説明

一列に並んだ光ファイバーデバイス用のリード線付き貫通接続部を有する気密性パッケージおよび作製方法

光ファイバータップなどの、一列に並んだ光ファイバーデバイス(106,108,110)用の独創的な気密封止されたリード線付きパッケージ(100)について記載する。本パッケージは、有利なことに、微細機械加工されたシリコンウェハ(402)のバッチ処理と両立性のある電気的な貫通接続部を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーデバイス用の気密性パッケージに関し、詳細には微細機械加工されたシリコンウェハを使用するバッチ処理と両立性のある電気的な貫通接続部を備える、一列に並んだ光ファイバーデバイス用のリード線付きパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバーデバイスは、パッケージ設計者に標準の電子的なパッケージングで遭遇する課題を超える特別な課題を提示する。光ファイバー設計者にとって、パッケージ内部の光学素子とパッケージ外部の素子間の光通信を実現する光学的な貫通接続部は、特に関心のあることである。しばしば、そうした光学的な貫通接続部は、パッケージに確実に固定され、同時に内部の光学素子の長期的な信頼性に悪影響を与えうる大気中の水分の進入を防止するために気密封止されなければならない1つまたは複数の光ファイバーを使用する。
【0003】
加えて、光ファイバーデバイスは、しばしば、パッケージ内の電子素子に、また電子素子から、電気信号が通ることができるように、電気的な貫通接続部を必要とする。そうした電気的な貫通接続部は、光学的な貫通接続部と同じ信頼性および気密性の要求に従う。しかし、電気的な貫通接続部は、材料および処理温度が異なるため、製造する際に、しばしば光学的な貫通接続部とは異なる多くの処理が必要とされる。したがって、両方をある製造環境において収容することは、今まで以上に小さく、より低コストのパッケージを実現するという課題に加えて、光ファイバーパッケージ設計者にある課題を提示する。
【0004】
本明細書で使用する「気密性」という用語は、空気の進入に対する密封構造の不浸透性を示す。しかし、すべての密封構造は、ある程度浸透性である。したがって、明確にするために、気密性という用語は、以降、密封体への測定したヘリウムの流速が、しばしば光電子デバイスで用いられる限度である、5x10-8atm-cc/sec未満として表される浸透性を示すために使用される。
【0005】
一列に並んだ光ファイバーデバイスは、すなわち、光が、単一の連続した光ファイバーを通ってパッケージ内に入り、パッケージから外に出ていくデバイスは、さらなる一層の課題をもたらす。一列に並んだデバイスの例は、(2003年3月18日にCraig D.Pooleに特許された)特許文献1、および(2006年10月3日にCraig D.Pooleに特許された)特許文献2に記載の光ファイバーのタップであり、これら特許では、光がファイバーの側部から外に放出される(「タップされる」)ようにした構造が、ファイバーの中央部に直接形成されている。そうしたデバイスにおいて、例えば、特許文献3に記載されているように、ファイバーの周りに封止を形成するフェルールにファイバー端部を挿入することによって、ガラスファイバーを気密封止するよく知られた方法は、機能すべきファイバー終端部がないため適用できない。
【0006】
Pooleの第'671号特許は、光ファイバーを細い管に通し、この管を次にファイバーと管壁との間に配置された封着ガラスを用いて封止することによって、フォトダイオードを収容するハウジング内で一列に並んだ光ファイバーのタップを気密封止する方法について記載している。管の径は、ファイバーへのストレスを最小限に抑えるため小さくしておかなければならいため、この方法は、そうしたファイバーの長さが2メートルを超えうる場合に、長い長さの光ファイバーを細い管に通す必要があるという難点があり、結果として低コストの製造にとってこの手法を非実用的なものとしている。
【0007】
したがって、一列に並んだ光ファイバーデバイスを気密封止するために、ある種の封止材料を使用してファイバーの周りに封止を形成するように2つのパーツをくっつける「サンドイッチ」幾何学形状を考慮することになる。そうした手法の一例は、(2001年6月13日にKimikazu Higashikawaに特許された)特許文献4に記載されている。この特許では、封止媒体として低温ガラスはんだおよび樹脂を使用して、ファイバーを金属ケースと金属封止カバーとの間にサンドイッチすることによって、単一のファイバー端部が、気密性のキャビティ内部に封止される。
【0008】
光学的な貫通接続部を提供することに加えて、Pooleの第'671号特許およびHigashikawaの第'104号特許は、両方とも、完成したパッケージを、直接電子プリント回路板に取り付けるためのリード線に接続された電気的な貫通接続部を有するパッケージについて記載している。しかし、両方の手法とも、バッチ処理方法には容易には向かず、光ファイバーを封止する前にリード線付きパッケージを形成するための数多くの処理ステップを必要とする、従来のTOカン、DIP、または表面実装電子パッケージングを使用するという難点がある。これらの手法は、低コストで製造するには困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,535,671号
【特許文献2】米国特許第7,116,870号
【特許文献3】米国特許第5,692,086号
【特許文献4】米国特許第6,074,104号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、現在、当技術分野では、光学的な貫通接続部および電気的な貫通接続部の両方を有し、微細機械加工されたシリコンウェハを使用するバッチ処理技術と両立性があり、当技術分野における上記の欠陥を有利に改善する、一列に並んだ光ファイバーデバイス用の気密性パッケージに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シリコン基板に気密封止して取り付けられ、シリコン基板および別のシリコンの封止キャップによって形成された、封止されたキャビティ内部の電子素子との電気的な通信手段をシリコン基板内にエッチングされた孔を介して提供する、単一の金属リード線構造を使用することによって、この必要性を満たす。この金属リード線構造は、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)を使用して、シリコン基板内のエッチングされた垂直の孔を通って、封止されたキャビティの中に延出する円柱状に成形された突起部を有する。こうして形成された電気的な貫通接続部は、低温封着ガラスを用いて封止される。
【0012】
シリコン基板および封止キャップは、その内部に形成された、封止されたキャビティ内部の素子と光学的に通信するためのガラスファイバーを気密封止する相補的な溝を有すると有利である。
【0013】
こうして形成された封止構造は、封止構造に構造的な支持を提供し、ならびに電気的なノイズを遮蔽するツーピースの金属製囲い板内にさらに密封される。その結果、プリント回路板上に直接取り付け可能なリード線付きパッケージが得られる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態において、パッケージは、封止されたキャビティが、リード線によって運ばれる電流が、ファイバーによって運ばれる光電力に比例するように、光ファイバーと光学的に通信する電気的なリード線に電気的に接続されるフォトダイオードを収容する一列に並んだ電力モニターを形成する。
【0015】
好ましい実施形態は、電気的な貫通接続部を封止するためのガラス基質に添加したスペーサビーズをさらに有し、シリコン基板とリード線構造との間の間隔を制御し、これによってパッケージの電気的な容量を制御する。
【0016】
さらに、本発明の教示は、微細機械加工されたシリコンウェハを使用してリード線付きパッケージを製造するためのバッチ処理に及ぶ。バッチ処理は、ガラスはんだペーストをウェハに塗布し、その後熱処理によって、残っている有機物を焼きつくし、封着ガラスをはめ込むスクリーン印刷技術を利用する。ウェハを個々のパーツにダイシングする前に、電気的なリード線を付着させて、シリコンウェハ内に気密性の電気的な貫通接続部を形成する。このようにして、多くのパーツが一緒に処理され、したがって大幅にスループットが向上し、かつコストが低減される。
【0017】
本発明の教示は、添付図面とともに以下の詳細な記述を考察することによって容易に理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】リード線付きパッケージ100の斜視分解図である。
【図2】図1において点線の箱により示した平面に沿ってとられた、図1に描写したリード線付きパッケージ100の従来の実施形態の断面図である。
【図3】図2と同様にとられた、図1に描写したリード線付きパッケージ100の本発明による実施形態の断面図である。
【図4】本発明によるエッチングされたパターンを有するシリコンウェハの底部表面を示す図である。
【図5】本発明によるリード線取り付け装置の斜視図である。
【図6】本発明によるエッチングされたパターンおよび付着させた電気的なリード線を有するシリコンウェハの上部表面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
読者の理解を容易にするために、同じ参照数値が、各図に共通な同じまたは同様の要素を示すために用いられる。各図は、正確な縮尺ではないことを理解されたい。
【0020】
双方向性の気密性パッケージについて記載する前に、読者の理解を向上させるため、図1および2を参照して一列に並んだ光ファイバーのタップ用の従来のパッケージについて説明する。
【0021】
図面を参照して、図1は、シリコン基板102、シリコン封止キャップ104、光ファイバー106、光ファイバーのタップ108、およびフォトダイオード110を有するリード線付きパッケージ100の斜視図を示す。フォトダイオード110は、異方性ウェットエッチングを使用してシリコン基板102内に形成されたウェル112の底部に取り付けられる。
【0022】
ガラスはんだ114および116を流して、連続的な封止を形成するように適切な温度および圧力で、キャップ104および基板102をくっつけると、ガラスはんだ114および116、シリコン基板102内の溝118および120、ならびに封止キャップ104は、それぞれ気密封止されたキャビティを形成し、光ファイバーのタップ108、フォトダイオード110、およびウェル112を密封する。
【0023】
封止前に、光ファイバーのタップ108は、タップ108から放出された光が効率的にフォトダイオード110を照射するように、フォトダイオード110の上方に位置する。
【0024】
フォトダイオード110によって生成された光電流は、リード線122および124の上部に形成される突起部126および128を使用して、フォトダイオード110のカソードおよびアノードにそれぞれ接続されるリード線122および124によって運ばれる。突起部126を有するリード線122および突起部128を有するリード線124は、それぞれ、打ち抜き動作で、「Kovar」材料(「Kovar(登録商標)」」は、Carpenter Technology Corporationの登録商標である)などの単一の金属片から形成されうる。突起部126および128は、ウェル112の底部を介してエッチングされた孔を通って上方に延出し、低温封着ガラス130を用いて基板102の底部に固定される。電気的な貫通接続部のより詳細な説明を以下に提供する。
【0025】
封止後、シリコン基板102、シリコン封止キャップ104、ならびに付着させたリード線122および124を備える構造は、エポキシ136を使用して底部の金属製囲い板に固定され、引き続き金属製囲い板カバー134を付加することによって密封される。金属製囲い板カバー134および底部の金属製囲い板132は、取り扱いに対する機械的な支持および保護を提供することに加え、密封された素子に対する電気的な遮蔽を提供する。
【0026】
図2は、金属製囲い板カバー134および底部金属製囲い板132を取り除いた、図1に描写したリード線付きパッケージ100の従来の実施形態を断面で示す。上記したように、断面は(図3の場合もそうであるように)、図1の点線の箱によって示す平面に沿ってとられている。本実施例において、光ファイバーのタップ108は、Pooleの第'870号特許に記載されている方法を用いて、組立て前にファイバー106内に形成される。フォトダイオード110とリード線122および124との間の電気的な通信手段は、エッチングされた孔202および204を通って上方に延出する突起部126および128によって提供される。中央のウェル112ならびにエッチングされた孔202および204は、両方とも、異方性ウェットエッチングを使用して、はじめに中央のウェル112がエッチングされ、続いて第2のエッチングステップで孔202および204がエッチングされる2段階の処理で形成される。中央のウェル112ならびにエッチングされた孔202および204は、両方とも、単結晶シリコンにおいて好まれる異方性エッチング処理の結果として、54.7度の角度がついた傾斜した側部壁を有する、実質的に正方形の形状である。突起部126および128は、側部の角度が、エッチングされた孔202および204の傾斜した壁の角度を補完するように適合させた円錐形状を有し、突起部126および128と孔202および204の壁表面との間に均一なギャップを提供するようにする。気密封止を形成するために、このギャップは、低温封着ガラス130で充填される。封着ガラス130は、シリコンキャップ104と基板102との間の封止を形成するときに、構造的完全性を維持するために、ガラスはんだ114および116よりも高い融点を有するように選ばれることが好ましい。
【0027】
フォトダイオード110は、導電性エポキシ206およびワイヤボンド線208を用いて、突起部126および128に接続される。あるいは、80/20金/錫はんだなどの共晶はんだ混合物を導電性エポキシ206の代わりに使用することができる。突起部126および128ならびにフォトダイオード110のシリコン基板102への電気的な短絡を回避するために、シリコン基板102の表面は、組立て前に、絶縁性酸化膜(SiO2)(図示しないがよく知られている)で被覆される。
【0028】
図2に示す従来の電気的な貫通接続部は、いくつかの問題点を抱える。
【0029】
(1)異方性ウェットエッチング処理により、シリコンの結晶構造に起因して、必然的に正方形の貫通孔となる。そうした孔は、鋭いコーナー部を有し、このコーナー部がストレスを集中させて封止部の信頼性を損なう原因となる。
(2)エッチングされた孔202および204の54.7度の角度がついた傾斜した壁部、ならびに中央のウェル112は、結果として、エッチングされた孔202および204が中央のウェル112に入る場所でナイフエッジ210を形成する。このナイフエッジおよび同様に形成される他のナイフエッジは、壊れやすく、ひび割れる傾向があり、保護酸化物被膜を基板102から剥離させ、したがって金属製リード線122および124を基板102のバルクシリコンに短絡させる原因となる。
(3)パッケージの容量は、リード線122および124を基板102に付着させたときに生成される、金属製リード線構造とシリコン基板との間のガラス封止間隔dのばらつきにより、うまく制御されない。
【0030】
図3は、本発明による改善された電気的な貫通接続部を詳細に描写したリード線付きパッケージ100を断面で示す。フォトダイオード110とリード線122および124との間の電気的な通信手段は、エッチングされた孔306および308を通って、上方に延出する突起部302および304によって提供される。中央のウェル112は、異方性ウェットエッチングを用いて形成され、傾斜した側部壁は、やはり単結晶シリコンにおける異方性エッチング処理のため54.7度の角度がついている。シリコン基板102内のエッチングされた孔306および308は、第2のエッチングステップで、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)を用いて形成される。エッチングされた孔306および308は、側部壁の傾きが2度未満の円柱状の形状である。リード線122および124は、垂直の側部壁(2度未満の側部壁の傾き)、および突起部の基部において最大0.002インチ(約0.0051cm)の曲率半径を備える円柱状形状を有する突起部302および304を有し、打ち抜き動作で、Kovar材料などの単一の金属片から形成されうる。突起部302および304の直径は、突起部と孔306および308の壁部表面との間に均一なギャップを提供するようになされている。円柱状突起部の直径は、名目上0.012インチ(約0.0305cm)であることが好ましい。気密封止を形成するために、突起部302と304との間、ならびにリード線構造312および314とシリコン基板102との間のギャップは、低温封着ガラス310で充填されている。そうした長いガラス封止経路長は、気密封止、ならびにリード線122および124のシリコン基板102への堅牢な機械的付着を提供する。封着ガラス310は、そのガラス基質にスペーサビーズを含有し、シリコン102とリード線構造312および314との間のガラス封止間隔dを制御し、これによってパッケージの電気的な容量を制御する。スペーサビーズは、0.002インチ(約0.0051cm)の名目上のビーズ径を有するホウケイ酸塩ガラスから構成されることが好ましい。スペーサビーズは、0.4wt%未満の濃度で、ガラスはんだペーストに添加される。加えて、封着ガラス310は、シリコンキャップ104と基板102との間の封止を形成するときに構造的な完全性を維持するためにガラスはんだ114および116よりも高い融点を有するように選ばれる。
【0031】
フォトダイオード110は、導電性エポキシ206およびワイヤボンド線208を使用して突起部302および304に接続される。別法として、80/20金/錫はんだなどの共晶はんだ混合物が導電性エポキシ206の代わりに用いられうる。突起部302および304、ならびにフォトダイオード110のシリコン基板102への電気的な短絡を回避するため、シリコン基板102の表面は、組立て前に絶縁性酸化膜(SiO2)で被覆される。
【0032】
図4は、裏面上で、孔302および304の周りに低温封着ガラス310を有するシリコン基板102のアレイからなる100mm(約4インチ)の微細機械加工されたシリコンウェハ402を示す。シリコンウェハ402のバッチ処理は、ウェハの前面を異方性ウェットエッチングし、続いてDRIE処理によって裏面に孔302および304を形成することによって達成される。低温封着ガラス310は、電気的なリード線を付着させるために孔302および304の周りでウェハ裏面に塗布される。ガラスはんだペーストは、スクリーン印刷処理を使用してウェハに塗布されることが好ましく、このスクリーン印刷処理により、数字8のパターンで孔302および304の周りにガラスはんだペーストを正確に配置し、続いて電気的なリード線の付着に備えて、残っている有機物を焼きつくし、封着ガラス310をはめ込む熱処理を可能とする。ガラスはんだペーストの2層スクリーン印刷処理が、ガラスはんだペーストの厚さおよびガラスはんだペーストの孔302および304の周囲への配置の両方を正確に制御するために有利に用いられる。
【0033】
好ましい実施形態では、100mmのシリコンウェハを使用しているが、シリコンウェハのサイズを150mm(約6インチ)または200mm(約8インチ)に増大することによって、単一のウェハから生産されうるパーツの数が著しく増加する。
【0034】
図5は、電気的なリード線122および124を、孔302および304の周りの低温封着ガラス310を用いてウェハ402に付着させるために開発した治具を示す。リード線を配置する前に、ウェハ402は、真空治具502上に装填される。真空治具502はウェハ402および移動キャリア504を支持し、リード線を配置する間、最大限安定化させるために両方に吸引力を供給する。くし形治具506は、くし形治具506をウェハ502に対して移動させる独立した支持アーム508によって支持されている。くし形治具506は、ウェハ402内の貫通接続孔の間隔に適合する規則正しい間隔で正確に機械加工されたスロット510を有する。真空がオンすると、真空治具502は、電気的なリード線122および124が、孔306および308内の円柱状の突起部302および304に対して適切な位置に配置されるとき、吸引力が電気的なリード線を適切な位置に保持するのに十分となるように、ウェハ402内の孔302および304を介して吸引力を提供する。電気的なリード線の列全体は、真空で適正位置に保持されている間、適切に位置しえて、その後くし形治具506が支持アーム508によって前進する。くし形治具506が前進すると、配置されたリード線は、スロット510に入り、そこで密封され、外れないように保護される。真空治具502、移動キャリア504、くし形治具506、および支持アーム508は、スロット510、リード線122および124とウェハ402との間で正確で並列に位置合わせが可能となるように適切な特性を有するように設計される。くし形治具506を前進させた後、電気的なリード線の新しい列が供給され、処理が繰り返される等である。すべてのリード線が対応する孔の上に配置された後、くし形治具506は、くし形治具506の重み全体が、電気的なリード線構造312および314を押し下げるようになるまで、支持アーム508によって下げられる。次に真空がオフし、孔306および308内に位置するリード線突起部302および304は、くし形治具506によって提供され、くし歯512を介してリード線構造312および314に印加される力によって適正位置に保持される。
【0035】
次に、支持アーム508を用いて、移動キャリア504、ウェハ402、くし形治具506ならびに電気的なリード線122および124をホットプレートなどの熱源上に移送し、そこで、組立て体全体が封着ガラス310の封止温度にまで加熱される。この温度によって、封着ガラス310が電気的なリード線上の突起部302および304の周りに流れ、突起部と孔壁302および304との間の空間、ならびにリード線構造312および314とシリコン102との間の空間を充填し、電気的な貫通接続部とシリコン基板との間に気密性の封止を形成することが好ましい。リード線構造312および314との間の封止の厚さdは、封着ガラス310内のスペーサビーズの存在、およびくし形治具506により印加される力によってウェハの全体にわたって制御され、これによってパッケージの電気的な容量を制御する。
【0036】
リード線122および124のウェハ402への付着に伴う高温処理のため、くし形治具506は、封止中にシリコンウェハ402およびリード線122および124からの熱伝導を最小限に抑えるため、熱的にも絶縁性のある高温材料で作製されるべきである。そうした材料の例は、Corning Glass Works Corporationにより製造されている「Macor」機械加工可能なセラミックである(「Macor」は、Corning Glass Works Corporationの登録商標である)。一方、移動キャリア504は、封止のために熱を組立て体全体に効率よく分配するように窒化アルミニウムなどの熱伝導性材料で作製されるべきである。
【0037】
リード線122および124をウェハ402の裏面に付着させた後、図6に示すように、低温封着ガラス114をエッチングされたウェル112の周りでウェハ402の前面に塗布する。ウェハ402の裏面にリード線を付着させた後、ウェハは、リード線を収容するように設計された新しい移動キャリア上に配置され、ガラスはんだペーストがウェハの前面にスクリーン印刷される。このガラスはんだペーストは、溝118もこのペーストによって充填されるように、ウェル112の周りにレーストラックのパターン状に塗布され(図1および3参照)、続いて、シリコンキャップ104の基板102への気密封止に備えて、残っている有機物を焼きつくし、封着ガラス114をはめ込むための熱処理が行われる。溝118に堆積されるガラスはんだペーストの量は、印刷する際に用いられるスクリーンの設計を変えることによって、また2層のスクリーン印刷処理を使用することによって調整される。好ましい実施形態では、スクリーンのレーストラックのパターンは、堆積されるガラスはんだペーストの量を変更するため、溝118のある位置においてわずかにテーパがつけられている。溝118における封着ガラスの量は、シリコンキャップ104が基板102に封止されたとき、光ファイバー106の周りに連続的な気密封止を形成するのに十分であるべきだが、デバイスの光学性能に影響を与えるほど過剰であるべきではなく、封着ガラス114は、シリコンキャップ104と基板102との間の封止を形成するとき、リード線の構造的な完全性を維持するために、封着ガラス310よりも低い融点を有するように選ばれることが好ましい。
【0038】
最後に、完成したパーツは、ダイシングによってウェハから分離される。普通、水が、ダイシング処理中に、切断潤滑液/冷媒として用いられる。しかし、ここで使用したような低温の封着ガラスは、ダイヤモンドソーでのウェハダイシング中に、水と反応を起こしやすい。具体的には、ダイシング処理中に封着ガラス114が劣化することにより、シリコンキャップ104のシリコン基板102への封止性が貧弱になり、これによって光学性能およびパッケージの気密性を損ねることになる。ダイシング用の給水に、UDM Systems of Raleigh, NCにより販売されているL300などの切断潤滑剤を添加することで、普通ならば起きるであろう水と封着ガラスとの反応を弱める。
【0039】
本発明は、微細機械加工されたシリコンのウェハレベルでの処理およびバッチ処理技術を使用して、コスト効率よく製造が可能な一列に並んだ光ファイバーデバイス用の信頼性の高い気密性パッケージを有利に提供する。
【0040】
当業者が本発明の教示を容易に修正できることは明らかである。その点において、代替の実施形態は、シリコン基板内に垂直壁の孔を形成するUVレーザー切断技術を使用しうる。別法として、ガラスはんだペーストを、ロボットによる材料の分配を用いてウェハレベルで塗布することができるが、分配技術では、ウェハの処理時間が長くなり、貫通接続孔周囲へのペーストの正確な配置をウェハ全体にわたって維持するのが困難になる。加えて、ウェハレベル処理の規模は、より大きなシリコンウェハ(例えば、150mmまたは200mmの径で、それぞれ約6インチまたは8インチ)を使用して増大させることができ、これによってウェハあたりの個々のパーツの数を著しく増加することができる。また、代替の実施形態は、切断潤滑剤を使用するというよりも、ダイシング前に封着ガラス上に保護被膜を付着させ、続いてダイシング後にこの被膜を除去するなどの、代替方法の使用によって、個々のパーツのダイシング動作中に封着ガラスを保護することが可能である。
【0041】
本発明の教示を組み込んだ様々な実施形態を、本明細書で詳細に示し説明したが、当業者は、これらの教示を依然として利用した他の多くの実施形態を容易に考案することができる。
【符号の説明】
【0042】
100 リード付きパッケージ
102 シリコン基板
104 シリコン封止キャップ、シリコンキャップ
106 光ファイバーデバイス、光ファイバータップ、光ファイバー、ファイバー
108 光ファイバーデバイス、光ファイバータップ、タップ
110 光ファイバーデバイス、光ファイバータップ、フォトダイオード
112 ウェル
114 ガラスはんだ、封着ガラス
116 ガラスはんだ
118 溝
120 溝
122 リード線、金属製リード線、電気的なリード線
124 リード線、金属製リード線、電気的なリード線
126 突起部
128 突起部
130 封着ガラス
132 底部金属製囲い板
134 金属製囲い板カバー
136 エポキシ
202 孔
204 孔
206 導電性エポキシ
208 ワイヤボンド線
210 ナイフエッジ
302 突起部、孔
304 突起部、孔
306 孔
308 孔
310 封着ガラス
312 リード線構造
314 リード線構造
402 シリコンウェハ
502 真空治具
504 移動キャリア
506 くし形治具
508 支持アーム
510 スロット
512 くし歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に並んだ光ファイバーデバイス(106,108,110)を密封し、かつ気密封止するためのパッケージ(100)であって、
第1の入力光ファイバー(106)と、
第2の出力光ファイバー(106)と、
前記入力または出力ファイバーを収容および固定するための少なくとも1つのテーパのついたv溝(118)を有するシリコン基板(102)と、
前記基板内にエッチングされ、少なくとも1つのフォトダイオードを収容する中央のウェル(112)と、
シリコンキャップ(104)および前記シリコン基板と、
実質的に垂直な側部壁を有する孔(306,308)、および前記孔の中に延出する突起構造(302,304)を有する電気的なリード線を有し、前記突起構造と前記孔の前記側部壁との間の空間がガラスはんだ(310)で充填される、少なくとも1つの気密性の電気的な貫通接続部と
を備える、パッケージ。
【請求項2】
電気的なリード線(122,124)をシリコンウェハ(402)に付着させるための治具であって、スロット(510)を有する上部くし形治具(506)を備え、前記スロット(510)が、規則正しい間隔で前記治具に機械加工され、前記治具が、熱的に絶縁性のセラミック材料で作製されている、治具。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−519917(P2013−519917A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552877(P2012−552877)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/000263
【国際公開番号】WO2011/100068
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512209818)エーゲンライト・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】