説明

不良解析装置

【課題】 半導体装置の不良箇所を容易に特定することができる不良解析装置およびその方法を提供する。
【解決手段】 不良解析装置100は、サンプルSを支持するための支持部材110と、支持部材110の上方に配置された一対の上部プローブピン120と、支持部材110の下方に配置された一対の下部プローブピン130と、一対の下部プローブピン130を固定しかつ下部プローブピン130のx、y、z方向の移動を可能にする下部マニュピレータ140と、支持部材110の下方に配置され支持部材110に支持されたサンプルSの底面の像を映し出すミラー150と、ミラー150からの反射光を受け取り、サンプルSの底面の拡大像を見る光学顕微鏡160と、下部マニュピレータ140の下端に取り付けられたマグネット170と、マグネット170を固定する基部プレート180とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の不良解析を行うための不良解析装置に関し、特にBGA等の表面実装用の半導体装置に生じる不良箇所を特定することができる不良解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の大規模化に伴いデザインルールの微細化が進んでいる。また、パッケージ内の実装密度を高めるため、1つのパッケージ内への複数の半導体チップの実装が行われている。このような半導体デバイスの量産化または高歩留りを達成するには、半導体デバイスに発生する不良を解析し、それを是正した製造プロセスを確立しなければならない。
【0003】
従来の典型的な半導体デバイスの不良解析は、プローブピンを半導体デバイスの選択された微細な領域へ接触させ、電気的特性を検査するものである。プローブピンを位置決めするために光学顕微鏡が用いられる。プローブと半導体装置との位置決めに関する技術は、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−116866号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の半導体装置の不良箇所を検査または解析する装置は、サンプルとしての半導体装置を搭載するステージと、プローブピンと、プローブピンをx、y、z方向に移動可能なマニュピレータと、半導体装置へのプローブピンの位置合わせのための光学顕微鏡とを備えている。この装置は、半導体装置の一方の面側からプローブピンを接触させて検査を行う。
【0006】
図6は、典型的なBGAタイプの半導体装置の概略断面を示している。同図に示すように、基板10の表面に半導体チップ12が搭載され、半導体チップ12上の電極14は、ボンディングワイヤ16により基板表面の配線パターン18に接続されている。また、基板10の裏面には、導電性ランド20が形成されている。導電性ランド20は、基板内部の電流経路を介して基板表面の配線パターン18に接続されるとともに、外部接続端子であるはんだボール22を接続している。そして、半導体チップ12、ボンディングワイヤ16等を含む基板10の表面は、樹脂24によってモールドされている。
【0007】
このような半導体装置おいて起こり得る不良は、半導体チップそのものと、半導体チップ以外とに大別される。前者は、半導体集積回路を構成するチップ内部配線層の断線や短絡等である。この不良は、モールド樹脂を研磨し、半導体チップの表面からプローブピンを電極や配線層に接触させることで、半導体チップ内の不良箇所を特定することが可能である。
【0008】
後者の不良は、図7に示すように、基板表面の配線パターン18とボンディングワイヤ16とのスティッチ接合不良F1、多層配線基板内の電流経路を構成するビアコンタクト28の破壊等による不良F2、基板内部の配線パターン30の断線等の不良F3、導電性ランド20とはんだボール22との接合の不良F4等である。これらの不良箇所は、たとえモールド樹脂や基板を研磨したとしても、一方向からのプローブピンの検査によって特定することはできない。
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するものであり、半導体装置に発生し得る不良箇所を容易に特定することができる不良解析装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る検査方法は、第1の導電性領域を含む第1の主面、第1の主面に対向しかつ第2の導電性領域を含む第2の主面、および第1の導電性領域から第2の導電性領域に通じる電流経路を含む基板と、第1の主面上に搭載される少なくとも1つの半導体チップと、半導体チップの電極と第1の導電性領域とを接続する導電性接続部材と、第2の主面の第2の導電性領域に接続された外部接続端子とを含む半導体装置の検査方法であって、基板の第1の主面側から、第1の導電性領域、導電性接続部材、または基板内の電流経路のいずれかに第1のプローブピンを接触させ、基板の第2の主面側から、外部接続端子に第2のプローブピンを接触させるステップと、第1のプローブピンと第2のプローブピンとの間に電流を流すステップとを含む。
【0011】
好ましくは検査方法はさらに、半導体チップが基板の第1の主面上において樹脂封止されている場合には、少なくとも当該樹脂を除去して、導電性接続部材、第1の導電性領域、または基板内の電流経路を露出させるステップを含む。基板内の電流経路を露出させる場合には、基板に含まれる層を除去し、所望の電流経路を構成する要素を露出させることができる。また、基板内の電流経路は、多層配線基板に含まれる配線パターンまたはビアコンタクトを含む。
【0012】
好ましくは露出するステップは、多段階のステップを含み、第1の露出により導電性接続部材または第1の導電性領域を露出させ、第2の露出により基板内の電流経路を露出させる。また、基板の第1の主面上に複数の半導体チップが積層されているとき、前記露出するステップは、半導体チップ毎の導電性接続部材を露出させることが望ましい。導電性接続部材は、半導体チップの電極と第1の導電性領域とを接続するボンディングワイヤや、半導体チップの電極を第1の導電性領域にフリップチップ接合するつおきの接合部材、たとえばはんだ等を含む。好ましくは検査方法はさらに、第1および第2のプローブピン間の電流の印加nいより、導電性接続部材、第1の導電性領域、基板内の電流経路、および外部接続端子との間で発生した不良箇所を特定するステップを含む。
【0013】
本発明に係る半導体装置を検査する検査装置は、サンプルを支持する支持部材と、前記支持部材の上方に配置された第1のプローブピンと、第1のプローブピンをx、y、z方向に移動可能であり、第1のプローブピンがサンプルの第1の面側の選択された導電性領域に接触するように第1のプローブピンを位置決めする第1の位置決め手段と、前記支持部材の下方に配置された第2のプローブピンと、第2のプローブピンをx、y、z方向に移動可能であり、第2のプローブピンがサンプルの第1の面と対向する第2の面側の選択された導電性領域に接触するように第2のプローブを位置決めする第2の位置決め手段と、第1および第2のプローブピン間に電流を流す手段とを有する。
【0014】
好ましくは第2の位置決め手段は、前記支持部材の下方に配置されサンプルの第2の面側の像を映すミラーと、ミラーによって反射された像を入力する顕微鏡とを含む。検査装置はさらに、第1および第2のプローブピン間に流された電流に応答してサンプル内の不良箇所の有無を提示する提示手段を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板の第1の主面側から第1のプローブを接触させ、基板の第2の主面側から第2のプローブを接触することにより、半導体装置内の不良箇所を容易に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る半導体装置の不良解析装置の概略構成を示す図である。本実施例に係る不良解析装置100は、サンプルSを支持するための支持部材110と、支持部材110の上方に配置された一対の上部プローブピン120と、支持部材110の下方に配置された一対の下部プローブピン130と、一対の下部プローブピン130を固定しかつ下部プローブピン130のx、y、z方向の移動を可能にする下部マニュピレータ140と、支持部材110の下方に配置され支持部材110に支持されたサンプルSの底面の像を映し出すミラー150と、ミラー150からの反射光を受け取り、サンプルSの底面の拡大像を見る光学顕微鏡160と、下部マニュピレータ140の下端に取り付けられたマグネット170と、マグネット170を固定する基部プレート180とを含んでいる。ここには図示しないが、不良解析装置100はさらに、上部プローブピン120をx、y、z方向の移動を可能にする上部マニュピレータ、および上部プローブピン120をサンプルSに位置合わせをするための光学顕微鏡を備えている。
【0018】
支持部材110は、アルミニウム等の金属から構成された一対の支持プレート112と、支持プレート112上にネジ114によって固定された一対のクランプ116とを有する。クランプ116は、傾斜した端面をもつ板材を重ね合わせ、中央に向けて直線状に窪んだ対向面を形成している。サンプルS、すなわち半導体装置の対向する側面は、クランプ116の対向面によって挟持され、サンプルSは、支持プレート112とほぼ平行に支持される。
【0019】
上部プローブピン120および下部プローブピン130は、同様の構成を有し、好ましくは導電性金属からなるスリーブと、スリーブ内を軸方向に摺動可能に取り付けられスプリング等によって付勢された先端部とを有する。先端部は、サンプルSの被検査領域に接触されたとき、スプリングの付勢に抗して軸方向に移動し、被検査領域との間に一定の接圧を与える。上部プローブピン120は、一対のプローブピン120a、120bを含み、一方は、電気信号を供給する端子、他方は、グランド用の端子として用いることができる。同様に、下部プローブピン130は、一対のプローブピン130a、130bを含み、一方は、電気信号を供給する端子、他方は、グランド用の端子として用いることができる。上部プローブピン120および/または下部プローブピン130は、後述するように、サンプルSの不良解析に応じて適宜選択して使用される。
【0020】
下部マニュピレータ140は、鉄等の導電性金属から構成され、下部プローブピン130を支持する一対のアーム132を備えている。下部マニュピレータ140は、3次元方向に移動することが可能であり、これにより、アーム132に固定された下部プローブピン130がサンプルSの選択された被検査領域に位置決めされる。下部マニュピレータ140は、マグネット170を介して基部プレート180に固定される。上部プローブピン120は、下部プローブピン130と同様に、図示しない上部マニュピレータに支持され、これにより、サンプルSの上方から被検査領域に位置決めされる。
【0021】
ミラー150は、支持部材110の下方において約45〜60度の角度で傾斜して取り付けられる。ミラー150は、サンプルSの底面の像Rを映し出し、その像を光学顕微鏡160へ反射させる。光学顕微鏡160によりサンプルSの底面の拡大像を見ながら下部プローブピン130をサンプルSの底面の選択された被検査領域に位置合わせを行う。
【0022】
図2は、不良解析装置においてプローブピンの切替を行うための一構成例を示す図である。本実施例の不良解析装置は、上部プローブピン120のみを用いてサンプルSの電気特性を検査すること、下部プローブピン130のみを用いてサンプルSの電気特性を検査すること、さらに上部プローブピン120と下部プローブピン130の双方を併用してサンプルSの電気特性を検査することを可能にする。図2に示すように、不良解析装置100は、第1の切替スイッチ200と、第2の切替スイッチ210と、第1および第2の切替スイッチを制御する切替制御回路220とを備えている。切替制御回路220は、例えば、ユーザからの入力、または他の回路からの出力に応答して第1および第2の切替スイッチ200、210を制御する。
【0023】
上部プローブピン120による検査を行う場合、第1の切替スイッチ200は、上部プローブピン120aを電気信号供給側の端子に選択し、第2の切替スイッチ210は、上部プローブピン120bを接地側の端子に選択する。あるいは、上部プローブピン120aと120bを反対にしてもよい。下部プローブピン130による検査を行う場合、第1の切替スイッチ200は、下部プローブピン130aを信号供給側の端子に選択し、第2の切替スイッチ210は、下部プローブピン130bを接地側の端子に選択する。あるいは、下部プローブピン130aと130bを反対にしてもよい。
【0024】
上部プローブピン120と下部プローブピン130の併用による検査を行う場合、第1の切替スイッチ200は、上部プローブピン120aを信号供給側の端子に選択し、第2の切替スイッチ210は、下部プローブピン130bを接地側の端子に選択する。あるいは、上部プローブピン120aと下部プローブピン130bを反対にしてもよい。こうして、信号供給側の端子のプローブピンと接地側の端子のプローブピンとの間に一定の電流230が印加される。好ましくは、不良解析装置は、プローブピン間に電流が流れないとき、断線等のオープン不良があると判別し、プローブピン間にしきい値以上の電流が流れたとき、短絡不良があると判別する。さらに、このような不良の判別結果をディスプレイ等に提示することができる。
【0025】
次に、本実施例の不良解析装置を用いた不良解析方法の例について説明する。図3は、BGAタイプの半導体装置の典型的な不良解析方法を示している。第1の不良解析K1は、図6に示すようなBGAタイプの半導体装置をそのままサンプルSとし、これを支持部材110に取り付ける。次いで、下部プローブピン130をサンプルSの裏面の選択されたはんだボール22a、22bに接触させ、下部プローブピン130間に電流を印加する。印加された電流は、はんだボール22aから、導電性ランド20a、基板内の電流経路、基板表面の配線パターン18a、ボンディングワイヤ16a、半導体チップ上の電極14a、半導体チップ内の集積回路を通り、再び半導体チップ上の電極、ボンディングワイヤ、基板表面の配線パターン、基板内の電流経路、および導電性ランド20bを経てはんだボール22bへと流れる。これにより、半導体チップ12、ボンディングワイヤ16、基板10、はんだボール22を含むデバイス全体の電流経路内の不良の有無を確認することができる。但し、第1の不良解析K1は、デバイス全体の電流経路のある部分に断線や短絡の不良があったとしても、その不良箇所がどこかを特定することはできない。
【0026】
第2の不良解析K2は、図3に示すように、モールド樹脂24を研磨し、少なくとも半導体チップ12の電極14が露出するようにサンプルSを加工する。そして、上部プローブ120を利用し、上部プローブ120を半導体チップ12の選択された電極14に接触させ、プローブピン間に電流を流すことで半導体チップ12の電気特性を確認する。勿論、この場合、上部プローブピン120と電極14との接触のみならず、半導体チップ12を構成する配線層や絶縁層を除去し、半導体チップ内の配線層に上部プローブピンを接触させることもできる。第2の不良解析K2は、半導体チップ12内の不良箇所を特定することは可能であるが、半導体チップ以外の不良箇所、すなわち図7に示したようなボンディングワイヤおよび基板に関連する不良F1〜F4があったとき、それらの不良箇所を特定することはできない。なお、モールド樹脂24は、研磨以外にもデキャップ等により除去してもよい。
【0027】
第3の不良解析K3は、上記のようにモールド樹脂24が研磨され、必要な領域が露出されたサンプルSを支持部材110に取り付け、サンプルSの上方および下方から上部プローブピン120および下部プローブピン130を被検査領域に接触させ、半導体チップ外で発生した不良を解析する。図3では、上部プローブピン120が選択されたボンディングワイヤ16bに接触され、下部プローブピン130が選択されたはんだボール22cに接触された例を示している。
【0028】
第3の不良解析K3の詳細を図4を参照して説明する。図4(a)において、選択されたボンディングワイヤ16bと選択されたはんだボール22c間の電流経路内にオープン不良F1〜F4があると仮定する。このような不良が存在するか否かの情報は、不良解析を行う前に行われる動作試験から得ることができる。動作試験において、はんだボール間に期待通りの導通が得られなければ、それらのはんだボールは、不良箇所に関連するものとして特定される。
【0029】
先ず、モールド樹脂が研磨面C1まで研磨されたサンプルSが支持部材110に取り付けられる。上部プローブピン120を、研磨面C1において露出されたボンディングワイヤ16bに接触させ、下部プローブピン130をはんだボール22cに接触させる。この電流経路内にいずれかの不良F1〜F4が含まれているため、プローブピン間には電流が流れない。
【0030】
次に、サンプルSのモールド樹脂24が研磨面C2まで研磨される。研磨面C2は、基板表面を露出する位置である。研磨面C2において露出された配線パターン18に上部プローブピン120を接触させ、下部プローブピン130をはんだボール22cに接触させる。このとき、プローブピン間に電流が流れれば、基板表面の配線パターン18とボンディングワイヤ16bとの間に接合不良F1があることが特定(推定)される。電流が流れなければ、配線パターン18とボンディングワイヤ16bとの間の接合は正常であり、配線パターン18とはんだボール22c間の電流経路のいずれかに不良F2〜F4が存在すると特定(推定)される。
【0031】
次に、図4(b)に示すように、基板を研磨面C3まで研磨する。次いで、研磨面C3において露出された配線パターン27に上部プローブピン120を接触させ、下部プローブピン130をはんだボール22cに接触させる。プローブピン間に電流が流れなければ、配線パターン18と配線パターン27との間のビアコンタクト26が正常であり、配線パターン27とはんだボール22c間の電流経路内に不良F2〜F4が存在すると特定(推定)される。
【0032】
次に、図4(c)に示すように、基板を研磨面C4まで研磨し、研磨面C4において露出された配線パターン29に上部プローブピン120を接触させる。下部プローブピン130ははんだボール22cに接触されたままである。プローブピン間に電流が流れれば、ビアコンタクト28に不良F2があることが特定(推定)される。プローブピン間に電流が流れなければ、配線パターン29とはんだボール22c間の電流経路内に不良F3またはF4が存在すると特定(推定)される。
【0033】
次に、図4(d)に示すように、基板を研磨面C5まで研磨し、研磨面C5において露出された配線パターン30に上部プローブピン120を接触させ、下部プローブピン130をはんだボール22cに接触させる。プローブピン間に電流が流れれば、配線パターン30に不良F3があることが特定(推定)される。電流が流れなければ、配線パターン30とはんだボール22cまたはランド20とはんだボール22cの間に不良F4があることが特定(推定)される。
【0034】
このように、上部プローブピンと下部プローブピンとを併用し、サンプルSの上方および下方から電気特性の検査をすることで、従来の不良解析装置では成しえなかった、半導体装置内において発生する種々の不良箇所を容易に特定(推定)することができる。なお、図4に示す不良箇所は、分かり易い一例であって、これに限るものではないし、不良は、オープン不良のみならず、短絡等の不良であってもよい。短絡が生じているとき、プローブピン間に流れる電流値がしきい値を超えるため、それを容易に判別することが可能である。
【0035】
次に、本実施例の不良解析方法の適用される半導体装置のいくつかの例を図5に示す。左側の図は、種々の半導体デバイスとその研磨面Cとを示しており、右側の図は、研磨面Cによって露出された部材に上部プローブピンを接触させ、はんだボールに下部プローブピンを接触させた状態を示している。
【0036】
図5(a)に示す半導体装置300は、典型的なBGAタイプであり、基板の上面に半導体チップを搭載し、その下面に複数のはんだボールを搭載する。そして、上部プローブピンおよび下部プローブピンを併用した検査を行う場合には、半導体装置のモールド樹脂を、例えば研磨面Cまで研磨する。研磨は、半導体装置300の電流経路を構成し得る要素を適宜露出させるために、多段階または複数回で行うことができる。
【0037】
図5(b)に示す半導体装置310は、2層、4層、またはそれ以上の多層配線構造をもつ表面実装用半導体デバイスである。多層配線構造内の電流経路の検査を行う場合には、モールド樹脂の研磨または除去の後に、多層配線基板の層を研磨または除去し、多層配線基板に含まれる所望の配線パターンまたはビアコンタクトを露出させることができる。
【0038】
図5(c)に示す半導体装置320は、基板上に複数の半導体チップを搭載したマルチチップタイプである。複数の半導体チップが積層されると、ボンディングワイヤが交差し、短絡することがある。このような場合には、半導体チップ毎のボンディングワイヤが露出するようにモールド樹脂を研磨し、ボンディングワイヤが交差する不良箇所を容易に特定することができる。
【0039】
図5(d)に示す半導体装置330は、基板上に、半導体チップの回路面または電極面を対向して接続するフリップチップ接合である。半導体チップの表面は、封止樹脂から露出していてもよい。この場合には、半導体チップおよび封止樹脂を研磨しまたは除去し、基板表面の電極または配線パターンを露出させる。そして、基板表面の電極または配線パターンとおよび基板裏面の選択されたはんだボールをそれぞれ上部プローブピンと下部プローブピンを接触させ、基板とはんだボール間の電流経路に発生する不良箇所を特定することができる。
【0040】
上記実施例では、半導体装置(サンプル)の研磨面側を上部プローブピンで接触し、はんだボール側を下部プローブピンで接触するようにしたが、これとは反対に、研磨面側を下部プローブピンで接触し、はんだボール側を上部プローブピンで接触するようにしてもよい。また、はんだボール側からも研磨、露出を行ない、上部及び下部プローブピンをそれぞれ接触させるようにしてもよい。
【0041】
さらに、上記実施例では、BGAタイプの半導体装置の不良解析を例示したが、これに限らず、基板の一面に複数の外部接続端子が配列された他の表面実装用の半導体装置であってもよい。外部接続端子の形状はボール状に限らないし、外部接続端子は、パッケージの底面から突出しないもの、例えばLGAタイプであってもよい。
【0042】
さらに、上記実施例では、上部プローブピンおよび下部プローブピンをそれぞれ一対ずる用意したが、これに限らず、これより多くの本数のプローブピンを備えるものであってもよい。例えば、複数のプローブピンを複数の電気信号を供給する端子に割り当てることで、多様な電気特性の検査を実行することができる。さらに、予備のプローブピンに割り当てるようにしてもよい。
【0043】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例に係る不良解析装置の概略構成を示す図である。
【図2】本実施例に係る不良解析装置のプローブピンの切替を行うための構成例を示す図である。
【図3】本実施例に係る不良解析装置を用いて不良解析方法を示す図である。
【図4】本実施例に係る不良解析方法の好ましい例を示す図である。
【図5】本実施例に係る不良解析方法が適用される半導体装置の一例を示す図である。
【図6】BGAタイプの半導体装置の典型的な構成を示す断面図である。
【図7】従来の不良解析方法の課題を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
10:基板
12:モールド樹脂
14:電極
16、16a:ボンディングワイヤ
18:配線パターン
20:導電性ランド
22、22a、22b、22c:はんだボール
24:モールド樹脂
27、29、30:配線パターン
26、28:ビアコンタクト
100:不良解析装置
110:支持部材
120、120a、120b:上部プローブピン
130、130a、130b:下部プローブピン
140:下部マニュピレータ
150:ミラー
160:光学顕微鏡
170:マグネット
180:基部プレート
200:第1の切替スイッチ
210:第2の切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電性領域を含む第1の主面、第1の主面に対向しかつ第2の導電性領域を含む第2の主面、および第1の導電性領域から第2の導電性領域に通じる電流経路を含む基板と、第1の主面上に搭載される少なくとも1つの半導体チップと、半導体チップの電極と第1の導電性領域とを接続する導電性接続部材と、第2の主面の第2の導電性領域に接続された外部接続端子とを含む半導体装置の検査方法であって、
基板の第1の主面側から、第1の導電性領域、導電性接続部材、または基板内の電流経路のいずれかに第1のプローブピンを接触させ、基板の第2の主面側から、外部接続端子に第2のプローブピンを接触させるステップと、
第1のプローブピンと第2のプローブピンとの間に電流を流すステップと、
を含む検査方法。
【請求項2】
検査方法はさらに、半導体チップが基板の第1の主面上において樹脂封止されている場合には、少なくとも当該樹脂を除去して、導電性接続部材、第1の導電性領域、または基板内の電流経路を露出させるステップを含む、請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
基板内の電流経路は、多層配線基板に含まれる配線パターンまたはビアコンタクトを含む、請求項2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記露出するステップは、多段階のステップを含み、第1の露出により導電性接続部材または第1の導電性領域を露出させ、第2の露出により基板内の電流経路を露出させる、請求項2または3に記載の検査方法。
【請求項5】
基板の第1の主面上に複数の半導体チップが積層されているとき、前記露出するステップは、半導体チップ毎の導電性接続部材を露出させる、請求項2ないし4いずれか1つに記載の検査方法。
【請求項6】
導電性接続部材は、半導体チップの電極と第1の導電性領域とを接続するボンディングワイヤを含む、請求項1ないし5いずれか1つに記載の検査方法。
【請求項7】
導電性接続部材は、半導体チップの電極を第1の導電性領域にフリップチップ接合するときの接合部材を含む、請求項1ないし5いずれか1つに記載の検査方法。
【請求項8】
検査方法はさらに、第1および第2のプローブピン間の電流印加により、導電性接続部材、第1の導電性領域、基板内の電流経路、および外部接続端子との間で発生した不良箇所を特定するステップを含む、請求項1ないし7いずれか1つに記載の検査方法。
【請求項9】
半導体装置を検査する検査装置であって、
サンプルを支持する支持部材と、
前記支持部材の上方に配置された第1のプローブピンと、
第1のプローブピンをx、y、z方向に移動可能であり、第1のプローブピンがサンプルの第1の面側の選択された導電性領域に接触するように第1のプローブピンを位置決めする第1の位置決め手段と、
前記支持部材の下方に配置された第2のプローブピンと、
第2のプローブピンをx、y、z方向に移動可能であり、第2のプローブピンがサンプルの第1の面と対向する第2の面側の選択された導電性領域に接触するように第2のプローブを位置決めする第2の位置決め手段と、
第1および第2のプローブピン間に電流を流す手段と、
を有する検査装置。
【請求項10】
第2の位置決め手段は、前記支持部材の下方に配置されサンプルの第2の面側の像を映すミラーと、ミラーによって反射された像を入力する顕微鏡とを含む、請求項9に記載の検査装置。
【請求項11】
検査装置はさらに、第1および第2のプローブピン間に流された電流に応答してサンプル内の不良箇所の有無を提示する提示手段を含む、請求項9または10に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−52996(P2009−52996A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219201(P2007−219201)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(390020248)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】