不要電波抑制構造
【課題】風荷重による基礎への負荷を軽減し、限られたスペースへ設けるのが容易である不要電波抑制構造を提供する。
【解決手段】道路周辺に面状の電波吸収体を設置し、道路近傍から飛来する不要電波を前記面状の電波吸収体により減衰させて抑制する構造であって、面状の電波吸収体は、電波を反射する反射層の不要電波の到来方向に空気層を挟んで抵抗層が設けられ、且つ一対となされた空気層及び抵抗層は少なくとも1つが設けられ、前記反射層及び抵抗層は空気を透過する空隙を有するものとして、これにより面状の電波吸収体1にかかる風荷重は小さくなるようにした。
【解決手段】道路周辺に面状の電波吸収体を設置し、道路近傍から飛来する不要電波を前記面状の電波吸収体により減衰させて抑制する構造であって、面状の電波吸収体は、電波を反射する反射層の不要電波の到来方向に空気層を挟んで抵抗層が設けられ、且つ一対となされた空気層及び抵抗層は少なくとも1つが設けられ、前記反射層及び抵抗層は空気を透過する空隙を有するものとして、これにより面状の電波吸収体1にかかる風荷重は小さくなるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路近傍から飛来する不要電波を抑制し、道路における電磁波環境を改善する不要電波抑制構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等において自動料金収受(ETC(Electronic Toll Collection)とも呼ばれる。)システムや、走行支援道路(AHS(Advanced
Cruise−Assist Highway System)とも呼ばれる。)等の車両運行支援システムが発展してきている。これらのシステムでは、道路に設置された路側機と車に搭載された車載器との間で電波を利用して通信を行う狭域通信(DSRC(Dedicated
Short−Range Communication)とも呼ばれる。)が用いられている。そのため、これらのシステムの発展に伴い、道路における電磁波環境の改善が求められている。
【0003】
そのため、特に車両の通行量の多い道路では、自動料金収受システムや車両運行支援システムを採用する場合に、道路における電磁波環境の改善のために、電波吸収機能を備えた電波吸収パネル等、電波吸収機能を有する駆体を設置することが考えられる。
【0004】
例えば自動料金収受システムにおける路上側アンテナと車載器側アンテナとの双方向通信といった、電波を用いた通信又はセンシング時において、発生する不要な電波を抑制するための例えば電波吸収体を備えた電波吸収パネルといった、電波吸収体を道路付帯設備に取り付け、又は道路付帯設備の主要部を電波吸収体から形成することで不要な電波を抑制し、上記の如き問題点を解決できる方法が示されている。(例えば、特開2001−217645号公報)
【特許文献1】特開2001−217645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される如き電波吸収パネルは、桁下に設置されるのであればまだしも、車線間に設置される場合には壁面の如き状態となり、風荷重を受ける状態となる。一般に風荷重は300kg/m2と設定され、かかる電波吸収パネルを設置する基礎に対して大きな負荷がかかることから、極めて重量が大きく巨大な基礎が必要となる。
【0006】
巨大な基礎はそれ自体で設置に係わる費用や手間が嵩むものであるが、とりわけ既設の設備の周辺における限られたスペース、例えば自動料金収受システムが設置された料金所付近の車線間や、走行支援道路の中央分離帯などには、巨大な基礎の設置自体が困難である。
【0007】
図16は、車両運行支援システムが設けられた高速道路を示す説明図である。上下の車線Sの辺縁には壁高欄Kが設けられ、壁高欄K上には防音壁Bと共に、車両運行支援システムに関する電波を放射するアンテナAが設置されている。かかるアンテナAより放射された電波Rが車線Sを走行する車両Cに搭載された車載器Fに受信されることで、車両Cの運行が支援される。
【0008】
アンテナAから放射される電波Rは、車線Sにおける通信領域外に車載器Fが検知する強度のものが放射されないよう、領域及び強度は厳密に設定されており、通常の状態では運行支援の対象以外の車両Cの車載器Fに電波が放射されることはありえないが、車線Sに曲面を有する大型車Tが進入した場合、その曲面に当たった電波Rはほとんど減衰されることなく方向を変えて不要電波R1となり、通信領域外に放射される恐れがあり、更に車線S付近の道路付帯設備が金属等の電波反射体を用いて形成されていれば、その道路付帯設備により不要電波Rが反射することも考えられる。通信領域外において車両Cの車載器Fが不要電波R1を受信すると、本来全く無関係な運行支援が車両Cに対して行われることとなり、車両Cが極めて危険な挙動を示す恐れが出てくる。
【0009】
かかる問題を防止するために、アンテナA付近の壁高欄K、防音壁Bなどの道路付帯設備については、その主要部を電波吸収体で形成したり、または電波到来側の部位に電波吸収体を取り付けることで不要電波を減衰させ、その反射や透過を抑制し不要電波による不具合を防止できる。前記の道路付帯設備は、風荷重が計算されているか、または面状でなく風荷重がかからないものであり、電波吸収機能を具備させるに当たり特に風荷重は問題視されない。
【0010】
しかしながら、中央分離帯G上を通過する不要電波R1は、対向車線を走行する車両Cの車載器Fに受信される恐れがあり、不要電波R1が受信されることにより不具合が発生する確率は、他の道路付帯設備によるものよりはるかに高い。そこで中央分離帯G上に、不要電波R1が通過しうる範囲において面状の電波吸収体を設けることで不要電波の抑制を図る必要があるが、中央分離帯Gはスペースが限定されている場合が多く、更には既に防眩板等の他の道路付帯設備が設置されていることもあり、風荷重を考慮した巨大な基礎を設置するのが困難な箇所が多い。
【0011】
そこで、本発明は風荷重による基礎への負荷を軽減し、限られたスペースへ設けるのが容易である不要電波抑制構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような構成としている。すなわち、本発明に係わる不要電波抑制構造は、道路周辺に面状の電波吸収体を設置し、道路近傍から飛来する不要電波を前記面状の電波吸収体により減衰させて抑制する構造であって、前記面状の電波吸収体は、電波を反射する反射層の不要電波の到来方向に空気層を挟んで抵抗層が設けられ、且つ一対となされた空気層及び抵抗層は少なくとも1つが設けられ、前記反射層及び抵抗層は空気を透過する空隙を有するものであることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、面状の電波吸収体を構成する反射層及び抵抗層が空気を透過する空隙を有するものであるから、その空孔を風が通り抜け、面状の電波吸収体にかかる風荷重は小さくなり、基礎にかかる負荷は軽減されて基礎を小さなものとでき、限られたスペースに対しても不要電波を抑制する構造を設けることが容易となり得る。
【0014】
また前記電波反射層及び/又は抵抗層は、導電性格子状シート、導電性メッシュ状シート、又は導電性膜を含み且つ空気を透過する空隙を有するシートからなる群から選ばれた、適当な面抵抗値を有する少なくとも1つであることを特徴とするものである。
【0015】
また前記空気層は、前記空気層は、導電性パターンを有する調整層が配置されたものであって、該導電性パターンは、誘電体からなる格子またはメッシュに部分的に付加されたものであることを特徴とするものである。
【0016】
また前記反射層及び/又は前記抵抗層は、枠体に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0017】
更にまた前記空気層は、少なくとも1つの保持材によりその厚みが保持されていることを特徴とするものである。
【0018】
また前記面状の電波吸収体は、0度〜30度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であることを特徴とするものである。
【0019】
更にまた前記面状の電波吸収体は、中央分離帯に設置された場合、対向車間距離50mに対して遮光角度が8〜12度となされることを特徴とするものである。
【0020】
更にまた前記面状の電波吸収体は、外面に光触媒含有層が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、面状の電波吸収体を構成する反射層及び抵抗層が空気を透過する空隙を有するものであるから、その空隙を風が通り抜け、面状の電波吸収体にかかる風荷重は小さくなり、基礎にかかる負荷は軽減されて基礎を小さなものとでき、限られたスペースに対しても不要電波を抑制する構造を設けることが容易となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係わる不要電波抑制構造における面状の電波吸収体の、実施の一形態を示す説明図である。電波吸収材料を用いて形成された面状の電波吸収体1は、パンチングにより風圧を軽減する空孔11が穿設されている。
【0024】
更に、空孔11が穿設されることで、面状の電波吸収体1が透視性のもので無くとも面状の電波吸収体1を挟んで反対側から、若しくは反対側への視界や採光ができ、道路利用者の圧迫感の軽減や、車線が隣接している場合には、合流時等において安全が確保できる。
【0025】
またパンチングにより空孔11を穿設することで、パンチング装置等を用いて容易に空孔11を穿設できると共に、空孔11が円形若しくはそれに近い形状であるから、空孔11による面状の電波吸収体1のねじれ等に対する強度の低下を最小限とすることができる。
【0026】
また空孔11は、図2に示す如きものであってもよい。面状の電波吸収体1は、上下に間隔をおいて複数列のスリットが切り入れられた後、スリットの上方及び下方を反対方向に広げることで空孔11が形成されたものである。かかる方法により空孔11を形成することで、電波吸収材料を欠損させたときの廃棄物を発生させることなく空孔11を穿設することができる。
【0027】
図3は、面状の電波吸収体1の参考例を示すものである。この面状の電波吸収体1は縦桟12及び横桟13を組み合わせて格子状となされ、空孔11が形成されることで風圧は軽減される。また縦桟12同士の間隔a及び横桟13同士の間隔bは抑制する電波の波長の4分の1以下となされることで、空孔11から透過する電波を少なくして不要電波を抑制しつつ、風圧を軽減することができる。
【0028】
図4は、本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料に関する参考例を示すもので、図1におけるA−A方向への断面図である。電波吸収材料は、金属繊維、カーボンブラック等の導電性フィラーやフェライトを配合した合成樹脂やそれを発泡させたものを単独で用いられる場合もあるが、一般にイ)に示す如く、電波吸収材21の電波到来方向αと反対側に電波反射材22を裏打ちした状態で機能するように設計されている。電波反射材22を裏打ちすることで、不要電波の透過を防止し、且つ電波吸収材21を透過した不要電波が電波反射材22に反射して更に電波吸収材21により減衰されることで、不要電波はより効率的に減衰される。電波反射材22は金属により形成されるのが好ましく、金属板が裏打ちされた積層体となり、電波吸収材料2を構造的に強固なものとできる。
【0029】
また、電波吸収材21の電波到来方向α側には、保護部材23を設けてもよい。保護部材23は誘電体からなるものであり、合成樹脂やガラス等を用いて形成するのが好ましい。更にその外面に水滴付着防止のコーティングを施し、水滴の付着による電波の乱反射を防止してもよい。
【0030】
更に電波吸収材料2は、ロ)に示す如く、電波反射材22を挟んで両側に電波吸収材21を配置したものであってもよい。かかる構造により、方向α及びβの両方から到来する不要電波を一体の電波吸収材料2により減衰させて抑制することができる。とりわけ中央分離帯においては、不要電波は中央分離帯の両側から到来する場合が多く、かかる両側からの電波吸収を行う電波吸収材料が好適に適用できる。
【0031】
図5は、本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の他の参考例を示す断面図である。電波吸収材料2は、電波到来方向α側から順に、保護部材23、抵抗層25、スペーサー24、反射層22が積層されたものである。抵抗層25は金属酸化物等からなる抵抗皮膜を有するフィルム等であり、スペーサー24は合成樹脂等の誘電体により形成され、反射層22は金属薄膜を有するフィルムや金属線格子等である。方向αから入射した不要電波は、保護部材23を透過し、抵抗層25により減衰され、減衰されなかった電波はスペーサー24を透過して、反射層22により反射されて再びスペーサー部24を透過して抵抗層25により減衰されて、不要電波は効率的に抑制される。
【0032】
抵抗層25とスペーサー24の厚み、及びスペーサー24の材質を、抑制が必要な電波の波長に合わせて変化させることで、より電波の抑制効率を向上させることが可能である。例えば、誘電体内での電波の波長λgである場合、抵抗層25とスペーサー24の厚みcを約λg/4とすることで、スペーサー24の電波到来側の表面から電波進行方向を見込んだ電波インピーダンスを、自由空間のインピーダンスに合わせ、不要電波は更に効率的に減衰される。また、スペーサー24を合成樹脂、ガラス、空気等、用途に応じて用いることで、電波吸収体の吸収特性を設定することが可能である。
【0033】
更に保護部材23、抵抗層25、スペーサー24、反射層22をそれぞれ透光性または透視性のものとすることで、電波吸収材料2が介在しても反対側の視界及び採光が確保でき、道路周辺に設置したときに道路利用者に与える圧迫感を軽減したり、隣接する車線の車両が見えることによる交通安全に寄与することができる。
【0034】
またロ)に示す如く、反射層22を挟んで両側にスペーサー24及び抵抗層25、保護部材23を積層することで、図4のロ)に示したものと同様に、方向α及びβの両側から到来する不要電波を抑制することができる。
【0035】
図6は、本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の、一実施形態を示す断面図である。電波吸収材料2は、電波を反射する反射層22の不要電波の到来方向αに空気層26を挟んで抵抗層25が設けられたもので、反射層22、抵抗層25は導電性格子又は導電性メッシュにより形成されている。イ)は一対となされた空気層26及び抵抗層25が1つ設けられたもの、ロ)は一対となされた空気層26及び抵抗層25が2つ設けられたものである。前記反射層22及び抵抗層25は空気を透過する空隙Mを有し、空気層26を形成する空気は流動自在であるから、不要電波の到来方向α及びその反対側からの風が電波吸収材料2を透過できるようになされている。
【0036】
上記の如き構成によれば、面状の電波吸収体1を構成する反射層22及び抵抗層25が空隙Mを有するものであるから、その空隙Mを風が通り抜け、面状の電波吸収体1にかかる風荷重は小さくなり、基礎にかかる負荷は軽減されて基礎を小さなものとでき、限られたスペースに対しても不要電波を抑制する構造を設けることが容易となり得る。
【0037】
また電波吸収材料2を形成するのに、導電性格子、導電性メッシュ、空気という透視性の材料ないしは、透視性の材料で無くとも空隙Mを有し、空隙Mは空気と共に光線をも透過するものであるから、電波吸収体1を挟んで反対側から、若しくは反対側への視界や採光が確保でき、道路利用者の圧迫感の軽減や、車線が隣接している場合には、合流時等において安全が確保できる。
【0038】
また一対となされた空気層26及び抵抗層25が複数設けられていれば、電波の入射角度に応じて空気層26の厚みを適宜設定し、電波到来側の表面から電波進行方向を見込んだ電波インピーダンスを、自由空間のインピーダンスに合わせることが容易となり、広い電波の入射角度において不要電波を効率的に減衰でき好ましい。
【0039】
図7は抵抗層25、反射層22を形成する導電性格子、導電性メッシュの平面形状の例を示すもので、棒状又は繊維状の導電体3がイ)は縦横の格子状、ロ)は斜めの格子状、ハ)は斜め方向の煉瓦積み状となされたもので、導電体3間の間隔が空隙Mとなされたものである。導電性格子または導電性メッシュの平面形状は、これらに限定されるものではなく様々なパターンを用いることが可能である。イ)〜ハ)のいずれの平面形状においても、導電体3の間隔a、bは、抑制する電波の波長の4分の1以下とするのが好ましく、更に安定した電波吸収特性および電波遮蔽特性を実現すべくより好ましくは抑制する電波の波長の8分の1以下である。
【0040】
導電性格子または導電性メッシュを構成する捧状又は繊維状の導電体3は、導電性材料を含む誘電体、誘電体からなる基体の表面に導電層を形成したもの、または金属からなるものであってよい。導電性材料は、カーボン、カーボンブラック、カーボン繊維、金属粉、金属繊維などから選ばれた少なくとも1つの材料であってよい。誘電体は、プラスチックまたはガラスであってよい。また、ガラス繊維を含んでいてもよい。この場合には導電性格子または導電性メッシュの強度を向上させることが可能である。また導電性メッシュは、不織布状の導電体を用いて形成してもよい。
【0041】
また導電性格子又は導電性メッシュを構成する捧状または繊維状の導電体3の表面に保護層を設けたり塗装を施してもよく、更には表面に撥水層や超撥水層を設けて水滴や雪氷の付着を防止してもよく、また光触媒含有層等を設けて水滴の形成を防止し、また汚染物質の自浄性を具備させてもよい。
【0042】
図8は、抵抗層25、反射層22を形成する導電性膜を含み且つ空隙Mを有するシートを示す説明図である。イ)において、抵抗層25、反射層22を形成するシートは導電体3に空気を透過する円形の空隙Mが設けられたものである。ロ)はイ)におけるB線の断面図であるが、導電体3は、基体32上に導電性膜31が設けられ、更に導電性膜31上に接着層34を介して接着された保護層33が設けられることで形成されたものである。
【0043】
かかる構造により、基体32上には導電性膜31を形成するのが容易であり、適当な面抵抗値を有するシートを得るのが容易となる。また保護層33を設けておけば、導電性膜31を基体32及び保護層(或いは保護膜)33により腐食や破損等から保護することができる。更に導電性膜31を透視性の薄膜とすれば、電波吸収材料の透視性を容易に高めることができる。
【0044】
導電性膜31は、上述の如き導電性材料を用いて膜状の層を形成すればよい。また基体32は導電体、誘電体を問わず選択された金属、合成樹脂、無機材料等を用いてシート状、フィルム状に形成したものを用いてよいが、合成樹脂を用いて形成すれば種々の形状や厚みに調整が可能であり好ましい。また保護層33は誘電体であれば特に限定されるものではなく、合成樹脂等のシート、フィルム等を用いてよい。更にその外面に塗装を施してもよく、また撥水層、超撥水性層、光触媒含有層等を設けてもよい。
【0045】
空隙Mは、導電体3の表面積に対して上述の如く20〜80%設けられていれば、風圧の軽減及び電波吸収性能の確保を両立でき好ましい。また空隙Mの内面に塗膜や撥水層、超撥水性層、光触媒含有層等の保護膜M1を設けて誘電性膜31や接着層34を保護するようにしておくのが好ましい。
【0046】
図9は、本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の、他の実施形態を示す断面図である。電波吸収材料2は、反射層22と抵抗層25の間に空気層26が設けられ、更に空気層26の間に導電性パターンを有する調整層4が配置されたものである。
【0047】
調整層4の導電性パターンは、図10に示す如きものであり、イ)〜ホ)はそれぞれ導電性パターンを示す正面図である。調整層4は棒状又は繊維状の誘電体41からなる格子又はメッシュに、導電体42が部分的に付加されたものであり、イ)は誘電体41の縦横格子の交差部の横方向、ロ)は誘電体41の縦横格子の交差部の縦横両方向、ハ)は誘電体41の縦横格子により形成される矩形部の間隔をおき且つ一部を切り欠いて、ニ)は誘電体41の斜め格子の交差部の右斜め下方向、ホ)は両斜め方向と横方向に配置された導電体41の右斜め下方向と横方向においてV字状に、それぞれ部分的に導電体42を付加したものである。
【0048】
かかる調整層4を設け、種々の導電性パターンを形成することにより、一方の偏波または両方の偏波または円偏波の対して作用させ、入射する不要電波を減衰させる効率を高め、電波吸収材料の薄型化や電波吸収特性の偏波特性調整を図ることができる。
【0049】
例えばそれぞれの導電性パターンにおいて、イ)では上方からの偏波、ロ)では上下からの偏波、ハ)では正面からの右円偏波、ニ)では右斜め上及び左斜め下からの偏波、ホ)では斜め方向からの左円偏波に対して減衰効率を高めることができる。
【0050】
導電性パターンは、導電性材料を誘電体内に含有または内包したものであってもよく、金属、金属酸化物、金属窒化物から選ばれた少なくとも1つを用いて、誘電体の表面に導電性薄膜を形成してもよい。また、導電性材料を含む塗料を用いて誘電体の表面に導電性膜を形成してもよい。導電性材料は、カーボン、カーボンブラック、カーボン繊維、金属粉、金属繊維などから選ばれた少なくとも1つの材料であってよい。
【0051】
図11は、本発明に係わる面状の電波吸収体の、他の実施形態を示す断面図である。イ)において、枠体5内で反射層22の電波の到来方向αに間隔をおいて抵抗層25が取り付けられ空気層26が形成されることで、枠体5により周囲を保持された電波吸収材料2が形成され電波吸収性能が具備される。またロ)においては、反射層22を挟んで両側に空気層26及び抵抗層25が設けられていることで、面状の電波吸収体1に方向α及びβの両側から入射する不要電波を減衰させることができる。更に空気層26に、上述の如き種々の導電性パターンを形成した調整層を設けてもよい。
【0052】
枠体5は、誘電体である合成樹脂等から形成してもよいが、金属を用いて形成することで面状の電波吸収体1を高い強度のものとすることができる。金属を用いる場合には、不要電波の到来が考え得る枠体5の部位に電波吸収体21を取り付けておくことで、枠体5による更なる不要電波の発生を防止でき好ましい。
【0053】
かかる構造により、反射層22や抵抗層25の強度が脆弱であっても、枠体5により保持されることで構造体として安定したものとでき、また空気層26の厚みを維持して安定した電波吸収性能を得ることができる。また面状の電波吸収体1をパネル状のものとし、設置や取り付けにおける便宜を図ることができる。
【0054】
反射層22、抵抗層25は図12に示す如き方法で取り付けてもよく、イ)は取り付けの一例を示す正面図、ロ)は他の例を示す断面図である。イ)において、導電体3は枠体5に一定間隔をおいて穿設された貫通孔51に挿通されて固定され、導電体3間に空隙Mが形成されることで反射層22(又は抵抗層25)が形成される。またロ)において、枠体5の内面とプレート52とで反射層22(又は抵抗層25)のシートが挟持され、枠体5及びプレート52が締結手段53により締結されることで、反射層22(又は抵抗層25)は枠体5に保持される。
【0055】
また反射層22(又は抵抗層25)が金属からなる場合には、溶接によって取り付けても良い。また、接着材を用いて取り付けてもよい。ビス、ボルト、ナットを用いて枠体5に直接取り付けてもよく、上記の如き固定手段を組み合わせてもよい。
【0056】
図13は、本発明に係わる面状の電波吸収体1の、更に他の実施形態を示す断面図である。図11のイ)に示した実施形態と同様に、反射層22の不要電波の到来方向α側に間隔をおいて抵抗層25を設けることで空気層26が形成されているが、その空気層26に、少なくとも1つの保持材6を設けてその厚みを保持しているものである。
【0057】
かかる構造により、反射層22、抵抗層25のいずれか少なくとも一方が厚みの薄いシートか、フィルム状の可撓性の高いものであっても、保持材6により風圧等により撓んで空気層26の厚みが変化するのを防止し、電波吸収性能を安定したものとすることができる。
【0058】
保持材6は、合成樹脂等の誘電体又は誘電体の発泡体等の電波の透過に対する影響の少ないものを用いてよく、更には電波吸収性を有する材料を用いて入射される不要電波の減衰を補助するものとしてもよい。
【0059】
かかる電波吸収材料2により形成された面状の電波吸収体1を、図14に示す如く基礎101より立設された支柱102に取り付け、不要電波抑制構造10を形成して中央分離帯G上に設置することで、中央分離帯G上を通過して反対車線に向かう不要電波R1は、不要電波抑制構造10により減衰される。面状の電波吸収体1を用いていることで、金網等の電波反射材料を用いて形成したものの如き不要電波の更なる反射による不具合が発生する恐れもなくなる。
【0060】
更に、本発明に係わる面状の電波吸収体は、対向車間50mに対して遮光角度が8〜12度となされていることが好ましい。遮光角度とは、高速道路等において中央分離帯に防眩板を設置する場合の防眩効果を示す尺度であり、図15に示す如く、中央分離帯を挟んで対抗する方向に走行する車両C1及びC2が50mの距離にあるとき、車両C2の前照灯からの光線が車両C1の運転者に入射されるのを防眩板Hが遮る角度θを示すものである。
【0061】
かかる遮光角度θは対向車間50mに対して10度程度が好ましいとされており、10度近辺を下回ると防眩効果が低くなり、10度近辺を上回ると隣接する車線側が見えにくくなる。車両C1及びC2の位置が変わっても、遮光角度θを維持するために防眩板Hは適宜間隔をおいて設けられるものであるが、本発明に係わる面状の電波吸収体は空孔を有し、その空孔から風のみならず光線も透過するものであるから、面状の電波吸収体の厚みに対して穿設する空孔の大きさを適宜設定することで、中央分離帯に設置した場合において遮光角度θが8〜12度となるようにすれば、防眩板Hに代わって優れた防眩効果を発揮でき好ましい。
【0062】
また、本発明に係わる面状の電波吸収体は、外面に光触媒含有層が形成されていることが好ましい。光触媒含有層が形成されていることで、外面に付着した水は、水滴とならずに均一な極めて薄い水膜となるために、電波吸収特性の低下を緩和できる。また紫外線の照射により光触媒が活性化し、外面が超親水化されることで道路周辺に存在する疎水性の汚染物質が付着した場合でも、降雨によって容易に洗い流され、外観を清浄に保持することができる。
【0063】
更にまた、本発明に係わる面状の電波吸収体は、空気を透過すると共に音波も透過できるので、既存の吸音板の前面に取り付ければ、その吸音性能を損なうことなく電波吸収性能を具備させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係わる面状の電波吸収体の、実施の一形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係わる面状の電波吸収体の、他の実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明に係わる面状の電波吸収体の、参考例を示す説明図である。
【図4】本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の参考例を示す断面図である。
【図5】本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の他の参考例を示す断面図である。
【図6】本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の、一実施形態を示す断面図である。
【図7】反射層、抵抗層に用いられる導電性格子又は導電性メッシュの例を示す正面図である。
【図8】反射層、抵抗層に用いられる導電性膜を含むシートの例を示す説明図である。
【図9】本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の、他の実施形態を示す断面図である。
【図10】調整層の導電パターンの例を示す正面図である。
【図11】本発明に係わる面状の電波吸収体の、更に他の実施形態を示す断面図である。
【図12】本発明に係わる面状の電波吸収体における反射層、抵抗層の取り付けの一例を示す説明図である。
【図13】本発明に係わる面状の電波吸収体の、更に他の実施形態を示す断面図である。
【図14】本発明に係わる不要電波抑制構造の、実施の一形態を示す説明図である。
【図15】本発明に係わる遮光角度を説明する上面図である。
【図16】本発明が適用される車両運行支援システムが設けられた道路を示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1 面状の電波吸収体
11 空孔
2 電波吸収材料
21 電波吸収体
22 反射層
25 抵抗層
26 空気層
3 導電体
4 調整層
5 枠体
6 保持材
10 不要電波抑制構造
M 空隙
A アンテナ
B 防音壁
K 壁高欄
G 中央分離帯
R 電波
C 車両
F 車載器
T 曲面を有する車両
R1 不要電波
θ 遮光角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路近傍から飛来する不要電波を抑制し、道路における電磁波環境を改善する不要電波抑制構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等において自動料金収受(ETC(Electronic Toll Collection)とも呼ばれる。)システムや、走行支援道路(AHS(Advanced
Cruise−Assist Highway System)とも呼ばれる。)等の車両運行支援システムが発展してきている。これらのシステムでは、道路に設置された路側機と車に搭載された車載器との間で電波を利用して通信を行う狭域通信(DSRC(Dedicated
Short−Range Communication)とも呼ばれる。)が用いられている。そのため、これらのシステムの発展に伴い、道路における電磁波環境の改善が求められている。
【0003】
そのため、特に車両の通行量の多い道路では、自動料金収受システムや車両運行支援システムを採用する場合に、道路における電磁波環境の改善のために、電波吸収機能を備えた電波吸収パネル等、電波吸収機能を有する駆体を設置することが考えられる。
【0004】
例えば自動料金収受システムにおける路上側アンテナと車載器側アンテナとの双方向通信といった、電波を用いた通信又はセンシング時において、発生する不要な電波を抑制するための例えば電波吸収体を備えた電波吸収パネルといった、電波吸収体を道路付帯設備に取り付け、又は道路付帯設備の主要部を電波吸収体から形成することで不要な電波を抑制し、上記の如き問題点を解決できる方法が示されている。(例えば、特開2001−217645号公報)
【特許文献1】特開2001−217645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される如き電波吸収パネルは、桁下に設置されるのであればまだしも、車線間に設置される場合には壁面の如き状態となり、風荷重を受ける状態となる。一般に風荷重は300kg/m2と設定され、かかる電波吸収パネルを設置する基礎に対して大きな負荷がかかることから、極めて重量が大きく巨大な基礎が必要となる。
【0006】
巨大な基礎はそれ自体で設置に係わる費用や手間が嵩むものであるが、とりわけ既設の設備の周辺における限られたスペース、例えば自動料金収受システムが設置された料金所付近の車線間や、走行支援道路の中央分離帯などには、巨大な基礎の設置自体が困難である。
【0007】
図16は、車両運行支援システムが設けられた高速道路を示す説明図である。上下の車線Sの辺縁には壁高欄Kが設けられ、壁高欄K上には防音壁Bと共に、車両運行支援システムに関する電波を放射するアンテナAが設置されている。かかるアンテナAより放射された電波Rが車線Sを走行する車両Cに搭載された車載器Fに受信されることで、車両Cの運行が支援される。
【0008】
アンテナAから放射される電波Rは、車線Sにおける通信領域外に車載器Fが検知する強度のものが放射されないよう、領域及び強度は厳密に設定されており、通常の状態では運行支援の対象以外の車両Cの車載器Fに電波が放射されることはありえないが、車線Sに曲面を有する大型車Tが進入した場合、その曲面に当たった電波Rはほとんど減衰されることなく方向を変えて不要電波R1となり、通信領域外に放射される恐れがあり、更に車線S付近の道路付帯設備が金属等の電波反射体を用いて形成されていれば、その道路付帯設備により不要電波Rが反射することも考えられる。通信領域外において車両Cの車載器Fが不要電波R1を受信すると、本来全く無関係な運行支援が車両Cに対して行われることとなり、車両Cが極めて危険な挙動を示す恐れが出てくる。
【0009】
かかる問題を防止するために、アンテナA付近の壁高欄K、防音壁Bなどの道路付帯設備については、その主要部を電波吸収体で形成したり、または電波到来側の部位に電波吸収体を取り付けることで不要電波を減衰させ、その反射や透過を抑制し不要電波による不具合を防止できる。前記の道路付帯設備は、風荷重が計算されているか、または面状でなく風荷重がかからないものであり、電波吸収機能を具備させるに当たり特に風荷重は問題視されない。
【0010】
しかしながら、中央分離帯G上を通過する不要電波R1は、対向車線を走行する車両Cの車載器Fに受信される恐れがあり、不要電波R1が受信されることにより不具合が発生する確率は、他の道路付帯設備によるものよりはるかに高い。そこで中央分離帯G上に、不要電波R1が通過しうる範囲において面状の電波吸収体を設けることで不要電波の抑制を図る必要があるが、中央分離帯Gはスペースが限定されている場合が多く、更には既に防眩板等の他の道路付帯設備が設置されていることもあり、風荷重を考慮した巨大な基礎を設置するのが困難な箇所が多い。
【0011】
そこで、本発明は風荷重による基礎への負荷を軽減し、限られたスペースへ設けるのが容易である不要電波抑制構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような構成としている。すなわち、本発明に係わる不要電波抑制構造は、道路周辺に面状の電波吸収体を設置し、道路近傍から飛来する不要電波を前記面状の電波吸収体により減衰させて抑制する構造であって、前記面状の電波吸収体は、電波を反射する反射層の不要電波の到来方向に空気層を挟んで抵抗層が設けられ、且つ一対となされた空気層及び抵抗層は少なくとも1つが設けられ、前記反射層及び抵抗層は空気を透過する空隙を有するものであることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、面状の電波吸収体を構成する反射層及び抵抗層が空気を透過する空隙を有するものであるから、その空孔を風が通り抜け、面状の電波吸収体にかかる風荷重は小さくなり、基礎にかかる負荷は軽減されて基礎を小さなものとでき、限られたスペースに対しても不要電波を抑制する構造を設けることが容易となり得る。
【0014】
また前記電波反射層及び/又は抵抗層は、導電性格子状シート、導電性メッシュ状シート、又は導電性膜を含み且つ空気を透過する空隙を有するシートからなる群から選ばれた、適当な面抵抗値を有する少なくとも1つであることを特徴とするものである。
【0015】
また前記空気層は、前記空気層は、導電性パターンを有する調整層が配置されたものであって、該導電性パターンは、誘電体からなる格子またはメッシュに部分的に付加されたものであることを特徴とするものである。
【0016】
また前記反射層及び/又は前記抵抗層は、枠体に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0017】
更にまた前記空気層は、少なくとも1つの保持材によりその厚みが保持されていることを特徴とするものである。
【0018】
また前記面状の電波吸収体は、0度〜30度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であることを特徴とするものである。
【0019】
更にまた前記面状の電波吸収体は、中央分離帯に設置された場合、対向車間距離50mに対して遮光角度が8〜12度となされることを特徴とするものである。
【0020】
更にまた前記面状の電波吸収体は、外面に光触媒含有層が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、面状の電波吸収体を構成する反射層及び抵抗層が空気を透過する空隙を有するものであるから、その空隙を風が通り抜け、面状の電波吸収体にかかる風荷重は小さくなり、基礎にかかる負荷は軽減されて基礎を小さなものとでき、限られたスペースに対しても不要電波を抑制する構造を設けることが容易となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係わる不要電波抑制構造における面状の電波吸収体の、実施の一形態を示す説明図である。電波吸収材料を用いて形成された面状の電波吸収体1は、パンチングにより風圧を軽減する空孔11が穿設されている。
【0024】
更に、空孔11が穿設されることで、面状の電波吸収体1が透視性のもので無くとも面状の電波吸収体1を挟んで反対側から、若しくは反対側への視界や採光ができ、道路利用者の圧迫感の軽減や、車線が隣接している場合には、合流時等において安全が確保できる。
【0025】
またパンチングにより空孔11を穿設することで、パンチング装置等を用いて容易に空孔11を穿設できると共に、空孔11が円形若しくはそれに近い形状であるから、空孔11による面状の電波吸収体1のねじれ等に対する強度の低下を最小限とすることができる。
【0026】
また空孔11は、図2に示す如きものであってもよい。面状の電波吸収体1は、上下に間隔をおいて複数列のスリットが切り入れられた後、スリットの上方及び下方を反対方向に広げることで空孔11が形成されたものである。かかる方法により空孔11を形成することで、電波吸収材料を欠損させたときの廃棄物を発生させることなく空孔11を穿設することができる。
【0027】
図3は、面状の電波吸収体1の参考例を示すものである。この面状の電波吸収体1は縦桟12及び横桟13を組み合わせて格子状となされ、空孔11が形成されることで風圧は軽減される。また縦桟12同士の間隔a及び横桟13同士の間隔bは抑制する電波の波長の4分の1以下となされることで、空孔11から透過する電波を少なくして不要電波を抑制しつつ、風圧を軽減することができる。
【0028】
図4は、本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料に関する参考例を示すもので、図1におけるA−A方向への断面図である。電波吸収材料は、金属繊維、カーボンブラック等の導電性フィラーやフェライトを配合した合成樹脂やそれを発泡させたものを単独で用いられる場合もあるが、一般にイ)に示す如く、電波吸収材21の電波到来方向αと反対側に電波反射材22を裏打ちした状態で機能するように設計されている。電波反射材22を裏打ちすることで、不要電波の透過を防止し、且つ電波吸収材21を透過した不要電波が電波反射材22に反射して更に電波吸収材21により減衰されることで、不要電波はより効率的に減衰される。電波反射材22は金属により形成されるのが好ましく、金属板が裏打ちされた積層体となり、電波吸収材料2を構造的に強固なものとできる。
【0029】
また、電波吸収材21の電波到来方向α側には、保護部材23を設けてもよい。保護部材23は誘電体からなるものであり、合成樹脂やガラス等を用いて形成するのが好ましい。更にその外面に水滴付着防止のコーティングを施し、水滴の付着による電波の乱反射を防止してもよい。
【0030】
更に電波吸収材料2は、ロ)に示す如く、電波反射材22を挟んで両側に電波吸収材21を配置したものであってもよい。かかる構造により、方向α及びβの両方から到来する不要電波を一体の電波吸収材料2により減衰させて抑制することができる。とりわけ中央分離帯においては、不要電波は中央分離帯の両側から到来する場合が多く、かかる両側からの電波吸収を行う電波吸収材料が好適に適用できる。
【0031】
図5は、本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の他の参考例を示す断面図である。電波吸収材料2は、電波到来方向α側から順に、保護部材23、抵抗層25、スペーサー24、反射層22が積層されたものである。抵抗層25は金属酸化物等からなる抵抗皮膜を有するフィルム等であり、スペーサー24は合成樹脂等の誘電体により形成され、反射層22は金属薄膜を有するフィルムや金属線格子等である。方向αから入射した不要電波は、保護部材23を透過し、抵抗層25により減衰され、減衰されなかった電波はスペーサー24を透過して、反射層22により反射されて再びスペーサー部24を透過して抵抗層25により減衰されて、不要電波は効率的に抑制される。
【0032】
抵抗層25とスペーサー24の厚み、及びスペーサー24の材質を、抑制が必要な電波の波長に合わせて変化させることで、より電波の抑制効率を向上させることが可能である。例えば、誘電体内での電波の波長λgである場合、抵抗層25とスペーサー24の厚みcを約λg/4とすることで、スペーサー24の電波到来側の表面から電波進行方向を見込んだ電波インピーダンスを、自由空間のインピーダンスに合わせ、不要電波は更に効率的に減衰される。また、スペーサー24を合成樹脂、ガラス、空気等、用途に応じて用いることで、電波吸収体の吸収特性を設定することが可能である。
【0033】
更に保護部材23、抵抗層25、スペーサー24、反射層22をそれぞれ透光性または透視性のものとすることで、電波吸収材料2が介在しても反対側の視界及び採光が確保でき、道路周辺に設置したときに道路利用者に与える圧迫感を軽減したり、隣接する車線の車両が見えることによる交通安全に寄与することができる。
【0034】
またロ)に示す如く、反射層22を挟んで両側にスペーサー24及び抵抗層25、保護部材23を積層することで、図4のロ)に示したものと同様に、方向α及びβの両側から到来する不要電波を抑制することができる。
【0035】
図6は、本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の、一実施形態を示す断面図である。電波吸収材料2は、電波を反射する反射層22の不要電波の到来方向αに空気層26を挟んで抵抗層25が設けられたもので、反射層22、抵抗層25は導電性格子又は導電性メッシュにより形成されている。イ)は一対となされた空気層26及び抵抗層25が1つ設けられたもの、ロ)は一対となされた空気層26及び抵抗層25が2つ設けられたものである。前記反射層22及び抵抗層25は空気を透過する空隙Mを有し、空気層26を形成する空気は流動自在であるから、不要電波の到来方向α及びその反対側からの風が電波吸収材料2を透過できるようになされている。
【0036】
上記の如き構成によれば、面状の電波吸収体1を構成する反射層22及び抵抗層25が空隙Mを有するものであるから、その空隙Mを風が通り抜け、面状の電波吸収体1にかかる風荷重は小さくなり、基礎にかかる負荷は軽減されて基礎を小さなものとでき、限られたスペースに対しても不要電波を抑制する構造を設けることが容易となり得る。
【0037】
また電波吸収材料2を形成するのに、導電性格子、導電性メッシュ、空気という透視性の材料ないしは、透視性の材料で無くとも空隙Mを有し、空隙Mは空気と共に光線をも透過するものであるから、電波吸収体1を挟んで反対側から、若しくは反対側への視界や採光が確保でき、道路利用者の圧迫感の軽減や、車線が隣接している場合には、合流時等において安全が確保できる。
【0038】
また一対となされた空気層26及び抵抗層25が複数設けられていれば、電波の入射角度に応じて空気層26の厚みを適宜設定し、電波到来側の表面から電波進行方向を見込んだ電波インピーダンスを、自由空間のインピーダンスに合わせることが容易となり、広い電波の入射角度において不要電波を効率的に減衰でき好ましい。
【0039】
図7は抵抗層25、反射層22を形成する導電性格子、導電性メッシュの平面形状の例を示すもので、棒状又は繊維状の導電体3がイ)は縦横の格子状、ロ)は斜めの格子状、ハ)は斜め方向の煉瓦積み状となされたもので、導電体3間の間隔が空隙Mとなされたものである。導電性格子または導電性メッシュの平面形状は、これらに限定されるものではなく様々なパターンを用いることが可能である。イ)〜ハ)のいずれの平面形状においても、導電体3の間隔a、bは、抑制する電波の波長の4分の1以下とするのが好ましく、更に安定した電波吸収特性および電波遮蔽特性を実現すべくより好ましくは抑制する電波の波長の8分の1以下である。
【0040】
導電性格子または導電性メッシュを構成する捧状又は繊維状の導電体3は、導電性材料を含む誘電体、誘電体からなる基体の表面に導電層を形成したもの、または金属からなるものであってよい。導電性材料は、カーボン、カーボンブラック、カーボン繊維、金属粉、金属繊維などから選ばれた少なくとも1つの材料であってよい。誘電体は、プラスチックまたはガラスであってよい。また、ガラス繊維を含んでいてもよい。この場合には導電性格子または導電性メッシュの強度を向上させることが可能である。また導電性メッシュは、不織布状の導電体を用いて形成してもよい。
【0041】
また導電性格子又は導電性メッシュを構成する捧状または繊維状の導電体3の表面に保護層を設けたり塗装を施してもよく、更には表面に撥水層や超撥水層を設けて水滴や雪氷の付着を防止してもよく、また光触媒含有層等を設けて水滴の形成を防止し、また汚染物質の自浄性を具備させてもよい。
【0042】
図8は、抵抗層25、反射層22を形成する導電性膜を含み且つ空隙Mを有するシートを示す説明図である。イ)において、抵抗層25、反射層22を形成するシートは導電体3に空気を透過する円形の空隙Mが設けられたものである。ロ)はイ)におけるB線の断面図であるが、導電体3は、基体32上に導電性膜31が設けられ、更に導電性膜31上に接着層34を介して接着された保護層33が設けられることで形成されたものである。
【0043】
かかる構造により、基体32上には導電性膜31を形成するのが容易であり、適当な面抵抗値を有するシートを得るのが容易となる。また保護層33を設けておけば、導電性膜31を基体32及び保護層(或いは保護膜)33により腐食や破損等から保護することができる。更に導電性膜31を透視性の薄膜とすれば、電波吸収材料の透視性を容易に高めることができる。
【0044】
導電性膜31は、上述の如き導電性材料を用いて膜状の層を形成すればよい。また基体32は導電体、誘電体を問わず選択された金属、合成樹脂、無機材料等を用いてシート状、フィルム状に形成したものを用いてよいが、合成樹脂を用いて形成すれば種々の形状や厚みに調整が可能であり好ましい。また保護層33は誘電体であれば特に限定されるものではなく、合成樹脂等のシート、フィルム等を用いてよい。更にその外面に塗装を施してもよく、また撥水層、超撥水性層、光触媒含有層等を設けてもよい。
【0045】
空隙Mは、導電体3の表面積に対して上述の如く20〜80%設けられていれば、風圧の軽減及び電波吸収性能の確保を両立でき好ましい。また空隙Mの内面に塗膜や撥水層、超撥水性層、光触媒含有層等の保護膜M1を設けて誘電性膜31や接着層34を保護するようにしておくのが好ましい。
【0046】
図9は、本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の、他の実施形態を示す断面図である。電波吸収材料2は、反射層22と抵抗層25の間に空気層26が設けられ、更に空気層26の間に導電性パターンを有する調整層4が配置されたものである。
【0047】
調整層4の導電性パターンは、図10に示す如きものであり、イ)〜ホ)はそれぞれ導電性パターンを示す正面図である。調整層4は棒状又は繊維状の誘電体41からなる格子又はメッシュに、導電体42が部分的に付加されたものであり、イ)は誘電体41の縦横格子の交差部の横方向、ロ)は誘電体41の縦横格子の交差部の縦横両方向、ハ)は誘電体41の縦横格子により形成される矩形部の間隔をおき且つ一部を切り欠いて、ニ)は誘電体41の斜め格子の交差部の右斜め下方向、ホ)は両斜め方向と横方向に配置された導電体41の右斜め下方向と横方向においてV字状に、それぞれ部分的に導電体42を付加したものである。
【0048】
かかる調整層4を設け、種々の導電性パターンを形成することにより、一方の偏波または両方の偏波または円偏波の対して作用させ、入射する不要電波を減衰させる効率を高め、電波吸収材料の薄型化や電波吸収特性の偏波特性調整を図ることができる。
【0049】
例えばそれぞれの導電性パターンにおいて、イ)では上方からの偏波、ロ)では上下からの偏波、ハ)では正面からの右円偏波、ニ)では右斜め上及び左斜め下からの偏波、ホ)では斜め方向からの左円偏波に対して減衰効率を高めることができる。
【0050】
導電性パターンは、導電性材料を誘電体内に含有または内包したものであってもよく、金属、金属酸化物、金属窒化物から選ばれた少なくとも1つを用いて、誘電体の表面に導電性薄膜を形成してもよい。また、導電性材料を含む塗料を用いて誘電体の表面に導電性膜を形成してもよい。導電性材料は、カーボン、カーボンブラック、カーボン繊維、金属粉、金属繊維などから選ばれた少なくとも1つの材料であってよい。
【0051】
図11は、本発明に係わる面状の電波吸収体の、他の実施形態を示す断面図である。イ)において、枠体5内で反射層22の電波の到来方向αに間隔をおいて抵抗層25が取り付けられ空気層26が形成されることで、枠体5により周囲を保持された電波吸収材料2が形成され電波吸収性能が具備される。またロ)においては、反射層22を挟んで両側に空気層26及び抵抗層25が設けられていることで、面状の電波吸収体1に方向α及びβの両側から入射する不要電波を減衰させることができる。更に空気層26に、上述の如き種々の導電性パターンを形成した調整層を設けてもよい。
【0052】
枠体5は、誘電体である合成樹脂等から形成してもよいが、金属を用いて形成することで面状の電波吸収体1を高い強度のものとすることができる。金属を用いる場合には、不要電波の到来が考え得る枠体5の部位に電波吸収体21を取り付けておくことで、枠体5による更なる不要電波の発生を防止でき好ましい。
【0053】
かかる構造により、反射層22や抵抗層25の強度が脆弱であっても、枠体5により保持されることで構造体として安定したものとでき、また空気層26の厚みを維持して安定した電波吸収性能を得ることができる。また面状の電波吸収体1をパネル状のものとし、設置や取り付けにおける便宜を図ることができる。
【0054】
反射層22、抵抗層25は図12に示す如き方法で取り付けてもよく、イ)は取り付けの一例を示す正面図、ロ)は他の例を示す断面図である。イ)において、導電体3は枠体5に一定間隔をおいて穿設された貫通孔51に挿通されて固定され、導電体3間に空隙Mが形成されることで反射層22(又は抵抗層25)が形成される。またロ)において、枠体5の内面とプレート52とで反射層22(又は抵抗層25)のシートが挟持され、枠体5及びプレート52が締結手段53により締結されることで、反射層22(又は抵抗層25)は枠体5に保持される。
【0055】
また反射層22(又は抵抗層25)が金属からなる場合には、溶接によって取り付けても良い。また、接着材を用いて取り付けてもよい。ビス、ボルト、ナットを用いて枠体5に直接取り付けてもよく、上記の如き固定手段を組み合わせてもよい。
【0056】
図13は、本発明に係わる面状の電波吸収体1の、更に他の実施形態を示す断面図である。図11のイ)に示した実施形態と同様に、反射層22の不要電波の到来方向α側に間隔をおいて抵抗層25を設けることで空気層26が形成されているが、その空気層26に、少なくとも1つの保持材6を設けてその厚みを保持しているものである。
【0057】
かかる構造により、反射層22、抵抗層25のいずれか少なくとも一方が厚みの薄いシートか、フィルム状の可撓性の高いものであっても、保持材6により風圧等により撓んで空気層26の厚みが変化するのを防止し、電波吸収性能を安定したものとすることができる。
【0058】
保持材6は、合成樹脂等の誘電体又は誘電体の発泡体等の電波の透過に対する影響の少ないものを用いてよく、更には電波吸収性を有する材料を用いて入射される不要電波の減衰を補助するものとしてもよい。
【0059】
かかる電波吸収材料2により形成された面状の電波吸収体1を、図14に示す如く基礎101より立設された支柱102に取り付け、不要電波抑制構造10を形成して中央分離帯G上に設置することで、中央分離帯G上を通過して反対車線に向かう不要電波R1は、不要電波抑制構造10により減衰される。面状の電波吸収体1を用いていることで、金網等の電波反射材料を用いて形成したものの如き不要電波の更なる反射による不具合が発生する恐れもなくなる。
【0060】
更に、本発明に係わる面状の電波吸収体は、対向車間50mに対して遮光角度が8〜12度となされていることが好ましい。遮光角度とは、高速道路等において中央分離帯に防眩板を設置する場合の防眩効果を示す尺度であり、図15に示す如く、中央分離帯を挟んで対抗する方向に走行する車両C1及びC2が50mの距離にあるとき、車両C2の前照灯からの光線が車両C1の運転者に入射されるのを防眩板Hが遮る角度θを示すものである。
【0061】
かかる遮光角度θは対向車間50mに対して10度程度が好ましいとされており、10度近辺を下回ると防眩効果が低くなり、10度近辺を上回ると隣接する車線側が見えにくくなる。車両C1及びC2の位置が変わっても、遮光角度θを維持するために防眩板Hは適宜間隔をおいて設けられるものであるが、本発明に係わる面状の電波吸収体は空孔を有し、その空孔から風のみならず光線も透過するものであるから、面状の電波吸収体の厚みに対して穿設する空孔の大きさを適宜設定することで、中央分離帯に設置した場合において遮光角度θが8〜12度となるようにすれば、防眩板Hに代わって優れた防眩効果を発揮でき好ましい。
【0062】
また、本発明に係わる面状の電波吸収体は、外面に光触媒含有層が形成されていることが好ましい。光触媒含有層が形成されていることで、外面に付着した水は、水滴とならずに均一な極めて薄い水膜となるために、電波吸収特性の低下を緩和できる。また紫外線の照射により光触媒が活性化し、外面が超親水化されることで道路周辺に存在する疎水性の汚染物質が付着した場合でも、降雨によって容易に洗い流され、外観を清浄に保持することができる。
【0063】
更にまた、本発明に係わる面状の電波吸収体は、空気を透過すると共に音波も透過できるので、既存の吸音板の前面に取り付ければ、その吸音性能を損なうことなく電波吸収性能を具備させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係わる面状の電波吸収体の、実施の一形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係わる面状の電波吸収体の、他の実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明に係わる面状の電波吸収体の、参考例を示す説明図である。
【図4】本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の参考例を示す断面図である。
【図5】本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の他の参考例を示す断面図である。
【図6】本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の、一実施形態を示す断面図である。
【図7】反射層、抵抗層に用いられる導電性格子又は導電性メッシュの例を示す正面図である。
【図8】反射層、抵抗層に用いられる導電性膜を含むシートの例を示す説明図である。
【図9】本発明に係わる面状の電波吸収体を形成する電波吸収材料の、他の実施形態を示す断面図である。
【図10】調整層の導電パターンの例を示す正面図である。
【図11】本発明に係わる面状の電波吸収体の、更に他の実施形態を示す断面図である。
【図12】本発明に係わる面状の電波吸収体における反射層、抵抗層の取り付けの一例を示す説明図である。
【図13】本発明に係わる面状の電波吸収体の、更に他の実施形態を示す断面図である。
【図14】本発明に係わる不要電波抑制構造の、実施の一形態を示す説明図である。
【図15】本発明に係わる遮光角度を説明する上面図である。
【図16】本発明が適用される車両運行支援システムが設けられた道路を示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1 面状の電波吸収体
11 空孔
2 電波吸収材料
21 電波吸収体
22 反射層
25 抵抗層
26 空気層
3 導電体
4 調整層
5 枠体
6 保持材
10 不要電波抑制構造
M 空隙
A アンテナ
B 防音壁
K 壁高欄
G 中央分離帯
R 電波
C 車両
F 車載器
T 曲面を有する車両
R1 不要電波
θ 遮光角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路周辺に面状の電波吸収体を設置し、道路近傍から飛来する不要電波を前記面状の電波吸収体により減衰させて抑制する構造であって、前記面状の電波吸収体は、電波を反射する反射層の不要電波の到来方向に空気層を挟んで抵抗層が設けられ、且つ一対となされた空気層及び抵抗層は少なくとも1つが設けられ、前記反射層及び抵抗層は空気を透過する空隙を有するものであることを特徴とする不要電波抑制構造。
【請求項2】
前記電波反射層及び/又は抵抗層は、導電性格子状シート、導電性メッシュ状シート、又は導電性膜を含み且つ空隙を有するシートからなる群から選ばれた、適当な面抵抗値を有する少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の不要電波抑制構造。
【請求項3】
前記空気層は、導電性パターンを有する調整層が配置されたものであって、該導電性パターンは、誘電体からなる格子またはメッシュに部分的に付加されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の不要電波抑制構造。
【請求項4】
前記反射層及び/又は前記抵抗層は、枠体に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の不要電波抑制構造。
【請求項5】
前記空気層は、少なくとも1つの保持材によりその厚みが保持されていることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の不要電波抑制構造。
【請求項6】
面状の電波吸収体は、0度〜30度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の不要電波抑制構造。
【請求項7】
面状の電波吸収体は、中央分離帯に設置された場合、対向車間距離50mに対して遮光角度が8〜12度となされることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の不要電波抑制構造。
【請求項8】
面状の電波吸収体は、外面に光触媒含有層が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の不要電波抑制構造。
【請求項1】
道路周辺に面状の電波吸収体を設置し、道路近傍から飛来する不要電波を前記面状の電波吸収体により減衰させて抑制する構造であって、前記面状の電波吸収体は、電波を反射する反射層の不要電波の到来方向に空気層を挟んで抵抗層が設けられ、且つ一対となされた空気層及び抵抗層は少なくとも1つが設けられ、前記反射層及び抵抗層は空気を透過する空隙を有するものであることを特徴とする不要電波抑制構造。
【請求項2】
前記電波反射層及び/又は抵抗層は、導電性格子状シート、導電性メッシュ状シート、又は導電性膜を含み且つ空隙を有するシートからなる群から選ばれた、適当な面抵抗値を有する少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の不要電波抑制構造。
【請求項3】
前記空気層は、導電性パターンを有する調整層が配置されたものであって、該導電性パターンは、誘電体からなる格子またはメッシュに部分的に付加されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の不要電波抑制構造。
【請求項4】
前記反射層及び/又は前記抵抗層は、枠体に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の不要電波抑制構造。
【請求項5】
前記空気層は、少なくとも1つの保持材によりその厚みが保持されていることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の不要電波抑制構造。
【請求項6】
面状の電波吸収体は、0度〜30度の電波入射角度範囲において、5.8GHzの円偏波に対する反射減衰量が20dB以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の不要電波抑制構造。
【請求項7】
面状の電波吸収体は、中央分離帯に設置された場合、対向車間距離50mに対して遮光角度が8〜12度となされることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の不要電波抑制構造。
【請求項8】
面状の電波吸収体は、外面に光触媒含有層が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の不要電波抑制構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−71317(P2009−71317A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274746(P2008−274746)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【分割の表示】特願2003−48598(P2003−48598)の分割
【原出願日】平成15年2月26日(2003.2.26)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【分割の表示】特願2003−48598(P2003−48598)の分割
【原出願日】平成15年2月26日(2003.2.26)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
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