説明

不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒の再充填方法

【課題】 反応管に充填されている不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒を該反応管から抜き出して再充填するにあたり、圧力損失の増大を良好に抑制することができる再充填方法を提供する。
【解決手段】 反応管に充填されている不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒を該反応管から抜き出して得られる回収触媒を再び反応管に充填する不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒の再充填方法であって、前記回収触媒を、調製されたのち反応管に充填されたことのない未充填の不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒とともに反応管に充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応管に充填されている不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒を、該反応管から抜き出した後、再び反応管に充填する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和アルデヒド製造用触媒や不飽和カルボン酸製造用触媒は、例えば、アクロレインやアクリル酸もしくはメタクロレインやメタクリル酸を製造する際の接触気相酸化反応に使用されており、この接触気相酸化反応は、通常、筒状の反応管に触媒を充填し、該反応管に原料ガスを通じさせることにより行なわれる。
【0003】
ところが、触媒を反応管に充填する際には、例えば、反応管内でブリッジが形成されるなどして不均一に充填されてしまったり、充填時に触媒の一部が欠損してしまうなど、様々な問題が発生することがあり、そのような場合には、充填した触媒を一旦反応管から抜き出し、再び充填し直す必要があった。また、良好に充填された場合であっても、反応器のトラブル等のため充填された触媒が長期間反応に供されない場合などには、充填した触媒を一旦反応管から抜き出す必要があった。しかし、このように、充填した触媒を一旦反応管から抜き出した場合には、一度反応管に充填し抜き出した触媒(本明細書では、これを「回収触媒」と称する)をそのまま反応管に再度充填して反応に供すると、期待する触媒活性が得られず目的生成物の収率が低下することがあった。そのため、従来は、触媒を再充填する必要が生じた場合、抜き出した回収触媒は廃棄し、新しい触媒を使用するのが一般的であった。
【0004】
そこで、この廃棄される回収触媒の無駄を回避する手段として、反応管に充填されている触媒を該反応管から抜き出した後、篩分けして篩上に残った回収触媒を再度反応管に充填する方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−218434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の方法では、回収触媒が再充填された反応管において入り口と出口との圧力差、すなわち圧力損失が大きくなることがあった。かかる圧力損失が大きくなると、例えば多管式反応器を用いて工業的スケールで接触気相酸化反応を行なう際に、各反応管の圧力損失においてばらつきが生じやすくなり、前記反応を安定的に行う上で問題が生じることとなる。そのため、上記特許文献1記載の方法は、かかる圧力損失の点で必ずしも満足のいくものではなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、反応管に充填されている不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒を該反応管から抜き出して再充填するにあたり、圧力損失の増大を良好に抑制することができる再充填方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、反応管から抜き出した回収触媒を再充填するにあたり、該回収触媒を単独で用いるのではなく、調製されたのち反応管に充填されたことのない未充填の触媒とともに反応管に充填することにより、圧力損失の増大を効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒の再充填方法は、反応管に充填されている不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒を該反応管から抜き出して得られる回収触媒を再び反応管に充填する不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒の再充填方法であって、前記回収触媒を、調製されたのち反応管に充填されたことのない未充填の不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒とともに反応管に充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反応管に充填されている不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒を該反応管から抜き出して再充填するにあたり、圧力損失の増大を良好に抑制することができる。これにより、反応管から抜き出した回収触媒を廃棄することなく有効に活用できるとともに、例えば工業的スケールにおいても安定的に反応を行なうことができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒の再充填方法(以下「本発明の再充填方法」と称することもある)は、反応管に充填されている不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒を該反応管から抜き出して得られる回収触媒を再び反応管に充填するにあたり、前記回収触媒を、調製されたのち反応管に充填されたことのない未充填の不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒(以下「未充填触媒」と称することもある)とともに反応管に充填する方法である。
【0012】
未充填触媒は、調整後、具体的には触媒として成形された後、一度も反応管に充填されたことのない触媒であり、反応管に充填することにより生じる物理的負荷を負ったことのない触媒である。ここで言う反応管とは、通常、内径が60mmφ以下の筒状の管であり、一般に触媒を調製した後の保管に使用されるドラム缶等とは区別されるものである。また、回収触媒は、反応管から抜き出した触媒であり、ここで言う反応管も、上記と同様、ドラム缶等とは区別されるものである。
【0013】
回収触媒は、反応に未使用のものであってもよいし、反応に使用されたものであってもよい。また、回収触媒は、その触媒活性を回復させるための再生処理が施されたものであってもよく、反応管に充填した状態で再生処理を施した後、該反応管から抜き出した再生触媒を、回収触媒としてもよい。好ましくは、回収触媒は、反応に未使用のものであるのがよい。なお、未充填触媒は、反応管に充填されたことのない触媒であるから、通常は、反応に未使用のものである。
【0014】
回収触媒および未充填触媒は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。回収触媒または未充填触媒が2種以上である場合、それらは混合して一括充填する形態で使用されてもよいし、触媒種ごとに積層して充填する形態で使用されてもよいが、好ましくは積層して充填する形態がよい。
回収触媒と未充填触媒とは、同一組成であってもよいし、異なる組成であってもよいが、同一組成であることが好ましい。また、例えば、回収触媒が2種以上である場合、未充填触媒としては、2種以上の回収触媒と各々同じ組成である2種以上を用いることが好ましい。
【0015】
充填した触媒を抜き出して回収触媒を得る際の抜き出し方法は、特に限定はなく、例えば、水平面に対して垂直方向(鉛直方向)に設置された反応管である場合には、反応管下部より自然落下で抜き出す方法、針金等を用い触媒層に軽い衝撃を与えながら反応管下部から抜き出す方法、反応管上部から真空引きにより抜き出す方法等を採用することができる。これらの中でも、反応管上部から真空引きにより抜き出す方法が好ましい。また、複数の触媒が積層して充填されている場合、その全てを一括して抜き出してもよく、各層の充填層長や充填重量等を指標に触媒種ごとに抜き出してもよいが、好ましくは触媒種ごとに抜き出すのがよい。
【0016】
抜き出された回収触媒は、そのまま再充填に供してもよいし、さらに篩分けを施した後、再充填に供してもよい。篩分けを施す場合には、例えば、目開き3.0〜6.0mm程度の篩を用い、該篩を通過しなかった触媒のみを分離回収して、再充填に供するようにすればよい。
【0017】
回収触媒を未充填触媒とともに再充填するに際しては、両者(回収触媒および未充填触媒)をあらかじめ混合して反応管に充填するようにしてもよいし、両者を別々に反応管に充填する(すなわち、両者を積層して反応管に充填する)ようにしてもよいが、積層して充填するのが好ましい。回収触媒と未充填触媒とを積層して充填する場合、積層の順序は特に制限されず、例えば、水平面に対して垂直方向(鉛直方向)に設置された反応管に積層して充填する場合には、回収触媒を上側に充填し、未充填触媒を下側に充填してもよく、逆に、回収触媒を下側に充填し、未充填触媒を上側に充填してもよいが、好ましくは、回収触媒を上側に充填し、未充填触媒を下側に充填するのがよい。
【0018】
回収触媒の充填量は、圧力損失の増大をより良好に抑制する観点から、該回収触媒と未充填触媒との合計100重量部に対して80重量部以下とすることが好ましい。回収触媒の充填量が前記範囲よりを超えると、圧力損失の増大を充分に抑制できないおそれがある。
回収触媒を未充填触媒とともに再充填する際の充填速度は、通常5〜60g/秒、好ましくは5〜40g/秒である。充填速度が速すぎると、充填時に触媒の一部が欠損したり、ブリッジが形成されたりするおそれがあり、一方、充填速度が遅すぎると、例えば工業的スケールで充填を行う際に長時間を要することになり、好ましくない。
【0019】
回収触媒および未充填触媒を再充填する反応管としては、特に制限はなく、公知の反応管を採用することができる。具体的には、その形状は、反応管の外径は、通常10〜60mm程度であり、反応管の肉厚は、通常1〜5mm程度であり、反応管の長さは、通常0.3〜10m程度である。
【0020】
本発明の再充填方法の対象としうる不飽和アルデヒド製造用触媒は、接触気相酸化反応による不飽和アルデヒドの製造に用いられる触媒であり、例えば、プロピレンを分子状酸素で酸化してアクロレインを製造するための触媒や、イソブチレン、ターシャリーブチルアルコールを分子状酸素で酸化してメタクロレインを製造するための触媒等が挙げられる。
【0021】
前記不飽和アルデヒド製造用触媒は、モリブデン及びビスマスを含む複合酸化物からなることが好ましく、例えば、下記一般式(1)で示される組成を有するものであることが好ましい。
MoaBibFecAdBeCfDgOx (1)
(式(1)中、Mo、Bi及びFeはそれぞれモリブデン、ビスマス及び鉄を表し、Aはニッケル及び/又はコバルトを表し、Bはマンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、スズ及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Cはリン、ホウ素、ヒ素、テルル、タングステン、アンチモン及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Dはカリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Oは酸素を表し、a=12としたとき、0<b≦10、0<c≦10、1≦d≦10、0≦e≦10、0≦f≦10、0<g≦2であり、xは各元素の酸化状態により定まる値である。)
また、前記不飽和アルデヒド製造用触媒としては、特開2000−288396号公報、特開平9−52053号公報、特開平9−12489号公報、特開2001−96162号公報、特開2007−117866号公報、特開2007−326787号公報、特開2008−6359号公報、特開2008−231044号公報等に記載された公知の触媒を用いることもできる。なお、不飽和アルデヒド製造用触媒を調製する方法としては、特に制限されるものではなく、例えば上記各公報等に基づき、調製することができる。
【0022】
本発明の再充填方法の対象としうる不飽和カルボン酸製造用触媒は、接触気相酸化反応による不飽和カルボン酸の製造に用いられる触媒であり、例えば、アクロレインを分子状酸素で酸化してアクリル酸を製造するための触媒や、メタクロレインを分子状酸素で酸化してメタクリル酸を製造するための触媒等が挙げられる。
【0023】
前記不飽和カルボン酸製造用触媒は、モリブデン及びリンを含むヘテロポリ酸化合物からなることが好ましく、例えば、下記一般式(2)で示される組成を有するものであることが好ましい。
PaMobVcXdYeOx (2)
(式(2)中、P、Mo及びVはそれぞれリン、モリブデン及びバナジウムを表し、Xはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を表し、Yは銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン、セリウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Oは酸素を表し、b=12としたとき、0<a≦3、0≦c≦3、0<d≦3、0≦e≦3であり、xは各元素の酸化状態により定まる値である)
また、前記不飽和カルボン酸製造用触媒としては、特開2004−188231号公報、特開2006−212520号公報、特開平6−192114号公報等に記載された公知の触媒を用いることもできる。なお、不飽和カルボン酸製造用触媒を調製する方法としては、特に制限されるものではなく、例えば上記各公報等に基づき、調製することができる。
【0024】
前記不飽和アルデヒド製造用触媒又は前記不飽和カルボン酸製造用触媒の形状は、例えば、円柱状、球状、リング状等の一般的な触媒形状の中から反応の種類等に応じて適宜設定すればよく、特に制限されない。例えば、不飽和アルデヒド製造用触媒はリング状であることが好ましく、不飽和カルボン酸製造用触媒は円柱状であることが好ましい。
また、前記不飽和アルデヒド製造用触媒又は前記不飽和カルボン酸製造用触媒のかさ密度は、通常0.8〜1.5g/mlであり、好ましくは0.8〜1.3g/mlである。
また、前記不飽和アルデヒド製造用触媒又は前記不飽和カルボン酸製造用触媒の落下強度は、通常85%以上であり、好ましくは90%以上である。なお、ここで言う落下強度は、触媒xgを、5mの高さから、鉛直方向に設置された内径30mmφの管内に落下させ、目開き4.75mmの篩(4メッシュ)上に残った量をygとした時に、式〔(y/x)×100〕で求められるものである。
【0025】
本発明の再充填方法は、前記不飽和アルデヒド製造用触媒と前記不飽和カルボン酸製造用触媒のいずれを対象としても良いが、とりわけ、不飽和アルデヒド製造用触媒の再充填に適用するのが好ましい。
なお、上述した本発明の再充填方法では、不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒を対象としているが、例えば、焼成することによって不飽和アルデヒド製造用触媒や不飽和カルボン酸製造用触媒となる前駆体を反応管に充填し、その状態で加熱処理することにより、反応管に充填した状態の不飽和アルデヒド製造用触媒や不飽和カルボン酸製造用触媒とする場合には、不飽和アルデヒド製造用触媒の前駆体又は不飽和カルボン酸製造用触媒の前駆体を本発明の再充填方法の対象としてもよく、このように前駆体を対象とする態様も本発明の範囲に包含される。
【0026】
以上のような本発明の再充填方法によって触媒が充填されてなる反応管は、圧力損失が小さく抑制されている。なお、圧力損失とは、触媒が充填された反応管における入り口と出口との圧力差であり、触媒を充填する前(ブランク)と触媒を充填した後の反応管とについて、管内に所定流量の空気を流したときの大気圧との差圧を差圧計で読み取ることにより測定される。詳しくは、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、触媒充填後の反応管の圧力損失は下記の方法で測定した。
【0028】
<触媒充填後の反応管の圧力損失>
まず、触媒充填前の反応管に線速1.0m/秒の空気を流し、大気圧との差圧をデジタル式差圧計((株)テストー製「testo506」)を用いて測定して、これをブランク値(P0)とする。次に、触媒を充填した後、触媒充填後の反応管に線速1.0m/秒の空気を流し、大気圧との差圧を上記デジタル式差圧計を用いて測定して、得られた値(P1)と上記ブランク値との差(P1−P0)を、触媒充填後の反応管の圧力損失(△P)とした。
【0029】
(製造例−触媒A、Bの調製)
特開2000−288396号公報に記載の方法に基づいて、モリブデン及びビスマスを含む複合酸化物からなり触媒組成の異なる2種類の不飽和アルデヒド製造用触媒A、Bを調製した。触媒Aおよび触媒Bはいずれも、リング状であり、粒子径は6.0〜6.4mmφ、粒子長は5.8〜6.8mmL、内径は2.0〜2.5mmφ、かさ密度は0.90〜1.06g/cm2であった。また、各触媒xgを、5mの高さから、鉛直方向に設置された内径30mmφの管内に落下させ、目開き4.75mmの篩(4メッシュ)上に残った量をygとした時に、式〔(y/x)×100〕で求められる落下強度(%)は、触媒Aが92%であり、触媒Bが93%であった。
【0030】
(実施例1)
鉛直方向に設置した反応管(内径25.0mmφ、長さ4000mm)の上部から、製造例で調製された未充填触媒である触媒A1040gを充填速度約10g/秒で充填した後、製造例で調製した未充填触媒である触媒B420gを充填速度約10g/秒で充填した。すなわち、反応管の下から触媒A、触媒Bの順で積層するように充填した。このようにして得た触媒充填後の反応管の圧力損失(△P)は、1103mmH2Oであった。
【0031】
次いで、上記反応管から触媒Aおよび触媒Bを抜き出して、それぞれ、抜き出した触媒Aを回収触媒A’と、抜き出した触媒Bを回収触媒B’とした。触媒の抜き出しは、反応管の上部から真空引きすることにより、触媒Bを抜き出した後、触媒Aを抜き出す順序で行った。
【0032】
次に、先と同様の反応管の上部から、未充填触媒である触媒A312g、回収触媒A’728g、未充填触媒である触媒B126g、および回収触媒B’294gを、この順でそれぞれ充填速度約10g/秒にて充填した。すなわち、反応管の下から触媒A、回収触媒A’、触媒B、回収触媒B’の順で積層するように充填した。なお、未充填触媒と回収触媒との比率は、触媒A:回収触媒A’(重量比)=30:70、触媒B:回収触媒B’(重量比)=30:70、であった。このようにして得た触媒充填後の反応管の圧力損失(△P)は、1165mmH2Oであった。
【0033】
(比較例1)
実施例1と同様にして得た回収触媒A’1040gと、実施例1と同様にして得た回収触媒B’420gとに、それぞれ篩分けを施した後、実施例1と同様の反応管の上部から回収触媒A’、回収触媒B’の順でそれぞれ充填速度約10g/秒にて充填した。すなわち、反応管の下から回収触媒A’、回収触媒B’の順で積層するように充填した。このようにして得た触媒充填後の反応管の圧力損失(△P)は、1239mmH2Oであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応管に充填されている不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒を該反応管から抜き出して得られる回収触媒を再び反応管に充填する不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒の再充填方法であって、
前記回収触媒を、調製されたのち反応管に充填されたことのない未充填の不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒とともに反応管に充填することを特徴とする不飽和アルデヒド製造用触媒又は不飽和カルボン酸製造用触媒の再充填方法。
【請求項2】
前記回収触媒と前記未充填の触媒とを積層して充填する請求項1に記載の再充填方法。
【請求項3】
前記回収触媒の充填量が、該回収触媒と前記未充填の触媒との合計100重量部に対して80重量部以下である請求項1又は2に記載の再充填方法。

【公開番号】特開2010−234263(P2010−234263A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84922(P2009−84922)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】