説明

中空のプラスチック予備形成物の製造方法、プラスチック容器の製造方法、その表面上に可視的図案模様を含むプラスチック予備形成物及び容器

本発明は、その表面上に可視的図案模様(7)を含むプラスチック容器(6)を吹込み成形するのに適した中空のプラスチック予備形成物(1)の製造方法に関し、またプラスチック予備形成物で生産されたプラスチック容器に関するものである。本発明の方法は、完成した容器上に異なる審美的効果を達成することを許容し、加えて、これらの容器に滑り防止特性及び/又は心地よい触感を付与してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹込み成形された物品に関し、特に、その表面上に可視的図案模様を含む吹込み成形された物品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種製品の包装において、ガラス又は金属容器の代わりとしてのプラスチック容器の使用が、次第に普及している。プラスチック包装の利点としては、ガラスに比べてより軽量で、破損が少ないこと、潜在的により低いコストが挙げられる。これらの容器は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、又はポリ塩化ビニルなどの、多種多様の熱可塑性材料から作製することができる。かかる材料から熱可塑性容器を作製するための1つの慣用法は、射出延伸吹込み成形によるものであり、これは典型的には、射出成形により、頸部を有すると共に底部で閉じられた溶解した熱可塑性材料の管(「予備形成物」)を形成する工程、予備形成物を吹き型の内側に配置する工程、予備形成物に加圧ガスを注入することにより、又は予備形成物の周りに真空を生み出すことにより、前処理された予備形成物を拡張する工程、予備形成物が冷えて固まる間に予備形成物をかかる拡張状態に維持する工程、及び完成品を取り出す工程、を含む。
【0003】
消費者向け製品の非常に競争力のある性質は、それに対応する包装容器に高度な視覚的区別が備わっていることを必要とする。完成した吹込み成形物品をラベリング、着色、又はコーティングするなどの解決策は、最初はかかる効果を達成するために提案されたが、より効果的な区別を提供するのに不十分であることが判明したとき、それらの限界が直ちに明らかとなった。それ故に、吹込み成形物品上に三次元形状の図案を付与できる代替方法が提案された。それらの装飾模様は、第一段階において、吹込み成形方法中に成形されて対応する容器となり、すなわち、特別に設計された吹き型により容器の構造的図案を成形した。その後、この代替法は、吹込み成形工程の前に予備形成物の表面上に望ましい形状図案を直接的に圧痕形成する方法に取って代わられた。
【0004】
PCT国際公開特許WO−A−99/02324は、その表面上に成形図案を含む吹込み成形プラスチック容器の製造方法を記載しており、ここでは予備形成物を熱エネルギーに曝して、吹込み成形の前にその外側表面上にその形状特徴を形成する。同様に、PCT国際公開特許WO−A−03/045665は、プラスチックボトル上で印刷する方式を開示しており、ここではまず予備形成物を加熱し、その後、加熱された予備形成物の温度よりも低い温度でスタンプを行う。特許出願WO−A−01/47688及び米国特許第5,312,572号は、中空の物体を製造する方法を提示しており、ここでは予備形成物は表面粗さの各々に構造改質を加えることにより加工され、前記構造的操作が、厳密にはより良い加工の根拠であることを示している。エッチングによって構造改質を施すことができるとはいえ、結果として得られる物体上の可視的図案模様については、追求も構想もされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吹込み成形された物品上に可視的図案を付与するための現時点で既知の方法に関する問題は、大生産規模で実施される場合の過度な複雑さ、不便、及び高コストである。加えて、前述の予備形成物の熱処理は、容器の構造的完全性に損傷を与えることはないとしても、影響を及ぼすことがある。場合によっては、それらの処理により、時には必要とされる容器の透明性がさらに変わることがある。その上、先行技術において提供される方式は、精細で鮮明なテクスチャー加工模様を達成しない。
【0006】
したがって、本発明の目的は、上述の問題に対する解決策を提供することである。さらに具体的には、本発明の目的は、その表面上に可視的図案模様を含む、吹込み成形プラスチック容器を製造する、安価で簡単な方法を提供することである。本発明の方法は、その表面上に精細にテクスチャー加工された模様を有するプラスチック容器を得ることを許容し、したがって、完成した容器上に異なる審美的効果を達成することを可能にする。尚、本発明の中空のプラスチック容器に滑り防止特性を付与することが有益である。
【0007】
本発明による中空のプラスチック予備形成物及び容器のその他の利点及びより具体的な特性は、本発明の次の説明を読んだ後に明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1実施形態に従い、吹込み成形されて、容器の外部及び/又は内部表面上に少なくとも1つの可視的図案模様を含むプラスチック容器となるのに適した、中空のプラスチック予備形成物の製造方法を提供する。該方法は、吹込み成形されて、プラスチック容器となるのに適した中空のプラスチック予備形成物を射出成形する工程と、その後、予備形成物の外部及び/又は内部表面上に少なくとも1つの図案模様を形成する工程とを含み、その際、予備形成物の外部及び/又は内部表面を機械的に及び/又は化学的に処理することにより、図案模様を形成する。別の実施形態では、本発明は、中空のプラスチック予備形成物製造の上述の方法に従って製造された、中空のプラスチック予備形成物に関する。
【0009】
さらに別の実施形態では、本発明は、その外部及び/又は内部表面上に少なくとも1つの可視的図案模様を含むプラスチック容器の製造方法を対象とする。該方法は、中空のプラスチック予備形成物製造の上述の方法に従って得られる予備形成物を準備する工程と、その後、予備形成物を吹込み成形して、その外部及び/又は内部表面上に少なくとも1つの可視的図案模様を含むプラスチック容器とする工程と、を含む。さらにまた別の態様では、本発明は、プラスチック容器製造の上述の方法に従って得られるプラスチック容器も包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1実施形態において、本発明は、吹込み成形されて、容器の外部(3)及び/又は内部(4)表面上に少なくとも1つの可視的図案模様(2)を含むプラスチック容器となるのに適した、中空のプラスチック予備形成物(1)の製造方法に関する。
【0011】
該方法は、第1工程として、吹込み成形されてプラスチック容器となるのに適した中空のプラスチック予備形成物(1)を射出成形することを含む。本発明による予備形成物は、例えば、EP−A−686081において記載されたものなどの、当業者に既知のいかなる従来の吹込又は射出成形技術により得られてもよい。適した射出成形機器は、例えば、ハスキー・インジェクション・モールディング・システムズ社(Husky Injection Molding Systems Ltd)から購入してもよい。予備形成物(1)を製造するための適した材料は、熱可塑性材料、特に、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、及びこれらの組み合わせなどの高分子熱可塑性材料である。特に好ましい材料は、ポリエチレンテレフタレートである。
【0012】
第2工程において、予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面を機械的に及び/又は化学的に処理することにより、得られる予備形成物(1)には、予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面上に少なくとも1つの図案模様(2)が形成される。本発明の文脈において、「表面を機械的に及び/又は化学的に処理する」とは、機械的及び/又は化学的手段が、予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面上に直接的に相互作用して、表面改質をもたらすことを表すことを意図する。
【0013】
好ましい実施形態では、本発明の予備形成物(1)を機械的処理に付する。
【0014】
本発明による機械的処理は、好ましくは、彫刻、旋削、フライス削り、研削、ねじ切り(threading)、ドリルあけ、ねじ切削(screw-cutting)、紙やすりがけ、圧力誘起による圧痕形成(例えばノッチング)、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。本発明の好ましい実施形態では、機械的処理を、彫刻であるように選択するのが有益である。金属片の表面改質に関して、金属加工業界で一般に使用される前述の方式は、圧延機、回転ラス、フライス削りシステム、ドリルあけシステム、又は金属工学の当業者に周知のその他いずれかの装置などの装置を使用することにより実施されてもよい。かかる装置の例は、ウェブサイトwww.coromant.sandvik.comで入手可能な「オンライン製品カタログ・コロガイド(Online Product Catalogue CoroGuide)(登録商標) 2004.1」において、又は「ニュー・ツールズ・フロム・サンドビック・コロマント、補助カタログ(New tools from Sandvik Coromant, catalogue supplement) 2004:1」において見出すことができる。典型的には、サンドビック・コロマントから入手可能なコロターン(Coroturn)(登録商標)、コロカット(Corocut)(登録商標)、又はコロミル(Coromill)(登録商標)などの装置が、本発明による機械的処理を適用するのに適していることがある。したがって、本発明は、プラスチック品目に対するこれらの金属工業技術の先願について記載している。
【0015】
本発明による化学処理は、典型的には、適した酸性又はアルカリ性組成物を予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面の選択部分上に適用することを含んでもよい。好ましくは、本発明の化学処理は、酸性又はアルカリ性組成物を予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面の選択部分上に噴霧することを含む。あるいは、本発明の化学処理は、予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面の選択部分を酸性又はアルカリ性組成物内に浸すことにより適用されてもよい。
【0016】
本発明による機械的及び/又は化学処理は、次の2つの代替経路で実行してもよい。第1手段では、中空のプラスチック予備形成物(1)は、固定装置によって機械的に及び/又は化学的に処理される間に360度まで回転する方法で配置されてもよい。この特定条件下では、予備形成物(1)を、典型的には、例えばステイラル(Staral)から入手可能なラス(lath)内に配置する。代替手段では、機械的及び/又は化学処理装置は、この場合、固定した予備形成物(1)の周りを360度まで周回できてもよい。これらの方式では、場合によっては、予備形成物材料がその表面から移動、排除されたり、又は化学的に変容されたりする(例えば彫刻、フライス削りされたりする)ことがあるのに対し、圧力誘起による圧痕形成などの他の技術では、熱可塑性材料が予備形成物(1)から排除されたり改質されたりすることなく、表面改質が施される。いずれにせよ、本発明による機械的及び/又は化学処理は、加工中に予備形成物(1)及び/又はプラスチック容器(6)の何らかの穿孔、裂け又はゆがみを避けるべく、予備形成物(1)の構造的完全性及び/又は得られる吹込み成形容器が有害な影響を受けないような方法で実施される。
【0017】
さらに具体的には、第1実施形態において、本発明は、予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面上に少なくとも1つの図案模様(2)を形成する工程を含む方法に関する。「図案模様」とは、予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面に前述の機械的及び/又は化学処理を無作為に適用するのではなく、前記予備形成物表面上に整った望ましい形状又は模様(2)を得ることを意味する。本発明による「図案模様」の意味の中に、広範囲の図案特性(2)を含んでもよい。後者の表現は、その最も広い定義において、審美的効果及び/又は視覚的区別を提供することのできるいかなる模様をも表すことを意図する。適した模様(2)は、平行線、交差線、商業ロゴ、幾何学的図形、画像、形成された特徴、アルファベット文字、図形記号、及びこれらの組み合わせの群から選択されてもよい。本発明の好ましい実施形態では、機械的及び/又は化学処理は、好ましくは平行線及び交差線から成る群から選択される図案模様を結果的に形成してもよい。
【0018】
その上、本発明による機械的及び/又は化学処理は、得られる吹込み成形プラスチック容器(6)において可視的図案模様(7)を結果的に形成するように適用されるべきである。本明細書で「可視的」とは、図案模様が、何らかの拡大器具を用いることなく、観る人の肉眼で容易に見えると共に識別可能であることを意味する。したがって、望ましい視覚的及び/又は触覚的効果に応じて、図案模様(2)を、典型的には予備形成物外部(3)及び/又は内部(4)表面に0.5mm〜2.5mmの深さで適用してもよい。本発明による予備形成物(1)は、実際には、典型的には3mm〜5mmの範囲の壁厚(5)を示す。
【0019】
本発明の状況において、適した図案模様(2)は、予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面のいかなる選択部分に適用されてもよい。しかし、本発明の代替方式において、図案模様(2)が、予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面の全体を覆うのが望ましいことがある。好ましい実施形態では、予備形成物開口部を含む予備形成物外部表面(3)の半分に少なくとも1つの図案模様(2)を適用する。
【0020】
したがって、本発明による方法は、吹込み成形されて、その外部(8)及び/又は内部(9)表面上に少なくとも1つの可視的図案模様(7)を含むプラスチック容器(6)となるのに適した、中空のプラスチック予備形成物(1)を得ることを許容する。この方法は、予備形成物(1)の何らかの前処理を必要とせず、当該技術分野において周知の技術に従って製造されたあらゆる予備形成物(1)に直接適用し得るので、非常に便利である。その上、室温で実施できる本発明の方法は、加熱などの表面改質装置のさらなる準備を必要とせず、特別に設計された吹き型を全く伴わない。請求された方法の高い利便性は、後者が大生産規模で実施された場合は特に、製造方法全体のグローバルコストにプラスに影響するであろう。
【0021】
本発明の方法に関する別の具体的な利点/利益は、予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面上に、また、吹込み成形後、プラスチック容器(6)の外部(8)及び/又は内部(9)表面上に、非常に精細にテクスチャー加工された模様(2)を達成するのを許容し得ることである。これは、予備形成物(1)に適用される機械的及び/又は化学処理の性質によって可能となる。実際には、例えば彫刻及びねじ切削のような方式は、ナイフ型又は先端の鋭い道具の使用を伴う。これらの道具は、適した調整及び設定の後、金属工業で達成される精確さでぴったり合った型彫りを形成することを許容する。有益な結果として、これらの精細にテクスチャー加工された模様(7)は、完成した吹込み成形プラスチック容器(6)上に独創的で新しい審美的効果を得ることを許容する。本発明の方法に従って得られる精細にテクスチャー加工された模様(7)は、熱誘起による印刷などの分野に記載された技術では達成できないものと思われる。
【0022】
さらに本発明の別の態様によると、その外部(3)及び/又は内部(4)表面上に少なくとも1つの可視的図案模様(2)を含む中空のプラスチック予備形成物(1)の製造方法は、プラスチック容器(6)に続いて後者を加工する前に、中空のプラスチック予備形成物(1)に適用される追加的な操作工程をさらに含んでもよい。これらの操作工程は、当該技術分野において周知の操作のいずれかであってもよい。予備形成物外部(3)及び/又は内部(4)表面の少なくとも一部分に適用してもよい操作は、好ましくは、印刷、塗装、フィルムパッチの適用、コーティング、ラベリング、ラッピング、スリーブの適用、熱誘起による圧痕形成、及びこれらの組み合わせの群から選択される。特に好ましい操作工程は、塗装、印刷及びフィルムパッチの適用である。完成したプラスチック容器(6)に求められる審美的効果に応じて、それらの操作工程を慎重に選択してもよい。本発明の具体的な実施形態では、予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面上に形成された図案模様(2)を、着色剤を付着させることにより着色してもよい。加えて、糊付けなどの当該技術分野において周知の技術を使用して、予備形成物(1)の外部表面(3)上にフィルムパッチ又はラベルを付けてもよい。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、その外部(3)及び/又は内部表面(4)上に少なくとも1つの可視的図案模様(2)を含む中空のプラスチック予備形成物(1)に関し、該予備形成物(1)は、上述の方法に従って生産され、吹込み成形されてプラスチック容器となるのに適している。通常の保管状態及び温度が守られるならば、本発明のこの別の実施形態による予備形成物(1)は、機械的に及び/又は化学的に処理された後に、実質的な変質又は不必要な改質を受けずに長期間にわたって(例えば1年まで)保管されてもよい。結果として、処理した予備形成物(1)を、機械的に及び/又は化学的に処理した直後に吹込み成形してプラスチック容器(6)とすることにより加工する必要はない。長い時間的な隔たりをおいて別々な地理的位置で第1予備形成物処理工程及び第2吹込み成形工程を施してもよいので、この特有の特徴は、装飾されたプラスチック容器の生産加工に関して、より幅広い許容度をもたらす。
【0024】
本発明のさらに別の手法では、その外部(8)及び/又は内部(9)表面上に少なくとも1つの可視的図案模様(7)を含むプラスチック容器(6)の製造方法を提供する。該方法は、既述の実施形態に従って中空のプラスチック予備形成物(1)を準備する工程と、その後に予備形成物(1)を吹込み成形して、その外部(8)及び/又は内部(9)表面上に少なくとも1つの可視的図案模様(7)を含むプラスチック容器(6)とする工程と、を含む。吹込み成形の工程は、例えばEP−A−662037に記載されたものなどの、当業者に既知のいかなる従来の吹込み成形技術を使用して実行されてもよい。適した吹込み成形機器を、例えば、シデル社(Sidel Inc.)から購入してもよい。本発明の特定の実施形態では、予備形成物(1)を、典型的には80℃〜120℃の間、好ましくは100℃〜110℃の間に含まれる所定の吹込み温度に予め加熱し、その後、望ましいプラスチック容器(6)を達成するために、適した吹き型内で射出延伸吹込み成形することにより吹込み成形及び二軸延伸する。通常は、2つの工程で吹込み操作を実行する。プラスチック容器を予備形成するために第1吹込み圧力(典型的には500kPa(5バール)〜2MPa(20バール)の間に含まれる)を加え、その後に、プラスチック容器(6)の成形を仕上げるための第2吹込み圧力(典型的には2MPa(20バール)〜4MPa(40バール)の間に含まれる)が続く。使用される吹き型の形状に応じて、広範囲のプラスチック容器を得てもよい。特に好ましい容器は、食品及び飲料を包装するために使用されるボトル型の容器と、例えば、液体洗剤組成物及び布地柔軟化組成物などの洗浄組成物を保管するためのそれらの入れ物である。
【0025】
さらに別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの可視的図案模様(7)を含むと共に上述の方法に従って製造される、プラスチック容器(6)を対象とする。しかし、プラスチック予備形成物(1)に関して前述したものと同様に、本発明の中空のプラスチック容器(6)は、その表面上に適用される追加的な操作工程にさらに付されてもよい。容器外部(8)及び/又は内部(9)表面の少なくとも一部分に適用されてもよいそれらの操作工程は、好ましくは、印刷、塗装、フィルムパッチの適用、コーティング、ラベリング、ラッピング、スリーブの適用、熱誘起による圧痕形成、及びこれらの組み合わせの群から選択される。特に好ましい操作工程は、塗装、印刷及びフィルムパッチの適用である。
【0026】
先に述べたとおり、本発明によるプラスチック容器(6)は、広範囲の審美的効果を達成することを許容し、したがって、現在入手できるプラスチック容器に比べ、その容器(6)に高い視覚的区別を付与する。その上、本発明は、使用される具体的な機械的及び/又は化学処理により、その外部(8)及び/又は内部(9)表面上に精細にテクスチャー加工された模様(7)を有する中空のプラスチック容器(6)を得ることを可能にする。尚、本発明のプラスチック容器(6)に、ユーザーが把持するときの滑り防止特性を付与してもよい。実際には、プラスチック容器表面内の選定された図案模様(7)の深さ及び配置は、性質に応じて、改善された握り及び/又は心地よい触感を達成してもよい。
【実施例】
【0027】
実施例1:平行線から成る図案模様を含む中空のプラスチック予備形成物の製造
既知の射出成形製造手順に従い、ハスキー社が供給する射出成形機器を使用して、ポリエチレンテレフタレート予備形成物を形成した。その後、得られる予備形成物を(ステイラル株式会社(Staral S.A.)が供給する)ラス内に配置して小石(chesil)を使用して彫刻を行い、予備形成物の外部表面上に平行線を形成し、平行線が予備形成物の長手方向軸線に対して垂直となるようにした。
【0028】
実施例2:交差線から成る図案模様を含む中空のプラスチック予備形成物の製造
既知の射出成形製造手順に従い、ハスキー社が供給する射出成形機器を使用して、ポリエチレンテレフタレート予備形成物を形成した。その後、得られる予備形成物を(ステイラル株式会社(Staral S.A.)が供給する)ラス内に配置し、予備形成物の外部表面上に交差結合した模様を形成するべく、鋸歯状のナイフを使用してノッチングを行った。
【0029】
実施例3:乳状の外観の細片から成る図案模様を含む中空のプラスチック予備形成物の製造
既知の射出成形製造手順に従い、ハスキー社が供給する射出成形機器を使用して、ポリエチレンテレフタレート予備形成物を形成した。その後、得られる予備形成物を(ステイラル株式会社(Staral S.A.)が供給する)ラス内に配置して紙やすりがけを行い、予備形成物の外部表面上に乳白色の外観を有する細片模様を形成した。
【0030】
典型的なボトル生産の間、上述の予備形成物を(シデル社(Sidel Inc.)が供給する)標準的な吹込み成形機器内に送り込んだ。その後、該予備形成物を105℃の吹込み温度に予め加熱し、その後、選択された吹き型の機能において、射出延伸吹込み成形により吹込み成形及び二軸延伸して、対応するプラスチック容器を形成した。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による予備形成物(1)の断面図を示しており、その外部表面(3)は機械的に処理されて平行線から成る図案模様(2)を形成し、予備形成物の壁厚(5)及び適用された図案模様(2)の深さは、例示のために意図的に誇張されている。
【図2】その外部表面(3)上に平行線から成る図案模様(2)を有する予備形成物(1)の略図。
【図3】その表面上に平行線から成る図案模様(7)を有するプラスチック容器の断面図を示しており、プラスチック容器の壁厚(10)及び図案模様(7)の深さは、例示のために意図的に誇張されている。
【図4】その表面上に平行線から成る図案模様(7)を有するプラスチック容器(6)の略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹込み成形されてプラスチック容器(6)となるのに適した中空のプラスチック予備形成物(1)の製造方法であって、前記容器(6)の外部(8)及び/又は内部(9)表面上に少なくとも1つの可視的図案模様(6)を含み、前記方法が、
a)吹込み成形されてプラスチック容器(6)となるのに適した中空のプラスチック予備形成物(1)を射出成形する工程、及び
b)前記予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面上に少なくとも1つの図案模様(2)を形成する工程、を含み、
前記予備形成物の外部(3)及び/又は内部(4)表面を機械的に及び/又は化学的に処理することにより、前記少なくとも1つの図案模様(2)を形成することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記予備形成物(1)の外部(3)及び/又は内部(4)表面を機械的に処理することにより、前記少なくとも1つの図案模様(2)を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械的処理が、彫刻、フライス削り、研削、ねじ切り、ドリルあけ、ねじ切削、圧力誘起による圧痕形成、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記機械的処理が、彫刻であるように選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該予備形成物外部(3)及び/又は内部(4)表面の選択部分上のみに前記機械的及び/又は化学処理を予備形成する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記予備形成物(1)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される高分子材料を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの図案模様(2)が、平行線、交差線、画像、商業ロゴ、幾何学的図形、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記予備形成物(1)が、印刷、塗装、フィルムパッチの適用、コーティング、ラベリング、ラッピング、スリービング、熱誘起による圧痕形成、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される操作にさらに付される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
その表面上に少なくとも1つの図案模様(2)を含む中空のプラスチック予備形成物(1)であって、請求項1〜8のいずれかに記載の方法により得られる、前記予備形成物(1)。
【請求項10】
前記容器(6)の外部(8)及び/又は内部(9)表面上に少なくとも1つの可視的図案模様(7)を含むプラスチック容器(6)の製造方法であって、前記方法が、
a)請求項9に記載の予備形成物(1)を提供する工程、及び
b)前記予備形成物(1)を吹込み成形して、前記容器の外部(8)及び/又は内部(9)表面上に少なくとも1つの可視的図案模様(7)を含むプラスチック容器(6)とする工程、を含む方法。
【請求項11】
その外部(8)及び/又は内部(9)表面上に少なくとも1つの可視的図案模様(7)を含み、請求項10に記載の方法により製造されたプラスチック容器(6)。
【請求項12】
印刷、塗装、フィルムパッチの適用、コーティング、ラベリング、ラッピング、スリービング、熱誘起による圧痕形成、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される操作にさらに付される、請求項11に記載のプラスチック容器(6)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−535435(P2007−535435A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511724(P2007−511724)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/016643
【国際公開番号】WO2005/115721
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】