説明

不飽和カルボン酸およびアルケンエーテル誘導体に基づくコポリマーを含む混合組成物、スルホ基を含むコポリマーおよびターポリマー、ならびにその使用

本発明は、成分Iとして不飽和モノまたはジカルボン酸誘導体およびオキシアルキレンエーテルに基づくコポリマー、ならびに成分IIとしてスルホ基を含み、50 000〜20 000 000g/molの平均分子量を有する水溶性のコポリマーおよびターポリマーを含む、分散特性を有する混合組成物に関する。それぞれ4つの構造単位により特徴付けることができる両成分を組み合わせることによって、建築化学分野において知られている応用に加えて、有機および/もしくは無機顔料および充填剤のための分散剤として、もっと特別に使用することができる混合組成物を得ることが可能である。建築化学分野において、この混合組成物は、その分散特性の故に、特にセラミック系での、ならびに水性塗装および被覆系での使用に適している。その分散効果とは無関係に、上記混合組成物は優れた溶解剤でもあり、それらは、その安定化効果のおかげで、セルフレベリング間隙充填材料および鏝塗り配合物においても、特にカゼイン代替物として使用することができる。本発明の混合組成物は、成分IおよびIIの知られている好ましい性質を兼備しており、新規な応用分野で、建築化学以外の分野においてさえも使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1に不飽和モノまたはジカルボン酸誘導体およびオキシアルキレングリコールアルケニルエーテルに基づくコポリマーを成分Iとして、第2にスルホ基を含有するコポリマーおよびターポリマーを成分IIとして含む、分散特性を有する混合組成物に、ならびにこの混合組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
特許を請求する混合組成物の2つの主成分、成分IおよびIIは、各々先行技術から十分よく知られている。そういうわけで、ドイツ特許公開DE199 26 611号は、セメント、石膏、石灰、無水石膏または他の硫酸カルシウム系建築材料などの特に鉱物またはアスファルトに基づく無機および有機固体の水性懸濁物に対する優れた添加剤である成分Iによるコポリマーを記載している。しかしながら、前記コポリマーは、粉状分散結合剤に基づく水性懸濁物のための添加剤として同様に使用することができる。セラミック材料、耐熱性材料および油田建設材料の分野におけるこれらのコポリマーの使用も以前に記載されている。
【0003】
ドイツ特許公開100 37 629号および未公開文書DE103 48 502.3号は、主成分IIによるコポリマーおよびターポリマーを記載している。DE100 37 629は、比較的高い使用温度でも優れている保水特性を主成分IIに帰していて、該コポリマーは、顔料含有塗料、下塗り材料、接着性モルタル、充填剤、接合充填剤、空気中のコンクリート、水中のコンクリート、油井セメントおよび建築化学における他の製品に、加工中においてもおよび凝固もしくは乾燥状態においてもともに、顕著な応用関連特性を付与することもできる。前記文書に記載されているポリマーは、特に、それらが建築材料混合物の増粘化特性を、電解質の高濃度においてさえも、鎖長、電荷密度、両親媒性および疎水性側鎖により意図的に調節することを可能にすることにおいて、特徴付けられる。コンクリート、流動スクリードおよび他の易流動性のギャップ充填材料において、DE100 37 629号によるコポリマーは、少量添加するものであるが、安定化剤および材料分離阻止剤として作用する。
【0004】
DE100 37 629号に基づいて構成されたが未公開のドイツ特許出願103 48 502.3号は、スルホ基を含み、水性建築材料系ならびに水性塗装および被覆系に安定化特性を付与するためにも理想的である水溶性コポリマーとターポリマーとをすでに記載している。これに関して特に適当であるとされた応用には、水硬性結合剤としてのセメント、石灰、石膏および無水石膏を含む水性建築材料系が含まれる。
【0005】
主成分Iに対応するコポリマーの開発において、主たる目的は、少量添加したときでさえも、高濃度建築材料混合物の加工性を長いサービス期間にわたって維持して、同時に、たとえ水/結合剤の比が顕著に低下しても、建築材料が凝結したときに増強された強度が達成されることを可能にする新化合物を提供することであった。
【0006】
本発明の主成分IIに対応するコポリマーおよびターポリマーの開発にとって、主たる目的は、比較的高温における明白な有効性であった。同様に、これらのポリマーは、高い電解質濃度の場合においてさえも均一な増粘特性を示し、簡単で再現性のある様式で作製できかつ最終的にそれらが添加された建築材料および塗装系に、加工中だけでなく凝結または乾燥したときにも際立った応用関連特性を付与するべきである。
【0007】
記載した2つのポリマー群に対する目的について各々述べたことを満たすことは可能であったし、またそれに加わる有益な性質も実際に示されたので、今や、上記のポリマーのそれぞれの有益な性質を単一の組成物に合わせ、かつ知られた応用分野におけるそれぞれの利点を他方の領域に拡張することが望ましいであろう。
【特許文献1】ドイツ特許公開DE199 26 611号
【特許文献2】ドイツ特許公開DE100 37 629号
【特許文献3】ドイツ特許出願DE103 48 502.3号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ、本発明の目的は、知られているコポリマーおよびターポリマーを基剤として、無機および有機両方の固体、特に鉱物のまたはアスファルトの結合剤に基づく固体に対する分散特性を有し、かつ、特に、それらが少量添加されたときでさえも建築材料混合物を安定化することが可能である、建築材料混合物の粘度に有利に影響する混合組成物を提供することである。それに加えて、この混合組成物は簡単におよび経済的に入手可能でもあるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、I)不飽和モノまたはジカルボン酸誘導体およびオキシアルキレングリコールアルケニルエーテルに基づくコポリマー、およびII)スルホ基を含有し、50,000から20,000,000g/molの数平均分子量を有する水溶性コポリマーおよびターポリマーを含む、分散特性を有する混合組成物によって達成された。
【0010】
驚くことに、この混合組成物は必要条件とされる製品特性を有するのみでなく、個々の成分に可能な用途を超えて拡大する応用範囲を包含することが見出された。特許を請求する混合組成物は、従って、建築化学用途における分散剤として使用できるのみでなく、一般的に有機および無機顔料および充填剤を分散することもできる。建築化学の分野において、成分I)およびI)を含む混合組成物は、際立った可塑化および安定化特性を有するのみでなく、例えばカゼインなどの既知の流動促進添加剤を置き換えて、有効性と加工の両方を高度に向上させることができるので、本発明による混合組成物の可能な用途も、水性建築材料系のための添加剤として知られた用途を超えて拡大する。本発明による混合組成物を使用して達成可能な効果を合わせたものは、このように広範囲の応用において、実際には自明の個々の成分の組合せから期待される効果を凌駕する。このことは、この程度までは予測できなかった。
【0011】
本発明に対応する混合組成物の成分Iは、少なくとも3つ、しかし好ましくは4つの構造基a)、b)、c)およびd)を含む。第1の構造基a)は一般式Ia、IbまたはIcを有するモノまたはジカルボン酸誘導体である。
【0012】
【化1】

【0013】
モノカルボン酸誘導体Iaの場合、R1は水素または1から20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、好ましくはメチル基を表す。構造IaおよびIb中のX1は-OaM1および/または、-O-(CmH2mO)n-R2または-NH-(CmH2mO)n-R2を表し、式中M1、a、m、nおよびR2は下で与えられる意味を有する:
【0014】
M1は水素、1価または2価の金属カチオン、アンモニウム、有機アミン基を表し、また、M1が1価カチオンか2価カチオンであるかによって、a=1/2または1である。使用する有機アミン基は、好ましくは、第1級、第2級または第3級のC1〜20アルキルアミン、C1〜20アルカノールアミン、C5〜8シクロアルキルアミンおよびC8〜14アリールアミンから誘導した、好ましくは置換されたアンモニウム基である。対応するアミンの例には、プロトン化した(アンモニウム)型のメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミンが挙げられる。M1としては、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムが好ましい1価または2価の金属イオンである。
【0015】
R2は、水素または1から20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5から8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基、6から14個の炭素原子を含む任意に置換されていることもできるアリール基、m=2から4およびn=0から200である。脂肪族炭化水素基は、この場合、直鎖でも分岐状でもまた飽和でも不飽和でもよい。好ましいシクロアルキル基は、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基および好ましいアリール基は、特にヒドロキシル、カルボキシルまたはスルホン酸基により置換されていてもよいフェニルまたはナフチル基である。
【0016】
式Ibのジカルボン酸誘導体への代替または追加として、構造基a)(モノまたはジカルボン酸誘導体)は式Icに対応する環状の形であることもできる。ここで、Y=O(酸無水物)またはNR2(酸イミド)、ただしR2は上記の意味を有する。
【0017】
第2の構造基すなわち構造基b)は、式II
【0018】
【化2】

【0019】
に対応し、オキシアルキレングリコールアルケニルエーテルから誘導される(式中、m、nおよびR2は上記の意味を有する)。次にR3は、水素または1から5個の炭素原子を含む、直鎖状でももしくは分岐状でもよく、かつ不飽和でもよい脂肪族炭化水素基を表す。pは0と3の間の値をとることができる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、式Ia、IbおよびIIにおいて、m=2および/または3であり、従って基はポリエチレンオキシドおよび/またはポリプロピレンオキシドから誘導されたポリアルキレンオキシド基である。さらに好ましい実施形態において、式II中のpは0または1で、すなわちビニルおよび/またはアルキルポリアルコキシレートを表す。
【0021】
第3の構造基すなわち構造基c)は式IIIaまたはIIIbに対応する。
【0022】
【化3】

【0023】
式IIIaにおいて、R4は、該誘導体がアクリル酸誘導体であるかメタクリル酸誘導体であるかによってHまたはCH3であってよい。S1は、本発明の場合、-H、-COaOM1または-COOR5を表し、ここでM1は上記の意味を有し、R5は3から20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5から8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基、6から14個の炭素原子を含むアリール基であってよい。脂肪族炭化水素基は直鎖状でも分岐状でも、飽和でも不飽和でもよい。次に、好ましい環状脂肪族炭化水素基は、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基で、好ましいアリール基はフェニルまたはナフチル基である。T1=-COOR5ならば、S1=COOaMまたは-COOR5である。T1およびS1=COOR5ならば、対応する構造基はジカルボン酸エステルから誘導される。
【0024】
これらのエステル構造単位に加えて、構造基c)は
【0025】
【化4】

【0026】
を含むポリプロピレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシド誘導体を含む他の疎水性構造要素も有することができる。
【0027】
この場合、xは1から150の、yは0から15の値をとる。ポリプロピレンオキシド(ポリエチレンオキシド)誘導体は、この場合、式IIIaに対応する構造基c)のエチル基にU1部分を通して連結できる。ここで、U1=-CO-NH-、-O-またはCH2-O-である。これらは、式IIIaに対応する構造基の対応するアミド、ビニルまたはアリルエーテルである。次にR6は、この場合、R2(R2の意味については上を参照されたい)または
【0028】
【化5】

【0029】
であってよい(式中、U2=-NH-CO-、-O-、またはOCH2-で、S1は上記の意味を有する)。これらの化合物は、式IIIaに対応する二官能性アルカノールのポリプロピレンオキシド(ポリエチレンオキシド)誘導体である。
【0030】
さらなる疎水性構造要素として、式IIIaに対応する化合物は、図式IIIaにおいてT1=-W1-R7に対応するポリジメチルシロキサン基を含むことができる。
【0031】
この場合、W1
【0032】
【化6】

【0033】
(以後、ポリジメチルシロキサン部分と称する)
を表し、R7=R2であることができ、rはこの場合2から100の値をとることができる。
【0034】
ポリジメチルシロキサン部分はエチル基に直接にだけでなく、-CO-[NH-(CH2)3]sW1-R7または-CO-O(CH2)zWl-R7部分を通しても結合できる(式中、R7は好ましくはR2であり、s=1または2およびz=0から4である)。
【0035】
R7はまた下記
【0036】
【化7】

【0037】
のいずれかを表すこともできる。
【0038】
これらは式IIIaに対応する二官能性エチレン化合物で、それらは対応するアミドまたはエステル部分を通して連結して一緒になり、その中で1つのエチレン基だけが共重合している。
【0039】
同じことが、Tl=(CH2)z-V1(CH2)z-CH=CH-R2(式中、z=0から4、V1はポリジメチルシロキサン基W1または-O-CO-C6H4-CO-O-基のいずれかであることができ、R2は上記の意味を有する)を含む式IIIaの化合物に当てはまる。これらの化合物は対応するジアルケニルフェニルジカルボン酸エステルまたはジアルケニルポリジメチルシロキサン誘導体から誘導される。
【0040】
本発明の範囲内で、二官能性エチレン化合物のエチレン基のただ1つだけでなく両方を共重合させることも可能である。これは、実質的に式IIIbに対応する構造基に対応する。
【0041】
【化8】

【0042】
(式中、R2、V1およびzは上で定義した通りである)
【0043】
第4の構造基、すなわち構造基d)は、一般式IVaおよび/またはIVb
【0044】
【化9】

【0045】
(式中、a、M1、X1およびY1は上で定義した通りである)
の不飽和ジカルボン酸誘導体から誘導される。
【0046】
コポリマーIは、好ましくは、式Iaおよび/またはIbおよび/またはIcの構造基を51から95mol%、式IIの構造基を1から48.9mol%、式IIIaおよび/またはIIIbの構造基を0.1から5mol%および式IVaおよび/またはIVbの構造基を0から47.9mol%含む。
【0047】
コポリマーIは、特に好ましくは、式Iaおよび/またはIbの構造基を55〜75mol%、式IIの構造基を19.5〜39.5mol%、式IIIaおよび/またはIIIbの構造基を0.5から2mol%および式IVaおよび/またはIVbの構造基を5から20mol%含む。
【0048】
好ましい実施形態によれば、本発明の混合組成物は、成分Iに関して、さらに、とりわけスチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン、プロピレン、イソブテン、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、AMPS、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アリルヘキシルその他などのビニルまたは(メタ)アクリル酸誘導体に基づくモノマーに基づく構造基を、式I、II、IIIおよびIVの構造基の合計を基準にして、50mol%以下、特に20mol%以下含む。
【0049】
コポリマーI中の反復構造単位の数は制限されない。しかしながら、平均分子量を1,000から100,000g/molに調節することが特に有利であることが見出された。
【0050】
本発明によれば、コポリマーおよびターポリマーIIは4つの構造基a)、b)、c)および/またはd)を含む。
【0051】
第1の構造基a)は、式Vのスルホ基を含む置換アクリル酸またはメタクリル酸誘導体:
【0052】
【化10】

【0053】
(式中、R8=水素またはメチル、R9、R10およびR11=水素、1から6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、メチル基で任意に置換されたフェニル基、V2=NHまたは酸素、およびM2=水素、1価もしくは2価の金属カチオン、アンモニウムまたは有機アミン基、n=1から5およびa=1/2または1)である。使用する1価または2価の金属カチオンは、好ましくは、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウムイオンである。使用する有機アミン基は、好ましくは、第1級、第2級または第3級のC1からC20のアルキルアミン、C1からC20のアルカノールアミン、C5からC8のシクロアルキルアミンおよびC6からC14のアリールアミンである。対応するアミンの例には、プロトン化したアンモニウム型のメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、フェニルアミンおよびジフェニルアミンが挙げられる。
【0054】
成分IIの構造基a)は、主として、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミドブタンスルホン酸、3-アクリルアミド-3-メチルブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタンスルホン酸、3-(メタクリロイル-オキシ)-プロパンスルホン酸などのモノマーに由来する。特に好ましいのは2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)またはその塩である。
【0055】
成分IIの構造基a)の50mol%以下を、メタリルスルホン酸またはアリルスルホン酸モノマーから誘導した構造単位を含むさらなるスルホン酸基によって、任意に置換されていることができる。
【0056】
成分IIにおいて、第2の構造基、すなわち構造基b)は、式VIa)および/またはVIb):
【0057】
【化11】

【0058】
(式中、W2=-CO-、CO-O-(CH2)x-、CO-NR9-(CH2)x-
x=1から6および
R8およびR9は上で定義した通りである)
に対応している。
【0059】
R12およびR13は、互いに独立に、水素、1から20個の炭素原子を含む任意に置換された脂肪族炭化水素基、5から8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基、6から14個の炭素原子を含むアリール基を表す。これらの基は、ヒドロキシル、カルボキシルまたはスルホン酸基によって任意に置換されていることができる。)
【0060】
式VIb)において、Qは水素または-CHR12R14を表す。Q≠Hならば、R12およびR13は合体して、構造VIb)中において、y=1から4の-CH2-(CH2)yメチレン基を表すことができ、それは式VIb)
【0061】
【化12】

【0062】
の基に含まれて、5乃至8員環複素環を形成する。R14は水素、C1からC4のアルキル基、カルボン酸またはカルボン酸塩基-COOM2aを表し、M2およびaは上記の意味を有する。
【0063】
構造VIa)を形成するモノマーは、好ましくは、次の化合物を含む:アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-シクロヘキシルアクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ターシャリーブチルアクリルアミドその他。構造VIb)の基剤としてのモノマーの例は、N-メチル-N-ビニルホルムアミド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン-5-カルボン酸を含む。
【0064】
第3の構造基、すなわち成分IIの構造基c)は、式VIIaおよび/またはVIIbに対応する。
【0065】
【化13】

【0066】
(式中、Y2=O、NHまたはNR12
V2=(CH2)x-
【0067】
【化14】

【0068】
R15=R12またはR13、-(CH2)2-SO3-M2a
【0069】
【化15】

【0070】
X2=ハロゲン(好ましくはCl、Br)、C1からC4の硫酸アルキル(好ましくは硫酸メチル)またはC1からC4のアルキルスルホネートおよび
R8、R9、R10、R12、R13およびxは上で定義した通りである)
【0071】
構造(VIIa)を形成するモノマーは、次の化合物を含むことが好ましい:[2-(アクリロイルオキシ)-エチル]-トリメチル-アンモニウムクロライド、[2-(アクリロイルアミノ)-エチル]-トリメチル-アンモニウムクロライド、[2-(アクリロイルオキシ)-エチル]-トリメチル-アンモニウムメトサルフェート、[2-(メタクリロイル-オキシ)-エチル]トリメチルアンモニウムクロライドまたはメトサルフェート、[3-(メタクリロイルアミノ)-プロピル]-トリメチルアンモニウムクロライド、N-(3-スルホプロピル)-N-メタクリルオキシエチル-N'-N-ジメチル-アンモニウム-ベタイン、N-(3-スルホプロピル)-N-メチアクリルアミドプロピル-N,N-ジメチル-アンモニウム-ベタインおよび1-(3-スルホプロピル)-2-ビニルピリジニウム-ベタイン。
【0072】
構造VIIb)の基剤としてのモノマーの例は、塩化N,N-ジメチル-ジアリル-アンモニウムおよび塩化N,N-ジエチル-ジアリル-アンモニウムを含む。
【0073】
第4の構造基、すなわち成分IIの構造基d)は式VIIIに対応する。
【0074】
【化16】

【0075】
(式中、
Z2=-COO(CmH2mO)n-R16、-(CH2)p-O(CH2CHW3O)r-(CmH2mO)nR16
W3=H、CH3、C2H5
r=0から100
R16=H、
【0076】
【化17】

【0077】
(式中、少なくとも1つの基R17、R18および/またはR19が、不飽和または飽和で、直鎖または分岐の、1から40個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を表していなければならない)
R17=H、C1〜C2アルキル、フェニル、ベンジル、C1からC6のアルコキシ、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、シアノ、-COOH、-COOR12、-CO-NH2、-OCOR12
R18=C1〜C12アルキル基およびC6〜C14アリール基を含むアリールアルキル基
m=2から4
n=0から200
p=0から20
およびR8およびR12は上で定義した通りである)
【0078】
構造VIIIを形成する好ましいモノマーには、トリスチリルポリエチレングリコール-1100-メタクリレート、ベヘニルポリエチレングリコール-1100-メタクリレート、トリスチリルポリエチレングリコール-1100-アクリレート、トリスチリルポリエチレングリコール-1100-モノビニルエーテル、ベヘニルポリエチレングリコール-1100-モノビニルエーテル、フェニルトリエチレングリコールアクリレート、トリスチリルポリエチレングリコール-1100-ビニロキシ-ブチルエーテル、ベヘニルポリエチレングリコール-1100-ビニロキシ-ブチルエーテル、トリスチリルポリエチレングリコール-ブロック-プロピレングリコールアリルエーテル、ベヘニルポリエチレングリコール-ブロック-プロピレングリコールアリルエーテルその他が含まれる。
【0079】
コポリマーおよびターポリマーは、好ましくは、3から96mol%の構造基a)、3から96mol%の構造基b)、75mol%以下の構造基c)、および/または50mol%以下の構造基d)により構成される。
【0080】
特許請求する混合組成物は、30から80mol%のa)、5から55mol%のb)、2から30mol%のc)および/または0.2から15mol%のd)を含むコポリマーIIを含むことが特に好ましい。
【0081】
本発明に従ってコポリマーおよびターポリマーII中に含まれる反復構造要素の数は、制限されず、個別の応用に著しく依存する。しかしながら、コポリマーおよびターポリマーが50,000から10,000,000の数平均分子量を有するように、構造単位数を調節することは有利であることが見出された。
【0082】
本発明の範囲において、成分IIの構造基c)のモル含有率が構造基a)のモル含有率よりも少なくとも5mol%低ければ特に有利であることが見出された。
【0083】
本発明の範囲において、成分II中の構造基a)、b)またはc)の50mol%以下を、アクリルアミドまたはN,N-ジメチルアクリルアミドモノマーから誘導された構造単位により置換することも可能である。
【0084】
本発明は、成分IIが重合可能なモノオレフィン系、ジオレフィン系およびトリオレフィン系化合物から誘導された構造基e)の0.0001から50mol%をさらに含む特許請求した混合組成物の変形物をも包含する。この関連で特に好ましいのは、ジアクリレートまたはジメタクリレートエステルからなるジオレフィン系化合物である。トリメチロールプロパン、トリアクリレートおよびトリアリルイソシアネートは好ましいトリオレフィン系モノマーであり、またアクリル誘導体およびビニル誘導体は好ましいモノオレフィン系化合物である。
【0085】
本発明の範囲において、成分IIがさらに、構造基a)、b)、c)またはd)および任意にe)の合計を基準にして、さらなる構造基すなわち式(IX)の構造基f)を50mol%以下、特に20mol%以下含むことが可能である。
【0086】
【化18】

【0087】
(式中、
W4=-CO-O-(CH2)q-、-CO-NR9-(CH2)q-
q=1から6および
R8、R9、R12およびR13は上で定義した通りである)
【0088】
構造(IX)を形成するモノマーには、好ましくは、次の化合物が含まれる:[3-(メタクリロイルアミノ)-プロピル]-ジメチルアミン、[3-(アクリロイルアミノ)-プロピル]-ジメチルアミン、[2-(メタクリロイル-オキシ)-エチル]-ジメチルアミン、[2-(アクリロイル-オキシ)-エチル]-ジメチルアミン、[2-(メタクリロイル-オキシ)-エチル]-ジエチルアミン、[2-(アクリロイル-オキシ)-エチル]-ジエチルアミンその他。
【0089】
本発明の範囲において、成分IIの構造基a)の50%以下を、式(X)のスルホン酸含有ベタインモノマーによって置換することも可能である。
【0090】
【化19】

【0091】
(式中、
【0092】
【化20】

【0093】
および
R8、R9およびqは上で定義した通りである)
【0094】
構造(X)を形成するモノマーは、好ましくは、次の化合物を含む:N-(3-スルホプロピル)-N-メタクリロキシエチル-N,N-ジメチル-アンモニウム-ベタイン、N-(3-スルホプロピル)-N-メタクリルアミドプロピル-N,N-ジメチル-アンモニウム-ベタインおよび1-(3-スルホプロピル)-2-ビニル-ピリジニウム-ベタイン。これらのモノマーはカチオン性構造基も含むが、このことが応用においてそれらの空気間隙安定性に悪く影響することはない。
【0095】
少量の架橋剤の導入は、適当ならば、成分IIに少し分岐または架橋した構造を与えることができる。この種の架橋剤の例には、トリアリルアミン、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、N,N'-メチレン-ビス-アクリルアミド、トリエチレングリコール-ビス-メタクリレート、トリエチレングリコール-ビス-アクリレート、ポリエチレングリコール(400)-ビス-メタクリレートおよびポリエチレングリコール(400)-ビス-アクリレートが挙げられる。これらの化合物は、水溶性コポリマーおよびターポリマーがなおも成分IIとして得られるような量でのみ使用することができる。一般的に、その濃度は、構造基a)からg)の合計を基準にして0.1mol%を超えることは稀であろうが、当業者は架橋剤の使用可能な量の上限を容易に決定できる。
【0096】
本発明においては、粘性の、特に好ましくは液体の形態をした混合組成物が特に好ましい。
【0097】
本発明は、いずれにしても、混合組成物の、特にそれに含まれる成分IおよびIIの調製を限定しない。
【0098】
成分Iのコポリマーは、このようにして、ドイツ特許公開DE199 26 611号中に記載されたプロセスに従って、常法により作製される。成分IIのコポリマーおよびターポリマーは、例えば、ドイツ特許公開DE100 37 629号によるプロセスを使用して作製される。それらは、ラジカル、イオンまたは錯体配位物質、溶液、ゲル、エマルション、分散または懸濁重合によって、構造a)からd)を形成するモノマーの連結により、それ自体知られた方法で、普通に作製される。生成物は常に水溶性ポリマーでなければならないので、水相中での重合、逆エマルション中での重合または逆懸濁液中での重合が好ましい。
【0099】
これらの記載されたプロセスまたは任意の他のプロセスを使用して作製できるポリマー成分IおよびIIを、次に基剤となる組成物に普通の方法で加える。しかしながら、それらを、所望の重量比で単純に予備混合して、プレミックスとして基剤となる組成物に加えることもでき、その結果本発明による混合組成物を得ることも可能になる。この混合組成物は成分Iを0.05から50重量%および成分IIを0.01から10重量%含むことが有利であり、その際これらの成分は固形であるべきである。
【0100】
このように、本発明は他の成分に加えて成分IおよびIIを含む混合組成物だけでなく、全くこれら2成分、すなわち成分IおよびIIだけを含む混合組成物を包含し、その場合にはこれが典型的なプレミックスである。
【0101】
本発明は混合組成物の分散特性を重視するので、混合組成物が、成分IおよびIIに加えて、有機および/もしくは無機顔料および充填剤を含み、それゆえに混合組成物に有利な性質を付与する類似の変形物もまた特許を請求する。混合組成物自体に加えて、本発明はその使用をも特許請求し、個々の成分IおよびIIの以前から知られている用途に対比して、新規に意図した用途を開く応用分野が選択される。
【0102】
混合組成物の最も重要な応用の1つは、有機および/または無機顔料および充填剤の、特に好ましくは粘性の調製物中における分散剤としての応用である。混合組成物の分散特性に概して非常に集中するこの特定の用途で、本発明は、別々の成分IおよびIIの既知の応用目的を超え、混合組成物の分散効果に関連して、知られた建築化学用途も、特に好ましい応用分野としてこの場合明確に特許を請求する。この関連で、本発明の混合組成物は、特に好ましくは、セメント、石灰、石膏、無水石膏等などの水硬性結合剤を含む水性建築材料系のための添加剤として、特に使用される。なかでも、建築化学および水性で要求される混合組成物の分散効果は、それゆえ、例えば酸化鉄などの有機および無機顔料を、例えばコンクリート、モルタルおよび鏝塗り配合物などの水硬性結合剤中に安定にかつ均一に導入することを可能にする。
【0103】
着色コンクリートおよびセメントは、例えば着色した敷石または全コンクリート外面の形態で、最近益々頻繁に使用されてきているので、例えば酸化鉄型の顔料を粉末形状または分散物形状のいずれかで添加する需要が増大している。通常不十分であった濡れがこれまで特定の顔料粉のみならず顔料粉末剤において均一に導入することを困難にしていたが、本発明で特許請求した混合組成物はすぐ使用できる安定な分散物を供給することを可能にし、さらに、混合組成物の特許請求した使用は、ずっと微細な粒子サイズと併せて狭い粒子サイズ分布を容易にする。このことは、色の輝度の向上および顔料消費の低減を可能にする。さらに有利な効果は、使用する顔料が建築材料の性質に及ぼす悪影響が大いに減少し、その結果、調節した出発配合物を別々に適合させなくてよいということである。それに加えて、添加する顔料をもっと正確に添加することができ、その結果、例えば、複数の個々のステップにおいて建築材料のバッチによらない配合が、個々の建築部分間で色変化が起こらずに可能になり、あるいは、例えば、精密に予め計算した表面のみを処理することができる。
【0104】
全体として、提案した混合組成物および特に顔料および充填剤に対する分散性と安定性を同時に備えるその特性により、特に建築材料の分野で、有機および/または無機顔料および充填剤を、特に液体の形状で、粘性の調製物中に均一に導入することが可能になる。本発明の混合組成物を使用して作製した分散物の安定性が保証され、比較的長期間、少なくとも3ヶ月にわたって、それにより作製した分散物が析出しないという事実は重要な利点である。
【0105】
本明細書で前に述べたように、分散特性を有する本発明による混合組成物の応用分野は、建築化学における応用のみに限定されず、従前の成分IまたはIIを別々に使用しては到達できない分野でも使用が可能になる。このように、提案した混合組成物は、機能的な系および例えば日焼け止めクリームおよびUV保護剤全般などの例えばナノ粒子を含む系の調製を容易に可能にする。これらの光線保護剤は、皮膚保護調製物として従来の方法で使用できるばかりでなく、例えば木材を含む基剤の安定なUV保護も提供する。このUV保護は明らかに木性植物にも適用され、それゆえ前記保護剤は、例えばリンゴ農園における農業用途にも適している。しかしながら、この種の機能系は、バリア層として知られているものでもあって、従来、バリア層はO2移動を減少させることを意図するプラスチック材料フィルム中の層状格子ケイ酸塩である。しかしながら、この種の系は、提案した混合組成物もそのために適当な分散剤になるが、磁気光学系でもある。一般的分散効果を有する本発明による混合組成物のさらなる応用には、いわゆる化学的機械研磨による平坦化のためにスラリー形態でも使用されるような研磨ペーストのみならず、触媒効果を有する表面および分散剤を使用して導電性顔料を導入した電気伝導性の系もまた含まれる。
【0106】
それでもなお、建築化学用途が分散効果を有する混合組成物の主要な好ましい使用分野である。これらの用途には、セラミック系ならびに水性の塗装および被覆系が含まれる。混合組成物は、そのままセラミック系または水性の塗装および被覆系に分散剤として導入することもできるだけでなく、混合組成物で処方した水性建築材料がセラミック系または水性の塗装および被覆系になる前に、本発明の混合組成物を分散剤として最初から添加した前記の水性建築材料系の形態でも導入できる。
【0107】
本発明による混合組成物の多様な使用可能性は、その分散効果と無関係に、一般建築化学用途においてその使用が可能なことでも見事に示される。それゆえ、本発明は、本発明の混合組成物を水性建築材料系に対する添加剤として使用する変形もまた特許請求し、例えばセメント、石灰、石膏、無水石膏等などの水硬性結合剤を含む系もまた特に選択される。この場合、本発明の混合組成物は、特に可塑剤として有利な効果を有し、混合組成物が同時に安定化効果を有する用途が特に選択される。この変形使用の内で、本発明は、特許請求した混合組成物のセルフレベリング性のレベリング配合物材料および充填剤における応用を推奨する。この用途において、カゼイン代替物としてこの混合組成物を使用することにより、特に顕著に有利な効果を得ることができるので、本発明はこれを特に考慮に入れている。
【0108】
知られているように、カゼインは比較的長い間充填剤を含むセルフレベリング性セメントにおける充填剤として使用されてきた。この場合、カゼインは従来の量で添加されたとき、可塑剤の役割を担い、ある程度まで安定剤として作用する。増粘効果と沈降および分離の抑制または防止との両方がこれに関連している。従来のすぐ使用できる鏝塗り配合物は、通常、カゼインに加えて、比較的少量の添加安定剤を含み、主としてセルロースエーテルが使用されている。この種のカゼイン系レベリング材は、SLUすなわちセルフレベリング下葺(self-levelling underlayment)ともいわれ、良好な流動性、良好な「自己回復」および過度の洗浄に対する顕著な耐性が特徴である。
【0109】
しかしながら、上で触れた利点に加えて、カゼインは天然の生成物として、特に季節に左右される品質、入手可能性および価格の変動を受けやすいという難点をも有する。カゼインはまた、固まりを生ずる傾向があって、セメント系の調製にはカゼインを溶解するために比較的高い剪断速度が必要になる。
【0110】
本発明の混合組成物の成分Iなどのポリカルボキシレート系コポリマーは非常に良好な分散効果を有するが、これらは非常に顕著な安定化特性は有しない。それゆえ、これらのポリカルボキレートエーテルをカゼイン系配合物中で、安定剤としてのセルロースエーテルと組み合わせて可塑剤として使用すれば、安定なブレンドを得るために比較的大量のセルロースエーテルを使用しなければならない。しかし、大量のセルロースエーテルの添加は、その結果として、鏝塗り配合物の流動性の低下をきたし、また過度の散水に対する系全体の耐性が、カゼイン系化合物に比較して著しく損なわれる。
【0111】
それに反して、本発明による混合組成物は、例えば充填剤などのセメント系中のカゼイン代替物として、顕著な安定化効果を有する。それに加えて、それらは急速な溶解速度を保証し、チキソトロープ性を僅かに示すかまたは示さず、その結果、比較的長時間、少なくとも1時間にわたって高くて一定のスランプが形成される。最後に、特許請求した混合組成物は、カゼイン代替物として、セメントの水和も硬化も遅らさず、強度発現に対する有害な効果も認められない。
【0112】
まとめると、成分Iと成分IIとを組み合わせて含む提案の混合組成物は、傑出した可塑化と同時に安定化特性を有する適当なカゼイン代替物と見なすことができる。
【0113】
具体的に、セルフレベリング性レベリング材料および充填剤におけるカゼイン代替物としての本発明による混合組成物の使用において、成分Iの成分IIに対する混合比が0.01から99.99重量%:99.99から0.01重量%であるように選択されれば有利であることが見出された。
【0114】
本発明による混合組成物中における、成分Iの先行技術から知られているコポリマーと成分IIのコポリマーおよびターポリマーとの提案した組合せは、特に、やはり特許請求した使用の分野において、個々の成分の効果の従来の範囲を超えて、本発明の混合組成物を新規応用分野に適当なものにする新規で驚異的な性質をもたらした。このように、それらは無機またはアスファルト結合剤に基づく無機または有機固体の水性分散物に対する、またはセラミック材料、耐熱性材料、および油田建設材料の分野に非常に一般に、理想的に適している優れた添加剤であるだけではない。それらは、特に少量添加したときに、それらを顔料含有塗料、下塗り、接着性モルタル、充填剤、接合充填剤、空気中コンクリート、流動コンクリート、セルフシールコンクリート、水中コンクリートおよび水中モルタルに適したものにする成分IIによるコポリマーおよびターポリマーの安定化特性に限定もされない。それらの傑出した分散特性はまた、大部分の場合に建築化学の分野と無関係に、それらを、ポリマーおよびプラスチック加工業、化粧品における応用に、電気化学的応用に、また農業にも適したものにする。しかしながら、特許請求した混合組成物は、それらが、通常は問題があると考えられる組合せに、主としてカゼイン代替物として、良好な可塑化効果と同時に顕著な安定性を見事に与えるので、成分Iおよび成分IIの本来の分野の用途、すなわち建築化学分野でも有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0115】
次の実施例により、本発明による混合組成物およびそれと関連する多様な使用の利点が明らかになるであろう。
【0116】
(実施例)
1.顔料分散
a)建築材料を着色するために使用する酸化鉄顔料粉末を水に分散し安定化するために、混合物は、固体MelPers TP 4335(成分Iとして)を0.11重量%から1.02重量%および固体MelVis STAB TP 13/015(成分IIとして)を0.05重量%から0.2重量%含んで使用した。使用した酸化鉄はヘマタイト、針鉄鉱、磁鉄鉱型およびそれらのブレンドである。表1の標準処方に従って調製した分散物は6ヶ月間貯蔵して安定である。これらの標準調製物は溶解機によって調製した(3,500rpmで20分)。
【0117】
【表1】

【0118】
新鮮から熟成に至る分散物の代表的粘度特性を、線図1に、2つのバイフェロックス(Bayferrox)110および920の上記標準調製物それぞれに関して示す。
【0119】
【表2】

【0120】
分散物のレオロジー的プロフィルは、構造粘性(剪断速度が増大すると粘度が低下する)から僅かにチキソトロープ(上昇および下降する剪断速度に対して粘性が異なる特性)を示す。剪断応力の程度は実質的に各分散物の固体含有率に対応している(cf.2つのバイフェロックス(Bayferrox)110および920の上記標準調製物それぞれに関する線図2)。
【0121】
線図2:
剪断速度(1.上昇-中黒記号、および2.下降-中空記号)の関数としての粘度(黒)および剪断応力(グレー)
【表3】

【0122】
【表4】

【0123】
b)二酸化チタンの分散物に対しては、固体MelPers9360(成分Iとして)0.1重量%から10重量%およびMelVisSTAB2344(成分IIとして)0.005重量%から0.5重量%の顔料に基づく混合物を使用した。長期安定性を有し、再凝集せず、それゆえ視覚的には最も厳しい条件を満たす、単分散の高充填の分散物が得られた。使用したものが、直接研磨(例A)もしくは例えば色素および塗料用顔料ペースト調製物(例B)用のルチル型二酸化チタンか、または例えば紙コーティングスリップの艶消し用のアナターゼ型二酸化チタン(例C)かは重要ではない。顔料の調製プロセス(硫酸塩または塩化物プロセス)および表面処理(アルミニウム/ジルコニウム/ケイ素/有機)も、得られる二酸化チタン分散物の安定性および性能に無関係である。表2に掲載した標準調製物は、溶解機分散(3,500rpmで20分)によって調製した。続いて行うビーズミル中における例AおよびBの粉砕(30分、2/3分散物、1/3ビーズ、5,000rpm)により、最適の光沢および細大の隠ぺい力が保証される。
【0124】
【表5】

【0125】
線図3は二酸化チタン顔料の分散の有効性を示す(例AおよびB)。
【0126】
【表6】

【0127】
線図4は長期安定性を有する顔料ペースト(70%TioxideTR92/8.75% MelPers9360/0.01% MelVis STAB TP2344)のレオロジープロフィルを示す。顔料ペーストは低粘度、僅かに擬可塑性およびチキソトロープ性である(中黒記号=剪断速度上昇;中空記号=剪断速度下降)。
【0128】
【表7】

【0129】
c)透明被覆(二酸化チタン)、建築材料色素(Spezialschwarz 100)および特殊印刷インキ(Hostaperm Rt、Spezialschwarz 250)も、成分IおよびIIと組み合わせて調製できる。この分散物は少なくとも3ヶ月間貯蔵して安定で、800mPasと1,200mPasの間の粘度にわたって6.5と8.5の間のpHを有する(Brookfield、23℃、スピンドルR3/R3、20rpm):
【0130】
・二酸化チタンP25(Degussa AG)の50重量%に、固体MelPersTP3440Na(成分Iとして)の2.00重量%およびMelVis STAB TP2344(成分IIとして)0.20重量%を添加。
・Hostaperm Rot E3B(BASF)の35重量%に固体MelPers 9560(成分1として)の10.50重量%およびMelVis STAB TP 1282(成分IIとして)の0.20重量%を添加。
・Spezialschwarz100(Degussa AG)の35重量%に固体MelPers TP 9360DEA(成分Iとして)の2.45重量%および固体MelVis STAB 13/015(成分IIとして)の0.10重量%を添加。
・Spezialschwarz250(Degussa AG)の35重量%に固体MelPers TP 9560(成分Iとして)の2.45重量%および固体MelVis STAB TP 13/015(成分IIとして)の0.10重量%を添加。
【0131】
例えば、建築材料色素として顔料分散物を使用するために、混合物の低い方の場合のpHを適宜8〜10に合わせた。練り顔料消泡剤をカーボンブラックに、分散中および分散後に消泡に効果があるように加えた(通常、例えば、Tego Chemie Service GmbHのTEGO Foamex 810を全調製物の0.2〜0.5%)。貯蔵中の信頼できる安定性を知るために顔料ペーストのポット保存を実施した。混合物は最初3,500rpmで20min予備分散させ、それからビーズミル中5,000rpmで30分間十分に分散させた(2/3分散物:1/3ビーズ)。
【0132】
d)充填剤:防火(Apyral 60)、印刷インキ(Ultrafine ASP)、セラミックス、建築材料および耐火材料(A-GK炭酸バリウム)およびゾル-ゲル浸漬コーティング(Aerosil OX 50)のための充填剤分散物は、溶解機を使用して(20分、3,500rpm)成分Iと成分IIとを組み合わせることにより、少なくとも3ヶ月の貯蔵寿命があるように調製できる:
【0133】
・Apyral 60(Nabaltec)の60重量%に固体MelPers 2450(成分1として)の1.80重量%およびMelVis STAB TP 1282(成分IIとして)の0.30重量%を添加;pH = 7.5〜8.5;粘度(Brookfield、23℃、スピンドルR2/R3、50rpm)=800〜1,500mPas。
・Ultrafine ASP(Engelhard Corp.)の60重量%に固体MelPers 3400(成分1として)の1.80重量%およびMelVis STAB TP 2344(成分IIとして)の0.10重量%を添加;pH = 4.5〜5.5;粘度(Brookfield、23℃、スピンドルR2/R3、50rpm)=800〜1,500mPas。
・炭酸バリウムA-GK(Solvay Barium Strontium)の70重量%にMelPers 9360(成分1として)の0.14重量%および固体MelVis STAB TP 13/015(成分IIとして)の0.15重量%を添加;pH = 8.0〜9.5;粘度(Brookfield、23℃、スピンドルR2/R3、20rpm)=800〜1,500mPas。
・Aerosil OX 50(Degussa)の50重量%に固体MelPers TP 3400A(成分1として)の0.15重量%およびMelVis STAB TP 2344(成分IIとして)の0.15重量%を添加;pH = 8.5〜9.5;粘度(Brookfield、23℃、スピンドルR2/R3、20rpm)=600〜1,000mPas。
【0134】
練り顔料消泡剤(例えばTego Chemie Service GmbHのTEGO Foamex 810)を、必要に応じて、効果的な消泡が起こるように分散中および分散後に使用した(通常、全調製物の0.2〜0.5重量%)。貯蔵中の信頼できる安定性を知るために充填剤ペーストのポット保存を実施した。
【0135】
2.カゼイン代替物
代表的応用
-Melflux(登録商標)1641Fおよび2651F(Degussa Construction Polymers GmbH)は、本発明の成分Iに対応するPCE系流動促進剤である。
-Starvis(登録商標)4302Fおよび3003F(Degussa Construction Polymers GmbH)は、本発明の成分IIに対応する安定剤である。
【0136】
a)試験調製
【0137】
【表8】

【0138】
b)モルタルの性質
-添加量および安定剤成分の影響
【0139】
【表9】

【0140】
結果:
-カゼイン: 0.30から0.40%btw
CE: 0.05から0.10%btw
大量の分散剤;安定剤の狭い有効範囲
-ポリカルボキシレート
エーテル: 0.30から0.40%btw
CE: 0.09から0.10%btw
大量の分散剤;安定剤の非常に狭い有効範囲
-Melflux2651F: 0.10から0.30%btw
Starvis3003FまたはStarvis4302F:
0.05から0.20%btw
小量の分散剤;安定剤の広い有効範囲
評価基準は、>14.5cmの水平化およびブリーディングなしであった。
【0141】
水トレランス;耐沈降性およびブリーディング特性
カゼイン(0.30〜0.40%)+セルロースエーテル(0.05〜0.10%)
【0142】
【表10】

【0143】
各場合に、水の量は乾燥モルタル混合物を基準に重量%で示した。
-ポリカルボキシレートエーテル(0.30〜0.40%)+セルロースエーテル(0.09〜0.10%)
【0144】
【表11】

【0145】
各場合に、水の量は乾燥モルタル混合物を基準に重量%で示した。
-Melflux(登録商標)2651F(0.10〜0.30%)+Starvis(登録商標)3003FまたはStarvis(登録商標)4302F(0.05〜0.20%)
【0146】
【表12】

【0147】
各場合に、水の量は乾燥モルタル混合物を基準に重量%で示した。
【0148】
評価基準
【表13】

【0149】
-混合プロセス
試料を採り、混合の間15sec毎に流動を測定した。90secで、カゼインに基づく調製に要する混合時間は、成分I(Melflux(登録商標)2651F)および成分II(Starvis3003Fおよび4302F)を含む調製に要する時間(30sec)より約3倍長かった。
【0150】
【表14】

【0151】
【表15】

【0152】
-流動の時間依存性(EN12706)
【0153】
【表16】

【0154】
結果:
レベリング特性は、主として結合剤成分を適当な時間に硬化させることに依存する。安定剤のチキソトロープ効果は最小に減少させられる。測定した時間内にスランプに変化が観察されなかったので、安定なモルタルの流動特性は安定剤成分に影響されなかった。
【0155】
成分IとしてのMelflux2651Fの低含有率(0.25重量%)の場合でさえ、レベリング特性はカゼイン系調製物を超えて大きく改善される。
【0156】
-自己回復性
これらの性質は、7段階評価スケールに対応するナイフカット試験*を使用して試験した(*ナイフカット試験=吐出した材料の表面に切れ目を作り、「自己回復」すなわち再収束を評価する)。
【0157】
【表17】

【0158】
【表18】

【0159】
【表19】

【0160】
-固化時間(ビカー針装置を使用)
【0161】
【表20】

【0162】
カゼインおよびセルロースエーテルの遅延効果(比較例)は、Melflux 2651FとStarvis 3003Fもしくは4302Fとの組合せ(本発明)により十分に補われた。
【0163】
c)硬化した状態の性質
-圧縮強度
プリズム(4×4×16cm3)を使用して、圧縮強度を測定した。
【0164】
【表21】

【0165】
Melflux(登録商標)2651FとStarvis(登録商標)3003Fもしくは4302Fとを組み合わせて使用すると、カゼインおよびセルロースエーテルを含むモルタルに比較して初期(4時間後)の強度が顕著に大きくなる。そのことは、コーティング/ライニングを容易に利用できるように、また早く使用するようにすることにも有利である。
【0166】
-屈曲引張り強度
曲げおよび引張り強度を、プリズム(4×4×16cm3)を使用して測定した。
【0167】
【表22】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
I)不飽和モノまたはジカルボン酸誘導体およびオキシアルキレングリコールアルケニルエーテルに基づくコポリマーならびに
II)スルホ基を含みかつ50,000から20,000,000g/molの数平均分子量を有する水溶性コポリマーおよびターポリマー
を含むことを特徴とする、分散効果を有する混合組成物。
【請求項2】
成分I)が、
a)51から95mol%の式Iaおよび/またはIbおよび/またはIcの構造基
【化1】

(式中、R1=水素または1から20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基
X1=OaM1、-O-(CmH2mO)-R2、-NH-(CmH2mO)n-R2
M1=水素、1価または2価の金属カチオン、アンモニウムイオン、有機アミン基、
a=1/2または1
R2=水素、1から20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5から8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基、6から14個の炭素原子を含む任意に置換されたアリール基、
Y1=O、NR2
m=2から4および
n=0から200)
b)1から48.9mol%の一般式IIの構造基
【化2】

(式中、R3は水素または1から5個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を表し、
pは0から3を表し、および
R2、mおよびnは上で与えられた意味を有する)
c)0.1から5mol%の式IIIaまたはIIIbの構造基
【化3】

(式中、
S1=-H、-COOaM1、-COOR5
【化4】

-W1-R7
-CO-[NH-(CH2)3]2-W1-R7
-CO-O-(CH2)2-W1-R7
-(CH2)2-V1-(CH2)2-CH=CH-R2
S1=COOR5またはCOOaM1の場合はCOOR5
U1=-CO-NH-、-O-、-CH2O-
U2=-NH-CO-、-O-、-OCH2-
V1=-O-CO-C6H4-CO-O-または-W1-
【化5】

R4=H、CH3
R5=3から20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、5から8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基、6から14個の炭素原子を含むアリール基
【化6】

R6=R2
【化7】

R7=R2
r=2から100
s=1、2
z=0から4
x=1から150
y=0から15)
および
d)0から47.9mol%の式IVaおよび/またはIVbの構造基
【化8】

(式中、a、M1、X1およびY1は上記の意味を有する)
を含むことを特徴とする請求項1に記載の混合組成物。
【請求項3】
成分IIが、
a)3から96mol%の式(V)の構造基
【化9】

(式中、R8=水素またはメチル
R9、R10、R11=水素、1から6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、メチル基によって任意に置換されたフェニル基
V2=NHまたは酸素
M2=水素、1価またもしくは2価の金属カチオン、アンモニウムまたは有機アミン基
n=1から5
a=1/2または1)
b)3から96mol%の式(VI)の構造基
【化10】

(式中、W2=-CO-、-CO(O)-(CH2)x-、-CO-NR9-(CH2)x-
x=1から6
R12およびR13=水素、1から20個の炭素原子を含む任意に置換された脂肪族炭化水素基、5から8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基、6から14個の炭素原子を含むアリール基、および
Q=水素および-CHR12R14および
Q=Hの場合、R12と式(VIb)のR13が一緒になって-CH2-(CH2)y-メチレン基を形成する。ただし、y=1から4、R14=水素、1から4個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基、-COOHまたはCOOM2aであり、R8、R9、M2およびaは上で与えられた意味を有する)、
および
c)75mol%以下の式(VII)の構造基
【化11】

(式中、Y2=O、NHまたはNR12
V2=-(CH2)x-、
【化12】

R15=R12またはR13、-(CH2)x-SO3-M2a
【化13】

X2=ハロゲン、C1からC4の硫酸アルキルまたはC1からC4のアルキルスルホネート)
d)および/または50mol%以下の式(VIII)の構造基
【化14】

(式中、Z2=-COO(CmH2mO)n-R16、-(CH2)p-O(CH2CHW3O)r-(CmH2mO)n-R16
W3=H、CH3、C2H5
r=0から100
R16=H、
【化15】

(式中、少なくとも1つの基R17、R18および/またはR19は、飽和または不飽和で、直鎖または分岐鎖の、1から40個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を表していなければならず、
R17=H、C1〜C4アルキル、フェニル、ベンジル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン、シアノ、-COOH、-COOR12、-CO-NH2、-OCOR12
R18=C1〜C12アルキル基およびC6〜C14アリール基を含むアリールアルキル基
R19=C1〜C12アルキル基およびC6〜C14アリール基を含むアルキルアリール基
m=2から4
n=0から200
p=0から10
ならびにR8およびR12は上記の意味を有する)
を含むことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の混合組成物。
【請求項4】
0.05から50重量%の比率で成分Iを、および0.01から10重量%の比率で成分IIを、各々の場合に固体で含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項5】
成分IにおいてR1がメチル基であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項6】
成分IにおいてM1がナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウムイオンの群から選択された1価または2価の金属カチオンを表すことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項7】
成分IにおいてR2=フェニルの場合、前記フェニル基がさらにヒドロキシル、カルボキシルまたはスルホン酸基によって置換されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項8】
成分Iにおいて、また式IIにおいて、p=0または1およびm=2であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項9】
成分Iが55から75mol%の式Iaおよび/またはIbおよび/またはIcの構造基、19.5から39.5mol%の式IIの構造基、0.5から2mol%の式IIIaおよび/またはIIIbの構造基、および5から20mol%の式IVaおよび/またはIVbの構造基を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項10】
モノマーがビニルまたは(メタ)アクリル酸誘導体である式I、II、IIIおよびIVの構造基の合計を基準にして、成分Iが構造基の50mol%以下、特に20mol%以下をさらに含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項11】
使用するビニル誘導体モノマーがスチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン、プロピレン、イソブテン、N-ビニルピロリドン、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、またはビニルホスホン酸であることを特徴とする、請求項10に記載の混合組成物。
【請求項12】
使用する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーが、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、アクリルアミド、メタクリルアミド、AMPS、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチルまたはアクリル酸シクロヘキシルであることを特徴とする、請求項10に記載の混合組成物。
【請求項13】
成分Iが1,000から200,000g/molの平均分子量を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項14】
成分IIにおいて、1価または2価のカチオンがナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウムイオンであり、かつX=塩素、臭素、サルフェートまたはメチルサルフェートであることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項15】
成分IIにおいて、構造基a)が2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)またはその塩からなることを特徴とする、請求項1または請求項14のいずれかに記載の混合組成物。
【請求項16】
成分IIにおいて、50mol%以下の構造基a)、b)またはc)がアクリルアミドまたはN,N-ジメチルアクリルアミドモノマーから誘導した構造単位により置換されていることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項17】
成分IIにおいて、50mol%以下の構造基a)がメタリルスルホン酸またはアリルスルホン酸モノマーから誘導した他のスルホ基を含む構造単位により置換されていることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項18】
成分IIにおいて、有機アミン基が、第1級、第2級または第3級のC1からC20のアルキルアミン、C1からC20のアルカノールアミン、C5からC8のシクロアルキルアミンおよびC6からC14のアリールアミンから誘導した、好ましくは置換されたアンモニウム基であることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項19】
成分IIにおいて、R12およびR13の炭化水素基またはアリール基も、ヒドロキシル、カルボキシルまたはスルホン酸基によって置換されていることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項20】
成分IIが、30から80mol%の構造基a)、5から55mol%の構造基b)、2から30mol%の構造基c)および/または0.2から15mol%の構造基d)からなることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項21】
成分IIにおいて、構造基c)のモル含有率が、構造基a)のモル含有率よりも少なくとも5mol%低いことを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項22】
成分IIが50,000から10,000,000g/molの数平均分子量を有することを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項23】
成分IIが、重合可能なモノオレフィン系、ジオレフィン系およびトリオレフィン系化合物から誘導した構造基e)をさらに0.0001から50mol%含むことを特徴とする、請求項1から22のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項24】
前記ジオレフィン系化合物がジアクリレートエステルまたはジメタクリレートエステルからなることを特徴とする請求項23に記載の混合組成物。
【請求項25】
使用するトリオレフィン系モノマーがトリメチロールプロパントリアクリレートおよびイソシアヌル酸トリアリルであることを特徴とする請求項23に記載の混合組成物。
【請求項26】
前記モノオレフィン系化合物がアクリル誘導体またはビニル誘導体であることを特徴とする請求項23に記載の混合組成物。
【請求項27】
構造基a)、b)、c)および/またはd)からなる成分IIが、式(IX)
【化16】

(式中、W4=-CO-O-(CH2)q-、-CO-NR9-(CH2)q-
q=1から6
R8、R9、R12およびR13は上記の意味を有する)
に基づくさらなる構造基f)を、構造基a)、b)、c)およびd)の合計を基準にして、50mol%以下、特に20mol%以下含むことを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項28】
成分IIの構造基a)の50%以下がスルホン酸含有ベタインモノマーから誘導した式(X)
【化17】

(式中、
【化18】

であり、
R8、R9およびqは上記の意味を有する)
による構成ブロックg)によって置換されていることを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項29】
成分IIが、構造基a)、b)、c)、d)、e)、f)およびg)のそれぞれの合計を基準にして、トリアリルアミン、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、N,N'-メチレン-ビス-アクリルアミド、トリエチレン-グリコール-ビス-メタクリレート、トリエチレン-グリコール-ビス-アクリレート、ポリエチレン-グリコール(400)-ビス-メタクリレートおよびポリエチレン-グリコール(400)-ビス-アクリレートからなる群から選択した架橋剤成分を0.1mol%以下さらに含むことを特徴とする、請求項1から28のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項30】
成分IおよびIIを予備混合した形態で含むことを特徴とする請求項1から29のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項31】
粘性で、特に好ましくは流動性の形態で存在することを特徴とする請求項1から30のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項32】
有機および/または無機顔料および充填剤を含有することを特徴とする請求項1から31のいずれか一項に記載の混合組成物。
【請求項33】
建築化学用途における、特に、セメント、石灰、石膏、無水石膏等などの水硬性結合剤を含むことが特に好ましい水性建築材料系のための添加剤としてのものであることを特徴とする請求項1から32のいずれか一項に記載の混合組成物の使用。
【請求項34】
セラミック系における、ならびに水性の塗装および被覆系におけるものであることを特徴とする請求項33に記載の使用。
【請求項35】
特に安定化効果を兼ね備える可塑剤としてのものであることを特徴とする請求項33に記載の混合組成物の使用。
【請求項36】
セルフレベリング性のレベリング化合物および充填剤における、特に好ましくはカゼイン代替物としてのものであることを特徴とする請求項35に記載の使用。

【公表番号】特表2008−504420(P2008−504420A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518545(P2007−518545)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007088
【国際公開番号】WO2006/002935
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】