説明

一体形コア採取システム

ボーリング孔の周りの地下地層をコア採取するシステムであって、コア採取されるべき地層の近くでボーリング孔内に位置決め可能であってモータを含むツール本体と、モータに連結された回転駆動ヘッドと、一端が回転駆動ヘッドに連結されると共に他端がドリルビットを支持した回転ツールと、ボーリング孔内に固定可能に動作可能なアンカー及びツール本体及び回転ツールを前進させる軸方向駆動装置を含む駆動機構体と、回転ツールをボーリング孔から周囲地層中に側方に押し込むガイドとを有し、回転ツールは、環状ドリルビットを運ぶ管状コア採取ツールである、コア採取システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あらかじめ掘削した坑井の側部からの地層コアの取り出しに関する。特に、本発明は、このプロセスを実施する一体形コア採取装置及び得られたコアのダウンホール分析に関する。
【背景技術】
【0002】
地層コア採取は、貯留層又は他の岩石層の垂直区分の詳細な研究及び分析にとって必要である。コアをできるだけ無傷のままで回収するため、コアは、環状コアビットによって岩石から切断される。岩石の中央柱は、コア採取ビットの中心を通り、ビットが深く掘削すると、コア採取ビットの上方に位置する中空円筒形コアバレルによって受け入れられ、この中空円筒形コアバレル内において、岩石中央柱は、一連のゴムバッフルによって保護される。ビットがコアバレルを満たすのに十分深く掘削を行なうと、コアバレルは、穴から引き出され、そしてコアは、研究のために取り出される。これを行なうことにより、岩石層の実際の順序を容易に識別することができる。
【0003】
コアサンプルは、可能な限り最大レベルまで損傷されない物理的に変わらない状態で採取される。地層材料は、堅い岩石、脆い岩石、れき岩、非圧密状態の砂、石炭シェール、ガンボ又は粘土である場合がある。
【0004】
今日用いられている典型的なコア採取ツールは、国際公開第2007/027683号パンフレットに見られる。このコア採取ツールでは、比較的小さなコアサンプルしか得ることができず、又、1つのコアしか収集することができず、その後において、ツールを分析のために地表まで回収しなければならない。
【0005】
コア採取ツールの他の例は、米国特許出願公開第2007/0215349号明細書、米国特許第4,714,119号明細書及び同第5,667,025号明細書に見受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/027683号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0215349号明細書
【特許文献3】米国特許第4,714,119号明細書
【特許文献4】米国特許第5,667,025号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ボーリング孔の周りの地下地層のコアを採取するシステムであって、
コア採取されるべき地層の近くでボーリング孔内に位置決め可能なツール本体を有し、ツール本体は、モータを含み、
モータに連結された回転駆動ヘッドを有し、
一端が回転駆動ヘッドに連結され、他端がドリルビットを支持した回転ツールを有し、
ボーリング孔内に固定可能に動作可能なアンカーと、ツール本体及び回転ツールを前進させる軸方向駆動装置を含む駆動機構体とを有し、
回転ツールをボーリング孔から周囲地層中に側方に押し込むガイドを有し、
回転ツールは、環状ドリルビットを運ぶ管状コア採取ツールであることを特徴とするシステムを提供する。
【0008】
回転駆動ヘッドは、好ましくは、コア採取ツールの軸線がツール本体の軸線から逸脱することができるようにするよう動作可能であり、回転駆動ヘッドは、コア採取ツールの軸線の逸脱を変化させることができる調節可能な連結部を含むのが良い。
【0009】
コア採取ツールは、逸脱した軸線を所定の方向に差し向ける手段を更に含むのが良い。
【0010】
一実施形態では、回転駆動ヘッドは、コア採取ツールに連結された雌型コネクタと、回転駆動ヘッドから遠ざかってツール本体内に延びる中空シャフトとを有する。この場合、モータは、回転駆動ヘッドを駆動するよう中空シャフトの外面に連結されるのが良い。コア採取システムは、中空シャフトの角度位置を検出する角度位置センサを更に有するのが良く、角度位置センサは、好ましくは、中空シャフトの回転速度を導き出す。
【0011】
アンカーは、代表的には、少なくとも1組の半径方向に延びるパッドを有し、パッドは、ツール本体をボーリング孔内に固定するよう作動されるとボーリング孔壁に係合する。軸方向駆動装置は、作動時にパッドにより提供される固定力に抗して作用するよう働くのが良い。一実施例では、駆動機構体は、油圧システムと、パッドと、作動油が提供されるシリンダ内に位置するピストンを備えた軸方向駆動装置とを有する。この駆動機構体は、代表的には、ツール本体がボーリング孔に沿っていずれかの方向に動くことができるよう交互に作動可能な少なくとも2組のパッドを有する。
【0012】
コア採取ツールは、環状ドリルビットを支持していて、回転駆動ヘッドに連結された外側回転管と、コア採取ツールによって地層から穿孔採取されたコアを支持する内側コアバレルとを有することが特に好ましい。内側コアバレルは、通常、外側回転管と共に回転することはなく、内側コアバレルは、回転駆動ヘッドを貫通して延びるシャフトに連結されるのが良い。
【0013】
シャフトを包囲した配向基準カラーが設けられるのが良く、カラー及びシャフトは、相対回転を阻止する相互係合成形部を備えている。相互係合成形部は、カラーがシャフトに対して摺動することができるようにするキーと溝を含むのが良い。カラーは、好ましくは、カラーがツール本体に対して回転しないよう保持される第1の位置と、カラーが外側回転管に対して回転しないよう保持される第2の位置との間で動くことができ、第1の位置では、カラー及びシャフトは、外側回転管に対してツール本体と共に回転することができ、第2の位置では、カラー及びシャフトは、ツール本体に対して外側回転管と共に回転することができるようになっている。カラーを第1の位置と第2の位置との間で動かすよう動作可能な電磁石が設けられるのが良い。一実施形態では、カラーは、傾斜面を有し、対応の傾斜接触面がツール本体に設けられており、カラーが第1の位置にあるとき、傾斜面相互の接触効果により、シャフトは、ツール本体に対して所定の角度位置に差し向けられる用になっている。
【0014】
カラー及び外側回転管は、相対回転を阻止する相互係合成形部(例えば、歯と凹部)を更に備えるのが良い。
【0015】
好ましくは、外側回転管に取り付けられているドリルビットの近くで内側コアバレルの端部のところに挟持システムが設けられるのが良く、挟持システムは、穿孔形成コアを挟んで地層から取り出すために内側コアバレルに制御された運動を与えるよう動作可能である。一実施形態では、挟持システムは、コアバレルの端部に設けられた1つ又は2つ以上の軸方向切れ目と、外側回転管の内面及び内側コアバレルの外面に設けられた相互係合勾配付き面とを有し、勾配付き面の相互係合は、外側回転管と内側コアバレルの相対軸方向運動によって行なわれ、切れ目は、内側コアバレルの端部の直径を減少させることができる。
【0016】
ツール本体は、坑井流体をドリルビットの周りに圧送するポンプを更に有するのが良い。設計によっては、コア採取ツールが環状ドリルビットを支持した外側回転管と、地層から穿孔形成されたコアを支持する内側コアバレルとを有する場合、ポンプは、流体を回転管の外部に沿ってこれを下ってドリルビットに圧送して外側回転管と内側コアバレルとの間の環状空間を上方に通って戻すよう動作する。ドリルビットから戻った掘屑を処理する掘屑処理装置がポンプの出口の近くに配置されるのが良い。
【0017】
ガイドは、代表的には、ボーリング孔の軸線に対して傾けられた案内面及びガイドを定位置にロックするよう動作可能なガイドアンカーとを有する。案内面は、ボーリング孔軸線に対して3°〜20°、代表的には約6°の角度をなして傾けられるのが良い。
【0018】
アンカーは、ガイドを定位置にロックするようボーリング孔壁に押し付け可能な少なくとも1つのパッドを有するのが良い。パッドは又、ガイドを定位置にロックするようガイドをボーリング孔壁に押し付けるよう作用するのが良い。一実施形態では、アンカーは、ツール本体内に設けられていて、ホースによってガイドに連結されたポンプ及びリザーバを含む油圧システムによって作動される。別の実施形態では、アンカーは、ナットの回転により作動され、ナットの回転により、ウェッジが動き、ウェッジは、パッドをガイドに対して半径方向に動かすようパッドに作用する。ナットは、コア採取ツールによって回転するのが良く、コア採取ツールの回転によりナットを回転させることができるようナットに設けられた成形部と対応関係をなして嵌合することができる成形部がコア採取ツールに設けられている。
【0019】
ガイドは、入れ子式アタッチメント又はツール本体に設けられたラッチ内に摺動可能に設けられたバーによってツール本体に連結されるのが良く、ラッチは、ガイドをツール本体から所定の距離を置いたところに保持するようバーをツール本体にロックするよう動作可能である。
【0020】
ツール本体からのガイドの離隔距離を測定するための位置センサ、例えば入れ子式アタッチメント又は摺動バーに設けられたマークの位置を検出するセンサを設けるのが良い。
【0021】
コア採取システムは、好ましくは、案内面を所定の方向に差し向ける配向システムを更に有する。配向システムは、案内面が所定の方向に向くようツール本体を回すよう作用するのが良い。
【0022】
ツール本体の位置及び配向状態を判定するナビゲーションシステムを更に設けるのが良く、ナビゲーションシステムは、地球の磁界に対する位置を判定する磁力計及び/又は地球の重力場に対する位置を判定する傾斜計を有する。コア採取システムは、ガイドの位置とナビゲーションシステムの位置との間のオフセットを求める手段を更に有するのが良い。
【0023】
配向システムがガイドに設けられていて、コア採取ツールを挿通状態で突き出させるカラーを有する場合、コア採取ツールは、コア採取ツールの回転作用によりガイドが所定の方向に回るようにするようカラーに設けられた成形部と対応関係をなして係合することができる成形部を備えるのが良い。
【0024】
地層から得られたコアの底部を保護するようコア採取ツール中に導入可能な1つ又は2つ以上のコアプロテクタが更に設けられるのが良い。多数のコアが単一のコア採取ツール内に得られる場合、コアプロテクタは、別々のコアの各々相互間に位置決めされるのが良い。好ましい形態としてのプロテクタは、コア採取ツール内への導入を容易にする面取り端部領域と、プロテクタをコア採取ツールの中央に保持するセントラライザと、コア採取ツールの内面に接触する少なくとも1つのシールとを有する。一実施形態では、プロテクタ及びコア採取ツールは、プロテクタをコア採取ツール内の定位置にしっかりと保持することができるよう相互係合成形部(例えば、半径方向に伸長可能なキャッチと溝、キャッチは、溝の中に突き出ることができる)を更に有する。
【0025】
圧力制御システムがコア採取ツールの内部に連結されるのが良く、この圧力制御システムは、コア採取ツールの周りの周囲圧力とは無関係にコア採取ツール内の圧力を所定レベルに維持するよう作動可能である。
【0026】
好ましくは、ガイドは、コア採取ツール内に導入されるべきプロテクタのための貯蔵容器を更に有する。この場合、ガイドは、動作可能なトラップを有するのが良く、コア採取ツールは、トラップを開いてプロテクタをコア採取ツールに利用できるようにしたりトラップを閉じてコア採取ツールが地層に入ることができるようにするトラップの作動機構体に係合可能である。
【0027】
伝動シャフトを用いて回転駆動ヘッドをコア採取ツールに連結するのが良い。伝動シャフトは、コア採取ツールと比較して可撓性であるのが良く、伝動シャフトは、代表的には、コア採取ツールと実質的に同一の長さを有する。1つ又は2つ以上のスタビライザを伝動シャフトに取り付けるのが良い。ガイドは、代表的には、コア採取ツールと実質的に同一長さを持つ接触面を有する。
【0028】
別の実施形態では、コア採取ツールは、交互に位置する剛性区分と可撓性区分を有する。この場合、可撓性区分は、通常永続的に曲げられるのが良い。
【0029】
コア採取中、穿孔プロセスの機械的パラメータ(例えば、ビットに加わる重量、トルク及び/又は貫通速度)を測定するセンサが設けられるのが良い。
【0030】
コア採取プロセス中に得られた穿孔掘屑のパラメータ、例えば超音波測定、密度測定及び/又は濾過測定法により求めることができる掘屑サイズを測定するセンサが更に設けられるのが良い。
【0031】
コア採取ツールを用いて得られたコアのパラメータを測定する別のセンサが設けられるのが良い。センサは、代表的には、ガイド内に配置される。センサは、ガンマ線検出器を含むのが良く、ガンマ線源を更に有する。ガンマ線センサ及びガンマ線源は、使用にあたり、センサと源を結ぶ線がコアの中心を通らないようにコアの互いに反対側に位置決めされるのが良い。センサ及び源は、コアを回転させると作動するよう構成されるのが良い。第1のガンマ線センサ及び第2のガンマ線センサがガイド内に互いに異なる位置に配置されるのが良い。変形例として、コア採取システムは、コアをセンサ及び源が作動している間にコアを回転させる第2の位置に側方に動かすシステムを更に有するのが良い。測定されたコアパラメータは、断層撮影法で用いられるのが良い。
【0032】
コア採取ツール内のコアの直径を測定するセンサ、例えば超音波機械的又は電気的センサが更に設けられるのが良い。
【0033】
コア採取ツール内のコアの熱的特性を測定する他のセンサが設けられるのが良く、コア採取システムは、熱をコアに加えるヒータを更に有するのが良い。
【0034】
別の実施形態では、コア採取システムは、コア採取ツールを用いてコアを地層から剪断するのに必要な力を検出するセンサを有する。コア採取ツールは、トルクをコアに加えることによりコアを剪断するのが良く、センサは、剪断力を求めるためにトルクを測定する。別のセンサを用いてコアを地層から離脱させるのに必要な引っ張り力最大値を検出するのが良い。この場合、コア採取システムは、コアを把持すると共にコアが地層から離脱するまで張力を加える手段を有するのが良い。
【0035】
ドリルビットは、歯の同心リングを有するのが良い。
【0036】
コア採取システムは、コアを得た穴に栓をする手段を更に有するのが良い。栓は、ボーリング孔の周りのケーシングに密着するよう配置されるのが良い。コア採取システムは、コアをコア採取ツールから突き出す手段を更に有するのが良い。
【0037】
システムの作動に関連したデータを記憶するメモリ手段が更に設けられるのが良い。システムの作動から得られたデータをボーリング孔の表面まで伝える電気リンクが設けられるのが良い。本発明は、コア採取装置及びコア採取装置から得られたコアのダウンホール分析のための一体形ロッギング(物理検層)システムを有する一体形コア採取システムを提供する。
【0038】
本発明のシステムは、幾つかの特徴及び幾つかの利点を有し、かかるシステムにより、種々の方法を以下の発明の概要から明らかなように実施することができる。
本発明のシステムは、単一の運搬方法を含む既存の坑井の横方向側部からの長いコアの取り出しを可能にする。コアは、主坑井の直径よりも長いのが良い。
ガイドを含む一体型コア採取システムは、コア採取ツールを坑井の壁の方へ逸らせる。坑井内におけるガイド設定及びコア採取は、一トリップで実施可能である。ガイドを設定するのが良く、次にコア採取プロセスを設定し、そしてガイドを設定解除する。これは、一トリップで繰り返し実施可能である。
【0039】
ガイドのツール面は、ガイド設定前に選択されるのが良く、運搬は、チュービング、ドリルパイプ又はコイルチュービングによって行なわれるのが良く、ダウンホール伸長機構体は、コア採取中、変位をもたらすのが良い。
【0040】
本発明は、ワイヤラインケーブルにより作動可能な一体型コア採取機械を提供し、この一体型コア採取機械は、主坑井から1°〜45°の傾斜角をなしてコアを取り出すことができる。
【0041】
クローリングシステムを用いてコア採取機械を坑井内で変位させるのが良く、クローリング機械は、コア採取のためにWOB(ビットに加わる重量)をもたらすことができる。クローラは、代表的には、2つ以上の組をなすパッドを有する。
【0042】
ガイドは、コア採取機械によって支持される。例えば、ガイド支持体は、入れ子式である。ガイドは、コア採取機械の回転要素によって配向可能である。一実施例では、回転要素は、配向サブ(sub)である。変形例として、回転要素は、回転コア採取組立体及びヘッドである。コア採取ツールは、その底部にキーを備えるのが良く、このキーは、ガイドに設けられた対応の受け具内に嵌め込み可能である。ガイドは、半径方向油圧システムによって設定可能であり、この場合、油圧ホースが設定圧力をコア採取機械からガイドに伝達する。一実施形態では、ガイドは、クローラの固定パッドから一定の距離を置いたところに保たれるのが良い。また、ガイドとコア採取機械との間の距離を測定することができ又はガイドの深さを機械の深さから測定することができる。
【0043】
コア採取ツールは、ダウンホールモータ、例えば電気モータによって回転する。
【0044】
局所ダウンホール循環システムをコア採取機械によって提供することができ、局所ダウンホール循環は、可逆モードであることが好ましい。掘屑処理システムを循環ポンプの近くに設置するのが良く、例えば、掘屑クランチャ(cruncher)は、処理システムであるのが良い。処理システムは又、掘屑サイズ分析を実施することができる。
【0045】
コア採取ツールの内部管は、好ましくは、コア採取機械によって正確な場所に保持されるが、コア採取ツールの内部で僅かに上方に移動可能であるのが良い。コアを要求に応じてその頂部のところで挟持するのが良い。コア採取ツールの内側管は、コア採取機械又はコア採取回転システムにロック可能である。
【0046】
内側管のツール面には、好ましくは、コア採取機械へのロック時に一定方向が与えられる。また、内側管とコア採取機械との間のツール面オフセットをコア採取機械へのロック時に測定するのが良く、その結果、コア採取ツールの内側管のツール面の位置をコア採取中、知ることができるようになっている。
【0047】
ガイドは、ボア及びボアか地層かのいずれかに向かってコア採取ツールを変位させる選択機構体を備えるのが良い。コア採取ツールにコア分離器によって蓋をすることができるよう分離要素をガイド内に収納するのが良い。セパレータは、好ましくは、シール及びラッチを備える。かくして、コア採取機械からコア採取ツールへの流体チャネルは、要求に応じて確実に隔離することができる。
【0048】
一実施形態では、コア採取機械は、コアを圧力下で地表に運ぶことができる。
【0049】
コア採取ツールは、好ましくは、コア採取中、ガイド表面に平行に保たれる。回転ヘッドの傾斜度を調節してガイド表面に対するコア採取ツールの適正な平行度を保証するのが良い。また、可撓性伝達シャフト(フレックスジョイント)をコア採取ツールと回転ヘッドとの間に配置するのが良い。フレックスジョイント型セントラライザを可撓性伝達シャフトに取り付けるのが良い。
【0050】
一実施形態では、ツールは、一連の剛性及び可撓性区分で作られる。剛性区分は、代表的には、ガイド表面とほぼ同じ長さを有する。コア採取された穴が真っ直ぐである場合、コア採取ツールの剛性区分中のコアを妨害されないようにすることができる。
【0051】
内側管の可撓性区分は、ベローで作られるのが良く、コア採取ツールは、一連の剛性及び曲げ区分で作られる。コア採取ツールの内側管は、一平面内に曲げ区分を備えるのが良く、これら曲げ区分は、曲げを外側管に与える。この場合、第1の剛性区分は、コア採取穴のためにビルドアップ(build-up)角度を与える。第1の区分は、代表的には、他の剛性区分の長さの半分未満である。小型ニアビットアンダーゲージ(near-bit under-gauge)型スタビライザを用いるのが良く、コア採取穴は、一定の曲率を有するのが良い。
【0052】
コア採取ツールは、ひと続きの真っ直ぐなセグメントであるのが良く、コアは、曲げ部内に設けられたスペーサにより互いに分離された一連のモノブロック形非乱れ状態のコアで作られる。モノブロック形非乱れ状態のコアは、湾曲しているのが良い。
【0053】
コア採取ツールは、コア採取機械の適正な機械的誘導により主坑井内おいて真っ直ぐに保たれるのが良い。
【0054】
スペーサを非乱れ状態コア要素相互間に配置するのが良い。
【0055】
コア採取機械は、コア採取穴の入口の付近でロッギングシステムを支持するのが良く、このロッギングシステムは、コアがこのロッギングシステムの前を通る際にコアをロッギングするようになっている。ロッギングシステムは、代表的には、コアの固有ガンマ線放出のロッギングを可能にする。遮蔽手段をガンマ線検出器の付近に設けてバックグラウンドノイズ測定を減少させるのが良い。遮蔽体は、典型的には、重金属で作られる。バックグラウンドノイズは、当初コアの存在しない状態で測定されるのが良く、したがって、このノイズを最終の測定から抑制することができる。一例では、コアのガンマ‐ガンマ密度測定は可能である。測定は、源及び検出器がコアの同一側に位置している場合、後方散乱効果によって実施される。測定が光線透過によって実施される場合、源及び検出器は、コアの互いに反対側に位置する。測定は、コア採取ツールを回転させている間に実施されるのが良い。ガンマ線源と受信器との間の直接的経路は、好ましくは、コアの中心を通過しない。ガンマ線に関する直接的経路は、コアを通る2つの別々のコードであるのが良い。
【0056】
別の実施例では、コア直径を測定する。内側コアバレルの周囲は、変形可能であるのが良く、周長の変化をコア採取ツールの2本の管相互間の隙間の変化によって測定することができる。パルス化エコー型超音波変換器を用いると隙間の差を測定することができる。別の場合、外側管を内側管で変形させ、それによりこの外側管の変化により直接的な検出が可能になる。
【0057】
本発明の一実施形態では、多数の短いコアを長いコア作製ツール内で採取することができる。また、コアバレル内に蓄えられたコア要素のうちの少なくとも何割かをこれらが地表で必要とされない場合コアバレルダウンホールから放出することができる。或る1つの場合、放出されたコアをコア採取穴内に配置するのが良い。
【0058】
コアをコア採取穴から引っ込めている間及びコアが主ボーリング孔内に位置しているとき、例えば、コアをロッギングシステムの前に通すことによりコアをロッギングするのが良い。
【0059】
また、コア採取歯が金属、セメント及び岩石を切断することができ、それによりケーシングの後ろでコア採取を可能にすることが好ましい。
【0060】
本発明を構成する一体形プロセスでは、側壁を穿孔した後、側壁のコア採取穴を栓で塞ぐ(施栓する)。コア採取穴をコア採取穴内への専用栓の突き出しにより、膨潤可能な材料を含む栓により、機械的膨張システムを含む栓により或いは、固化可能又は硬化可能な流体を用いて施栓するのが良い。例えば、セメントスラリーを用いるとコア採取穴を部分的に又は全体的に埋めることができる。
【0061】
特定の又は深い情報収集のために専用ロッギング手順を用いるのが良い。専用コア採取流体をコア採取プロセスの開始前に主坑井内に適当な間隔を置いて配置するのが良い。
【0062】
ダウンホール電気機械システムを遠隔通信により地表から制御するのが良い。ロッギングシステムとコア採取機械との間の通信は、好ましくは、ケーブルにより実施される。ロッギングツールは又、ダウンホールメモリ内にデータを格納することができ、この場合、システムは、バッテリを用いて作動可能である。
【0063】
コア採取機械は、好ましくは、コア採取トルク、軸方向力(WOB)(両方の方向における)のダウンホール測定を可能にする。これらにより、岩石の機械的性質の判定が可能である。また、コア採取機械により、コアにトルク及び/又は軸方向力を加えることができると共に荷重(トルク/軸方向荷重)を測定することができる。
【0064】
コア採取システムは又、岩石の機械的性質の直接的な測定値を得るために使用できるコアの変位(軸方向又は回転変位)の検出を可能にする。一実施例は、クーロン破損(Coulomb failure )図を求めることである。
【0065】
切断歯は、この判定を助けるために末端部のところの円筒形段部でコアを切断するよう構成されているのが良い。挟持機構体がコア先端部の小径部又は大径部を挟持するよう選択するために設定されるのが良い。これは、コア採取穴軸線に垂直な主圧縮応力を求めるために使用できる。測定は、同一地層中の互いに異なる方向に穿孔された多数のコア採取穴について実施されるのが良い。少なくとも6つの独立した測定値を取るのが良く、それにより岩石中の主応力の測定が可能である。コアバレル中のコアに対する軸方向荷重を用いて(オイラーの公式に基づく)小径コアに関するヤング率を座屈破壊によって求めることができる。軸方向荷重をコアに加えたときに2つの互いに反対側の半径方向接点相互間のコアの半径方向荷重に起因したコア破損についてポアソン比を得ることができる。
【0066】
本発明のコア採取プロセスは、好ましくは、ダウンホール油圧モータ、例えばモイノ(Moyno)型モータによってコア採取ツールの回転に基づく。好ましくは、このモータ及びその伝動装置は、中空であり、この場合、全量弁としてフルボア(full-bore)をモータバイパス穴内に設けるのが良い。これにより、コアバレルからダウンホールモータの頂部までのフルボア(full-bore)チャネルの実現が可能である。またコアが掘削モータを貫通するのが良いこと及びチュービングを貫通したスリックラインによって釣り上げるのが良いことが好ましい。
【0067】
本発明のシステムは、逸脱角が坑井の底部のところに生じた状態で作動可能である。コア採取穴のための逸脱角度をゼロに設定することができ、それにより小さ目のコアを主坑井の底部のところで又はフルホールサイズ(full hole size)で採取することができる。
【0068】
本発明の別の観点は、以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明のコア採取装置の全体図である。
【図2】図1のコア採取装置の回転ヘッドを示す図である。
【図3】軸方向押し込みシステムを示す図である。
【図4】図4a、図4bは、コア採取ツールを示す図である。
【図5】流体循環システムを示す図である。
【図6】逸脱ガイドを備えたコア採取装置を示す図である。
【図7】図7a、図7bは、逸脱ガイドの軸方向位置制御を可能にする別の構成例を示す図である。
【図8】逸脱ガイドの正確な配向を可能にする配向サブを示す図である。
【図9】図9a、図9bは、ガイドツール面を配向させる別の設計例を示す図である。
【図10a】コアバレル内におけるコアの角度基準付けを可能にする設計例を示す図である。
【図10b】コアバレル内におけるコアの角度基準付けを可能にする設計例を示す図である。
【図11a】コア及びスペーサ/プロテクタを収容したコアバレルを示す図である。
【図11b】スペーサ/プロテクタブロックの細部を示す図である。
【図12a】スペーサを保つための貯蔵穴を備えた改造型逸脱ガイドを示す図である。
【図12b】コア採取ツールがトラップドアを貯蔵穴に対して開くことができるようにするトラップキーリング構成例を示す図である。
【図13】貯蔵穴に嵌まっているコア採取ツールを示す図である。
【図14a】加圧コアを地表のところで取り出すことができる改造型コアバレルを示す図である。
【図14b】スペーサに代えて用いることができる栓(プラグ)を示す図である。
【図15】作動中のコア採取装置を示す図である。
【図16】回転ヘッド傾動の調節を回避する改造型装置を示す図である。
【図17】剛性区分と可撓性区分の組み合わせを備えたコア採取ツールを示す図である。
【図18a】曲げ区分内における外側管の全体的変形を示す図である。
【図18b】可撓性区分を備えたコア採取ツールの曲げ区分の形状を示す図である。
【図19a】コア採取穴を湾曲坑跡中の主坑井から遠ざけて操向するために使用できるコア採取ツールを示す図である。
【図19b】図19aに示された状況における外側管の内部のあらかじめ曲げられた内側管の形状を示す図である。
【図20】コアの直径及びコアバレル内における自然な曲げ状態を示す図である。
【図21】可撓性区分がコアバレル内に用いられたときのコアバレル中へのスペーサの取り付け方を示す図である。
【図22】図22aは、ダウンホール条件にある間にコアを分析するために用いられるダウンホールロッギングツールを示す図であり、図22bは、図22aに示されたダウンホールロッギングツールの断面図である。
【図23】図23a、図23bは、コアバレル内におけるコア直径を求める方法を示す図である。
【図24】「スリックラインによるコア釣り上げ」を可能にするために用いられるコア採取装置を示す図である。
【図25】岩石の破断基準を定めるクーロン破損基準を示すグラフ図である。
【図26】コアが現場応力を受ける領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、本発明の一実施形態の全体図である。コア採取装置(以下、コア採取機械又はコア採取システムともいう)1は、コア採取ツール3を支持した下側回転ヘッド2を有している。コア採取装置は、軸方向力及び変位を発生させる手段を更に備えている。これは、好ましくは、コア採取ツールのクローリングシステム4によって実施される。コアバレルを逸脱ガイド5によって地層中に側方に押し込むことができる。このガイドは、支持機構体6を介してコア採取機械によって支持されている。第1の具体化例では、コア採取システムは、ワイヤラインケーブル7を介して坑井9内に配置されており、このケーブルは又、電力をコア採取ツールに供給すると共にツールと坑外ユニット8との間の遠隔測定を保証する。
【0071】
図2は、回転ヘッドを詳細に示している。コア採取機械1の下側回転ヘッド2は、モータ10及びオプションとしての歯車箱11によって駆動される。回転ヘッドは、傾動システム12により主コア採取ツール軸線に対して傾けられるのが良い。回転ヘッドは、傾斜掘削用途に用いられる舵取り又は操向モータの構成に類似した永続的な曲げサブ(sub)であっても良い。下側回転ヘッド及びコア採取ツールの軸線を含む平面の包囲は又、専用の機構体13によって提供できる。この機構体は、曲げサブ(これは、軸線の傾斜を生じさせる)を配向させるのが良く、別の解決策は、あらゆる平面内で作動可能な傾動システムを用いることである。
【0072】
内部トルク伝達システムは、回転ヘッドのこの可変傾斜と適合性を持つよう設計されている。回転ヘッドは、中空であり、雌ねじ14で終端している。回転ヘッドの延長部として、中空シャフト15が設けられている。駆動モータは、通常、この中空シャフトの外面16への連結によって回転駆動装置となる。
【0073】
シャフトの角度位置は、角度位置センサ17によって測定される。この測定は、以下に説明する多くの利点を備えている。
【0074】
図3は、軸方向押し込みシステム又は「クローラ」を示している。コア採取機械1のクローラ4は、少なくとも1組のパッド20から成り、これらパッドは、半径方向伸長システム21により坑井に半径方向に押し付け可能である。これらパッドは、坑井内におけるコア採取ツールのクランプを保証する。軸方向伸長機構体22により、回転ヘッド、コアバレル及びコアを含むコア採取ツールの下側部分に対するプッシュプル効果の発揮が可能である。このプッシュプル効果は、坑井内におけるコア採取ツールの軸方向変位を生じさせる。作動油23を含む油圧システムをかかる目的に使用することができる。伸長機構体が完全伸長状態に達すると、パッドを引っ込め、すると、システムの重量は、コアの周りの地層中に嵌まり込んでいるコア採取ツールかワイヤラインケーブルかこれら2つの組み合わせのいずれかで支持される。次に、伸長機構体を収縮させ、パッドを再び開いて坑井に押し付け、次に、新たな押し込み伸長の開始が可能である。このシステムは、コア採取中、所要の「ビットに加わる重量」を生じさせるように用いられる。
【0075】
注目されるべきこととして、かかる典型的なシステムでは、掘削のための前方押し込み力は、クローリングシステムによって送り出され、上方運動は、ワイヤラインケーブルへの引っ張り力によって達成されるのが良い。しかしながら、クローリングシステムは、狭いコア採取穴からのコアの上方引き出しを助けることができる。
傾斜のきつい坑井(又は水平坑井)内における効率的な作業を行なうため、軸方向伸長機構体の下に第2の組をなすパッド24を設けるのが良い。この場合、かかる構成では、このシステムは、重力に依存することなく前後に動くことができる。
【0076】
2重の組をなすパッドは、ボーリング孔に対するパッドの固着を阻止する良好な予防方法でもある。1つの組をなすパッドが固着効果によりボーリング孔に固着されても、他の組をなすパッドを作動させると、ツールを坑井の中心に保つことができ、次に、固着状態のパッドを坑井の中心に向かって引っ張ることができる(又は、クローラによって軸方向力を更に加えることができる)。
【0077】
コア採取ツールは、図4a及び図4bに示されている。コア採取ツール3は、主として、切断歯31で終端した外側回転管30から成る。この外側回転管は、上述したようにコア採取システムの下側回転ヘッドによって回転する。外側回転管は、代表的には、回転ヘッド2に連結されている連結システム32で終端している。外側回転管内では、内側コアバレル33は、コア採取ツールが地層42の中に入るとコア41を支持する。この内側バレルは通常、回転することがない。この内側静止コアバレルは、薄肉管で作られている。外側回転管と内側静止コアバレルとの間の隙間は、極めて小さい(代表的には、数ミリメートルの範囲にある)。
【0078】
通常の設計では、この内側静止バレル33により、コアは、コア採取ツール3内に上方に滑り込むことができる。代表的には、コアを内側静止管内に嵌め込んだままにするのに十分な摩擦が存在する。提案する解決策では、この内側静止管33は、シャフト34に連結され、このシャフトは、回転ヘッド2のボア及びその中空シャフト15内に延びる。この伸長シャフトは、コア採取装置1内に設けられている制御機構体35によって静止状態に保持可能である。この特徴により、内側コアバレル33を静止位置に保持することができる。具体的に説明すると、内側コアバレルは、その外面に回転摩擦(例えば、コア採取ツールの僅かな曲げに起因する直接的な摩擦)力が生じた場合であっても、静止状態のままである。
【0079】
設計によっては、この制御機構体は、或る程度の運動を内側コアバレルに与えてコアを地層から離脱させると共にこれをバレル内に保持することができる。これは、コア採取ツールの下端部のところに設けられたコア挟持システム36により達成できる。制御された運動を内側コアバレルに与えることにより、コアは、コアバレルの先端部43のところで地層から砕けて取れる。制御運動は、コアバレルに対する引っ張り効果であっても良く又はバレルを回転させることによって行なわれても良く、かかる制御運動は、コアを地層から剪断する。
【0080】
コア挟持機構体の細部が図4bに示されている。内側コアバレルは、平均直径の幾分かの変形を可能にするよう少なくとも1つの軸方向切れ目37を備えるのが良い。通常、この直径を減少させることができるに過ぎない。というのは、外側管に設けられているリング38が半径方向成長を阻止するからである。内側コアバレル33は、外側円錐面39を備えるのが良く、この外側円錐面は、外側管40の相補する円錐面に対応している。このコア挟持システムを用いると、坑井内におけるコアの噴出を阻止すると共にコアを地層から分離することができる。
【0081】
一般的な情報として、コア採取ツールの直径は、1.5〜3インチ(3.81〜7.62cm)であることが予想される。コア採取ツールは、通常、30フィート(9.14m)の多くの要素で作られている。その全長は、最大150フィート(45.72m)に達する場合がある。
【0082】
コア採取ツールは、可撓性区分により分離された通常のツール設計の区分で構成されるのが良い。かかるコア採取ツールの目的及び構成について以下に説明する。
【0083】
図5は、コア採取装置内に設けられた流体循環システムを示している。コア採取機械1は、モータ46によって駆動されるポンプ45を有し、このモータは、通常、電気により動力供給される(ワイヤラインツール内に位置しているので)が、他形式のモータを用いても良い。このポンプは、モイノ(Moyno)型ポンプであるのが良いが、これには限定されない。このポンプは、坑井流体を主坑井からコア採取ツール歯の周りに循環させる。この流体循環により、コア採取ツールの前縁のところでのコア切断歯21の冷却が保証される。また、流体循環により、掘屑47が切断ゾーン48から主坑井中に運ばれる。
【0084】
従来型流体循環方式では、流体は静止内側管と外側回転管との間の狭い環状域49内で切断面まで下方に圧送され、次に、流体は、地層とコア採取ツールの外側回転管との間の環状域50を介して主坑井に戻る。しかしながら、用途によっては、上述の経路と比較して逆の循環方式を用いるのが有利である。これは、コア採取機械のポンプの回転を逆にすることによって達成できる。この場合、掘屑は、ポンプの吸い込み領域51に達し、ポンプを通り、最終的に、ポンプの吐出チャンバ52に達し、その後、坑井9中に排出される。
【0085】
幾つかの用途の場合、掘屑処理システム53を吸い込み領域51か吐出チャンバ52かのいずれかの中に設置するのが良い。
【0086】
掘屑処理システムの以下のプロセスが提案される(しかしながら、限定的ではない)。
大きな掘屑が主坑井内に捨てられることがないような大きな掘屑の濾過。
掘削プロセスの特徴付け並びに岩石の性質の判定を可能にする掘屑のサイズの分析。これについては以下について説明する。
良好な掘屑輸送を保証する大きな掘屑の破砕並びに吸い込み領域51内に設置された場合のポンプに対する損傷の減少。
【0087】
図6は、逸脱ガイドを示している。逸脱ガイドは、典型的なホイップストックとしての役目を果たし、コア採取ツールを坑壁に向かって側方に押すのを保証する。逸脱ガイドは、傾斜面55(坑井軸線に対して傾けられている)から成る。この角度は、3°〜20°であるのが良く、好ましくは、6°の角度である。8.5インチ(21.59cm)の坑井では、傾斜/逸脱ガイドの幅は、6インチ(15.24cm)であるのが良い。
【0088】
図6では、ガイドは、これをコア採取プロセス中、静止位置にロックすることができるようにする機構体56を備えている。好ましい実施形態は、ガイドを坑井の一方の側に押すパッド57を有する。好ましい解決策では、ガイドは、コア採取中の側部とは反対側の坑井の側に押し付けられる。かかる方法では、コア採取プロセス中に生じる横力は、壁との接触状態を強化する。これにより、摩擦が増大したときに軸方向滑り効果に抵抗する能力が増大する。
【0089】
ガイドの半径方向パッドの設定/設定解除を行なう制御機構体は、油圧システムであるのが良い。油圧ホース60がコア採取機械1及びガイドに連結されている。油がポンプ61によってリザーバ62からこのホース内に送り込まれ、リザーバは、容積補償システム、例えば密閉型摺動ピストン67によって密封される。通常の静水圧がこの容積補償システムの外面に加えられ、その結果、油圧回路全体が静水圧よりも高い状態で働くようになる。この圧送油は、半径方向ピストン63をガイド5内に押し込む。ばね64が弁65を開くと共にポンプ61を作動停止させたときにピストン63を引っ込める。ホースは、パッドの下にループ66を作り、ループ長さは、ガイドをコア採取機械との間の距離が変わると変化する。
【0090】
ガイドは、入れ子式システム6によりコア採取システムに連結されるのが良い。このシステムは、通常、伸長されていて、重力の効果か「ばね」効果58かのいずれかによりそれ自体伸長状態のままであるようになっている。このシステムは、そのストロークに関して制限停止部59を有している。入れ子式システムは、ガイドとコア採取システムとの間の永続的なリンクを保証すると同時に多数回のコア採取のために坑井内におけるガイドの多数回の設定を可能にする。
【0091】
図7a及び図7bは、逸脱ガイドの軸方向位置制御を可能にする別の構成例を示している。この構成例は、入れ子式システムの改造に基づいている。このバージョンでは、ガイド5は、クローラの上方に延びる1組の連続バー又は管70によって支持されている。これらバー70は、ラッチ71,72によってコア採取機械にロック可能である。所与の時点では、一方のラッチのみが作用している。ラッチ止めと伸長機構体22の使用の適正な協調により、コア採取ツールとガイドとの間の距離を増減することが可能である。具体的に説明すると、コア採取中、ラッチ71は、伸長機構体22がコア採取ツールを下方に押しているとき、ガイド及びパッド20が動いていない結果として、ロックされる。伸長機構体が完全伸長状態に達すると、ラッチ71,72が逆にされ、パッド20,24が開かれる。次に、伸長機構体を畳むと、ガイドは、坑井内において静止状態のままであろう。この方法の特定の利点は、パッド20に加わる荷重がガイドの軸方向荷重によって減少するということにある。
【0092】
所与の深さでの逸脱ガイドの設定前に、ガイドを適正な方位(当業界において通常知られているようにツール面)に配向しなければならず、その結果、コアが所望の地層から採取されるようになる。図8は、これを行なうための好ましい設計例のうちの1つを示している。これは、上側の組をなすクローリングパッド20の下に配置された配向サブ75の使用によって達成できる。このサブは、システム13によって配向が駆動され、このシステムは、モータ76及びオプションとしての歯車システム77から成る。代表的には、電線及び油圧ホースの束78が、配向サブを貫通しているのが良く、したがって、このサブは、電線の捩じれを回避するよう1回の一フルターンが制限される場合がある。
【0093】
上側パッドを坑井に圧接すると、配向サブの回転は、コア採取機械の下側部分に伝えられる。この回転は又、入れ子式システム6及びガイド7にも及ぼされる。
【0094】
かかる構成では、ガイドの配向は、コア採取機械の「ナビゲーション」パッケージ79によって直接定められ、したがって、このナビゲーションパッケージが配向サブの下に設置されることが好ましい。ナビゲーションパッケージは、3つの磁力計及び3つの傾斜計で構成されるのが良く、それにより、磁気パラメータか重力パラメータかのいずれかの判定が可能である。
【0095】
幾つかの実施形態では、ナビゲーションパッケージは、配向サブの上方に位置するのが良く、この場合、例えば角度センサ80により配向サブの角度のずれを測定することが重要である。
【0096】
配向サブのこの使用を多くの形式のガイド及びガイドロックシステム(特に、上述の提案された設計例)と組み合わせるのが良い。
【0097】
図9a及び図9bは、配向サブを必要としないガイドを配向する別の設計例を示している。この設計例では、コア採取ツール3それ自体は、ガイドのための回転機構体として用いられる。コア採取ツールの外側管30は、切断歯31のすぐ上に外側底面に設けられた外側キー85を備えている。このキーは、逸脱ガイドの傾斜面55に取り付けられたクラウン86に設けられている相補する溝87に嵌まり込むことができる。キーと溝の嵌合は、キー及び溝の末端部に大きな面取り部を用いることにより容易になる。
【0098】
この嵌合は、入れ子式システムが完全に伸長された場合にのみ可能である。この位置では、コア採取ツールの先端部は、ガイド5の凹部88内に位置する。コア採取ツールのキーがガイドクラウンの溝の中に嵌まり込むと、ガイドは、適正なツール面に達するまで回転ヘッドと共に回る。
【0099】
図10a及び図10bは、コアを地層から剪断するために内側コアバレルを回転させることができる方法を詳細に示している。コア採取中、コア採取された岩石は、回転すべきではない。内側バレル33も回転すべきではなく、コア採取された岩石サンプル41は、コアのインターフェイス底面43によって岩石地層42にくっつけられている。しかしながら、単純なコア採取システムでは、内側コアバレルのツール面は、未知である場合があり、これ又コア採取プロセスでシフトする場合がある。
【0100】
新規な本発明では、コア採取機械は、コア採取プロセス中、コアの内側管のツール面をコアにロックすることができる。さらに、或る特定の仕事に関し、コア採取機械は又、必要時に回転をこの内部コアバレルに与えることができる。
【0101】
コア採取機械の好ましい構成では、内側静止管33のツール面は、回転ヘッド2及びその回転シャフト15の中に延びるシャフト34により機械本体のツール面に対して一定に維持される。このシャフト34の上端は、コア配向基準ブロック92の溝91内で摺動するキー90を備えるのが良い。軸方向運動をこのブロック92に与えるのが良く、このブロックは、機械本体1か回転シャフト15かのいずれかにより剛性状態に保持可能である。軸方向運動を電磁石93によって与えることができる。
【0102】
シャフト15へのブロック92のロックは、下方運動により達成でき、その結果、歯94がシャフト15に取り付けられているディスク95の凹部内に嵌まるようになっている。
【0103】
ブロック92は、唯一のツール面に続き機械本体に結合される。好ましい実施形態では、コア採取ツールの内側管33のツール面は、ブロック92の運動によるツール本体への結合前及び結合後において、同一のツール面に常時係合する。このユニークなツール面配向は、配向基準ブロック92と機械本体1との間の肩に関する傾斜接触インターフェイス96を用いることによって容易に達成できる。かかる技術は、単一の配向を釣り上げ可能な「掘削しながら測定を行なう」装置(例えば、シュラムバーガー(Schlumberger)社製のSLIMPULSE)に与えるために通常用いられる。注目されるべきこととして、傾斜接触インターフェイスの角度は、適正な配向精度を得るのに十分である(恐らくは、約45°)ことが必要である。歯を利用した他のシステムも又想定できる。
【0104】
配向基準ブロック92とコア採取ツールの内側管33との一連の取り付けにより、ツール面のずれ又はオフセットがコア採取機械のツール面基準と内側バレル33との間に存在する。内側バレルのスロット37は、コアのツール面基準と見なすことができる。外側印又は溝97は、コア採取機械の外側本体に存在し、この印は、傾斜接触肩96の下側を意味している。ずれ98は、コア採取システムへのコア採取ツールの取り付け後に地表で測定されなければならない。
【0105】
図11a、図11b、図12a、図12b及び図13は、コアの底部のところへのスペーサ又は保護層の取り付け方を示している。コア採取穴からのコアの取り出し後、コア41をコアバレル3内に納める。状況によっては、コアの底面をコアの下に設けられた離隔/保護層110、例えばストッパ(図11a)により保護するのが非常に有益な場合がある。
【0106】
図11bは、離隔材料110を詳細に示している。この離隔ブロックは、その頂部のところに設けられていて、コア採取ツール中への取り付けを容易にする大きな面取り部118を有している。分離ブロックは、これをガイド穴112のボア内に心出し状態に保つための心出し機構体、例えば弓形ばね119を備えている。これら弓形ばねは、凹部120により離隔ブロックの外面と面一状態になっているのが良い。シール121は、コア採取ツールの内側管33内への離隔ブロック11の挿入後、コアを坑井流体から保護する。
【0107】
図12a及び図12bに示されているように、逸脱ガイドは、離隔材料110を有するよう改造されているのが良い。この材料は、ガイドに設けられた穴112内に貯蔵されるのが良い。コア採取ツール3の底部は、この穴の中に嵌まり込むのが良い。例えば、コア採取ツールは、キー又は歯85を備え、このコア採取ツールは、クラウン86の「トラップキーリング」(trap key ring)113内に後方に引き込まれる。「トラップキーリング」113は、コア採取ツールのキー又は歯85との係合を可能にする溝(又は歯)114を備えている。この構成により、コアバレルの底部は、ガイドの幾つかの要素に結合してこれと共に回転することができる。
【0108】
キーとの嵌合後、コア採取ツール3を数回回転させてトラップ115をガイド穴112の頂部で開く。トラップ115は、そのヒンジ116を中心として回転する。「トラップキーリング」113の回転は、ねじ機構体117によりトラップ115の運動に変換される。
【0109】
次に、コアバレル3を下降させてこれをガイド5に接触させ、すると、コア採取ツールの底端部は、穴112内に嵌まり込むことができる。コア採取ツールを前方に押して離隔材料110に被さるようにする。この作業を容易にするため、コア挟持機構体36を開き、次に離隔材料上に再び閉じるのが良い。
【0110】
図13は、トラップ115を開いたときの結果を示している。コア採取ツール3をガイド穴112内に嵌め込み、このコア採取ツールは、離隔ブロック110を捕捉する。コア41は、離隔ブロック110の長さだけコア採取ツール内に上方に動いている。
【0111】
図14a及び図14bは、加圧コアを地表まで回収又は取り出すシステムを示している。この場合、コアバレルの両端部に確実に栓をするのが良い。かかる技術では、コアは、地表までの移動中、流体を失うことになる。また、コアの周りの圧力は、高いレベルのままである。かかる方法では、コアの特性(機構及び裂け目)並びに流体含有量は、地表までの移動中、変化(並びにコアバレル内の貯留量)が最小限であろう。
【0112】
この目的を達成するため、離隔材料110に代えて強力なシール121を備えた栓125が用いられる。内圧が軸方向力を生じさせ、この軸方向力は、栓125をコア採取ツール3から突き出す傾向がある。この軸方向力に耐える機構体は、半径方向ドグ(dog)127で構成され、この半径方向ドグは、コア採取ツールの内側管33の周方向溝129内に嵌まっている。これらドグは、ばね128により半径方向に押される。この栓は、離隔材料に代えてガイド穴112内に取り付けられる。
【0113】
弁126がコアバレルの頂部のところに設けられている。栓の提案された設計では、この弁は、内側静止管33を支持した管34を閉鎖し、この管34は、回転ヘッド又は内側静止管33の配向機構体を支持したシャフト内に取り付けられるのが良い。この管は、この圧力封じ込め機能が実行することができるよう強固でなければならない。
【0114】
かかるコアバレル内の圧力を所望の値に保つことが可能である。この機能のため、弁の下に設けられた圧力センサ131は、コアの周りの圧力のモニタを可能にする。コア採取機械内に設けられたポンプ130は、冷却効果に起因した坑井からのコアの取り出し中、圧力の低下を補償するよう作動されるのが良い。
【0115】
コア採取ツールは、曲げ(図11)が生じない(又は制限される)べきである。これが守られない場合、曲げ効果により堅い地層のコアが壊される場合があり、他方、非圧密状態の地層からの岩石は、粉末状態になる(少なくとも部分的に)ことになる。これが起こる恐れを最小限に抑えるため、コア採取ツール3は、真っ直ぐな方向136に動く必要があり、この真っ直ぐな方向は、本質的に逸脱ガイド5の表面55に平行であるべきである。これは、短いコア採取ツール(例えば、6フィート(約1.8m)未満である)の使用により容易に達成できる。
【0116】
逸脱ガイドは、坑井全体を覆う必要はない。逸脱ガイドは、最低限、地層への入口付近でコア採取ツールを支持すると共に案内する必要がある。その縁部138は、代表的には、坑井の壁からコア採取ツールの直径1つ分だけ距離を置いたところに位置する。この距離では、コア採取ツール3の切断歯31は、ガイド5に接触せず、相互損傷が回避される。
【0117】
新規なコア採取機械は、コア採取機械が逸脱ガイドに向かって進んでいるときであっても、回転ヘッドが常時、コアバレルと正しく位置合わせ状態に保たれるようにすることができる。これは、回転ヘッド2の傾動機構体12の実質的に連続した調整によって達成される。
【0118】
図16は、回転ヘッド傾動のこの調節を回避する方法を記載している。伝動シャフト140を回転ヘッド2とコア採取ツール3との間に挿入する。シャフトは、主として、ゾーン141で曲げられる。この箇所は、当初、コア採取作業の開始時においてはコア採取ツールの近くに位置し、地層中へのコア採取ツールの完全侵入時には回転ヘッドの近くに位置する。シャフトは、曲げ可撓性を保証する比較的小径断面のパイプで作られる。このシャフトは、コア採取プロセス中、2本の軸線の適正な位置合わせ又は整列を補償するスタビライザ142を備えるのが良い。
【0119】
かかる構成では、伝動シャフトは、コア採取ツールと同じほど長いものであるべきである。また、ガイドの逸脱面は、コア採取ツールと同じほど長いものであるべきである。
【0120】
本発明の新規な技術的思想により、コアをコア採取ツール内に剛性区分と可撓性区分の組み合わせが用いられる場合、図17に示されているように地層中の深いところ(坑井から半径方向に距離を置いたところ)から取り出すことができる。距離135は、選択された方法に応じて数フィート(1フィートは、0.3048m)まで増大可能である。
【0121】
この解決策の主要な要素は、2つの区分で作られたコア採取ツールである。下側区分150(最高10フィートまで)は、従来型コアバレルと同様剛性であるが、上側区分151は、曲げの際に撓むことができる(典型的には、90フィートまで)。曲げ可撓性は、その長さ全体にわたって可撓性であっても良く、或いは、剛性区分152と可撓性区分153を交互に配置されることにより(例えばナックル継手)得られても良い。剛性区分150,152の長さは、逸脱ガイド5の表面55の長さ以下であるべきである。
【0122】
かかるツールでは、コア採取ツールは、地層に入る前においては逸脱ガイド上に常時適正に位置合わせされる。これにより、コア採取ツールは、地層中に真っ直ぐな方向に進むようになり、逸脱は、ガイドの角度に対応している。注目されるべきこととして、逸脱角度は、代表的には、4.5°である。
【0123】
可撓性コア採取ツールは、可撓性材料(低いヤング率を備える)で作られた2本の薄手の管(外側回転管30及び内側静止管33)で構成されるのが良い。好ましい材料としては、BeCu、Ti又は複合材(繊維と樹脂)が挙げられる。
【0124】
図18a及び図18bは、曲げ区分の形状を示している。曲げ要件部154は、典型的には1フィートの距離にわたるガイドの角度である。外側回転管は、曲げ区分に長円形の形を形成するよう僅かに弾性的に変形可能である。長円形の変形155は、コア採取ツールの内側静止管で隙間156をほぼ閉鎖するのが良い。
【0125】
内側管に関し、断面は、曲げを受けても変えられないようにすべきであり、したがって、コアは、その断面を変える必要がない。また、高い曲げ可撓性を保証するよう管に切れ目を追加するのが良い。この管に伝達されるトルクはゼロである(又は最小限である)。用途によっては、この内側管は、油圧密封を保証する必要はなく、かかる要件が存在する場合、余分の中間密封層により切れ目を密封するのが良く又はベロー型の表面を管に設けるのが良い。ベローの形157は、2本の管相互間の流れを容易に保証することができるよう螺旋であるのが良い。
【0126】
コア採取バレルのこの実施形態では、コアは、掘削プロセス中、当初真っ直ぐである。しかしながら、コア採取ツールが引っ込められて地層から出されると、主坑井の軸線に再び整列するために一時的な曲げが与えられる。この曲げは又、コア採取要素にも与えられる。コアの特性に応じて、これは、マイナスの効果、例えばコアに亀裂が生じるという効果又は機構が圧縮されるという効果をもたらす場合がある。コア採取ツールが剛性/可撓性区分で作られている場合、分析のためにコアを曲げ区分で用いないようにすることが推奨される場合がある。典型的には、コアの1フィートに曲げ効果(及び関連の摂動)が与えられている間、典型的には6フィートが真っ直ぐに保たれる。
【0127】
コア採取ツールが剛性下側部分及び可撓性上側部分で作られている場合、曲げは、長い距離にわたって分布され、その結果、摂動を無視できるようにすることができる。したがって、非常に敏感な岩石では、摂動は長い区分にわたってもたらされるのが良いが、下側区分(典型的には6フィート)は、完全に維持される。
【0128】
剛性及び可撓性の部分から成るコア採取ツールは、コア採取穴を操向して主坑井(図19a及び図19b)から湾曲した坑跡をなして遠ざけるよう改造されるのが良い。かかる設計では、コア採取穴の端と主坑井との間の距離135を増大させることが可能である。例えば、30フィートのコア採取ツールの場合、この距離は、5〜10フィートに達する場合がある。
【0129】
この用途に関し、上述のコア採取ツールは、コア採取ツールが一平面内において曲がるという自然の傾向を持つよう改造される。これは、上述の設計例の区分153に永続的な曲げを設けることによって達成される。
【0130】
剛性区分152及び可撓性区分153を備えたコア採取ツールを参照すると、内側静止管33は、撓みゾーン153に永続的に設けられた曲げ部を有し、この管は、自然な形状160を有している。
【0131】
このあらかじめ曲げられた管33がコア採取ツール3内に嵌め込まれると、それにより外側回転管33に曲げ部が作られ、その結果、コア採取ツール3は、内側静止管とほぼ同じ形状を有するようになる(曲げが小さい場合、外側管30が内側管33によって与えられる曲げに抵抗する)。
【0132】
すると、コア採取ツールは、図19aに示されているようにコア穴内に位置することになる。穴は、自然な曲線161を有する。というのは、ビット面162は、底部のところでは穴軸線163に垂直ではなく、コア採取ツールが第1の曲げ部164のところで穴壁に当たっているからである。
【0133】
理論的ビルドアップ角度は、角度166(穴の端のところでのビット軸線165と穴軸線163のなす角度)を第1の真っ直ぐな区分150の長さで除算して得られた値に相当する。ビルドアップ角度は、コア採取システムについて典型的な幾何学的形状の場合、非常に小さい。
【0134】
穴サイズが2.5インチ(6.35cm)、コア採取ツールの外径が2.0インチ(5.08cm)、第1の真っ直ぐな区分の長さが3フィート(0.9144m)の場合、この場合におけるビルドアップ率は、1メートル当たり0.36°である。コア採取の全長が30フィート(9.144m)の場合、この逸脱の変化分は、3.6°である。これは、距離135の2倍に相当しており、したがって、この距離は、主坑井から5フィート(1.524m)に至る場合がある(30フィートのコア採取ツールの場合)。
【0135】
コア採取プロセス中、内側管33は、静止状態に保たれ、その結果、曲げ平面は、本質的に一定に保たれるようになる。外側管30が回転し、この外側管は、歯31を介して切断プロセスを推進する。注目されるべきこととして、区分150は、湾曲した穴161内への適正な取り付けが行なわれるためには区分152の長さの通常半分である。回転管33は、曲げ箇所153のところでボーリング孔と摩擦を生じる。また、同一曲げ箇所のところでは内側静止管33と外側回転管30との間に摩擦が生じる。内側管33の曲げ部は、良好な耐腐食性が得られるよう局所的に被覆されるのが良い。
【0136】
湾曲したコア採取穴161内のコア採取ツール3の形状は、当初、内側管33の曲げ効果によって与えられる。さらに、座屈効果がこの傾向を補強する。
【0137】
また、オプションとしての「ニアビット型スタビライザ」166(又はブレード)は、湾曲した穴の中でのビットの適正な誘導を保証するようビットから短い距離を置いたところに取り付けられなければならないことは注目されるべきである。その寸法は、傾斜掘削の設計基準と適合性のあることが必要である。
【0138】
図20は、コアの直径並びにその自然な曲げ状態を示しており、内側静止管33は、歯31によって作られるコア採取クラウンの内径171よりも大きな内径170を有している。これにより、コア41の直径は、内側管33よりも小径であるようになる。管33の変形可能な内張り172により、コアは、コアバレル内でガタツキを生じないようになる。曲線部173をコア採取穴の達成されたビルトアップの実証として実験室内で計測可能である。
【0139】
図21では、予備屈曲コア採取ツール180は、入れ子式構造体6に取り付けられた分散型流動システム181により主坑井内に真っ直ぐに維持される。
【0140】
この予備屈曲コア採取ツールの使用にあたっては、コアバレルに沿って上方に動いたコアが曲げ区分を通過しないようにするための特別な手順が必要である。コア採取プロセスが第1の真っ直ぐな区分150の長さに等しい長さだけ進むたびに、新たなコアは、第1の曲げ部に達する。すると、コア採取ツールは、コア採取穴から引き出さなければならず、これを主坑井内で戻して真っ直ぐな位置にする必要がある。この真っ直ぐな位置でのみ、新たなコアが可撓性区分(これは、現時点においては真っ直ぐに保持されている)を横切って他の真っ直ぐな区分(理想的には、既に蓄えられたコアに当てて)押し込まれるべきである。
【0141】
この上方押し込みは、次のようにして実施されるのが良い。
コア採取ツールを逸脱ガイド5に嵌め込む(スペーサを導入するプロセスについて説明したように(図13)。
スペーサ110をコアの底部に追加して保護を保証すると共に他のコアが後でコア採取ツールの曲げ区分153内に入り込まないようにする。この長さの規定を保証するため、軸方向変位の適正な測定がコア採取プロセス中並びにガイドからのスペーサの装入中に必要である。
次に、コア採取ツールを穴112内に下方に押し込んでストッパ182(保持状態のスペーサ110を支持している)がコアをコア採取ツール内に上方に押し込むようにする。これらコアをあらかじめ取り付けられているコアスペーサ183によって分離する。
【0142】
この押し込み中におけるかかる変位により、コアは、コア採取ツールの曲げ部を通過することがない。コアは又、コア採取ツールの真っ直ぐな区分内に常時収納される。これにより、コアの損傷が回避される。
【0143】
ダウンホールコア分析は、ビットに加わる荷重(WOB)及びトルク測定をコア採取プロセス中、コア採取機械によって実施されるのが良い。コア採取貫通速度(ROP)と組み合わせると、これらパラメータにより、岩石機械的パラメータのコンピュータ処理が可能であり、岩石の特性の変化の判定が可能である。適正な切断トルク評価のため、先ず最初に、切断ツールが底部に接していないときにトルクを測定することが重要であり、これは、コア採取ツールに関与する僅かな隙間に起因して生じる回転摩擦トルクである。
【0144】
掘削パラメータから岩石特性を判定するこの方法は、従来型ドリルビットを用いて坑井の掘削中に達成される結果よりも正確である。というのは、切断は、同一条件でのみ起こるからである(特にコア採取中、接線方向直線速度であるが、従来型ドリルビットでは、切断パラメータは、ビット面の下の位置に依存する)。
【0145】
逆循環方式を利用すると、掘屑を回転管と静止管との間の僅かな環状域中に循環させることができる。この流れには、切断歯によって生じた掘屑が含まれている。これら掘屑は、最終的には、コア採取ツールの内部チャンバに達する。掘屑サイズの分析は、超音波手段、密度測定及びフィルタクリーニング方法と関連した濾過によって実施可能であるが、これらには限定されない。これら方法のうちの幾つかは、掘屑の性質のより正確な判定が得られるよう組み合わされるのが良い。コア採取穴中の侵入度と関連してこの分析を利用することにより、特にこの分析が上述したようなWOB及びトルク測定と関連している場合、岩石の機械的性質の特性把握が可能である。
【0146】
このコア採取プロセスにより、掘屑は、長い距離にわたって運ばれることはなく、運搬プロセス中における掘屑の損傷及び変性が回避される。
【0147】
ダウンホール条件におけるコアのダウンホールロッギングを行なうシステムが図22a及び図22bに示されている。逸脱ガイドは、オープンホール(裸坑)ロッギングと同様、センサを備えるのが良く、その結果、直接的なロッギング情報を坑井から坑井の「トリップアウト」中に温度及び圧力の変化に起因した摂動並びにトリップアウト及び貯蔵中における気孔流体の損失の恐れにコアがさらされる前にコアに関して判定できるようになる。
【0148】
この目的のため、逸脱ガイドは、検出器及び関連の制御エレクトロニクスを支持すると共に/或いは収納したチャンバ200を備えるのが良い。このチャンバは、ガイド内に一体化されても良く、或いは、このチャンバは、コア採取穴から出て主坑井内に入る際にコア採取ツールに平行な小型ロッギングツールであっても良い。コアを主坑井内に引き戻すと、コアは、検出器の前を通り、それによりコア軸方向位置に対するコアの分析が可能である。コアを画像化又は断層撮影目的でロッギングプロセス中、回転させるのが良い。
【0149】
検出器として、コアの自然放射能を測定するためにガンマ線検出器201を用いるのが良い。この検出器は、光電子増倍管と関連したシンチレーションクリスタルを利用するのが良い。周りの岩石(これは、遮蔽体202が、同じ岩石であるので非常に似た特性を有する場合がある)による測定の摂動を制限するために検出器の後側(及び実際にはの周り)に取り付けられるのが良い。遮蔽体は、鉛又は任意の重金属で作られるのが良い。また、コアがコア採取ツール内に存在していない状態でこの深さでバックグラウンドノイズを測定することが推奨され、このノイズを次に、コアがコア採取ツール内に存在しているときに読みから差し引くのが良い。
【0150】
ガンマ線測定法により、コアが適正な地層から採取されたかどうかの確認が可能である。これは、複雑な地質学的構造若しくはフラクチャー地質学的構造又は断層の付近では重要である場合がある。この種の制御は又、コア採取穴が上方又は下方に向けられている間、水平主坑井からのコア採取の際に極めて重要であり、コアが適正な地層から採取されるようにする上で極めて重要である。
【0151】
この測定は、プロセスの直接的な品質管理(精度管理)であり、不適切なコア取り出しの場合、特に多数の短いコアが採取された場合、別のコアを採取することが即座に決定可能である。
【0152】
また、ロッギングシステムは、典型的なワイヤラインロッギングツールで実施されるようにガンマ線放射性源(典型的にはCs132)を用いてガンマ‐ガンマ密度を可能にするよう構成されるのが良い。密度は、後方散乱法によって測定でき、ガンマ線放射性源を検出器と同一の側に取り付けるのが良い(全てのものは、ロッギングツール内に位置する)。しかしながら、ガンマ線源203をロッギングツール内のガンマ線検出器204の反対側に(例えばガイド内に)配置することが可能である。
注目されるべきこととして、自然ガンマ線測定は、ガンマ線放射性源の存在によって摂動を受ける場合があることは注目されるべきである。摂動を制限するために十分な距離を取ると共に遮蔽体205を配置すべきである。
【0153】
密度測定では、かかる測定は、コアが回転している状態で(コア採取機械の回転による)実施されるのが良い。これにより、コア区分中の異方性及び非一様な密度を測定することができる。この分析は、実際には、次のような好ましい設計により走査プロセス(断層撮影法)になるのが良い。
コアの互いに反対側に設けられた源と検出器。
源204から検出器203まで延びるライン206は、コア41の中心207を通らない。
【0154】
第2の照明コードを用いることにより断層撮影解像度を向上させることができ、これは、以下のシステムのうちの1つによって達成できる。
コア採取ツールを側方に変位させることができる機械的特徴部の使用。次に、2つの照明経路に対応してコア断層撮影を2回実施するのが良い。
コアを横切る2つの照明コードに続き、測定を実施するためのロッギングツール内における第2の密度検出器の使用。
密度測定及び断層撮影測定は、初期ダウンホール条件下、例えば圧力、温度及び間隙流体条件下におけるコア特性較正のための重要な情報である。
【0155】
本発明により説明される別のダウンホール測定は、コア直径である(図23a及び図23b)。通常、コア直径は、コア採取ツールの切れ刃の内径に等しいと推定される。しかしながら、機械的損傷に起因して、このようになっていない場合がある。さらに、コアの幾何学的形状は、時間(不適当な流体による湿潤を受けた後)、圧力及び温度の変化につれて変化する場合がある。コア直径を互いに異なる条件(例えば、コア採取直後、地表のところ及び実験室内)で分析することは、コアの「エージング」にとって良好な品質管理パラメータである。
【0156】
この測定は、種々の技術により実施できる。一設計例では、内側静止管33は、軸方向溝210を備えるのが良い。この管は、切断歯31の内径171よりも僅かに小さいのが良く、その結果、コアは、内側管33を開かなければならないようになる。円錐形区分211は、コアが管33内に上方に押し込まれるときにこの開放効果を助ける。内側管33がコアによって開かれると、その溝210も又、幅が広がると共にその全体的直径が大きくなる。管33の直径の変化は、外部測定によって判定できる。好ましい方法のうちの1つとして、2本の管30,33相互間の隙間を超音波変換器212(パルスエコー法)又は共鳴の減衰)によって計測でき、この測定値は、2つの音響経路213,214に関する飛行時間から成る。これら2つの測定値相互間の差に流体の音響速度を乗算すると、隙間の計測が可能である。
【0157】
別の測定法は、区分215における機械的効果に基づいている。この区分では、管33は、僅かに長円形である。この管は、内部切断管33に取り付けられた2つの突起216と接触状態にある。管33がコアにより変形すると、突起216は、外側管30を変形させる。管33の長円度の直接的な判定により、管33の直径を求めることができる。管33のこの長円度判定は、コア採取ツールの直径方向反対側でガイドに取り付けられた1対の距離(又は変位)センサ217,218を介して達成できる。数種類の検出器、即ち、表面と接触関係をなして摺動するLVDT又はちょうど説明したばかりの超音波センサ又は渦流センサを用いることができる。この用途に関し、外側管33は、或る特定の軸方向位置のところに長円形区分を有する。直径ロッギング中、区分215が検出器217,218の前に位置すると、コア採取ツール3をゆっくりと回転させる。
【0158】
コアの熱特性も又ロッギングすることができる。この測定に関し、外部加熱又は冷却作用によってコア温度を変化させる。坑井に対する断熱がなされていると仮定して、摂動の作用に対する温度の変化状況を計測し、加熱ステップ機能に対する温度応答により、コアの比熱及び熱伝導率を求めることができる。このコアの比熱及び熱伝導率は、岩石学的特性、気孔率及び流体の性質と関連している。
【0159】
かかるロッギングについて考えられる設計例は、コア採取ツール内に圧送された流体のヒータを設置することであり、それにより、高温の流体がコア採取ツールの2本の管30,33相互間の環状域中を循環することができる。コア応答は、コア採取ツールの外面と接触状態にある温度プローブ又は熱流プローブを介してロッギングシステムによって測定される。
【0160】
加熱効果は、制御された電流発生下においてコア内の電流誘導方法により達成できる。コア採取ツール3及びコア41内における電流誘導は、AC電流がガイドに取り付けられている固定巻き線中に回されると、磁気誘導によって直接実施できる。電流誘導のためのもう1つの方法は、渦電流(又はフーコー電流)を発生させることである。これは、ガイドの近くに大型固定磁石を取り付けることにより達成でき、コア採取ツール(及びコア)を磁石の前で回転させると、渦電流がコア採取ツールの金属及びコア中に現われる。
【0161】
誘導法による加熱は、コア採取ツール本体中に誘導される電流を少なくし、コアそれ自体中に誘導される電流を大きくするよう改造されるのが良い。これを達成するため、コア採取バレルの2本の管は、非磁性材料、理想的には抵抗材料で作られる必要があり、ニッケル金属又はステンレス鋼金属が許容可能な解決策であるといえる。この場合、熱プローブによりロッギングされる熱応答は、コアの抵抗率に依存している。次に、加熱の量をコア体積中の誘導電流の大きさによって検出する。
【0162】
コアの抵抗率をロッギングすることができるが、これにはコア採取ツールの改造が必要である。例えば、コアの誘導抵抗率のロッギングは、コアバレルを2つのコイル中に通すことによって実施でき、コア採取ツールは、非磁性且つ高い抵抗率のものであることが必要である。コア採取ツールは、複合材料(例えば、ガラス繊維及びエポキシ樹脂)で構成されなければならない場合がある。
【0163】
岩石の機械的科学では、クーロン破損基準(図25)は、岩石の破砕基準を定め、岩石の破砕に到達する所要の剪断レベルは、剪断に垂直な平面内における圧縮応力につれて増大する。
【0164】
本発明のコア採取機械により、この判定が可能である。コア採取ツールは、コア採取プロセス中、地層内に嵌まり込む。次に、コア採取ツールの回転を停止させ、コアを挟持し(図4参照)、次に内側管を外側管にロックする(図10参照)。回転ヘッド2は、トルクが測定されている間、トルクをコア採取ツール3に加える。トルクを図10のコア面43が破断するまでゆっくりと増大させる。破断後、トルクは、すぐに減少する。トルク増大段階中におけるピークトルクは、岩石に関する破断トルクに相当している。改良型破断トルク測定のため、岩石破壊後における低回転速度での残留トルクを測定し、このトルクをピークトルクから差し引くことができるようになる(摩擦トルクに過ぎないので)。
【0165】
近似関係により、剪断面43のところでの平均剪断トルクの推定を行なうことができる。剪断弾性率の知識により、この推定が改善される。コア剪断試験中、剪断面に加わる圧縮荷重をWOBとしてコア採取機械により提供することができる。圧縮力を用いて圧縮応力を直接計算することができ、これにより、クーロン(COULOMB)図の一点を求めることができる。
【0166】
コア剪断の第1の試験後、通常のコア採取プロセスを短い侵入のために再び開始するのが良い。次に、新たなコア剪断試験を別の軸方向荷重(WOB)について実施するのが良く、それによりクーロン図のもう1つの点が求められる。
【0167】
判定にはこの図の通常2つの点で十分である。これよりも多くの点は、より高い精度を得ると共にこの特定の岩石の応答の潜在的非直線性を直接求めるために取られる場合がある。
【0168】
また、岩石の最大引っ張り値を求めるのに特別な試験を実施することができる。この場合も又、コア採取ツールが岩石に十分に侵入すると、挟持システムを作動させ、引っ張り力(負のWOB)を加えて測定し、この引っ張り力を破砕に達する(測定値が、低い値まですぐに下がる)まで連続測定実施中、ゆっくりと増大させる。最大引っ張り力を用いて破断に対応した引っ張り応力を算出する。
【0169】
これら試験により、図25に示されているグラフ図(クーロン破損基準)の完全な判定が可能である。
【0170】
新規なコア採取機械は、現場応力も又測定することができる。思い起こされるべきこととして、全応力場は、2つの主応力(互いに90°の角度をなして向けられている)に分解可能である。これら応力は、6つの既値(3つの大きさ及び3つの方向)を表している。図26は、これを詳細に示している。
【0171】
これら測定を実施するため、コア採取ツール3の切断歯31を2つの列をなす切れ刃を有するよう図26a及び図26bに示されているように改造される。第1の切れ刃160は、内径162を切断する。第2の切れ刃161は、第1の直径162よりも小さな内径163を切断する。短い長さにわたり、コアは、コア採取ツールに入るコアよりも僅かに大きな直径を有する。
【0172】
かかる端部コア形状では、剪断又は引っ張りのためのコア試験中の破断面が区分165のところに位置している。というのは、応力は、大径コアの区分の応力よりも高いからである。
【0173】
区分165のコア破断後(上述したプロセスによる)、コア採取ツールは、コアの大径部162を掴んでおり、この大径部は、依然として、地層にくっつけられている。この場合、表面164を剪断するために新たな剪断試験が実施されている。この試験により、破断のための1組の測定値(WOB、トルク)が与えられ、それによりデータ点(剪断応力、圧縮)をコンピュータ処理することができる。
【0174】
この破断は、この剪断/圧縮試験について起こるが、この地層中に自然に存在する局所応力による区分165中の圧縮応力と組み合わされる。これら表面応力は、最も一般的には圧縮応力であり、このインターフェイスのところでの主応力の組み合わせによって生じる。
【0175】
モールの円の理論を用いると、破断は、最も大きな円が既に測定されているクーロンの線(小さな破断から求められる)に達すると生じる。
【0176】
この試験を異なるWOBについて類似の又は同一のコア採取穴で2回実施することにより、区分164におけるこの応力の大きさ166及び「ツール面」167を求めることが可能である(この場合におけるツール面は、区分におけるこの応力の配向角度である)。
【0177】
岩石中の主応力(3つの大きさ及び3つの方向)の問題を完全に解決するためには6つの独立の測定が必要であり、即ち、2つは、2つのWOBで上述したように実施されるのが良い(同一又は類似のコア穴)。かかる試験は、互いに異なる独立した方向に差し向けられた3つのコア採取穴内で実施される必要がある。この目的のため、ガイドがコア採取穴の傾斜角が主坑井から90°であるはずがない間に3つの互いに異なるツール面で主坑井内に配置される必要がある。このことは、岩石応力測定(大きさ及び角度)に関する剪断された面が3つの面を持つ角錐の面に対応する表面で測定されることを意味している。角錐の各自由面に加わる応力が分かると、堅い地層中の均等な応力を求めることができる。角度に関して適正な精度を得るため、コア採取穴の逸脱角は、十分に適当である必要がある(30°)。この目的の実用的な用途に関し、このことは、コア採取ツール3が比較的小型であるべきであり、その結果、ガイド逸脱角度が大きいのが良いことを意味している。
【0178】
最後に、遠くの摂動を受けない地層ボリュームへの近くのコア採取穴に関する応力集中要因を求めることができる。これには、コア採取穴の幾何学的欠陥及び弾性(ヤング率及びポアソン比)の推定が必要な場合がある。
【0179】
この問題の完全な解決のため、弾性及びポロエラスチック(poro-elastic)係数を適正な実験室内測定のためのコアを用いて実験室内で求めることができる。
【0180】
ヤング率は、薄いコアの座屈試験によって得られる。この目的のため、コアは、長さ:直径の比が大きいことが必要である。この場合、コアは、切断区分の上方の内径が大きいことに起因するか変形性の極めて高い管33の使用によるかのいずれかにより静的内側管33内では良好には支持されない。この場合、コア採取機械は、軸方向荷重をコアの上側末端部に加えることができるよう改造される必要がある。これは、以下の解決策のうちの1つによって達成できる。
a)コアがコア採取ツールの頂部に到達するよう短いコア採取ツール。
b)荷重をコア採取ツールの下方末端部について或る特定の距離を置いたところでコアに伝えるための挟持機構体を追加すること。
c)油圧をピストンの上面に加えることによりコア採取ツール内においてシール付きピストンを押し下げることができるということ。
【0181】
座屈(オイラーの公式)に達するまで小さな値からゆっくりと増大する軸方向荷重をコアに加える(そして測定する)。破断時、軸方向荷重を突然減少させる(これは、検出法である)。幾何学的形状及び力が分かると、ヤング率を計算することができる。
【0182】
ポアソン比の場合、コアの荷重試験を実施するのが良い。基本的な試験は、次のようにして岩石の引っ張り強度を求める。即ち、筒状の岩石を2枚のプレート相互間で半径方向に圧縮する。この荷重条件において、加重プレートとの接触線の通る軸方向平面内において、この平面に垂直な引っ張り応力のみが存在することが容易に観察される。公式により、この引っ張り応力は半径方向荷重及び幾何学的形状(弾性ではない)に直接関連付けられる。
【0183】
本発明では、加重機構体は、次のように改造される。即ち、互いに平行なプレートが接線方向接触線上の岩石サンプルと接触状態に配置される。この場合、これらプレートは、静止状態に維持される。次に、力が岩石サンプルにその主要軸線を辿って加えられる。これにより、岩石サンプルは、ポアソン効果により容易に成長する。しかしながら、一半径方向においては、変形は、2枚のプレートによって制止される。すると、圧縮接触状態が岩石とこれらプレートとの接触部のところに生じる。いまや、岩石サンプルは、引っ張り荷重が軸方向平面上に生じるよう加重される。すると、軸方向荷重は、引っ張り破断に達するまで増大する。破断は、破断引っ張り荷重で生じる(これは、先に測定したクーロン破損図から知られている)。次に、半径方向接触力を計算することができる。この力が現われるのは、軸方向加重により生じる含有ポアソン変形に起因する。
【0184】
この公式は、岩石サンプルの軸方向加重、半径方向加重、ポアソン比、ヤング率、直径及び長さを互いに関連付ける。この場合、唯一の未知の値は、軸方向荷重を測定しているときのポアソン比である。
【0185】
この試験を実施するため、コアを再び軸方向に圧縮する(座屈試験の場合と同様)。しかしながら、コアは、2つの接線方向平面に半径方向に制限される。コアは又、座屈を回避するのに十分短くなければならない。実際には、同一の管33が両方の試験に用いられる。両方の試験相互間の唯一の差は、コアの長さである。座屈試験の場合、この長さは、長くなければならず(恐らくはL/D>15)、改造型試験については、L/Dは、1である。
【0186】
コアロッギングプロセスは、主として、コアが地層から引っ込められているときに生じるようになっており、即ち、コアは、ロッギングシステムの前で逸脱ガイド上でこれに沿って滑る。このロッギングは、ダウンホール条件(圧力及び温度)で且つ最短侵入時間後に行なわれる。
【0187】
逸脱ガイド(及びロッギングツールの支持体)の適正な設計がなされている場合、逸脱ガイドを異なる深さで(例えば、地表のすぐ下)坑井内にロックすることができる。ガイドの対応の設計では、コア採取ツールをガイドを横切って通過させてコア採取ツールが側方に押されず、そして主坑井内に留まるようにすることが可能である。コア採取ツールは、下方に動き、次に上方に動くことができ(コア採取プロセス中と同様な方法で)、コアは、ロッギングシステムの前で滑るようになる。この状況では、ロッギング測定の全てを再び実施することができるが、異なる環境条件で実施される。
【0188】
図14を参照すると、本発明のコア採取機械は、圧力をこの頂面に加えることができる。これは、ポンプ130を作動させながら弁126を閉じることによって達成できる。図13に示されているような分離栓を当初コア採取ツール内に設けることができ、次にコアの頂部に位置させることができる。
【0189】
突き出しは、コア採取内部穴の内部で実施でき、即ち、コアは、その穴(又は任意の出口コア採取穴)内に再び収納される。コア突き出しのこのプロセスは、コアのダウンホールロッギングと組み合わされると極めて有用である。コアロッギング後、コアが望ましくない場合、コアを突き出してコア不合格の場合にのみ地表までのトリップを回避するのが良い。
【0190】
多数個の小さなコアがコア採取ツール内に蓄えられると、望ましくないコアのみを突き出すことが重要である。このことは、コア変位を制御することが必要であることを意味している。これは、種々の方法により達成でき、これら方法のうちの幾つかについて以下に説明する。
a)適正な変位が達成されるまで圧送流体の体積を測定する。
b)コア採取ツールをコア採取穴内の底部上に戻し、コアを押してコア採取穴の底部に押し付ける。ポンプ圧力を維持し、コア採取機械の深さの変化をモニタしながらコア採取ツールをコア採取穴から出す。
c)ロッギング情報を用いてコアの頂部がロッギングシステムの前を通過した時点を突き止める。これには、コア採取ツールを動かして底部のコアの突き出し後におけるコアの頂部がちょうどロッギング区分の前に位置しているようにすることが必要である。
【0191】
図14bに示されている専用の栓は、これがコア採取ツール内において後方運動を阻止するのでこの目的のために使用できる。
【0192】
専用歯を備えたコア採取ツールは、ケーシングを横に切断し、セメントを横に切断し、次に岩石を横に切断することができる。これにより、ケーシングの後ろへのコアの取り出しが可能である。明らかなこととして、このプロセスは、上述の全ての特定の使用、用途及びシステムと組み合わせ可能である。
【0193】
ケーシングの後ろでのコア採取に関し、ケーシングに窓を切断形成することが必要である。この窓は、地層と坑井との連通を保証する。これは、コア採取後では望ましくない場合がある。本発明のコア採取機械は、この穴及び窓に栓をすることができる。このプロセスを実施するため、専用の栓(図13を参照されたい)をガイドから取り出してコア採取穴の頂部内に突き出すことができる。これら専用の栓は、以下によって或る程度の隔離を保証することができる。
a)栓の外部に膨潤性材料を使用すること。この材料は、コア採取穴内への栓の取り付け後に膨潤する。
b)栓の周囲にゴム要素を用いること。この要素は、次に、小径コア採取穴内で締まり、かくしてシールが作られる。
c)プラグは、適正な条件(例えば、時間依存性)下で硬化する材料を含む。これにより、コア採取穴内でのプラグの取り付けが可能になり、すると、栓は、この材料を地層に接触させてシールを形成するよう「開かれる」。
d)密封のためにコア採取穴内で栓を「膨張させる」のが良い。例えば、これは、栓の中の要素を回転させて(その突き出し後)膨張を保証することによって達成できる。
e)コア穴に硬化可能な専用の流体を充填するのが良い。この目的のため、潜在的に考えられる方法は、コア採取ツールをコア採取穴の底部まで下降させることである。次に、コア採取ツールをコア穴からゆっくりと引き出しながらコア採取ツールの2本の管相互間で専用流体を循環させるのが良い。これにより、コア採取穴へのこの専用流体の制御された充填が保証される。幾つかの場合、一種のセメントスラリーをコア採取穴内に圧送しても良い。この専用流体をコア採取機械内の専用容器に入れて坑井内に下降させるのが良い。コア採取装置をチュービングによって坑井に沿って下降させる場合、専用流体をこのチュービングを介してコア採取装置に送り出すのが良い。
【0194】
本発明のコア採取機械により、コアのダウンホールロッギングを取り出し後に実施することができる。また、このコア採取機械により、コアをコア穴内に突き出して戻すことができる。通常、コア採取の主要な目的は、品質管理である。しかしながら、コア採取、コアロッギング、コア突き出しの組み合わせを用いると、掘削プロセスと関連した損傷を生じさせないで岩石の専用ロッギング情報を得ることができる。また、かかる組み合わせは、改善されたデータ、例えば密度断層撮影又は深さ測定値を得るための方法でもある。
【0195】
ロッギングツールは、種々の形式のデータを収集する。一動作モードでは、このデータは、メモリ(恐らくは、ロッギングシステム内に設けられる)内にロッギングするのが良い。次に、これらデータを地表のオペレータコンピュータに伝送する。
【0196】
別の設計例では、電気的リンクがコア採取機械とロッギングシステムとの間に設けられる。電気的リンクは、図6に示されているような油圧リンクに類似している。この電気的リンクにより、ロッギングシステムとコア採取機械との間に通信を確立することができる。すると、データは、コア採取機械用の通信システムによりデータを地表に対して授受することもできる。また、このリンクにより、電力をコア採取機械からロッギングシステムに送ることができる。
【0197】
コア採取機械を数個の短い間隔にわたって作動させる場合、所要の場所(ツール面)に高品質のコア採取流体を放出することが可能である。コア採取機械が主坑井とコア採取穴との間の閉鎖圧送ループ内で稼働しているとき、元々坑井内に存在する流体とコア採取流体の最小限の流体混合が生じる。これにより、コアが最小限の損傷で取り出されるようになる。
【0198】
インテリジェントコア採取機械をチュービング、ドリルストリング又はコイルチュービングにより下降させるのが良い。
【0199】
コア採取機械は、チュービングストリングの底部に設置されるのが良い。この用途に関し、コア採取機械の幾つかの機能は次のように不要にすることができる。
a)クローリング機能(図3に記載されている)を不要にすることができる。これにより、コア採取機械の坑井をより簡単にすることができる坑井内における変位は、チュービングを地表から動かすことにより(チュービングは、リグのフックに取り付けられるのが良い)従来の坑井作業の場合と同様に得られる。コア採取のためのWOBは、ストリングの重量のうちの何割かをコア採取機械に加えることによって得られる。コア採取プロセスからのリアクショントルクは、ばねによっても受け止められる(モータを用いた掘削時のように)。しかしながら、軸方向押し込みシステム(図2の参照符号22)は、コア採取のためのWOB及びROPの滑らかな制御を保証するよう動作状態に保たれるのが良い。 b)配向サブ(図8に示されている)は、チュービングストリングを地表から回転させることができる場合(例えば、リグ回転テーブルにより)不要である。コイル状チュービングを用いた作動時には、この配向サブは、必須である。
c)循環のためのダウンホールポンプも又不要になる。というのは、コア採取プロセスのための循環を地表ポンプ(例えば、掘削リグのトリプレックス(triplex))によって行なうことができるからである。また、地表からのこの循環により、コアの損傷を最小限に抑えるための専用流体をコア採取のために循環させることができる。
d)回転ヘッド(図2の参照符号2)の回転をモータ(図2の参照符号10)に代えて油圧モータで生じさせることができる。操向性モータに用いられているPDMは、好ましい解決策である。
e)コア採取機械は、MWD型遠隔測定法により地表と通信することができる。この通信モードは、両方向であるのが良い。かかる方法により、図1のワイヤラインケーブル7が不要になる。
【0200】
かかる改造例では、チュービングから作動されるコア採取機械は、大きな出力の電気的機能を含まない。
【0201】
クローラのダウンホール伸長機構体は、コア採取中、滑らかな制御された変位を保証するよう作動可能である。
【0202】
チュービング制御型「フルボア」コア採取機械を図24に示されているようなスリックラインによりコア釣り上げのために使用できる。
コア採取ツール3は、代表的には、2.5インチに制限され、この場合、所要の掘削動力も又制限される(10キロワット)。チュービング作動型コア採取機械(上述した)では、油圧モータ220の直径は、4.75インチ(12.07cm)(又はこれ以上)であるのが良い。この油圧モータは、4/5又は7/8ローブ形態を利用しているのが良い。モータの長さも又制限される(数メートル)。
【0203】
かかる形態では、
大径バイパス穴222をロータ221に穴あけするのが良く、この穴の直径は、1.5インチ(3.8cm)以上であるのが良い。専用のキャビティを浅く保つことによりロータオービットを小さく保つのが良い。
専用弾性管をモータロータと回転ヘッドシャフト15との間の中空伝動シャフト223として用いる。この管も又、大径(1.5インチ以上)のボアを有するのが良い。
フルボア弁により、モータロータのバイパスを開閉することができる。
コア採取ツール3の内側静止管33を支持した管34(図4)の延長部として、伝送シャフト及びモータロータを横切る管を設けるのが良い。
【0204】
かかる伝動では、フルボア226は、モータの頂部から回転ヘッドまで存在する。
【0205】
コア採取ツールは、剛性区分152及び可撓性区分153を備えた図17に示されているシステムを利用するのが良い。しかしながら、コア採取ツールは、内側管の内径がシャフト34の内径に等しくなるよう改造される。
【0206】
かかるコア採取ツール3を備えたかかるコア採取機械1では、コアは、回転ヘッド及びモータを通過することができる。コア採取機械全体の適正な環状構造の場合、コアは、コア採取機械の頂部に達することができる。コアは、釣り上げ可能な静止管234内に押し込み可能である。管にコアを詰め込むと、この管をチュービング227を通るスリックライン225によって釣り上げることができる。
【0207】
時間の節約のため、一時的コア貯蔵管も又、コア採取機械に設けられる。この管を充填すると、弁システムにより、流体を逸らしてコアが釣り上げ可能な静止管内で上方で押されるようになり、すると、一時的コア貯蔵管は、空になる。次に、スリックラインは、コアを地表まで運ぶことができ、次に新たな空の釣り上げ可能な管を下降させる。この内外へのトリップ中、コア採取を再び開始することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボーリング孔の周りの地下地層のコアを採取するシステムであって、
コア採取されるべき地層の近くで前記ボーリング孔内に位置決め可能なツール本体を有し、前記ツール本体は、モータを含み、
前記モータに連結された回転駆動ヘッドを有し、
一端が前記回転駆動ヘッドに連結され、他端がドリルビットを支持した回転ツールを有し、
前記ボーリング孔内に固定可能に動作可能なアンカーと、前記ツール本体及び前記回転ツールを前進させる軸方向駆動装置を含む駆動機構体とを有し、
前記回転ツールを前記ボーリング孔から前記周囲地層中に側方に押し込むガイドを有し、
前記回転ツールは、環状ドリルビットを運ぶ管状コア採取ツールである、システム。
【請求項2】
前記回転駆動ヘッドは、前記コア採取ツールの軸線が前記ツール本体の軸線から逸脱することができるようにするよう動作可能である、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記回転駆動ヘッドは、前記コア採取ツールの軸線の前記逸脱を変化させることができる調節可能な連結部を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記コア採取ツールは、前記逸脱した軸線を所定の方向に差し向ける手段を含む、請求項2又は3記載のシステム。
【請求項5】
前記回転駆動ヘッドは、前記コア採取ツールに連結された雌型コネクタと、前記回転駆動ヘッドから遠ざかって前記ツール本体内に延びる中空シャフトとを有する、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項6】
前記モータは、前記回転駆動ヘッドを駆動するよう前記中空シャフトの外面に連結されている、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記中空シャフトの角度位置を検出する角度位置センサを更に有する、請求項5又は6記載のシステム。
【請求項8】
前記角度位置センサは、前記中空シャフトの回転速度を導き出す、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記アンカーは、少なくとも1組の半径方向に延びるパッドを有し、前記パッドは、前記ツール本体を前記ボーリング孔内に固定するよう作動されると前記ボーリング孔壁に係合する、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項10】
前記軸方向駆動装置は、作動時に前記パッドにより提供される固定力に抗して作用するよう働く、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記駆動機構体は、油圧システムと、前記パッドと、作動油が提供されるシリンダ内に位置するピストンを備えた前記軸方向駆動装置とを有する、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記駆動機構体は、前記ツール本体が前記ボーリング孔に沿っていずれかの方向に動くことができるよう交互に作動可能な少なくとも2組のパッドを有する、請求項9、10又は11記載のシステム。
【請求項13】
前記コア採取ツールは、前記環状ドリルビットを支持していて、前記回転駆動ヘッドに連結された外側回転管と、前記コア採取ツールによって前記地層から穿孔採取されたコアを支持する内側コアバレルとを有する、請求項1〜12のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項14】
前記内側コアバレルは、前記外側回転管と共に回転することはない、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記内側コアバレルは、前記回転駆動ヘッドを貫通して延びるシャフトに連結されている、請求項13又は14記載のシステム。
【請求項16】
前記シャフトを包囲した配向基準カラーを更に有し、前記カラー及び前記シャフトは、相対回転を阻止する相互係合成形部を備えている、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記相互係合成形部は、前記カラーが前記シャフトに対して摺動することができるようにするキーと溝を含む、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記カラーは、前記カラーが前記ツール本体に対して回転しないよう保持される第1の位置と、前記カラーが前記外側回転管に対して回転しないよう保持される第2の位置との間で動くことができ、前記第1の位置では、前記カラー及び前記シャフトは、前記外側回転管に対して前記ツール本体と共に回転することができ、前記第2の位置では、前記カラー及び前記シャフトは、前記ツール本体に対して前記外側回転管と共に回転することができるようになっている、請求項16又は17記載のシステム。
【請求項19】
前記カラーを前記第1の位置と前記第2の位置との間で動かすよう動作可能な電磁石を更に有する、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記カラーは、傾斜面を有し、対応の傾斜接触面が前記ツール本体に設けられており、前記カラーが前記第1の位置にあるとき、前記傾斜面相互の接触効果により、前記シャフトは、前記ツール本体に対して所定の角度位置に差し向けられる用になっている、請求項18又は19記載のシステム。
【請求項21】
前記カラー及び前記外側回転管は、相対回転を阻止する相互係合成形部を備えている、請求項16〜20のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項22】
前記相互係合成形部は、歯と凹部を含む、請求項21記載のシステム。
【請求項23】
前記外側回転管に取り付けられている前記ドリルビットの近くで前記内側コアバレルの端部のところに挟持システムが設けられ、前記挟持システムは、穿孔形成コアを挟んで前記地層から取り出すために前記内側コアバレルに制御された運動を与えるよう動作可能である、請求項13〜22のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項24】
前記挟持システムは、前記コアバレルの端部に設けられた1つ又は2つ以上の軸方向切れ目と、前記外側回転管の内面及び前記内側コアバレルの外面に設けられた相互係合勾配付き面とを有し、前記勾配付き面の相互係合は、前記外側回転管と前記内側コアバレルの相対軸方向運動によって行なわれ、前記切れ目は、前記内側コアバレルの前記端部の直径を減少させることができる、請求項23記載のシステム。
【請求項25】
前記ツール本体は、坑井流体を前記ドリルビットの周りに圧送するポンプを更に有する、請求項1〜24のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項26】
前記コア採取ツールは、前記環状ドリルビットを支持した外側回転管と、前記地層から穿孔形成されたコアを支持する内側コアバレルとを有し、前記ポンプは、流体を前記回転管の外部に沿ってこれを下って前記ドリルビットに圧送して前記外側回転管と前記内側コアバレルとの間の環状空間を上方に通って戻すよう動作する、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
前記ポンプの出口の近くに配置されていて、前記ドリルビットから戻った掘屑を処理する掘屑処理装置を更に有する、請求項25又は26記載のシステム。
【請求項28】
前記ガイドは、前記ボーリング孔の軸線に対して傾けられた案内面及び前記ガイドを定位置にロックするよう動作可能なガイドアンカーとを有する、請求項1〜27のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項29】
前記案内面は、前記ボーリング孔軸線に対して3°〜20°の角度をなして傾けられている、請求項28記載のシステム。
【請求項30】
前記案内面は、前記ボーリング孔軸線に対して約6°の角度をなして傾けられている、請求項29記載のシステム。
【請求項31】
前記アンカーは、前記ガイドを定位置にロックするよう前記ボーリング孔壁に押し付け可能な少なくとも1つのパッドを有する、請求項28、29又は30記載のシステム。
【請求項32】
前記パッドは又、前記ガイドを定位置にロックするよう前記ガイドを前記ボーリング孔壁に押し付けるよう作用する、請求項31記載のシステム。
【請求項33】
前記アンカーは、前記ツール本体内に設けられていて、ホースによって前記ガイドに連結されたポンプ及びリザーバを含む油圧システムによって作動される、請求項31又は32記載のシステム。
【請求項34】
前記アンカーは、ナットの回転により作動され、前記ナットの回転により、ウェッジが動き、前記ウェッジは、前記パッドを前記ガイドに対して半径方向に動かすよう前記パッドに作用する、請求項31又は32記載のシステム。
【請求項35】
前記ナットは、前記コア採取ツールによって回転し、前記コア採取ツールの回転により前記ナットを回転させることができるよう前記ナットに設けられた成形部と対応関係をなして嵌合することができる成形部が前記コア採取ツールに設けられている、請求項34記載のシステム。
【請求項36】
前記ガイドは、入れ子式アタッチメントによって前記ツール本体に連結されている、請求項28〜35のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項37】
前記ガイドは、前記ツール本体に設けられたラッチ内に摺動可能に設けられたバーによって前記ツール本体に連結され、前記ラッチは、前記ガイドを前記ツール本体から所定の距離を置いたところに保持するよう前記バーを前記ツール本体にロックするよう動作可能である、請求項28〜35のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項38】
前記ツール本体からの前記ガイドの離隔距離を測定する位置センサを更に有する、請求項36又は37記載のシステム。
【請求項39】
前記位置センサは、前記入れ子式アタッチメント又は摺動バーに設けられたマークの位置を検出するセンサから成る、請求項38記載のシステム。
【請求項40】
前記案内面を所定の方向に差し向ける配向システムを更に有する、請求項28〜39のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項41】
前記配向システムは、前記案内面が前記所定の方向に向くよう前記ツール本体を回すよう作用する、請求項40記載のシステム。
【請求項42】
前記ツール本体の位置及び配向状態を判定するナビゲーションシステムを更に有する、請求項40又は41記載のシステム。
【請求項43】
地球の磁界に対する位置を判定する磁力計及び/又は地球の重力場に対する位置を判定する傾斜計を有する、請求項42記載のシステム。
【請求項44】
前記ガイドの位置と前記ナビゲーションシステムの位置との間のオフセットを求める手段を更に有する、請求項42又は43記載のシステム。
【請求項45】
前記配向システムは、前記ガイドに設けられていて、前記コア採取ツールを挿通状態で突き出させるカラーを有し、前記コア採取ツールは、前記コア採取ツールの回転作用により前記ガイドが前記所定の方向に回るようにするよう前記カラーに設けられた成形部と対応関係をなして係合することができる成形部を備えている、請求項40〜44のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項46】
前記地層から得られたコアの底部を保護するよう前記コア採取ツール中に導入可能な1つ又は2つ以上のコアプロテクタを更に有する、請求項1〜45のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項47】
多数のコアが単一のコア採取ツール内に得られ、コアプロテクタは、別々のコアの各々相互間に位置決めされる、請求項46記載のシステム。
【請求項48】
前記プロテクタは、前記コア採取ツール内への導入を容易にする面取り端部領域と、前記プロテクタを前記コア採取ツールの中央に保持するセントラライザと、前記コア採取ツールの内面に接触する少なくとも1つのシールとを有する、請求項46又は47のシステム。
【請求項49】
前記プロテクタ及び前記コア採取ツールは、前記プロテクタを前記コア採取ツール内の定位置にしっかりと保持することができるよう相互係合成形部を更に有する、請求項48記載のシステム。
【請求項50】
前記相互係合成形部は、半径方向に伸長可能なキャッチと溝を含み、前記キャッチは、前記溝の中に突き出ることができる、請求項49記載のシステム。
【請求項51】
前記コア採取ツールの内部に連結されていて、前記コア採取ツールの周りの周囲圧力とは無関係に前記コア採取ツール内の圧力を所定レベルに維持するよう作動可能な圧力制御システムを更に有する、請求項46〜50のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項52】
前記ガイドは、前記コア採取ツール内に導入されるべきプロテクタのための貯蔵容器を更に有する、請求項46〜51のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項53】
前記ガイドは、動作可能なトラップを有し、前記コア採取ツールは、前記トラップを開いて前記プロテクタを前記コア採取ツールに利用できるようにしたり前記トラップを閉じて前記コア採取ツールが前記地層に入ることができるようにする前記トラップの作動機構体に係合可能である、請求項52記載のシステム。
【請求項54】
伝動シャフトが前記回転駆動ヘッドを前記コア採取ツールに連結している、請求項1〜53のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項55】
前記伝動シャフトは、前記コア採取ツールと比較して可撓性である、請求項54記載のシステム。
【請求項56】
前記伝動シャフトは、前記コア採取ツールと実質的に同一の長さを有する、請求項54又は55記載のシステム。
【請求項57】
前記伝動シャフトに取り付けられた1つ又は2つ以上のスタビライザを更に有する、請求項54〜56のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項58】
前記ガイドは、前記コア採取ツールと実質的に同一長さを持つ接触面を有する、請求項54〜57のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項59】
前記コア採取ツールは、交互に位置する剛性区分と可撓性区分を有する、請求項1〜58のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項60】
前記可撓性区分は、通常永続的に曲げられている、請求項59記載のシステム。
【請求項61】
コア採取中、穿孔プロセスの機械的パラメータを測定するセンサを更に有する、請求項1〜60のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項62】
前記機械的パラメータは、ビットに加わる重量、トルク及び/又は貫通速度を含む、請求項61記載のシステム。
【請求項63】
前記コア採取プロセス中に得られた穿孔掘屑のパラメータを測定するセンサを更に有する、請求項1〜62のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項64】
前記センサは、掘屑サイズを測定する、請求項63記載のシステム。
【請求項65】
前記センサは、超音波測定、密度測定及び/又は濾過測定法を用いる、請求項64記載のシステム。
【請求項66】
前記コア採取ツールを用いて得られたコアのパラメータを測定する少なくとも1つのセンサを更に有する、請求項1〜65のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項67】
前記センサは、前記ガイド内に配置される、請求項66記載のシステム。
【請求項68】
前記センサは、ガンマ線検出器から成る、請求項66又は67記載のシステム。
【請求項69】
ガンマ線源を更に有する、請求項68記載のシステム。
【請求項70】
前記ガンマ線センサ及び前記ガンマ線源は、使用にあたり、前記センサと前記源を結ぶ線が前記コアの中心を通らないように前記コアの互いに反対側に位置決めされる、請求項69記載のシステム。
【請求項71】
前記センサ及び前記源は、前記コアを回転させると作動するよう構成されている、請求項70記載のシステム。
【請求項72】
前記ガイド内に互いに異なる位置に配置された第1のガンマ線センサ及び第2のガンマ線センサを有する、請求項71記載のシステム。
【請求項73】
前記コアを前記センサ及び前記源が作動している間に前記コアを回転させる第2の位置に側方に動かすシステムを更に有する、請求項71記載のシステム。
【請求項74】
前記コアパラメータは、断層撮影法で用いられる、請求項71〜73のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項75】
前記コア採取ツール内のコアの直径を測定するセンサを更に有する、請求項1〜74のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項76】
前記センサは、超音波機械的又は電気的センサから成る、請求項75記載のシステム。
【請求項77】
前記コア採取ツール内のコアの熱的特性を測定するセンサを更に有する、請求項1〜76のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項78】
熱を前記コアに加えるヒータを更に有する、請求項77記載のシステム。
【請求項79】
前記コア採取ツールを用いてコアを前記地層から剪断するのに必要な力を検出するセンサを有する、請求項1〜78のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項80】
前記コア採取ツールは、トルクを前記コアに加えることにより前記コアを剪断し、前記センサは、前記剪断力を求めるためにトルクを測定する、請求項79記載のシステム。
【請求項81】
前記コアを前記地層から離脱させるのに必要な引っ張り力最大値を検出するセンサを有する、請求項1〜80のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項82】
前記コアを把持すると共に前記コアが前記地層から離脱するまで張力を加える手段を有する、請求項81記載のシステム。
【請求項83】
前記ドリルビットは、歯の同心リングを有する、請求項1〜82のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項84】
コアを得た穴に栓をする手段を更に有する、請求項1〜83のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項85】
前記栓は、前記ボーリング孔の周りのケーシングに密着するよう配置されている、請求項84記載のシステム。
【請求項86】
前記コアを前記コア採取ツールから突き出す手段を更に有する、請求項1〜85のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項87】
前記システムの作動に関連したデータを記憶するメモリ手段を更に有する、請求項1〜86のうちいずれか一に記載のシステム。
【請求項88】
前記システムの前記作動から得られたデータを前記ボーリング孔の表面まで伝える電気リンクを更に有する、請求項1〜87のうちいずれか一に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a−4b】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【図16】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19a】
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【図19b】
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【図20】
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【図21】
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【図23a−23b】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2012−507648(P2012−507648A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534418(P2011−534418)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/RU2008/000678
【国際公開番号】WO2010/050840
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(500177204)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】Schlnmberger Holdings Limited