説明

中継器パススルーメッセージング

【課題】無線周波(RF)高度計量インフラ(AMI)ネットワークにおける中継器パススルーメッセージングを提供する。
【解決手段】ネットワーク120を介してデータを通信するシステムのネットワーク通信スタック100を含む。通信スタック100の無線プロセッサ上で動作する媒体アクセス制御(MAC)レイヤは、ネットワーク120から受信されたメッセージを少なくとも部分的にアプリケーションプロセッサ140に渡される前に処理する。MACレイヤは、メッセージに含まれる宛先アドレスを解析し、メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ内のプログラムされた宛先アドレスに一致するかどうかを判定するように構成されたソフトウェアを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は一般に計量技術に関し、より詳細には無線周波(RF)高度計量インフラ(AMI)ネットワークにおける中継器パススルーメッセージングに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーティリティメータが、所与の場所でのユーティリティサービスの消費量を追跡するための単純なデバイスから、いわゆる「スマートメータ」に進化するにつれて、スマートメータを用いた2方向のインテリジェントなネットワーク化通信を可能にするために、無線メッシュネットワークが使用されるようになっている。例えば、無線周波(RF)高度計量インフラ(AMI)ネットワークを使用して、ユーティリティメータとホストシステム、例えば公益事業会社との間でデータを送信することができる。
【0003】
知られているシステムでは、RF AMIネットワークを介してデータを送信するとき、複数のノードがこれらのノードを対象としないメッセージを受信する場合が多い。通常、無線トランシーバは、割込み信号およびシリアル接続を使用してメッセージをホストプロセッサに送ることによって、受信されたメッセージを処理する。この処理は、特にメッセージがノードを対象としない場合、リソースおよび時間を要するものとなることがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、ネットワークを介してデータを通信するためのシステムのネットワーク通信スタックを含む。通信スタックの無線プロセッサ上で動作する媒体アクセス制御(MAC)レイヤは、ネットワークから受信されたメッセージを少なくとも部分的に、すなわち、メッセージがホストプロセッサに渡される前に、処理する。具体的には、MACレイヤは、メッセージに含まれる宛先アドレスを解析し、メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ内のプログラムされた宛先アドレスに一致するかどうかを判定するように構成されたソフトウェアを含む。メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ内のプログラムされた宛先アドレスに一致すると判定された場合、MACレイヤは、メッセージを処理するようにさらに構成される。メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ内のプログラムされた宛先アドレスに一致しないと判定された場合、MACレイヤは、物理(PHY)レイヤを介してメッセージをネットワークに再送するようにさらに構成される。
【0005】
本開示の第1の態様は、ネットワークを介してデータを通信するためのシステムを提供し、このシステムは、ネットワークとメッセージを送受信するように構成された物理(PHY)レイヤと、プログラムされた宛先アドレスを中に含む媒体アクセス制御(MAC)レイヤであって、PHYレイヤからメッセージを受信するように構成されたMACレイヤとを含むネットワーク通信スタックを備え、MACレイヤは、メッセージに含まれる宛先アドレスを解析し、メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ内のプログラムされた宛先アドレスに一致するかどうかを判定するように構成されたソフトウェアを含み、メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ内のプログラムされた宛先アドレスに一致するという判定に応答して、MACレイヤ内のソフトウェアがメッセージをネットワーク通信スタック上の上位レイヤに送信するように構成され、メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ内のプログラムされた宛先アドレスに一致しないという判定に応答して、MACレイヤがPHYレイヤを介してメッセージをネットワークに再送するように構成される。
【0006】
本開示の第2の態様は、無線周波(RF)高度計量インフラ(AMI)ネットワークを介してデータを通信するためのシステムを提供し、このシステムは、ネットワークとメッセージを送受信するように構成された物理(PHY)レイヤと、プログラムされた宛先アドレスを中に含む媒体アクセス制御(MAC)レイヤであり、PHYレイヤからメッセージを受信するように構成されたMACレイヤであって、メッセージに含まれる宛先アドレスを解析し、メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ内のプログラムされた宛先アドレスに一致するかどうかを判定するように構成されたソフトウェアを含むMACレイヤと、ネットワークレイヤとを含むネットワーク通信スタックを含むユーティリティメータを備え、メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ内のプログラムされた宛先アドレスに一致するという判定に応答して、MACレイヤがメッセージをネットワークレイヤに送信するように構成され、メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ内のプログラムされた宛先アドレスに一致しないという判定に応答して、MACレイヤがPHYレイヤを介してメッセージをネットワークに再送するように構成される。
【0007】
本発明のこれらおよび他の特徴は、本発明の様々な実施形態を図示する添付の図面と併せた本発明の様々な態様の以下の詳細な説明からより容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態によるネットワーク通信スタックを含む例示的な計量処理通信システムを示す図である。
【図2】本発明の実施形態によるネットワーク通信スタックを示す図である。
【図3】本発明の実施形態によるネットワーク通信スタック内のMACレイヤによるメッセージの処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の図面は必ずしも縮尺通りではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを図示することが意図されており、したがって、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。図面では、同様の番号は図面間の同様の要素を表す。
【0010】
当業者であれば理解するように、本明細書に記載されるシステムは、システム、方法、または、例えば通信システムの一部としてのコンピュータプログラム製品として具体化され得る。したがって、本発明の実施形態は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアの態様とハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形をとることができ、本明細書においてこれら全てを一般に「回路」、「モジュール」、「ネットワーク」または「システム」と呼ぶことができる。さらに、本発明は、媒体内で具体化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有する任意の有形の表現媒体で具体化されたコンピュータプログラム製品の形をとることができる。
【0011】
1つまたは複数のコンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体の任意の組合せを利用することができる。コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体のシステム、装置、またはデバイスであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)としては、1つもしくは複数の電線を有する電気接続、携帯型のコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読取り専用メモリ(EPROMもしくはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯型のコンパクトディスク読取り専用メモリ(CD−ROM)、光記憶デバイス、インターネットもしくはイントラネットをサポートするものなどの伝送媒体、または磁気記憶デバイスが挙げられよう。コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、例えば、紙または他の媒体の光学式走査によってプログラムを電子的に取り込み、次いでコンパイルし、解釈し、またはその他の場合は適切な方法で処理し、必要であれば、次いでコンピュータメモリに格納することができるとき、プログラムが印刷される紙または別の適切な媒体とすることさえもできることに留意されたい。この文書の文脈では、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、または命令実行システム、装置、またはデバイスに関連して使用するためのプログラムを含み、格納し、通信し、または伝送することができる任意の媒体であってもよい。コンピュータ使用可能媒体は、ベースバンド内にまたは搬送波の一部として、それにより具体化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有する伝搬データ信号を含み得る。無線、有線、光ファイバケーブル、RFなどを含むが、これらに限定されない任意の適切な媒体を使用して、コンピュータ使用可能プログラムコードを送信することができる。
【0012】
Java(商標)、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向型プログラミング言語および「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで、本発明の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードを記述することができる。
【0013】
コンピュータ可読媒体に格納された命令が図1〜3に明記された機能/作用を実施する命令手段を含む製造品を作製するように、これらのコンピュータプログラム命令を、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置に特定の方法で機能するよう命令することができるコンピュータ可読媒体に格納することもできる。
【0014】
図を参照すると、計量処理通信システムの実施形態が示されている。図中の構成要素のそれぞれは、従来の手段を介して、例えば、図1〜3に示されるような無線メッシュ、WiFi、電力線通信、セルラ、共有コンジットまたは他の知られている手段を介して接続され得る。具体的には、図1を参照すると、計量処理通信システム10の略図が示されている。計量処理通信システム10は、図1に示すように、ユーティリティメータ110に含まれるハードウェア要素とソフトウェア要素の両方を含み得る。ハードウェア要素は、計量センサ111、アプリケーションプロセッサ140、および無線チップ130を含むことができる。ユーティリティメータ110は、当技術分野で知られているような電気メータ、水道メータ、ガスメータまたは計量データを検知し、コンパイルするための任意の他の形のユーティリティメータを備え得る。無線チップ130上で動作するハードウェア要素は、埋込み型プロセッサ132、媒体アクセス制御(MAC)レイヤ104のハードウェアレイヤ104a、および物理(PHY)レイヤ102を含むことができる。システム10のソフトウェア要素は、図2に関連してより詳細に説明される、無線チップ130上で部分的に、またホストプロセッサ(すなわち、アプリケーションプロセッサ140)上で部分的に動作する通信スタック100を含むことができる。
【0015】
ネットワーク120は、無線インターフェース、メッシュネットワークインターフェース、WiFiインターフェース、および電力線搬送波インターフェースを含むが、これらに限定されない複数の物理インターフェースを備え得る。一実施形態では、ネットワーク120は、ホームエリアネットワーク(HAN)および近隣エリアネットワーク(NAN)を含む複数のネットワークを備えることができる。本発明の実施形態では、システム10は、ネットワーク120から異なるプロトコルを含むメッセージまたは通信を受信する。アプリケーションプロセッサ140および通信スタック100は、受信されたメッセージを処理し、ルーティングし、暗号化する。アプリケーションプロセッサ140および通信スタック100は、メッセージをネットワーク120に配信する。さらに、システム10の様々な要素は、任意のタイプの通信リンクを使用して、ネットワーク120および/または1つもしくは複数の他のコンピュータシステムと通信し得る。通信リンクは、様々なタイプの有線リンクおよび/もしくは無線リンクの任意の組合せを含むことができ、1つもしくは複数のタイプのネットワークの任意の組合せを含むことができ、ならびに/または様々なタイプの伝送技術およびプロトコルの任意の組合せを利用することができる。
【0016】
例えば、メッシュ高度計量インフラ(AMI)ネットワークでは、それぞれのメータ110が最終消費者または中継ノードとして関与することが可能な、複数のメータ110を提供することができる。メータ読取りおよび制御データは、このネットワークを介して送られる。例えば、メータは、価格情報を更新する、需要応答の中継を制御する、電源の遠隔切断を自宅に送る、メータが取得すべき測定値のタイプを設定する、コードの更新などのために、そのメータに送られたメッセージを有することができる。それぞれのメッセージは、そのメッセージが対象とするのはどのメータ(または宛先デバイス)かを示すための、そのメッセージに関連付けられた宛先アドレスを含む。
【0017】
任意のメータ110がメッセージ、すなわち、パケットを受信するとき、パケットの宛先アドレスをチェックして、パケットがそのメータによって消費されるべきか、メッシュネットワークを介して別のメータに転送されるべきかを判定する。別の例では、ZigBee(商標)を動作させるホームエリアネットワークはAMIメッシュネットワークと同様に動作するが、需要応答/負荷制御デバイス、宅内ディスプレイ、電気自動車充電器、および他のアプライアンスを制御するためのメッセージングを含むこともできる。別の例では、いくつかの電力線搬送波(PLC)ネットワークもメッシュネットワーキングを使用する。PLCネットワークではデータは無線で送られないが、それでもなおデータはユーティリティの電力線に沿って送信される。しかし、単一のメータは最終目的地に到達することができないことがあり、したがって、メッシュネットワーキングを使用して、電力線上の複数のノードに沿ってメッセージを再送する。
【0018】
図2を参照すると、本発明の実施形態による無線周波(RF)AMIネットワークのネットワーク通信スタック100が示されている。通信スタック100は、物理(PHY)レイヤ102、媒体アクセス制御(MAC)レイヤ104、ネットワークレイヤ106、およびアプリケーションレイヤ108の少なくとも4つのレイヤを含む。当業者によって理解されるように、PHYレイヤ102は、ネットワークとメッセージ、すなわちパケットを送受信するように構成される。PHYレイヤ102およびMACレイヤ104は、ネットワークレイヤ106およびアプリケーションレイヤ108とは別のプロセッサ上で動作することができる。一実施形態では、MACレイヤ104の少なくとも一部は、無線チップ130上で動作する(図1)(無線チップ130はMACレイヤ104の一部およびPHYレイヤ102に結合されている)が、ネットワークレイヤ106およびアプリケーションレイヤ108は、無線チップ130とは異なるホストプロセッサ上で動作することができる(図1)。一実施形態では、MACレイヤ104およびPHYレイヤ102はIEEE 802.15.4規格に準拠しており、ネットワークレイヤ106およびアプリケーションレイヤ108はZigBee(商標)仕様の一部とすることができる。
【0019】
ネットワークレイヤ106およびアプリケーションレイヤ108は、本明細書においてPHYレイヤ102およびMACレイヤ104よりも「上位の」レイヤと呼ばれるが、これは、本明細書においてより詳細に説明されるように、メッセージが通信スタック100をレイヤ102、104から上位レイヤ106、108に上がって移動するからである。
【0020】
本発明の一実施形態では、ネットワーク通信スタック100はネットワークを介してデータを通信するためのシステムの一部であり、データは計量センサ111を介してユーティリティメータ110から受信された(合計使用量または消費パターンなどの)計量データを備える。
【0021】
動作の際、PHYレイヤ102はネットワーク120に接続され、ネットワーク120からメッセージを受信する。次いで、PHYレイヤ102はそのメッセージをMACレイヤ104に送る。当技術分野において知られているように、MACレイヤ104は第1の部分および第2の部分、すなわち、第1の部分、すなわち、ソフトウェアを備える上側MACレイヤ104b、および第2の部分、すなわち、ハードウェアを備える下側MACレイヤ104aを有することができる。従来技術のシステムでは、メッセージは次いで上位レイヤ、すなわち、ネットワークレイヤ106およびアプリケーションレイヤ108に送られ、全メッセージは上位レイヤ106、108、すなわち、ホストプロセッサに到達して初めて処理される。メッセージが対象としていたノードによって受信されない場合、ホストプロセッサはそのメッセージを通信スタック100に送り返さなければならず、この処理は、メッセージが適切なノードに到達するまで繰り返される。
【0022】
本発明の実施形態は、MACレイヤ104におけるメッセージの少なくとも部分的な、すなわち、メッセージがホストプロセッサに渡される前の、処理を含む。本発明の実施形態では、上側MACレイヤ104bは、メッセージを少なくとも部分的に処理するように構成されたソフトウェアを含む。上側MACレイヤ104bは、宛先アドレスがプログラムされたソフトウェアを含む。この宛先アドレスは、ネットワーク上の通信スタック100に関連付けられた対象となる宛先デバイスのアドレスに対応し、例えば、MACレイヤ104bは、MACレイヤ104bが常駐するメータ110の宛先アドレスを含む。上側MACレイヤ104b内のソフトウェアは、メッセージに含まれる宛先アドレスを解析し、メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ104内のプログラムされた宛先アドレスに一致するかどうかを判定するようにさらに構成される。メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ104内のプログラムされた宛先アドレスに一致すると判定された場合、MACレイヤ104はメッセージを処理するようにさらに構成される。メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ104内のプログラムされた宛先アドレスに一致しないと判定された場合、MACレイヤ104はPHYレイヤ102を介してメッセージをネットワーク120に再送するようにさらに構成される。
【0023】
加えて、MACレイヤ104がメッセージを再送するたびに、MACレイヤ104は再送前にメッセージの一部を修正するようにさらに構成される。例えば、メッセージに含まれる宛先アドレスがMACレイヤ104内のプログラムされた宛先アドレスに一致しないと判定された場合、MACレイヤ104はメッセージに関連付けられたホップカウンタを解析するようにさらに構成される。最初の送信時に、ホップカウンタの値はXに設定される。ノードがパケットを再送するたびに、値がデクリメントされる。パケットが受信され、カウンタが0である場合、パケットは再送されない。カウンタが0以外の値に設定されている場合、MACレイヤ104を、再送する前にホップカウンタをデクリメントするようにさらに構成することができる。この機構により、パケットがネットワークを介していつまでも再送されるのを防止する。パケットがメッシュネットワークに再送されるたびに更新することができるパケットの他の部分も存在し得る。これらの部分をMACレイヤ104で行われる処理において変更することもできる。本明細書において再送はメッセージのデータ部分の再送に関連して説明されているが、メッセージの制御部分およびルーティング部分も変化し得る。いずれの場合も、再送されるパケットはアプリケーションプロセッサに渡されない。必要な変更は、MACレイヤ104内のハードウェア手段またはソフトウェア手段のいずれかによって実現され得る。
【0024】
本明細書に開示された本発明の実施形態は、一致するMACアドレスがあるパケットのみを処理する(すなわち、通信スタックの上位レベルにまでパケットを送る)ようMACレイヤ104に命令するアルゴリズムを含むように(Zigbee(商標)/6LoWPANネットワークスタックの)MACレイヤ104をプログラミングすることによって、AMIネットワーク処理をより効率的にする。言い換えれば、MACレイヤ104は、パケット内の宛先アドレスとMACレイヤ104内の宛先アドレスが一致しないIEEE 802.15.4パケットを無視し、これらの一致しないパケットを再送するように構成される。MACレイヤ104におけるこの部分的な処理は、処理時間およびリソースを低減することによって、AMIネットワーク処理をより効率的にする。
【0025】
図3を参照すると、本発明の実施形態によるネットワーク通信スタック100内のMACレイヤ104によるメッセージの処理のフローチャートが示されている。図3に示されているように、メッセージ、すなわち、IEEE 802.15.4パケットはMACレイヤ104によって受信される。MACレイヤ104はメッセージを解析し、メッセージ内の宛先アドレスがMACレイヤ104内のプログラムされた宛先アドレスに一致するかどうかを判定する。一致する場合、MACレイヤ104は、メッセージは通信スタックに関連付けられたユーティリティメータまたはデバイスを対象としていると認識し、したがって、パケットを処理する、すなわち、スタック内の上位レベルであるネットワークスタックまでパケットを送る。一致しない場合、MACレイヤ104は、メッセージは別のユーティリティメータまたはデバイスを対象としていると認識する。最初に、MACレイヤ104はメッセージに関連付けられたホップカウンタを解析し、ホップカウンタが既に0である場合、MACレイヤ104はメッセージを再送しない。ホップカウンタが0以外の値に設定されている場合、MACレイヤ104はホップカウンタをデクリメントし、次いでMACレイヤ104はパケットをネットワークに再送する。
【0026】
中央プロセッサ140は、ユーザによってインストールされたコンピュータプログラムコードを実行することが可能な任意の汎用コンピューティング製造品を備えることができる。しかし、中央プロセッサ140、ユーティリティメータ110、通信スタック100およびネットワーク120は本開示の様々な処理ステップを実行し得る様々な考えられる同等のコンピューティングデバイスを表しているにすぎないことを理解されたい。この点で、他の実施形態では、システムは、特定の機能を実行するためのハードウェアおよび/またはコンピュータプログラムコードを備える任意の特定用途コンピューティング製造品、特定用途および汎用ハードウェア/ソフトウェアの組合せを備える任意のコンピューティング製造品などを備えることができる。それぞれの場合において、標準のプログラミング技術およびエンジニアリング技術を使用して、プログラムコードおよびハードウェアをそれぞれ作成することができる。
【0027】
同様に、計量処理通信システム10は、本開示を実施するための様々なタイプのコンピュータインフラを例示するものにすぎない。通信リンクがネットワークを備えるとき、ネットワークは、1つまたは複数のタイプのネットワーク(例えば、インターネット、ワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、仮想プライベートネットワークなど)の任意の組合せを備えることができる。ネットワークアダプタをシステムに結合して、介在するプライベートネットワークまたは公共ネットワークを介してデータ処理システムを他のデータ処理システムまたは遠隔プリンタまたは記憶デバイスに結合できるようにすることもできる。モデム、ケーブルモデムおよびイーサネット(商標)カードは、現在利用可能なタイプのネットワークアダプタのほんの一部である。とにかく、コンピューティングデバイス間の通信は、様々なタイプの伝送技術の任意の組合せを利用することができる。
【0028】
本明細書において先に述べ、説明したように、通信スタック100は、本明細書に記載したような、MACレイヤ104が計量メッセージを部分的に処理することを可能にする技術効果を有する。図1〜3に示される様々な構成要素のいくつかを、中央プロセッサ140に含まれる1つまたは複数の別個のコンピューティングデバイスに対して、独立して実施し、組み合わせ、かつ/またはメモリに格納することができることを理解されたい。さらに、構成要素および/もしくは機能のいくつかを実施することができず、または追加のスキーマおよび/もしくは機能を計量処理通信システム100の一部として含めることができることを理解されたい。
【0029】
本開示の計量処理通信システムは、任意の1つの特定のメータ、電気メータ、スマートメータまたは他のシステムに限定されず、他の電力および通信システムならびに/またはシステム(例えば、無線ルータ、ネットワークハブ、サーバなど)とともに使用され得る。加えて、本発明の計量処理通信システムは、本発明の教示または実施形態から恩恵を受けることができる、本明細書に記載されていない他のシステムとともに使用され得る。
【0030】
本明細書において説明したように、様々なシステムおよび構成要素はデータを「通信する」ものとして記載されている。任意の解決策を使用して対応するデータを取得することができることを理解されたい。例えば、対応するシステム/構成要素はデータを生成することができ、および/または対応するシステム/構成要素を使用して、データを生成し、1つまたは複数のデータ記憶装置もしくはセンサ(例えば、データベース)からデータを取り出し、別のシステム/構成要素からデータを受信することなどができる。データが特定のシステム/構成要素によって生成されないとき、示されているシステム/構成要素以外に、データを生成し、データをシステム/構成要素に提供するおよび/またはシステム/構成要素によるアクセスのためにデータを格納する別のシステム/構成要素を実装することができることを理解されたい。
【0031】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態のみについて記載することを目的とし、本開示を限定することは意図されていない。本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、そうではないことを文脈が明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、本明細書において使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つもしくは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはこれらのグループの存在または追加を除外しないことをさらに理解されたい。
【0032】
この書面の記載は、最良の形態を含めて本発明を開示し、また、当業者が任意のデバイスまたはシステムを作製し使用すること、および任意の組み込まれた方法を実行することを含めて本発明を実施することを可能にするために、例を使用している。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が想起する他の例を含み得る。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を含む場合、または特許請求の範囲の文言とのごくわずかな差異を有する均等な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあると意図される。
【符号の説明】
【0033】
10 計量処理通信システム
100 通信スタック
102 物理(PHY)レイヤ
104 媒体アクセス制御(MAC)レイヤ
104a 下側MACレイヤ
104b 上側MACレイヤ
106 ネットワークレイヤ
108 アプリケーションレイヤ
110 ユーティリティメータ
111 計量センサ
120 ネットワーク
130 無線チップ
132 埋込み型プロセッサ
140 アプリケーションプロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク(120)を介してデータを通信するためのシステム(10)であって、
前記ネットワーク(120)とメッセージを送受信するように構成された物理(PHY)レイヤ(102)と、
プログラムされた宛先アドレスを中に含む媒体アクセス制御(MAC)レイヤ(104)であって、前記PHYレイヤ(102)からメッセージを受信するように構成されたMACレイヤ(104)と
を含むネットワーク通信スタック(100)を備え、前記MACレイヤ(104)が、
前記メッセージに含まれる宛先アドレスを解析し、
前記メッセージに含まれる前記宛先アドレスが前記MACレイヤ(104)内の前記プログラムされた宛先アドレスに一致するかどうかを判定する
ように構成されたソフトウェアを含み、前記メッセージに含まれる前記宛先アドレスが前記MACレイヤ(104)内の前記プログラムされた宛先アドレスに一致するという判定に応答して、前記MACレイヤ(104)内の前記ソフトウェアが前記メッセージを前記ネットワーク通信スタック(100)上の上位レイヤに送信するように構成され、前記メッセージに含まれる前記宛先アドレスが前記MACレイヤ(104)内の前記プログラムされた宛先アドレスに一致しないという判定に応答して、前記MACレイヤ(104)が前記PHYレイヤ(102)を介して前記メッセージを前記ネットワーク(120)に再送するように構成される、システム(10)。
【請求項2】
前記メッセージに含まれる前記宛先アドレスが前記MACレイヤ(104)内の前記プログラムされた宛先アドレスに一致しないという判定に応答して、前記MACレイヤ(104)が再送前に前記メッセージの一部を修正するようにさらに構成される、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記修正することが、前記メッセージに関連付けられたホップカウンタをデクリメントすることを含む、請求項2記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記MACレイヤ(104)が前記ホップカウンタの値を判定するようにさらに構成され、前記ホップカウンタの前記値が0である場合、前記MACレイヤ(104)が前記PHYレイヤ(102)を介して前記メッセージを前記ネットワーク(120)に再送しない、請求項3記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記MACレイヤ(104)の第1の部分が第1のプロセッサ上で動作し、前記第1のプロセッサが前記MACレイヤ(104)の前記第1の部分および前記PHYレイヤ(102)に結合され、前記ネットワーク通信スタック(100)内の前記上位レイヤが、前記第1のプロセッサとは異なる第2のプロセッサ上で動作する、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記第1のプロセッサが無線チッププロセッサ(130)を含み、前記第2のプロセッサがホストプロセッサ(140)を含む、請求項5記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記ネットワーク通信スタック(100)内の前記上位レイヤが、ネットワークレイヤ(106)およびアプリケーションレイヤ(108)のうちの少なくとも1つを備える、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記ネットワーク(120)が、無線周波(RF)高度計量インフラ(AMI)ネットワークを備える、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記MACレイヤ(104)がネットワークスタックに接続され、前記ネットワークスタックがアプリケーションに接続され、前記アプリケーションがユーティリティメータ(110)に接続され、前記データが前記ユーティリティメータ(110)から受信された計量データを備える、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項10】
無線周波(RF)高度計量インフラ(AMI)ネットワーク(120)を介してデータを通信するためのシステム(10)であって、
ネットワーク(120)とメッセージを送受信するように構成された物理(PHY)レイヤと、
プログラムされた宛先アドレスを中に含む媒体アクセス制御(MAC)レイヤ(104)であり、前記PHYレイヤ(102)からメッセージを受信するように構成されたMACレイヤ(104)であって、
前記メッセージに含まれる宛先アドレスを解析し、
前記メッセージに含まれる前記宛先アドレスが前記MACレイヤ(104)内の前記プログラムされた宛先アドレスに一致するかどうかを判定する
ように構成されたソフトウェアを含むMACレイヤ(104)と、
ネットワークレイヤ(106)と
を含むネットワーク通信スタック(100)
を含むユーティリティメータ(110)を備え、前記メッセージに含まれる前記宛先アドレスが前記MACレイヤ(104)内の前記プログラムされた宛先アドレスに一致するという判定に応答して、前記MACレイヤ(104)が前記メッセージを前記ネットワークレイヤ(106)に送信するように構成され、前記メッセージに含まれる前記宛先アドレスが前記MACレイヤ(104)内の前記プログラムされた宛先アドレスに一致しないという判定に応答して、前記MACレイヤ(104)が前記PHYレイヤ(102)を介して前記メッセージを前記ネットワーク(120)に再送するように構成される、システム(10)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−253769(P2012−253769A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−123852(P2012−123852)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Smalltalk
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】