説明

一体型補強クロスメンバー

ある実施形態は、膨張性材料(51)がキャリア(2)の外面の少なくとも一部に付着したキャリア(2)を有する一体型補強クロスメンバーを備える。キャリア(2)はセンター部(3)及び2つの端部(5、7)からなり、それぞれの端部(5、7)は、交差壁(17、25、35)及び水平連結壁(19、23、37.39)を介して結合された外側壁(9)及び内側リブ(11)を備える。クロスメンバー(1)は対応する構造部材のくぼみに挿入されて、膨張性材料(51)が活性化され、膨張し、くぼみの内側の適所にクロスメンバー(1)をしっかりと固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造部材の補強材に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの製品は、金属構造部材からなるボディや筐体を有する。単にいくつかの例として、自動車、トラック及び他の自動車両は、一部の消費材と同様に、フレーム、シャーシ又は他の箇所の部品として、対応するボディまたは筐体を形成する金属構造部材を有する。金属構造部材は、ねじれ強度、衝突衝撃抵抗及び他の所望の特性を付加する。しかし、それらの有益な特性には、製品全体の重量又はコストの増加という形のトレードオフが大抵ないわけではない。
【0003】
これらのトレードオフを幾分補うために、多くの製品は、空洞部が形成されたボディまたは筐体を有する。単にいくつかの例として、自動者、トラック又は他の自動車両の一部の構造部材は、対応するボディ又は筐体を形成する内側及び外側のパネルの間、ピラーの中またはフレーム部材の内側に、形成された様々な孔、くぼみ、通路及び開口(まとめて「空洞部」)を有する。空洞部は、これらの製品において、材料費の削減と同様に最終製品の総重量を軽減するために作られることが多い。しかし、空洞部の導入はそれ自体がトレードオフであることが多い。例えば、空洞部の導入は、全体的な強度又は構造部材のエネルギー吸収特性を減少しうる。さらに、空洞部は製品の他の箇所へ振動又は音の伝達を増加する結果になりうる。
【0004】
これら及び他のトレードオフを補うことを試みるために、構造補強材を金属構造部材の補足又は代替に使うことは公知である。ある現在の補強材は、概して成形部品であるキャリアに適用される膨張性材料を含む。膨張性材料は、その製品の製造中に膨張し、膨張した材料が製品の近接面に接触して補強材を適所にしっかり固定する。しかし、そのような補強材の中の膨張性材料は、キャリアにしっかりと結合されていないこともあり、不均等または不適切なシーリングの原因になる。また、膨張性材料の膨張は、製品の製造又は最終利用中に空洞部内の液体の蓄積を悪化させることがあり、腐食又は他の好ましくない影響に至る。加えて、構造補強材は、特に自動組立環境における使用の容易さ及び正確性を可能にする特性を有さないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許第2174667号明細書
【特許文献2】米国特許第6387470号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、これら及び他の欠点を軽減する改良された構造補強材が依然として大いに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例として添付する図面を参照ながら以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態による一体型補強クロスメンバーの上からの斜視図である。
【図2】本実施形態による一体型補強クロスメンバーの下からの斜視図である。
【図3】本発明による一体型補強クロスメンバーの一端の上からの部分斜視図である。
【図4】本発明による一体型補強クロスメンバーの一端の下からの部分斜視図である。
【図5】本発明による一体型補強クロスメンバーの一端の部分底面図である。
【図6】自動車両に取り付けられた本発明による一体型補強クロスメンバーの一端の部分図を示す自動車両のフロアパンの部分断面斜視図である。
【図7】自動車両に取り付けられた本発明による一体型補強クロスメンバーの一端の部分図を示す自動車両のフロアパンの他の角度の部分断面斜視図である。
【図8】自動車両に取り付けられた本発明による一体型補強クロスメンバーの一端の部分図を示す自動車両のフロアパンの部分断面斜視図である。
【図9】自動車両に取り付けられた本発明による一体型補強クロスメンバーの一端の部分図を示す自動車両のフロアパンの他の角度の部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の他の態様は、当業者が下記の図面及び詳細な説明を精査すれば明らかである。
【0010】
本発明をここで説明する実施形態だけに限定するものではなく、かつ他の実施形態を否定するものでもなく、いくつかの実施形態は、キャリアの外面の少なくとも一部に付着する膨張性材料を有するキャリアを有する一体型補強クロスメンバーを備える。キャリアはセンター部及び2つの端部からなり、それぞれの部位は、交差壁及び水平連結壁によって結合した外側壁及び内側リブを備える。ある実施形態では、補強される構造部材の形状に適合するために、端部が弓状、蛇状又は変形した「S」形状である。クロスメンバーは、対応する構造部材のくぼみの中に挿入され、クロスメンバーは、くぼみの内面の少なくとも一部と、くぼみの内面に対面する膨張性材料の少なくとも一部と、に対応する形状を有する。膨張性材料は加熱され、加熱時に膨張し、向かいのくぼみの内面にさらに接触し、クロスメンバーをくぼみ内の適所にしっかり固定する。
【0011】
図1で示すように、限定することなくある実施形態では、一体型補強部材1は、3つの部位からなる、すなわちセンター部3、並びに2つの端部5及び7であり、端部は、それぞれセンター部に結合される。この実施形態では、端部5及び7は、手を使わないかつエラーを防止する使用、並びにクロスメンバーの取り付けを安易にするためにかなり類似する。
【0012】
図1及び図2に示すように、センター部3は、通常クロスメンバー1の両端部13及び15の間を長軸方向に延在する少なくとも2つの外側壁9及び少なくとも2つの内側リブ11を備えるキャリア2からなる。外側壁9及び内側リブ11は、その長軸方向に対してクロスメンバーと断面的に交差して延在する複数の交差壁17によって交差して結合される。図2に示すように、外側壁9及びその最も近接する内側リブ11の対応する対それぞれは、第1水平連結壁19によって底面でさらに結合され、外側壁9、内側リブ11及び第1水平連結壁19からなる仕切りを形成する。それぞれの第1水平連結壁19は、組立工程の間にチャンバーからの液体の排出を可能にするために、任意に1つ以上のドレイン孔21を有してもよい。同様に、図1に示すように、近接する内側リブ11の対それぞれが、上側で第2水平連結壁23によって結合され、2つの内側リブ11及び第2水平連結壁23からなる仕切りを形成する。しかし、それは上側なので、ユーザーの裁量で含まれることがあっても、一般的には第2水平連結壁23に排水孔21は必要ではない。
【0013】
センター部3は、クロスメンバー1の端部5及び7に交差壁25において結合する。1つの典型的な端部が図3〜図5で示されるが、本発明の実施形態は、両端部がほぼ相似するこれらの例だけに限定されるものではないことは理解できるだろう。端部7は、少なくとも2つの外側壁27と、少なくとも2つの内側リブ29と、外側壁27と内側リブ29との間に配置される少なくとも1つのセンターリブ31と、2つの内側リブ29の間に配置される少なくとも1つの第2センターリブ33と、を有するキャリア2からなる。外側壁27、内側リブ29、及びセンターリブ31、33は、通常クロスメンバー1の長軸方向に端13から端15まで延在する。壁27、内側リブ29及びセンターリブ31並びに33は、クロスメンバーと断面的に交差して延在する複数の交差壁35と交差して結合される。図3〜図5の実施形態に示されるように、それぞれの外側壁27、その最も近接する内側リブ29及びこれらに近接する第1センターリブ31は、第3水平連結壁37を介して底面でさらに連結され、仕切りを形成する。それぞれの第3水平連結壁37は、組立工程の間に仕切りから液体の排出を可能にするために、任意に1つ以上の排水孔21を有してもよい。同様に、内側リブ29及び第2センターリブ33が、第4水平連結壁39を介して上側で連結されて、仕切りを形成する。しかし、それは上側なのでユーザーの裁量で含まれることがあっても、一般的には第4水平連結壁39に排水孔21は必要ではない。任意で、端部5は、やはり長軸方向に延在し、かつ内側リブ29、第2センターリブ33及び第4水平連結壁39によって形成された仕切りに配置されるサポートリブ41を備えてもよい。
【0014】
外側壁27は、キャリア2の両端部の両側に外側面を備える。1つ以上の係止ポート43は外側壁27の外側面に任意に形成され、より詳細に後述されるように、膨張性材料51の一部をキャリア2に機械的に係止する。同様に1つ以上の係止機構45が、同様の目的のためにキャリア2の底面に任意に形成されてもよい。
【0015】
キャリア2の端部7もまた、加熱前にその所望の位置に取り付ける時、クロスメンバー1をサポートする1つ以上のパッド47を有してもよい。パッド47は、活性化でそれに続く膨張性材料51の膨張に適合するため、かつ/または、クロスメンバーを構造部材の近接面から離間して持ち上げてエレクトロ・コーティングを排出するための隙間を持たせるために構造部材の近接面から離間して一体型補強クロスメンバーを配置する。限定することなく他の実施形態において、パッド数は限定なく減少または除外されてもよい。
【0016】
また、キャリア2の端部7は、クロスメンバー1を取り付ける構造部材の対応する機構、限定することなく単に一例として、ボルトまたは他の突起部のようなもの、に適合するために任意に1つ以上の調整部品、仕切り、または他のアダプター49を含んでもよい。
【0017】
限定することなくある実施形態では、センター部3の外側壁9は、それぞれの端部の外側壁27よりも、クロスメンバー1の中央長軸に近接するように構成される。そのような構成において、センター部3は、ロボットなどのような手動または自動ツールで対応する構造部材にクロスメンバー1を取り付けるための位置決め及び/またはグリップとしての機能を果たす側面に切込みを入れた部分をクロスメンバー1に備える。
【0018】
センター部3は、開示された本実施形態ではかなり類似した端部5及び7を連結する補強トラス構造としての機能を果たす。クロスメンバー内で長軸方向に延在する外側壁及び内側リブは、補強クロスメンバーが取り付けられた構造部材の耐衝撃性を向上させるために、強度及びエネルギー吸収能力を付加する。例えば、自動車両のフロアパン上の横断面の構造部材に取り付けられたクロスメンバーは、自動車両事故での横衝突衝撃からの力を吸収する。これらの特性は、外側壁及び内側リブをさらに接合する交差壁及び水平連結壁によって強化される。
【0019】
一体型補強クロスメンバー1それぞれは、構造部材内の類似した形状及び大きさを有する特定のくぼみに適合する形状及びサイズで設計される。キャリア2のサイズ及びデザインは、通常クロスメンバー1が取り付けられる構造部材のくぼみのサイズ及び形状によって決定付けられる。例えば、図1及び図2の実施形態では、端部5及び7の一部は、自動車両のフロアパンのくぼみ及びこぶに概して適合するようにアーチ型、蛇状、または変形した“S”形状である。さらにある実施形態では、いずれかの端部及び/または外側壁は、構造部材の形状に適合するために曲げられても、または斜めにされてもよい。例えば、図1に示される実施形態では、クロスメンバー1が取り付けられるそれぞれの構造部材の形状に適合するために、端部5及び7の端壁は、約3度で下から上に外側に曲げられており、端部の外側壁21は、約10度〜15度で下から上に外側に曲げられている。キャリア2は、くぼみの大部分を埋めるように概して構成され、膨張性材料51が膨張し、キャリア2と、くぼみを画定する構造部材の近接端部と、の間の接合部分を埋めるように構成される。
【0020】
単に一例として、自動車両の用途において、キャリア2は、膨張性材料51の活性化温度と、自動車両ボディとその構造部材とに製造中に課せられる焼付温度(bake temperature)と、の双方よりも高い融点を有する成型材料で一体物として形成されるのが好ましい。キャリア2の材料が軟らかくなる温度も焼付温度を超えていることが好ましい。つまり、キャリア2は、焼付工程の前、間及び後でその形状をほぼ維持することができるため、膨張性材料51は、単にいくつかの例として、ピラー、ロッカーパネルまたはフレーム部材などの構造部材の一部をしっかりと埋めるように膨張する。
【0021】
キャリア2は様々な便利な材料で作られてもよく、唯一の主な考慮すべき事項は膨張性材料51の活性化条件である。膨張性材51を活性化するために使用された刺激に応じて、キャリア2の形状はほぼ変化しないままである。熱活性化材料を使用時、キャリアは、選択した熱源において使用された温度で融解すべきでない。単に一例として、一般的な熱活性化材料を活性化する方法は、コーティング及び/または塗装工程の間に自動車両に適用された高温で、熱活性材料を膨張させることである。自動車両の構造材料において使用されるとき、キャリア2は、自動車製造工程のコーティング、塗装及び/または乾燥工程に伴う高温に耐えることができる材料で作られるべきであり、通常は熱膨張性材料を活性化するのに向いている。
【0022】
キャリア2は(金属を含む)様々な材料から作ることができるが、キャリア2が、重量の低減及び開口部にキャリアを取り付けるのに必要な力の軽減の理由から、プラスチックから製造されることが好ましい。ナイロンはキャリア2を製造するのに好ましい材料であるが、所望される物理的特性に応じてなにか他の好適な材料が使用されてもよい。
【0023】
開示された実施形態に限定することなく、かつ他の実施形態を否定することなく、一体型補強クロスメンバー1は膨張性材料51が配置されたキャリア2からなる。図1〜図9で示されるように、ある実施形態では、膨張性材料51は、外側壁27の外側面の少なくとも一部に配置される。膨張性材料51は供給されるとき、係止ポート43及び/または係止機構45の中に取り込まれ、膨張性材料51は、活性化されると、クロスメンバー1が配置された構造材料のくぼみの内面と接触するように膨張する。
【0024】
膨張性材料51は、活性化されると膨張する任意の好適な材料であってよい。限定することなくある実施形態では、膨張性材料51が、キャリア2の所定の箇所に適合するように構成され、かつキャリア2の任意の面上に配置される半剛部品として、キャリア2の上に成形される。膨張性材料51は、ユーザーが選択したキャリア上の任意の位置及び任意の範囲に配置されてもよい。限定することなく図1〜図9の実施形態では、膨張性材料51は端部5及び7の外側壁27の外面の少なくとも一部と、第3水平連結壁37の一部と、に配置されるため、膨張性材料51は、活性化されると、構造部材の近接面に接触するように膨張する。
【0025】
膨張性材料51は当業者には公知の方法によりキャリア2に成形される。製造業で公知の方法は、特に膨張性材料51をキャリア2の対応する所望の箇所に適合する形状の硬質な部品へ成形する方法を含む。限定することなくある実施形態では、膨張性材料51は活性化前の、流動性を有する状態でキャリア2に塗布され、かつクロスメンバー1の製造中にキャリア2に成形される。膨張性材料51は、形成前のキャリア2を含む型(図示しない)に材料を射出及び/またはプレスすることによってキャリア2に適用される。それぞれのキャリアの形状またはデザインのために、膨張性材料51用に対応する型一式を作らないといけない。事前に決められた膨張性材料51の厚みが、キャリア2上の所定の位置に成形される。膨張性材料51の最初の厚みと、膨張係数及び焼付温度などの他の特性と、は当業者には公知の方法により膨張後の膨張性材料51の所望の厚みを供給するために確定される。
【0026】
図3及び図5に示されるように、限定することなくある実施形態では、成形工程の間にキャリア2に適用されるとき、膨張性材料51は、通常位置53で溝(図示せず)を通って第4水平連結壁39を介して下方に向かって流れる。膨張性材料51は溝に流れ込み、膨張性材料51が外側壁27及び第3水平連結壁それぞれの外面及び底面の少なくとも一部に配置される。ある形態では、成形工程が、第4水平連結壁39の上面に配置される1つ以上の膨張性材料パッド55を作る。膨張性材料パッド55は、キャリア2の適所で膨張性材料51をさらに係止し、それと膨張性材料51が活性化されたとき、構造部材のくぼみにおいてクロスメンバー1をしっかり固定する。キャリア2が、成形中に膨張性材料の流れを封じ込め、適合し、かつ/または案内するための機構、単にいくつかの例として、棟部、調整部及び同様の機構を含んで構成されてもよいことは当業者には理解できるだろう。限定することなく単に一例として、第2センターリブ33及び/またはサポートリブ41は、通常箇所57に1つ以上のパススルー56を供給するように構成され、膨張性材料51がキャリアを通して流れ、キャリアの端部の所望の位置に向かうことができるようにする。また、成形工程の間に、膨張性材料51が、膨張性材料51がこれらの機構に捕捉され、キャリアの適所において膨張性材料をさらに係止できるように、係止ポート43及び/または係止機構45に案内されてもよい。
【0027】
可能性がある実施形態を限定することなく、膨張性材料51は任意の好適な熱膨張性材料であってよい。そのような材料は、限定することなく構造補強目的及び防音(baffling)目的を含む他の目的として当業者に周知である。自動車の用途において使用されるとき、膨張性材料51の1つの必要な特性は、それが製造時に自動車ボディの焼付温度以下の活性化温度を有すべきであるということである。例えば、自動車の製造では約177℃(350°F)の焼付温度を有することが一般的である。よって、自動車の製造において使用される好ましい膨張性材料は、例えば149℃(300°F)のようなこの値より低い活性化温度を有すべきである。
【0028】
膨張性材料51は様々な膨張性材料を含んでもよいが、温度の変化または化合物の導入に反応するなどの活性化時に膨張するものが好ましい。限定することなく1つの実施形態では、膨張性材料は熱膨張性発泡材料であるが、活性化により膨張し、かつ成形される前に流動できる任意の材料が好適な膨張性材料である。それは、膨張性材料51が膨張する前に、材料を型に流し込むことができ、かつ膨張性材料51がキャリア2によって画定される様々な形状を呈することできるように十分に低い粘度を有するということである。ある実施形態では、活性化前の膨張性材料51の粘度は、膨張性材料が一度キャリア2に塗布されても基本的に静止するように十分に高くないといけない。ある実施形態では、膨張性材料51は乾いた、初期は非粘着性で、構造補強材1が、膨張性材料が膨張する活性化温度に加熱されたとき、膨張性材料51が構造部材に付着するように、膨張すると粘着性になる材料の形をなす。
【0029】
任意の膨張性材料は、クロスメンバー1が配置された構造部材のくぼみを埋めるために活性化時に十分に膨張できるよう使用され供給される。単にいくつかの例として、一連の好適な膨張性補強材料が、特許文献2において説明されており、全体を参照することにより具現化されている。その材料はニュージャージー州、LyndhurstのSika株式会社で販売されている。好適な膨張性材料は、Sika株式会社よりSikaReinforcer(商標)の商標で市販されている。
【0030】
限定することなく単に一例として、膨張性材料51は、自動車両の構造部材に構造補強を供給することができる。膨張性材料51が配置されるキャリア2を備える一体型補強クロスメンバー1は、フレームレール、ピラーまたは他の部材などのような自動車の構造部材のくぼみ内に配置可能である。次に膨張性材料51は、膨張する活性化温度に加熱される。膨張時、膨張性材料51は、構造部材の近接面の少なくとも一部に付着する。したがって一体型補強クロスメンバーは、構造部材が簡単に曲げられたり、圧縮されたり、または変形されないように、構造部材に補強をもたらす。
【0031】
本発明を開示された実施形態だけに限定することなしに、図6〜図9は、自動車両の構造部材を備える実施形態例を示す。ある実施形態によると、一体型補強クロスメンバー1は、自動車両の構造部材59、ここでは下端のフレームの交差レール、のくぼみ58内に配置される。クロスメンバー1は交差レール59のくぼみ58の中にロボットで挿入される。製造工程の中で、取り付けられたクロスメンバー1を含む交差レール59は、エレクトロ・コーティング溶液槽に漬けられる。余計な溶液はクロスメンバー1から排液孔21(図6〜図9に図示せず)を通って、また交差レール59に沿って流れ、レール65の切り欠きから排出する。次にクロスメンバー1を含む組立体は、熱したオーブンに配置され、そこで、一般的には177℃(約350°F)でエレクトロ・コーティング溶液が構造体に焼き付けられる。焼付工程の間、膨張性材料51は活性化され、膨張し、レール59内の適所にクロスメンバー1を配置ししっかりと固定する。クロスメンバー1を、自動車両の状況における例で説明したが、構造部材を補強するために他の様々な製品の接合においても、それが使用可能であることは理解できるだろう。
【0032】
本発明は前述の好適な及び代替の実施形態を参照して詳細に説明してきたが、当業者であれば、添付の請求項の範囲で規定される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、ここで説明した本発明の実施形態の様々な代替物を用いて本発明を実施できることを理解できるだろう。添付の請求項が本発明の範囲を規定し、これらの請求項の範囲内の方法及び装置、並びに同等物が本発明の範囲に含まれるものとする。本発明の記載は、ここに開示した要素の新規な組み合わせ及び明示にしていない組み合わせの全てを含むと解釈すべきであり、これらの要素のあらゆる新規な組み合わせ及び明確にしていない組み合わせを本願または出願で請求することができる。上記の実施形態は例示目的であって、本願または後の出願で請求できるあらゆる可能な組み合わせに必須の構造または要素ではない。
【符号の説明】
【0033】
1 一体型補強クロスメンバー、一体型補強部材、クロスメンバー、構造補強材
2 キャリア
3 センター部
5、7 端部、端
9、27 外側壁、壁
11、29 内側リブ
17、35 交差壁
19 第1水平連結壁
21 排水孔
23 第2水平連結壁
31 第1センターリブ
33 第2センターリブ
37 第3水平連結壁
39 第4水平連結壁
47 パッド
51 膨張性材料
56 パススルー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部材のくぼみの内側に位置するように適応した一体型補強クロスメンバー(1)であって、
センター部(3)及び2つの端部(5、7)を有するキャリア(2)を備え、
それぞれの前記端部(5、7)は、前記センター部(3)に結合されており、
前記キャリア(2)の前記センター部(3)は、概して当該クロスメンバー(1)の長軸方向に延在する少なくとも2つの外側壁(9)及び少なくとも2つの内側リブ(11)を有しており、
前記外側壁(9)及び前記内側リブ(11)は、前記クロスメンバー(1)と断面的に交差して延在する複数の交差壁(17)によって交差し、
それぞれの前記外側壁(9)は、第1水平連結壁(19)を介してその最も近接する前記内側リブ(11)にさらに結合し、
前記内側壁(11)の対それぞれは、第2水平連結壁(23)を介してさらに結合し、
前記キャリア(2)のそれぞれの前記端部(5、7)は、概して前記クロスメンバーの長軸方向に延在する少なくとも2つの外側壁(27)及び少なくとも2つの内側リブ(29)を有し、
前記外側壁(27)及び前記内側リブ(29)は、当該クロスメンバー(1)と断面的に交差して延在する複数の前記交差壁(17)によって結合し、
それぞれの前記外側壁(27)は、第3水平連結壁(37)を介してその最も近接する前記内側リブ(29)にさらに結合し、
前記内側リブ(29)の対それぞれは、第4水平連結壁(39)を介してさらに結合し、
それぞれの前記端部(5、7)のそれぞれの前記外側壁(27)は、外側面を備え、
膨張性材料(51)は、それぞれの前記端部(5、7)のそれぞれの前記外側面の少なくとも一部、及びそれぞれの前記第3水平連結壁(37)の少なくとも外側の一部に配置され、
前記膨張性材料(51)は、活性化されると、前記構造部材のくぼみの内面と接触するように膨張することを特徴とする一体型補強クロスメンバー(1)。
【請求項2】
前記センター部(3)の前記外側壁(9)は、それぞれの前記端部(5、7)の前記外側壁(27)より、当該クロスメンバー(1)の中央長軸に近接するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の一体型補強クロスメンバー(1)。
【請求項3】
それぞれの前記端部(5、7)は、前記外側壁(27)及び前記内側リブ(29)の間に配置された少なくとも1つの第1センターリブ(31)と、2つの前記内側リブ(29)の間に配置された少なくとも1つの第2センターリブ(33)と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の一体型補強クロスメンバー(1)。
【請求項4】
前記膨張性材料(51)の1つ以上のパッド(47)が、前記第4水平連結壁(39)の上面に配置されることを特徴とする請求項1に記載の一体型補強クロスメンバー(1)。
【請求項5】
それぞれの前記第1及び第3水平連結壁(19、37)は、1つ以上の排水孔(21)を有することを特徴とする請求項1に記載の一体型補強クロスメンバー(1)。
【請求項6】
それぞれの前記端部(5、7)の前記外側壁(27)は、複数の係止ポート(43)を有し、
前記膨張性材料(51)が、該膨張性材料(51)が係止ポートに取り込まれるように前記キャリア(2)の少なくとも一部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の一体型補強クロスメンバー(1)。
【請求項7】
前記構造部材が、自動車両のピラー、パネルまたはフレームレールであることを特徴とする請求項1に記載の一体型補強クロスメンバー(1)。
【請求項8】
1つ以上のパススルー(56)をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の一体型補強クロスメンバー(1)。
【請求項9】
構造部材のくぼみの内側に位置するように適応した一体型補強クロスメンバー(1)であって、
センター部(3)及び2つの端部(5、7)を有するキャリア(2)を備え、
それぞれの前記端部(5、7)は、前記センター部(3)に結合されており、
前記キャリア(2)の前記センター部(3)は、概して当該クロスメンバー(1)の長軸方向に延在する少なくとも2つの外側壁(9)及び少なくとも2つの内側リブ(11)を有しており、
前記外側壁(9)及び前記内側リブ(11)は、前記クロスメンバー(1)と断面的に交差して延在する複数の交差壁(17)によって交差し、
それぞれの前記外側壁(9)は、第1水平連結壁(19)を介してその最も近接する前記内側リブ(11)にさらに結合し、
前記内側リブ(11)の対それぞれは、第2水平連結壁(23)を介してさらに結合し、
前記キャリア(2)のそれぞれの前記端部(5、7)は、概して当該クロスメンバーの長軸方向に延在する少なくとも2つの外側壁(27)及び少なくとも2つの内側リブ(29)を有し、
前記外側壁(27)及び前記内側リブ(29)は、当該クロスメンバー(1)と断面的に交差して延在する複数の交差壁(35)によって結合し、
それぞれの前記端部(5、7)のそれぞれの前記外側壁(27)は、外側面を備え、
膨張性材料(51)は、それぞれの前記端部(5、7)のそれぞれの前記外側面の少なくとも一部、及びそれぞれの第3水平連結壁(37)の少なくとも外側の一部に配置され、
前記膨張性材料(51)は、活性化されると、前記構造部材のくぼみの内面と接触するように膨張し、
前記センター部(3)の前記外側壁(9)は、それぞれの前記端部(5、7)の前記外側壁(27)より、当該クロスメンバー(1)の中央長軸に近接するように構成されることを特徴とする一体型補強クロスメンバー(1)。
【請求項10】
1つ以上のパススルー(56)をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の一体型補強クロスメンバー(1)。
【請求項11】
くぼみを備える自動車両の構造部材と、
前記構造部材のくぼみに配置された一体型補強クロスメンバー(1)と、
を備える自動車両の補強型構造部材であって、
前記クロスメンバー(1)は、センター部(3)及び2つの端部(5、7)を有するキャリア(2)を備え、
それぞれの前記端部(5、7)は、前記センター部(3)に結合されており、
前記キャリア(2)の前記センター部(3)は、概して前記クロスメンバー(1)の長軸方向に延在する少なくとも2つの外側壁(9)及び少なくとも2つの内側リブ(11)を有しており、
前記外側壁(9)及び前記内側リブ(11)は、クロスメンバー(1)と断面的に交差して延在する複数の交差壁(17)によって交差し、
それぞれの前記外側壁(9)は、第1水平連結壁(19)を介してその最も近接する前記内側リブ(11)にさらに結合し、
前記内側リブ(11)の対それぞれは、第2水平連結壁(23)を介してさらに結合し、
前記キャリア(2)のそれぞれの前記端部(5、7)は、概して前記クロスメンバーの長軸方向に延在する少なくとも2つの外側壁(27)及び少なくとも2つの内側リブ(29)を有し、
前記外側壁(27)及び前記内側リブ(29)は、前記クロスメンバー(1)と断面的に交差して延在する複数の前記交差壁(17)によって結合し、
それぞれの前記外側壁(27)は、第3水平連結壁(37)を介してその最も近接する前記内側リブ(29)にさらに結合し、
前記内側リブ(29)の対それぞれは、第4水平連結壁(39)を介してさらに結合し、
それぞれの前記端部(5、7)のそれぞれの前記外側壁(27)は、外側面を備え、
膨張性材料(51)は、それぞれの前記端部(5、7)のそれぞれの前記外側面少なくとも一部、及びそれぞれの第3水平連結壁(37)の少なくとも外側の一部に配置され、
前記膨張性材料(51)は、活性化されると、前記構造部材のくぼみの内面と接触するように膨張することを特徴とする補強型構造部材。
【請求項12】
前記センター部(3)の前記外側壁(9)は、それぞれの前記端部(5、7)の前記外側壁(27)より、前記クロスメンバー(1)の中央長軸に近接するように構成されたことを特徴とする請求項11に記載の補強型構造部材。
【請求項13】
それぞれの前記端部(5、7)は、前記外側壁(27)と前記内側リブ(29)との間に配置された少なくとも1つの第1センターリブ(31)、及び2つの前記内側リブ(29)の間に配置された少なくとも1つの第2センターリブ(33)をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の補強型構造部材。
【請求項14】
前記膨張性材料(51)の1つ以上のパッド(47)が、前記第4水平連結壁(39)の上面に配置されることを特徴とする請求項11に記載の補強型構造部材。
【請求項15】
それぞれの前記第1及び第3水平連結壁(19、37)は、1つ以上の排水孔(21)を有することを特徴とする請求項11に記載の補強型構造部材。
【請求項16】
それぞれの前記端部(5、7)の前記外側壁(27)は、複数の係止ポート(43)を有し、
前記膨張性材料(51)が、該膨張性材料(51)が係止ポートに取り込まれるように前記キャリア(2)の少なくとも一部に配置されることを特徴とする請求項11に記載の補強型構造部材。
【請求項17】
前記構造部材が、自動車両のピラー、パネルまたはフレームレールであることを特徴とする請求項11に記載の補強型構造部材。
【請求項18】
1つ以上のパススルー(56)をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の補強型構造部材。
【請求項19】
くぼみを備える自動車両の構造部材と、
前記構造部材のくぼみの内側に位置するように適応された一体型補強クロスメンバー(1)と、
を備える自動車両の補強型構造部材であって、
前記クロスメンバー(1)は、センター部(3)及び2つの端部(5、7)を有するキャリア(2)を備え、
それぞれの前記端部(5、7)は、前記センター部(3)に結合されており、
前記キャリア(2)の前記センター部(3)は、概して前記クロスメンバー(1)の長軸方向に延在する少なくとも2つの外側壁(9)及び少なくとも2つの内側リブ(11)を有しており、
前記外側壁(9)及び前記内側リブ(11)は、前記クロスメンバー(1)と断面的に交差して延在する複数の交差壁(17)によって交差し、
それぞれの前記外側壁(9)は、第1水平連結壁(19)を介してその最も近接する前記内側リブ(11)にさらに結合し、
前記内側リブ(11)の対それぞれは、第2水平連結壁(23)を介してさらに結合し、
前記キャリア(2)のそれぞれの前記端部(5、7)は、概してクロスメンバーの長軸方向に延在する少なくとも2つの外側壁(27)及び少なくとも2つの内側リブ(29)を有し、
前記外側壁(27)及び前記内側リブ(29)は、前記クロスメンバー(1)と断面的に交差して延在する複数の交差壁(35)によって結合し、
それぞれの前記端部(5、7)のそれぞれの前記外側壁(27)は、外側面を備え、
膨張性材料(51)は、それぞれの前記端部(5、7)のそれぞれの前記外側面の少なくとも一部に配置され、
前記膨張性材料(51)は、活性化されると、前記構造部材のくぼみの内面と接触するように膨張し、
前記センター部(3)の前記外側壁(9)は、それぞれの前記端部(5、7)の前記外側壁(27)より、前記クロスメンバー(1)の中央長軸に近接するように構成されることを特徴とする補強型構造部材。
【請求項20】
前記一体型補強クロスメンバーは1つ以上のパススルー(56)をさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の補強型構造部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−519322(P2011−519322A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540116(P2010−540116)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068177
【国際公開番号】WO2009/080814
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】