説明

上位処理装置、データ処理システム、コンピュータプログラム、データ処理方法

【課題】下位処理装置で発生している障害ごとに障害改善情報を適正なタイミングで配信することができる上位処理装置を提供する。
【解決手段】上位処理装置100は、障害が発生した下位処理装置200から少なくとも原因と判定されたデータ処理資源DORを通知する障害原因通知ECDを取得し、その障害原因通知ECDごとに固有の障害改善情報EBDを取得する。その障害改善情報EBDを複数の下位処理装置200の少なくとも一部に所定の複数段階の情報配信タイミングDDTで配信する。このため、障害改善情報EBDを複数段階の重要度に対応した情報配信タイミングDDTで時分割に配信するようなことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下位処理装置をメンテナンスする上位処理装置、この上位処理装置を有するデータ処理システム、上位処理装置のコンピュータプログラムおよびデータ処理方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、いわゆるコンピュータ装置が一般に普及しており、各所で各種用途に利用されている。ただし、コンピュータ装置のソフトウェアは完全ではなく、いわゆる修正パッチなどによる保守が必須となっている。
【0003】
そこで、顧客システムのソフトウェアに対する予防保守サービスにおいて、適切な情報のみを提供することで、顧客の負荷を軽減するシステムの提案がある。その予防保守システムでは、修正パッチ情報データベースと、顧客情報データベースから、顧客システム情報と修正パッチ詳細情報により顧客システムに対して修正パッチの適用可否および推奨修正パッチを判断し、顧客システムに該当する修正パッチの確認を行う。
【0004】
さらに、そこで確認された修正パッチに対して、修正パッチ抽出処理機能によって、顧客の要求に応じて修正パッチの抽出を行うことで、顧客による修正パッチ情報の整理をサポート側で行い顧客の負荷を軽減させる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、複数のソフトウェアを複数のサーバに動的に割り当てて顧客サービスを行うシステムにおいて、ソフトウェアに対して修正情報を的確に適用する提案もある。そのシステムでは、修正情報の発行時に提供される情報を用いて、顧客が使用しているソフトウェアの新しさとセキュリティレベルを統合した指標を計算し、得られた指標が顧客により指定された制約条件を満たさなければ、そのソフトウェアに修正情報を適用してソフトウェアをアップデートする(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
さらに、クライアントの運用監視を行うとともに、障害原因に応じたソフトウェアの更新を行うことのできるクライアント監視システムの提案もある。この場合、監視サーバは、クライアントに対して障害情報を要求し、獲得する手段と、障害データベースに対して、障害情報に応じた保守情報を問い合わせ、結果を獲得する手段と、保守情報とクライアント毎に予め定められた修正パッチ選択情報に基いた修正パッチを選択する手段と、修正パッチデータベースに対して修正パッチを要求、獲得する手段と、クライアントに対して該修正パッチを送信し、適用する手段とを備える。
【0007】
そして、ソフトウェアに関する既知の問題点毎に障害データベースに格納された保守情報に基いて、修正パッチを特定し、クライアントに自動適用することにより、ソフトウェアに起因する障害に対する保守に要する労力を削減する(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−099967号公報
【特許文献2】特開2005−092803号公報
【特許文献3】特開2003−233512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術では、修正パッチに設定されている重要度と、セキュリティ関連修正パッチであるか否かによって、クライアントへの適用の可否が決定される。つまり、修正パッチ側の要請に基づいて適用の可否が判定される。
【0010】
特許文献2の技術では、新たなパッチが生成されると、クライアントごとに特定ポイントを再計算し、閾値未達となる場合には、当該パッチを適用させる。このため、クライアントごとにセキュリティ等の観点で閾値が個別に設定される。
【0011】
特許文献3の技術では、クライアントの業務内容に応じて、修正パッチの適用則を予め設定しておき、修正パッチが生成されるたびに適用則に応じて修正パッチの送信の要否が決定される。
【0012】
つまり、何れも修正パッチを配信する上位処理装置が、修正パッチの配信の要否を独自に判断している。このため、多数のクライアントで重大な障害が発生しても、修正パッチが迅速に適用されず、重大でない障害の修正パッチが迅速に適用されるような、事態が発生する可能性がある。
【0013】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、下位処理装置で発生している障害ごとに障害改善情報を適正なタイミングで配信することができる上位処理装置、この上位処理装置を有するデータ処理システム、上位処理装置のコンピュータプログラムおよびデータ処理方法、を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上位処理装置は、実装されている各種のデータ処理資源により各種のデータ処理動作を各々実行する複数の下位処理装置と相互通信するデータ通信手段と、障害が発生した下位処理装置から少なくとも原因と判定されたデータ処理資源を通知する障害原因通知を相互通信により取得する通知取得手段と、障害原因通知ごとに固有の障害改善情報を取得する改善取得手段と、障害改善情報を複数の下位処理装置の少なくとも一部に相互通信により所定の複数段階の情報配信タイミングで配信する改善配信手段と、を有する。
【0015】
本発明のデータ処理システムは、少なくとも一個の上位処理装置と複数の下位処理装置とが相互通信するデータ処理システムであって、本発明の上位処理装置と、障害が発生すると少なくとも原因と判定されたデータ処理資源を通知する障害原因通知を上位処理装置に送信する下位処理装置と、を有する。
【0016】
本発明のコンピュータプログラムは、本発明の上位処理装置のコンピュータプログラムであって、実装されている各種のデータ処理資源により各種のデータ処理動作を各々実行する複数の下位処理装置と相互通信するデータ通信処理と、障害が発生した下位処理装置から少なくとも原因と判定されたデータ処理資源を通知する障害原因通知を相互通信により取得する通知取得処理と、障害原因通知ごとに固有の障害改善情報を取得する改善取得処理と、障害改善情報を複数の下位処理装置の少なくとも一部に相互通信により所定の複数段階の情報配信タイミングで配信する改善配信処理と、を上位処理装置に実行させる。
【0017】
本発明のデータ処理方法は、本発明の上位処理装置のデータ処理方法であって、実装されている各種のデータ処理資源により各種のデータ処理動作を各々実行する複数の下位処理装置と相互通信するデータ通信動作と、障害が発生した下位処理装置から少なくとも原因と判定されたデータ処理資源を通知する障害原因通知を相互通信により取得する通知取得動作と、障害原因通知ごとに固有の障害改善情報を取得する改善取得動作と、障害改善情報を複数の下位処理装置の少なくとも一部に相互通信により所定の複数段階の情報配信タイミングで配信する改善配信動作と、を有する。
【0018】
なお、本発明の各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与された上位処理装置、コンピュータプログラムにより上位処理装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。
【0019】
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0020】
また、本発明のコンピュータプログラムおよびデータ処理方法は、複数の処理および動作を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の処理および複数の動作を実行する順番を限定するものではない。
【0021】
このため、本発明のコンピュータプログラムおよびデータ処理方法を実施するときには、その複数の処理および複数の動作の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0022】
さらに、本発明のコンピュータプログラムおよびデータ処理方法は、複数の処理および複数の動作が個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある処理および動作の実行中に他の処理および動作が発生すること、ある処理および動作の実行タイミングと他の処理および動作の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【0023】
さらに、本発明で云う「データを記憶する」とは、本発明の装置が、少なくともデータを記憶する機能を有することを意味している。このため、本発明の装置がコンシューマにより新規に登録されるデータを記憶することの他、サプライヤにより製造時に登録されたデータを記憶して出荷後にはコンシューマにより新規のデータが登録されないことも許容する。
【0024】
また、本発明で云う上位処理装置は、コンピュータプログラムを読み取って対応する処理動作を実行できるように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)ユニット、等の汎用デバイスで構築されたハードウェア、所定の処理動作を実行するように構築された専用の論理回路、これらの組み合わせ、等として実施することができる。
【0025】
なお、本発明でコンピュータプログラムに対応した各種動作を上位処理装置に実行させることは、各種デバイスを上位処理装置に動作制御させることなども意味している。例えば、上位処理装置に各種データを記憶させることは、上位処理装置に固定されているHDD(Hard Disc Drive)等の情報記憶媒体にCPUが各種データを格納すること、上位処理装置に交換自在に装填されているCD−R(Compact Disc-Recordable)等の情報記憶媒体にCPUがCDドライブで各種データを格納すること、等を許容する。
【0026】
また、本発明で云うデータ処理資源とは、より具体的には、上位処理装置を物理的に構成している各種のハードウェアと、論理的に構成している各種のソフトウェアと、の総称を意味しており、いわゆるリソースに相当する。
【0027】
さらに、本発明で云う障害改善情報とは、下位処理装置に発生した障害の改善に利用されるデータファイルなどのソフトウェアを意味しており、いわゆる修正パッチに相当する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の上位処理装置では、実装されている各種のデータ処理資源により各種のデータ処理動作を各々実行する複数の下位処理装置とデータ通信手段が相互通信する。この相互通信により障害が発生した下位処理装置から少なくとも原因と判定されたデータ処理資源を通知する障害原因通知を通知取得手段が取得する。その障害原因通知ごとに固有の障害改善情報を改善取得手段が取得する。その障害改善情報を複数の下位処理装置の少なくとも一部に相互通信により所定の複数段階の情報配信タイミングで改善配信手段が配信する。このため、障害改善情報を複数段階の重要度に対応した情報配信タイミングで時分割に配信するようなことができる。従って、下位処理装置で発生している障害ごとに障害改善情報を適正なタイミングで配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態のデータ処理システムの論理構造を示す模式的なブロック図である。
【図2】データ処理システムの物理構造を示すブロック図である。
【図3】下位処理装置によるデータ処理方法を示すフローチャートである。
【図4】上位処理装置によるデータ処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の一形態を図面を参照して以下に説明する。本実施の形態のデータ処理システム1000は、図1および図2に示すように、少なくとも一個の上位処理装置100と複数の下位処理装置200とが相互通信する。
【0031】
その下位処理装置200は、詳細には後述するが、実装されている各種のデータ処理資源DORにより各種のデータ処理動作DOMを各々実行する。そして、障害が発生すると少なくとも原因と判定されたデータ処理資源DORを通知する障害原因通知ECDを少なくとも個体ごとに固有の障害重度数値EINとともに上位処理装置100に送信する。
【0032】
この上位処理装置100は、図1に示すように、上述のように実装されている各種のデータ処理資源DORにより各種のデータ処理動作DOMを各々実行する複数の下位処理装置200と相互通信するデータ通信部110と、障害が発生した下位処理装置200から少なくとも原因と判定されたデータ処理資源DORを通知する障害原因通知ECDを相互通信により取得する通知取得部120と、障害原因通知ECDとともに少なくとも下位処理装置200ごとに固有の障害重度数値EINを取得する重度取得部130と、取得される障害原因通知ECDごとに障害重度数値EINを累積する重度累積部140と、障害原因通知ECDごとに固有の障害改善情報EBDを取得する改善取得部150と、障害原因通知ECDごとに累積される障害重度数値EINが所定の改善配信閾値BDSを超過すると対応する障害改善情報EBDを複数の下位処理装置200の少なくとも一部に相互通信により配信する改善配信部160と、を有する。
【0033】
さらに、本実施の形態の上位処理装置100は、下位処理装置200ごとに少なくとも実装されているデータ処理資源DORを記憶する構成記憶部170も有する。このため、改善配信部160は、構成記憶部170を参照して障害原因通知ECDに対応したデータ処理資源DORが実装されている下位処理装置200に障害改善情報EBDを配信する。
【0034】
また、本実施の形態の上位処理装置100は、複数段階の情報配信タイミングDDTごとに障害原因通知ECDと障害改善情報EBDとを対応させて記憶する改善記憶部180も有する。
【0035】
このため、改善取得部150は、固有の情報配信タイミングDDTが個々に付与された障害改善情報EBDを取得し、改善配信部160は、累積される障害重度数値EINが改善配信閾値BDSを超過すると対応する障害改善情報EBDを各々に固有の情報配信タイミングDDTで配信する。
【0036】
より具体的には、下位処理装置200は、コンピュータ装置からなり、例えば、各種メーカで社内作業に利用されるデータベースサーバなどからなる。上位処理装置100は、例えば、上述の各種メーカと各々の下位処理装置200のメンテナンスを業務提携するサービス企業のコンピュータ装置からなる。
【0037】
上述のような上位処理装置100と複数の下位処理装置200とは、図2に示すように、例えば、インターネットやNGN(Next Generation Network)やWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークCINで接続されている。
【0038】
上位処理装置100および下位処理装置200は、CPUやHDD等のハードウェアとOS(Operating System)やアプリケーションソフト等のソフトウェアとをデータ処理資源DOR等として有する(図示せず)。
【0039】
このようなソフトウェアからなるコンピュータプログラムに対応してCPUが各種のハードウェアを統合制御することなどにより、上位処理装置100には、前述の各部110〜が論理的に実現されている。
【0040】
例えば、データ通信部110は、CPUが実装されているコンピュータプログラムに対応してデータ通信デバイスのデータ通信動作を動作制御する機能などに相当する。通知取得部120と重度取得部130とは、CPUが実装されているコンピュータプログラムに対応してデータ通信デバイスの受信データを認識する機能などに相当する。
【0041】
重度累積部140と構成記憶部170と改善記憶部180とは、CPUが実装されているコンピュータプログラムに対応してメモリデバイスに各種データを記憶させる機能などに相当する。
【0042】
改善取得部150は、CPUが実装されているコンピュータプログラムに対応して上述のようなメモリデバイスの記憶データを検索する機能などに相当する。改善配信部160は、CPUが実装されているコンピュータプログラムに対応してデータ通信デバイスにデータ送信を実行させる機能などに相当する。
【0043】
上述のような上位処理装置100のコンピュータプログラムは、例えば、実装されている各種のデータ処理資源DORにより各種のデータ処理動作DOMを各々実行する複数の下位処理装置200と相互通信するデータ通信処理と、障害が発生した下位処理装置200から少なくとも原因と判定されたデータ処理資源DORを通知する障害原因通知ECDを相互通信により取得する通知取得処理と、障害原因通知ECDとともに少なくとも下位処理装置200ごとに固有の障害重度数値EINを取得する重度取得処理と、取得される障害原因通知ECDごとに障害重度数値EINを累積する重度累積処理と、障害原因通知ECDごとに固有の障害改善情報EBDを取得する改善取得処理と、障害原因通知ECDごとに累積される障害重度数値EINが所定の改善配信閾値BDSを超過すると対応する障害改善情報EBDを複数の下位処理装置200の少なくとも一部に相互通信により配信する改善配信処理と、下位処理装置200ごとに少なくとも実装されているデータ処理資源DORを記憶する構成記憶処理と、複数段階の情報配信タイミングDDTごとに障害原因通知ECDと障害改善情報EBDとを対応させて記憶する改善記憶処理と、を上位処理装置100に実行させるように記述されている。
【0044】
上述のような構成において、本実施の形態のデータ処理システム1000では、各種メーカでは下位処理装置200を各種用途に使用する。ただし、各種メーカは、上位処理装置100による下位処理装置200のメンテナンスをサービス企業と業務提携する。
【0045】
そこで、各種メーカでは、図3に示すように、例えば、その用途などに対応して障害重度数値EINを下位処理装置200に設定しておくことになる(ステップS1−Y,S2)。例えば、下位処理装置200が大規模な病院で生命維持に関連する機器の制御に利用されているような場合、その障害重度数値EINは充分な数値に設定される。
【0046】
このような状態で、各種メーカでは、下位処理装置200が実装されている各種のデータ処理資源DORで各種のデータ処理動作DOMを実行する(ステップS3)。ただし、このようにデータ処理動作DOMが実行されているときに障害が発生することがある。
【0047】
すると、この障害の発生を検知した下位処理装置200は(ステップS4−Y)、少なくとも障害を発生したデータ処理資源DORを特定する(ステップS5)。そして、例えば、自機の識別データ、障害を発生したデータ処理資源DOR、障害が発生したデータ処理動作DOM、等が設定された障害原因通知ECDを、障害重度数値EINとともに上位処理装置100に送信する(ステップS6)。
【0048】
この上位処理装置100では、図4に示すように、上述のように障害原因通知ECDを障害重度数値EINとともに下位処理装置200から受信すると(ステップT1−Y)、その障害重度数値EINを障害原因通知ECDごとに累積する(ステップT2)。
【0049】
このように複数の下位処理装置200から収集されて累積された障害重度数値EINが所定の改善配信閾値BDSを超過すると(ステップT3−Y)、その障害原因通知ECDに対応した障害改善情報EBDを情報配信タイミングDDTとともに取得する(ステップT4)。。
【0050】
この情報配信タイミングDDTは、例えば、即時、一日一回、毎週一回、毎月一回、など、その障害改善情報EBDで改善される障害の重要度に対応して、事前に複数段階に設定される。
【0051】
そこで、上述のように累積された障害重度数値EINが改善配信閾値BDSを超過した障害改善情報EBDの情報配信タイミングDDTとなると(ステップT5−Y)、その障害改善情報EBDが特定の下位処理装置200に配信される(ステップT6,T7)。
【0052】
より具体的には、上位処理装置100には、前述のように提携している下位処理装置200ごとに実装されているデータ処理資源DORの構成がデータ登録されている。そこで、上述のように障害改善情報EBDを配信するときには、対応するデータ処理資源DORが実装されている下位処理装置200が特定され(ステップT6)、その特定された下位処理装置200のみに障害改善情報EBDが配信される(ステップT7)。
【0053】
本実施の形態のデータ処理システム1000の上位処理装置100は、上述のように実装されている各種のデータ処理資源DORにより各種のデータ処理動作DOMを各々実行する複数の下位処理装置200と、データ通信部110で相互通信する。
【0054】
そこで、障害が発生した下位処理装置200から少なくとも原因と判定されたデータ処理資源DORを通知する障害原因通知ECDを相互通信により通知取得部120が取得する。
【0055】
その障害原因通知ECDとともに少なくとも下位処理装置200ごとに固有の障害重度数値EINを重度取得部130が取得する。このように取得される障害原因通知ECDごとに障害重度数値EINを重度累積部140が累積する。
【0056】
その障害原因通知ECDごとに固有の障害改善情報EBDを改善取得部150が取得する。そして、障害原因通知ECDごとに累積される障害重度数値EINが所定の改善配信閾値BDSを超過すると対応する障害改善情報EBDを複数の下位処理装置200の少なくとも一部に相互通信により改善配信部160が配信する。
【0057】
このため、複数の下位処理装置200で固有の障害重度数値EINの障害原因通知ECDごとの累積結果が改善配信閾値BDSを超過すれば障害改善情報EBDが配信される。
【0058】
従って、例えば、下位処理装置200が自身の都合で障害重度数値EINを設定しておくことなどにより、多数の下位処理装置200で重要と判断される障害が発生しているのに障害改善情報EBDが配信されないようなことを良好に防止できる。
【0059】
それでいて、複数の下位処理装置200で固有の障害重度数値EINの障害原因通知ECDごとの累積結果が改善配信閾値BDSを超過しなければ障害改善情報EBDが配信されない。従って、重要と判断されない障害が少数の下位処理装置200でしか発生していないのに、障害改善情報EBDが無闇に配信されるようなことも良好に防止できる。
【0060】
しかも、本実施の形態の上位処理装置100では、下位処理装置200ごとに少なくとも実装されているデータ処理資源DORを構成記憶部170が記憶し、改善配信部160は、構成記憶部170を参照して障害原因通知ECDに対応したデータ処理資源DORが実装されている下位処理装置200に障害改善情報EBDを配信する。
【0061】
このため、障害改善情報EBDが無関係な下位処理装置200に配信されることがない。従って、膨大な個数の下位処理装置200の全部に障害改善情報EBDが一様に配信されて通信ネットワークCINに輻輳が発生することを防止できる。
【0062】
また、下位処理装置200では、自機に無関係な障害改善情報EBDを受信することがないので、受信した障害改善情報EBDが自機に関係あるかの判定を必要とすることなく、受信した障害改善情報EBDを無条件に自機に適用することができる。
【0063】
また、本実施の形態の上位処理装置100では、複数段階の情報配信タイミングDDTで障害改善情報EBDを改善配信部160が配信する。その場合、改善取得部150は、固有の情報配信タイミングDDTが個々に付与された障害改善情報EBDを取得し、改善配信部160は、累積される障害重度数値EINが改善配信閾値BDSを超過すると対応する障害改善情報EBDを各々に固有の情報配信タイミングDDTで配信する。
【0064】
従って、累積される障害重度数値EINが改善配信閾値BDSを超過するごとに障害改善情報EBDが配信されないので、さらに通信ネットワークCINの輻輳を防止することができる。
【0065】
特に、例えば、障害改善情報EBDを複数段階の重要度に対応した情報配信タイミングDDTで時分割に配信するようなことができるので、下位処理装置200が固有に判断している障害重度数値EINと、上位処理装置100で固有に判定されている障害改善情報EBDの重要度と、の両方に対応して、障害改善情報EBDを配信するようなことができる。
【0066】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では障害原因通知ECDの障害重度数値EINが複数の下位処理装置200ごとに固有に設定されていることを例示した。
【0067】
しかし、その下位処理装置200において、データ処理資源DORごとに固有に障害重度数値EINが設定されていてもよく、データ処理動作DOMごとに固有に障害重度数値EINが設定されていてもよい。
【0068】
これらの場合、複数の下位処理装置200の重要度だけでなく、そのデータ処理資源DORやデータ処理動作DOMの重要度にも対応して障害重度数値EINを設定しておくことができる。従って、より緻密に障害改善情報EBDの配信タイミングを制御するようなことができる。
【0069】
また、上記形態では下位処理装置200で障害重度数値EINが固有に設定されることを例示した。しかし、上位処理装置100の重度付与手段(図示せず)が、複数の下位処理装置200の各々に障害重度数値EINを個々に付与してもよい。この場合、複数の下位処理装置200の各々の障害重度数値EINを上位処理装置100で一元管理することができる。
【0070】
さらに、上記形態では改善配信部160に一つの改善配信閾値BDSが設定されていることを例示した。しかし、個々に固有の改善配信閾値BDSが付与された障害改善情報EBDを改善取得部150が取得し、累積される障害重度数値EINが個々に付与されている改善配信閾値BDSを超過した障害改善情報EBDを改善配信部160が配信してもよい(図示せず)。
【0071】
この場合、障害改善情報EBDごとに改善配信閾値BDSが設定されるので、例えば、上位処理装置100で重要と判定された障害改善情報EBDには低値の改善配信閾値BDSを設定しておき、より迅速に障害改善情報EBDが配信されるようにするようなことができる。
【0072】
また、上記形態では上位処理装置100の内部に改善記憶部180があり、そこに障害改善情報EBDが障害原因通知ECDとともに情報配信タイミングDDTごとに登録されていることを例示した。
【0073】
しかし、このような改善記憶部180が上位処理装置100の外部にあり、そこから上位処理装置100が障害改善情報EBDを取得してもよい(図示せず)。この場合、例えば、障害原因通知ECDに対応して障害改善情報EBDを生成するサービス企業のデータ処理装置(図示せず)から、必要により上位処理装置100が障害改善情報EBDを取得するようなことができる。
【0074】
さらに、上記形態では下位処理装置200ごとにデータ処理資源DORの構成が上位処理装置100の構成記憶部170に登録されており、障害改善情報EBDが対応するデータ処理資源DORを有する下位処理装置200のみに配信されることを例示した。
【0075】
しかし、障害改善情報EBDを対応する障害原因通知ECDを出力した下位処理装置200に改善配信部160が配信してもよい。この場合、対応するデータ処理資源DORを有しても障害が発生していない下位処理装置200には障害改善情報EBDが配信されない。
【0076】
例えば、障害の原因は単純にデータ処理資源DORごととは限定できないので、本当に必要としている下位処理装置200のみに障害改善情報EBDを配信することができる。
【0077】
さらに、上記形態では上位処理装置100の各部110〜がコンピュータプログラムにより各種機能として論理的に実現されることを例示した。しかし、このような各部の各々を固有のハードウェアとして形成することもでき、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせとして実現することもできる。
【0078】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【符号の説明】
【0079】
100 上位処理装置
110 データ通信部
120 通知取得部
130 重度取得部
140 重度累積部
150 改善取得部
160 改善配信部
170 構成記憶部
180 改善記憶部
200 下位処理装置
1000 データ処理システム
BDS 改善配信閾値
CIN 通信ネットワーク
DDT 情報配信タイミング
DOM データ処理動作
DOR データ処理資源
EBD 障害改善情報
ECD 障害原因通知
EIN 障害重度数値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装されている各種のデータ処理資源により各種のデータ処理動作を各々実行する複数の下位処理装置と相互通信するデータ通信手段と、
障害が発生した前記下位処理装置から少なくとも原因と判定された前記データ処理資源を通知する障害原因通知を前記相互通信により取得する通知取得手段と、
前記障害原因通知ごとに固有の障害改善情報を取得する改善取得手段と、
前記障害改善情報を複数の前記下位処理装置の少なくとも一部に前記相互通信により所定の複数段階の情報配信タイミングで配信する改善配信手段と、
を有する上位処理装置。
【請求項2】
前記改善取得手段は、固有の前記情報配信タイミングが個々に付与された前記障害改善情報を取得し、
前記改善配信手段は、前記障害改善情報を各々に固有の前記情報配信タイミングで配信する請求項1に記載の上位処理装置。
【請求項3】
前記障害原因通知とともに少なくとも前記下位処理装置ごとに固有の障害重度数値を取得する重度取得手段と、
取得される前記障害原因通知ごとに前記障害重度数値を累積する重度累積手段とを、さらに有し、
前記改善配信手段は、前記障害原因通知ごとに累積される前記障害重度数値が所定の改善配信閾値を超過すると対応する前記障害改善情報を配信する請求項1または2に記載の上位処理装置。
【請求項4】
前記重度取得手段は、前記データ処理資源ごとにも固有の前記障害重度数値を取得する請求項1ないし3の何れか一項に記載の上位処理装置。
【請求項5】
前記重度取得手段は、前記データ処理動作ごとにも固有の前記障害重度数値を取得する請求項1ないし4の何れか一項に記載の上位処理装置。
【請求項6】
複数の前記下位処理装置の各々に前記障害重度数値を個々に付与する重度付与手段を、さらに有する請求項1ないし5の何れか一項に記載の上位処理装置。
【請求項7】
前記改善取得手段は、個々に固有の前記改善配信閾値が付与された前記障害改善情報を取得し、
前記改善配信手段は、累積される前記障害重度数値が個々に付与されている前記改善配信閾値を超過した前記障害改善情報を配信する請求項1ないし6の何れか一項に記載の上位処理装置。
【請求項8】
前記下位処理装置ごとに少なくとも実装されている前記データ処理資源を記憶する構成記憶手段を、さらに有し、
前記改善配信手段は、前記構成記憶手段を参照して前記障害原因通知に対応した前記データ処理資源が実装されている前記下位処理装置に前記障害改善情報を配信する請求項1ないし7の何れか一項に記載の上位処理装置。
【請求項9】
前記改善配信手段は、前記障害改善情報を対応する前記障害原因通知を出力した前記下位処理装置に配信する請求項1ないし8の何れか一項に記載の上位処理装置。
【請求項10】
少なくとも一個の上位処理装置と複数の下位処理装置とが相互通信するデータ処理システムであって、
請求項1ないし9の何れか一項に記載の前記上位処理装置と、
障害が発生すると少なくとも原因と判定された前記データ処理資源を通知する障害原因通知を前記上位処理装置に送信する前記下位処理装置と、
を有するデータ処理システム。
【請求項11】
請求項1ないし9の何れか一項に記載の上位処理装置のコンピュータプログラムであって、
実装されている各種のデータ処理資源により各種のデータ処理動作を各々実行する複数の下位処理装置と相互通信するデータ通信処理と、
障害が発生した前記下位処理装置から少なくとも原因と判定された前記データ処理資源を通知する障害原因通知を前記相互通信により取得する通知取得処理と、
前記障害原因通知ごとに固有の障害改善情報を取得する改善取得処理と、
前記障害改善情報を複数の前記下位処理装置の少なくとも一部に前記相互通信により所定の複数段階の情報配信タイミングで配信する改善配信処理と、
を上位処理装置に実行させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項1ないし9の何れか一項に記載の上位処理装置のデータ処理方法であって、
実装されている各種のデータ処理資源により各種のデータ処理動作を各々実行する複数の下位処理装置と相互通信するデータ通信動作と、
障害が発生した前記下位処理装置から少なくとも原因と判定された前記データ処理資源を通知する障害原因通知を前記相互通信により取得する通知取得動作と、
前記障害原因通知ごとに固有の障害改善情報を取得する改善取得動作と、
前記障害改善情報を複数の前記下位処理装置の少なくとも一部に前記相互通信により所定の複数段階の情報配信タイミングで配信する改善配信動作と、
を有するデータ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−218073(P2010−218073A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62349(P2009−62349)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】