両開き収納ボックス
【課題】蓋部材の回動時の強度が高い両開き収納ボックスを提供する。
【解決手段】凹部10をもつボックス本体1と、凹部を左右両側から開閉可能に被覆する蓋部材2と、凹部の左右両側に設けられた開閉機構31,32とをもつ。開閉機構は、それぞれ凹部の前後方向の両側に配置されてボックス本体側に蓋部材を係脱可能に枢支する一対の支持部51,52をもつ。一対の支持部は、ボックス本体の前後方向の端部に設けられた軸受部50と、軸受部に回転自在に嵌合された軸部材53とをもつ。一対の支持部に設けられた軸受部は、互いの軸線を一致させて配置されている。一対の支持部は、更に、蓋部材に設けられたロック穴54と、軸部材の内部に移動可能に収容されロック穴に係合するように付勢されたロック部材53と、ロック穴に出没するスライド部材56とをもつ。
【解決手段】凹部10をもつボックス本体1と、凹部を左右両側から開閉可能に被覆する蓋部材2と、凹部の左右両側に設けられた開閉機構31,32とをもつ。開閉機構は、それぞれ凹部の前後方向の両側に配置されてボックス本体側に蓋部材を係脱可能に枢支する一対の支持部51,52をもつ。一対の支持部は、ボックス本体の前後方向の端部に設けられた軸受部50と、軸受部に回転自在に嵌合された軸部材53とをもつ。一対の支持部に設けられた軸受部は、互いの軸線を一致させて配置されている。一対の支持部は、更に、蓋部材に設けられたロック穴54と、軸部材の内部に移動可能に収容されロック穴に係合するように付勢されたロック部材53と、ロック穴に出没するスライド部材56とをもつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋部材を左右両側から開閉可能とする両開き収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のセンターコンソールには、蓋部材を左右両側から開閉可能とする両開き収納ボックスが装着されている。両開き収納ボックスは、例えば、特許文献1の図1,図3に示されているように、ボックス本体(1)の左右両側に、一対の開閉機構をもつ。左右両側に設けられた開閉機構は、それぞれ左右両側と直交する前後方向の両側にボックス本体(1)側に蓋部材(2)を係脱可能に枢支する一対の支持部を設けている。一対の支持部は、ボックス本体(1)の前後方向の端部に設けられた軸受穴(40)と、軸受穴に回転自在に嵌合された軸ピン(11a、11b、12a、12b)とをもつ。これらの軸ピンは、付勢部材(13a、13b、14a、14b)により付勢されて、軸受穴に係合している。この場合、蓋部材は閉止している。例えば、右側の操作ボタン(15)を押すと、軸ピンは、引っ張りケーブル(17a、17b)によって引き戻されて、軸受穴から抜け出す。これにより、蓋部材の左側の軸ピンと軸受穴との嵌合が解除される。そして、蓋部材の右側を上方に持ち上げることにより、蓋部材は、蓋部材の左側の軸ピンを回転中心として、回動して、蓋部材の右側が開く。左側の操作ボタン(16)を押した場合にも、右側の操作ボタンを押したときと同様の作動により、蓋部材の左側が開く。
【0003】
特許文献1では、軸ピンを、軸受穴(40)に着脱することにより、蓋部材を開閉している。着脱に要するスペースの狭小化及び蓋部材の軽量化のため、軸ピンは小さい方がよい。
【特許文献1】特開平2000−96908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、軸ピンは、蓋部材の回動時に、蓋部材の回動中心となり、蓋部材全体の荷重が加わる部分である。このため、軸ピンを細くすると、軸ピンの剛性が小さくなり、蓋部材の回動時の強度が不足するおそれがある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、蓋部材の回動時の強度が高い両開き収納ボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため,請求項1に係る発明である両開き収納ボックスは、凹部をもつボックス本体と、該凹部を左右両側から開閉可能に被覆する蓋部材と、前記凹部の左右両側に設けられ、前記蓋部材の左右両側のいずれか一方を開閉可能とする開閉機構とをもち、前記左右両側に設けられた該開閉機構は、それぞれ前記凹部の前記左右の方向と直交する前後方向の両側に配置され前記ボックス本体側に前記蓋部材を係脱可能に枢支する一対の支持部をもち、該一対の支持部は、前記ボックス本体の前記前後方向の端部に設けられた軸受部と、該軸受部に回転自在に嵌合された軸部材とをもち、前記一対の支持部の一方に設けられた前記軸受部は、前記一対の支持部の他方に設けられた前記軸受部に対して、互いの軸線を一致させて配置され、前記一対の支持部は、更に、前記蓋部材に設けられたロック穴と、前記軸部材の内部に形成された収容部に移動可能に収容され前記ロック穴に係脱するロック部材と、該ロック部材を前記ロック穴側に向けて進出するように付勢する付勢手段と、前記蓋部材に設けられ前記ロック穴に出没するスライド部材とをもつことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記ロック部材は、前記蓋部材の前記ロック穴に前記蓋部材と共回転するように係合されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記ロック部材は、非円形断面をもち、前記軸部材の前記収容部及び前記蓋部材の前記ロック穴は、前記ロック部材の非円形断面に合った形状に開口していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記一対の支持部は、更に、前記軸部材の周方向の位置を、前記非円形断面をもつ前記ロック部材が前記蓋部材の前記ロック穴に係合する係合位置に調整する位置調整手段を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記位置調整手段は、前記軸部材を前記係合位置に位置するように付勢することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記ロック部材における前記ロック穴に係合される側の先端部は、テーパ面をもつことを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、前記一対の支持部のうちの少なくとも1つの支持部には、前記軸部材の回転速度を緩和させるダンパ装置が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、前記位置調整手段は、前記ボックス本体の前記前後方向の側部に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、前記ダンパ装置は、前記ボックス本体の前記前後方向の側部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前記請求項1に係る発明によれば、左右両側の開閉機構の一対の支持部の軸部材が、ボックス本体に設けた軸受部に回転自在に嵌合している。また、軸部材の内部の収容部には、ロック部材が移動可能に収容されている。ロック部材は、蓋部材に設けたロック穴に進出する方向に付勢されている。このため、ロック部材は、ロック穴に係合し、蓋部材は、凹部を閉じた状態を維持する。
【0016】
また、左右いずれか一方の開閉機構の一対の支持部のロック穴にスライド部材を進出させると、スライド部材が、ロック部材をロック穴から押し出して、ロック部材のロック穴への係合を解除する。これにより、蓋部材の左右いずれか一方側が、開放可能となる。一方、左右の他方の開閉機構の一対の支持部のロック部材はロック穴との係合が維持されている。このため、蓋部材の左右の一方を持ち上げることにより、左右の他方の開閉機構の一対の支持部の軸部材が軸受部に対して回動して、蓋部材の左右の一方が開く。
【0017】
ここで、軸部材は、ボックス本体に設けられた軸受部に回転自在に嵌合している。また、蓋部材のボックス本体側への脱着は、軸部材内の収容部に収容されたロック部材が蓋部材に設けたロック穴に係合又は離脱することにより行っている。即ち、本発明においては、蓋部材の回動機能を軸受部及び軸部材に担わせ、蓋部材側への脱着機能をロック部材及びロック穴に担わせている。回動機能と脱着機能を別個の部材に担わせているため、蓋部材の開閉時に受ける負荷を別個の部材に分担させることができ、負荷の集中を回避できる。
【0018】
また、軸部材の内部には、ロック部材を移動可能に収容している。このため、軸部材の太さが大きくなり、従来の軸ピンに比べて軸部材の軸周りの剛性が高くなる。従って、回動時に受ける荷重、特にねじれ方向の荷重に対して、軸部材の強度が高くなる。
【0019】
また、軸部材は、ボックス本体側に取り付けられる。このため、従来のように軸ピンを蓋部材の中に組み付ける場合に比べて、蓋部材の中に組み付ける部品点数が少なくなる。また、軸部材の収容部にロック部材を収容した後に、軸部材を軸受部に嵌合すればよく、従来に比べて、部品の組み付け性が向上する。
【0020】
前記請求項2に係る発明によれば、ロック部材が、蓋部材のロック穴に蓋部材と共回転するように係合されている。このため、回動時の蓋部材の荷重が、ロック部材を介して、剛性の高い軸部材に伝達される。それゆえ、蓋部材の回動時に、蓋部材が剛性の高い軸部材によって支持されることになり、回動時の蓋部材の強度が向上する。
【0021】
前記請求項3に係る発明によれば、収容部及びロック穴が、ロック部材の非円形断面に合った形状に開口している。このため、収容部及びロック穴に対するロック部材の周方向の位置ズレが規制される。それゆえ、蓋部材が回動すると、ロック部材及び軸部材も共に回動する。従って、回動時の蓋部材の荷重が、ロック部材を介して、軸部材に伝達される。よって、蓋部材の回動時に、蓋部材が剛性の高い軸部材に支持されて、回動時の蓋部材の強度が向上する。
【0022】
前記請求項4に係る発明によれば、一対の支持部に設けられた位置調整手段は、軸部材の周方向の位置を、ロック部材が蓋部材のロック穴に係合する係合位置に調整する。このため、ロック部材の非円形断面の周方向の位置がロック穴の周方向の位置と一致して、ロック部材がロック穴に確実に係合することができる。
【0023】
前記請求項5に係る発明によれば、位置調整手段は、軸部材を係合位置に位置するように付勢している。このため、蓋部材が開いてロック部材と蓋部材のロック穴との係合が解除されている場合には、軸部材に蓋部材の回転力が伝達されず、軸部材は係合位置に保持される。したがって、蓋部材を閉めるときには、軸部材に収容されたロック部材は、常にロック部材がロック穴に係合することができる。
【0024】
前記請求項6に係る発明によれば、蓋部材が開いた状態から閉止するときに、蓋部材のロック穴の開口周縁は、ロック部材のテーパ面に当接して、ロック部材を収容部側に後退させる。蓋部材を更に閉めることにより、ロック部材とロック穴との位置が一致して、一旦後退したロック部材が、ロック穴に進入し係合する。このようにロック部材にテーパ面を設けることにより、ロック部材が蓋部材に押されてロック穴から後退するため、蓋部材の妨げとならず、蓋部材を確実に閉止することができる。
【0025】
前記請求項7に係る発明によれば、蓋部材の開閉速度を緩やかに抑えることができ、開閉時の操作性が向上する。
【0026】
前記請求項8に係る発明によれば、位置調整手段は、ボックス本体の前後方向の側部に設けられている。本発明の両開き収納ボックスを車両内装部品として用いる場合には、ボックス本体の前後方向の側部は、他の車体内装部品に覆われて車両搭乗者からは視認されない部分である。ボックス本体の前後方向の側部に、位置調整手段を配置することにより、位置調整手段は外観視されない。また、ボックス本体の外観視されない部分を有効に利用することができる。
【0027】
前記請求項9に係る発明によれば、前記請求項8に係る発明の位置調整手段と同様に、ダンパ装置は外観視されず、ボックス本体の外観視されない部分を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施形態に係る両開き収納ボックスについて図面を用いて説明する。図1は、車両内部に搭載された両開き収納ボックスの全体斜視図である。図1において、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」は、車両搭乗者からみた位置である。図2以後の図面に示された各方向についても、図1と同様である。
【0029】
図1に示すように、凹部10をもつボックス本体1と、凹部10を左右両側のいずれか一方から開閉可能に被覆する蓋部材2と、凹部10の左右両側に設けられた開閉機構31,32とをもつ。
【0030】
ボックス本体1は、車両内部のセンターコンソールの中に装着される。ボックス本体1の外壁は、センターコンソールの中に収容される。ボックス本体1は、前後方向の長い直方体である。ボックス本体1の中央には、小物を収容する直方体形状の凹部10が形成されている。
【0031】
図2は、図1のA−A矢視線断面図である。図3は、図2のB−B矢視断面図である。図2、図3に示すように、蓋部材2は、略長方形の平板状体であり、凹部10を開閉可能に被覆している。蓋部材2は、上部材21と、下部材22とからなり、上部材21と下部材22との間の空隙には、後述のスライド部材57及び操作部6が収容されている。
【0032】
右側の開閉機構31は、蓋部材2の右側を開閉させ、左側の開閉機構32は、蓋部材2の左側を開閉させる。右側の開閉機構31と左側の開閉機構32とは、構造及び作動が同様であるため、以後、右側の開閉機構31を代表して説明する。
【0033】
右側の開閉機構31は、ボックス本体1の凹部10の左右方向と直交する前後方向の両側に配置された前後一対の支持部51,52と、前後一対の支持部51,52の間に配置された操作部6と、をもつ。前後一対の支持部51,52は、ボックス本体1側に蓋部材2を係脱可能に枢支する。操作部6は、前後一対の支持部51,52に連係しており、操作部6を操作することで前後一対の支持部51,52が作動して蓋部材2をボックス本体側1から離脱させる。
【0034】
前後一対の支持部51,52は、構造及び作動が互いに同じであるため、前後一対の支持部51,52のうち後部の支持部51を代表して説明する。図4は、右側の開閉機構31の後部の支持部51の分解斜視図であり、図5は、後部の支持部51の断面図である。図6は、図5のC−C矢視線断面図である。図7は、軸部材に嵌合される抜け止め部材の軸方向断面図である。
【0035】
図4,図5に示すように、後部の支持部51は、ボックス本体1の前後方向の後端部に設けられた軸受部50と、軸受部50に回転自在に嵌合された軸部材53と、蓋部材2に設けられたロック穴54と、軸部材53の内部に移動可能に収容されたロック部材55と、ロック部材55をロック穴54に係合する方向に付勢する付勢部材56と、蓋部材2に設けられロック穴54に出没するスライド部材57とをもつ。
【0036】
軸受部50の軸線は、ボックス本体1の前後方向に延びている。後部の支持部51に設けられた軸受部50は、前部の支持部52に設けられた軸受部50と、互いの軸線を一致させて配置されている。軸受部50は、軸方向の両端部に開口50a、50bをもつ軸受穴である。一方の開口50aは、ボックス本体1の凹部10側に配置され、他方の開口50bはボックス本体1の前後方向の側部11に配置されている。
【0037】
軸受部50の一方の開口50aから内部に軸部材53が嵌挿されている。軸部材53は、本体部53aと、筒部53bとをもつ。本体部53aは、軸受部50の外形と同じ大きさの円形断面の外形をもつ有底筒体である。本体部53aの底部側には、筒部53bが配置されている。筒部53bは、本体部53aより若干小さく、軸受部50に嵌合可能な円筒体である。筒部53bは、軸受部50の内側の軸受面に摺接して、軸受部50に回転自在に支持されている。軸受部50の一方の開口50aの周縁は、筒部53bの外周側の本体部53aの底部が係止している。
【0038】
軸受部50の他方の開口50bには、抜け止め部材71が設けられている。抜け止め部材71は、頭部71aと、係止部71bとをもつ。頭部71aは、軸受部50の開口50bよりも若干大きい円形断面をもち、開口50bの周縁に当接している。また、頭部71aは、軸受部50の開口50bよりも径方向内側の当接部で、軸部材53の筒部53bの先端部に当接して、軸部材53が軸受部50から抜け出ることを防止している。
【0039】
また、図5,図6,図7に示すように、抜け止め部材71の係止部71bは、頭部71aの軸方向の内側端面に形成された凹所71dの2箇所から軸方向に延びている。係止部71bの先端には、爪部71cが径方向外側に向けて突出している。係止部71bは、軸部材53の筒部53bの内部に挿入されている。筒部53bの周面の2箇所には、係止部71bの爪部71cよりも若干大きい2つの小孔53gが開口している。2つの小孔53gは、筒部53bの軸線上の同位置で、周方向に等間隔に配置されている。爪部71cが、この小孔53gに係止されることにより、抜け止め部材71は、軸部材53に対する周方向の位置が規制されて、軸部材53とともに回転する。
【0040】
図4、図5に示すように、軸部材53の本体部53aの内部には、収容部53cと、バネ室53dと、支持孔53eとが形成されている。収容部53cは、軸方向の一端側に開口して、断面正方形をなしている。バネ室53dは、収容部53cに隣設して収容部53cよりも小さい円形断面をもつ。支持孔53eは、本体部53aの底部を貫通して形成されており、バネ室53dと、本体部53aの軸方向の他端側に設けられた筒部53cの内部とを連通している。支持孔53eは、バネ室53dよりも小さい円形断面をもつ。本体部53aの外周面と収容部53cの外周面との間の周壁の内部には、肉抜き部53fが形成されている。軸部材53の本体部53a及び筒部53bの軸線は、軸受部50の軸線と一致する。また、本体部53b内の収容部53c、バネ室53d、及び支持孔53eの軸線も、本体部53a及び筒部53bの軸線と一致する。
【0041】
軸部材53の収容部53cには、ロック部材55が軸方向に移動可能に収容されている。ロック部材55は、胴部55aと、脚部55bとをもつ。胴部55aは、断面正方形で、軸部材53の収容部53cと同じか若干小さい大きさである。胴部55aは、収容部53cの内周面に摺接して収容部53cの軸方向に移動可能である。胴部55aの先端部の上方部には、平面状に傾斜したテーパ面55cが設けられている。
【0042】
ロック部材55の脚部55bは、胴部55aの基端部から軸線方向に延びている。脚部55bは、軸部材53のバネ室53d及び支持孔53eに配設されている。
【0043】
軸部材53のバネ室53dには、付勢部材56が収容されている。付勢部材56は、圧縮コイルバネであり、一端は、ロック部材55の基端部に係止されており、他端は軸部材53のバネ室53dの底部に係止されている。付勢部材56は、ロック部材55を軸部材53の収容部53cから飛び出す方向に付勢している。ロック部材55の脚部55bの先端に設けたフック状の係止部55dは、軸部材53の本体部53bの支持孔53eの外側周縁に係止する。これによって、収容部53cからのロック部材55の飛び出し量が制限される。
【0044】
図5、図6,図7に示すように、抜け止め部材71には、位置調整手段としてのバネ72が設けられている。バネ72は、蓋部材2の左右一方を閉止するときに、ロック部材55のテーパ面55cが上側に位置するように軸部材53の周方向の位置を調整する。バネ72は、例えば、トーションバネである。バネ72は、抜け止め部材71の内側端面側に形成された凹所71dに収容され、凹所71dから軸方向に突出する4本の腕部71fに巻回されている。バネ72の一端72aは、抜け止め部材71の内側端面に切り欠いて形成された窪み71gを通り抜けて、ボックス本体1の側部11に併設された一対の突起部11a、11a間のスリット11bに係止されている。バネ72の他端72bは、抜け止め部材71の内側端面に切り欠いて形成されたもう一つの窪み71hの内壁に固着されている。この窪み部71hは、抜け止め部材71がボックス本体1に対して回動するように周方向に広い幅をもつ。をもつ。また、バネ72の他端72bは、ボックス本体1の前後方向の側部11から突出するストッパー12に離接可能に当接している。
【0045】
また、図4,図5に示すように、ボックス本体1の後方の側部11に位置する抜け止め部材71の下部には、ダンパ装置74が配設されている。ダンパ装置74は、ボックス本体1の側部11に固定される固定部74aと、固定部74aに対して回転可能な回転部74bと、回転部74bの外周部に形成されたギヤ部74cとをもつ。固定部74aは、径方向外側に広がるフランジ部74dをもつ。フランジ部74dは、軸方向外側に向かって突起部11a分の高さだけ張り出した後に径方向外側に広がっているので、固定部74aとボックス本体1の側部11との間には、突起部11aの高さ分の空間74fが確保されている。ダンパ装置74は、フランジ部74cに形成されたボルト穴、及びボックス本体1の側部11に形成されたボルト穴11cに、ボルト11dが螺着されることにより、ボックス本体1に取り付けられている。
【0046】
ダンパ装置74の固定部74aと回転部74bとの間には、粘性をもつオイルが封入されている。回転部74bの外周部に形成されたギヤ部74cは、抜け止め部材71の頭部71aの外周部に形成されたギヤ71eと噛合している。抜け止め部材71が軸部材51と共回転すると、ダンパ装置74のギヤ部74cが回転する。ギヤ部74cはオイルの粘性によって回転速度が緩められる。軸部材53は、ダンパ装置74のギヤ部74cに噛合している抜け止め部材71に一体に保持されているため、軸部材53の回転速度は緩く抑えられる。
【0047】
また、図2,図5に示すように、蓋部材2は、四角形状をなしており、その4つのコーナー部には段部20が形成されている。段部20における前後方向に対向する側部には、ロック穴54が開口している。ロック穴54の開口は、ロック部材55の胴部55aの断面形状と同じか又は若干大きい正方形断面をもつ。ロック穴54は、その開口側からロック部材55の胴部55aの先端部が進退する。
【0048】
また、図5、図8に示すように、ロック穴54の奥側には、スライド部材57が出没するように配設されている。スライド部材57は、ロック穴54に進出することで、ロック穴54へのロック部材55の係合を解除する解除手段である。スライド部材57は、蓋部材2の内部に配設され前後方向に長く延びる長尺状体である。スライド部材57は、蓋部材2の下部材22から上側に突出するガイド壁22aによって前後方向に移動可能に支持されている。スライド部材57の長手方向の一端の先端部57aは、ロック穴54の内部で、ロック部材55の胴部55aの先端部と対向している。スライド部材57の他端には、上方向に突出した複数の鉤部57bが設けられている。鉤部57bには、円環状の摺接部材58が嵌挿されている。摺接部材58の内周面は、スライド部材57の鉤部57bに保持されている。
【0049】
また、スライド部材57の長手方向の中央部には、バネ穴57cが開口している。バネ穴57cには、蓋部材2の下部材22から上側に突出するバネ座22bが配置されている。バネ座22bとバネ穴57cの前後方向の端面との間には、コイルバネ57dが配設されている。コイルバネ57dは引っ張りバネであり、一端はバネ座22bに固着され、他端はバネ穴57cの操作部6側の端面に固着されている。コイルバネ57dは、スライド部材57をロック穴54から後退させる方向に付勢している。
【0050】
操作部6は、操作部材61と、ガイド部材62とをもつ。操作部材61は、蓋部材2の左右方向の側部26側に配設されている。操作部材61は、蓋部材2の左右方向に移動可能であり、側部26に形成された開口25から出没する。操作部材61の前後方向に配置された一対の側部61aは、蓋部材2の開口25側に向かって、互いの距離が漸次広がる傾斜部61bをもつ。傾斜部61bには、摺接部材58が摺接している。操作部材61の側部61aにおける傾斜部61bよりも内側は、蓋部材2の下部材22から上側に突出しL字形状に屈曲するガイド壁22cによって、左右方向に移動するようにガイドされている。
【0051】
図2,図8に示すように、ガイド部材62は、操作部材61よりも前後方向の幅及び上下方向の高さが小さい。ガイド部材62は、蓋部材2の下部材22から突出する台座22dの上に配設されて、操作部材61の前後方向断面の中央に配置されて、操作部材61の左右方向の内側の端面に固定されている。ガイド部材62は、バネ穴62aと、長孔62bとをもつ。バネ穴62aには、蓋部材2の下部材22の台座22dから突出するバネ座22eが配置されている。バネ座22eとバネ穴62aの左右方向の端面との間には、コイルバネ62cが配置されている。コイルバネ62cは、圧縮バネであり、その一端はバネ座22eに係止され、他端はバネ穴62aの左右方向外側の端面に係止されている。コイルバネ62cは、操作部材61を、左右方向外側、即ち蓋部材2の開口25から突出する方向に付勢している。操作部材61が操作されていない時には、操作部材61の先端はコイルバネ62cの付勢力によって開口25から若干突出する。このとき、ガイド部材62の長孔62bの一方の端面に、蓋部材2の下部材22から突出する嵌合凸部22fが係止して、操作部材61の開口25からの突出量を制限している。
【0052】
図3に示すように、右側の開閉機構31の操作部6のガイド部材62と、左側の開閉機構32の操作部6のガイド部材62との間には、隙間60が介在している。隙間60は、開閉機構31,32の一方の操作部6のガイド部材62が移動したときに、開閉機構31,32の他方の操作部6のガイド部材62に干渉しないようにしている。
【0053】
なお、本実施形態に係る両開き収納ボックスに用いられている部品の中で、付勢部材56、バネ72及びコイルバネ62cは金属製であり、その他の部品は樹脂製である。
【0054】
次に、本実施形態に係る両開き収納ボックスの作動について説明する。まず、蓋部材2がボックス本体1の凹部10を閉止しているときの各部品の状態を説明する。図8に示すように、蓋部材2がボックス本体1の凹部10を閉止して閉位置にあるときには、左右両側の開閉機構31,32の一対の支持部51,52のロック部材55は、付勢部材56によって、蓋部材2のロック穴54に進出してロック穴54に係合している。このとき、ロック部材55のロック穴54への係合によって、蓋部材2はボックス本体1側に保持されている。このため、蓋部材2の左右両側の一方の側部を把持して上側に押し上げても、蓋部材2を持ち上げることはできない。
【0055】
このように蓋部材2が閉止しているとき、図6に示すように、抜け止め部材71に設けられたバネ72の他端72bは、ボックス本体1の側部11から突出したストッパー12に当接して、バネ72の回動が規制される。バネ72の他端72bは抜け止め部材71に固着しており、抜け止め部材71は軸部材53と周方向の位置が規制されている。このため、バネ72がストッパー12に当接することで、軸部材53は、ボックス本体1に対して、所定の周方向の位置に調整されている。この所定の周方向の位置とは、図4,図5に示すように、軸部材53に設けた収容部53cの断面正方形の一辺が水平方向に向く位置である。軸部材53が、上記所定の周方向の位置に調整されると、収容部53cに収容されているロック部材55の胴部55aの先端部も、その断面正方形の一辺が水平方向に向く。蓋部材2に形成された断面正方形のロック穴54は、閉止時には一辺が水平方向に向いている。このため、軸部材53の収容部53c、ロック部材55及びロック穴54は、それぞれの断面正方形の一辺を水平方向に向けている。
【0056】
次に、図10に示すように、蓋部材2の右側に設けられた開閉機構31の操作部6の操作部材61を蓋部材2の内部に押し込むと、操作部材61が蓋部材2の内側に移動する。操作部材61の傾斜部61bは、摺接部材58に摺接しながら、スライド部材57を、凹部10の前後方向の外側に向かって押動させる。スライド部材57は、コイルバネ57dの付勢力に抗して、ロック穴54に進出する。ロック穴54に係合しているロック部材55は、その胴部55aの先端部でスライド部材57の先端部57aに当接する。スライド部材57の先端部57aは、ロック穴54に進入しつつ、ロック部材55をロック穴54から押し出して、ロック部材55のロック穴54との係合を解除する。操作部材61は、蓋部材2に設けられたL字状のガイド壁22cの内側端面に当接して、移動が規制される。このとき、スライド部材57の先端部57aのスライドは、ロック穴54の開口で止まる。これにより、蓋部材2は、ボックス本体1側に保持されたロック部材55から解放される。このように右側の開閉機構31の操作部材61を蓋部材2の内部に押し込むことにより、蓋部材2の右側が凹部10の右側に設けたロック部材55から解放される。この状態で、図9の矢印Aに示すように、蓋部材2の右側の側部を把持して上側に持ち上げることにより、左側の開閉機構32の支持部51,52を回転中心として、蓋部材2が回動して、蓋部材2の左側が開き、蓋部材2は開位置をとる。
【0057】
ここで、図11に示すように、左側の開閉機構32の一対の支持部51,52の軸部材53には、バネ72の他端72bが固着された抜け止め部材71が一体に固定されている。このため、蓋部材2の右側が開くときには、左側の開閉機構32の抜け止め部材71は、バネ72の付勢力に抗してボックス本体1から突出するストッパー12から離間する方向に回動する。一方、右側の開閉機構31の抜け止め部材71に巻回されたバネ72は、その付勢力によって、ボックス本体1の側部11から突出したストッパー12に当接し続ける。それゆえ、図4に示すように、右側の開閉機構31の軸部材53の周方向の位置は、断面正方形のロック部材55がロック穴54に係合する所定の位置に保持される。即ち、軸部材53の周方向の位置は、所定の位置に保持された状態にあり、軸部材53に設けられた収容部53c及び、収容部53cに収容されているロック部材55の断面正方形の一辺が水平方向に向き、ロック部材55のテーパ面55cが上側に向く。
【0058】
次に、右側が開いた蓋部材2を閉止するときには、蓋部材2の右側の側部を下方に押し下げる。このとき、軸部材53の周方向の位置は、上記のように、所定の位置に保持された状態にあり、ロック部材55のテーパ面55cが上側に向いている。このため、蓋部材2の右側の下面が、ロック部材55の胴部55aのテーパ面55cに当接し、付勢部材56の付勢力に抗して、ロック部材55の胴部55aが収容部53cの中に押し戻される。やがて、蓋部材2の段部20の側面が、胴部55aの先端面を下降して、蓋部材2の段部20に開口するロック穴54が胴部55aの先端面と同程度の高さに位置する。このとき、ロック部材55は付勢部材56の付勢力によって、ロック穴54の中に進入する。ロック部材55の先端は、ロック穴54の中のスライド部材57の先端部57aを押動してロック穴54から退避させる。これにより、蓋部材2のロック穴54に、ロック部材55が係合して、蓋部材2がボックス本体1側に枢支される。
【0059】
本実施形態においては、図5に示すように、軸部材53は、ボックス本体1に回転自在に嵌合しており、蓋部材2への脱着は、軸部材53内に収容されたロック部材55が蓋部材2に設けたロック穴54に係合又は離脱することにより行っている。即ち、本実施形態においては、蓋部材2の回動機能を軸部材53及び軸受部50に担わせ、蓋部材2側への脱着機能をロック部材55及びロック穴54に担わせている。回動機能と脱着機能を別個の部材に担わせているため、蓋部材2の開閉時に受ける負荷を別個の部材に分担させることができ、負荷の集中を回避できる。
【0060】
また、軸部材53の収容部53cは、ロック部材55を移動可能に収容している。このため、軸部材53の太さが大きくなり、従来の軸ピンに比べて軸部材53の軸周りの剛性が高くなる。従って、回動時に受ける荷重、特にねじれ方向の荷重に対して、軸部材53の強度が高くなる。
【0061】
また、軸部材53は、ボックス本体1側に取り付けられる。このため、従来のように軸ピンを蓋部材の中に組み付ける場合に比べて、蓋部材2の中に組み付ける部品点数が少なくなる。また、軸部材53の収容部53cにロック部材55を収容した後に、軸部材53を軸受部50に嵌合すればよく、従来に比べて、部品の組み付け性が向上する。
【0062】
また、図4に示すように、ロック部材55の断面形状が、蓋部材2のロック穴54と同様の非円形状をなしている。このため、ロック部材55は、ロック穴54に対する周方向の位置ズレが規制されて、蓋部材2とともに回転する。回動時の蓋部材2の荷重が、ロック部材55を介して、剛性の高い軸部材53に伝達される。それゆえ、蓋部材2の回動時に、蓋部材2が剛性の高い軸部材53によって支持されることになり、回動時の蓋部材2の強度が向上する。
【0063】
また、軸部材53の周方向の位置は、バネ72によって、軸部材53の収容部53cの断面正方形の一辺が水平方向に向くように維持されている。収容部53cに収容されているロック部材55の胴部55aの断面正方形の一辺も水平方向に維持される。このため、ロック部材55の胴部55aの先端に形成したテーパ面55cも常に上側に向いている。このため、蓋部材2が開位置から閉位置に回動するときに、蓋部材2の底面にテーパ面55cが当接し、ロック部材55は、軸部材53の収容部53cの中に一旦退避する。それゆえ、蓋部材2は、ロック部材55に妨げられず、閉位置まで押し下げることができる。
【0064】
また、蓋部材2が閉位置まで押し下げられたときには、蓋部材2に設けたロック穴54の断面正方形の一辺が水平方向となる。このため、ロック部材55の周方向の位置が、ロック穴54の周方向の位置に一致して、ロック部材55がロック穴54に確実に係合することができる。
【0065】
また、図5に示すように、左右両側の開閉機構31,32の後部側の支持部51には、ダンパ装置74が設けられている。ダンパ装置74のギヤ部74cは、抜け止め部材71に設けられたギヤ部71eに噛合している。抜け止め部材71は、係合部71bによって軸部材53に対して周方向の回転が規制された状態で軸部材53に一体に固定されている。このため、軸部材53は、抜け止め部材71とともにダンパ装置74によって回動速度が緩やかに抑えられる。ゆえに、蓋部材2の開閉時に、蓋部材2が急激に回動することを防止でき、操作感がよい。
【0066】
また、軸受部50の軸方向の他端の開口50bは、ボックス本体1の前後方向の側部11に形成されている。このボックス本体1の側部11は、センターコンソールに覆われて車両搭乗者からは視認されない。このボックス本体1の前後方向の側部11に、抜け止め部材71、バネ72及びダンパ装置74を配置することにより、これらの部品は外観視されない。また、ボックス本体1の外観視されない部分を有効に利用することができる。
【0067】
本実施形態においては、ダンパ装置74を左右両側の開閉機構31,32の後部側の支持部52にのみ設けているが、前部側の支持部51に設けても良いし、前後両側の支持部51,52に設けても良い。
【0068】
また、本実施形態においては、軸部材53の収容部53c、ロック部材55及び、蓋部材2のロック穴54の断面形状は、正方形であるが、非円形であれば特に限定はない。例えば、三角形、長方形、六角形などの多角形、楕円でもよく、また円形の少なくとも一部に凹凸をもつ形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態に係る両開き収納ボックスの斜視図である。
【図2】蓋部材が閉止状態にあるときの、図1のA−A矢視線断面図である。
【図3】図2のB−B矢視線断面図である。
【図4】実施形態に係る両開き収納ボックスの右側の開閉機構の後部の支持部の分解斜視図である。
【図5】図3に示された後部の支持部の拡大断面図である。
【図6】図5のC−C矢視線断面図である。
【図7】図6のD−D矢視線で切断された抜け止め部材の断面図である。
【図8】蓋部材が閉位置にあるときの図3の要部拡大断面図である。
【図9】実施形態に係る両開き収納ボックスの後部側の側面図である。
【図10】蓋部材が開位置にあるときの図3の要部拡大断面図である。
【図11】左右両側の開閉機構の後部側の支持部の抜け止め部材の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1:ボックス本体、2:蓋部材、6:操作部、10:凹部、11:側部、12:ストッパー、20:段部、21:上部材、22:下部材、25:開口、31:右側の開閉機構、32:左側の開閉機構、50:軸受部、50a、50b:開口、51:後部側の支持部、52:前部側の支持部、53:軸部材、53a:主体部、53b:筒部、53c:収容部、53d:バネ室、53e:支持孔、53f:肉抜き部、53g:小孔、54:ロック穴、55:ロック部材、55a:胴部、55b:脚部、55c:テーパ面、55d:フック部、56:付勢部材(付勢手段)、57:スライド部材、57a:先端部、57b:鉤部、57c:バネ穴、57d:コイルバネ、58:摺接部材、61:操作部材、61a:側部、61b:傾斜部、62:ガイド部材、62a:バネ穴、62b:長穴、62c:コイルバネ、71:抜け止め部材、71a:頭部、71b:係止部、71d:凹所、71e:ギヤ部、71f:腕部、72:バネ(位置調整手段)、72a:バネの一端、72b:バネの他端、74:ダンパ装置、74c:ギヤ部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋部材を左右両側から開閉可能とする両開き収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のセンターコンソールには、蓋部材を左右両側から開閉可能とする両開き収納ボックスが装着されている。両開き収納ボックスは、例えば、特許文献1の図1,図3に示されているように、ボックス本体(1)の左右両側に、一対の開閉機構をもつ。左右両側に設けられた開閉機構は、それぞれ左右両側と直交する前後方向の両側にボックス本体(1)側に蓋部材(2)を係脱可能に枢支する一対の支持部を設けている。一対の支持部は、ボックス本体(1)の前後方向の端部に設けられた軸受穴(40)と、軸受穴に回転自在に嵌合された軸ピン(11a、11b、12a、12b)とをもつ。これらの軸ピンは、付勢部材(13a、13b、14a、14b)により付勢されて、軸受穴に係合している。この場合、蓋部材は閉止している。例えば、右側の操作ボタン(15)を押すと、軸ピンは、引っ張りケーブル(17a、17b)によって引き戻されて、軸受穴から抜け出す。これにより、蓋部材の左側の軸ピンと軸受穴との嵌合が解除される。そして、蓋部材の右側を上方に持ち上げることにより、蓋部材は、蓋部材の左側の軸ピンを回転中心として、回動して、蓋部材の右側が開く。左側の操作ボタン(16)を押した場合にも、右側の操作ボタンを押したときと同様の作動により、蓋部材の左側が開く。
【0003】
特許文献1では、軸ピンを、軸受穴(40)に着脱することにより、蓋部材を開閉している。着脱に要するスペースの狭小化及び蓋部材の軽量化のため、軸ピンは小さい方がよい。
【特許文献1】特開平2000−96908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、軸ピンは、蓋部材の回動時に、蓋部材の回動中心となり、蓋部材全体の荷重が加わる部分である。このため、軸ピンを細くすると、軸ピンの剛性が小さくなり、蓋部材の回動時の強度が不足するおそれがある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、蓋部材の回動時の強度が高い両開き収納ボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため,請求項1に係る発明である両開き収納ボックスは、凹部をもつボックス本体と、該凹部を左右両側から開閉可能に被覆する蓋部材と、前記凹部の左右両側に設けられ、前記蓋部材の左右両側のいずれか一方を開閉可能とする開閉機構とをもち、前記左右両側に設けられた該開閉機構は、それぞれ前記凹部の前記左右の方向と直交する前後方向の両側に配置され前記ボックス本体側に前記蓋部材を係脱可能に枢支する一対の支持部をもち、該一対の支持部は、前記ボックス本体の前記前後方向の端部に設けられた軸受部と、該軸受部に回転自在に嵌合された軸部材とをもち、前記一対の支持部の一方に設けられた前記軸受部は、前記一対の支持部の他方に設けられた前記軸受部に対して、互いの軸線を一致させて配置され、前記一対の支持部は、更に、前記蓋部材に設けられたロック穴と、前記軸部材の内部に形成された収容部に移動可能に収容され前記ロック穴に係脱するロック部材と、該ロック部材を前記ロック穴側に向けて進出するように付勢する付勢手段と、前記蓋部材に設けられ前記ロック穴に出没するスライド部材とをもつことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記ロック部材は、前記蓋部材の前記ロック穴に前記蓋部材と共回転するように係合されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記ロック部材は、非円形断面をもち、前記軸部材の前記収容部及び前記蓋部材の前記ロック穴は、前記ロック部材の非円形断面に合った形状に開口していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記一対の支持部は、更に、前記軸部材の周方向の位置を、前記非円形断面をもつ前記ロック部材が前記蓋部材の前記ロック穴に係合する係合位置に調整する位置調整手段を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記位置調整手段は、前記軸部材を前記係合位置に位置するように付勢することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記ロック部材における前記ロック穴に係合される側の先端部は、テーパ面をもつことを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、前記一対の支持部のうちの少なくとも1つの支持部には、前記軸部材の回転速度を緩和させるダンパ装置が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、前記位置調整手段は、前記ボックス本体の前記前後方向の側部に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、前記ダンパ装置は、前記ボックス本体の前記前後方向の側部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前記請求項1に係る発明によれば、左右両側の開閉機構の一対の支持部の軸部材が、ボックス本体に設けた軸受部に回転自在に嵌合している。また、軸部材の内部の収容部には、ロック部材が移動可能に収容されている。ロック部材は、蓋部材に設けたロック穴に進出する方向に付勢されている。このため、ロック部材は、ロック穴に係合し、蓋部材は、凹部を閉じた状態を維持する。
【0016】
また、左右いずれか一方の開閉機構の一対の支持部のロック穴にスライド部材を進出させると、スライド部材が、ロック部材をロック穴から押し出して、ロック部材のロック穴への係合を解除する。これにより、蓋部材の左右いずれか一方側が、開放可能となる。一方、左右の他方の開閉機構の一対の支持部のロック部材はロック穴との係合が維持されている。このため、蓋部材の左右の一方を持ち上げることにより、左右の他方の開閉機構の一対の支持部の軸部材が軸受部に対して回動して、蓋部材の左右の一方が開く。
【0017】
ここで、軸部材は、ボックス本体に設けられた軸受部に回転自在に嵌合している。また、蓋部材のボックス本体側への脱着は、軸部材内の収容部に収容されたロック部材が蓋部材に設けたロック穴に係合又は離脱することにより行っている。即ち、本発明においては、蓋部材の回動機能を軸受部及び軸部材に担わせ、蓋部材側への脱着機能をロック部材及びロック穴に担わせている。回動機能と脱着機能を別個の部材に担わせているため、蓋部材の開閉時に受ける負荷を別個の部材に分担させることができ、負荷の集中を回避できる。
【0018】
また、軸部材の内部には、ロック部材を移動可能に収容している。このため、軸部材の太さが大きくなり、従来の軸ピンに比べて軸部材の軸周りの剛性が高くなる。従って、回動時に受ける荷重、特にねじれ方向の荷重に対して、軸部材の強度が高くなる。
【0019】
また、軸部材は、ボックス本体側に取り付けられる。このため、従来のように軸ピンを蓋部材の中に組み付ける場合に比べて、蓋部材の中に組み付ける部品点数が少なくなる。また、軸部材の収容部にロック部材を収容した後に、軸部材を軸受部に嵌合すればよく、従来に比べて、部品の組み付け性が向上する。
【0020】
前記請求項2に係る発明によれば、ロック部材が、蓋部材のロック穴に蓋部材と共回転するように係合されている。このため、回動時の蓋部材の荷重が、ロック部材を介して、剛性の高い軸部材に伝達される。それゆえ、蓋部材の回動時に、蓋部材が剛性の高い軸部材によって支持されることになり、回動時の蓋部材の強度が向上する。
【0021】
前記請求項3に係る発明によれば、収容部及びロック穴が、ロック部材の非円形断面に合った形状に開口している。このため、収容部及びロック穴に対するロック部材の周方向の位置ズレが規制される。それゆえ、蓋部材が回動すると、ロック部材及び軸部材も共に回動する。従って、回動時の蓋部材の荷重が、ロック部材を介して、軸部材に伝達される。よって、蓋部材の回動時に、蓋部材が剛性の高い軸部材に支持されて、回動時の蓋部材の強度が向上する。
【0022】
前記請求項4に係る発明によれば、一対の支持部に設けられた位置調整手段は、軸部材の周方向の位置を、ロック部材が蓋部材のロック穴に係合する係合位置に調整する。このため、ロック部材の非円形断面の周方向の位置がロック穴の周方向の位置と一致して、ロック部材がロック穴に確実に係合することができる。
【0023】
前記請求項5に係る発明によれば、位置調整手段は、軸部材を係合位置に位置するように付勢している。このため、蓋部材が開いてロック部材と蓋部材のロック穴との係合が解除されている場合には、軸部材に蓋部材の回転力が伝達されず、軸部材は係合位置に保持される。したがって、蓋部材を閉めるときには、軸部材に収容されたロック部材は、常にロック部材がロック穴に係合することができる。
【0024】
前記請求項6に係る発明によれば、蓋部材が開いた状態から閉止するときに、蓋部材のロック穴の開口周縁は、ロック部材のテーパ面に当接して、ロック部材を収容部側に後退させる。蓋部材を更に閉めることにより、ロック部材とロック穴との位置が一致して、一旦後退したロック部材が、ロック穴に進入し係合する。このようにロック部材にテーパ面を設けることにより、ロック部材が蓋部材に押されてロック穴から後退するため、蓋部材の妨げとならず、蓋部材を確実に閉止することができる。
【0025】
前記請求項7に係る発明によれば、蓋部材の開閉速度を緩やかに抑えることができ、開閉時の操作性が向上する。
【0026】
前記請求項8に係る発明によれば、位置調整手段は、ボックス本体の前後方向の側部に設けられている。本発明の両開き収納ボックスを車両内装部品として用いる場合には、ボックス本体の前後方向の側部は、他の車体内装部品に覆われて車両搭乗者からは視認されない部分である。ボックス本体の前後方向の側部に、位置調整手段を配置することにより、位置調整手段は外観視されない。また、ボックス本体の外観視されない部分を有効に利用することができる。
【0027】
前記請求項9に係る発明によれば、前記請求項8に係る発明の位置調整手段と同様に、ダンパ装置は外観視されず、ボックス本体の外観視されない部分を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施形態に係る両開き収納ボックスについて図面を用いて説明する。図1は、車両内部に搭載された両開き収納ボックスの全体斜視図である。図1において、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」は、車両搭乗者からみた位置である。図2以後の図面に示された各方向についても、図1と同様である。
【0029】
図1に示すように、凹部10をもつボックス本体1と、凹部10を左右両側のいずれか一方から開閉可能に被覆する蓋部材2と、凹部10の左右両側に設けられた開閉機構31,32とをもつ。
【0030】
ボックス本体1は、車両内部のセンターコンソールの中に装着される。ボックス本体1の外壁は、センターコンソールの中に収容される。ボックス本体1は、前後方向の長い直方体である。ボックス本体1の中央には、小物を収容する直方体形状の凹部10が形成されている。
【0031】
図2は、図1のA−A矢視線断面図である。図3は、図2のB−B矢視断面図である。図2、図3に示すように、蓋部材2は、略長方形の平板状体であり、凹部10を開閉可能に被覆している。蓋部材2は、上部材21と、下部材22とからなり、上部材21と下部材22との間の空隙には、後述のスライド部材57及び操作部6が収容されている。
【0032】
右側の開閉機構31は、蓋部材2の右側を開閉させ、左側の開閉機構32は、蓋部材2の左側を開閉させる。右側の開閉機構31と左側の開閉機構32とは、構造及び作動が同様であるため、以後、右側の開閉機構31を代表して説明する。
【0033】
右側の開閉機構31は、ボックス本体1の凹部10の左右方向と直交する前後方向の両側に配置された前後一対の支持部51,52と、前後一対の支持部51,52の間に配置された操作部6と、をもつ。前後一対の支持部51,52は、ボックス本体1側に蓋部材2を係脱可能に枢支する。操作部6は、前後一対の支持部51,52に連係しており、操作部6を操作することで前後一対の支持部51,52が作動して蓋部材2をボックス本体側1から離脱させる。
【0034】
前後一対の支持部51,52は、構造及び作動が互いに同じであるため、前後一対の支持部51,52のうち後部の支持部51を代表して説明する。図4は、右側の開閉機構31の後部の支持部51の分解斜視図であり、図5は、後部の支持部51の断面図である。図6は、図5のC−C矢視線断面図である。図7は、軸部材に嵌合される抜け止め部材の軸方向断面図である。
【0035】
図4,図5に示すように、後部の支持部51は、ボックス本体1の前後方向の後端部に設けられた軸受部50と、軸受部50に回転自在に嵌合された軸部材53と、蓋部材2に設けられたロック穴54と、軸部材53の内部に移動可能に収容されたロック部材55と、ロック部材55をロック穴54に係合する方向に付勢する付勢部材56と、蓋部材2に設けられロック穴54に出没するスライド部材57とをもつ。
【0036】
軸受部50の軸線は、ボックス本体1の前後方向に延びている。後部の支持部51に設けられた軸受部50は、前部の支持部52に設けられた軸受部50と、互いの軸線を一致させて配置されている。軸受部50は、軸方向の両端部に開口50a、50bをもつ軸受穴である。一方の開口50aは、ボックス本体1の凹部10側に配置され、他方の開口50bはボックス本体1の前後方向の側部11に配置されている。
【0037】
軸受部50の一方の開口50aから内部に軸部材53が嵌挿されている。軸部材53は、本体部53aと、筒部53bとをもつ。本体部53aは、軸受部50の外形と同じ大きさの円形断面の外形をもつ有底筒体である。本体部53aの底部側には、筒部53bが配置されている。筒部53bは、本体部53aより若干小さく、軸受部50に嵌合可能な円筒体である。筒部53bは、軸受部50の内側の軸受面に摺接して、軸受部50に回転自在に支持されている。軸受部50の一方の開口50aの周縁は、筒部53bの外周側の本体部53aの底部が係止している。
【0038】
軸受部50の他方の開口50bには、抜け止め部材71が設けられている。抜け止め部材71は、頭部71aと、係止部71bとをもつ。頭部71aは、軸受部50の開口50bよりも若干大きい円形断面をもち、開口50bの周縁に当接している。また、頭部71aは、軸受部50の開口50bよりも径方向内側の当接部で、軸部材53の筒部53bの先端部に当接して、軸部材53が軸受部50から抜け出ることを防止している。
【0039】
また、図5,図6,図7に示すように、抜け止め部材71の係止部71bは、頭部71aの軸方向の内側端面に形成された凹所71dの2箇所から軸方向に延びている。係止部71bの先端には、爪部71cが径方向外側に向けて突出している。係止部71bは、軸部材53の筒部53bの内部に挿入されている。筒部53bの周面の2箇所には、係止部71bの爪部71cよりも若干大きい2つの小孔53gが開口している。2つの小孔53gは、筒部53bの軸線上の同位置で、周方向に等間隔に配置されている。爪部71cが、この小孔53gに係止されることにより、抜け止め部材71は、軸部材53に対する周方向の位置が規制されて、軸部材53とともに回転する。
【0040】
図4、図5に示すように、軸部材53の本体部53aの内部には、収容部53cと、バネ室53dと、支持孔53eとが形成されている。収容部53cは、軸方向の一端側に開口して、断面正方形をなしている。バネ室53dは、収容部53cに隣設して収容部53cよりも小さい円形断面をもつ。支持孔53eは、本体部53aの底部を貫通して形成されており、バネ室53dと、本体部53aの軸方向の他端側に設けられた筒部53cの内部とを連通している。支持孔53eは、バネ室53dよりも小さい円形断面をもつ。本体部53aの外周面と収容部53cの外周面との間の周壁の内部には、肉抜き部53fが形成されている。軸部材53の本体部53a及び筒部53bの軸線は、軸受部50の軸線と一致する。また、本体部53b内の収容部53c、バネ室53d、及び支持孔53eの軸線も、本体部53a及び筒部53bの軸線と一致する。
【0041】
軸部材53の収容部53cには、ロック部材55が軸方向に移動可能に収容されている。ロック部材55は、胴部55aと、脚部55bとをもつ。胴部55aは、断面正方形で、軸部材53の収容部53cと同じか若干小さい大きさである。胴部55aは、収容部53cの内周面に摺接して収容部53cの軸方向に移動可能である。胴部55aの先端部の上方部には、平面状に傾斜したテーパ面55cが設けられている。
【0042】
ロック部材55の脚部55bは、胴部55aの基端部から軸線方向に延びている。脚部55bは、軸部材53のバネ室53d及び支持孔53eに配設されている。
【0043】
軸部材53のバネ室53dには、付勢部材56が収容されている。付勢部材56は、圧縮コイルバネであり、一端は、ロック部材55の基端部に係止されており、他端は軸部材53のバネ室53dの底部に係止されている。付勢部材56は、ロック部材55を軸部材53の収容部53cから飛び出す方向に付勢している。ロック部材55の脚部55bの先端に設けたフック状の係止部55dは、軸部材53の本体部53bの支持孔53eの外側周縁に係止する。これによって、収容部53cからのロック部材55の飛び出し量が制限される。
【0044】
図5、図6,図7に示すように、抜け止め部材71には、位置調整手段としてのバネ72が設けられている。バネ72は、蓋部材2の左右一方を閉止するときに、ロック部材55のテーパ面55cが上側に位置するように軸部材53の周方向の位置を調整する。バネ72は、例えば、トーションバネである。バネ72は、抜け止め部材71の内側端面側に形成された凹所71dに収容され、凹所71dから軸方向に突出する4本の腕部71fに巻回されている。バネ72の一端72aは、抜け止め部材71の内側端面に切り欠いて形成された窪み71gを通り抜けて、ボックス本体1の側部11に併設された一対の突起部11a、11a間のスリット11bに係止されている。バネ72の他端72bは、抜け止め部材71の内側端面に切り欠いて形成されたもう一つの窪み71hの内壁に固着されている。この窪み部71hは、抜け止め部材71がボックス本体1に対して回動するように周方向に広い幅をもつ。をもつ。また、バネ72の他端72bは、ボックス本体1の前後方向の側部11から突出するストッパー12に離接可能に当接している。
【0045】
また、図4,図5に示すように、ボックス本体1の後方の側部11に位置する抜け止め部材71の下部には、ダンパ装置74が配設されている。ダンパ装置74は、ボックス本体1の側部11に固定される固定部74aと、固定部74aに対して回転可能な回転部74bと、回転部74bの外周部に形成されたギヤ部74cとをもつ。固定部74aは、径方向外側に広がるフランジ部74dをもつ。フランジ部74dは、軸方向外側に向かって突起部11a分の高さだけ張り出した後に径方向外側に広がっているので、固定部74aとボックス本体1の側部11との間には、突起部11aの高さ分の空間74fが確保されている。ダンパ装置74は、フランジ部74cに形成されたボルト穴、及びボックス本体1の側部11に形成されたボルト穴11cに、ボルト11dが螺着されることにより、ボックス本体1に取り付けられている。
【0046】
ダンパ装置74の固定部74aと回転部74bとの間には、粘性をもつオイルが封入されている。回転部74bの外周部に形成されたギヤ部74cは、抜け止め部材71の頭部71aの外周部に形成されたギヤ71eと噛合している。抜け止め部材71が軸部材51と共回転すると、ダンパ装置74のギヤ部74cが回転する。ギヤ部74cはオイルの粘性によって回転速度が緩められる。軸部材53は、ダンパ装置74のギヤ部74cに噛合している抜け止め部材71に一体に保持されているため、軸部材53の回転速度は緩く抑えられる。
【0047】
また、図2,図5に示すように、蓋部材2は、四角形状をなしており、その4つのコーナー部には段部20が形成されている。段部20における前後方向に対向する側部には、ロック穴54が開口している。ロック穴54の開口は、ロック部材55の胴部55aの断面形状と同じか又は若干大きい正方形断面をもつ。ロック穴54は、その開口側からロック部材55の胴部55aの先端部が進退する。
【0048】
また、図5、図8に示すように、ロック穴54の奥側には、スライド部材57が出没するように配設されている。スライド部材57は、ロック穴54に進出することで、ロック穴54へのロック部材55の係合を解除する解除手段である。スライド部材57は、蓋部材2の内部に配設され前後方向に長く延びる長尺状体である。スライド部材57は、蓋部材2の下部材22から上側に突出するガイド壁22aによって前後方向に移動可能に支持されている。スライド部材57の長手方向の一端の先端部57aは、ロック穴54の内部で、ロック部材55の胴部55aの先端部と対向している。スライド部材57の他端には、上方向に突出した複数の鉤部57bが設けられている。鉤部57bには、円環状の摺接部材58が嵌挿されている。摺接部材58の内周面は、スライド部材57の鉤部57bに保持されている。
【0049】
また、スライド部材57の長手方向の中央部には、バネ穴57cが開口している。バネ穴57cには、蓋部材2の下部材22から上側に突出するバネ座22bが配置されている。バネ座22bとバネ穴57cの前後方向の端面との間には、コイルバネ57dが配設されている。コイルバネ57dは引っ張りバネであり、一端はバネ座22bに固着され、他端はバネ穴57cの操作部6側の端面に固着されている。コイルバネ57dは、スライド部材57をロック穴54から後退させる方向に付勢している。
【0050】
操作部6は、操作部材61と、ガイド部材62とをもつ。操作部材61は、蓋部材2の左右方向の側部26側に配設されている。操作部材61は、蓋部材2の左右方向に移動可能であり、側部26に形成された開口25から出没する。操作部材61の前後方向に配置された一対の側部61aは、蓋部材2の開口25側に向かって、互いの距離が漸次広がる傾斜部61bをもつ。傾斜部61bには、摺接部材58が摺接している。操作部材61の側部61aにおける傾斜部61bよりも内側は、蓋部材2の下部材22から上側に突出しL字形状に屈曲するガイド壁22cによって、左右方向に移動するようにガイドされている。
【0051】
図2,図8に示すように、ガイド部材62は、操作部材61よりも前後方向の幅及び上下方向の高さが小さい。ガイド部材62は、蓋部材2の下部材22から突出する台座22dの上に配設されて、操作部材61の前後方向断面の中央に配置されて、操作部材61の左右方向の内側の端面に固定されている。ガイド部材62は、バネ穴62aと、長孔62bとをもつ。バネ穴62aには、蓋部材2の下部材22の台座22dから突出するバネ座22eが配置されている。バネ座22eとバネ穴62aの左右方向の端面との間には、コイルバネ62cが配置されている。コイルバネ62cは、圧縮バネであり、その一端はバネ座22eに係止され、他端はバネ穴62aの左右方向外側の端面に係止されている。コイルバネ62cは、操作部材61を、左右方向外側、即ち蓋部材2の開口25から突出する方向に付勢している。操作部材61が操作されていない時には、操作部材61の先端はコイルバネ62cの付勢力によって開口25から若干突出する。このとき、ガイド部材62の長孔62bの一方の端面に、蓋部材2の下部材22から突出する嵌合凸部22fが係止して、操作部材61の開口25からの突出量を制限している。
【0052】
図3に示すように、右側の開閉機構31の操作部6のガイド部材62と、左側の開閉機構32の操作部6のガイド部材62との間には、隙間60が介在している。隙間60は、開閉機構31,32の一方の操作部6のガイド部材62が移動したときに、開閉機構31,32の他方の操作部6のガイド部材62に干渉しないようにしている。
【0053】
なお、本実施形態に係る両開き収納ボックスに用いられている部品の中で、付勢部材56、バネ72及びコイルバネ62cは金属製であり、その他の部品は樹脂製である。
【0054】
次に、本実施形態に係る両開き収納ボックスの作動について説明する。まず、蓋部材2がボックス本体1の凹部10を閉止しているときの各部品の状態を説明する。図8に示すように、蓋部材2がボックス本体1の凹部10を閉止して閉位置にあるときには、左右両側の開閉機構31,32の一対の支持部51,52のロック部材55は、付勢部材56によって、蓋部材2のロック穴54に進出してロック穴54に係合している。このとき、ロック部材55のロック穴54への係合によって、蓋部材2はボックス本体1側に保持されている。このため、蓋部材2の左右両側の一方の側部を把持して上側に押し上げても、蓋部材2を持ち上げることはできない。
【0055】
このように蓋部材2が閉止しているとき、図6に示すように、抜け止め部材71に設けられたバネ72の他端72bは、ボックス本体1の側部11から突出したストッパー12に当接して、バネ72の回動が規制される。バネ72の他端72bは抜け止め部材71に固着しており、抜け止め部材71は軸部材53と周方向の位置が規制されている。このため、バネ72がストッパー12に当接することで、軸部材53は、ボックス本体1に対して、所定の周方向の位置に調整されている。この所定の周方向の位置とは、図4,図5に示すように、軸部材53に設けた収容部53cの断面正方形の一辺が水平方向に向く位置である。軸部材53が、上記所定の周方向の位置に調整されると、収容部53cに収容されているロック部材55の胴部55aの先端部も、その断面正方形の一辺が水平方向に向く。蓋部材2に形成された断面正方形のロック穴54は、閉止時には一辺が水平方向に向いている。このため、軸部材53の収容部53c、ロック部材55及びロック穴54は、それぞれの断面正方形の一辺を水平方向に向けている。
【0056】
次に、図10に示すように、蓋部材2の右側に設けられた開閉機構31の操作部6の操作部材61を蓋部材2の内部に押し込むと、操作部材61が蓋部材2の内側に移動する。操作部材61の傾斜部61bは、摺接部材58に摺接しながら、スライド部材57を、凹部10の前後方向の外側に向かって押動させる。スライド部材57は、コイルバネ57dの付勢力に抗して、ロック穴54に進出する。ロック穴54に係合しているロック部材55は、その胴部55aの先端部でスライド部材57の先端部57aに当接する。スライド部材57の先端部57aは、ロック穴54に進入しつつ、ロック部材55をロック穴54から押し出して、ロック部材55のロック穴54との係合を解除する。操作部材61は、蓋部材2に設けられたL字状のガイド壁22cの内側端面に当接して、移動が規制される。このとき、スライド部材57の先端部57aのスライドは、ロック穴54の開口で止まる。これにより、蓋部材2は、ボックス本体1側に保持されたロック部材55から解放される。このように右側の開閉機構31の操作部材61を蓋部材2の内部に押し込むことにより、蓋部材2の右側が凹部10の右側に設けたロック部材55から解放される。この状態で、図9の矢印Aに示すように、蓋部材2の右側の側部を把持して上側に持ち上げることにより、左側の開閉機構32の支持部51,52を回転中心として、蓋部材2が回動して、蓋部材2の左側が開き、蓋部材2は開位置をとる。
【0057】
ここで、図11に示すように、左側の開閉機構32の一対の支持部51,52の軸部材53には、バネ72の他端72bが固着された抜け止め部材71が一体に固定されている。このため、蓋部材2の右側が開くときには、左側の開閉機構32の抜け止め部材71は、バネ72の付勢力に抗してボックス本体1から突出するストッパー12から離間する方向に回動する。一方、右側の開閉機構31の抜け止め部材71に巻回されたバネ72は、その付勢力によって、ボックス本体1の側部11から突出したストッパー12に当接し続ける。それゆえ、図4に示すように、右側の開閉機構31の軸部材53の周方向の位置は、断面正方形のロック部材55がロック穴54に係合する所定の位置に保持される。即ち、軸部材53の周方向の位置は、所定の位置に保持された状態にあり、軸部材53に設けられた収容部53c及び、収容部53cに収容されているロック部材55の断面正方形の一辺が水平方向に向き、ロック部材55のテーパ面55cが上側に向く。
【0058】
次に、右側が開いた蓋部材2を閉止するときには、蓋部材2の右側の側部を下方に押し下げる。このとき、軸部材53の周方向の位置は、上記のように、所定の位置に保持された状態にあり、ロック部材55のテーパ面55cが上側に向いている。このため、蓋部材2の右側の下面が、ロック部材55の胴部55aのテーパ面55cに当接し、付勢部材56の付勢力に抗して、ロック部材55の胴部55aが収容部53cの中に押し戻される。やがて、蓋部材2の段部20の側面が、胴部55aの先端面を下降して、蓋部材2の段部20に開口するロック穴54が胴部55aの先端面と同程度の高さに位置する。このとき、ロック部材55は付勢部材56の付勢力によって、ロック穴54の中に進入する。ロック部材55の先端は、ロック穴54の中のスライド部材57の先端部57aを押動してロック穴54から退避させる。これにより、蓋部材2のロック穴54に、ロック部材55が係合して、蓋部材2がボックス本体1側に枢支される。
【0059】
本実施形態においては、図5に示すように、軸部材53は、ボックス本体1に回転自在に嵌合しており、蓋部材2への脱着は、軸部材53内に収容されたロック部材55が蓋部材2に設けたロック穴54に係合又は離脱することにより行っている。即ち、本実施形態においては、蓋部材2の回動機能を軸部材53及び軸受部50に担わせ、蓋部材2側への脱着機能をロック部材55及びロック穴54に担わせている。回動機能と脱着機能を別個の部材に担わせているため、蓋部材2の開閉時に受ける負荷を別個の部材に分担させることができ、負荷の集中を回避できる。
【0060】
また、軸部材53の収容部53cは、ロック部材55を移動可能に収容している。このため、軸部材53の太さが大きくなり、従来の軸ピンに比べて軸部材53の軸周りの剛性が高くなる。従って、回動時に受ける荷重、特にねじれ方向の荷重に対して、軸部材53の強度が高くなる。
【0061】
また、軸部材53は、ボックス本体1側に取り付けられる。このため、従来のように軸ピンを蓋部材の中に組み付ける場合に比べて、蓋部材2の中に組み付ける部品点数が少なくなる。また、軸部材53の収容部53cにロック部材55を収容した後に、軸部材53を軸受部50に嵌合すればよく、従来に比べて、部品の組み付け性が向上する。
【0062】
また、図4に示すように、ロック部材55の断面形状が、蓋部材2のロック穴54と同様の非円形状をなしている。このため、ロック部材55は、ロック穴54に対する周方向の位置ズレが規制されて、蓋部材2とともに回転する。回動時の蓋部材2の荷重が、ロック部材55を介して、剛性の高い軸部材53に伝達される。それゆえ、蓋部材2の回動時に、蓋部材2が剛性の高い軸部材53によって支持されることになり、回動時の蓋部材2の強度が向上する。
【0063】
また、軸部材53の周方向の位置は、バネ72によって、軸部材53の収容部53cの断面正方形の一辺が水平方向に向くように維持されている。収容部53cに収容されているロック部材55の胴部55aの断面正方形の一辺も水平方向に維持される。このため、ロック部材55の胴部55aの先端に形成したテーパ面55cも常に上側に向いている。このため、蓋部材2が開位置から閉位置に回動するときに、蓋部材2の底面にテーパ面55cが当接し、ロック部材55は、軸部材53の収容部53cの中に一旦退避する。それゆえ、蓋部材2は、ロック部材55に妨げられず、閉位置まで押し下げることができる。
【0064】
また、蓋部材2が閉位置まで押し下げられたときには、蓋部材2に設けたロック穴54の断面正方形の一辺が水平方向となる。このため、ロック部材55の周方向の位置が、ロック穴54の周方向の位置に一致して、ロック部材55がロック穴54に確実に係合することができる。
【0065】
また、図5に示すように、左右両側の開閉機構31,32の後部側の支持部51には、ダンパ装置74が設けられている。ダンパ装置74のギヤ部74cは、抜け止め部材71に設けられたギヤ部71eに噛合している。抜け止め部材71は、係合部71bによって軸部材53に対して周方向の回転が規制された状態で軸部材53に一体に固定されている。このため、軸部材53は、抜け止め部材71とともにダンパ装置74によって回動速度が緩やかに抑えられる。ゆえに、蓋部材2の開閉時に、蓋部材2が急激に回動することを防止でき、操作感がよい。
【0066】
また、軸受部50の軸方向の他端の開口50bは、ボックス本体1の前後方向の側部11に形成されている。このボックス本体1の側部11は、センターコンソールに覆われて車両搭乗者からは視認されない。このボックス本体1の前後方向の側部11に、抜け止め部材71、バネ72及びダンパ装置74を配置することにより、これらの部品は外観視されない。また、ボックス本体1の外観視されない部分を有効に利用することができる。
【0067】
本実施形態においては、ダンパ装置74を左右両側の開閉機構31,32の後部側の支持部52にのみ設けているが、前部側の支持部51に設けても良いし、前後両側の支持部51,52に設けても良い。
【0068】
また、本実施形態においては、軸部材53の収容部53c、ロック部材55及び、蓋部材2のロック穴54の断面形状は、正方形であるが、非円形であれば特に限定はない。例えば、三角形、長方形、六角形などの多角形、楕円でもよく、また円形の少なくとも一部に凹凸をもつ形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態に係る両開き収納ボックスの斜視図である。
【図2】蓋部材が閉止状態にあるときの、図1のA−A矢視線断面図である。
【図3】図2のB−B矢視線断面図である。
【図4】実施形態に係る両開き収納ボックスの右側の開閉機構の後部の支持部の分解斜視図である。
【図5】図3に示された後部の支持部の拡大断面図である。
【図6】図5のC−C矢視線断面図である。
【図7】図6のD−D矢視線で切断された抜け止め部材の断面図である。
【図8】蓋部材が閉位置にあるときの図3の要部拡大断面図である。
【図9】実施形態に係る両開き収納ボックスの後部側の側面図である。
【図10】蓋部材が開位置にあるときの図3の要部拡大断面図である。
【図11】左右両側の開閉機構の後部側の支持部の抜け止め部材の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1:ボックス本体、2:蓋部材、6:操作部、10:凹部、11:側部、12:ストッパー、20:段部、21:上部材、22:下部材、25:開口、31:右側の開閉機構、32:左側の開閉機構、50:軸受部、50a、50b:開口、51:後部側の支持部、52:前部側の支持部、53:軸部材、53a:主体部、53b:筒部、53c:収容部、53d:バネ室、53e:支持孔、53f:肉抜き部、53g:小孔、54:ロック穴、55:ロック部材、55a:胴部、55b:脚部、55c:テーパ面、55d:フック部、56:付勢部材(付勢手段)、57:スライド部材、57a:先端部、57b:鉤部、57c:バネ穴、57d:コイルバネ、58:摺接部材、61:操作部材、61a:側部、61b:傾斜部、62:ガイド部材、62a:バネ穴、62b:長穴、62c:コイルバネ、71:抜け止め部材、71a:頭部、71b:係止部、71d:凹所、71e:ギヤ部、71f:腕部、72:バネ(位置調整手段)、72a:バネの一端、72b:バネの他端、74:ダンパ装置、74c:ギヤ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部をもつボックス本体と、該凹部を左右両側から開閉可能に被覆する蓋部材と、前記凹部の左右両側に設けられ、前記蓋部材の左右両側のいずれか一方を開閉可能とする開閉機構とをもち、
前記左右両側に設けられた該開閉機構は、それぞれ前記凹部の前記左右の方向と直交する前後方向の両側に配置され前記ボックス本体側に前記蓋部材を係脱可能に枢支する一対の支持部をもち、
該一対の支持部は、前記ボックス本体の前記前後方向の端部に設けられた軸受部と、該軸受部に回転自在に嵌合された軸部材とをもち、
前記一対の支持部の一方に設けられた前記軸受部は、前記一対の支持部の他方に設けられた前記軸受部に対して、互いの軸線を一致させて配置され、
前記一対の支持部は、更に、前記蓋部材に設けられたロック穴と、前記軸部材の内部に形成された収容部に移動可能に収容され前記ロック穴に係脱するロック部材と、該ロック部材を前記ロック穴側に向けて進出するように付勢する付勢手段と、前記蓋部材に設けられ前記ロック穴に出没するスライド部材とをもつことを特徴とする両開き収納ボックス。
【請求項2】
前記ロック部材は、前記蓋部材の前記ロック穴に前記蓋部材と共回転するように係合されている請求項1記載の両開き収納ボックス。
【請求項3】
前記ロック部材は、非円形断面をもち、
前記軸部材の前記収容部及び前記蓋部材の前記ロック穴は、前記ロック部材の非円形断面に合った形状に開口している請求項1又は請求項2に記載の両開き収納ボックス。
【請求項4】
前記一対の支持部は、更に、前記軸部材の周方向の位置を、前記非円形断面をもつ前記ロック部材が前記蓋部材の前記ロック穴に係合する係合位置に調整する位置調整手段を有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の両開き収納ボックス。
【請求項5】
前記位置調整手段は、前記軸部材を前記係合位置に位置するように付勢する請求項4記載の両開き収納ボックス。
【請求項6】
前記ロック部材における前記ロック穴に係合される側の先端部は、テーパ面をもつ請求項4又は請求項5に記載の両開き収納ボックス。
【請求項7】
前記一対の支持部のうちの少なくとも1つの支持部には、前記軸部材の回転速度を緩和させるダンパ装置が設けられている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の両開き収納ボックス。
【請求項8】
前記位置調整手段は、前記ボックス本体の前記前後方向の側部に設けられている請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載の両開き収納ボックス。
【請求項9】
前記ダンパ装置は、前記ボックス本体の前記前後方向の側部に設けられている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の両開き収納ボックス。
【請求項1】
凹部をもつボックス本体と、該凹部を左右両側から開閉可能に被覆する蓋部材と、前記凹部の左右両側に設けられ、前記蓋部材の左右両側のいずれか一方を開閉可能とする開閉機構とをもち、
前記左右両側に設けられた該開閉機構は、それぞれ前記凹部の前記左右の方向と直交する前後方向の両側に配置され前記ボックス本体側に前記蓋部材を係脱可能に枢支する一対の支持部をもち、
該一対の支持部は、前記ボックス本体の前記前後方向の端部に設けられた軸受部と、該軸受部に回転自在に嵌合された軸部材とをもち、
前記一対の支持部の一方に設けられた前記軸受部は、前記一対の支持部の他方に設けられた前記軸受部に対して、互いの軸線を一致させて配置され、
前記一対の支持部は、更に、前記蓋部材に設けられたロック穴と、前記軸部材の内部に形成された収容部に移動可能に収容され前記ロック穴に係脱するロック部材と、該ロック部材を前記ロック穴側に向けて進出するように付勢する付勢手段と、前記蓋部材に設けられ前記ロック穴に出没するスライド部材とをもつことを特徴とする両開き収納ボックス。
【請求項2】
前記ロック部材は、前記蓋部材の前記ロック穴に前記蓋部材と共回転するように係合されている請求項1記載の両開き収納ボックス。
【請求項3】
前記ロック部材は、非円形断面をもち、
前記軸部材の前記収容部及び前記蓋部材の前記ロック穴は、前記ロック部材の非円形断面に合った形状に開口している請求項1又は請求項2に記載の両開き収納ボックス。
【請求項4】
前記一対の支持部は、更に、前記軸部材の周方向の位置を、前記非円形断面をもつ前記ロック部材が前記蓋部材の前記ロック穴に係合する係合位置に調整する位置調整手段を有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の両開き収納ボックス。
【請求項5】
前記位置調整手段は、前記軸部材を前記係合位置に位置するように付勢する請求項4記載の両開き収納ボックス。
【請求項6】
前記ロック部材における前記ロック穴に係合される側の先端部は、テーパ面をもつ請求項4又は請求項5に記載の両開き収納ボックス。
【請求項7】
前記一対の支持部のうちの少なくとも1つの支持部には、前記軸部材の回転速度を緩和させるダンパ装置が設けられている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の両開き収納ボックス。
【請求項8】
前記位置調整手段は、前記ボックス本体の前記前後方向の側部に設けられている請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載の両開き収納ボックス。
【請求項9】
前記ダンパ装置は、前記ボックス本体の前記前後方向の側部に設けられている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の両開き収納ボックス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−133138(P2010−133138A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309316(P2008−309316)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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