説明

ワックス状脂肪酸エステル及びこれを含有する毛髪化粧料組成物

【課題】ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の毛髪化粧料組成物に使用した場合、従来油分の欠点であった、濯ぎ中のきしみ感を有せず、且つ乾燥後の毛髪に「しっとり・まとまり感」を付与する効果に優れた油分であるワックス状脂肪酸エステルの開発、及びそれを配合した毛髪化粧料組成物を提供する事を目的とする。
【解決手段】グリセリン及び/又はその脱水縮合物で水酸基価から算出した平均重合度が3以下のポリグリセリン1.0モルに対し、ヒドロキシステアリン酸:オレイン酸のモル比が9.0:1.0〜6.0:4.0で構成される混合脂肪酸の0.5〜2.0モルをエステル化したワックス状脂肪酸エステル及びそれを含有する毛髪化粧料組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なワックス状脂肪酸エステル及びこれを含有するヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の毛髪化粧料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、毛髪に「さらさら感」や「しっとり・まとまり感」等の機能を付与する為に、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の毛髪化粧料組成物が使用されている。これらは4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤と、高級アルコールとから成る複合ゲルを用いて乳化されたO/W型エマルションである。これら以外に配合される油分としては、アミノ変性シリコーンやメチルポリシロキサンの重合体等のシリコーン油類、グリセライド、流動パラフィン、エステル油、各種植物油類等が挙げられる。配合される油分で分類するとシリコーン油類単独処方系と、シリコーン油類とシリコーン油類以外の油分(グリセライド、流動パラフィン、エステル油、各種植物油類等)の2種以上を併用した処方系の2つに大局される。これら油分は、専ら「さらさら感」や「しっとり・まとまり感」等を発現させる為に配合される。しかしながら、これら油分を配合した毛髪化粧料組成物は、濯ぎ時におけるきしみ感が強く、使用上の面において以前より問題があった。
【0003】
そこで、カチオン性界面活性剤を使用する毛髪化粧料組成物の油分として、高級アルコールと1〜1,000mm/Sの疎水性シリコーン類(例えば脂肪族アルコール変性ポリシロキサン)とを併用する内容が特許文献1に報告されている。しかしながら、開示された毛髪化粧料は、乾燥後の毛髪の平滑性(「さらさら感」)については、改善されているが、毛髪のベタつき感や、濯ぎ中のきしみ感については十分に改善されていないという問題があった。
【0004】
また、シリコーン油類単独処方系は、2種以上の油分を併用した処方系に比べ若干、濯ぎ中のきしみ感が軽減されるものの、乾燥後の「しっとり・まとまり感」が不足しており、改善する事が求められている。この点でシリコーン類をステロールで変性したシリコーン油が特許文献2に報告されている。このものは、皮膚に対する付着性が良好で、また皮膚へのベタツキを軽減する効果もある為、毛髪化粧料組成物への使用が十分考えられる。しかし、このステロール変性シリコーン油は、毛髪への付着性が不十分である事、並びに毛髪に水分を保持する機能(「しっとり感」)が不十分である内容が特許文献3に報告されている。更にグリセライド、流動パラフィン、エステル油類、各種植物油類はシリコーン油類に比べ、乾燥後の毛髪に「しっとり感」を付与するが、濯ぎ中に強いきしみ感を発現させる為、これらシリコーン油以外の油分についても一長一短があり、全てを満足した油分の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開昭56− 92808
【特許文献2】特開平 4−145097
【特許文献3】特開平 7−316024
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の様な従来技術の課題を克服したものであり、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の毛髪化粧料組成物に使用した場合、従来油分の欠点であった濯ぎ中のきしみ感を有せず、且つ乾燥後の毛髪に「しっとり・まとまり感」を付与する効果に優れた油分であるワックス状脂肪酸エステルの開発、及びそれを配合した毛髪化粧料組成物を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のグリセリン脂肪酸エステルが、上記課題を解決し得ることを見出だし、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、グリセリン及び/又はその脱水縮合物で水酸基価から算出した平均重合度が3以下のポリグリセリン1.0モルに対し、ヒドロキシステアリン酸:オレイン酸のモル比が9.0:1.0〜4.0:6.0で構成される混合脂肪酸の0.5〜2.0モルをエステル化したワックス状脂肪酸エステル、若しくは次の成分(1)〜(2):
(1)グリセリン及び/又はその脱水縮合物で水酸基価から算出した平均重合度が3以下のポリグリセリン1.0モルに対し、ヒドロキシステアリン酸の0.5〜2.0モルをエステル化したヒドロキシステアリン酸エステル。
(2)グリセリン及び/又はその脱水縮合物で水酸基価から算出した平均重合度が3以下のポリグリセリン1.0モルに対し、オレイン酸の0.5〜2.0モルをエステル化したオレイン酸エステル。
で構成され(1)と(2)との重量比が3.0:7.0〜7.0:3.0であるワックス状脂肪酸エステル、及びこれらワックス状脂肪酸エステルを含有する毛髪化粧料組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のワックス状脂肪酸エステルをヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の毛髪化粧料組成物に使用した場合、従来油分の欠点であった濯ぎ中のきしみ感を発現せず、且つ乾燥後の毛髪に「しっとり・まとまり感」を付与する効果に優れた毛髪化粧料組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明を詳細にする。
【0009】
本発明において使用するグリセリン及び/又はその脱水縮合物で水酸基価から算出した平均重合度が3以下のポリグリセリンとしては、通常化粧品に使用されるグリセリンであり、またそのグリセリンを原料とし、脱水縮合反応し得たポリグリセリン、例えばジグリセリン、トリグリセリンの事を指す。平均重合度が3を超えるポリグリセリンを用いて合成した脂肪酸エステルを毛髪化粧料に配合した場合には、洗浄後の毛髪がごわつく等の問題があり好ましくない。
【0010】
本発明で使用するヒドロキシステアリン酸、オレイン酸については特に限定はなく、化粧品に通常使用されるものであれば、得られるワックス状脂肪酸エステルの臭気や色相が良く好ましい。また、由来が植物性のものであれば、動物由来の原料を敬遠気味の化粧品原料としては尚更好ましい。
【0011】
次に、グリセリン及び/又はその脱水縮合物の1.0モルに対し、ヒドロキシステアリン酸:オレイン酸のモル比が9.0:1.0〜4.0:6.0で構成される混合脂肪酸の0.5〜2.0モルをエステル化し、ワックス状脂肪酸エステルを合成する。ヒドロキシステアリン酸:オレイン酸のモル比が上記範囲外、例えばヒドロキシステアリン酸量を増やし(オレイン酸量が減る)得たエステルを、毛髪化粧料組成物に配合し使用した場合、濯ぎ中のきしみ感が発現してくる。逆にオレイン酸量が増える(ヒドロキシステアリン酸量が減る)と、乾燥後の「しっとり・まとまり感」を付与する効果が減少する。また、これら混合脂肪酸の0.5〜2.0モルをエステル化するが、この範囲外、例えば0.5モル未満では、油分としての機能が発現しにくくなり、濯ぎ中に洗い流される傾向が強まり、十分な機能を発揮する事が出来ない。逆に2.0モルを超えて合成したエステルは、乾燥後の残油感、即ち油っぽいベタツキが発現し好ましくない。
【0012】
本発明のワックス状脂肪酸エステルは、上記のように混合脂肪酸を用い、一括反応にて合成し得る事も可能であるし、それぞれの脂肪酸エステルを合成し、それらをブレンドする事で目的のワックス状脂肪酸エステルを得る方法、どちらを選択しても良い。2種の脂肪酸エステルをブレンドする場合、次の成分(1)〜(2):
(1)グリセリン及び/又はその脱水縮合物で水酸基価から算出した平均重合度が3以下のポリグリセリン1.0モルに対し、ヒドロキシステアリン酸の0.5〜2.0モル、好ましくは1.0〜2.0モルをエステル化したヒドロキシステアリン酸エステル。
(2)グリセリン及び/又はその脱水縮合物で水酸基価から算出した平均重合度が3以下のポリグリセリン1.0モルに対し、オレイン酸の0.5〜2.0モル、好ましくは0.5〜1.5モルをエステル化したオレイン酸エステル。
で構成され(1)と(2)との重量比が3.0:7.0〜7.0:3.0でブレンドし、ワックス状脂肪酸エステルを得る。(1)のヒドロキシステアリン酸エステルの仕込み比は、上記範囲が好ましい。ヒドロキシステアリン酸が0.5未満で得たエステルを、毛髪化粧料組成物に配合した場合、乾燥後の「しっとり・まとまり感」を付与する効果が減少する。逆に2.0モルを超えると乾燥後の残油感、即ち油っぽいベタツキが発現し好ましくない。また、(2)のオレイン酸エステルの仕込み比は、上記範囲が好ましい。オレイン酸が0.5未満では、濯ぎ中のきしみ感が発現してくる。逆に、2.0モルを超えると濯ぎ中のヌメリ感が強くなり過ぎ、濯ぎがしづらくなり好ましくない。また、(1)のヒドロキシステアリン酸エステルと(2)のオレイン酸エステルの重量比が上記範囲外、例えばヒドロキシステアリン酸エステル量を増やし(オレイン酸エステル量が減る)得たエステルを、毛髪化粧料組成物に配合し使用した場合、濯ぎ中のきしみ感が発現してくる。逆にオレイン酸エステル量が増える(ヒドロキシステアリン酸エステル量が減る)と、乾燥後の「しっとり・まとまり感」を付与する効果が減少する。
【0013】
上記方法で得たワックス状脂肪酸エステルは、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の毛髪化粧料組成物に配合する。配合に関しては特に限定はなく、一般に確立されているカチオン性界面活性剤と高級アルコールから成る処方系へ容易に配合できる。配合量も制限はないが、通常これら処方系に配合される油分と同量、例えば1〜10%程度の使用が好ましい。
【0014】
本発明の毛髪化粧料組成物には、発明の効果を損なわない範囲で通常の化粧料組成物等に使用される成分、例えば、スクワラン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、トリオクタン酸グリセリル、ジメチルポリシロキサン、ワセリン、ヤシ硬化油、ホホバ油、オリブ油、セタノール、ステアリルアルコール、ラウリン酸、ステアリン酸等の油類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤類、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子類、各種ビタミン、アミノ酸、生薬、消炎剤、細胞賦活剤、色素、防腐剤、香料等を適宜配合することができる。
【0015】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0016】
〈実施例1〉
脂肪酸エステルは以下の様に合成した。
グリセリン100gとヒドロキシステアリン酸163g、オレイン酸153g(モル比5:5、グリセリン1モルに対し混合脂肪酸1モル)から成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、0.2gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、4時間の条件下で反応を行い、ワックス状脂肪酸エステル376gを得た。
【0017】
〈実施例2〉
グリセリン100gとヒドロキシステアリン酸352g、オレイン酸221g(モル比6:4、グリセリン1モルに対し混合脂肪酸1.8モル)から成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、ワックス状脂肪酸エステル606gを得た。
【0018】
〈実施例3〉
ジグリセリン100gとヒドロキシステアリン酸253g、オレイン酸102g(モル比7:3、ジグリセリン1モルに対し混合脂肪酸2モル)から成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、ワックス状脂肪酸エステル412gを得た。
【0019】
〈実施例4〉
グリセリン100gとヒドロキシステアリン酸489g(グリセリン1モルに対し脂肪酸1.5モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、ヒドロキシステアリン酸エステル532gを得た。次にグリセリン100gとオレイン酸307g(グリセリン1モルに対し脂肪酸1モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、オレイン酸エステル387gを得た。得られたヒドロキシステアリン酸グリセリンとオレイン酸グリセリンとを重量比が4:6となるように混合し、ワックス状脂肪酸エステルを得た。
【0020】
〈実施例5〉
グリセリン100gとヒドロキシステアリン酸652g(グリセリン1モルに対し脂肪酸2モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、ヒドロキシステアリン酸エステル677gを得た。次にグリセリン100gとオレイン酸460g(グリセリン1モルに対し脂肪酸1.5モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、オレイン酸エステル504gを得た。得られたヒドロキシステアリン酸グリセリンとオレイン酸グリセリンとを重量比が5:5となるように混合し、ワックス状脂肪酸エステルを得た。
【0021】
〈実施例6〉
ジグリセリン100gとヒドロキシステアリン酸361g(ジグリセリン1モルに対し脂肪酸2モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、ヒドロキシステアリン酸エステル417gを得た。次にグリセリン100gとオレイン酸460g(グリセリン1モルに対し脂肪酸1.5モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、とオレイン酸エステル504gを得た。得られたヒドロキシステアリン酸ジグリセリンとオレイン酸グリセリンとを重量比が3:7となるように混合し、ワックス状脂肪酸エステルを得た。
【0022】
〈比較例1〉
グリセリン100gとヒドロキシステアリン酸65g、オレイン酸245g(モル比2:8、グリセリン1モルに対し混合脂肪酸1モル)から成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、脂肪酸エステル371gを得た。
【0023】
〈比較例2〉
グリセリン100gとヒドロキシステアリン酸245g、オレイン酸536g(モル比3:7、グリセリン1モルに対し混合脂肪酸2.5モル)から成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、脂肪酸エステル790gを得た。
【0024】
〈比較例3〉
ジグリセリン100gとヒドロキシステアリン酸271g、オレイン酸255g(モル比5:5、ジグリセリン1モルに対し混合脂肪酸3モル)から成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、脂肪酸エステル564gを得た。
【0025】
〈比較例4〉
グリセリン100gとヒドロキシステアリン酸978g(グリセリン1モルに対し脂肪酸3モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、ヒドロキシステアリン酸エステル968gを得た。次にグリセリン100gとオレイン酸307g(グリセリン1モルに対し脂肪酸1モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、とオレイン酸エステル368gを得た。得られたヒドロキシステアリン酸グリセリンとオレイン酸グリセリンとを重量比が1:9となるように混合し、脂肪酸エステルを得た。
【0026】
〈比較例5〉
グリセリン100gとヒドロキシステアリン酸652g(グリセリン1モルに対し脂肪酸2モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、ヒドロキシステアリン酸エステル677gを得た。次にグリセリン100gとオレイン酸613g(グリセリン1モルに対し脂肪酸2モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、オレイン酸エステル640gを得た。得られたヒドロキシステアリン酸グリセリンとオレイン酸グリセリンとを重量比が2:8となるように混合し、脂肪酸エステルを得た。
【0027】
〈比較例6〉
ジグリセリン100gとヒドロキシステアリン酸815g(ジグリセリン1モルに対し脂肪酸2.5モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、ヒドロキシステアリン酸エステル823gを得た。次にグリセリン100gとオレイン酸613g(グリセリン1モルに対し脂肪酸2モル)を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、オレイン酸エステル640gを得た。得られたヒドロキシステアリン酸ジグリセリンとオレイン酸グリセリンとを重量比が4:6となるように混合し、脂肪酸エステルを得た。
【0028】
〈比較例7〉
グリセリン100gとステアリン酸278g、イソステアリン酸185g(モル比6:4、グリセリン1モルに対し混合脂肪酸1.5モル)から成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、脂肪酸エステル507gを得た。
【0029】
実施例及び比較例で得られたエステルを下記リンス処方に配合し、健常者パネラー20名に使用させ、「濯ぎ中のきしみ感のなさ」及び「乾燥後のしっとり・まとまり感」等、使用感について官能評価した。評価は下記の絶対評価基準に従い、5段階評価し、評点の平均値を4段階判定基準を用いて判定した。その結果を表1に示す。
・絶対評価基準 ・4段階判定基準
(評点):(評価) (評点の平均点) :(判定)
5点 :非常に良好 4.5点以上 : ◎
4点 :良好 4.0点以上4.5点未満: ○
3点 :普通 3.0点以上4.0点未満: △
2点 :やや不良 3.0点未満 : ×
1点 :不良
・リンス処方
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(80%) : 1.5%
ステアリルアルコール : 4.5%
実施例及び比較例で得られたエステル : 3.0%
高重合度ジメチルポリシロキサン : 0.5%
グリセリン :10.0%
精製水 :80.5%
【0030】
【表1】

【0031】
実施例1〜6で得たワックス状脂肪酸エステルを配合したヘアリンスは、「濯ぎ中のきしみ感のなさ」及び「乾燥後のしっとり・まとまり感」等の使用性は優れたものであった。一方、比較例1〜7で得た脂肪酸エステルを配合したヘアリンスは、使用性において満足するものではなかった。
【0032】
また、本発明のワックス状脂肪酸エステルは、上記インバス製品だけではなく、ヘアミルクやヘアワックス等のアウトバス製品にも使用できる。以下にその処方例を記す。
【0033】
実施例7 ヘアミルクローション
A相 (重量%)
グリセリン 5.00
モノミリスチン酸デカグリセリル 3.00
実施例1のワックス状脂肪酸エステル 1.00
B相
1%−カルボキシビニルポリマー 5.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
精製水 80.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してヘアミルクローションを得た。
【0034】
実施例8 ヘアワックス
A相 (重量%)
実施例5のワックス状脂肪酸エステル 7.50
ワセリン 5.00
モノオレイン酸デカグリセリル 2.00
ステアリン酸 3.50
モノステアリン酸グリセリン 2.00
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 5.00
B相
グリセリン 7.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
精製水 67.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してヘアワックスを得た。
上記に示した毛髪化粧料組成物は、使用面上良好なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のワックス状脂肪酸エステルをヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の毛髪化粧料組成物に使用した場合、従来油分の欠点であった、濯ぎ中のきしみ感を発現せず、且つ乾燥後の毛髪に「しっとり・まとまり感」を付与する効果に優れた毛髪化粧料組成物を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセリン及び/又はその脱水縮合物で水酸基価から算出した平均重合度が3以下のポリグリセリン1.0モルに対し、ヒドロキシステアリン酸:オレイン酸のモル比が9.0:1.0〜4.0:6.0で構成される混合脂肪酸の0.5〜2.0モルをエステル化したワックス状脂肪酸エステル。
【請求項2】
次の成分(1)〜(2):
(1)グリセリン及び/又はその脱水縮合物で水酸基価から算出した平均重合度が3以下のポリグリセリン1.0モルに対し、ヒドロキシステアリン酸の0.5〜2.0モルをエステル化したヒドロキシステアリン酸エステル。
(2)グリセリン及び/又はその脱水縮合物で水酸基価から算出した平均重合度が3以下のポリグリセリン1.0モルに対し、オレイン酸の0.5〜2.0モルをエステル化したオレイン酸エステル。
で構成され(1)と(2)との重量比が3.0:7.0〜7.0:3.0であるワックス状脂肪酸エステル。
【請求項3】
請求項1又は2記載のワックス状脂肪酸エステルを含有する毛髪化粧料組成物。

【公開番号】特開2006−117705(P2006−117705A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303632(P2004−303632)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(390028897)阪本薬品工業株式会社 (140)
【Fターム(参考)】