説明

一貫性指標に基づく画像レジストレーション

方法は、第1の画像の第1の部分を、第2の画像の対応する第2の部分とレジストレーションするステップと、第2の画像の第2の部分を、第1の画像の対応する第3の部分とレジストレーションするステップとを含む。第1の部分は第1の関心物を包囲し、第3の部分は第3の関心物を包囲している。当該方法は更に、第1の関心物と第3の関心物とが実質的に類似するとき、第1の部分のサイズを縮小するステップを含む。当該方法は更に、第1の関心物と第3の関心物とが実質的に類似しなくなるまで、第1の部分をレジストレーションするステップと、第2の部分をレジストレーションするステップと、第1の部分のサイズを縮小するステップとを反復するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は概して、一貫性指標に基づいて医療撮像画像をレジストレーションすることに関し、特にコンピュータ断層撮影(CT)に適用される。しかしながら、以下は、その他の医療撮像及び非医療撮像にも適用され得る。
【背景技術】
【0002】
例えばコンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)、単光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)、陽電子放出型断層撮影(PET)、及びx線などの医療撮像モダリティは、例えば癌などの疾患の診断において重要な役割を果たし得る。例えば、これらのモダリティは、体内の生体組織を表す情報を非侵襲的に取得するために使用されることが可能であり、そのような情報は、腫瘍が良性のものであるか悪性のものであるかを決定することを容易にするために使用されることができる。このような非侵襲技術は典型的に、例えば生検(バイオプシー)等の侵襲技術より低リスク且つ低コストである。また、例えば10mm以下の腫瘍のような比較的小さい腫瘍の場合、生検針が腫瘍に命中するかを確かめることは比較的困難であり得る。
【0003】
より具体的には、例えばCT画像などの画像は、鑑別診断を行うために使用されることが可能である。例として、同一の腫瘍を表す情報を双方が含むが、例えば1ヶ月から6ヶ月隔たった異なる時点で収集されたデータからそれぞれが生成された2つのCT画像を用い、第1の画像内での腫瘍の大きさを第2の画像内での同一腫瘍の大きさと比較することにより、経時的な腫瘍成長を利用可能にすることができる。一般的に、所定の閾値(例えば、20%)を超える腫瘍サイズの増大は、その腫瘍が悪性であることを指し示し、成長していないこと又は閾値未満の成長は、その腫瘍が良性であることを指し示す。
【0004】
残念ながら、このような画像を比較するとき、例えば肺など一部の器官は患者配置の違いによって、双方の画像内で同一の位置にないことがある。結果として、複数の画像間での空間的な整合(レジストレーション)は問題あるものとなり得る。例えば、第1のスキャンからの第1の画像と比較される腫瘍を示す画像を発見するために、第2のスキャンで収集されたデータを用いて生成された第2の画像セットに含まれる多数(例えば、200以上)の画像を、臨床医が手作業で見直さなければならないことがある。また、空間レジストレーション後であっても、例えば腫瘍などの肺の内側の構造は、呼吸状態の違いによって同一位置にないことがある。
【0005】
自動化された腫瘍成長評価では、第1の画像内での腫瘍の位置は、第2の画像内での位置に自動的にマッチングされる。第1の画像の第2の画像に対する完全なレジストレーションは、患者配置の違い、身体構造上の間隔の変化、及び呼吸状態の違いが存在する場合にも、画像のゆがみを許容する弾性的なレジストレーション技術を用いることによって可能となり得る。残念ながら、弾性的なレジストレーションは、画像内の腫瘍を歪ませ、故に腫瘍の大きさを変えてしまうことがある。これは、鑑別診断を行うときに問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の態様は、これらの問題及びその他の問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、方法は、第1の画像の第1の部分を、第2の画像の対応する第2の部分とレジストレーションするステップと、第2の画像の第2の部分を、第1の画像の対応する第3の部分とレジストレーションするステップとを含む。第1の部分は第1の関心物を包囲し、第3の部分は第3の関心物を包囲している。当該方法は更に、第1の関心物と第3の関心物とが実質的に類似するとき、第1の部分のサイズを縮小するステップを含む。当該方法は更に、第1の関心物と第3の関心物とが実質的に類似しなくなるまで、第1の部分をレジストレーションするステップと、第2の部分をレジストレーションするステップと、第1の部分のサイズを縮小するステップとを反復するステップを含む。
【0008】
他の一態様によれば、画像レジストレーションシステムは、第1の画像の第1の関心ボリュームを第2の画像の対応する第2の関心ボリュームとレジストレーションし、且つ第2の画像の第2の関心ボリュームを第1の画像の対応する第3の関心ボリュームと逆方向にレジストレーションするレジストレーション部を含む。第1の関心ボリュームは第1の関心物を含み、第3の関心ボリュームは第3の関心物を含む。当該システムは更に、第1の関心物と第3の関心物との間の一貫性の値を決定する一貫性決定部を含む。一貫性の値は第1の関心物と第3の関心物との間の類似性を表す。当該システムは更に、第1の関心ボリュームの大きさが縮小されるべきかを一貫性の値に基づいて決定する決定部を含む。
【0009】
一態様によれば、方法は、第1の画像内の関心ボリュームのサイズを、第1の画像と第2の画像との間での関心ボリュームの順方向レジストレーションと逆方向レジストレーションとの間の一貫性誤差が一貫性誤差閾値より大きくなるまで、反復的に縮小するステップを含む。当該方法は更に、第1の画像の第1の関心ボリュームと第2の画像の第2の関心ボリュームとを提示するステップを含み、これら第1及び第2の関心ボリュームは、順方向レジストレーションと逆方向レジストレーションとの間の一貫性誤差が一貫性誤差閾値より小さかったときの関心ボリュームのサイズに対応するサイズを有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、様々な構成要素及びその配置、並びに様々なステップ及びその編成の形態を取り得る。図面は、単に好適実施形態を例示するためのものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図1】医療撮像装置を例示する図である。
【図2】画像レジストレーション部の一例を示す図である。
【図3】方法を例示する図である。
【図4】2つの画像におけるVOIの初期レジストレーションを例示する図である。
【図5】レジストレーションされたVOI間での整合性検査を例示する図である。
【図6】2つの画像におけるVOIの精密レジストレーションを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
先ず図1を参照するに、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ100は、スキャン中に概して静止しているという意味で静止している静止ガントリー102を含んでいる。しかしながら、静止ガントリー102は傾き、且つ/或いはその他の方法で動かされるように構成されていてもよい。
【0012】
コンピュータ断層撮影(CT)システム100はまた、静止ガントリー102に回転可能に結合された回転ガントリー104を含んでいる。回転ガントリー104は、検査領域106の周りを、長手方向軸すなわちz軸108を中心にして回転する。
【0013】
例えばx線管などの放射線源110が、回転ガントリー104によって支持されており、回転ガントリー104とともに検査領域106の周りを回転する。放射線源110は、検査領域106を横断する概して扇状、ウェッジ状又は円錐状の放射線を放射する。第4世代システムも意図される。
【0014】
放射線感知検出器アレイ112が、放射線源110によって放射されて検査領域106を横断した光子を検出し、検出された放射線を表す投影データを生成する。図示した放射線感知検出器アレイ112は、z軸方向に延在する複数行の放射線感知光センサと、横断方向に延在する複数列の放射線感知光センサとを含んでいる。単一の行の検出器アレイ構成も意図される。
【0015】
検出器からの投影データは、患者の内部生体構造を表す容積(ボリューム)画像データを生成するように再構成手段114によって再構成される。再構成手段114によって生成されたボリューム画像データは、ヒトが読み取り可能な形態で表示するために、画像プロセッサ116によって処理される。
【0016】
検査領域106内の患者は、例えばカウチなどの患者支持台118によって支持される。患者支持台118は、ヘリカル、アクシャル又はその他の所望のスキャン軌道を容易にするよう、回転ガントリー104の回転と協調してz軸108に沿って移動可能である。
【0017】
汎用計算システム120がオペレータコンソールとして機能する。オペレータコンソール120は、例えばディスプレー及び/又はプリンタなどのヒト読み取り可能出力装置と、例えばキーボード及び/又はマウスなどの入力装置とを含んでいる。コンソール120に常駐するソフトウェアが、例えば、オペレータが、スキャンプロトコルの選択、スキャンの開始や終了、ボリューム画像データの閲覧や操作、及び/又はシステム100とのその他の相互作用を行うことを可能にすることによって、オペレータがシステム100の動作を制御することを可能にする。
【0018】
再構成手段114によって生成されたボリューム画像データ、及び/又は画像プロセッサによって生成された1つ以上の画像を保存するために記憶部122が用いられ得る。
【0019】
異なる時点で収集されたデータを、一貫性指標に基づいてレジストレーションするために、レジストレーションシステム124が用いられる。一貫性指標は一貫性決定部126によって決定される。更に詳細に後述するように、レジストレーションシステム124は、反復レジストレーションを実行する。この反復レジストレーションにおいては、レジストレーションされる画像群内の、関心物を包囲する例えば関心領域(ROI)又は関心ボリューム(VOI)などの、画像の小部分の大きさが、一貫性指標に基づいて最適化される。一例において、この最適化は、周囲の無関係な解剖学的構造を減らして、複数の画像間での関心物の一貫性ある明確な合致を確実にする。
【0020】
図2は、レジストレーション部124を示している。以下の説明においては、第1の画像は、第1に時点に収集されたデータを用いて生成され、第2の画像は、第1の時点の何週間後、何ヶ月後などの第2の時点に収集されたデータを用いて生成されるとする。
【0021】
関心物特定部202が、第1の画像内で第1の関心物を特定する。一例において、関心物特定部202は、ユーザ入力に基づいて第1の関心物を特定する。例えば、ユーザが、マウス、キーボード及び/又はその他の入力装置を用いて、第1の画像内で第1の関心物を選択してもよい。
【0022】
関心ボリューム生成手段204が、第1の画像内で、特定された第1の関心物の周りの第1の関心ボリューム(VOI)を生成する。一例において、第1のVOIの初期的な形状及びサイズは予め設定されている。好適な形状は、関心物及び/又は体内での関心物の位置に依存し得る。初期サイズは、別画像に対するVOIの明確なマッチングのために十分な背景情報を含むように十分に大きく設定される。ユーザが定めた形状及び/又はサイズも意図される。また、VOIは1つ以上の特定の器官に制限されてもよい。
【0023】
順方向レジストレーション部206が、第1の画像内の第1の関心物及び第1のVOIを、第2の画像内の対応する第2の関心物及び第2のVOIとレジストレーションする。第2の関心物は、第1の画像内の第1の関心物に対応すると思われる第2の画像内の構造を表す。第1のVOIは、第1の関心物と第2の関心物とをマッチングすることを容易にする背景情報を提供する。
【0024】
図示した例においては、例えば剛体レジストレーションなどの体積保存型のレジストレーションが用いられる。剛体レジストレーションは、第1のVOIにおける第1の画像値と第2のVOIにおける第2の画像値との間の類似性の指標を最適化することによって計算される。これは、ボクセルごとに、第1の画像と第2の画像との間の差を計算することを含んでいてもよい。最適化のため、第2のVOIは、第1の関心物と第2の関心物との間での最適な類似性に達するまで、位置、向き及び/又は縮尺を変更される。
【0025】
図示した実施形態において、類似性指標は、第1のVOI領域と第2のVOI領域との間でのみ計算される。この類似性指標は、相関、標準偏差、相互情報などに基づき得る。平滑化のため、類似性指標は、VOIの中心から周辺に向かって減少する重み(例えば、ガウシアン)で寄与分を重み付けて足し合わされ得る。この最適化技術は、網羅的なもの、確率論的なもの、又はガウス−ニュートン法などとし得る。
【0026】
逆方向レジストレーション部208が、第2の画像内の第2の関心物を、第1の画像内の対応する第3の関心物とレジストレーションする。このとき、第2のVOIが、このマッチングを容易にする背景情報を提供する。第3の関心物は、第2の画像内の第2の関心物に対応すると思われる第1の画像内の構造、故に、第1の関心物であると思われる第1の画像内の構造を表す。曖昧でない明確なレジストレーションでは、得られる第3の関心物は第1の関心物と実質的に一致すべきである。第2のVOIは、第2の関心物と第3の関心物とをマッチングすることを容易にする背景情報を提供する。この場合も、例えば剛体レジストレーションなどの体積保存レジストレーションが用いられる。
【0027】
一貫性決定部126が、第1の画像内で第1の関心物と第3の関心物との間の一貫性を測定する。図示した実施形態において、一貫性指標は、第1の関心物と第3の関心物との間の距離、例えばユークリッド距離、を決定することによって計算される。第1の関心物と第3の関心物との間の、ボクセルの総数で正規化された、ユークリッド距離を計算するアルゴリズムの一例を、等式1:
【0028】
【数1】

に示す。ただし、Dはユークリッド距離を表し、iはボクセルの総数を表し、x、y及びzはボクセルの座標を表す。
【0029】
なお、一貫性指標は、厳密な意味では、誤ったマッチングが識別されることを保証しない。理論的には、依然として後方/前方での一貫性がありながら誤った合致(マッチング)が起こり得る。しかしながら、一貫性指標は誤った合致を十分に指し示し得る。
【0030】
決定部210が、第3の関心物が第1の関心物と明確にマッチングされることが可能な最小のサイズにVOIが概してなっているという意味で、VOIのサイズが最適化されたかを一貫性指標に基づいて決定する。一例において、決定部210はこの決定を、一貫性指標が所定の一貫性閾値より大きいか小さいかに基づかせる。
【0031】
一貫性指標が閾値より小さい場合、決定部210は、関心領域生成手段204に第1のVOIの大きさを縮小あるいは低減させる。一例において、VOIは例えば30%といった所定の割合だけ体積的に縮小される。他の一例において、VOIは所定の体積だけ縮小される。その他の縮小も意図される。しかしながら、一貫性指標が閾値より大きくなったとき、決定部210は、一貫性指標が閾値より小さかった最後のVOIを最適VOIとして特定する。
【0032】
記憶部212はVOIを記憶する。例えば、一貫性指標が閾値より小さいとき、そのVOIが記憶部212に記憶される。従って、次のVOIの一貫性指標が一貫性閾値より大きい場合に、現在のVOIが利用可能にされる。
【0033】
ここで、変形例を説明する。
【0034】
図示した実施形態においては、ユーザが第1の関心物を特定している。代替的な一実施形態においては、関心物特定部202が、所望の組織(tissue)タイプが有する1つ以上の特徴に基づいて、第1の画像内の関心物候補を自動的に特定する。このような特定は、第1の画像内の階調値及び/又はその他の特徴に基づいてもよい。
【0035】
図示した実施形態においては、関心物の周りでVOIが生成されている。代替的な一実施形態においては、関心領域(ROI)が用いられる。同様に、初期ROIサイズは十分に大きくされ、最終的なROIサイズは、無関係な解剖学的構造を減らして、一貫性のある明確なマッチングを提供する大きさにされる。
【0036】
VOIは様々な形状にされ得る。例えば、好適な形状は、以下に限られないが、立方形状、円筒形状、球形状、楕円体形状、及び/又はその他の形状を含む。VOIに代えてROIが用いられるとき、対応する2次元形状が用いられ得る。
【0037】
図示した実施形態においては、初期VOIは比較的大きく設定され、その後、一貫性指標が一貫性閾値より大きくなるまでサイズ的に縮小されている。他の一実施形態においては、初期VOI(又はROI)は比較的小さく設定され、その後、一貫性指標が一貫性閾値より小さくなるまでサイズ的に拡大されてもよい。
【0038】
図示した実施形態においては、VOI内の構造の大きさを保存するために剛体レジストレーションが用いられている。他の一実施形態においては、弾性レジストレーションが用いられる。一例において、関心物が歪まされないように、弾性レジストレーションとともに一組の制約が用いられる。
【0039】
認識されるように、レジストレーションシステム124は、(図示のように)医療撮像システムの一部であってもよいし、医療撮像システムとは別個のワークステーションの一部であってもよい。
【0040】
次に、図3−6に関連させて、動作を説明する。
【0041】
ステップ302にて、第1の画像内で第1の関心物が特定される。上述のように、これは手動的あるいは自動的な手法によって達成され得る。
【0042】
ステップ304にて、第1の関心物の周りで第1のVOI(又はROI)が生成される。選択された関心物に関し、第1のVOIの別画像内のVOIとの明確なレジストレーションに十分な解剖学的な背景状況を捕捉するために、アルゴリズムは先読みして比較的大きい一定サイズのVOIで開始する。
【0043】
図4は、第1の関心物402及び第1のVOI404を有する第1の画像400の一例を示している。この例において、第1のVOIは立方形状である。
【0044】
図3に戻って、ステップ306にて、対応する第2のVOI及び関心物が第2の画像内でマッチングされる。
【0045】
図4に戻って、対応するVOI406は、類似性の測定に基づいて、第2の画像408内のVOI406が第1の画像400内のVOI404に最も類似するまで平行移動され、回転され且つ/或いは拡大縮小される。マッチングアルゴリズムが、最も対応しそうな関心物410を第2の画像408内で特定する。上述のように、第2の画像内でのVOIのレジストレーションは、腫瘍成長評価を害さないよう身体構造の立体形状を保存すべく、剛体的にされてもよい。
【0046】
図3に戻って、ステップ308にて、逆方向のレジストレーションが実行される。逆方向レジストレーションでは、第2の画像内の第2のVOI及び関心物に基づいて、第1の画像内で第3のVOI及び関心物が特定される。上述のように、第3の関心物は第1の関心物と一致すべきである。
【0047】
ステップ310にて、一貫性指標、又は第1の関心物と第3の関心物との間の誤差が決定される。図示した実施形態において、一貫性指標は第1の関心物と第3の関心物との間のユークリッド距離であり、これは第1の関心物と第3の関心物との間の一致の客観的な尺度を提供する。
【0048】
図5は、第1の関心物402(“P1”)、第2の関心物410(“P2”)及び第3の関心物(“P3”)と、P1とP3との間の距離(“D”)とを示している。
【0049】
図3に戻って、ステップ312にて、一貫性指標が所定の閾値と比較される。一貫性指標が閾値より小さい場合、ステップ314にて、第1のVOIがサイズ的に縮小され、ステップ306乃至312が再び実行される。一貫性指標が閾値より大きくなると、ステップ316にて、一貫性指標が閾値より小さかった最後のVOIのサイズが選択される。
【0050】
このように、VOIのサイズは、多くの背景情報が失われてマッチングが相互に逆のものにならなくなるまで、故に、一貫性誤差が過大になるまで、徐々に、あるいは反復的に縮小される。換言すれば、VOIサイズがVOIのマッチングが曖昧になり始めるほどに小さくなった場合、順方向レジストレーションと逆方向レジストレーションとの間のマッチングは一貫性のないものになる。
【0051】
図6は、初期VOIサイズ602が、一貫性指標に基づいて最適サイズ608が得られるまでVOIサイズ604及び606を経て反復的に縮小される一例を示している。なお、図4及び5においてはVOIの形状は立方形であったが、図6においては円筒形のVOIが用いられている。
【0052】
図3に戻って、ステップ316にて、依然として許容可能な最後の一貫性誤差を生じさせたVOIが、例えば放射線医又は自動成長評価アルゴリズムとし得るユーザに提示される。斯くして、このプロセスはマッチングの一貫性誤差が許容可能レベルを超えるまで増大したときに中止され、依然として一貫性あるマッチングを生じさせる最も小さいVOIに対応するマッチング解が提示される。
【0053】
一般的に、最終的なVOIのサイズは、可能な限り小さいことが望まれる。何故なら、最も重要な作業は関心物のマッチングであり、これは、例えば肺壁、肋骨、血管、又は2つの画像ボリューム感で関心物に対して位置が変化してしまい得る器官など、その他の構造によって害されるべきでないからである。一方で、VOIサイズが過度に小さく選定されると、過大な背景情報が失われるため、2つのVOIの明確なマッチングがもはや不可能になる。基本となる概念は、VOIサイズは、一貫性ある明確なマッチングを確立するのに十分な大きさであり、且つ、遠く離れた解剖学的構造による妨害なく、選択された構造の位置を別画像内の対応する位置に可能な限り正確に合致させるのに十分な小ささであるべき、ということである。
【0054】
ここでは、コンピュータ断層撮影による医療撮像応用に関して実施形態を説明した。しかしながら、理解されるように、本発明は更に、あるいは代替的に、放射線のスペクトルの側面を捕捉することが望ましいその他の医療撮像応用及び/又は非医療撮像応用で用いられてもよい。
【0055】
好適な実施形態を参照しながら本発明を説明した。以上の詳細な説明を読んで理解した者は改良及び改変に想到し得る。本発明は、添付の請求項の範囲又はその均等範囲に入る限りにおいて、そのような全ての改良及び改変を含むとして解釈されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像の第1の部分を、第2の画像の対応する第2の部分とレジストレーションするステップであり、該第1の部分は第1の関心物を包囲している、ステップ;
前記第2の画像の前記第2の部分を、前記第1の画像の対応する第3の部分とレジストレーションするステップであり、該第3の部分は第3の関心物を包囲している、ステップ;
前記第1の関心物と前記第3の関心物とが実質的に類似するとき、前記第1の部分のサイズを縮小するステップ;及び
前記第1の関心物と前記第3の関心物とが実質的に類似しなくなるまで、前記第1の部分をレジストレーションするステップと、前記第2の部分をレジストレーションするステップと、前記第1の部分のサイズを縮小するステップとを反復するステップ;
を有する方法。
【請求項2】
前記第1の関心物と前記第3の関心物との間の類似性を表す一貫性指標を決定するステップを更に含み、該一貫性指標に基づいて、前記第1の部分をレジストレーションするステップと、前記第2の部分をレジストレーションするステップと、前記第1の部分のサイズを縮小するステップとを反復する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の関心物と前記第3の関心物との間のユークリッド距離を計算することによって前記一貫性指標を計算するステップ、を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記一貫性指標を所定の一貫性閾値と比較して、前記第1の関心物と前記第3の関心物とが実質的に類似するかを決定するステップ、を更に含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の部分は第2の関心物を包囲しており、当該方法は更に、前記第1の関心物と前記第3の関心物とが実質的に類似するときの前記第1の部分及び前記第2の部分に対応する第1及び第2の部分を提示するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記提示される第1及び第2の部分は、前記第1の部分を前記第2の部分と明確にレジストレーションするのに十分な解剖学上のコンテンツを含むサイズを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の部分及び前記第3の部分は関心ボリュームである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の部分のサイズは一定の割合だけ縮小される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記部分同士をレジストレーションするために平行移動、回転及び拡大縮小のうちの1つ以上のみが用いられる体積保存型のレジストレーションを用いることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の部分は第2の関心物を包囲しており、当該方法は更に、前記第1及び第2の部分内の画像値と前記第2及び第3の部分内の画像値との間の類似性指標を最適化するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記関心物は腫瘍である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第1の画像の第1の関心ボリュームを第2の画像の対応する第2の関心ボリュームとレジストレーションし、且つ前記第2の画像の前記第2の関心ボリュームを前記第1の画像の対応する第3の関心ボリュームと逆方向にレジストレーションするレジストレーション部であり、該第1の関心ボリュームは第1の関心物を含み、該第3の関心ボリュームは第3の関心物を含む、レジストレーション部;
前記第1の関心物と前記第3の関心物との間の一貫性の値を決定する一貫性決定部であり、該一貫性の値は前記第1の関心物と前記第3の関心物との間の類似性を表す、一貫性決定部;及び
前記第1の関心ボリュームのサイズが縮小されるべきかを前記一貫性の値に基づいて決定する決定部;
を有する画像レジストレーションシステム。
【請求項13】
前記決定部は、前記一貫性の値を一貫性閾値と比較して、前記第1の関心ボリュームのサイズが縮小されるべきかを決定する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記一貫性の値は前記第1の関心物と前記第3の関心物との間のユークリッド距離であり、該ユークリッド距離は、前記一貫性の値を決定するために用いられる全てのボクセルで正規化される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の関心ボリュームのサイズは一定の体積だけ縮小される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記一貫性の値は、相関、標準偏差、又は前記関心ボリューム同士をレジストレーションするための相互情報のうちの少なくとも1つに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記関心ボリュームからの寄与分を、前記関心ボリュームの中心から前記関心ボリュームの周辺部に向かって減少する重みで重み付けるステップ、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記レジストレーション部は、網羅的レジストレーション、確率論的レジストレーション、又はガウス−ニュートン型レジストレーションのうちの1つを用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
第1の画像内の関心ボリュームのサイズを、第1の画像と第2の画像との間での関心ボリュームの順方向レジストレーションと逆方向レジストレーションとの間の一貫性誤差が一貫性誤差閾値より大きくなるまで、反復的に縮小するステップ;及び
前記第1の画像の第1の関心ボリュームと前記第2の画像の第2の関心ボリュームとを提示するステップであり、該第1及び第2の関心ボリュームは、前記順方向レジストレーションと前記逆方向レジストレーションとの間の前記一貫性誤差が前記一貫性誤差閾値より小さかったときの関心ボリュームのサイズに対応するサイズを有する、提示するステップ;
を有する方法。
【請求項20】
前記第1及び第2の関心ボリュームは、第1及び第2の関心物が同一の解剖学的構造に相当するとして、前記第1の関心ボリューム内の第1の関心物が前記第2の関心ボリューム内の第2の関心物に実質的にマッピングされるよう、前記第1及び第2の関心ボリュームを明確にレジストレーションするのに十分な解剖学上のコンテンツを含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−506032(P2011−506032A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538987(P2010−538987)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/IB2008/055254
【国際公開番号】WO2009/077955
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】