説明

両親媒性ブロックコポリマーを含む混合物を使用したポリマー線維を含む不織布材料、並びにこれらの製造および使用

【課題】伸長性の不織布材料を提供すること。
【解決手段】高伸長性を有し、少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマー、並びにブレンド調製用相溶化剤となる少なくとも1種のブロックコポリマーからなる混合物のポリマー繊維を含む不織布材料であって、該ブロックコポリマーが、本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)を含む、不織布材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレンド調製用相溶化剤としての両親媒性ブロックコポリマーの混合物を使用した、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料の製造、並びにこれらの製造及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布材料は、長年にわたり衛生用品市場で公知である類の製品である。不織布材料は、基本的に公知の種類の繊維全てから製造することができるが、その技術又は価格の点から、極僅かなポリマーしかこの市場で受け入れられていない。最も一般的な材料はポリプロピレンである。これには以下のような幾つかの理由がある:
ポリプロピレンは、有利な価格で、大量且つ異なるの品質のものが入手可能である。
【0003】
ポリプロピレンは、溶融紡糸方法における取り扱いが容易である。
【0004】
ポリプロピレンから製造することができる不織布材料は、応用技術に関するこれらの特性から、衛生用品市場における多くの応用分野において十分満足のいくものである。
【0005】
しかし、純粋なポリプロピレンの不織布材料は、衛生用品分野の不織布材料に求められる伸長性を有していないことが多い。このような場合の改善として、例えば、ポリプロピレンと弾性ポリマーが混合される。それにより、得られた不織布材料の伸長性は、実際に改善されているものの、この種の混合物のスレッドは、ポリプロピレンのスレッドよりも紡績がより困難であるので、製造方法がより複雑であることは明らかである。
【0006】
衛生用品の分野で使用される更なるポリマーはポリエチレンである。この材料の不織布材料は、柔軟性によって区別される。低密度の直鎖ポリエチレンの不織布材料は、例えば、Fowellsによる特許文献1から公知であるように、高い伸長特性、並びに感触、柔軟性及び風合いにおける顕著な特性を有する。しかし、この種の材料は、許容される摩耗耐性を備えていないため、商業的に受け入れられていない。許容される摩耗耐性を有するスパンボンデッド織物におけるLLDPEスフの結合形成は、極めて困難である明らかになっている。何故なら、許容される結合形成が、スフが溶解してカレンダーに溶融しそして接着し始める地点の直下の温度で観察されるためである。このように極めて狭い結合形成範囲、並びに結果として得られる摩耗耐性及び毛羽立ち特性のために、スパンボンデッドLLDPE不織布材料は、これまでのところ前記の用途に広く商業的に受け入れられていない。価格及び技術の点から、衛生用品分野で使用されるポリエチレンの量は、ポリプロピレンよりも明らかに少ない。それに比べて、例えばポリエステル等のその他のポリマーは、衛生用品の分野で滅多に使用されていない。
【0007】
ポリプロピレン及びポリエチレン、特にHDPEのブレンドの繊維を使用した不織布材料の製造は公知である。これらの2種のポリマーの非相溶性から、製造方法時にブレンド調製用相溶化剤の存在が、混和及び紡糸システムを得る上で必要不可欠である。ブレンド調製用相溶化剤として、ポリプロピレン及びポリエチレンが異なる割合で相互に結合したコポリマーが、優先事項として使用される。非混和性ポリマーのブレンドを調製するのに十分な相溶性を保証するために、これらのコポリマーの添加剤は、全混合物に対して約10重量%〜20重量%の重量比が必要である。しかし、これに似た重量比のコポリマーの添加剤は、結果として得られる混合物の個々の特性が純粋なポリプロピレン又はポリエチレンそれぞれの特性よりも劣るという事実によって特徴付けられる、特性の好ましくない変化をもたらす。
【0008】
ここ数年の間に、弾性の不織布材料は、衛生用品の分野でも応用されている。これらの不織布材料は、従来のポリプロピレン又はポリエチレンの衛生用不織布材料に比べて明らかに高い伸長性によって区別される。これらの弾性不織布材料の製造のための基礎原料は、殆どの場合、例えばポリウレタンを基礎原料とする弾性ブロックコポリマーである。
【0009】
同様の傾向は、本質的にブロックコポリマーでもあり、殆どの場合ポリプロピレン及びポリエチレンを含む、ポリオレフィンエラストマーを使用した場合に認められる。
【0010】
弾性ポリウレタンを使用した不織布材料、及びポリオレフィンエラストマーを使用した不織布材料は、これらの組成及び関連する製造の複雑性により、極めて費用がかかる。このことは、費用面から、衛生用品におけるこれらの材料を使用する上で極めて不利となる。
【0011】
ポリエチレンを含む、高伸長性を有する不織布材料を製造する手法は、種々のものがある。
【0012】
特許文献2により、紡糸性及び伸長性が改善された、ポリプロピレン及びポリプロピレン/ポリエチレンコポリマーからなり、1〜50デニール(den)の繊度を有する繊維を製造するための混合物が公知である。この混合物中では、MFIが10g/10分(190℃、2.16kg)以下、好ましくは5g/10分(190℃、2.16kg)以下であり、密度が0.85g/cm〜0.97g/cmである、0.1重量%〜30重量%のポリエチレンが使用されており、残りの混合物は、MFIが12g/10分(230℃、2.16kg)以上のポリプロピレンからなる。繊維は、127℃〜137℃の温度範囲で熱接着する。この場合、ポリエチレンは、MFIが5〜10g/10分(190℃、2.16kg)であり、密度が0.87g/cmであるポリエチレン及びα−オレフィンのコポリマー、又はMFIが5g/10分(190℃、2.16kg)未満であり、密度が0.87g/cm以上であるポリエチレン及びα−オレフィンのホモポリマー又はコポリマーとして使用される。前記混合物の製造は、共回転2軸スクリュー押出機で行われる。それに続く紡糸方法では、テイクオフローラー(take−off roller)によって繊維を伸長させる。
【0013】
特許文献3では、ポリエチレン部分が0.5〜22重量%であるポリプロピレン/ポリエチレン混合物から製造され、純粋なポリプロピレンの基準不織布材料が通常接着する温度よりも15〜20°F低い接着温度で接着される、繊維の伸長性の不織布材料の製造が開示されている。最適な接着温度は、6%/分の伸長速度で決定された。請求される不織布材料の伸長性は、10,000〜11,000%/秒の伸長速度で、ポリプロピレンの同等の不織布材料よりも少なくとも20%高い。
【0014】
この場合では、以下が使用された:
ポリエチレンとのホモポリマー又はコポリマーとして、MFIが25g/10分(230℃、2.16kg)以上のポリプロピレン、及び
MFI比MFI10/MFIが5.63以上であるエチレン及びα−オレフィンのコポリマー形態で、短鎖分岐指数分布(SCBDI)が50%以上であり、密度が0.855g/cmと0.88g/cmとの間で、MFIが0.01g/10分と10g/10分との間(190℃、2.16kg)、好ましくは5g/10分未満(190℃、2.16kg)である、ポリエチレン。
【0015】
例えば、基礎重量20g/mの不織布材料及び約2デニールの繊維を使用して、ポリプロピレン/ポリエチレンの混合比を90/10にすると、CD方向に100%の伸長が、そしてMD方向に93%の伸長が達成される。この場合、混合物は、添加物を添加せずに2軸スクリュー押出機で製造された。又、この場合、不織布材料を生成するための繊維の接着は、132℃〜154℃の温度で行われた。
【0016】
特許文献4により、特に芯鞘型(core−sheath)のポリプロピレンスフを使用する、熱接合した高伸長性の不織布材料の製造方法が公知である。この場合、不織布材料の伸長性は、カレンダーによって製造される特定の結合パターンによって達成される。
【0017】
特許文献5では、ポリプロピレン/ポリエチレンブレンド、及びブロック又はグラフトポリオレフィンコポリマー又はターポリマーを使用した、伸長性の織物複合材料であって、前記ブレンドがポリエチレン及びPEと少なくとも一部が混和性である、複合材料が特許請求されている。
【0018】
特許文献6では、弾性複合材料の成分として含まれる、伸長性の不織布材料の使用の可能性が特許請求されている。この複合材料は、ポリエチレン及びポリプロピレンのブレンドから製造された、非弾性且つ伸長性のスフ相、及び弾性フィルム形態の弾性相からなる。複合材料の使用の可能性は、例えば、おむつ、失禁用製品、婦人用衛生用品等の使い捨て製品の分野において見出されている。
【0019】
特許文献7により、繊維直径が2と4デニールとの間の場合に伸長率が700%を超える、ポリプロピレン及びポリスチレンの混合物の繊維が公知である。この混合物は、以下の混合組成物が選択される、2軸スクリュー押出機によって製造された:
MFIが20g/10分である、90〜98重量%のポリプロピレン、及び
MFIが1.5g/10分である、2〜10重量%のポリスチレン。
【0020】
特許文献8には、メルトブロー方法及び溶融紡糸方法で紡糸した、MD方向に最高約100%の伸長性を有する織物製品を製造することができる繊維が記載れている。柔軟性及び弾性回復性における明らかな利点は、織物製品の50%の伸長で既に認められている。これらの織物製品はエチレンのコポリマー及び少なくとも1種のコモノマーから製造され、このコポリマーとしてはスチレンを使用するのが好ましいが、プロピレンも使用される。従って、このようにして得られた織物製品は、カーテン及び衣料品に応用されている。
【0021】
特許文献9では、好ましくはCD方向に向けて配置した繊維によって製造される、高伸長性の不織布材料が開示されている。接着した不織布材料の結合面は、不織布材料の全表面に対して8〜25%として指定されている。カーディングによって好ましい方向に配置されるスフが使用される。
【0022】
特許文献10/WO03052179により、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレンコポリマーを含む、僅かしか伸長しない、ポリマー組成物の伸長性繊維の製造が公知である。伸長比は400未満、好ましくは150未満、特に好ましくは50未満である。繊維紡糸において通常1.5dtexと4dtexとの間の繊維強度を達成するには、特に小さな紡糸口金に溶融をプレスしなければならない。200μm未満、特に好ましくは100μm未満の直径が指定されている。これらの繊維を製造できるようにするには、例えばポリプロピレン組成物の場合、MFIが少なくとも400g/10分(230℃、2.16kg)であるポリマーが必要となる。
【0023】
伸長性が800%を超える、伸長性の不織布材料、例えばポリオレフィンの分割可能な複合繊維が、特許文献11に開示されている。これらの繊維の製造は溶融紡糸方法で行われ、結果として得られる繊維は、本質的に伸長されていないために、伸長及び分割が可能である。例えば、特許文献10により公知であるような、内径が極めて小さな紡糸口金の代わりに、特許文献11では、直径40μmの繊維の紡糸が可能な内径を有する紡糸口金が使用される。次いで、例えば、おむつ、失禁製品、婦人用衛生用品又は拭き取り繊維の形態の使い捨て用品の分野における不織布材料に必要となる繊維繊度を得るために、繊維が分割される。
【0024】
熱可塑性エラストマーのゴム弾性材料及び不織布材料からなる複合材料の形態の面積測定材料は、特許文献12に開示されており、例えば、使い捨て用品での使用に好適である。不織布材料は、例えばポリプロピレンからなる非弾性フィラメントを含み、これらのフィラメントは、好ましくはMD方向に配置される。この好ましい方向に対して垂直に、面積測定材料は100%を超える伸長性を有する。
【0025】
特許文献13では、ポリプロピレン、ポリエチレン、並びにブロック又はグラフトコポリマーの形態のブレンドを調製するための市販の相溶化剤、例えば、Montell製のCatalloyTMコポリマーの混合物から不織布材料が製造された。この場合、ブレンド調製用相溶化剤は、全混合物に対して15重量%〜30重量%添加される。ピーク負荷では、500%を超える伸長性が、これらの不織布材料の場合に認められた。
【0026】
特許文献14では、高伸長性の不織布材料を製造するための複合繊維が開示されている。一実施形態において、より低融点のポリマーが複合繊維の主要な連続層を形成し、より高融点のポリマーが前記連続相中に含まれる分散相を形成する、ポリオレフィン混合物が使用される。より低融点のポリマーは、全混合物に対して少なくとも約50重量%の重量比で混合物に添加される。ポリマー混合物を製造する場合には、例えば、密度が少なくとも0.945g/cmで、MFIが10g/10分を超えるポリエチレン、及びMFIが少なくとも20g/10分のポリプロピレンが使用される。ピーク負荷では、少なくとも100%の伸長が、これらの不織布材料の場合に認められた。
【0027】
特許文献15によっても、伸長性の不織布材料が公知である。この場合に使用される複合繊維は、主要な連続相、及び少なくとも2種類の異なる熱可塑性ポリマーの不連続な高分散相を含み、この高分散相は、繊維の連続相中で繊維軸方向に配置される伸長した繊維状ドメインを形成する。一実施形態において、主要な連続相は、アイソタクチックポリプロピレンにより形成され、不連続相は、全混合物に対して約2.5重量%〜20重量%の重量比のポリエチレンによって形成されている。この場合、最高128%の伸長性が不織布材料で認められた。
【0028】
混合物の主成分としてポリエチレンそして第二成分としてポリプロピレン型[sic]を含む、高伸長性の不織布材料を製造する公知の手法は、極めて費用と時間がかかることが多い。この混合物を調製するには、均質化の際に強力なエネルギーの入力が必要となるため、多くの場合は2軸押出機を使用しなければならない。
【0029】
これらの非相溶性のポリマーの加工性、特に紡糸性を少しでも確実にし、繊維又は不織布材料の形態の最終製品に十分なレベルの性質を付与するには、ブロックコポリマー及び/又はグラフトコポリマーの形態のブレンド調製用相溶化剤を添加する必要があり、前記ブロック及び/又はグラフトコポリマーは、公知のブレンド調製用相溶化剤の場合に、全混合物に対して約10重量%〜20重量%の重量比を呈し、最終製品を製造するには更に費用がかかる。
【0030】
時間がかかる上に、それによって更に費用もかかる技法は、接着した不織布材料の限られた伸長特性を確立するために特定の結合パターンを有するカレンダーを使用することによって、ポリプロピレンをベースとする伸長性の不織布材料を製造する技法である。カレンダーローラーの着脱、並びに結合パターンのチェック及び最適化は、通常の場合結果的にカレンダーローラーの再エンボシングを必要とすることから、時間がかかるため、費用も嵩む。
【0031】
従って、ブレンドを調製するための相溶における効果が有意に向上しており、そのために用量が少なく、調製の手間がかからない伸長性ポリマー繊維の不織布材料を製造するために、非混和性ポリマー混合物を加工する添加剤を用意することは有利であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】米国特許第4,644,045号明細書
【特許文献2】国際公開第00/34385号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/038022号明細書
【特許文献4】国際公開第00/04215号パンフレット
【特許文献5】米国特許第5,804,286号明細書
【特許文献6】米国特許第5,921,973号明細書
【特許文献7】米国特許第5,616,412号明細書
【特許文献8】米国特許第5,322,728号明細書
【特許文献9】米国特許第5,494,736号明細書
【特許文献10】欧州特許第1461479号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0161994号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2004/0166756号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2002/039637号明細書
【特許文献14】国際公開第01/49908号パンフレット
【特許文献15】米国特許第5,593,768号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は、少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たない1種のポリマー、並びにブレンド調製用相溶化剤(少量のブレンド調製用相溶化剤でも、機械技術の正当な複雑性をもって使用されるポリマーは十分に混合されることが意図される)の混合物を使用して、伸長性の不織布材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
高伸長性を有し、少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマー、並びにブレンド調製用相溶化剤となる少なくとも1種のブロックコポリマーからなる混合物のポリマー繊維を含む不織布材料であって、該ブロックコポリマーが、
本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び
本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)
を含む、不織布材料。
(項目2)
少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマーの混合物と、さらなる1種の非混和性ポリマー及びブレンド調製用相溶化剤となるブロックコポリマーのさらなる混合物成分からなる混合物とのポリマー繊維を含み、該ブロックコポリマーが、
本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び
本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)
を含む、項目1に記載の高伸長性を有する不織布材料。
(項目3)
ポリマー繊維を含み、上記ポリプロピレンとの混和性を持たないポリマーが、本質的に、該ポリマー繊維の主要な連続相を形成するポリプロピレン中に、不連続の、微細に分散した相として存在する、項目1に記載の高伸長性を有する不織布材料。
(項目4)
上記混合物が、該全混合物の重量に対して0.05重量%〜5重量%のブレンド調製用相溶化剤を含むことを特徴とする、項目1に記載の高伸長性を有する不織布材料。
(項目5)
上記混合物が、該全混合物の重量に対して0.05重量%〜1重量%のブレンド調製用相溶化剤を含むことを特徴とする、項目1に記載の高伸長性を有する不織布材料。
(項目6)
上記さらなるポリマーが、HDPEであることを特徴とする、項目1に記載の高伸長性を有する不織布材料。
(項目7)
上記さらなるポリマーが、ポリプロピレンとポリエチレンとのコポリマーであることを特徴とする、項目1に記載の高伸長性を有する不織布材料。
(項目8)
上記全混合物の重量に対するポリプロピレンの割合が、75重量%と98重量%との間である、項目1に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料。
(項目9)
上記全混合物の重量に対するポリプロピレンの割合が、85重量%と95重量%との間である、項目1に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料。
(項目10)
MFIが15g/10分と50g/10分との間(230℃;2.16kg)のポリプロピレン、及び
MFIが3g/10分と40g/10分との間(190℃;2.16kg)のHDPEが使用される、項目1に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料。
(項目11)
MFIが20g/10分と30g/10分との間(230℃;2.16kg)のポリプロピレン、及び
MFIが5g/10分と30g/10分との間(190℃;2.16kg)のHDPEが使用される、項目1に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料。
(項目12)
上記ポリマー繊維が、フィラメントであることを特徴とする、項目1に記載の高伸長性を有する不織布材料。
(項目13)
上記ポリマー繊維が、スフであることを特徴とする、項目1に記載の高伸長性を有する不織布材料。
(項目14)
上記不織布材料が、繊度が1dtex〜5dtexの繊維からなることを特徴とする、項目1に記載の高伸長性を有する不織布材料。
(項目15)
上記不織布材料が、繊度が1.5dtex〜3.5dtexの繊維からなることを特徴とする、項目1に記載の高伸長性を有する不織布材料。
(項目16)
少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマー、並びにブレンド調製用相溶化剤となる少なくとも1種のブロックコポリマーからなる、項目1に記載の高伸長性を有する不織布材料を製造するための混合物の使用であって、該ブロックコポリマーが、
本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び
本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)
を含み、
該疎水性ブロック(A)が、200g/モルと10,000g/モルとの間のモル質量分布Mを有し、
該親水性ブロック(B)が、500g/モルと20,000g/モルとの間のモル質量分布Mを有する、
使用。
(項目17)
少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマーの混合物、並びに少なくとも1種の非混和性ポリマー及びブレンド調製用相溶化剤となる少なくとも1種のブロックコポリマーのさらなる混合物成分からなる混合物の、項目1に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造するための混合物の使用であって、該ブロックコポリマーが、
本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び
本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)
を含み、
該疎水性ブロック(A)が、200g/モルと10,000g/モルとの間のモル質量分布Mを有し、
該親水性ブロック(B)が、500g/モルと20,000g/モルとの間のモル質量分布Mを有する、
使用。
(項目18)
少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマー、並びにブレンド調製用相溶化剤となる少なくとも1種のブロックコポリマーを含む混合物を使用して、高伸長性を有し、ポリマーを含む不織布材料を製造する方法であって、該ブロックコポリマーが、
本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び
本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)
を含み、
該ポリプロピレン及びさらなるポリマーが、熱作用下にてブレンド調製用相溶化剤の存在下で互いに混合され、
次いで、該混合物が、開放又は閉鎖プロセスで繊維に紡糸され、
該繊維が、装置に配置され、そして
次いで、該繊維が、個々の地点で熱結合され、不織布を形成する、
方法。
(項目19)
少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマーの混合物、並びに少なくとも1種のさらなる非混和性ポリマー及びブレンド調製用相溶化剤となるブロックコポリマーのさらなる混合物成分からなる混合物を使用して、項目18に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造する方法であって、該ブロックコポリマーが、
本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び
本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)
を含み、
該ブレンド調製用相溶化剤が、最初に加熱下で、使用されるポリマーの一部と混合された後、得られたポリマー及びブレンド調製用相溶化剤の濃縮物が、熱作用下の第二工程において残余ポリマーと一緒に互いに混合され、
次いで、該混合物が、開放又は閉鎖プロセスで繊維に紡糸された後、
該繊維が、装置に配置され、そして
該繊維が、個々の地点で熱結合され、不織布を形成する、
方法。
(項目20)
上記不織布材料が、115℃〜160℃の温度範囲で熱結合されることを特徴とする、項目18に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造する方法。
(項目21)
上記不織布材料が、120℃〜150℃の温度範囲で熱結合されることを特徴とする、項目18に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造する方法。
(項目22)
上記全混合物の重量に対するブレンド調製用相溶化剤の割合が、0.05重量%〜5重量%である、項目18に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造する方法。
(項目23)
上記全混合物の重量に対するブレンド調製用相溶化剤の割合が、0.1重量%〜3重量%である、項目18に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造する方法。
(項目24)
上記全混合物の重量に対するポリプロピレンの割合が、75重量%〜98重量%である、項目18に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造する方法。
(項目25)
上記全混合物の重量に対するポリプロピレンの割合が、85重量%〜95重量%である、項目18に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造する方法。
(項目26)
使い捨て製品における、項目1〜25に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料の使用。
(項目27)
婦人用衛生用品、おむつ、失禁製品、拭き取り繊維等の製品における、項目26に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料の使用。
(項目28)
医療用製品における、項目1〜27に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料の使用。
(項目29)
建築材における、項目1〜28に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料の使用。
(項目30)
使い捨て製品、医療用製品、又は建築材における、項目1〜29に記載の、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造するための混合物の使用。
【0035】
この目的は、特許請求項1に記載の特徴を有する、高伸長性を有し、且つポリマー繊維を含む不織布材料により実現される。さらなる有利な開発、方法、及び用途は、添付の特許請求項に記載される。
【0036】
驚くべきことに、この目的は、費用のかかるエラストマーを投入しなくても、両親媒性ブロックコポリマーを含むブレンド調製用相溶化剤を使用して達成できることが判明した。
【0037】
本発明は、高伸長性を有し、少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマー、並びにブレンド調製用相溶化剤となる少なくとも1種のブロックコポリマー(そのブロックコポリマーは、本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び本質的にオキシアルキレン(oxalkylene)単位からなる親水性ブロック(B)を含む)からなる混合物のポリマー繊維を含む不織布材料を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
「高伸長性を有する不織布材料」という用語は、張力の遮断時に元の形態の完全な回復又は一部のみの回復を必ずしも示さなくても、MD方向及びCD方向に伸長できる不織布材料を意味する。
【0039】
「繊維」という用語は、不連続の長さを有するスフ並びにフィラメントを含むものとして使用される。
【0040】
「ポリマー」という用語は、総称的な意味で使用され、ホモポリマー、並びにグラフトコポリマー及びターポリマー等の任意のコポリマーを含むものとして意図される。
【0041】
「混合物」という用語は、本明細書において総称的に使用され、「非混和性」及び「混和性」のポリマー混合物を含むものとして意図される。ポリマーは、個別の異なる相において溶融状態で存在する場合に、「非混和性」とされる。
【0042】
「ブレンド調製用相溶化剤」という用語は、例えば、これらの共通する加工性及び紡糸性を保証するために、非相溶性ポリマー混合物のブレンドを調製するために相溶化するのに役立つコポリマー、グラフトコポリマー、及びターポリマーに使用される。
【0043】
本発明の拡大部分では、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料が、少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマー、並びに少なくとも1種の非混和性ポリマー、及びブレンド調製用相溶化剤となる1種のブロックコポリマー(前記ブロックコポリマーは、本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)を含む)からなるさらなる混合物成分から調製されることが定められる。
【0044】
高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料は、ポリプロピレンとの混和性を持たないポリマーが、ポリマー繊維の主要な連続相を形成するポリプロピレン中に、不連続の、微細に分散した相として本質的に存在するという事実によって、本発明の一実施形態において得られる。混合物が主要な連続相として存在し、少なくとも1種の不連続相が存在する場合には、一方又は他方又は両方のポリマー相の何れかとの混和性を持つ他のポリマーも存在し得る。
【0045】
本発明のポリマー繊維の不織布材料は、ポリプロピレンと非相溶性のさらなるポリマー、好ましくはHDPE、並びに少なくとも1種のブレンド調製用相溶化剤を使用することで、更に向上した伸長挙動が認められる純粋なポリプロピレンの不織布材料の機械特性とはほんの僅かながら異なる特性を有するのが有利である。
【0046】
本発明によれば、伸長性の不織布材料は、ブレンド調製用相溶化剤の添加を含む。
【0047】
本発明においてブレンド調製用相溶化剤として使用される両親媒性ブロックコポリマーは、少なくとも1種の疎水性ブロック(A)及び少なくとも1種の親水性ブロック(B)を有する。ブロック(A)及び(B)は、好適な連結基によって相互に連結している。ブロック(A)及び(B)は、それぞれ直鎖であってもよければ、それぞれ分岐鎖を有してもよい。
【0048】
この種のブロックコポリマーは公知であり、原則として当業者に公知の方法及び出発原料に基づき調製することができる。
【0049】
疎水性ブロック(A)は、実質的にイソブテン単位からなる。それは、イソブテンの重合によって得ることができる。しかし、これらのブロックは又、構成単位として、微量ながら他の成分を含む場合もある。この種の構成単位は、ブロックの特性を微調整するために使用される場合がある。1−ブテン及びシス−又はトランス−2−ブテン以外に言及されるコモノマーには、特に、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−エチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン及び2−プロピル−1−ヘプテン等の、5〜10個の炭素原子を有するイソオレフィン、スチレン及びα−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物、2−、3−及び4−メチルスチレン並びに4−tert−ブチルスチレン等のC〜C−アルキルスチレンが含まれる。しかし、このようなコモノマーの画分は、あまり多くすべきでない。原則として、これらの量は、ブロックの全構成単位の量の20重量%を超えてはならない。イソブテン単位及び/又はコモノマー以外に、ブロックは、重合の開始時に使用される開始剤分子又は開始分子又はこれらの断片を含む場合もある。このようにして調製されたポリイソブテンは、直鎖である場合もあれば、分岐鎖である場合もあり、星形である場合もある。これらのポリイソブテンは、1つの鎖末端、又は2つ以上の鎖末端に官能基を有する場合がある。
【0050】
疎水性ブロックAの出発原料は、官能基化されたポリイソブテンである。官能基化されたポリイソブテンは、原則として当業者に公知である一段階又は多段階反応における官能基を有する反応性ポリイソブテンを提供することによって、反応性ポリイソブテンから出発して調製することができる。反応性ポリイソブテンは、極めて高い割合の末端α−オレフィン基を有するポリイソブテンを指すものとして、当業者により理解される。反応性ポリイソブテンの調製は同様に公知であり、例えば、前述の引用文献、WO04/9654(4〜8頁)及びWO04/35635(6〜10頁)に詳述されている。
【0051】
反応性ポリイソブテンの官能基化の好ましい実施形態は、以下を含む:
i)ポリイソブテンによりアルキル化された芳香族ヒドロキシ化合物を得るための、アルキル化触媒の存在下における芳香族ヒドロキシ化合物との反応、
ii)エポキシド化ポリイソブテンを得るための、ポリイソブテンブロックとペルオキシ化合物との反応、
iii)エン反応における、ポリイソブテンブロックと、電子吸引基(エノフィル)により置換された二重結合を有するアルケンとの反応、
iv)ヒドロホルミル化ポリイソブテンを得るための、ヒドロホルミル化触媒の存在下におけるポリイソブテンブロックと一酸化炭素の反応、
v)ホスホノ基で官能基化されたポリイソブテンを得るための、ポリイソブテンブロックとハロゲン化リン又はオキシ塩化リンの反応、
vi)ヒドロキシル化ポリイソブテンを得るための、ポリイソブテンブロックとボランの反応、及びそれに続く酸化開裂、
vii)末端スルホ基を有するポリイソブテンを得るための、ポリイソブテンブロックとSO源、好ましくは硫酸アセチル又は発煙硫酸の反応、
viii)末端アミノ基を有するポリイソブテンを得るための、ポリイソブテンブロックと窒素の酸化物の反応、及びそれに続く水素化。
【0052】
開始した反応を実施するための全ての詳細については、本発明者等は、WO04/35635(11〜27頁)の論評を言及する。
【0053】
特に優先されるのは実施形態iii)である。特に好ましくは、無水マレイン酸がこの反応に使用される。この場合、結果として得られるポリイソブテンは、無水コハク酸基で官能基化されている(ポリイソブテニル無水コハク酸、PIBSA)。
【0054】
疎水性ブロックAのモル質量は、所望の用途に従い、当業者により決定される。一般的に、疎水性ブロック(A)は、それぞれ200〜10,000g/モルの平均モル質量Mを有する。Mは、好ましくは300〜8,000g/モル、更に好ましくは400〜6,000g/モル、特に好ましくは500〜5,000g/モルである。
【0055】
親水性ブロック(B)は、実質的にオキシアルキレン単位からなる。オキシアルキレン単位は、原則として公知の通り、一般化学式−R−O−の単位である。ここで、Rは、場合により更なる置換基を有する場合もある二価の脂肪族炭化水素基である。R基上のさらなる置換基は、特にO含有置換基、例えば、>C=O基又はOH基である場合もある。当然ながら、1種の親水性ブロックは又、複数の異なるオキシアルキレン単位を含む場合もある。
【0056】
オキシアルキレン単位は、特に、−(CH−O−、−(CH−O−、−(CH−O−、−CH−CH(R)−O−、−CH−CHOR−CH−O−であってもよく、式中、Rは、アルキル基、特にC〜C24−アルキル、又はアリール基、特にフェニルであり、Rは、水素、C〜C24−アルキル、R−C(=O)−及びR−NH−C(=O)−からなる群から選択される。
【0057】
親水性ブロックは又、例えば、エステル基、炭酸塩基又はアミノ基等の更なる構造単位を含む場合もある。これらは更に、重合の開始時に使用される開始剤又は開始分子又はこれらの断片を含む場合もある。例としては、末端基R−O−が含まれ、式中、Rは上に定義した通りである。
【0058】
原則として、親水性ブロックは、その主成分として、エチレンオキシド単位−(CH−O−及び/又はプロピレンオキシド単位−CH−CH(CH)−Oを含むが、特性を微調整するために、より高級なアルキレンオキシド単位、即ち3個以上の炭素原子を有する単位がほんの少量ながら存在する。ブロックは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド単位のランダムコポリマー、グラジエントコポリマー、交互コポリマー又はブロックコポリマーを含む場合がある。より高級なアルキレンオキシド単位の量は、10重量%、好ましくは5重量%を超えてはならない。好ましいブロックは、少なくとも50重量%、好ましくは75重量%、更に好ましくは少なくとも90重量%のエチレンオキシド単位を含むものである。特に好ましくは、これらは純粋なポリオキシエチレンブロックである。
【0059】
親水性ブロックBは、原則として公知の通り、例えば、アルキレンオキシド及び/又は少なくとも3個の炭素原子及び場合により更なる成分を有する環状エーテルを重合することによって得ることができる。これらは又、ジアルコール及び/又はポリアルコール、好適な開始剤、及び場合により更なるモノマー成分を重縮合することによって調製される場合もある。
【0060】
親水性ブロックBのモノマーとしての好適なアルキレンオキシドの例は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド、そして更に1−ブテンオキシド、2,3−ブテンオキシド、2−メチル−1,2−プロペンオキシド(イソブテンオキシド)、1−ペンテンオキシド、2,3−ペンテンオキシド、2−メチル−1,2−ブテンオキシド、3−メチル−1,2−ブテンオキシド、2,3−ヘキセンオキシド、3,4−ヘキセンオキシド、2−メチル−1,2−ペンテンオキシド、2−エチル−1,2−ブテンオキシド、3−メチル−1,2−ペンテンオキシド、デセンオキシド、4−メチル−1,2−ペンテンオキシド、スチレンオキシドを含むか、又は工業用途で利用可能なラフィネート流由来のオキシドの混合物から形成される。環状エーテルの例は、テトラヒドロフランを含む。当然ながら、種々のアルキレンオキシドの混合物を使用することも可能である。当業者であれば、ブロックの所望の特性に従って、モノマー及び/又は更なる成分から適切に選択するであろう。
【0061】
親水性ブロックBは又、分岐鎖である場合もあれば、星形である場合もある。この種のブロックは、少なくとも3つのアームを有する開始分子を使用することにより得ることができる。好適な開始剤の例は、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はエチレンジアミンを含む。
【0062】
アルキレンオキシド単位の合成は、当業者に公知である。例えば、Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th Edition, Electronic Releaseの「Polyoxyalkylenes」に詳述されている。
【0063】
親水性ブロックBのモル質量は、所望の用途に従って、当業者により決定される。一般的に、親水性ブロック(B)は、それぞれ500〜20,000g/モルの平均分子質量Mを有する。Mは、好ましくは1,000〜18,000g/モル、更に好ましくは1,500〜15,000g/モル、特に好ましくは2,500〜8,000g/モルである。
【0064】
本発明で使用されるブロックコポリマーの合成は、好ましくは、最初に親水性ブロックBを別個に調製し、ポリマー類似反応においてこれらを官能基化されたポリイソブテンと反応させてブロックコポリマーを形成することによって行うことができる。
【0065】
この場合における親水性及び疎水性ブロックの構成単位は、相補的な官能基、即ち、相互に反応して連結基を形成することができる基を有する。
【0066】
当然ながら、親水性ブロックの官能基は、好ましくはOH基であるが、例えば、一級アミノ基又は二級アミノ基である場合もある。OH基は、相補的な官能基としてPIBSAとの反応に特に好適である。
【0067】
本発明の更なる実施形態において、ブロックBの合成は又、極性の官能基を有するポリイソブテン(即ち、ブロックA)をアルキレンオキシドと直接反応させてブロックBを形成することにより行われる場合もある。
【0068】
本発明で使用されるブロックコポリマーの構造は、ブロックA及びBの出発原料の種類及び量、並びに反応条件、特に添加順序の選択によって左右される場合がある。
【0069】
ブロックA及び/又はBは、末端に配列される、即ち、他の1種のブロックとのみ連結する場合もあれば、又は他の複数のブロックと連結する場合もある。ブロックA及びBは、例えば互いに交互の配列で直線的に連結する場合がある。原則として、何れの数のブロックも使用される場合があるが、A及びBはそれぞれ、8ブロックを超えないことを原則とする。これは、最も単純なものでは、一般化学式ABのジブロックコポリマーをもたらす。当該コポリマーは更に、一般化学式ABA又はBABのトリブロックコポリマーである場合もある。当然ながら、例えば、ABAB、BABA、ABABA、BABAB、又はABABABのように、複数のブロックが交互に続くことも可能である。
【0070】
当該コポリマーは更に、各場合に2種以上のブロックAが1種のブロックBに結合しているか、2種以上のブロックBが1種のブロックAに結合している、星形及び/又は分岐ブロックコポリマー又は櫛型ブロックコポリマーである場合もある。これらは、例えば、一般化学式AB又はBA(式中、mは自然数3、好ましくは3〜6、更に好ましくは3又は4である)のブロックコポリマーである場合がある。アーム又は分岐においては、当然ながら、例えば、A(BA)又はB(AB)のように、2つ以上のAまたはBのブロックが交互に続くことも可能である。
【0071】
合成の可能性は、OH基及び無水コハク酸基(Sと表記)に関する以下の実施例において示されるが、これにより、これらの種類の官能基の使用に本発明が制限されなければならないことが意図されるわけではない。
【0072】
HO−[B]−OH OH基を2個有する親水性ブロック
[B]−OH OH基を1個のみ有する親水性ブロック
[B]−(OH) OH基をx個(x≧3)有する親水性ブロック
[A]−S 末端基Sを1個有するポリイソブテン
S−[A]−S 末端基Sを2個有するポリイソブテン
[A]−S S基をy個(y≧3)有するポリイソブテン
OH基は、原則として公知の通り、無水コハク酸基Sと連結して、互いと共にエステル基を形成する場合がある。反応は、例えば加熱し、溶媒を使用せずに実施される場合がある。好適な反応温度は、例えば80〜150℃である。
【0073】
トリブロックコポリマーA−B−Aは、例えば、1等量のHO−[B]−OHを2等量の[A]−Sと反応させる簡単な方法で製造される。これを、具体例として完全な化学式を使用して以下に示す。使用した具体例は、PIBSAとポリエチレングリコールとの反応である。
【0074】
【化1】

【0075】
式中、n及びmは、それぞれ独立して自然数である。これらは、例えば、親水性ブロック及び疎水性ブロックそれぞれの最初に定義されるモル質量を得るために、当業者によって選択される。
【0076】
星形ブロックコポリマー又は分岐ブロックコポリマーBAは、[B]−(OH)をx等量の[A]−Sと反応させることによって得ることができる。
【0077】
ポリイソブテンの分野の当業者にとっては、得られるブロックコポリマーが更に、調製条件によって出発原料の残分を有する場合もあることが明らかである。更に、これらは異なる生成物の混合物である場合がある。化学式ABAのトリブロックコポリマーは、例えば、ジブロックコポリマーAB、更には官能基化されたポリイソブテン及び官能基化されていないポリイソブテンも含む。これらの生成物は、更に精製せずにこの用途に使用できるのが有利である。しかし、当然ながら、生成物を精製することも可能である。精製方法は当業者に公知である。
【0078】
一実施形態では、混合物のブレンド調製用相溶化剤が全混合物に対して0.05重量%〜5重量%の量で添加されることが定められる。
【0079】
好ましい実施形態では、伸長性の不織布材料を製造するために、全混合物に対して0.05重量%〜1重量%のブレンド調製用相溶化剤が混合物に添加されることが定められる。
【0080】
高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料は、本発明に基づき、ポリプロピレンとの混和性を持たないさらなるポリマーとしてHDPEを含んでいてもよい。
【0081】
高伸長性を有する不織布材料を得るために、ポリプロピレン及びポリエチレンのコポリマーを、ポリプロピレンに、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなるポリマーに添加してもよい。
【0082】
ポリマー繊維を含む伸長性の不織布材料を製造するには、ポリプロピレンの割合が全混合物に対して約75重量%〜98重量%、好ましくは約85重量%〜95重量%の重量比である混合物が使用されるのが有利である。
【0083】
本発明の拡大部分では、伸長性の不織布材料を製造するには、以下が使用されることが定められる。:
MFIが15g/10分と50g/10分との間(230℃;2.16kg)、好ましくは20g/10分と30g/10分との間(230℃、2.16kg)であるポリプロピレン、及び
MFIが3g/10分と40g/10分との間(190℃;2.16kg)、好ましくは5g/10分と30g/10分との間(190℃、2.16kg)であるHDPE。
【0084】
本発明では更に、高伸長性を有する不織布材料を製造するには、フィラメント又はスフの形態のポリマー繊維を使用してよいことも定められる。
【0085】
本発明の一実施形態によれば、伸長性の不織布材料は、ポリマー混合物からなる任意に配列され、本質的に連続したフィラメントの、熱結合したスパンボンデッド繊維ウェブである。本発明の別の実施形態において、伸長性の不織布材料は、スフの熱結合したカードウェブである。ポリマー繊維を含む伸長性の不織布材料は、メルトブローマイクロファイバー等のさらなる繊維成分を含んでもよい。本発明によれば、伸長性の不織布材料は又、織物複合材として形成されてもよく、伸長性の不織布材料の片側又は両側に塗布されるさらなる成分を含んでもよい。この場合、例えば、
フィルム、
例えば、溶解紡糸、電子紡糸又は溶液紡糸方法又はカード不織布材料、湿式生産、乾式生産で製造された、メルトブロー及び紡糸不織布材料等の不織布材料、及び
フィルム及び/又は不織布材料の積層品
等の、接着したか、部分的に接着したか、又は接着していない層材料を単独で、異なる伸長性を有する複合材として使用してもよい。
【0086】
従って、伸長性の不織布材料は、例えば、連続した又は有孔ポリマーフィルム、弾性ポリマーのフィルム又はウェブ、別のスパンボンデッド繊維ウェブ、伸長性メッシュ、伸長性又は弾性のスレッドの配列、あるいはメルトブローマイクロファイバーのウェブの形態でさらなる成分を含んでもよく、それによって、例えば、突出した柔軟性及び風合いを有する複合材材料が製造される。更に、伸長性の不織布材料は、不織布材料又はフィルム又はこれらの組み合わせとして形成される加工済みの材料に塗布してもよい。
【0087】
純粋なポリプロピレンの不織布材料の伸長性と、エラストマー部分を有するが、高価なエラストマー添加剤を使用しない不織布材料の伸長性との間に、不織布材料の伸長性を設定することが、本発明の更なる概念であった。
【0088】
本発明によれば、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料は、80〜150%の破断点伸び、及び1.5〜2N/g/単位面積の引裂き強度を有してもよい。
【0089】
本発明の不織布材料は、1〜5dtex、好ましくは1.5〜3.5dtexの範囲の力価を有する繊維からなる。
【0090】
本発明の拡大部分では、高伸長性を有し、少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマーの混合物、並びにブレンド調製用相溶化剤となる少なくとも1種のブロックコポリマー(そのブロックコポリマーは、本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)を含み、前記疎水性ブロック(A)は、200〜10,000g/モルのモル質量分布Mを有し、その親水性ブロック(B)は、500〜20,000g/モルのモル質量分布Mを有する)からなるポリマー繊維を含む不織布材料を製造するために、混合物を使用することが定められる。
【0091】
本発明のさらなる概念によれば、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造するための混合物が提供され、この混合物は、少なくとも1種のポリエチレン、及びポリエチレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマー、1種の非混和性ポリマーのさらなる混合成分、及びブレンド調製用相溶化剤となるブロックコポリマー(そのブロックコポリマーは、本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)を含み、その疎水性ブロック(A)は、200〜10,000g/モルのモル質量分布Mを有し、前記親水性ブロック(B)は、500〜20,000g/モルのモル質量分布Mを有する)を含む。
【0092】
この種のポリマーによれば、混合物の基本成分としてポリエチレン及びポリプロピレンを使用することにより異なる混和性が存在し得る。複数のポリマーを有する混合物が使用されてもよい。本発明によれば、混合相溶性、粘度、ポリマー結晶化度又は相の大きさを考慮して形成する不織布材料に更なる特性又は利点を付与するには、さらなる混和性ポリマー及び非混和性ポリマーを、混合物の2種の非混和性の基本成分に添加してもよい。十分に高い混合性を達成するには、一般的に二軸スクリュー押出機が推奨される。しかし、不織布材料自体を製造するために本発明の混合物を使用すれば、一軸押出機で個々の成分の十分な混合が保証される。この技術的な簡素化も、本発明の更なる利点である。
【0093】
不織布材料を形成する紡糸方法に付される本発明の混合物には、安定剤、抗酸化剤等の添加剤、二酸化チタン、滑石粉、又は石英粉塵等の添加剤、希釈剤、さらなるブレンド調製用相溶化剤、粘着防止剤、衝撃抵抗を調節する添加剤、柔軟剤、UV安定剤、顔料、艶消剤、滑沢剤、湿潤剤、帯電防止剤、核形成剤、粘度調整剤、撥水剤及びアルコール忌避剤等のその他の添加剤及びその他のポリマーを添加してもよい。これらの添加剤は、混合物又は伸長性の不織布材料の押出性、消光性、延伸性、施工性、静電気特性、ボンディング特性もしくは湿潤特性又は撥水特性等の加工特性又は製品特性に影響を及ぼすために使用されてもよい。特に、ポリマー性添加剤は又、混合物の加工、及び/又は伸長性の不織布材料又は不織布材料複合体の最終的用途に利点をもたらす混合物と共に使用されてもよい。
【0094】
本発明のさらなる概念によれば、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造する方法であって、少なくとも1種のポリプロピレン、及びポリプロピレンとの混和性を持たないさらなる1種のポリマー、並びにブレンド調製用相溶化剤となる少なくとも1種のブロックコポリマー(そのブロックコポリマーは、本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)を含む)からなる混合物が使用され、ポリプロピレン及びさらなるポリマーが熱作用下にてブレンド調製用相溶化剤の存在下で互いに混合され、次いで、この混合物が開放又は閉鎖プロセスで繊維に紡糸された後、この繊維が装置に配置されて、個々の地点で熱結合され、不織布を形成する方法が提供される。
【0095】
本発明の拡大部分では、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造する方法であって、少なくとも1種のポリエチレン、ポリエチレンとの混和性を持たないさらなるポリマー、並びに少なくとも1種の非混和性ポリマー、及びブレンド調製用相溶化剤となる1種のブロックコポリマー(そのブロックコポリマーは、本質的にイソブテン単位からなる少なくとも1種の疎水性ブロック(A)、及び本質的にオキシアルキレン単位からなる親水性ブロック(B)を含む)からなるさらなる混合物成分を含む混合物が使用される方法が提供されることが定められる。ブレンド調製用相溶化剤は、最初に加熱下で、使用されるポリマーの一部と混合された後、混合成分の形態で得られた、ポリマー及びブレンド調製用相溶化剤の濃縮物が、熱作用下の第二工程において残余ポリマーと一緒に互いに混合される。次いで、この混合物は開放又は閉鎖プロセスで繊維に紡糸された後、この繊維が装置に配置されて、個々の地点で熱結合され、不織布を形成する。
【0096】
高伸長性を有する不織布材料を製造する方法の一実施形態において、不織布材料は、115℃〜160℃の温度範囲で、好ましくは120℃〜150℃の温度範囲で熱結合される。
【0097】
スレッドの紡糸では、紡糸口金から排出される溶解物の均一性に対して高い要求が求められる。従って、例えば、紡績スレッドにおいて不可欠な高速の巻取速度の溶融流れが途絶えると、それによってスレッドが切れてしまうことから、機械負荷に抵抗する溶解物の能力はさほど小さくない場合がある。一方、スレッドは十分に細くできないため、スレッドの所望の高繊度を達成できない可能性があることから、粘度はさほど高くない場合がある。
【0098】
例えば、伸長性の不織布材料は、特に小さな紡糸口を有する特別な有孔プレートを必要としない通常の紡糸方法によって製造することができる。従って、スパンボンデッド方法で通常の10〜100g/10分のMFIを有するポリマーが使用されてもよい。ポリマーは、一軸押出機又は二軸押出機で溶解され、例えば、有孔プレートを介して連続フィラメントに押し出される。混合物の相溶性は、有孔プレートの穿孔から、スレッドの連続鎖が得られるという事実において示される。混合物が相溶性を持たない場合は、混合物の個々の相が有孔プレートから滴出し、スレッドの連続鎖は得られない。その後、フィラメントは、必要に応じて空気又は空気と水との混合物により冷却され、伸長されるが、ここではフィラメントを伸長させる機械装置が使用されてもよい。この場合、伸長比は約1:200〜1:400を得ようと努める。次いで、フィラメントは更に冷却されてもよく、収集表面の形態で装置にランダムに配置される。フィラメントを収集したら、各地点において最も異なるタイプの結合点により特徴付けられる、結合したか又は接着された不織布材料を形成するために、熱的結合処理、化学的結合処理又は機械的結合処理を行うことができる。この場合、熱的点結合が好ましい。これに関しては、異なる技術が公知であるが、好ましくは、点結合パターンを有するカレンダーローラーが使用される。
【0099】
最先端技術で公知のパターンは全て、連続パターン又は不連続パターンを使用する代表的な実施形態で使用することができる。結合点は、伸長性の不織布材料又は伸長性の不織布材料複合体の表面を、好ましくは6%と30%との間、より好ましくは8%と20%との間、最も好ましくは12%と18%との間をで覆う。この方法の拡大部分では、伸長性の不織布材料又は伸長性の不織布材料複合体は、例えば、ウォータージェット、エアジェット又は超音波又はこれらの方法の組み合わせにより、圧縮、接着又は結合されてもよいことが定められる。結合点は又、ホットメルト接着剤を塗布することによって製造されてもよい。結合点だけでなく、伸長性の不織布材料又はこの材料から製造される伸長性の不織布材料複合体は穿孔を有してもよい。これらの結合の種類及び程度は、フィラメントが伸長範囲全体に広がることを許容する一方で、不織布材料又は不織布材料複合体の強度及び完全性は維持される。
【0100】
本発明の利点は、不織布材料の十分な強度と共に十分な伸長性を保証するために、カレンダーにおける結合パターンの公知の複雑な変化がもはや必要とならないような方法で、高伸長性を有する不織布材料が製造されるという事実において見出される。
【0101】
本発明の更なる利点は、不織布材料の点状接着、線状接着又は面状接着を生成する熱結合プロセス又はその他のプロセスの前に、特定の好ましい方向、特に好ましくはMD方向でない方向にフィラメントを配置する必要がないという事実からなる。
【0102】
或いは、伸長性の不織布材料は、公知の方法に従って製造され、不織布材料に強度及び柔軟性を付与するために熱的結合処理、化学的結合処理又は機械的結合処理が使用される結合に付される、スフのカードウェブであってもよい。本発明によれば、伸長性の不織布不材料を形成する連続フィラメント又はスフは、少なくとも2種の非混和性ポリマー成分から形成されるポリマー繊維である。
【0103】
高伸長性を有する不織布材料を製造する方法によれば、ブレンド調製用相溶化剤が使用される。一実施形態において、全混合物に対するブレンド調製用相溶化剤の割合は、0.05重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜3重量%である。
【0104】
自らの紡糸実験で見出された更なる利点は、本発明のコポリマーのブレンドを調製するための相溶化の効果が、ブレンド又はこれらの混合物を製造するためにこれまで公知であった相溶化剤の効果よりも有意に効果的であり、従って非混和性ポリマーの相溶化には、より少量で十分であることである。
【0105】
この方法の拡大部分では、全混合物に対するプロピレンの量が75重量%〜98重量%、好ましくは85重量%〜95重量%であることが定められる(特許請求項23、24)。
【0106】
本発明の不織布材料の製造、及び不織布材料複合体における不織布材料の使用においては、例えば繊維だけでなく、充填材及び強化剤の表面特性にも影響を及ぼす添加剤が、混合物に添加されてもよい。
【0107】
伸長性の不織布材料の調製においては、ポリマー繊維が、意図された用途に依存して異なる断面を有してもよい。フィラメント及びスフは、球状、平面、三葉状又は多葉状であってもよい。同様に、フィラメントは、空洞を有してもよければ、中空繊維として形成されてもよい。フィラメントの表面は、滑らかであっても、亀裂が入っていてもよい。
【0108】
高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む本発明の不織布材料は、例えば、婦人用衛生用品、おむつ、失禁製品、拭き取り繊維等の使い捨て製品で使用することができる。婦人用衛生用品の成分として、例えば、おむつの形態では、伸長性の不織布材料が、カフの領域においてか、又は身体から離れた外層として使用されてもよい。
【0109】
本発明の不織布材料はまた、医療用製品だけでなく、包装材、建築材の成分として、又はろ過技術の分野において使用でき、そしてこの場合には特に、高伸長性を有する不織布材料を必要とする用途においても使用することができる。
【0110】
本発明の拡大部分では、高伸長性を有し、ポリマー繊維を含む不織布材料を製造するのための混合物が、使い捨て製品、医療用製品又は建築材において使用されることが定められる。
【0111】
以下の実施例により、混合物の製造、繊維の紡糸、及び不織布材料の製造に関して、本発明を更に詳細に説明する。
【実施例】
【0112】
(実施例1)
(PIBSA 1000及びポリエチレングリコール 6000のABA構造を有するブレンド調製用相溶化剤の製造)
PIBSA1000(けん化値(SV)=86mg/gKOH)とPluriol(登録商標)E6000(ポリエチレンオキシド、M≒6000)との反応。
【0113】
内部温度計、環流冷却器及び窒素タップを備えた4Lの三つ口フラスコに、783gのPIBSA(M=1305;DP=1.5)及び1800gのPluriol(登録商標)E6000(M≒6000、DP=1.1)を入れた。80℃に加熱して、フラスコを3回抜気し、Nを通気した。その後、混合物を130℃に加熱し、この温度を3時間維持した。その後、生成物を室温に冷却し、分光法により試験した。
【0114】
IRスペクトル(KBr)(cm−1):3310におけるOH原子価振動;2956、2890、2745におけるC−H原子価振動;1732におけるC=O−原子価振動;1640におけるC=C−原子価振動;1471、1388、1365、1232におけるPIB骨格の更なる振動;1109におけるPluriolのエーテル振動。
【0115】
1−H−NMRスペクトル(CDCl、500MHz、TMS、室温)(ppm):異なる強度:4.9〜4.7(PIBSAのC=C);4.3〜4.1(C(O)−O−CH−CH−);3.8〜3.5(O−CH−CH−O、PEO鎖);3.4(O−CH);3.1〜2.9;2.8〜2.4;2.3〜2.1;2.1〜0.8(PIB鎖のメチレン及びメチン)。
【0116】
(実施例2)
(フィラメントの製造)
全混合物に対して94.9重量%のMoplen HP560R、全混合物に対して5重量%のHD 05862N、並びに全混合物に対して0.1重量%の、ポリイソブチレン及びPEG(PIBSA/PEG 1000/6000)からなるブロックコポリマーからなる混合物を、一軸押出機に供給し、溶解して、混合する。次いで、得られた溶解物を、235℃にて、直径0.4mm及びL/D比=4のノズルを備えた紡糸プレートに通す。紡糸方法は、繊維の破断によって阻害されることはない。これにより、力価3.5dtex、比引裂き強度23mN/dtex、及び伸長性約420%のフィラメントが得られる。
【0117】
(比較例)
実施例1の比較として、95重量%のMoplen HP560R(PP、MFI 25g/10分;230℃、2.16kg)及び5重量%のHD 05862N(HDPE、MFI 5g/10分;190℃、2.16kg)を上記押出機に投入し、同じ条件で紡糸する。しかし、繊維の破断が連続して生じるため、得られた溶融フィラメントは細いスレッドに引き伸ばすことができない。
【0118】
(実施例3)
(不織布材料の製造)
紡糸システムにおいて、3種類の異なる混合物をフィラメントに紡糸し、不織布材料を形成するために配置して、表1に記載した温度で結合する。
【0119】
上記フィラメントは以下の材料からなる:
A)100%のMoplen HP560R(PP、MFI 25g/10分)
B)93.9%のMoplen HP560R、6%のHD05862N(HDPE、MFI 5g/10分)、0.1%のPIBSA/BEG 1000/6000
C)95.9%のMoplen HP560R、4%のDMDA 8907NT7(HDPE、MFI 6.75g/10分)、0.1%のPIBSA/PEG 1000/6000
この場合、直径0.6mmのノズルを備えた紡糸プレートが使用された。製造された不織布材料の基本重量は、20g/mである。A)で得られた不織布材料を基準とする。得られたスレッドの機械的特性を、DIN 53 857に従って測定した。引張価(strain value)を表1に要約する。
【0120】
(表1.不織布材料の紡糸の実験結果)
【0121】
【表1】

【0122】
材料Aから、カレンダー温度のみを下げても伸長性は向上しないことが分かる。これに対し、材料Bは、材料Aよりもカレンダー温度が低くなるにつれて明らかに高い伸長性を示している。材料Cの場合、伸長性は、最大値を介して上下し、140℃が最適な結合温度であることが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【公開番号】特開2011−74560(P2011−74560A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294309(P2010−294309)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【分割の表示】特願2008−513943(P2008−513943)の分割
【原出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(597018945)ファイバーウェブ コロビン ゲーエムベーハー (16)
【住所又は居所原語表記】Woltorfer Strasse 124, D−31224 Peine,Germany
【Fターム(参考)】