説明

中継処理装置と中継処理方法、及びそれに用いるアライメント制御装置

【課題】プロトコルの違いによるフレーム転送先情報の書き換え処理における遅延発生を防止する。
【解決手段】アライメント制御装置50は、フレーム解析装置20からのIPポインタ情報とDataポインタ情報とに基づき、フレームデータに対するアライメントを行いながらワード(132ビット)単位で格納する。すなわち、IPポインタまでのデータをプロトコル#1(MACヘッダ)として、Aワード#1に格納する。IPポインタからDataポインタまでのデータをプロトコル#2(IPヘッダ)として、Aワード#2〜3に格納する。Dataポインタからのデータを、プロトコル#3(Data)として、Aワード#4〜9に格納する。フレーム書き換え装置はプロトコル#1〜3に分けられたデータの固定フィールドを転送先情報で書き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中継処理装置と中継処理方法に関し、特に指定されたプロトコル及びそれより下位のプロトコルごとの転送先情報を含む少なくとも1つのヘッダ部と、転送すべきデータを含むデータ部とで構成されたフレームの情報を所定ビット長であるワード単位で処理し、前記転送先情報を書き換えることにより、当該フレームのネットワーク中継を行う中継処理装置と、その中継処理方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
LAN(Local Area Network)等の複数のネットワーク間でデータ(フレームデータ)を転送するために、フレーム転送先情報(宛先情報)の書き換えを行う中継処理装置(ルータ、スイッチなど)を介してネットワーク間を接続している。このような中継処理装置を図5を参照して説明する。
【0003】
図5において、中継処理装置であるルータ(あるいはスイッチ)101は、一方のネットワークからフレームデータを受信すると、フレーム解析装置201で当該フレームデータを解析し、サーチキー情報をサーチエンジン301に渡す。サーチエンジン301は、サーチキー情報で図示していない転送先情報のテーブルをサーチ(検索)し、書き換えるべき転送情報が得られたなら、当該転送先情報をフレーム書き換え装置401へ渡す。フレーム書き換え装置401は、サーチエンジン301から渡された転送先情報で受信したフレームデータの転送先情報部分を書き換え、他方のネットワークへ送信する。
【0004】
この中継処理装置では、実装されるプロトコルが年々増加され、高性能かつ多プロトコルを扱うことが珍しくなくなってきている。これらプロトコルの種類に応じたフレームの種類がある。例えば、(VLAN)Tag付きフレーム、Tag無フレーム、IPv4フレーム、IPv6フレーム、TCPフレーム、UDPフレーム等がある。或るプロトコルのフレームには、当該プロトコルの転送先情報(ヘッダ)の他に、関係する各下位プロトコルの転送先情報(ヘッダ)を含んでいる。例えば、UDPプロトコルのフレームであるUDPフレームには、MACヘッダ、IPヘッダ、UDPヘッダが含まれる。フレーム(プロトコル)の違いにより、フレーム転送先情報の構造や配置(ヘッダの種類や、開始ビット位置、ビット長さなど)が違ってくる。
【0005】
なお、MAC(Media Access Control Address)は、ネットワーク機器に固有の物理アドレスである。IP(Internet Protocol)は、TCP/IPプロトコルにおける、ネットワーク層のプロトコルである。Versionの違い(4,6)により、IPv4,IPv6の2種類がある。TCP(Transmission Control Protocol)は、TCP/IPプロトコルにおける、トランスポート層のプロトコルである。UDP(User Datagram Protocol)は、TCP/IPプロトコルにおける、トランスポート層のプロトコルである。VLAN(Virtual LAN)は、仮想的なLANである。VLANを構築するために、転送されるフレームに、Tag(タグ)と呼ばれる数バイトのVLAN情報を付加する方式がある。
【0006】
このような多階層化されたプロトコルのフレームに対し、転送先情報を書き換える技術の一例が、特許文献1に記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平9−204376号公報(第1−2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常、中継処理装置は、フレームデータの処理を、所定のビット長単位(例えば、128ビット=1ワード)で行う。しかし、フレームに包含される各プロトコルの転送先情報のビット長は、このデータ処理単位のビット長の整数倍とはなっていない。したがって、プロトコルによっては、対応するフレームの或るデータ処理単位のビット群(ワード)中に、包含する複数のプロトコルの転送先情報が混在することがある。このため、従来の中継処理装置では、特許文献1に示すような技術を用いて転送先情報を書き換える場合、プロトコルの違いによるフレーム転送先情報の書き換えに遅延が発生する問題があった。
【0009】
図6は、図5に示すルータ(あるいはスイッチ)において、プロトコルの違い(プロトコルA/フレームA、及びプロトコルB/フレームBの2種類)により遅延が発生する様子を示している。プロトコルA及びプロトコルBともに、ほぼ同一構成のフレーム(フレームA、フレームB)とする。ただし、プロトコルA(フレームA)は、各データ処理単位(ワード)に、包含する複数のプロトコルの転送先情報が混在してはいない。これに対し、プロトコルB(フレームB)は、あるデータ処理単位(ワード)に、包含する複数のプロトコルの転送先情報が混在しているとする。
【0010】
フレーム解析装置でのフレーム解析時間、及びサーチエンジンでの転送先情報サーチ時間ともに、プロトコルA(フレームA)、及びプロトコルB(フレームB)でほぼ同じである。しかし、フレーム書き換え装置におけるフレーム書き換え処理時間が、プロトコルA(フレームA)、及びプロトコルB(フレームB)で違っている。プロトコルB(フレームB)は、データ処理単位(ワード)中に複数のプロトコルの転送先情報が混在しているので、それがないプロトコルA(フレームA)に比べて時間が余計にかかる。
【0011】
本発明の目的は、所定ビット長(ワード)単位でデータを処理する際、プロトコルの違いによるフレーム転送先情報の書き換え処理における遅延発生を防止可能とした中継処理装置及び中継処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係るアライメント制御装置は、指定されたプロトコル及びそれより下位のプロトコルごとの転送先情報を含む少なくとも1つのヘッダ部と、転送すべきデータを含むデータ部とで構成されたフレームの情報を所定ビット長であるワード単位で処理し、前記転送先情報を書き換えることにより、当該フレームのネットワーク中継を行う中継処理装置に設けられ、前記フレームの情報をワード単位に分割して一時保存し、外部から読出し可能とした記憶手段と、前記フレームの情報と、当該フレームの各ヘッダ部及びデータ部間の各区切り位置を示すポインタ情報とを受信し、当該ポインタ情報に基づいて、各ヘッダ部の先頭及びデータ部の先頭がワードの先頭になるようにフレームの情報のワード単位の分割位置及び保存位置を調整して前記記憶手段に格納する制御手段とを有する。
【0013】
本発明の請求項2に係る中継処理装置は、指定されたプロトコル及びそれより下位のプロトコルごとの転送先情報を含む少なくとも1つのヘッダ部と、転送すべきデータを含むデータ部とで構成されたフレームの情報を所定ビット長であるワード単位で処理し、前記転送先情報を書き換えることにより、当該フレームのネットワーク中継を行う中継処理装置において、第1のネットワークから入力されたフレームの情報を一時保存し、当該フレームを解析して、当該フレームの各ヘッダ部及びデータ部間の各区切り位置を示すポインタ情報と、各ヘッダ部の書き換え対象の転送先情報とを検出するフレーム解析装置と、前記フレームの情報をワード単位に分割して一時保存する記憶手段と、前記フレーム解析装置からフレームの情報と、当該フレームの各ヘッダ部及びデータ部間の各区切り位置を示すポインタ情報とを受信し、当該ポインタ情報に基づいて、各ヘッダ部の先頭及びデータ部の先頭がワードの先頭になるようにフレームの情報のワード単位の分割位置及び保存位置を調整して前記記憶手段に格納する制御手段とを有するアライメント制御装置と、書き換え対象の転送先情報と、書き換え後の転送先情報とを対応付けて登録した転送先情報テーブルと、前記フレーム解析装置から受信した書き換え対象の転送先情報をキーとして前記転送先情報テーブルを検索し、対応する書き換え後の転送先情報を検出するサーチ手段と、前記アライメント制御装置の記憶手段から一時保存されたフレームの情報をワード単位で読出しながら、前記サーチ手段から受信した書き換え後の転送先情報に基づいて、書き換え対象の転送先情報を書き換え、第2のネットワークへ出力するフレーム書き換え装置とを有する。
【0014】
本発明の請求項3に係る中継処理装置は、請求項2に係る中継処理装置において、前記フレーム解析装置、前記サーチ手段、前記フレーム書き換え装置、及び前記アライメント制御装置を1組としたものを複数組設けるとともに、各ブロックの前段及び後段に分配手段及び収集手段をそれぞれ設け、前記第1のネットワークから入力されるフレームを各組に順次分配し、各組から出力されるフレームを順次収集し前記第2のネットワークへ出力する。
【0015】
本発明の請求項4に係る中継処理方法は、指定されたプロトコル及びそれより下位のプロトコルごとの転送先情報を含む少なくとも1つのヘッダ部と、転送すべきデータを含むデータ部とで構成されたフレームの情報を所定ビット長であるワード単位で処理し、前記転送先情報を書き換えることにより、当該フレームのネットワーク中継を行う中継処理装置における中継処理方法において、前記フレームの情報から当該フレームの各ヘッダ部及びデータ部間の各区切り位置を示すポインタ情報を検出し、前記ポインタ情報に基づいて、各ヘッダ部の先頭及びデータ部の先頭がワードの先頭になるように前記フレームの情報のワード単位の分割位置及び保存位置を調整して記憶手段に格納し、前記記憶手段からワード単位で前記フレームの情報を順次読み出しながら、転送先情報の書き換えを行う。
【0016】
本発明の請求項5に係る中継処理方法は、指定されたプロトコル及びそれより下位のプロトコルごとの転送先情報を含む少なくとも1つのヘッダ部と、転送すべきデータを含むデータ部とで構成されたフレームの情報を所定ビット長であるワード単位で処理し、前記転送先情報を書き換えることにより、当該フレームのネットワーク中継を行う中継処理装置における中継処理方法において、第1のネットワークから入力されたフレームの情報を第1の記憶手段に一時保存し、当該フレームを解析して、当該フレームの各ヘッダ部及びデータ部間の各区切り位置を示すポインタ情報と、各ヘッダ部の書き換え対象の転送先情報とを検出する第1の工程と、前記フレームの情報をワード単位に分割して記憶手段に一時保存し、前記第1の工程において検出されたポインタ情報に基づいて、各ヘッダ部の先頭及びデータ部の先頭がワードの先頭になるように、前記第1の記憶手段に格納されたフレームの情報のワード単位の分割位置及び保存位置を調整して第2の記憶手段に格納する第2の工程と、前記第1の工程で検出された書き換え対象の転送先情報をキーとして、あらかじめ書き換え対象の転送先情報と書き換え後の転送先情報とが対応付けて登録された転送先情報テーブルを検索し、対応する書き換え後の転送先情報を検出する第3の工程と、前記第2の記憶手段から前記第2の工程で一時保存されたフレームの情報をワード単位で読出しながら、前記第3の工程で検出された書き換え後の転送先情報に基づいて、書き換え対象の転送先情報を書き換え、第2のネットワークへ出力する第4の工程とを有する。
【0017】
本発明の請求項6に係る中継処理方法は、請求項5に係る中継処理方法において、前記第1の工程から第4の工程までを1組の工程とし、複数のフレームの各々に対し前記1組の工程を同時に適用する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フレームの構成部位ごとにデータ処理単位であるワード単位でのアライメント(整列)を行うので、書き換え対象情報が固定位置にアライメントされ、プロトコルの違いによるフレーム転送先情報の書き換え処理における遅延発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の中継処理装置の一実施の形態(実施例1)を示すブロック構成図であり、イーサネット(登録商標)ネットワークの中継処理装置として用いられるルータに適用した例を示している。なお、中継処理装置は、ルータに限らず、スイッチでもよい。また、転送するフレームのプロトコル種類としては、背景技術欄で説明したような、(VLAN)Tag付きフレーム、Tag無フレーム、IPv4フレーム、IPv6フレーム、TCPフレーム、UDPフレーム等がある。
【0021】
本実施例のルータ(あるいは、スイッチ)は、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルのレイヤ3(ネットワーク層)レベルでフレームの転送処理を行うものとする。フレームのデータ構造としては、例えばIPプロトコルのフレーム場合、MACヘッダ部と、IPヘッダ部と、Data(データ)部とを有して成る。MACヘッダは、データリンク層(レイヤ2)のMACプロトコルのヘッダである。IPヘッダは、ネットワーク層(レイヤ3)のIPプロトコル自身のヘッダである。Data部には、IPプロトコル及びその上位のプロトコルのデータが設定される。例えば上位プロトコルとして、TCPプロトコルが用いられる場合は、TCPヘッダとそのデータ、UDPプロトコルが用いられる場合は、UDPヘッダとそのデータが設定される。
MACヘッダや、IPヘッダにはそれぞれ、発信元アドレス及び宛先アドレスが含まれる。宛先アドレスに基づいてフレームの転送先が決定される。これらMACヘッダやIPヘッダの詳細構成は、周知技術なので説明は省略する。
【0022】
図1において、本例のアライメント制御装置付きルータ(スイッチ)10は、フレーム解析装置20と、サーチエンジン30と、フレーム書き換え装置40と、アライメント制御装置50とを有している。
【0023】
図2は、図1に示すフレーム解析装置20と、アライメント制御装置50とにおけるフレームのデータ処理の様子を説明するための図である。フレーム解析装置20のオリジナルデータバッファ22と、アライメント制御装置50のアライメントデータバッファ52とにおけるフレームデータの格納構造の違いを示している。
【0024】
フレーム解析装置20は、外部(第1のネットワーク)から入力されたフレームのデータ(MACヘッダ部、IPヘッダ部、Data部)を、所定ビット長(ワード)単位でオリジナルデータバッファ22に一時格納し、格納したフレームデータの解析を行う。フレーム解析装置20は、解析結果にしたがい、サーチエンジン30へ、転送先情報の書き換え内容を検索(サーチ)するためのサーチキー情報を送信する。フレーム解析装置20はまた、アライメント制御装置50へ、IP部の先頭ポインタ(IPポインタ)と、Data部の先頭ポインタ(Dataポインタ)と、ワード単位に分割した各部のデータとを送信する。
【0025】
アライメント制御装置50は、アライメント制御部51と、アライメントデータバッファ52とを有している。アライメント制御部51は、フレーム解析装置20から受信したIPポインタ,Dataポインタに基づいて、各部のデータのワード構成を組み直し(アライメント:整列)、アライメントデータバッファ52に格納する。
【0026】
サーチエンジン30は、フレーム解析装置20からサーチキー情報を受信すると、当該サーチキー情報で、アライメント制御装置付きルータ10内に登録されている転送先情報テーブル(図示せず)を検索する。サーチエンジン30は、検索の結果得られた転送先情報をフレーム書き換え装置へ送信する。
【0027】
転送先情報テーブル(ルーティングテーブル)における転送先情報の設定は、あらかじめ静的に設定しておく方法、あるいは、経路制御プロトコルを利用して動的に設定する方法がある。
【0028】
フレーム書き換え装置40は、サーチエンジン30からの転送先情報に基づいて、アライメント制御装置50のアライメントデータバッファ52に格納されたフレームのデータを書き換え、外部(第2のネットワーク)へ送出する。
【0029】
次に、アライメント制御装置50の動作について、図1、図2を参照して詳細に説明する。
【0030】
フレーム解析装置20は、受信したフレームデータに対応したフレーム情報を、オリジナルデータバッファ22に、1ワード(132ビット)毎に格納する。図2を参照すると、各ワード(Fワード#1〜#8)は、フレームデータを分割した128ビットのデータ情報と、当該データのうちの有効部分を示す4ビットの有効データ情報(Valid)とからなる。
【0031】
4ビットのValidは、それに続く128ビットのデータ値の有効性を32ビット毎のブロックに区切って表している。例えば、Valid=“1110”であれば、データの先頭96ビット(3ブロック)が有効で、残り32ビット(1ブロック)は無効であるので、参照するのは先頭96ビットのみですむ。
【0032】
図2の例では、全てのワード(Fワード#1〜#8)において、128ビット全て有効であり、Valid=“1111”である。先頭のワード(Fワード#1)には、データリンク層のヘッダ(MACヘッダ)と、ネットワーク層のヘッダ(IPヘッダ)の先頭部分とが格納されている。IPポインタは、IPヘッダの先頭部分のワード位置及びビット位置を表す。IPヘッダの残りは、Fワード#2全部と、Fワード#3の一部に格納されている。Fワード#3の残りの部分と、Fワード#4〜#8の全部にData(データ)が格納されている。Dataポインタは、Dataの先頭部分のワード位置及びビット位置を表す。
【0033】
フレーム解析装置20は、オリジナルデータバッファ22に格納したフレームデータの解析を行い、MACヘッダ部、IPヘッダ部、及びData部で構成されていることを認識し、IPポインタ及びDataポインタの値を求める。
【0034】
フレーム解析装置20は、アライメント制御装置50へ、IPポインタ情報とDataポインタ情報とを送信するとともに、オリジナルデータバッファ22のFワード#1からFワード#8の順に1ワード毎にデータを送信する。
【0035】
フレーム解析装置20はまた、サーチエンジン30へ、サーチキー情報として、MACヘッダ中のMACアドレス及びIPヘッダ中のIPアドレスを送信する。
【0036】
サーチエンジン30は、MACアドレス及びIPアドレスにより転送先情報テーブルを検索し、書き換えるべきMACアドレス及びIPアドレスを検出すると、サーチ結果としてフレーム書き換え装置40へ送信する。
【0037】
アライメント制御装置50のアライメント制御部51は、IPポインタ情報とDataポインタ情報とを解析し、解析結果に基づいてデータのワード構成を組み替えながらアライメントデータバッファ52へ格納する。アライメント制御部51は、先頭からIPポインタ直前までのデータ(MACヘッダ)を、データリンク層のプロトコルデータ(プロトコル#1:MACヘッダ)として、アライメントデータバッファ52の先頭ワード部分(Aワード#1)に格納する。このとき、有効データ情報(Valid)を、プロトコル#1のビット長に対応した値とする。
【0038】
アライメント制御部51は続いて、IPポインタからDataポインタ直前までのデータ(IPヘッダ)を、ネットワーク層のプロトコルデータ(プロトコル#2:IPヘッダ)として、プロトコル#1(MACヘッダ)の格納ワードの後続ワード(Aワード#2〜#3)部分に格納する。このとき、IPポインタの指示した先頭データを、Boundary(境界)521にアライメント整形を行う。また、有効データ情報(Valid)を、プロトコル#2のビット長に対応した値とする。
【0039】
アライメント制御部51は続いて、Dataポインタから最後尾までのデータ(Data)を、トランスポート層以上のプロトコルデータ(プロトコル#3:Data)として、プロトコル#2(IPヘッダ)の格納ワードの後続ワード(Aワード#4〜#9)部分に格納する。このとき、Dataポインタの指示した先頭データを、Boundary(境界)521にアライメント整形を行う。また、有効データ情報(Valid)を、プロトコル#3のビット長に対応した値とする。
【0040】
フレーム書き換え装置40は、アライメント制御装置50によりプロトコル#1(MACヘッダ)、プロトコル#2(IPヘッダ)、プロトコル#3(Data)に分けられたデータの固定フィールドを、サーチエンジン30からの転送先情報で書き換える。
【0041】
図3に、本発明の中継処理装置において、所定ビット長(ワード)単位でデータを処理する際、プロトコル(フレーム)が違っても遅延が発生しない様子を示す。ここで、プロトコルAのフレームA、及びプロトコルBのフレームBともに、フレームの各構成部位(MACヘッダ/IPヘッダ/Dataなど包含するプロトコルごとの転送先情報を示す部位)の構成はほぼ同様とする。
【0042】
フレームA及びフレームBともに、フレーム解析時間、及び転送先情報サーチ時間はほぼ同じである。転送先サーチ中に、フレームの構成部位ごとに、データ処理単位であるワード単位でのアライメント処理が完了する。すなわち、プロトコル(フレーム)が違っても、データ処理単位であるワード中に、包含する複数のプロトコルの転送先情報が混在することがなくなる。このため、転送先情報の書き換えもワード単位で一括して行うことができ、データ処理単位ごとの処理時間の違いをなくすことができる(フレーム書き換え時間にも差が見られない)。
【0043】
このように本実施例によれば、所定ビット長(ワード)単位でデータを処理する際、プロトコルの違いによるフレーム転送先情報の書き換え処理における遅延発生を防止することができる。
【0044】
なお、転送先の無いフレームの場合は、サーチエンジン30でのサーチ結果として廃棄情報が出力される。フレーム書き換え装置40は、廃棄の対象にフレームデータに対して廃棄フラグを立てる。廃棄フラグの立てられたフレームは、外部へ出力されない。
【実施例2】
【0045】
図4は、本発明の中継処理装置の他の実施の形態(実施例2)を示すブロック構成図である。
【0046】
図4において、本例(実施例2)のアライメント制御装置付きルータ(スイッチ)11は、複数のフレーム処理部(60−1,…,60−n)を有している。このフレーム処理部は、実施例1(図1)に示したルータ(スイッチ)10のフレーム解析装置20、サーチエンジン30、フレーム書き換え装置40、及びアライメント制御装置50を1ブロック化したものである。
【0047】
アライメント制御装置付きルータ(スイッチ)11はさらに、フレーム分配部70と、フレーム収集部80と、共通制御部90とを有している。ルータ(スイッチ)入力側に設けられたフレーム分配部70は、第1のネットワークから入力されるフレームを各フレーム処理部60−1〜60−nに順次分配する。ルータ(スイッチ)出力側に設けられたフレーム収集部80は、各フレーム処理部60−1〜60−nから出力されるフレームを順次収集し、第2のネットワークへ出力する。
【0048】
共通制御部90には、各フレーム処理部60−1〜60−nのサーチエンジン30が検索する転送先情報テーブル(ルーティングテーブル)が登録されている。
【0049】
本実施例によれば、複数のブロック(フレーム処理部)で並行的に処理が行われるので、フレーム中継処理の処理速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施の形態を示すブロック構成図である。(実施例1)
【図2】図1に示すフレーム解析装置及びアライメント制御装置におけるフレームのデータ処理の様子を説明するための図である。
【図3】本発明において、プロトコルが違っても遅延が発生しない様子を示す図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を示すブロック構成図である。(実施例2)
【図5】従来のルータ(スイッチ)を示すブロック構成図である。
【図6】従来技術において、プロトコルの違いにより遅延が発生する様子を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10,11 アライメント制御装置付きルータ(スイッチ)
20 フレーム解析装置
30 サーチエンジン
40 フレーム書き換え装置
50 アライメント制御装置
22 オリジナルデータバッファ
52 アライメントデータバッファ
60−1〜60−n フレーム処理部
70 フレーム分配部
80 フレーム収集部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定されたプロトコル及びそれより下位のプロトコルごとの転送先情報を含む少なくとも1つのヘッダ部と、転送すべきデータを含むデータ部とで構成されたフレームの情報を所定ビット長であるワード単位で処理し、前記転送先情報を書き換えることにより、当該フレームのネットワーク中継を行う中継処理装置に設けられ、
前記フレームの情報をワード単位に分割して一時保存し、外部から読出し可能とした記憶手段と、
前記フレームの情報と、当該フレームの各ヘッダ部及びデータ部間の各区切り位置を示すポインタ情報とを受信し、当該ポインタ情報に基づいて、各ヘッダ部の先頭及びデータ部の先頭がワードの先頭になるようにフレームの情報のワード単位の分割位置及び保存位置を調整して前記記憶手段に格納する制御手段とを有することを特徴とするアライメント制御装置。
【請求項2】
指定されたプロトコル及びそれより下位のプロトコルごとの転送先情報を含む少なくとも1つのヘッダ部と、転送すべきデータを含むデータ部とで構成されたフレームの情報を所定ビット長であるワード単位で処理し、前記転送先情報を書き換えることにより、当該フレームのネットワーク中継を行う中継処理装置において、
第1のネットワークから入力されたフレームの情報を一時保存し、当該フレームを解析して、当該フレームの各ヘッダ部及びデータ部間の各区切り位置を示すポインタ情報と、各ヘッダ部の書き換え対象の転送先情報とを検出するフレーム解析装置と、
前記フレームの情報をワード単位に分割して一時保存する記憶手段と、前記フレーム解析装置からフレームの情報と、当該フレームの各ヘッダ部及びデータ部間の各区切り位置を示すポインタ情報とを受信し、当該ポインタ情報に基づいて、各ヘッダ部の先頭及びデータ部の先頭がワードの先頭になるようにフレームの情報のワード単位の分割位置及び保存位置を調整して前記記憶手段に格納する制御手段とを有するアライメント制御装置と、
書き換え対象の転送先情報と、書き換え後の転送先情報とを対応付けて登録した転送先情報テーブルと、
前記フレーム解析装置から受信した書き換え対象の転送先情報をキーとして前記転送先情報テーブルを検索し、対応する書き換え後の転送先情報を検出するサーチ手段と、
前記アライメント制御装置の記憶手段から一時保存されたフレームの情報をワード単位で読出しながら、前記サーチ手段から受信した書き換え後の転送先情報に基づいて、書き換え対象の転送先情報を書き換え、第2のネットワークへ出力するフレーム書き換え装置とを有することを特徴とする中継処理装置。
【請求項3】
前記フレーム解析装置、前記サーチ手段、前記フレーム書き換え装置、及び前記アライメント制御装置を1組としたものを複数組設けるとともに、各ブロックの前段及び後段に分配手段及び収集手段をそれぞれ設け、前記第1のネットワークから入力されるフレームを各組に順次分配し、各組から出力されるフレームを順次収集し前記第2のネットワークへ出力することを特徴とする請求項2記載の中継処理装置。
【請求項4】
指定されたプロトコル及びそれより下位のプロトコルごとの転送先情報を含む少なくとも1つのヘッダ部と、転送すべきデータを含むデータ部とで構成されたフレームの情報を所定ビット長であるワード単位で処理し、前記転送先情報を書き換えることにより、当該フレームのネットワーク中継を行う中継処理装置における中継処理方法において、
前記フレームの情報から当該フレームの各ヘッダ部及びデータ部間の各区切り位置を示すポインタ情報を検出し、
前記ポインタ情報に基づいて、各ヘッダ部の先頭及びデータ部の先頭がワードの先頭になるように前記フレームの情報のワード単位の分割位置及び保存位置を調整して記憶手段に格納し、
前記記憶手段からワード単位で前記フレームの情報を順次読み出しながら、転送先情報の書き換えを行うことを特徴とする中継処理方法。
【請求項5】
指定されたプロトコル及びそれより下位のプロトコルごとの転送先情報を含む少なくとも1つのヘッダ部と、転送すべきデータを含むデータ部とで構成されたフレームの情報を所定ビット長であるワード単位で処理し、前記転送先情報を書き換えることにより、当該フレームのネットワーク中継を行う中継処理装置における中継処理方法において、
第1のネットワークから入力されたフレームの情報を第1の記憶手段に一時保存し、当該フレームを解析して、当該フレームの各ヘッダ部及びデータ部間の各区切り位置を示すポインタ情報と、各ヘッダ部の書き換え対象の転送先情報とを検出する第1の工程と、
前記フレームの情報をワード単位に分割して記憶手段に一時保存し、前記第1の工程において検出されたポインタ情報に基づいて、各ヘッダ部の先頭及びデータ部の先頭がワードの先頭になるように、前記第1の記憶手段に格納されたフレームの情報のワード単位の分割位置及び保存位置を調整して第2の記憶手段に格納する第2の工程と、
前記第1の工程で検出された書き換え対象の転送先情報をキーとして、あらかじめ書き換え対象の転送先情報と書き換え後の転送先情報とが対応付けて登録された転送先情報テーブルを検索し、対応する書き換え後の転送先情報を検出する第3の工程と、
前記第2の記憶手段から前記第2の工程で一時保存されたフレームの情報をワード単位で読出しながら、前記第3の工程で検出された書き換え後の転送先情報に基づいて、書き換え対象の転送先情報を書き換え、第2のネットワークへ出力する第4の工程とを有することを特徴とする中継処理方法。
【請求項6】
前記第1の工程から第4の工程までを1組の工程とし、複数のフレームの各々に対し前記1組の工程を同時に適用することを特徴とする請求項5記載の中継処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−238182(P2006−238182A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51412(P2005−51412)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(390001395)エヌイーシーシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】