤレスゲートウェイを介して、受け取ったプロセス制御デバイスに照会するように適合される。受信したデバイスデータは、受け取ったプロセス制御デバイスを識別および記述する。在庫制御アプリケーションは、受け取ったプロセス制御デバイスのために計器仕様データを取得し、受信したデバイスデータを取得した計器仕様データと比較するために、データベースにアクセスするようにさらに適合される。受信したデバイスデータを対応する計器仕様データと比較することで、在庫制御アプリケーションは、受け取ったプロセス制御デバイスが計器仕様データと適合することを確実にする。
【0011】
別の実施形態は、ワイヤレスで実行可能なプロセス制御装置を検査する方法を提供する。この実施形態に従い、方法は、その中に格納されるデバイスデータを有するワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスを受け取ることを含む。ワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスに格納されるデバイスデータは、デバイスを識別し、デバイスの1つ以上の特性を記述する。方法は、ワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスからデバイスデータをワイヤレスで受信することをさらに含む。受け取ったワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスを識別するデバイスデータが受信されると、方法は、受け取ったワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスに対応する仕様データを取得するように、データベースのアクセスを求める。方法は次いで、仕様データをデバイスデータと比較すること、および、仕様データが、仕様と一致しない場合に、調整手順を実施することを求める。
【0012】
さらに別の実施形態において、コンピュータで実行可能な命令は、コンピュータ読み込み可能媒体に格納される。コンピュータプロセッサで実行される場合、命令は、プロセスプラントの環境で使用するために、在庫制御システムを提供する。在庫制御システムは、受け取ったプロセス制御デバイスからワイヤレス通信を受信するステップであって、ワイヤレス通信は、プロセス制御デバイスと、プロセス制御デバイスの動作パラメータまたは物理的特性のうちの1つ以上とを識別する、ステップと、データベースからプロセス制御デバイスのために仕様データを取得するステップと、プロセス制御デバイスの1つ以上の動作パラメータまたは物理的特性を、仕様データと比較するステップと、を実行するように適合される。在庫制御システムは、さらに、プロセス制御デバイスの1つ以上の動作パラメータまたは物理的特性が仕様データと一致する場合に、プロセス制御デバイスの在庫にプロセス制御デバイスを追加するステップ、またはプロセス制御デバイスの1つ以上の動作パラメータまたは物理的特性が、仕様データと一致しない場合に、プロセス制御デバイスを仕様データで調整するステップ、のうちの1つを実行するステップと、を実行するように適合される。
【0013】
図と共に記載される、以下の詳細な説明を概観することで、さらなる態様および利点が当業者に明らかであろう。構成および方法は、種々の形態の実施形態を受け入れることができるが、以降の記述は、開示内容は例示的なものであるという理解の上に、特定の実施形態を含み、これは、本発明を本明細書に記載された特定の実施形態に制限することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】1つ以上のオペレータワークステーション、コントローラ、フィールドデバイスおよびサポート装置を含む、分散制御ネットワークを有するプロセスプラントの例示的なブロック図である。
【図2】制御されたプロセスの一部の構成を示す、典型的な構成図の一部である。
【図3】計器仕様シートの一例である。
【図4】プロセスプラントの環境の例示的なレイアウトを示すブロック図である。
【図5】プロセスプラントの環境におけるワイヤレスで実行可能なプロセス制御フィールドデバイスの在庫または他の装置を管理する方法を図示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、種々のプロセス制御フィールドデバイスおよびプロセスプラントの動作制御に関連付けられる他の装置の在庫を管理するためのシステムおよび方法に関する。特に、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスまたは他のワイヤレスで実行可能なプロセス制御装置を受け取り、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスまたは他のワイヤレスで実行可能なプロセス制御装置の種々の動作パラメータおよび物理的特性が、設置されるプロセス制御システムの要件に適合することを確実にするように、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスまたは他のワイヤレスで実行可能なプロセス制御装置を検査し、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスまたは他のワイヤレスで実行可能なプロセス制御装置の指定されたパラメータおよび動作特性によって、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスまたは他のワイヤレスで実行可能なプロセス制御装置の動作パラメータおよび物理的特性の間のあらゆる差を調整し、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスまたは他のワイヤレスで実行可能なプロセス制御装置の動作寿命において、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスまたは他のワイヤレスで実行可能なプロセス制御装置のステータスを追跡するためのシステムおよび方法を提供する。(本開示の他の部分を通して、かかるワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスまたは他のワイヤレスで実行可能なプロセス制御装置は、特定のデバイスまたは装置が、当業者によって、「フィールドデバイス」であると従来考えられているかどうかには関係なく、「ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイス」と総称される。)
【0016】
図1は、プロセスプラントの環境内のプロセスを制御するために実装されてもよい、典型的な分散プロセス制御システム10の一部を示す。分散プロセス制御システム10は、1つ以上のプロセスコントローラ18、20を含む。典型的には、各コントローラ18、20は、制御プロセッサモジュール22、50および1つ以上の入力/出力(I/O)デバイス24、26、52、56を含む。入出力デバイスは、1つ以上のフィールドデバイス28〜40、58〜72と通信する。フィールドデバイス28〜40、58〜72は、例えば、センサ、バルブ、トランスミッタ、位置決め装置等の任意のタイプのフィールドデバイスであってもよい。フィールドデバイス28〜40、58〜72は、任意の所望のオープンの、専用の、または他の通信またはプログラミングプロトコルに適合してもよい。プロセスプラント10において、フィールドデバイス28〜32、58〜64は、4〜20mAアナログ信号を介して、入出力デバイスによって直接通信する従来の(つまり非スマート)フィールドデバイスであってもよい。代替として、あるいは、従来のフィールドデバイス28〜32、58〜64に加えて、フィールドデバイス34〜40、66〜72は、種々のローカル制御機能を実行し、例えば、Hart、Fieldbus、または他の通信プロトコルを使用して、デジタル通信バス42、74を介して、入出力デバイス26、56と通信できるようにする、それ自体のプロセッサおよびメモリを有する、例えば、FOUNDATION(登録商標)Fieldbusフィールドデバイス等のスマートフィールドデバイスを含んでもよい。
【0017】
プロセス制御システム10は、さらに、1つ以上のワークステーション12、14、およびデータベース15を含んでもよい。データベース15は、制御されたプロセスおよび、種々のフィールドデバイスに関連付けられた種々の動作パラメータおよび物理的特性を制御するために、プロセスプラントに設置された種々のフィールドデバイスの記録を含む、プロセス制御システムのために構成データを格納する構成データベースを含んでもよい。ワークステーション12、14は、通信ラインまたはバス16を介して、プロセスコントローラ18、20およびデータベース15へ結合されてもよい。通信ラインまたはバス16は、例えば、イーサネット(登録商標)プロトコル等の任意の所望の有線またはワイヤレス通信プロトコルを用いて実装してもよい。ワークステーション12、14は、種々のプロセス関連のアプリケーションを実装してもよく、構成エンジニア、プロセス制御オペレータ、保守担当者等を含む種々の工場担当者によってアクセス可能な1つ以上のユーザインターフェースを提供してもよい。以下に記載されるように、ワークステーション12、14のうちの1つ以上は、サプライヤから受け取ったフィールドデバイスのステータスを受信および追跡するための在庫制御アプリケーションを実装してもよい。一実施形態に従い、在庫制御システムは、デバイスについてのデータ、および構成データベース15に格納された指定された基準に適合することを確実にするように、どのようにこれらが構成されているかを取得するために、受け取ったフィールドデバイスに電子的に照会するように適合されてもよい。
【0018】
プロセス制御システム10は、さらに、1つ以上のワイヤレスゲートウェイ80および複数のワイヤレスで実行可能なフィールドデバイス82〜88を含んでもよい。ワイヤレスゲートウェイ80およびワイヤレスフィールドデバイス82〜88は、プロセスプラント内で実装される自己組織化ワイヤレスフィールドネットワーク内で個々のノードを含んでもよい。かかるネットワークに従い、フィールドデバイスは、HARTワイヤレスプロトコルを使用して通信するように適合されるワイヤレストランシーバを備えていてもよい。例えば、各トランシーバが備えられたフィールドデバイスは、自己構成ネットワーク内で通信ノードとして作用する。種々のフィールドデバイス82〜88に組み込まれたトランシーバは、フィールドデバイスが、ワイヤレスでデータを送受信することを可能にする。システムは、それ自体のメッセージの送受信に加えて、ネットワーク内の個々のノードが、ネットワーク内の他のノードから受信した通信を受信および再送信する、中継器として作用するという点で、自己組織化ネットワークである。このため、自己組織化ネットワーク内の第1のノードは、ゲートウェイ80に向けてワイヤレス通信を送信してもよい。しかしながら、ゲートウェイ80は、第1のネットワークノードのトランシーバの送信範囲外に配置されてもよい。第1のノードとゲートウェイ80との間に配置される自己組織化ネットワーク内の第2のノードは、第1のノードからワイヤレス通信を受信し、第2のノードの送信範囲内であるネットワークノードの全てへ、ワイヤレス通信を再中継してもよい。ゲートウェイ80がこの第2のノードの送信範囲内にある場合、第2のノードからのワイヤレス通信の再中継を受信し、第1のノードにおいて発するワイヤレス通信は、その配信先に達する。あるいは、範囲内ではない場合、第2のノードから再中継されるワイヤレス通信は、その意図した配信先に達するまで、第3のノードおよび第4のノード等によって受信および再送信されてもよい。しかしながら、ワイヤレス通信を繰り返す前に、中継器として作用するノードは、同じメッセージを以前に送信していないことを確実にするためにチェックしてもよい。これにより、ノードが、ネットワークにわたって既に転送されているメッセージを繰り返さないようにし、同じメッセージを繰り返すさらに他のノードによってエコーバックされる。このようにして、ワイヤレス通信は、ネットワークにわたって、迅速かつ効率的に伝播する。かかる自己組織化ネットワークは、ワイヤレス伝送が、その意図された配信先に達することを確実にするように、ネットワーク内の種々の点の間の複数の送信パスが存在する場合がある、ロバストな通信システムを提供する。
【0019】
ワイヤレスゲートウェイ80は、通信バス16を通じて、コントローラ18、20およびワークステーション12、14等のプロセス制御システムの他のコンポーネントと通信するように適合されてもよい。このため、種々のワイヤレスで実行可能なフィールドデバイス82〜88によって伝送されたデータは、コントローラ18、20によって実行される制御プログラム、さらに、ワークステーション12、14において実装されるアプリケーションにアクセス可能であってもよい。ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスから受信したデータは、データベース15、または、データヒストリアン、データウェアハウス等のいくつかの他のデータレポジトリに格納されてもよい。
【0020】
プロセス制御システム内の各フィールドデバイスは、制御されたプロセスについて独自の機能を実行する。このため、各フィールドデバイスは、一意のデバイスタグ、またはこれをプロセス制御システムに設置された他の各フィールドデバイスから区別するいくつかの他の識別子によって、個別に識別する必要がある。例えば、図2は、制御されたプロセスの一部の構成図200である。構成図200は、多数の異なるフィールドデバイス、ならびにポンプ202、保持および混合タンク204、206、208、および多数のプロセス制御バルブ210〜222等の他の装置を示す。
【0021】
個々のフィールドデバイスは、同じ一般的な種類のものであっても、大幅に異なる条件で動作することが求められる場合がある。例えば、2つのバルブ212、216は共に流量制御バルブであるが、これらはプロセスの異なる部分に配置されてもよく、非常に異なる流体を取り扱うことができなければならない。例えば、保持タンク204から混合タンク208への流体の流れを制御する流量制御バルブ210は、水の流れまたはいくつかの他の安全な流体を制御する場合があり、一方で、タンク206から混合タンク208への流体の流れを制御するバルブ216は、いくつかの非常に腐食性の高い流体の流れを制御する場合がある。このため、バルブ216は、より高価な腐食しにくい材質でできている必要があるが、バルブ212は、より安価で標準的な材質でできていてもよい。
【0022】
大部分のプロセスプラントの環境は、多くの何百または何千ものフィールドデバイスを含む。容量、流量および構成材料は、プロセスプラントの環境内の各個々のプロセス制御フィールドデバイスについて指定する必要のある多数の異なるオペレーティングパラメータおよび物理的特性の例にすぎない。大規模なプロセスプラントに設置された種々のフィールドデバイスの仕様を追跡し続け、スペアパーツを監視し、代替パーツが指定された要件に適合することを確実にすることは、大変なタスクである。このタスクは、実際の経験、設計の変更、または変化した動作条件に基づいて、時間の経過に従い、仕様が変化する可能性があるという事実によって、多くの場合、複雑である。これらの場合、代替フィールドデバイスは、プロセス制御システムが最初に設計および実装されたときにもともと求められた要件ではなく、新たに変更された要件に適合する必要がある。さらに、在庫制御の問題は、代替デバイスの発注が既にサプライヤに行われた後で、または、元のフィールドデバイスが故障したり、そうでない場合でも代替が必要になる場合に、代替デバイスが受け取られ、設置待機中として在庫に配置された後で、特定のフィールドデバイスの仕様を変更する場合に生じる可能性がある。要するに、プロセス制御システムに設置される前に、代替フィールドデバイスが最新の仕様に適合することを確実にすることは、オペレータ、保守担当者、出荷および受け取り担当者、購入担当者、およびサプライヤにとって同様に大きな課題である。
【0023】
プロセスプラントの環境で使用するためのフィールドデバイス在庫制御システムの一実施形態に従い、指定されたパラメータおよびプロセスプラントに設置された種々のフィールドデバイスの特性を管理するための主要なツールは、計器仕様シートである。計器仕様シートは、制御されたプロセスに設置されたフィールドデバイスのパラメータおよび物理的特性の全てをリストする(電子的または他の)フォームである。好適には、個々の計器仕様シートは、プロセス制御システムが設計される場合に、制御システムに含まれるフィールドデバイス毎に形成される。新しいフィールドデバイスがプロセス制御システムに追加される場合、または既存のフィールドデバイスの仕様が変更される場合に、新しい計器仕様シートが形成されてもよい。
【0024】
図3は、計器仕様シート300の例を示す。計器仕様シート300は、特定のフィールドデバイスを識別するデバイスタグ302、フィールドデバイス304の記述、およびフィールドデバイスの構成および物理的特性を記述する多くのパラメータ306を含む。計器仕様シートにリストされるパラメータは、「ソフトパラメータ」(フィールドデバイスに組み込まれるパラメータメモリ内に格納されるパラメータ値を変更するだけで、またはスマートフィールドデバイスのメモリに格納されるソフトウェアを変更することで、変更可能なこうしたパラメータ)または(変更不可能な、または、フィールドデバイスを物理的に再構成することによってのみ変更可能なフィールドデバイスの物理的態様に関する)「ハードパラメータ」を含んでもよい。
【0025】
プロセスプラント内で利用される種々のフィールドデバイスのための計器仕様シートは、図1に示される構成データベース15またはいくつかの他のデータベース等のデータベースに格納されてもよい。上述のように、構成データベース15は、通信バス16を介してアクセス可能である。このため、ワークステーション12、14で実行中のアプリケーションは、制御されたプロセスにおいて設置される種々のフィールドデバイスについての情報を取得するために、データベース15内に格納される計器仕様シートにアクセスする場合がある。いくつかの場合において、ワークステーション12、14で実行されるアプリケーションは、実際に、種々のフィールドデバイス計器仕様シートに格納されるパラメータを変更する、またはプロセス制御システムに変更が加えられた場合にデータベースに新しいフィールドデバイス計器仕様シートを追加することが可能であってもよい。
【0026】
通信バス16に接続されるネットワークワークステーション12、14によって実行される1つのかかるアプリケーションは、フィールドデバイス在庫制御アプリケーションを含んでもよい。一実施形態に従い、フィールドデバイス在庫制御アプリケーションは、サプライヤから受け取る際に、プロセス制御デバイスを検査するために使用されてもよい。典型的には、フィールドデバイスの計器仕様シートで見られるデバイスタグ、パラメータ値、物理的特性、および他のデータは、各受け取ったフィールドデバイスに組み込まれたメモリに格納されてもよい。以下により詳細に記載されるように、フィールドデバイス在庫制御システムは、プロセスプラントの環境へと受け取られる際に、フィールドデバイスにワイヤレスで照会するように適合されてもよい。照会プロセスの一部として、各フィールドデバイスに組み込まれたプロセッサは、デバイスタグ、パラメータ値、およびフィールドデバイスの内部メモリに格納される他のデバイスデータを、フィールドデバイス在庫制御アプリケーションへワイヤレスで通信するように適合されていてもよい。フィールドデバイス在庫制御アプリケーションは、受信したデバイスタグから受け取ったフィールドデバイスを識別し、受け取ったフィールドデバイスについて対応する計器仕様シートを取得するために、データベース15にアクセスする。データベース15に格納される計器仕様シートは、受け取ったデバイスの現在の最新の仕様を表す。フィールドデバイス在庫制御アプリケーションは、指定されたフィールドデバイスの種々のパラメータおよび物理的設計特性をパラメータ値と比較し、受け取ったフィールドデバイスから伝達された受け取ったフィールドデバイスの物理的設計特性を、在庫制御アプリケーションと比較してもよい。フィールドデバイス計器仕様シートの指定された値と受け取ったフィールドデバイスから直接読まれる値との間に不一致が見られる場合、在庫制御アプリケーションは、可能な場合、受け取ったフィールドデバイスを再設定するために調整手順を呼び出してもよい。調整プロセスは、フィールドデバイスに格納されたソフトパラメータの変化から、不一致を調整できない場合の、受け取ったフィールドデバイスの完全な拒否までの範囲がある場合がある。拒否されたフィールドデバイスは、データベースに格納される現在の計器仕様シートにおいて明確にされる要件に適合するフィールドデバイスと取り替えられるために、サプライヤに送り返される場合がある。
【0027】
図4は、フィールドデバイス在庫制御システムの一実施形態を利用するプロセスプラント400の一般的なレイアウトを示す。プロセスプラント400は、処理エリア402、制御ルーム404、ストアルームまたはウェアハウス406および受け取りエリア408を含む。プロセスプラント400は、処理エリア内で実装される1つ以上のプロセスを制御するためのプロセス制御システムを含む。プロセス制御システムは、処理エリア402全体に配置される制御クローゼットまたは制御パネルに収納される複数のコントローラ410、412を含んでもよい。コントローラ410、412は、前述のように、直接、通信バスを介して、またはワイヤレスで、処理エリア内の種々のフィールドデバイスと通信する。処理エリア402は、処理エリア402に実装される1つ以上のワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスと通信するように適合されるワイヤレスフィールドネットワークの一部として、1つ以上のワイヤレスゲートウェイ414、416を含んでもよい。コンピュータワークステーション420およびデータベース422は、制御ルーム404に配置されてもよい。構成アプリケーション、保守アプリケーション、アラーム管理アプリケーション等の多数のプロセス関連のアプリケーションは、ワークステーション420上に格納、およびこれによって実行されてもよい。データベース422は、プロセス制御システム、動作履歴データ、および/または他のプロセス関連のデータのための構成データ、さらに、処理エリア402に設置されたフィールドデバイスのための計器仕様シートを格納する場合がある。
【0028】
ストアルーム406が、スペアフィールドデバイス等のスペアのプロセス制御関連の装置を格納するために提供されてもよい。ワイヤレスゲートウェイ426は、ストアルーム406に格納されるワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスと通信するために、ストアルーム406に含まれる場合がある。
【0029】
別のコンピュータワークステーション430が、受け取りエリア408に配置されてもよい。ワークステーション430は、在庫制御アプリケーションを実行してもよい。受け取りエリア408は、さらに、受け取りエリア408で受け取られる際に、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスと通信するためのワイヤレスゲートウェイ432を含んでもよい。通信バス434は、プロセスプラント400全体に延伸して、プロセス制御システムの種々のコンポーネント(例えばコントローラ410、412、ワイヤレスゲートウェイ414、416、426、432コンピュータワークステーション420、430、データベース422等)が、互いにデータを通信および交換できるようにする。図4に示されるプロセスプラントレイアウトは、例示的なものにすぎない。実際のプロセスプラントレイアウトは、図4に示されているものとは大きく異なる場合がある。プロセスプラントは、例えば、異なるコンポーネントを含み、図4に示されるものよりもずっと広い地理的範囲にまたがるずっと複雑なプロセス制御システムを有する場合がある。処理エリア402、制御ルーム404、ストアルーム426および受け取りエリア408等のプロセスプラントの種々の部分は、処理エリア402から遠隔に配置されてもよく、または単にプロセスプラントの他の部分に配置されてもよい。さらに、プロセスプラント400の種々の部分は、他の部分と組み合わされてもよく、または共に省かれてもよい。
【0030】
上述のように、受け取りエリア408内に配置されるコンピュータワークステーション430は、フィールドデバイス在庫制御アプリケーションを実行するように適合されてもよい。フィールドデバイス在庫制御アプリケーションの責務の中には、受け取ったフィールドデバイスが設計仕様に適合することを確実にすることがある。本開示の背景技術の項に記載されるように、このプロセスは、典型的には、フィールドデバイスが受け取られる際に、各個々のフィールドデバイスの手動または半手動の検査を必要としていた。受け取りエリア408に配置されるワイヤレスゲートウェイ432により、このプロセスを、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスについて自動化できる。この場合、新しく受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスは、ゲートウェイ432またはプロセスプラント400において実装される自己組織化ワイヤレスネットワークの任意の他のノードの送信範囲内になるとすぐに、フィールドデバイス在庫制御アプリケーションとワイヤレスで通信できる。
【0031】
フィールドデバイス在庫制御システムの一実施形態に従い、ワイヤレスで実行可能フィールドデバイスのパラメータおよび物理的特性は、デバイスサプライヤによって、フィールドデバイスの内部メモリ内に格納される。ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスがプロセスプラント400で受け取られ、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスがワイヤレスゲートウェイ432の送信範囲内になると、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスは、デバイスのパラメータデータおよび他の特性をワイヤレスゲートウェイ432に送信するようにすることができる。ワイヤレスゲートウェイ432は、代わって、在庫制御アプリケーションを実行するコンピュータワークステーション430へ、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイス情報を伝達してもよい。在庫制御アプリケーションは、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスに対応する計器仕様シートを取得するために、フィールドデバイスを識別し、データベース422にアクセスする。次いで、在庫制御アプリケーションは、計器仕様シート内に指定されたものと、デバイスから受信したパラメータを比較する。この時点において、指定されたデバイスと受け取ったデバイスとの間の不一致が識別される場合があり、可能な場合には、修正される場合がある。そうでない場合には、指定されたデバイスパラメータと受信したデバイスパラメータとの間の不一致を調整できない場合には、デバイスを単に拒否する場合がある。例えば、在庫制御アプリケーションは、仕様に対してフィールドデバイスを調整するために、受け取ったプロセス制御フィールドデバイスに対する簡単なソフトウェアまたはパラメータ変更を行うように適合してもよい。しかしながら、不一致が構成材料またはフィールドデバイスのいくつかの他の物理的特性等のフィールドデバイスの物理的属性に関する場合、在庫制御アプリケーションにとって、受け取ったデバイスを仕様に会うように調整することが可能ではない場合がある。この場合、受け取ったフィールドデバイスを拒否する必要がある。
【0032】
図5は、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスが、その中に設置されるプロセス制御システムの指定された要件と適合することを確実にするように、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスを受け取りおよび検査する方法500を示す流れ図である。方法は、フィールドデバイスが502で発注されると開始する。発注を受けると、サプライヤは、仕様に応じて、504でデバイスを構成する。デバイスを構成するプロセスの一部として、サプライヤは、多数のパラメータをデバイスのメモリに506でロードする。これらは、デバイスおよびデバイスの計器仕様シートに含まれるフィールドデバイスの少なくともパラメータのサブセットおよび物理的特性を識別するデバイスタグを含む。ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスが設定されると、サプライヤは、デバイスをプロセスプラントに508で出荷する。
【0033】
510において、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスが、プロセスプラントにおいて受け取られる。このステップは、受け取りエリア408(図4)におけるフィールドデバイスの物理的な受け取ること、あるいはワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスを受け取りエリアゲートウェイ432の送信範囲内に持ち込むことを含んでもよい。次に、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスおよびワイヤレスゲートウェイ432の間で通信が確立される。通信を確立するために、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスは、プロセスプラントにおいてその存在を通知する受け取りエリアワイヤレスゲートウェイ432へ、導入信号を送信する。このステップは、起動時において、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスが、偶然、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスのワイヤレストランスミッタの範囲内になった任意のワイヤレスネットワークノードへ、導入信号の定期的送信を開始するように、受け取ったプロセス制御フィールドデバイスの物理的な起動を要求してもよい。ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスは、受け取りエリアゲートウェイ432(またはプロセスプラントのワイヤレスネットワーク内のいくつかの他のノード)から、その存在が認識された、およびワイヤレスで実行可能なフィールドデバイス内のプロセスプラントのワイヤレスネットワークの間の通信が確立されたことを示す応答を受け取るまで、導入信号を定期的に送信することを継続する。
【0034】
代替的に、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスは、出荷時からワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスが定期的に導入信号を送信する、半起動された出荷モードで出荷されてもよい。この場合、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスは、受け取りエリアゲートウェイ432またはプロセスプラントのワイヤレスネットワークの他のノードの送信範囲になるとすぐに、受け取りエリアゲートウェイ432、またはプロセスプラントのワイヤレスネットワークの何らかの他のノードとの通信を確立する。受け取りエリアゲートウェイ432がワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスに応答すると、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスは「目覚め」てもよく、より活動的な動作モードに入ってもよい。この代替の出荷モードは、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスを認識させ、プロセスプラント担当者の介入なしに、自動的にワイヤレス通信ネットワーク434を通してプロセスプラント内に実装される種々のアプリケーションとの通信を開始するという利点がある。しかし、デバイスが出荷プロセスを通して送信を継続できるためには、十分な電池の電力が必要である。
【0035】
いずれの場合でも、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスとワイヤレスネットワーク432との間の通信が確立されると、受け取りエリアワークステーション430で実行される在庫制御アプリケーションは、514において示されるように、受け取りエリアゲートウェイ432を介して、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスメモリに格納されるデバイスデータを読み込む。ここでも、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスメモリに格納され、在庫制御アプリケーションに伝達されるデバイスデータは、デバイスの計器仕様シートに含まれる少なくともデータのサブセットを含む。受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスから伝送されるデータは、プロセスプラント400内の特定のデバイスおよびその意図された機能を識別するデバイスタグを含む。ステップ516において、在庫制御アプリケーションは、通信バス434を介して構成データベース422にアクセスし、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスに対応する計器仕様シートを取得する。ステップ518において、在庫制御アプリケーションは、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスから受信したデバイスデータを、対応する計器仕様シートに格納されるデータと比較する。決定ブロック520において、在庫制御アプリケーションは、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスから受信したデバイスデータが、デバイスの計器仕様シートに格納されるものと一致するかどうかを判定する。一致する場合、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスは、526において、デバイス在庫に追加されてもよく、制御されたプロセスで既に設置された故障したまたは故障しかけているフィールドデバイスを取り替える必要があるまで、格納場所に配置される。
【0036】
しかしながら、ステップ520において、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスから受信したデータが、デバイスの計器仕様シート内に格納されるデータと一致しないことがわかった場合、不一致が調整される場合があるかどうかの判定が、ステップ522において行われる。調整される場合がある場合、不一致は、ステップ524において調整され、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスがステップ526においてデバイス在庫に追加される。しかしながら、不一致を調整できない場合、デバイスは、528において拒否される。拒否されたデバイスは、再構成および/または再在庫補充のためにサプライヤに戻してもよく、あるいは拒否されたワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスと同じパラメータおよび特性を有するプロセスプラント内のいずれかの他のフィールドデバイスの代わりとして役立つように、再割り当てまたは再目的付けされてもよい。
【0037】
受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスメモリ内で格納されるデバイスデータとデバイスの計器仕様シート内で見られるデータとの間の不一致を調整できるかどうかの判定は、概して、不一致の性質に依存する。例えば、感知範囲、単位、またはワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスのメモリに格納される値の変更のみによって変更される場合がある他のパラメータまたは動作特性等のソフトパラメータは、正しいパラメータ値を、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスの内部メモリへと再書き込みすることにより、プロセスプラントにおいて容易に調整する場合がある。一方で、物理的な不一致を調整することはより難しい場合がある。例えば、特定のワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスが、デバイスの計器仕様シートにおいて求められる構成材料ともはや一致しない材料で作られている場合、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスのメモリの「構成材料」パラメータの値を変更するだけで、不一致を調整することはできない。それよりも、適切な材料でできたフィールドデバイスを提供する必要がある。このため、ハード面の不一致、物理的構成またはワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスの構成の不一致は、概して、プロセスプラントでは調整できない。
【0038】
従って、ステップ522において、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスから受信したデータの間の不一致が、ソフトパラメータタイプの不一致であると判定される場合、在庫制御アプリケーションは、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスのメモリに格納された誤ったパラメータ値を、デバイスの計器仕様シートから取った更新した値で上書きするように適合される場合がある。
【0039】
本明細書に記載される在庫制御システムの利点には、サプライヤから受け取った入来するプロセス制御フィールドデバイスは、プロセスプラント担当者による介入がほとんどなく、または全くなく、制御されたプロセスの指定された要件に適合することを確実にするように検査される場合があることが挙げられる。さらに、在庫制御アプリケーションはプロセス制御構成データベースにアクセスを有するため、プロセスプラント担当者は、入来するプロセス制御フィールドデバイスの検査が、種々のプロセス制御フィールドデバイスについて指定された最も最新のパラメータ値で実行されることが保証される。別の利点としては、デバイスの計器仕様シートに含まれる種々のパラメータと、デバイスが出荷されるときにデバイスのメモリに格納されるパラメータ値との間の不一致を追跡できること、および、不一致を修正するという任務を、不一致を生じさせた過失のある関係者に割り当てる場合があるということが挙げられる。例えば、代替デバイスが発注される際と、デバイスがプロセスプラントで受け取られる際との間の時間間隔において、デバイスの計器仕様シートが変化する場合、変更した基準に責任があるプロセスプラントは、サプライヤへ戻すフィールドデバイスの搬送およびサプライヤの在庫へのフィールドデバイスの返却に関連付けられたあらゆる再在庫補充料に関連付けられたコストに関して、責任がある可能性がある。一方で、受け取ったワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスのデバイスデータが、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスの発注で指定された基準と一致しないことが示される可能性がある場合、サプライヤは、指定された要件に適合する別のデバイスにより、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスを取り替えるための責任を有する可能性がある。
【0040】
本明細書で開示される在庫制御システムの別の利点としては、プロセスプラントで所有中のワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスのステータスを、継続して監視する場合がある、および工場担当者からの入力なしに自動更新する場合があるということが挙げられる。例えば、所有中のフィールドデバイスの在庫にワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスを追加し、格納場所に配置した後、在庫制御アプリケーションは、格納エリア406内のデバイスの場所を記録してもよく、設置待機中として、デバイスのステータスを記録してもよい。さらに、デバイスが格納エリア406から除去されると、在庫制御システムは、格納エリア406内に配置されるゲートウェイ426が、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスともはや通信できない、つまり、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスが格納から除去されたことを示すことに気づく場合がある。同様に、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスが制御プロセスに設置される場合、プロセスプラントの処理エリアに配置されたゲートウェイ414、416のうちの1つと通信を開始してもよい。この情報は、在庫制御アプリケーションに提供されてもよく、これは、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスのステータスを、格納中から、フィールド設置へと変更してもよい。このため、ワイヤレスで実行可能なフィールドデバイスのサービスの完全な記録を、プロセスプラント担当者による実質的な介入なしに、自動的に作成できる。さらに、フィールドデバイスが格納から除去され、フィールドに設置される場合、在庫制御アプリケーションは、バックアップフィールドデバイスの在庫を補充するために、交換用フィールドデバイスの発注を自動で生成してもよい。
【0041】
本発明は、特定の例を参照して記載されている。これらの例は例示的なものとしてのみ意図されており、いかなる方法においても本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。本発明の精神および範囲から逸脱せずに、開示された実施形態に、変更、追加または削除を行ってもよいことが、当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスプラントの環境で使用するための在庫制御システムであって、前記在庫制御システムは、
コンピュータワークステーションと、
前記プロセスプラントの環境で実行されるプロセスを制御するために使用される1つ以上のプロセス制御デバイスのために、計器仕様データを格納するデータベースと、
前記プロセスプラントの環境でワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスとワイヤレスで通信するように適合されるワイヤレスゲートウェイと、
前記ワイヤレスゲートウェイと、前記コンピュータワークステーションと、前記データベースとを相互接続する通信バスと、
前記コンピュータワークステーションによって実行される在庫制御アプリケーションであって、前記在庫制御アプリケーションは、受け取ったプロセス制御デバイスを識別および記述する前記受け取ったプロセス制御デバイスからデバイスデータを受信するように、前記ワイヤレスゲートウェイを介して前記受け取ったプロセス制御デバイスに照会し、前記受け取ったプロセス制御デバイスのために計器仕様データを取得するように、前記データベースにアクセスし、前記受け取ったプロセス制御デバイスが前記計器仕様データに対応することを保証するために、前記受信したデバイスデータを前記取得した計器仕様データと比較するように、適合されている、在庫制御アプリケーションと、を備える、在庫制御システム。
【請求項2】
前記在庫制御アプリケーションは、前記受信したデバイスデータが前記計器仕様データと一致する場合に、前記受け取ったプロセス制御デバイスを、受け取ったプロセス制御デバイスの在庫に記録するようにさらに適合される、請求項1に記載の在庫制御システム。
【請求項3】
前記在庫制御アプリケーションは、前記受信したデバイスデータが前記計器仕様データと一致しない場合に、調整手順を実行するようにさらに適合される、請求項1に記載の在庫制御システム。
【請求項4】
前記調整手順は、前記計器仕様データ内の対応する値と一致するように、前記受け取ったプロセス制御デバイスに格納された1つ以上のパラメータ値を再書き込みすることを含む、請求項3に記載の在庫制御システム。
【請求項5】
前記調整手順は、前記計器仕様データ内で指定された物理的構成と一致するように、プロセスプラント担当者に、前記受け取ったプロセス制御デバイスを物理的に再構成するように指示することを含む、請求項3に記載の在庫制御システム。
【請求項6】
前記調整手順は、前記デバイスデータと前記計器仕様データとの間の不一致が、前記プロセスプラントで修正できない場合に、前記受け取ったプロセス制御デバイスを拒否することを含む、請求項3に記載の在庫制御システム。
【請求項7】
前記在庫制御アプリケーションは、前記受け取ったプロセス制御デバイスが、受け取ったプロセス制御デバイスの前記在庫に記録された後、前記受け取ったプロセス制御デバイスのステータスを監視するようにさらに適合される、請求項1に記載の在庫制御システム。
【請求項8】
前記受け取ったプロセス制御デバイスの前記ステータスを監視することは、前記プロセス制御デバイスが設置待機中として格納エリア内に配置されているかどうか、または前記プロセス制御デバイスが前記プロセスプラントの環境の処理エリア内に設置されているかどうかを判定するために、前記プロセス制御デバイスの場所を定期的にワイヤレスで判定することを含む、請求項7に記載の在庫制御システム。
【請求項9】
ワイヤレスで実行可能なプロセス制御装置を検査する方法であって、
その中に格納されるデバイスデータを有するワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスを受け取ることであって、前記デバイスデータは、前記デバイスを識別し、前記デバイスの1つ以上の特性を記述する、受け取ることと、
前記ワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスから前記デバイスデータをワイヤレスで受信することと、
前記受け取ったワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスに対応する仕様データを取得するために、データベースにアクセスすることと、
前記仕様データを前記デバイスデータと比較することと、
前記仕様データが、前記仕様データと一致しない場合に、調整手順を実行することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記仕様データが前記デバイスデータと一致する場合に、前記受け取ったワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスをプロセス制御デバイスの在庫に記録することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスがプロセス制御デバイスの前記在庫に記録された後、前記受け取ったワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスの前記ステータスを監視することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記受け取ったワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスの前記ステータスを監視する前記ステップは、前記ワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスが、前記制御されたプロセス内への設置待機中として前記プロセスプラントの格納エリアに配置されているかどうか、または前記ワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスが前記プロセスプラントの処理エリアに設置されているかどうかを判定するために、前記ワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスの場所を定期的にワイヤレスで判定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記仕様データ内の対応する値と一致するように、前記受け取ったワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスに格納される1つ以上のパラメータ値を再書き込みすることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記仕様データ内で指定された物理的構成と一致するように、プロセスプラント担当者に、前記受け取ったワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスを物理的に再構成するように指示することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記デバイスデータと前記仕様データとの間の不一致を修正できない場合に、前記受け取ったプロセス制御デバイスを拒否することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータプロセッサによって実行されたときに、プロセスプラントの環境で使用するための在庫制御システムを提供する、コンピュータ命令が格納されるコンピュータで読み込み可能な媒体であって、前記在庫制御システムは、
受け取ったプロセス制御デバイスからワイヤレス通信を受信するステップであって、前記ワイヤレス通信は、前記プロセス制御デバイスと、前記プロセス制御デバイスの1つ以上の動作パラメータまたは物理的特性とを識別する、ステップと、
データベースから前記プロセス制御デバイスのための仕様データを取得するステップと、
前記プロセス制御デバイスの前記1つ以上の動作パラメータまたは物理的特性を、前記仕様データと比較するステップと、
前記プロセス制御デバイスの前記1つ以上の動作パラメータまたは物理的特性が前記仕様データと一致する場合に、プロセス制御デバイスの在庫に前記プロセス制御デバイスを追加するステップ、または前記プロセス制御デバイスの前記1つ以上の動作パラメータまたは物理的特性が、前記仕様データと一致しない場合に、前記プロセス制御デバイスを前記仕様データで調整するステップ、のうちの1つを実行するステップと、を実行するように適合される、コンピュータで読み込み可能な媒体。
【請求項17】
前記仕様データで前記プロセス制御デバイスを調整することは、前記計器仕様データ内の対応する値と一致するように、前記受け取ったプロセス制御デバイスに格納される1つ以上のパラメータ値を再書き込みすることを含む、請求項16に記載の在庫制御システム。
【請求項18】
前記仕様データで前記プロセス制御デバイスを調整することは、前記計器仕様データで指定された物理的構成と一致するように、プロセスプラント担当者に、前記受け取ったプロセス制御デバイスを物理的に再構成するように指示することを含む、請求項16に記載のコンピュータで読み込み可能な媒体。
【請求項19】
前記仕様データで前記プロセス制御デバイスを調整することは、前記デバイスデータと前記計器仕様データとの間の不一致を前記プロセスプラントで修正できない場合に、前記受け取ったプロセス制御デバイスを拒否することを含む、請求項16に記載のコンピュータで読み込み可能な媒体。
【請求項20】
前記在庫制御システムは、前記ワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスがプロセス制御デバイスの前記在庫に記録された後、前記受け取ったワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスの前記ステータスを監視するステップを実行するようにさらに適合される、請求項16に記載のコンピュータで読み込み可能な媒体。
【請求項21】
前記受け取ったワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスの前記ステータスを監視する前記ステップは、前記ワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスが前記制御されたプロセス内への設置待機中として前記プロセスプラントの格納エリアに配置されているかどうか、または前記ワイヤレスで実行可能なプロセスデバイスが前記プロセスプラントの処理エリアに設置されているかどうかを判定するために、前記ワイヤレスで実行可能なプロセス制御デバイスの場所を定期的にワイヤレスで判定することを含む、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−38304(P2012−38304A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165566(P2011−165566)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(594120847)フィッシャー−ローズマウント システムズ, インコーポレイテッド (231)
【Fターム(参考)】