不織布状活性炭の製造方法
【課題】吸着性能が高い不織布状活性炭を容易に製造することができる不織布状活性炭の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の製造方法によれば、液相工程において、攪拌など、不織布状活性炭20に損傷を与えるような負荷をかける処理をしなくとも、処理液18を不織布状活性炭2−に均一に含浸させることができるため、表面に酸性官能基が修飾されることにより、吸着性能が向上した不織布状活性炭を容易に製造することができる。
【解決手段】本発明の製造方法によれば、液相工程において、攪拌など、不織布状活性炭20に損傷を与えるような負荷をかける処理をしなくとも、処理液18を不織布状活性炭2−に均一に含浸させることができるため、表面に酸性官能基が修飾されることにより、吸着性能が向上した不織布状活性炭を容易に製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不織布状活性炭の製造方法に関し、特に、吸着性能が高い不織布状活性炭を容易に製造することができる不織布状活性炭の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
活性炭はナノオーダーの細孔により様々な化学物質を吸着できるので、食品製造や製薬、脱臭など様々な分野で利用されている。活性炭の吸着挙動は、細孔の構造(比表面積、細孔径)や表面の化学構造によって大きく異なるため(例えば、非特許文献1参照)、用途に適した活性炭が各種製造されている。中でも、不織布を炭化・賦活処理することにより得られる活性炭(不織布状活性炭)は、活性炭のもつ高い吸着性能に加え、不織布である形態的な特徴があるため、非常に高い優位性がある活性炭である。
【0003】
ところで、従来の活性炭表面は無極性に近く、極性を持つ化学物質(例えば、アンモニアやアミン、低級アルデヒド、硫化水素など)の吸着にはあまり有効ではない。これらの極性ガスは悪臭物質であり、人体にも有害であることから、生活環境からの除去が強く望まれている。そのため、活性炭表面の化学構造を修飾して、種々の官能基を導入させて、極性をもつ化学物質に対する吸着性能を向上させることが知られている。
【0004】
図7は、従来の活性炭の表面を拡大して模式的に示す図であり、(a)は、表面の化学構造に修飾を施していない活性炭表面を示し、(b)は、表面の化学構造を修飾し、酸性官能基を導入した活性炭表面を示す図である。図7(a)に示すように、表面の化学構造に修飾を施さない活性炭の場合、有害物質101は、活性炭の細孔102には吸着しにくい。一方、図7(b)に示すように、表面の化学構造を修飾することより、酸性官能基103を導入すると、有毒物質101を好適に捉えることができる。
【0005】
活性炭表面の化学構造を修飾することの有効性は、既にいくつかの特許文献において言及されている。例えば、特許文献1には、表面に酸化処理を施して酸性官能基を導入することにより、表面酸素の割合を10%以上とした繊維状活性炭に、硫酸あるいは燐酸を付着させ、塩基性ガスの消臭性能を向上させた塩基性ガス吸着用繊維状活性炭が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、比表面積が500〜2500m2/g、表面酸性官能基の量が0.1mmol/g以下の活性炭が開示されている。この活性炭は、ハロゲン系有機化合物、ハロゲン系有機化合物よりも嵩高い化合物を有効に除去できることが記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、比表面積が500m2/g以上、全酸性官能基量が1.0ミリ当量/g以上であり、且つカルボン酸由来の酸性官能基量が0.2ミリ当量/g以上である活性炭が開示されている。この活性炭は微量金属の除去に好適であることが記載されている。
【特許文献1】特開平9−192484号公報
【特許文献2】特開2001−261319号公報
【特許文献3】特開2004−315243号公報
【非特許文献1】ツツミ(K.Tsutusmi),マツシマ(Y.Matsushima),マツモト(Matusmoto),「ラングミュア(Langmuir)」(米国)1993年,第9巻
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、被処理物が粉末状や粒状、強度の高い繊維である場合には、上記従来技術は優れた技術であるもの、不織布状活性炭に対しては、そのまま適用することができないという問題点があった。元来、もろい繊維状活性炭が、不織布になっているため、不織布状活性炭は、非常にもろい。よって、従来技術の処理方法をそのまま適用すると、不織布状活性炭が負荷に耐えられず破れてしまうのである。また、不織布活性炭が数十から数百メートルの長さを有する長尺状である場合は、表面を均一に処理することが困難であり、表面の処理状態にムラが発生するという問題点もあった。
【0009】
形態的特徴に優位性を持つ不織布状活性炭表面の化学構造を修飾し、高い吸着性能を付与することができれば、用途拡大が期待できるため、不織布状活性炭に対する表面化学修飾方法の開発が切望されていた。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、吸着性能が高い不織布状活性炭を容易に製造することができる不織布状活性炭の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法は、不織布状活性炭の表面に吸着部位を修飾するための処理液の入った漕に、準備した不織布状活性炭を浸漬し、不織布状活性炭に処理液を含浸させる液相工程と、その液相工程の後、不織布状活性炭を洗浄して処理液を除去する洗浄工程とを経ることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記液相工程は、前記処理液を含浸させた不織布状活性炭を、加圧した一対のローラ間に通すものであることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記液相工程は、側面に孔が設けられた筒状部材を芯としてロール状に巻かれた不織布状活性炭を、前記処理液の入った槽に浸漬させることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1から3のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記液相工程において、前記処理液が、不織布状活性炭表面に酸性官能基を修飾する酸化剤であることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1から4のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記液相工程において、前記処理液が、硝酸又は過酸化水素水溶液であることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1から5のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記液相工程の後であって前記洗浄工程の前に、前記不織布状活性炭を密封し、不織布状活性炭と処理液とを反応させる反応工程を経るものであることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項6記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記反応工程は、ロール状に巻き取られた不織布状活性炭を密封し、その状態で所定時間回転させる間に、前記不織布状活性炭と処理液とを反応させることを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1から7のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記洗浄工程により、処理液が除去された不織布状活性炭を、温度および雰囲気制御された乾燥室で乾燥させる乾燥工程を経ることを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項8記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記乾燥工程において、前記乾燥室の温度は150℃以下に制御されることを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の不織布状活性炭の製造方法は、準備した不織布状活性炭に、雰囲気および温度が制御された処理室を所定時間通過させる気相工程を経ることを特徴とする。
【0021】
請求項11記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項10記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記気相工程において、前記処理室の温度が10℃以上かつ400℃以下に制御されることを特徴とする。
【0022】
請求項12記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項10または11に記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記気相工程において、前記処理室の雰囲気が、空気、又はオゾンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、液相工程において、不織布状活性炭の表面に吸着部位を修飾するための処理液の入った漕に、準備した不織布状活性炭が浸漬されるので、吸着性能の高い不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。また、洗浄工程により、不織布状活性炭が洗浄されて処理液が除去されるので、処理液の残存による不織布状活性炭の劣化が抑制されるという効果がある。
【0024】
ここで、「吸着部位」とは、酸性官能基あるいは塩基性官能基、金属、触媒を含むものであり、「不織布状活性炭の表面に吸着部位を修飾する」とは、不織布状活性炭の表面の化学構造に官能基を導入すること、または、不織布状活性炭表面の化学構造に、金属や触媒を担持させることを含む意味である。
【0025】
請求項2記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、液相工程において、前記処理液を含浸させた不織布状活性炭が、加圧した一対のローラ間に通されるので、不織布状活性炭の損傷を招くような負荷をかけることなく、処理液が不織布状活性炭に均一に含浸し、表面がムラ無く処理された不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。
【0026】
請求項3記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、液相工程において、側面に孔が設けられた筒状部材を芯としてロール状に巻かれた不織布状活性炭が、前記処理液の入った槽に浸漬されると、ロール状に巻かれた不織布状活性炭の外周側から筒状部材内周へ処理液が通液し、または筒状部材内周側の処理液が不織布状活性炭外周側へ通液される。よって、不織布状活性炭の損傷を招くような負荷をかけることなく、処理液が不織布状活性炭に均一に含浸するので、表面がムラ無く処理された不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。
【0027】
請求項4記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1から3のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、前記処理液が、不織布状活性炭表面に酸性官能基を修飾する酸化剤であるので、アンモニアやアミンなど極性の有害物質に対して高い吸着性を有する不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。
【0028】
請求項5記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1から4のいずれかに記載の不織布状活性炭の奏する効果に加え、前記液相工程において、前記処理液が、低コストであり、且つ処理効率が良い硝酸又は過酸化水素水溶液であるので、不織布状活性炭表面に酸性官能基を修飾することができ、アンモニアやアミンなど極性の有害物質に対して高い吸着性を有する不織布状活性炭を、容易に製造することができるという効果がある。
【0029】
請求項6記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1から5のいずれかに記載の不織布状活性炭の奏する効果に加え、前記液相工程の後であって前記洗浄工程の前に、前記不織布状活性炭を密封し、不織布状活性炭と処理液とを反応させる反応工程を経るので、不織布状活性炭と処理液とを十分に反応させ、不織布状活性炭の表面処理が良好になされるという効果がある。なお、反応工程においては、不織布状活性炭が密封されるので、処理液の気化が抑制され、この点からも、不織布状活性炭と処理液とを十分に反応させることができる。
【0030】
請求項7記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項6記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、前記反応工程は、ロール状に巻き取られた不織布状活性炭を密封し、その状態で所定時間回転させる間に、前記不織布状活性炭と処理液とを反応させるので、処理液の偏析が抑制されて不織布状活性炭に均一に含浸し、不織布状活性炭の表面処理が良好になされるという効果がある。
【0031】
請求項8記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1から7のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、前記洗浄工程により、処理液が除去された不織布状活性炭を、温度および雰囲気制御された乾燥室で乾燥させる乾燥工程を経るので、不織布状活性炭表面の化学構造に、意図しない空気酸化が生じることを抑制できるという効果がある。
【0032】
請求項9記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項8記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、前記乾燥工程において、前記乾燥室の温度は150℃以下に制御されるので、不織布状活性炭表面の化学構造に、意図しない空気酸化が生じることを確実に抑制することができるという効果がある。
【0033】
請求項10記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、不織布状活性炭に、雰囲気および温度が制御された処理室を所定時間通過させる気相工程を経るので、不織布状活性炭表面と気体とが反応し、長尺状の不織布状活性炭であっても、大規模な処理室を設けずに、表面がムラ無く処理された不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。
【0034】
請求項11記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項10記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、処理室の温度が10℃以上に制御されるので、十分な処理効果が期待できると共に、温度制御が容易であるという効果がある。また、処理室の温度が400℃以下に制御されるので、不織布状活性炭自体の分解(燃焼)を防止することができるという効果がある。
【0035】
請求項12記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項10または11記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、前記気相工程において、前記処理室の雰囲気が、空気、又はオゾンであるので、不織布状活性炭表面の化学構造に酸性官能基を修飾し、アンモニアやアミンなど極性の有害物質に対して高い吸着性を有する不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明について、詳細に説明する。本発明において、「不織布状活性炭」とは、不織布を炭化、賦活処理することにより得られる活性炭をいう。不織布状活性炭の炭素質原料は特に限定はしないが、木綿やレーヨンなどのセルロース繊維、アクリル繊維、フェノール繊維、ピッチ繊維、又はその複合素材を挙げることができる。これら炭素質材料は、炭化・賦活処理する前に、所定の単位面積当たりの重量や厚みで不織布化される。不織布化の方法は特に限定はしないが、ニードルパンチ法、スパンレース法、ケミカルボンディング法、湿式法などが挙げられる。得られた不織布は形態の安定や収率の向上を目的に薬品処理が施されていても良いし、200〜300℃で熱処理されていても良い。
【0037】
不織布化された炭素質原料は、公知の方法によって、炭化、更に賦活化されて不織布状活性炭となる。炭化・賦活処理温度や時間、賦活剤の種類や量を適宜設定することで要求性能に見合った比表面積や細孔径を得ることができる。このようにして得られる不織布状活性炭表面は無極性に近く、極性をもつ化学物質の吸着にはあまり有効ではない。本発明の製造方法は、さらに表面に吸着部位の修飾を行うことにより吸着性能が向上した不織布状活性炭を製造することを目的とする。
【0038】
以下、表面の吸着部位としての酸性官能基が修飾された不織布状活性炭を製造する第1の方法を詳述する。まず、処理対象の不織布状活性炭を準備する。ここで準備する不織布状活性炭の特性およびサイズは何ら限定しないが、ここでは、比表面積が400〜2000m2/gの範囲であって、平均細孔径が0.5〜10nmの範囲であって、ロール状に巻かれた長尺状の不織布状活性炭を準備したものとして説明する。
【0039】
次に、準備した不織布状活性炭に処理液を含浸させる(液相工程)。液相工程の具体的処理方法は、処理液を不織布状活性炭に均一に含浸させることができ、且つ、不織布状活性炭に大きな負荷がかからない方法であれば良く、特に限定されるものではないが、以下、具体的処理方法の一例を説明する。
【0040】
図1は、液相工程の一例を模式的に示す図であって、パッダーを用いた方法を示す図である。図1に示すように、パッダー10は、ゴム製の一対の絞りローラ12,14と処理槽16と、不織布状活性炭を引き出しつつ処理槽16を通過させ、再び巻き取る機構を備えた装置である。パッダー10により、ロール状の不織布状活性炭20を引き出しながら処理液18の入った処理槽16を通過させ、さらに、加圧した一対の絞りローラ12,14間に通すことにより、不織布状活性炭20に大きな負荷をかけずに、処理液18を均一に含浸させることができる。また、パッダー10を用いることにより、不織布状活性炭20が長尺状であっても、連続的に処理することができる。
【0041】
ここで、不織布状活性炭20の絞り後の重量増加が、50乃至500%の範囲となるように絞りローラ12,14の圧力を調節することにより、一応の効果が得られる。不織布状活性炭20の絞り後の重量増加が50%を下回る場合は、処理液18の含浸量不足から不織布状活性炭20の表面が十分に化学修飾されないおそれがあり、また、絞りローラ12,14の圧力が強すぎて不織布状活性炭20が損傷するおそれがあるからである。また、不織布状活性炭20の絞り後の重量増加が500%を上回る場合、後の洗浄工程の効率が低下し、また、重さのために処理液を含浸した不織布状活性炭20の巻き取りが困難となるからである。さらに好適には、不織布状活性炭20の絞り後の重量増加は、80乃至400%の範囲とする。このようにすれば、十分な量の処理液18を不織布状活性炭20に含浸させることができると共に、不織布状活性炭20の損傷が確実に抑制され、また、処理液18含浸後の不織布状活性炭20の巻き取り、および後の洗浄工程を効率良く行うことができるという効果が、より顕著に得られる。
【0042】
処理液18は、特に限定するものではないが、酸化剤、特に、硝酸や過酸化水素水溶液を好適に用いることができる。硝酸を処理液18として用いる場合、硝酸の濃度を、0.0001乃至13mol/Lの範囲とすることにより、一応の効果が得られる。硝酸の濃度が0.0001mol/Lを下回ると、反応時間が著しく長くなり、実用的ではない。また、硝酸の濃度が10mol/Lを上回ると、反応が激しく、不織布状活性炭20の炭素骨格の損傷し、実用に耐えない。好適には、硝酸の濃度の濃度を、0.001乃至10mol/Lの範囲とする。このようにすれば、反応時間の短縮および不織布状活性炭20の炭素骨格の保護の点でより有利となる。さらに好適には、硝酸の濃度を、0.01乃至1mol/Lの範囲とする。このようにすれば、反応時間の短縮および不織布状活性炭20の炭素骨格保護の効果がより顕著に得られる。
【0043】
また、過酸化水素水溶液を処理液として用いる場合、過酸化水素水溶液の濃度は、0.1乃至30%の範囲とすることにより、一応の効果が得られる。過酸化水素水溶液の濃度が0.1%を下回ると、反応時間が著しく長くなり、実用状的ではない。また、過酸化水素水溶液の濃度が30%を上回ると、反応が激しく、不織布状活性炭20の炭素骨格が損傷し、実用に耐えない。好適には、過酸化水素水溶液の濃度の濃度を、0.5乃至20%の範囲とする。このようにすれば、反応時間の短縮および不織布状活性炭の炭素骨格保護の点でより有利となる。さらに好適には、過酸化水素水溶液の濃度を、1乃至10%の範囲とする。このようにすれば、反応時間の短縮および不織布状活性炭20の炭素骨格保護の効果がより顕著に得られる。
【0044】
また、処理温度(処理液18の温度)は、10乃至80℃の範囲とすることにより、一応の効果が得られる。処理温度が10℃を下回ると、反応時間が著しく長くなり、経済性を考慮すると実施不可能である。また、処理温度が80℃を上回ると、反応が激しく、不織布状活性炭20の炭素骨格の損傷し、実用に耐えない。また、処理液18が揮発するという問題も発生する。好適には、処理温度を、10乃至60℃の範囲とする。このようにすれば、不織布状活性炭20の炭素骨格の保護、および処理液18の揮発抑制の点でより有利となる。さらに好適には、処理温度を、20乃至40℃の範囲とする。このようにすれば、反応時間の短縮効果、および不織布状活性炭20の炭素骨格保護と処理液18の揮発を抑制する効果がより顕著に得られる。
【0045】
図2は、液相工程の後に行われる反応工程を模式的に示す図である。この反応工程は、不織布状活性炭20と処理液18(図1参照)との反応時間を確保するための工程である。図2に示すように、反応工程においては、ロール状に巻き取られた不織布状活性炭20を、耐薬品性のフィルム22で密封する。これにより不織布状活性炭20に含浸した処理液18の気化が防止される。密封耐薬品性のフィルム22としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられるが、特に限定するものではない。また、図2に示すように、フィルム22で密封された不織布状活性炭20を、回転ローラ24にて外周側から押圧しても良いが、回転ローラ24の使用は任意である。
【0046】
フィルム22で密封された不織布状活性炭20は、処理液18の偏析を避けるため、ロール状に巻かれた不織布状活性炭20の芯20aを回転軸として一定速度で、所定時間回転させる。この回転速度は、毎分5乃至100回転の範囲とする。回転速度を毎分5回転以上とすることにより、偏析を十分に抑制することができ、100回転以下とすることにより、処理液18遠心力で外周側に偏在することを抑制できる。さらに好適には、回転速度は、毎分10乃至50回転の範囲とする。このようにすれば、偏析抑制効果が顕著に得られる。また、この反応工程の処理時間(請求項の処理時間に対応)は、1分乃至5時間、好適には、5分乃至5時間である。
【0047】
反応工程によれば、不織布状活性炭20と処理液18とを十分に反応させることにより、不織布状活性炭20表面が処理液18と良好に反応するが、この反応工程を行うか否かは任意である。例えば、液相工程において用いた処理液18が高濃度である場合など、反応時間をそれほど確保しなくても良い場合は、この反応工程を行わず、次の洗浄工程を行っても良い。
【0048】
次に、不織布状活性炭20を水で洗浄して処理液を除去する洗浄工程を行う。この洗浄工程の具体的方法は、特に限定するものではないが、例えば、パッダー10(図1参照)を用いることができる。このようにすれば、不織布状活性炭20の損傷を防止しつつ、不織布状活性炭20全体を確実に洗浄することができる。なお、図1において説明したパッダー10において、処理槽16内の液を水に変更すればこの洗浄工程を実現できるので、図示および詳細な説明は省略する。また、この洗浄工程においては、洗浄効果を高めるために、温度を上げたり、超音波を利用しても良い。
【0049】
図3は、洗浄工程の後に行われる乾燥工程を模式的に示す図である。乾燥工程では、洗浄工程により、処理液18が除去された不織布状活性炭20に、温度および雰囲気制御された乾燥室30を、所定時間通過させることにより、不織布状活性炭20を乾燥する。この乾燥工程を経ることにより、不織布状活性炭20表面の化学構造に、意図しない空気酸化が生じることを抑制できる。特に、乾燥室30の温度を150℃以下に制御することにより、不織布状活性炭20表面の空気酸化を確実に抑制することができる。但し、不織布状活性炭20の用途によっては、この乾燥工程を行わず、洗浄した不織布状活性炭20を自然乾燥させて製造工程を終了しても良いし、或いは、表面の空気酸化を許容できる場合、この乾燥工程を行わず、後述する気相工程を続けて行っても良い。
【0050】
好適には、この乾燥工程は、図3に示すように、ロール状に巻かれた不織布状活性炭20を引き出し、一定時間の間、乾燥室30を通過させ、再びロール状に巻き取ることにより行われる。このようにすれば、不織布状活性炭20が数十メートルから数百メートルの長尺状であっても、大規模な乾燥室30を設けることなく、乾燥工程を行うことができる。
【0051】
第1の方法によれば、液相工程において、攪拌など、不織布状活性炭20に損傷を与えるような負荷をかける処理をしなくとも、処理液18を不織布状活性炭20に均一に含浸させることができるため、表面の化学構造が修飾されることにより、吸着性能が向上した不織布状活性炭を容易に製造することができる。
【0052】
次に、表面に化学修飾がされた不織布状活性炭20を製造する第2の方法を詳述する。第1の方法が処理液18を用いていたのに対し、第2の方法は、気体を用いて、不織布状活性炭20の表面の化学構造を修飾する点において第1の方法と異なる。まず、処理対象の不織布状活性炭20を準備する。ここで準備する不織布状活性炭20は、何ら限定されるものではなく、表面処理が何ら施されていないものでも良いが、上述した第1の方法により、表面の化学構造が修飾された不織布状活性炭20を準備し、さらに、第2の方法により、処理を施すようにしても良い。
【0053】
図4は、気相処理を模式的に示す図である。図4に示すように、気相処理は、ロール状の不織布状活性炭20を引き出し、温度および雰囲気制御された処理室40に所定時間通し、再びロール状に巻き取る。このようにすれば、不織布状活性炭20表面と気体とが反応するので、不織布状活性炭20が長尺状であっても、連続的に均一に処理室40の気体に晒すことができるので、大面積の処理室40を設けることなく、不織布状活性炭20表面をムラ無く処理することができる。
【0054】
処理室40内の温度は10乃至400℃の範囲とすることにより一応の効果が得られる。処理室40内の温度が10℃を下回る場合は、温度制御が煩雑になると共に、表面に吸着部位を修飾する効果が期待できないおそれがある。また、処理室40内の温度が400℃を上回ると、不織布活性炭20自体の分解(燃焼)反応がおこるおそれがある。好適には、処理室40内の温度を20乃至300℃の範囲とすることにより、修飾効果が十分に期待できると共に、不織布活性炭20の分解を確実に抑制できる。さらに好適には、処理室40内の温度を40乃至300℃の範囲とすることにより、反応速度を高めるのでスループットが向上すると共に、表面の化学構造が良好に修飾されるという顕著な効果が得られる。
【0055】
また、不織布状活性炭20に処理室40を通過させる時間(不織布状活性炭20の一点が処理室40入り口を通過してから出口を通過するまでの時間)は、5分以上1時間以下とする。処理室40の通過時間を5分以下とすると、不織布状活性炭20と気体が十分に反応せず、不織布状活性炭20表面に吸着部位が十分に修飾されないからである。また1時間以上とすると、処理に時間がかかり過ぎ、経済的な面から実用的ではないからである。
【0056】
なお、処理室40内の雰囲気は、空気又はオゾン又はその混合気体が用いられる。このようにすれば、アンモニアやアミンなど極性の有害物質に対して高い吸着性を有する酸性官能基が修飾された不織布状活性炭20を容易に製造することができる。
【0057】
上記第1の方法または第2の方法で製造された不織布状活性炭は通常の不織布状活性炭(すなわち、第1の方法または第2の方法の各工程が行われていない)に比較して、表面酸性官能基量が多い。表面酸性官能基量の定量方法は一般によく知られている、例えば、ベーム(H.P.Boehm),ディール(E.Diehl),ヘック(W.Heck),サポク(R.Sappok),「アールジーシー(R.G.C)」、vol.41,no.3,1964年に詳述されている方法により行うことができる。具体的には、不織布状活性炭を適当な大きさに切った後、1g測り採り、アルカリ試薬((a)0.05mol/L炭酸ナトリウム、(b)0.1mol/L水酸化ナトリウム)を各々50mL加えて48時間恒温槽にて振とうする。振とう後、濾別し、未反応のアルカリ試薬を0.1mol/L塩酸で滴定してアルカリ消費量を算出する。カルボキシル基およびラクトン基は(a)及び(b)と、フェノール水酸基は(b)と反応するので、各々のアルカリ消費量の差し引きから表面官能基量の定量ができる。以下、本発明の製造方法により得られた不織布状活性炭について実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0058】
(試料の準備)
織布工程から排出されたポリエステルを含む綿主体の捨て耳と、同じく織布工程から排出されたアクリル繊維を混合し、反毛、カード、ニードルパンチ工程を通して不織布に加工した。さらに、強度を上げるためにリン系炭化促進剤(丸菱油化工業株式会社製 ノンネン600 )を含浸させ、120℃の熱風乾燥機で加熱処理し水分を蒸発させて乾燥させた。その後、この不織布を活性炭製造装置に入れ、装置内に窒素ガスを流しながら、300℃〜900℃の範囲内の温度に加熱して炭化させた。次に、装置内に二酸化炭素ガスを流しながら、700℃〜1,000℃の温度に加熱し、賦活処理を行った。賦活処理後、装置内への大気の流入を遮断しながら、室温まで冷却し、不織布状活性炭を得た。この不織布状活性炭を、本件試料とした。本件試料の単位面積当たりの重量は100g/m2、厚み1.5mm、巾400mm、BET比表面積1200m2/gである。
【0059】
(実施例1,2,及び3)
上述した第1の方法で実施例1、実施例2、実施例3を製造した。液相工程では、パッダー10を用い、本件試料を、処理液18(1mol/L硝酸)の入った処理槽16に連続的に通して、絞りローラ12,14で絞った。絞りローラ12,14のローラ圧は0.1MPaに設定して、絞り後の重量増加が元の試料に対して250%となるようにした。液相工程における、処理液の含浸、絞り、巻き取りは連続して行うことができ、不織布状活性炭20が損傷することはなかった。液相工程の後、反応工程において、ポリエチレン製のフィルム22で密封した後、試料を回転させながら所定時間(実施例1は5分、実施例2は60分、実施例3は300分)反応させた。反応時の温度は21℃とした。反応処理後、試料を水の入った処理槽16に通しながら処理液18を除去して、温度および雰囲気制御された乾燥室30へそのまま通した。乾燥室30の雰囲気は空気、乾燥室温度を150℃、乾燥室30通過時間を3分間とした。一連の工程の中で、不織布状活性炭20は破れるなどの損傷はみられなかった。
【0060】
(実施例4)
上述した第2の方法で実施例4を製造した。気相工程では、前記試料を温度及び雰囲気制御された処理室40へ通した。濃度45.6g/Nm3のオゾンガスを毎分1Lの流量で処理室40内に流した。処理室40の温度を150℃、処理室40通過時間を15分間とした。一連の工程の中で、不織布状活性炭20は破れるなどの損傷はみられなかった。
【0061】
(比較例1)
前記試料を比較例1として準備した。
【0062】
(表面酸性官能基量の定量)
処理試料の表面酸性官能基量の定量結果を表1に示す。この表において、表面処理によって実施例1,2,3,4は、比較例1に比べて、表面酸性官能基量が大幅に増加することが認められた。
【0063】
【表1】
【0064】
(アンモニアの吸着試験)
実施例2および実施例4について、アンモニアを対象としたガス吸着試験を行った。このガス吸着試験は、以下の手順により行った。まず、30×30mm(0.09g)に切り出した不織布状活性炭を、予め洗浄しておいた5リットルのテドラバッグに入れて密封した後、テドラバッグ内に200ppmに調整されたアンモニアガス3リットルを入れる。その後のテドラバッグ内のガス濃度をガス検知管(株式会社ガステック製)によって測定した。
【0065】
図5は、アンモニアを対象としたガス吸着試験の結果を示す図である。図5に示すように、実施例2および実施例4は、比較例1に比べて、アンモニアガスの吸着能が著しく向上することが認められた。
【0066】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0067】
例えば、第1の方法において、液相工程において、パッダー10を用いる例を説明したが、他の装置により液相工程を行うものであっても良い。
【0068】
図6は、液相工程の変形例を模式的に示す図である。図6は、処理液18が入った槽50を上から見た図を示している。図6に示すように、変形例の液相工程は、側面に孔52aが設けられた筒状部材52を芯としてロール状に巻かれた不織布状活性炭20を、槽50に浸漬する。このようにすれば、ロール状に巻かれた不織布状活性炭20の外周側から筒状部材52内周へ処理液18が通液し、または筒状部材52内周側の処理液18が側面の孔52aを介して不織布状活性炭20外周側へ通液される。よって、不織布状活性炭20の損傷を招くような負荷をかけることなく、処理液18が不織布状活性炭20に均一に含浸する。変形例の処理に使用できる装置としては、ビーム染色機、チーズ染色機、オーバーマイヤー染色機が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0069】
処理液18は、特に限定するものではないが、酸化剤、特に、硝酸や過酸化水素水溶液を好適に用いることができる。処理液18として用いられる場合の硝酸の濃度、過酸化水素水溶液の濃度、および処理温度の最適範囲は、上述したパッダー10を用いる場合と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0070】
また、液相工程は、例えば、コンベヤベルト上を搬送される不織布状活性炭の上方から、スプレーにて処理液18を散布することにより行っても良い。
【0071】
また、第1の方法における洗浄工程を、側面に孔が設けられた筒状部材を芯としてロール状に巻かれた不織布状活性炭20を、水の入った槽に浸漬することによって行ってもよい。このようにすれば、上述した液相工程の変形例と同様の作用が得られ、不織布状活性炭20の損傷を招くような負荷をかけることなく、不織布状活性炭20を確実に洗浄することができる。
【0072】
また、上述した実施例は、いずれも酸性官能基を修飾するものであったが、本発明の方法によれば、酸性官能基以外のものも修飾することができる。例えば、上述した第1の方法または第2の方法により、不織布状活性炭20の表面に塩基性官能基を修飾することにより、酸性ガスの選択吸着性を向上することができる。また、不織布状活性炭20の表面に触媒を担持させた場合、吸着に加えて触媒効果も期待できる。例えば、酸化チタンなどの光触媒を担持させることにより、悪臭物質を吸着した後、分解することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】液相工程の一例を模式的に示す図であって、パッダーを用いた方法を示す図である。
【図2】液相工程の後に行われる反応工程を模式的に示す図である。
【図3】洗浄工程の後に行われる乾燥工程を模式的に示す図である。
【図4】気相処理を模式的に示す図である。
【図5】アンモニアを対象としたガス吸着試験の結果を示す図である。
【図6】液相工程の変形例を模式的に示す図である。
【図7】従来の活性炭の表面を拡大して模式的に示す図であり、(a)は、表面の化学構造に修飾を施していない活性炭表面を示し、(b)は、表面の化学構造を修飾した活性炭表面を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
12,14 絞りローラ(一対のローラ)
16 処理槽(槽)
18 処理液
20 不織布状活性炭
30 乾燥室
40 処理室
50 槽
52a 孔
【技術分野】
【0001】
本発明は不織布状活性炭の製造方法に関し、特に、吸着性能が高い不織布状活性炭を容易に製造することができる不織布状活性炭の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
活性炭はナノオーダーの細孔により様々な化学物質を吸着できるので、食品製造や製薬、脱臭など様々な分野で利用されている。活性炭の吸着挙動は、細孔の構造(比表面積、細孔径)や表面の化学構造によって大きく異なるため(例えば、非特許文献1参照)、用途に適した活性炭が各種製造されている。中でも、不織布を炭化・賦活処理することにより得られる活性炭(不織布状活性炭)は、活性炭のもつ高い吸着性能に加え、不織布である形態的な特徴があるため、非常に高い優位性がある活性炭である。
【0003】
ところで、従来の活性炭表面は無極性に近く、極性を持つ化学物質(例えば、アンモニアやアミン、低級アルデヒド、硫化水素など)の吸着にはあまり有効ではない。これらの極性ガスは悪臭物質であり、人体にも有害であることから、生活環境からの除去が強く望まれている。そのため、活性炭表面の化学構造を修飾して、種々の官能基を導入させて、極性をもつ化学物質に対する吸着性能を向上させることが知られている。
【0004】
図7は、従来の活性炭の表面を拡大して模式的に示す図であり、(a)は、表面の化学構造に修飾を施していない活性炭表面を示し、(b)は、表面の化学構造を修飾し、酸性官能基を導入した活性炭表面を示す図である。図7(a)に示すように、表面の化学構造に修飾を施さない活性炭の場合、有害物質101は、活性炭の細孔102には吸着しにくい。一方、図7(b)に示すように、表面の化学構造を修飾することより、酸性官能基103を導入すると、有毒物質101を好適に捉えることができる。
【0005】
活性炭表面の化学構造を修飾することの有効性は、既にいくつかの特許文献において言及されている。例えば、特許文献1には、表面に酸化処理を施して酸性官能基を導入することにより、表面酸素の割合を10%以上とした繊維状活性炭に、硫酸あるいは燐酸を付着させ、塩基性ガスの消臭性能を向上させた塩基性ガス吸着用繊維状活性炭が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、比表面積が500〜2500m2/g、表面酸性官能基の量が0.1mmol/g以下の活性炭が開示されている。この活性炭は、ハロゲン系有機化合物、ハロゲン系有機化合物よりも嵩高い化合物を有効に除去できることが記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、比表面積が500m2/g以上、全酸性官能基量が1.0ミリ当量/g以上であり、且つカルボン酸由来の酸性官能基量が0.2ミリ当量/g以上である活性炭が開示されている。この活性炭は微量金属の除去に好適であることが記載されている。
【特許文献1】特開平9−192484号公報
【特許文献2】特開2001−261319号公報
【特許文献3】特開2004−315243号公報
【非特許文献1】ツツミ(K.Tsutusmi),マツシマ(Y.Matsushima),マツモト(Matusmoto),「ラングミュア(Langmuir)」(米国)1993年,第9巻
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、被処理物が粉末状や粒状、強度の高い繊維である場合には、上記従来技術は優れた技術であるもの、不織布状活性炭に対しては、そのまま適用することができないという問題点があった。元来、もろい繊維状活性炭が、不織布になっているため、不織布状活性炭は、非常にもろい。よって、従来技術の処理方法をそのまま適用すると、不織布状活性炭が負荷に耐えられず破れてしまうのである。また、不織布活性炭が数十から数百メートルの長さを有する長尺状である場合は、表面を均一に処理することが困難であり、表面の処理状態にムラが発生するという問題点もあった。
【0009】
形態的特徴に優位性を持つ不織布状活性炭表面の化学構造を修飾し、高い吸着性能を付与することができれば、用途拡大が期待できるため、不織布状活性炭に対する表面化学修飾方法の開発が切望されていた。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、吸着性能が高い不織布状活性炭を容易に製造することができる不織布状活性炭の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法は、不織布状活性炭の表面に吸着部位を修飾するための処理液の入った漕に、準備した不織布状活性炭を浸漬し、不織布状活性炭に処理液を含浸させる液相工程と、その液相工程の後、不織布状活性炭を洗浄して処理液を除去する洗浄工程とを経ることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記液相工程は、前記処理液を含浸させた不織布状活性炭を、加圧した一対のローラ間に通すものであることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記液相工程は、側面に孔が設けられた筒状部材を芯としてロール状に巻かれた不織布状活性炭を、前記処理液の入った槽に浸漬させることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1から3のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記液相工程において、前記処理液が、不織布状活性炭表面に酸性官能基を修飾する酸化剤であることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1から4のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記液相工程において、前記処理液が、硝酸又は過酸化水素水溶液であることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1から5のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記液相工程の後であって前記洗浄工程の前に、前記不織布状活性炭を密封し、不織布状活性炭と処理液とを反応させる反応工程を経るものであることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項6記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記反応工程は、ロール状に巻き取られた不織布状活性炭を密封し、その状態で所定時間回転させる間に、前記不織布状活性炭と処理液とを反応させることを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項1から7のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記洗浄工程により、処理液が除去された不織布状活性炭を、温度および雰囲気制御された乾燥室で乾燥させる乾燥工程を経ることを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項8記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記乾燥工程において、前記乾燥室の温度は150℃以下に制御されることを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の不織布状活性炭の製造方法は、準備した不織布状活性炭に、雰囲気および温度が制御された処理室を所定時間通過させる気相工程を経ることを特徴とする。
【0021】
請求項11記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項10記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記気相工程において、前記処理室の温度が10℃以上かつ400℃以下に制御されることを特徴とする。
【0022】
請求項12記載の不織布状活性炭の製造方法は、請求項10または11に記載の不織布状活性炭の製造方法において、前記気相工程において、前記処理室の雰囲気が、空気、又はオゾンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、液相工程において、不織布状活性炭の表面に吸着部位を修飾するための処理液の入った漕に、準備した不織布状活性炭が浸漬されるので、吸着性能の高い不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。また、洗浄工程により、不織布状活性炭が洗浄されて処理液が除去されるので、処理液の残存による不織布状活性炭の劣化が抑制されるという効果がある。
【0024】
ここで、「吸着部位」とは、酸性官能基あるいは塩基性官能基、金属、触媒を含むものであり、「不織布状活性炭の表面に吸着部位を修飾する」とは、不織布状活性炭の表面の化学構造に官能基を導入すること、または、不織布状活性炭表面の化学構造に、金属や触媒を担持させることを含む意味である。
【0025】
請求項2記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、液相工程において、前記処理液を含浸させた不織布状活性炭が、加圧した一対のローラ間に通されるので、不織布状活性炭の損傷を招くような負荷をかけることなく、処理液が不織布状活性炭に均一に含浸し、表面がムラ無く処理された不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。
【0026】
請求項3記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、液相工程において、側面に孔が設けられた筒状部材を芯としてロール状に巻かれた不織布状活性炭が、前記処理液の入った槽に浸漬されると、ロール状に巻かれた不織布状活性炭の外周側から筒状部材内周へ処理液が通液し、または筒状部材内周側の処理液が不織布状活性炭外周側へ通液される。よって、不織布状活性炭の損傷を招くような負荷をかけることなく、処理液が不織布状活性炭に均一に含浸するので、表面がムラ無く処理された不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。
【0027】
請求項4記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1から3のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、前記処理液が、不織布状活性炭表面に酸性官能基を修飾する酸化剤であるので、アンモニアやアミンなど極性の有害物質に対して高い吸着性を有する不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。
【0028】
請求項5記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1から4のいずれかに記載の不織布状活性炭の奏する効果に加え、前記液相工程において、前記処理液が、低コストであり、且つ処理効率が良い硝酸又は過酸化水素水溶液であるので、不織布状活性炭表面に酸性官能基を修飾することができ、アンモニアやアミンなど極性の有害物質に対して高い吸着性を有する不織布状活性炭を、容易に製造することができるという効果がある。
【0029】
請求項6記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1から5のいずれかに記載の不織布状活性炭の奏する効果に加え、前記液相工程の後であって前記洗浄工程の前に、前記不織布状活性炭を密封し、不織布状活性炭と処理液とを反応させる反応工程を経るので、不織布状活性炭と処理液とを十分に反応させ、不織布状活性炭の表面処理が良好になされるという効果がある。なお、反応工程においては、不織布状活性炭が密封されるので、処理液の気化が抑制され、この点からも、不織布状活性炭と処理液とを十分に反応させることができる。
【0030】
請求項7記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項6記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、前記反応工程は、ロール状に巻き取られた不織布状活性炭を密封し、その状態で所定時間回転させる間に、前記不織布状活性炭と処理液とを反応させるので、処理液の偏析が抑制されて不織布状活性炭に均一に含浸し、不織布状活性炭の表面処理が良好になされるという効果がある。
【0031】
請求項8記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項1から7のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、前記洗浄工程により、処理液が除去された不織布状活性炭を、温度および雰囲気制御された乾燥室で乾燥させる乾燥工程を経るので、不織布状活性炭表面の化学構造に、意図しない空気酸化が生じることを抑制できるという効果がある。
【0032】
請求項9記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項8記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、前記乾燥工程において、前記乾燥室の温度は150℃以下に制御されるので、不織布状活性炭表面の化学構造に、意図しない空気酸化が生じることを確実に抑制することができるという効果がある。
【0033】
請求項10記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、不織布状活性炭に、雰囲気および温度が制御された処理室を所定時間通過させる気相工程を経るので、不織布状活性炭表面と気体とが反応し、長尺状の不織布状活性炭であっても、大規模な処理室を設けずに、表面がムラ無く処理された不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。
【0034】
請求項11記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項10記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、処理室の温度が10℃以上に制御されるので、十分な処理効果が期待できると共に、温度制御が容易であるという効果がある。また、処理室の温度が400℃以下に制御されるので、不織布状活性炭自体の分解(燃焼)を防止することができるという効果がある。
【0035】
請求項12記載の不織布状活性炭の製造方法によれば、請求項10または11記載の不織布状活性炭の製造方法の奏する効果に加え、前記気相工程において、前記処理室の雰囲気が、空気、又はオゾンであるので、不織布状活性炭表面の化学構造に酸性官能基を修飾し、アンモニアやアミンなど極性の有害物質に対して高い吸着性を有する不織布状活性炭を容易に製造することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明について、詳細に説明する。本発明において、「不織布状活性炭」とは、不織布を炭化、賦活処理することにより得られる活性炭をいう。不織布状活性炭の炭素質原料は特に限定はしないが、木綿やレーヨンなどのセルロース繊維、アクリル繊維、フェノール繊維、ピッチ繊維、又はその複合素材を挙げることができる。これら炭素質材料は、炭化・賦活処理する前に、所定の単位面積当たりの重量や厚みで不織布化される。不織布化の方法は特に限定はしないが、ニードルパンチ法、スパンレース法、ケミカルボンディング法、湿式法などが挙げられる。得られた不織布は形態の安定や収率の向上を目的に薬品処理が施されていても良いし、200〜300℃で熱処理されていても良い。
【0037】
不織布化された炭素質原料は、公知の方法によって、炭化、更に賦活化されて不織布状活性炭となる。炭化・賦活処理温度や時間、賦活剤の種類や量を適宜設定することで要求性能に見合った比表面積や細孔径を得ることができる。このようにして得られる不織布状活性炭表面は無極性に近く、極性をもつ化学物質の吸着にはあまり有効ではない。本発明の製造方法は、さらに表面に吸着部位の修飾を行うことにより吸着性能が向上した不織布状活性炭を製造することを目的とする。
【0038】
以下、表面の吸着部位としての酸性官能基が修飾された不織布状活性炭を製造する第1の方法を詳述する。まず、処理対象の不織布状活性炭を準備する。ここで準備する不織布状活性炭の特性およびサイズは何ら限定しないが、ここでは、比表面積が400〜2000m2/gの範囲であって、平均細孔径が0.5〜10nmの範囲であって、ロール状に巻かれた長尺状の不織布状活性炭を準備したものとして説明する。
【0039】
次に、準備した不織布状活性炭に処理液を含浸させる(液相工程)。液相工程の具体的処理方法は、処理液を不織布状活性炭に均一に含浸させることができ、且つ、不織布状活性炭に大きな負荷がかからない方法であれば良く、特に限定されるものではないが、以下、具体的処理方法の一例を説明する。
【0040】
図1は、液相工程の一例を模式的に示す図であって、パッダーを用いた方法を示す図である。図1に示すように、パッダー10は、ゴム製の一対の絞りローラ12,14と処理槽16と、不織布状活性炭を引き出しつつ処理槽16を通過させ、再び巻き取る機構を備えた装置である。パッダー10により、ロール状の不織布状活性炭20を引き出しながら処理液18の入った処理槽16を通過させ、さらに、加圧した一対の絞りローラ12,14間に通すことにより、不織布状活性炭20に大きな負荷をかけずに、処理液18を均一に含浸させることができる。また、パッダー10を用いることにより、不織布状活性炭20が長尺状であっても、連続的に処理することができる。
【0041】
ここで、不織布状活性炭20の絞り後の重量増加が、50乃至500%の範囲となるように絞りローラ12,14の圧力を調節することにより、一応の効果が得られる。不織布状活性炭20の絞り後の重量増加が50%を下回る場合は、処理液18の含浸量不足から不織布状活性炭20の表面が十分に化学修飾されないおそれがあり、また、絞りローラ12,14の圧力が強すぎて不織布状活性炭20が損傷するおそれがあるからである。また、不織布状活性炭20の絞り後の重量増加が500%を上回る場合、後の洗浄工程の効率が低下し、また、重さのために処理液を含浸した不織布状活性炭20の巻き取りが困難となるからである。さらに好適には、不織布状活性炭20の絞り後の重量増加は、80乃至400%の範囲とする。このようにすれば、十分な量の処理液18を不織布状活性炭20に含浸させることができると共に、不織布状活性炭20の損傷が確実に抑制され、また、処理液18含浸後の不織布状活性炭20の巻き取り、および後の洗浄工程を効率良く行うことができるという効果が、より顕著に得られる。
【0042】
処理液18は、特に限定するものではないが、酸化剤、特に、硝酸や過酸化水素水溶液を好適に用いることができる。硝酸を処理液18として用いる場合、硝酸の濃度を、0.0001乃至13mol/Lの範囲とすることにより、一応の効果が得られる。硝酸の濃度が0.0001mol/Lを下回ると、反応時間が著しく長くなり、実用的ではない。また、硝酸の濃度が10mol/Lを上回ると、反応が激しく、不織布状活性炭20の炭素骨格の損傷し、実用に耐えない。好適には、硝酸の濃度の濃度を、0.001乃至10mol/Lの範囲とする。このようにすれば、反応時間の短縮および不織布状活性炭20の炭素骨格の保護の点でより有利となる。さらに好適には、硝酸の濃度を、0.01乃至1mol/Lの範囲とする。このようにすれば、反応時間の短縮および不織布状活性炭20の炭素骨格保護の効果がより顕著に得られる。
【0043】
また、過酸化水素水溶液を処理液として用いる場合、過酸化水素水溶液の濃度は、0.1乃至30%の範囲とすることにより、一応の効果が得られる。過酸化水素水溶液の濃度が0.1%を下回ると、反応時間が著しく長くなり、実用状的ではない。また、過酸化水素水溶液の濃度が30%を上回ると、反応が激しく、不織布状活性炭20の炭素骨格が損傷し、実用に耐えない。好適には、過酸化水素水溶液の濃度の濃度を、0.5乃至20%の範囲とする。このようにすれば、反応時間の短縮および不織布状活性炭の炭素骨格保護の点でより有利となる。さらに好適には、過酸化水素水溶液の濃度を、1乃至10%の範囲とする。このようにすれば、反応時間の短縮および不織布状活性炭20の炭素骨格保護の効果がより顕著に得られる。
【0044】
また、処理温度(処理液18の温度)は、10乃至80℃の範囲とすることにより、一応の効果が得られる。処理温度が10℃を下回ると、反応時間が著しく長くなり、経済性を考慮すると実施不可能である。また、処理温度が80℃を上回ると、反応が激しく、不織布状活性炭20の炭素骨格の損傷し、実用に耐えない。また、処理液18が揮発するという問題も発生する。好適には、処理温度を、10乃至60℃の範囲とする。このようにすれば、不織布状活性炭20の炭素骨格の保護、および処理液18の揮発抑制の点でより有利となる。さらに好適には、処理温度を、20乃至40℃の範囲とする。このようにすれば、反応時間の短縮効果、および不織布状活性炭20の炭素骨格保護と処理液18の揮発を抑制する効果がより顕著に得られる。
【0045】
図2は、液相工程の後に行われる反応工程を模式的に示す図である。この反応工程は、不織布状活性炭20と処理液18(図1参照)との反応時間を確保するための工程である。図2に示すように、反応工程においては、ロール状に巻き取られた不織布状活性炭20を、耐薬品性のフィルム22で密封する。これにより不織布状活性炭20に含浸した処理液18の気化が防止される。密封耐薬品性のフィルム22としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられるが、特に限定するものではない。また、図2に示すように、フィルム22で密封された不織布状活性炭20を、回転ローラ24にて外周側から押圧しても良いが、回転ローラ24の使用は任意である。
【0046】
フィルム22で密封された不織布状活性炭20は、処理液18の偏析を避けるため、ロール状に巻かれた不織布状活性炭20の芯20aを回転軸として一定速度で、所定時間回転させる。この回転速度は、毎分5乃至100回転の範囲とする。回転速度を毎分5回転以上とすることにより、偏析を十分に抑制することができ、100回転以下とすることにより、処理液18遠心力で外周側に偏在することを抑制できる。さらに好適には、回転速度は、毎分10乃至50回転の範囲とする。このようにすれば、偏析抑制効果が顕著に得られる。また、この反応工程の処理時間(請求項の処理時間に対応)は、1分乃至5時間、好適には、5分乃至5時間である。
【0047】
反応工程によれば、不織布状活性炭20と処理液18とを十分に反応させることにより、不織布状活性炭20表面が処理液18と良好に反応するが、この反応工程を行うか否かは任意である。例えば、液相工程において用いた処理液18が高濃度である場合など、反応時間をそれほど確保しなくても良い場合は、この反応工程を行わず、次の洗浄工程を行っても良い。
【0048】
次に、不織布状活性炭20を水で洗浄して処理液を除去する洗浄工程を行う。この洗浄工程の具体的方法は、特に限定するものではないが、例えば、パッダー10(図1参照)を用いることができる。このようにすれば、不織布状活性炭20の損傷を防止しつつ、不織布状活性炭20全体を確実に洗浄することができる。なお、図1において説明したパッダー10において、処理槽16内の液を水に変更すればこの洗浄工程を実現できるので、図示および詳細な説明は省略する。また、この洗浄工程においては、洗浄効果を高めるために、温度を上げたり、超音波を利用しても良い。
【0049】
図3は、洗浄工程の後に行われる乾燥工程を模式的に示す図である。乾燥工程では、洗浄工程により、処理液18が除去された不織布状活性炭20に、温度および雰囲気制御された乾燥室30を、所定時間通過させることにより、不織布状活性炭20を乾燥する。この乾燥工程を経ることにより、不織布状活性炭20表面の化学構造に、意図しない空気酸化が生じることを抑制できる。特に、乾燥室30の温度を150℃以下に制御することにより、不織布状活性炭20表面の空気酸化を確実に抑制することができる。但し、不織布状活性炭20の用途によっては、この乾燥工程を行わず、洗浄した不織布状活性炭20を自然乾燥させて製造工程を終了しても良いし、或いは、表面の空気酸化を許容できる場合、この乾燥工程を行わず、後述する気相工程を続けて行っても良い。
【0050】
好適には、この乾燥工程は、図3に示すように、ロール状に巻かれた不織布状活性炭20を引き出し、一定時間の間、乾燥室30を通過させ、再びロール状に巻き取ることにより行われる。このようにすれば、不織布状活性炭20が数十メートルから数百メートルの長尺状であっても、大規模な乾燥室30を設けることなく、乾燥工程を行うことができる。
【0051】
第1の方法によれば、液相工程において、攪拌など、不織布状活性炭20に損傷を与えるような負荷をかける処理をしなくとも、処理液18を不織布状活性炭20に均一に含浸させることができるため、表面の化学構造が修飾されることにより、吸着性能が向上した不織布状活性炭を容易に製造することができる。
【0052】
次に、表面に化学修飾がされた不織布状活性炭20を製造する第2の方法を詳述する。第1の方法が処理液18を用いていたのに対し、第2の方法は、気体を用いて、不織布状活性炭20の表面の化学構造を修飾する点において第1の方法と異なる。まず、処理対象の不織布状活性炭20を準備する。ここで準備する不織布状活性炭20は、何ら限定されるものではなく、表面処理が何ら施されていないものでも良いが、上述した第1の方法により、表面の化学構造が修飾された不織布状活性炭20を準備し、さらに、第2の方法により、処理を施すようにしても良い。
【0053】
図4は、気相処理を模式的に示す図である。図4に示すように、気相処理は、ロール状の不織布状活性炭20を引き出し、温度および雰囲気制御された処理室40に所定時間通し、再びロール状に巻き取る。このようにすれば、不織布状活性炭20表面と気体とが反応するので、不織布状活性炭20が長尺状であっても、連続的に均一に処理室40の気体に晒すことができるので、大面積の処理室40を設けることなく、不織布状活性炭20表面をムラ無く処理することができる。
【0054】
処理室40内の温度は10乃至400℃の範囲とすることにより一応の効果が得られる。処理室40内の温度が10℃を下回る場合は、温度制御が煩雑になると共に、表面に吸着部位を修飾する効果が期待できないおそれがある。また、処理室40内の温度が400℃を上回ると、不織布活性炭20自体の分解(燃焼)反応がおこるおそれがある。好適には、処理室40内の温度を20乃至300℃の範囲とすることにより、修飾効果が十分に期待できると共に、不織布活性炭20の分解を確実に抑制できる。さらに好適には、処理室40内の温度を40乃至300℃の範囲とすることにより、反応速度を高めるのでスループットが向上すると共に、表面の化学構造が良好に修飾されるという顕著な効果が得られる。
【0055】
また、不織布状活性炭20に処理室40を通過させる時間(不織布状活性炭20の一点が処理室40入り口を通過してから出口を通過するまでの時間)は、5分以上1時間以下とする。処理室40の通過時間を5分以下とすると、不織布状活性炭20と気体が十分に反応せず、不織布状活性炭20表面に吸着部位が十分に修飾されないからである。また1時間以上とすると、処理に時間がかかり過ぎ、経済的な面から実用的ではないからである。
【0056】
なお、処理室40内の雰囲気は、空気又はオゾン又はその混合気体が用いられる。このようにすれば、アンモニアやアミンなど極性の有害物質に対して高い吸着性を有する酸性官能基が修飾された不織布状活性炭20を容易に製造することができる。
【0057】
上記第1の方法または第2の方法で製造された不織布状活性炭は通常の不織布状活性炭(すなわち、第1の方法または第2の方法の各工程が行われていない)に比較して、表面酸性官能基量が多い。表面酸性官能基量の定量方法は一般によく知られている、例えば、ベーム(H.P.Boehm),ディール(E.Diehl),ヘック(W.Heck),サポク(R.Sappok),「アールジーシー(R.G.C)」、vol.41,no.3,1964年に詳述されている方法により行うことができる。具体的には、不織布状活性炭を適当な大きさに切った後、1g測り採り、アルカリ試薬((a)0.05mol/L炭酸ナトリウム、(b)0.1mol/L水酸化ナトリウム)を各々50mL加えて48時間恒温槽にて振とうする。振とう後、濾別し、未反応のアルカリ試薬を0.1mol/L塩酸で滴定してアルカリ消費量を算出する。カルボキシル基およびラクトン基は(a)及び(b)と、フェノール水酸基は(b)と反応するので、各々のアルカリ消費量の差し引きから表面官能基量の定量ができる。以下、本発明の製造方法により得られた不織布状活性炭について実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0058】
(試料の準備)
織布工程から排出されたポリエステルを含む綿主体の捨て耳と、同じく織布工程から排出されたアクリル繊維を混合し、反毛、カード、ニードルパンチ工程を通して不織布に加工した。さらに、強度を上げるためにリン系炭化促進剤(丸菱油化工業株式会社製 ノンネン600 )を含浸させ、120℃の熱風乾燥機で加熱処理し水分を蒸発させて乾燥させた。その後、この不織布を活性炭製造装置に入れ、装置内に窒素ガスを流しながら、300℃〜900℃の範囲内の温度に加熱して炭化させた。次に、装置内に二酸化炭素ガスを流しながら、700℃〜1,000℃の温度に加熱し、賦活処理を行った。賦活処理後、装置内への大気の流入を遮断しながら、室温まで冷却し、不織布状活性炭を得た。この不織布状活性炭を、本件試料とした。本件試料の単位面積当たりの重量は100g/m2、厚み1.5mm、巾400mm、BET比表面積1200m2/gである。
【0059】
(実施例1,2,及び3)
上述した第1の方法で実施例1、実施例2、実施例3を製造した。液相工程では、パッダー10を用い、本件試料を、処理液18(1mol/L硝酸)の入った処理槽16に連続的に通して、絞りローラ12,14で絞った。絞りローラ12,14のローラ圧は0.1MPaに設定して、絞り後の重量増加が元の試料に対して250%となるようにした。液相工程における、処理液の含浸、絞り、巻き取りは連続して行うことができ、不織布状活性炭20が損傷することはなかった。液相工程の後、反応工程において、ポリエチレン製のフィルム22で密封した後、試料を回転させながら所定時間(実施例1は5分、実施例2は60分、実施例3は300分)反応させた。反応時の温度は21℃とした。反応処理後、試料を水の入った処理槽16に通しながら処理液18を除去して、温度および雰囲気制御された乾燥室30へそのまま通した。乾燥室30の雰囲気は空気、乾燥室温度を150℃、乾燥室30通過時間を3分間とした。一連の工程の中で、不織布状活性炭20は破れるなどの損傷はみられなかった。
【0060】
(実施例4)
上述した第2の方法で実施例4を製造した。気相工程では、前記試料を温度及び雰囲気制御された処理室40へ通した。濃度45.6g/Nm3のオゾンガスを毎分1Lの流量で処理室40内に流した。処理室40の温度を150℃、処理室40通過時間を15分間とした。一連の工程の中で、不織布状活性炭20は破れるなどの損傷はみられなかった。
【0061】
(比較例1)
前記試料を比較例1として準備した。
【0062】
(表面酸性官能基量の定量)
処理試料の表面酸性官能基量の定量結果を表1に示す。この表において、表面処理によって実施例1,2,3,4は、比較例1に比べて、表面酸性官能基量が大幅に増加することが認められた。
【0063】
【表1】
【0064】
(アンモニアの吸着試験)
実施例2および実施例4について、アンモニアを対象としたガス吸着試験を行った。このガス吸着試験は、以下の手順により行った。まず、30×30mm(0.09g)に切り出した不織布状活性炭を、予め洗浄しておいた5リットルのテドラバッグに入れて密封した後、テドラバッグ内に200ppmに調整されたアンモニアガス3リットルを入れる。その後のテドラバッグ内のガス濃度をガス検知管(株式会社ガステック製)によって測定した。
【0065】
図5は、アンモニアを対象としたガス吸着試験の結果を示す図である。図5に示すように、実施例2および実施例4は、比較例1に比べて、アンモニアガスの吸着能が著しく向上することが認められた。
【0066】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0067】
例えば、第1の方法において、液相工程において、パッダー10を用いる例を説明したが、他の装置により液相工程を行うものであっても良い。
【0068】
図6は、液相工程の変形例を模式的に示す図である。図6は、処理液18が入った槽50を上から見た図を示している。図6に示すように、変形例の液相工程は、側面に孔52aが設けられた筒状部材52を芯としてロール状に巻かれた不織布状活性炭20を、槽50に浸漬する。このようにすれば、ロール状に巻かれた不織布状活性炭20の外周側から筒状部材52内周へ処理液18が通液し、または筒状部材52内周側の処理液18が側面の孔52aを介して不織布状活性炭20外周側へ通液される。よって、不織布状活性炭20の損傷を招くような負荷をかけることなく、処理液18が不織布状活性炭20に均一に含浸する。変形例の処理に使用できる装置としては、ビーム染色機、チーズ染色機、オーバーマイヤー染色機が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0069】
処理液18は、特に限定するものではないが、酸化剤、特に、硝酸や過酸化水素水溶液を好適に用いることができる。処理液18として用いられる場合の硝酸の濃度、過酸化水素水溶液の濃度、および処理温度の最適範囲は、上述したパッダー10を用いる場合と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0070】
また、液相工程は、例えば、コンベヤベルト上を搬送される不織布状活性炭の上方から、スプレーにて処理液18を散布することにより行っても良い。
【0071】
また、第1の方法における洗浄工程を、側面に孔が設けられた筒状部材を芯としてロール状に巻かれた不織布状活性炭20を、水の入った槽に浸漬することによって行ってもよい。このようにすれば、上述した液相工程の変形例と同様の作用が得られ、不織布状活性炭20の損傷を招くような負荷をかけることなく、不織布状活性炭20を確実に洗浄することができる。
【0072】
また、上述した実施例は、いずれも酸性官能基を修飾するものであったが、本発明の方法によれば、酸性官能基以外のものも修飾することができる。例えば、上述した第1の方法または第2の方法により、不織布状活性炭20の表面に塩基性官能基を修飾することにより、酸性ガスの選択吸着性を向上することができる。また、不織布状活性炭20の表面に触媒を担持させた場合、吸着に加えて触媒効果も期待できる。例えば、酸化チタンなどの光触媒を担持させることにより、悪臭物質を吸着した後、分解することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】液相工程の一例を模式的に示す図であって、パッダーを用いた方法を示す図である。
【図2】液相工程の後に行われる反応工程を模式的に示す図である。
【図3】洗浄工程の後に行われる乾燥工程を模式的に示す図である。
【図4】気相処理を模式的に示す図である。
【図5】アンモニアを対象としたガス吸着試験の結果を示す図である。
【図6】液相工程の変形例を模式的に示す図である。
【図7】従来の活性炭の表面を拡大して模式的に示す図であり、(a)は、表面の化学構造に修飾を施していない活性炭表面を示し、(b)は、表面の化学構造を修飾した活性炭表面を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
12,14 絞りローラ(一対のローラ)
16 処理槽(槽)
18 処理液
20 不織布状活性炭
30 乾燥室
40 処理室
50 槽
52a 孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布状活性炭の表面に吸着部位を修飾するための処理液の入った漕に、準備した不織布状活性炭を浸漬し、不織布状活性炭に処理液を含浸させる液相工程と、
その液相工程の後、不織布状活性炭を洗浄して処理液を除去する洗浄工程とを経ることを特徴とする不織布状活性炭の製造方法。
【請求項2】
前記液相工程は、前記処理液を含浸させた不織布状活性炭を、加圧した一対のローラ間に通すものであることを特徴とする請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項3】
前記液相工程は、側面に孔が設けられた筒状部材を芯としてロール状に巻かれた不織布状活性炭を、前記処理液の入った槽に浸漬させることを特徴とする請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項4】
前記液相工程において、前記処理液が、不織布状活性炭表面に酸性官能基を修飾する酸化剤であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項5】
前記液相工程において、前記処理液が、硝酸又は過酸化水素水溶液であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項6】
前記液相工程の後であって前記洗浄工程の前に、前記不織布状活性炭を密封し、不織布状活性炭と処理液とを反応させる反応工程を経るものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項7】
前記反応工程は、ロール状に巻き取られた不織布状活性炭を密封し、その状態で所定時間回転させる間に、前記不織布状活性炭と処理液とを反応させることを特徴とする請求項6記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項8】
前記洗浄工程により、処理液が除去された不織布状活性炭を、温度および雰囲気制御された乾燥室で乾燥させる乾燥工程を経ることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項9】
前記乾燥工程において、前記乾燥室の温度は150℃以下に制御されることを特徴とする請求項8記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項10】
準備した不織布状活性炭に、雰囲気および温度が制御された処理室を所定時間通過させる気相工程を経ることを特徴とする不織布状活性炭の製造方法。
【請求項11】
前記気相工程において、前記処理室の温度が10℃以上かつ400℃以下に制御されることを特徴とする請求項10記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項12】
前記気相工程において、前記処理室の雰囲気が、空気、又はオゾンであることを特徴とする請求項10または11に記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項1】
不織布状活性炭の表面に吸着部位を修飾するための処理液の入った漕に、準備した不織布状活性炭を浸漬し、不織布状活性炭に処理液を含浸させる液相工程と、
その液相工程の後、不織布状活性炭を洗浄して処理液を除去する洗浄工程とを経ることを特徴とする不織布状活性炭の製造方法。
【請求項2】
前記液相工程は、前記処理液を含浸させた不織布状活性炭を、加圧した一対のローラ間に通すものであることを特徴とする請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項3】
前記液相工程は、側面に孔が設けられた筒状部材を芯としてロール状に巻かれた不織布状活性炭を、前記処理液の入った槽に浸漬させることを特徴とする請求項1記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項4】
前記液相工程において、前記処理液が、不織布状活性炭表面に酸性官能基を修飾する酸化剤であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項5】
前記液相工程において、前記処理液が、硝酸又は過酸化水素水溶液であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項6】
前記液相工程の後であって前記洗浄工程の前に、前記不織布状活性炭を密封し、不織布状活性炭と処理液とを反応させる反応工程を経るものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項7】
前記反応工程は、ロール状に巻き取られた不織布状活性炭を密封し、その状態で所定時間回転させる間に、前記不織布状活性炭と処理液とを反応させることを特徴とする請求項6記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項8】
前記洗浄工程により、処理液が除去された不織布状活性炭を、温度および雰囲気制御された乾燥室で乾燥させる乾燥工程を経ることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項9】
前記乾燥工程において、前記乾燥室の温度は150℃以下に制御されることを特徴とする請求項8記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項10】
準備した不織布状活性炭に、雰囲気および温度が制御された処理室を所定時間通過させる気相工程を経ることを特徴とする不織布状活性炭の製造方法。
【請求項11】
前記気相工程において、前記処理室の温度が10℃以上かつ400℃以下に制御されることを特徴とする請求項10記載の不織布状活性炭の製造方法。
【請求項12】
前記気相工程において、前記処理室の雰囲気が、空気、又はオゾンであることを特徴とする請求項10または11に記載の不織布状活性炭の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2008−69492(P2008−69492A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251130(P2006−251130)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【出願人】(000116622)愛知県 (99)
【出願人】(591207736)東洋サービス株式会社 (1)
【出願人】(506314494)蒲郡毛織株式会社 (1)
【出願人】(506314508)株式会社昭和繊維 (1)
【出願人】(502433818)株式会社鈴木隆一商店 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【出願人】(000116622)愛知県 (99)
【出願人】(591207736)東洋サービス株式会社 (1)
【出願人】(506314494)蒲郡毛織株式会社 (1)
【出願人】(506314508)株式会社昭和繊維 (1)
【出願人】(502433818)株式会社鈴木隆一商店 (1)
【Fターム(参考)】
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