説明

三次元地形表示システム

【課題】 本発明は三次元地形表示システムに関し、特にサーバ側でデータを一括管理でき、データの更新処理等をクライアントのパソコンに影響されることなく行うことができる三次元表示システムを提供するものである。
【解決手段】 本発明はクライアント2から供給される二次元座標情報をサーバ1に供給し、サーバ1によって地中構造物の設置位置も含む三次元地形表示を行う。この際、サーバアプリケーション4は地形データテーブルから三次元地形データを読み出し、埋設構造物データテーブルから埋設構造物のデータを読み出し、三次元地形表示データを作成し、クライアント2の端末機器に送信し、ディスプレイに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三次元地形表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、地図情報を三次元で表示し、景観等を分かり易く表示する三次元景観表示ソフトが市販されている。例えば、特許文献1には様々な精度の地図データを適応的に用い、複雑な景観撮像画像を高精度に解析処理するプログラムの発明が開示されている。
【0003】
すなわち、景観撮像画像と地図を呼び出し、それらの属性情報を用いて画像に対する地図の精度を判定し、上記判定結果が高精度の場合には詳細形状解析処理を行い、上記判定結果が低精度の場合には概略形状解析処理を行い、上記解析処理結果を出力することによって、地図と画像の精度やそれらの差異に応じて最適な解析を行い、精度のよい三次元景観表示システムを実現するものである。
【特許文献1】特開2003−302898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では高性能のパーソナルコンピュータ(以下、単にパソコンで示す)に専用のソフトウエアとデータをセットし、スタンドアロンで稼動させている。したがって、従来の三次元地形表示システムでは高価なパソコンを必要とする。また、インターネット等のネットワークを使用して三次元地形表示処理を行うことで安価かつ効率のよい三次元地形処理を行うことができる。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決し、サーバ側でデータを一括管理でき、データの更新処理等をクライアントのパソコンに影響させることなく行うことができる三次元地形表示システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は本発明によれば、サーバとクライアントがネットワークを介して接続された三次元地形表示システムにおいて、前記サーバは、クライアントから供給される二次元領域の指定情報を入力する入力手段と、該二次元領域の指定情報に基づいて、表示エリアのテクスチャマッピングを行うマッピング手段と、該マッピングに従って三次元地形表示データを作成する三次元地形表示データ作成手段と、該三次元地形表示データをネットワークを介して前記クライアントに出力する出力手段とを有する三次元地形表示システムを提供することによって達成される。
【0007】
このように構成することにより、クライアント側では三次元地形表示を必要とするエリアを二次元領域で指定することによって、対応する領域の三次元地形表示データがサーバから送られ、高性能なパーソナルコンピュータを使用することなく、三次元地形表示情報を取得することができる。
【0008】
また、クライアントは、上記サーバから出力された三次元地形表示データに基づいてディスプレイに三次元地形表示を行うことができる。
また、上記三次元地形表示には、トンネル管を含む地中構造物表示も行うことができ、例えば山岳に建設されたトンネルの設備位置が立体的に表示され、視覚的に優れた表示システムとなる。
【0009】
また、上記三次元地形表示データの作成手段は、例えば予め元画像の分解能を変えた複数の画像データを登録しておき、三次元地形表示画像を生成する際、適宜選択して合成する。
また、本システムは三次元地形表示方法によっても可能であり、更に三次元地形表示プログラムによっても実現可能である。
【発明の効果】
【0010】
上記課題は本発明によれば、クライアント側では二次元領域でエリアを指定するだけで、対応する領域の三次元地形表示データが得られ、高性能なパーソナルコンピュータを使用することなく、三次元地形表示情報を取得することができる。
【0011】
また、三次元地形表示プログラムによって三次元地形表示情報を取得することができ、例えば当該アプリケーションをパッケージソフトやネットワークを介して供給することによって容易に希望するエリアの三次元地形表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態の構成を説明する図である。同図に示すように、本システムはインターネット等のネットワークを介して接続されたサーバ1とクライアント2で構成されたシステムによって実現される。
【0013】
サーバ1は、ウェブ(Web)サーバ3、サーバアプリケーション4、データベースエンジン5、精密オゾル画像ファイル群6、埋設構造物データテーブル9、地形データテーブル10、精密オルソ画像管理データテーブル11で構成されている。一方、クライアント2は、ウェブ(Web)ブラウザ7、及び三次元モデル表示処理部8で構成されている。
【0014】
ウェブ(Web)サーバ3は、クライアント2との間でHTTP(Hypertext Transfer Protocol)で作成されたデータの授受を行い、クライアント2から送信される地図選択範囲の情報を入力し、後述する三次元モデルデータ、テクスチャマッピングデータをクライアント2に出力する。また、サーバアプリケーション4は表示エリアテクスチャマッピング画像作成アプリケーション4a、三次元地形データ作成アプリケーション4b、三次元地中構造物データ作成アプリケーション4cで構成されている。
【0015】
上記各アプリケーションの処理を行う際、データベースエンジン5を駆動し、対応するテーブルから必要な情報を読み出す。データベースエンジン5に接続されたテーブルとして、上記地中構造物データテーブル9、地形データテーブル10、精密オルソ画像管理データテーブル11が構築されている。また、サーバアプリケーション4には精密オルソ画像ファイルのファイル群6が接続され、各アプリケーションは、精密オルソ画像ファイル群6を検索して必要な情報を読み出す。
【0016】
ここで、図2(a)〜(d)は上記精密オルソ画像管理データテーブル11の構成を説明する図である。本例の精密オルソ画像管理データテーブル11は標準化図郭として、2,500分の1の国土基本図を有する。図2(a)はこの基本図の構成を示し、例えば平面直角座標系の原点(北緯36°00′、東経139°50′00″)から東西にそれぞれ160kmをとり、これを40km毎に区切る。また、南北に300kmをとり、これを30km毎に区切る。このように区切ることによって、同図(a)に示す東西40km、南北30kmのブロックが形成され、このブロックにA、B、C、・・・の符号を付けて特定する。例えば、同図(a)に示すように、テーブルの左上から「AA」、「AB」、「AC」、・・・と指定する。尚、国土基本図の他の系についても同様に作成される。
【0017】
さらに、同図(b)は上記東西40km、南北30kmで構成される各ブロックを、東西、南北それぞれを10等分し、100分割した東西4km、南北3kmの細ブロックとした構成を示す。この細ブロックには左上から順に数値0、1、2、・・・が付加されている。例えば、図2(a)に示すブロック「GE」の場合、「GE−00」、「GE−01」、「GE−02」、・・・として記述する。
【0018】
また、同図(c)は、更に上記東西4km、南北3kmの細ブロックを東西方向、南北方向に2等分し、細ブロックを4分割した構成であり、北西図郭に1、北東図郭に2、南西図郭に3、南東図郭に4の符号を付したものである。例えば、同図(b)に示す「GE−77」の場合、「GE−77−1」、「GE−77−2」、「GE−77−3」、「GE−77−4」となる。
【0019】
さらに、上記同図(c)に示す状態で500m毎に東西方向に4分割し、南北方向に3分割し、同図(d)に示す構成とする。そして、同図(d)の左上から0、1、2、・・・の数値を付加する。したがって、同図(d)に示すように、「GE−77−1−00」、「GE−77−1−01」、「GE−77−1−02」、・・・として記述される。
【0020】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
先ず、クライアント2はウェブ(Web)ブラウザ7を立上げ、サーバ1に接続する。そして、ディスプレイに地図情報を二次元表示し、三次元地形表示を希望する選択範囲を指定する(図1に示す「1」の処理)。
【0021】
次に、ウェブ(Web)サーバ3は二次元座標値のデータとして入力したユーザの選択範囲の情報をサーバアプリケーション4に送る(図1に示す「2」の処理)。すなわち、図3に示すように、前述の精密オルソ画像管理データテーブル11に登録された同図(a)の基本図と、ユーザが指定した地図の範囲(同図(b)に示す範囲)が一致する場合は殆どありえず、該当する基本図から対応する指定範囲を抽出する。
【0022】
サーバアプリケーション4を構成する表示エリアテクスチャマッピング画像作成アプリケーション4aはこの処理を行う。すなわち、図3(a)に示す3×3のブロックから選択画像に対応するエリアを読み出し、同図(b)に示す画像情報とする。例えば、同図(a)に示す9個のブロックが前述の図2(a)のブロック「AA」、「AB」、「AC」、・・・「CC」に対応する場合、各ブロックから対応するデータを読み出す。
【0023】
例えば、図3(a)に示すように、ブロック「AA」からエリアaaのデータを読み出し、ブロック「AB」からエリアabのデータを読み出し、ブロック「AC」からエリアacのデータを読み出し、以下同様に対応するエリアのデータを読み出す。尚、ブロック「BB」については全てのデータが読み出される。
【0024】
次に、サーバアプリケーション4は上記処理によって設定したエリアのデータをデータベースエンジン5を駆動して各テーブルから読み出す(図1に示す「3」の処理)。すなわち、サーバアプリケーション4はデータベースエンジン5を駆動して精密オルソ画像管理データテーブル11から対応するデータを読み出す。例えば、上記図3に示す例では、前述の図2(a)のブロック「AA」〜「CC」が読み出され、更に各ブロックのエリアaa、ab、ac、・・・情報が読み出される(図1に示す「4」の処理)。
【0025】
次に、本例においてはサーバ1及びクライアント2の負荷、並びに通信負荷を考慮し、精密オルソ画像管理データテーブル11に登録されたオリジナルのデータに対し、1画素当りの分解能を1/2、1/4、1/8とした、2倍、4倍、8倍の画像データを用意する。これらのデータは前述の精密オルソ画像ファイル群6に予め登録しておく。
【0026】
図4は解像度を変えて記録したテーブルの構成を示す。同図(a)は画像設定テーブルであり、同図(b)はオリジナルの画像管理テーブルを示し、同図(c)は高解像度の画像管理テーブルを示し、同図(d)は中解像度の画像管理テーブルを示し、同図(e)は低解像度の画像管理テーブルを示す。
【0027】
また、図5は上記処理を説明する図であり、ユーザが指定する画像データの広狭によって使用するファイルの大きさを決定する。すなわち、ユーザが広い範囲を指定した場合、前述の8倍の画像データや4倍の画像データを使用し、狭い範囲を指定した場合、例えばオリジナル画像や2倍の画像データを使用する(図1に示す「5」の処理)。また、この時色のデータも抽出される。
【0028】
また、図6は三次元地形標高テーブルの例であり、三次元モデルを作成する広さに応じてアプリケーション内で使用する三次元地形データの精度を決定し、標高データを検索、抽出し、三次元地形モデルを作成します。例えば、同図(a)は標高を2m毎に管理する場合を示し、同図(b)は標高を4m毎に管理する場合を示し、同図(c)は標高を8m毎に管理する場合を示し、同図(d)は標高を16m毎に管理する場合を示す。
【0029】
その後、対応するサイズの画像データが精密オルソ画像ファイル群6から読み出され、三次元モデルデータが作成される(図1に示す「6」、「7」の処理)。このデータは前述の表示範囲に対応して切り出したデータであり、このテクスチャマッピング画像データは、クライアント2の端末機器に出力される(図1に示す「8」の処理)。
【0030】
このように構成することにより、サーバ1の負荷、クライアント2の負荷、及び通信負荷を軽減することができ、オリジナルデータに対してグリットを間引いた高度データを使用することができ、応答速度の低減を阻止することができる。すなわち、上記のようにオリジナルの三次元地形データの他に、縦横のグリッドと共にグリット精度を半減させた三次元地形データファイル、更にグリット精度を半減させた三次元地形データファイル、更に半減させた三次元地形データファイル、あわせて4つのデータ精度をもつ三次元地形データファイルを使用し、三次元地形モデルを作成することで処理速度の速い三次元地形表示システムを提供することができる。
【0031】
以上のように、本例によれば上記構成によりユーザはクライアント2のコンピュータを使用し、ウェブ(Web)ブラウザ7と例えば無償のプラグインソフトウエアによって本システムを実行することができる。
【0032】
また、サーバ1側でデータを一元管理でき、クライアント2側では必要に応じたデータ収集を行うことができる。また、データはサーバ1側にセットアップするだけで、クライアント2側にセットアップする必要がない。
【0033】
さらに、サーバ1との通信プロトコルにHTTPのみを使用し、拠点間のファイヤーウオールによる通信遮断を回避できる。すなわち、拠点に設置されたファイヤーウオール越えの課題を回避することができる。
【0034】
尚、図7はユーザが指定した地図上の範囲情報に対し、本例の三次元地形表示処理を行い、地形データを三次元景観表示した例であり、同図(a)に示すDはユーザが指定した地図上の範囲を示し、同図(b)はその三次元景観を表示したものである。
【0035】
また、本例においては地下に建設する構造物についても同様に処理することによって、地下構造物についても三次元表示を行うことができる。この場合、三次元地下埋設構造物データ作成アプリケーション4cに従って処理を行い、データベースエンジン5は地下構造物データテーブル9から構造物の情報を取得し、上記三次元地形表示データに含める。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態の構成を説明する図である。
【図2】(a)〜(d)は、上記精密オルソ画像管理データテーブルの構成を説明する図であり、(a)はこの基本図の構成を示し、(b)は東西40km、南北30kmで構成される各ブロックの構成を示し、(c)は更に上記東西4km、南北3kmの細ブロックを東西方向、南北方向に2等分し、細ブロックを4分割した構成を示し、(d)は更に細分化した構成を示す図である。
【図3】(a)はユーザが指定する二次元領域に対する選択エリアを説明する図であり、(b)は選択後の領域を示す図である。
【図4】(a)は画像設定テーブルの構成を示し、(b)はオリジナルの画像管理テーブルを示し、(c)は高解像度の画像管理テーブルを示し、(d)は中解像度の画像管理テーブルを示し、(e)は低解像度の画像管理テーブルを示す。
【図5】広域と狭域に対するオリジナル画像の分解能の関係を示す図である。
【図6】(a)〜(d)は三次元地形標高テーブルの例であり、(a)は標高を2m毎に管理する場合を示し、(b)は標高を4m毎に管理する場合を示し、(c)は標高を8m毎に管理する場合を示し、(d)は標高を16m毎に管理する場合を示す。
【図7】(a)はユーザが指定した地図上の範囲を示し、(b)はその三次元景観表示を示すものである。
【符号の説明】
【0037】
1 サーバ
2 クライアント
3 ウェブ(Web)サーバ
4 サーバアプリケーション
4a 表示エリアテクスチャマッピング画像作成アプリケーション
4b 三次元地形データ作成アプリケーション
4c 三次元地中構造物データ作成アプリケーション
5 データベースエンジン
6 精密オルソ画像ファイル群
9 地中構造物データテーブル
10 地形データテーブル
11 精密オルソ画像管理データテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバとクライアントがネットワークを介して接続された三次元地形表示システムにおいて、
前記サーバは、クライアントから供給される二次元領域の指定情報を入力する入力手段と、
該二次元領域の指定情報に基づいて、表示エリアのテクスチャマッピングを行うマッピング手段と、
該マッピングに従って三次元地形表示データを作成する三次元地形表示データ作成手段と、
該三次元地形表示データをネットワークを介して前記クライアントに出力する出力手段と、
を有することを特徴とする三次元地形表示システム。
【請求項2】
前記クライアントは、前記サーバから出力された三次元地形表示データに基づいて三次元地形表示を行う表示手段を有することを特徴とする請求項1記載の三次元地形表示システム。
【請求項3】
前記三次元地形表示には、トンネル管を含む地中構造物表示も行うことを特徴とする請求項1、又は2記載の三次元地形表示システム。
【請求項4】
予め元画像の分解能を変えた複数の画像データを記憶し、前記三次元地形表示データ作成手段が三次元地形表示画像を生成する際、適宜選択して合成することを特徴とする請求項1、2、又は3記載の三次元地形表示システム。
【請求項5】
サーバとクライアントがネットワークを介して接続された三次元地形表示システムであって、
前記クライアントから供給される二次元領域の指定情報を入力する処理と、
該二次元領域の指定情報に基づいて、表示エリアのテクスチャマッピングを行う処理と、
該マッピングに従って三次元地形表示データを作成する処理と、
該三次元地形表示データをネットワークを介して前記クライアントに出力する処理と、
を行うことを特徴とする三次元地形表示方法。
【請求項6】
サーバとクライアントがネットワークを介して接続された三次元地形表示システムに使用されるプログラムであって、
前記クライアントから供給される二次元領域の指定情報を入力する機能と、
該二次元領域の指定情報に基づいて、表示エリアのテクスチャマッピングを行う機能と、
該マッピングに従って三次元地形表示データを作成する機能と、
該三次元地形表示データをネットワークを介して前記クライアントに出力する機能と、
を少なくとも有し、コンピュータが実行可能な三次元地形表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−11760(P2006−11760A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187116(P2004−187116)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(501262905)情報環境デザイン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】