説明

ワーク切削ラインの表示方法

【課題】半導体ウェハのようなワークでの切削ラインの位置を直観的に認識し易くし、切削ラインの位置の確認を混乱せずに確実に行えるようにする。
【解決手段】第1カメラ22で撮影したワーク全体を映し出す広範囲画像および第2カメラ24で撮影した前記ワークの一部を拡大して映し出す高倍率画像であって工作機械の制御軸座標との対応関係が既知の画像を画像処理装置28により生成し、工作機械の制御装置に記憶しているワークの切削位置データに基づいて画像処理装置により切削ラインの描画データを生成し、ワークの広範囲画像および高倍率画像に切削ラインを重ね合わせてディスプレイ装置30に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク切削ラインの表示方法に係り、特に、例えば、半導体ウェハをダイシングする場合に、半導体ウェハの観察画像に切削ラインを重ね描きするようにしたワーク切削ラインの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スライサなどの工作機械を使って、半導体ウェハのような薄物ワークから半導体チップを切り出す場合、切削ラインに沿って切断する。この切削ラインは、ウェハ上に形成されている回路を傷つけないように、回路パターンの間にある領域を所定の位置でしかも数十ミクロンから数百ミクロンの幅の間を通らなければならない。
【0003】
このような切削ラインを設定する場合、単一種の半導体ウェハを大量に切断するような工程では、半導体ウェハをカメラで撮影し、その画像をコンピュータで処理して切削ラインの位置を自動的に検出し、制御装置への入力を自動化することが行われている(例えば、特許文献1)。
【0004】
他方、多品種少量生産の場合には、マニュアル操作でワーク毎に切削位置を工作機械の制御装置に教示することも従来から行われている。この場合、切削ラインの位置情報を制御装置に入力した後、切削ラインが誤りなく設定されたかどうかを、加工前と加工後にその都度確認する必要がある。多品種少量生産のワークの場合、ワークが高価であったり、試作品で代替の効かないものであったりすることが多く、失敗が許されないケースが多々あるからである。
【0005】
ここで、図10は、工作機械に搭載されているワーク観察用のカメラで半導体ウェハを撮影した画像を示す。半導体ウェハから半導体チップを切断するスライサなどの工作機械には、従来から高倍率のレンズをもったカメラが搭載されており、カメラ画像を液晶ディスプレイ等に映し出せるようになっている。ワークの表面は次のようにしてその場で硯議することができる。
【0006】
図10において、参照番号2a乃至2dは、回路パターンの形成されている領域を示している。参照番号4は、回路パターンの形成されていない平坦領域を示している。切削ラインは、この平坦領域4の中心に設定されることになる。
【0007】
切削ラインを確認するには、まず制御装置に記憶されている切削ラインの教示位置へ制御軸を移動させる。図10に示されるように、画面中央に表示される十字線6と切削したい平坦領域4の中心位置とが重なっていれば、正しく切削ラインが設定されていることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6一224296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、画面に表示されるカメラ画像は、切断の対象となっているワークのごく一部でしかない。通常、一枚の半導体ウェハには、縦横にそれぞれ十数本以上も切削ラインが設定されており、外観的には同一にみえる回路パターンが多数並ぶウェハ上で、視野の狭い画像をみながらの作業は、いったいウェハのどこを見ているのか分からず混乱し易い。
【0010】
また、画面に表示されている画像では、実際に切削ラインが表示されているわけではなく、切削予定の位置が画面の中央に表示されるだけであるにすぎない。切削予定位置が画面中央に表示される十字線6と重なったところで、切削ラインが正しく設定されているとの実感は得にくく、本当にこの位置で切断されるのだろうかと不安になるという問題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、半導体ウェハのようなワークでの切削ラインの位置を直観的に認識し易くし、切削ラインの位置の確認を混乱せずに確実に行えるようこするワーク切削ラインの表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明は、工作機械で切断する薄物ワークの切断予定位置を示す切削ラインを、前記ワークを観察するカメラで撮影した画像上に表示するワーク切削ラインの表示方法において、前記ワークを観察するカメラとして低倍率レンズを有する第1のカメラと高倍率レンズを有する第2のカメラを前記工作機械に設置し、前記第1カメラで撮影した前記ワーク全体を映し出す広範囲画像および前記第2カメラで撮影した前記ワークの一部を拡大して映し出す高倍率画像であって前記工作機械の制御軸座標との対応関係が既知の画像を画像処理装置により生成し、前記工作機械の制御装置に記憶している該ワークの切削位置データに基づいて前記画像処理装置により切削ラインの描画データを生成し、前記ワークの広範囲画像および高倍率画像に前記切削ラインを重ね合わせてディスプレイ装置に表示することを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明ワーク切削ラインの表示方法が適用される工作機械の側面図である。
【図2】ワークである半導体ウェハを低倍率のカメラで撮影した画像の説明図である。
【図3】図3のワークの広範囲画像に切削ラインを重ねて表示した画像の説明図である。
【図4】ワークである半導体ウェハの高倍率画像に切削ラインを重ねて表示した画像の説明図である。
【図5】ワークである半導体ウェハの高倍率画像に切削ラインを切削溝幅の太さで重ねて表示した画像の説明図である。
【図6】半導体ウェハの高倍率画像に切削ラインとともに位置を示すラベルを表示した画像の背説明図である。
【図7】半導体ウェハの広範囲画像に高倍率画像で確認した位置を示すラベルを表示した画像の説明図である。
【図8】半導体ウェハの高倍率画像に切削ラインの全体配置画像を重ねて表示した画像の説明図である。
【図9】半導体ウェハの高倍率画像に切削ラインの全体配置画像を重ねて表示した他の例の画像の説明図である。
【図10】従来の方式で半導体ウェハを高倍率カメラで撮影した画像の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明によるワーク切削ラインの表示方法の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0015】
第1実施形態
図1は、本実施形態によるワーク切削ラインの表示方法が適用される工作機械を示す。図1において、参照番号10は、ベッドを示す。このベッド10には、サドル11がY 軸案内12に沿って移動可能に設置されている。このサドル11には、コラム13が設置されている。このコラム13の側面には、Z軸案内14が設けられている。昇降台15は、Z軸案内14に案内されて昇降自在であり、主軸ヘッド17が水平に取り付けられている。主軸ヘッド17の砥石軸には、砥石ホルダ18を介して円盤状のダイヤモンドブレード19が保持されている。
【0016】
また、ベッド10には、Y軸案内12と直角な方向に延びるX軸案内20が設けられており、加工テーブル21には、旋回軸C軸を有する旋回テーブル23が設置されている。旋回テーブル23には加工対象のワーク40が載るようになっている。この実施形態のワーク40は、電子回路が形成済みの半導体ウェハであり、ダイヤモンドブレード19で切断して半導体チップに切り出す。参照番号26は、制御装置であり、制御軸X軸、Y軸、Z軸、C軸を数値制御する。
【0017】
この実施形態では、ワーク40の表面を観察するための撮影手段として、低倍率レンズを有する第1のカメラ22と、高倍率レンズを有する第2のカメラ24を組み合わせ、取付部材を介して主軸ヘッド17に搭載されている。第1 カメラ22と第2カメラ24により撮影した画像データは、制御装置26と連携しているコンピュータ28に出力される。このコンピュータ28では、ソフトウェアによって画像処理が実行され、ディスプレイ装置30にワーク40の画像が表示される。なお、この実施形態では、画像の処理を制御装置26とは別のコンピュータを利用しているが、制御装置26に組み込まれているコンピュータで処理するようにしてもよい。
【0018】
以下、本実施形態によるワーク切削ラインの表示方法の手順について順を追って説明する。
【0019】
まず、二台あるカメラのうち、低倍率のレンズをもった第1カメラ22を使って旋回テーブル23上にあるワーク40を撮影する。
【0020】
図2は、切断対象のワーク40である半導体ウェハの画像を示す。矩形部分12で示すところが回路パターンの形成されている領域である。白地の部分が回路パターンの形成されていない部分である。半導体チップを切り出すときの切削ラインは縦横に走る白地に設定されることになる。
【0021】
低倍率の第1カメラ22は、工作機械に固定されているため、コンピュータ28で実行する画像処理プログラムによって、制御軸座標(X軸、Y軸) のどの位置が画像のどの部分にあたるかは既知となっている画像データが作られる。
【0022】
もっとも、低倍率の第1カメラ22とワーク40の間の距離が近い場合には、撮影したワーク40の画像には歪みが生じる。そこで、次のようにして画像の歪みを補正する処理を行う。
【0023】
画像の補正
実際に加工するワーク40とは別に、複数の線が縦横に碁盤目状に交差する精度の高い交差模様を描いたダミーワークを用意し、このダミーワークを旋回テーブル23に載せて、低倍率の第1カメラ22で撮影しておく。このダミーワークの画像は、コンピュータ28に送られる。コンピュータ28では、ダミーワークの画像上の交差模様の位置と実際のダミーワーク上の位置とを比較しながら、第1カメラ22のよる映像がどのように歪むかについてのデータを求めておく。そして、歪みのデータを利用して、ワークを撮影した画像を補正する画像処理をコンピュータ28で行い、低倍率のカメラ画像を無限遠から撮影したのと同じような歪みのない画像に補正する。この補正された画像データは、コンピュータ28の記憶装置に記憶され、ワーク40の広範囲画像を表示するのに利用される。
【0024】
切削位置の教示
次に、工作機械の制御装置26に、切削ラインとなるべき切削位置を教示する。切削ラインの教示は、高倍率レンズをもった第2カメラ24によって撮影した画像でワーク40を観察しながら行う。図10に示したように、画面中央に表示される十字線6の線が切削したい位置に合うように、操作盤42を操作しながら制御軸のX軸、Y軸を移動させる。十字線6が切削したい位置にあったら、操作盤42を操作してその位置を切削位置として登録する。この作業を繰り返して、全ての切削ラインの位置を制御装置26に教示する。
【0025】
このようにワーク40における切削ラインの位置を制御装置26に教示している作業の間、ディスプレイ装置30に表示されている第2カメラ24の画像には、どのように切削ラインが登録されたかは表示されていない。そこで、次のようにして、上述した低倍率のレンズをもった第1カメラ22で撮影し歪みのない画像に補正した画像データを使って、ディスプレイ装置30にワーク40を広範囲に表示し、その画像に重ねて制御装置26に登録した切削ラインを重ねて表示する。
【0026】
そこで、図3に、ディスプレイ装置30に切削ラインが重ねて表示されたワーク40の広範囲画像を示す。この図3において、Lx1、Lx2、Lx3、… は、X 軸方向に延びる切削ラインを示し、Ly1、Ly2、Ly3、… は、Y軸方向に延びる切削ラインを示している。
【0027】
コンピュータ28には、制御装置26に教示された切削位置データが入力されており、コンピュータ28は、この切削位置データから切削ラインの描画データを生成し、図2に示したワーク40の広範囲画像に重ねてディスプレイ装置30に表示する。
【0028】
切削幅の表示
図3に示したワーク40の広範囲画像において、切削ラインを示す細い線Lx1、Lx2、Lx3、…、Ly1、Ly2、Ly3、… が縦横に延びているのを見て、オペレータは、教示を行ってワーク上に設定した切削ラインの配置を大まかに確認することができる。もし、制御装置26に登録し忘れた切削ラインがあれば、広範囲画像には表示されないので、一目で分かるようになる。
【0029】
他方、切削ライン全体としての配置は正しいとしても、1つ1つの切削ラインが正確に設定されたかどうかは、図3の広範囲画像からははっきりとは分からない。
【0030】
半導体ウェハから半導体チップを切り出す場合、切削ラインは、ウェハ上の電子パターンを傷つけないように、多くの場合数十ミクロンから 数百ミクロンの許容幅の中を通らなければならない。ワーク40の広範囲画像では、はたして切削ラインがこの許容幅に入っているかどうかを確認することができない。
【0031】
そこで、図4(a)、図4(b) に示すように、コンピュータ28を使って高倍率のレンズをもっている第2カメラ24で撮影した高倍率画像に切削ラインを重ねるようにしてディスプレイ装置30に表示する。
【0032】
この図4(a) において、wは切削ラインが通るべき許容幅を示し、例えば、切削ラインLy4が許容幅wのほぼ中央を通っている場合である。この画像のように、切削ラインLy4が許容幅wの中央を通っていれば、両隣に並ぶ回路パターンを傷つけることなく切断できる。これに対して、図4(b) のように、切削ラインLy4が許容幅wにおいて片側に寄っている場合もある。この場合には、この画像を見ただけでは、切削ラインLy4にそって切断したときに、はたして回路パターンを傷つけることなく切断できるのかどうかは確実にはわからない。
【0033】
そこで、図5に示すように、切削ラインを、ダイヤモンドブレード19で切削したときに実際にできる切削溝の幅に対応した幅を太線で、ワーク40の高倍率画像に重ね描きすることが好ましい。
【0034】
この実施形態では、事前に同種のダイヤモンドブレード19を用いかつ同じ加工条件でワーク40の切削を行い、実際の切削幅の寸法を測定し、そのデータをコンピュータ28に入力して登録している。コンピュータ28は、この切削幅の寸法が高倍率画像の倍率に相関している幅をもっている太線にて、図5に示すように高倍率画像に重ね描きをする。
【0035】
図5(a) に示すように、切削ラインLx4が許容幅wの中央にあれば、これをみたオペレータは、回路パターンを傷つけることのない位置に正確に切削ラインが設定されていることを直観的に確認することが可能になる。
【0036】
これに対して、図5(b) に示すように、切削ラインLx4が許容幅wの片側に寄っていて、しかも許容幅を画する線からはみ出るようになっていたら、これをみたオペレータは、切削ラインが正しく設定されていないことを直感的に把握することができる。
【0037】
この実施形態のように、高倍率画像に重ねて太線で描いた切削ラインには、彩色を付けてぬり潰したり、あるいはハッチングや模様を付して視覚に訴えるようにグラフィカルに描画することが好ましい。
【0038】
また、操作盤42を操作して工作機械の制御軸X軸、Y軸を移動させると、その移動にしたがって第2カメラ24も移動して、高倍率画像に映しだされる部分も移っていき、その位置にあたかも溝があるかのようにみえる。オペレータにとっては、実感の乏しかった従来の確認方法とくべると、切削ラインが正確に設定されたかどうかを具体的なイメージを伴って確認することができる。
【0039】
制御軸移動
上述したように、図3に示したワーク40の広範囲画像では、切削ラインのおおまかな配置を確認し、図5に示した高倍率画像では、切削ラインが正確に設定されているかどうかを確認するのに適している。半導体ウェハの全体とその細部の画像を組み合わせているので、画像を次のようにして相互に切り換える。
【0040】
図3に示したワーク40の広範囲画像において、確認したい任意の位置をオペレータがマウスなどのポインティングデバイスでクリックなどして指定すると、その位置データがコンピュータ28から制御装置26に送られる。制御装置26は、指定された位置に制御軸、X軸、Y軸を移動させるので、ディスプレイ装置30の画面を第2カメラ24により撮影されている高倍率画像に切り換えると、ディスプレイ装置30の画面上には、指定された位置のワーク40の高倍率画像が表示される。このように広範囲画像上で、任意の位置を指定すれば、その位置の高倍率画像での切削ラインの確認をすることができる。
【0041】
このとき、図6示すように、高倍率画像を表示しているディスプレイ装置30の画面には、その位置を示すラベルA1が重ねて表示される。また、高倍率画像で表示しているワーク40上の現在の位置は、位置を指定する度にコンピュータ28の記憶装置に記憶される。図7に示すように、ディスプレイ装置30にワーク40の広範囲画像を表示したときには、それまで高倍率画像で表示した位置がすべてラベルを付けて表示される。このように高倍率画像で確認した位置がワーク40全体の中でどの位置にあたるのかが表示され、表示されたラベルをクリックすると、制御軸、X軸、Y軸 がその位置に移動して第2カメラ24によるその部分の高倍率画像が表示されるので、同じ場所を何度も繰り返して観察するのに便利であり、また、同じ部位を重複して高倍率画像を表示してしまうような非効率をなくすことができる。
【0042】
第2実施形態
次に、本発明によるワーク切削ラインの表示方法の第2の実施形態について、図8、図9を参照して説明する。
【0043】
これまで説明した本発明の第1実施形態は、工作機械でワーク40を加工する前に、制御装置26に教示した切削ラインを確認するために、ワーク40の広範囲画像や高倍率画像に切削ラインを重ねて表示するようにした実施の形態である。
【0044】
ワーク40の加工が終わった後に、切削された状態を確認する場合には、高倍率画像にてワーク40の細部を観察とすると同時に、現在観察している位置がワーク40の全体のどの部分であるかを把握できれば便利である。本来であれば、第1カメラ22の映像と第2カメラ24の映像をディスプレイ装置30に同時に表示すればよいが、ディスプレイ解像度の制約上、同時表示できないことがある。
【0045】
そこで、この第2実施形態では、ワーク40の広範囲画像に重ねていた切削ラインの全体配置画像を図8に示されるように、高倍率画像に重ねて表示するようにしている。この場合、切削ラインの全体配置画像の全体がディスプレイ装置30の画面に表示されるように、倍率を落として、高倍率画像に重ね描きをする。
【0046】
さらに、切削ラインの全体配置画像を単に重ねただけでは、今表示されている高倍率画像がワーク40のどの部分の画像であるかわからないので、例えば、図8に示されるように、現在位置を表すマークMを切削ライン上に表示する。
【0047】
また、現在位置を表すマークを表示する替わりに、図9に示されるように、高倍率画像の画面中央と切削ラインの配置画像上の現在位置とが一致するように、切削ラインの配置画像を重ねて表示するようにしてもよい。
【0048】
このようにして、第2実施形態によれば、高倍率画像にてワーク40の細部を観察とすると同時に、現在観察している位置がワーク40の全体のうちのどの部分であるかを直感的に把握できるので、加工の終わったワークについて、切削された状態を確認する作業を効率良く進めることができる。
【0049】
以上、本発明によるワーク切削ラインの表示方法について、好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、半導体ウェハのダイシング加工以外にも、ガラス基板に溝を精密に加工する場合など、砥石による様々な加工に適用できる。
【符号の説明】
【0050】
10 … ベッド、11 … サドル、13 … コラム、17 … 主軸ヘッド、18 … 砥石ホルダ、19 … ダイヤモンドブレード、21 … 加工テーブル、22 … 第1のカメラ、23 …旋回テーブル、24 … 第2のカメラ、26 … 制御装置、28 … コンピュータ、30 … ディスプレイ装置、40 … ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械で切断する薄物ワークの切断予定位置を示す切削ラインを、前記ワークを観察するカメラで撮影した画像上に表示するワーク切削ラインの表示方法において、
前記ワークを観察するカメラとして低倍率レンズを有する第1のカメラと高倍率レンズを有する第2のカメラを前記工作機械に設置し、
前記第1カメラで撮影した前記ワーク全体を映し出す広範囲画像および前記第2カメラで撮影した前記ワークの一部を拡大して映し出す高倍率画像であって前記工作機械の制御軸座標との対応関係が既知の画像を画像処理装置により生成し、
前記工作機械の制御装置に記憶している該ワークの切削位置データに基づいて前記画像処理装置により切削ラインの描画データを生成し、前記ワークの広範囲画像および高倍率画像に前記切削ラインを重ね合わせてディスプレイ装置に表示することを特徴とするワーク切削ラインの表示方法。
【請求項2】
前記ワークの高倍率画像では、ワークを切削する砥石の幅または砥石で切削したときにできる切削溝幅相当分の太さをもつ太線に模様をつけて前記切削ラインを視覚的に描画することを特徴とする請求項1に記載のワーク切削ラインの表示方法。
【請求項3】
事前に、精度の高い交差模様を描いたダミーワークを前記第1カメラで撮影し、そのダミーワークの画像上の位置と実際のダミーワークの位置とを比較し、前記第1カメラのよる映像がどのように歪むかのデータを予め求めておき、前記歪みデータに基づいて前記第1カメラによる前記ワークの広範囲画像を補正することを特徴とする請求項1に記載のワーク切削ラインの表示方法。
【請求項4】
前記ワークの広範囲画像を表示する前記ディスプレイ装置の画面上で、ポインティングデバイスを使って前記広範囲画像上の任意の位置を指定し、前記指定された位置に制御軸を移動させ、前記ディスプレイ装置に前記第2カメラによる高倍率画像を表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項にワーク切削ラインの表示方法。
【請求項5】
前記高倍率画像で表示しているワーク上の現在の位置を記憶しておき、
前記ディスプレイ装置に前記広範囲画像を表示したときに前記広範囲画像上に現在高倍率画像で表示している位置の表示を重ねて表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のワーク切削ラインの表示方法。
【請求項6】
前記ディスプレイ装置に高倍率画像で表示したワーク上の位置をすべて記憶しておき、前記泥スプレイ装置に前記広範囲画像を表示するときに、それまで高倍率画像で表示した位置を示すすべての表示を前記広範囲画像上に表示することを特徴とする請求項5に記載のワーク切削ラインの表示方法。
【請求項7】
前記位置の表示をポインティングデバイスで指定することにより、指定された位置に制御軸を移動させ、前記ディスプレイ装置に第2カメラによる高倍率画像を表示することを特徴とする請求項6に記載のワーク切削ラインの表示方法。
【請求項8】
前記ディスプレイ装置に高倍率画像を表示した場合には、
前記高倍率画像に重ねて、切削ラインの配置画像全体が高倍率画像の画面に表示できるように前記切削ラインの配置画像の倍率を落として重ねて表示することを特徴とする請求項1に記載のワーク切削ラインの表示方法。
【請求項9】
前記切削ラインの配置画像には、前記高倍率画像で表示しているワーク上の現在位置を表示することを特徴とする請求項8に記載のワーク切削ラインの表示方法。
【請求項10】
前記高倍率画像で表示している画面中央と、前記切削ラインの配置表示画像上の現在位置が一致するように重ねて表示することを特徴とする請求項8に記載のワーク切削ラインの表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−190987(P2012−190987A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52879(P2011−52879)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】