説明

中継基板、プリント基板ユニット、および、中継基板の製造方法

【課題】コストを増大させず、半導体素子パッケージおよび回路基板の電気的性能を低下させずに半導体素子パッケージを回路基板に実装する。
【解決手段】中継基板20は、第一の回路基板10と、第二の回路基板30との間に介在して第一の回路基板10を第二の回路基板30に実装する。内包される金属板22は、第一の接続端子23−1および第二の接続端子23−2を介して第一の回路基板10および第二の回路基板30それぞれの電源端子またはグランド端子と電気的に接続される電源層またはグランド層として機能する。金属杭24は、第一の回路基板10の信号端子と、対応する第二の回路基板30の信号端子とを電気的に接続される。中継基板20は、第一の回路基板10と第二の回路基板30とを電気的に接続するとともに、絶縁層21および金属板22がスティフナとして機能して第一の回路基板10の撓みや反り返りによる応力を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、中継基板、プリント基板ユニットおよび中継基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子パッケージにおいて、半導体素子の薄型化および大型化が進んでいる。このため、半導体素子を樹脂製のパッケージ基板に搭載して固定した場合には、半導体素子とパッケージ基板との熱膨張係数の違いから、半導体素子はほとんど熱変形しない一方、パッケージ基板は熱により反り返ったり撓んだりする。よって、半導体素子とパッケージ基板との電気的接合部分の断線にいたる場合があった。
【0003】
そこで、パッケージ基板にステンレス鋼製や銅製の補強材(以下、「スティフナ」という)を装着し、熱によるパッケージ基板の反り返りや撓みを低減して、半導体素子とパッケージ基板との電気的接合部分の断線を回避することがおこなわれてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−323610号公報
【特許文献2】特開2004−289133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、次の問題がある。すなわち、近年、半導体素子パッケージは、電気性能面から、半導体素子が搭載される面の反対面に半導体素子と対向するようにキャパシタが配置されることが一般的となってきている。そのため、半導体素子パッケージを実装する回路基板と、キャパシタとが干渉しないように、低背形のキャパシタを採用したり、キャパシタと干渉する回路基板の部位をくり抜く、もしくは、座繰ったりする手法が考えられる。
【0006】
しかし、低背形のキャパシタは高価であるため、半導体素子パッケージの製造コストを増大させてしまうという問題がある。また、回路基板をくり抜いたり座繰ったりすると、半導体素子パッケージおよび回路基板の電気的性能を低下させてしまうという問題がある。
【0007】
ここで、電気的性能の低下の問題とは、次のようなものである。例えば、くり抜いたり座繰ったりした部分を迂回させて半導体素子パッケージへ電源を供給する配線を取り回すと、該当配線の線路長が電源を供給する他の配線の線路長よりも長くなる。線路長が長いほど電圧降下が大きくなるので、各配線の線路長が異なると電源を供給する配線に一様の電位を保たせることが困難となる。
【0008】
開示の技術は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、半導体素子パッケージの製造コストを増大させず、かつ、半導体素子パッケージおよび回路基板の電気的性能を低下させずに半導体素子パッケージを回路基板に実装することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の技術の一つの態様によれば、中継基板が、第一の回路基板と第二の回路基板との間に配置されるべく板状に形成された絶縁層と、前記絶縁層に内包されるとともに、前記第一の回路基板および前記第二の回路基板に電気的に接続されるべく前記絶縁層から一部が露出し、前記第一の回路基板に対して電源層またはグランド層となる金属板と、前記絶縁層を貫通するように形成され、前記第一の回路基板と前記第二の回路基板とを電気的に接続する金属杭とを備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術の一つの態様によれば、半導体素子パッケージの製造コストを増大させず、かつ、半導体素子パッケージおよび回路基板の電気的性能を低下させずに半導体素子パッケージを回路基板に実装することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1にかかる基板ユニットを側方から見た断面図である。
【図2】図2は、実施例2にかかるインターポーザの構成を示す図である。
【図3A】図3Aは、実施例2にかかるインターポーザの製造工程を示す図である。
【図3B】図3Bは、実施例2にかかるインターポーザの製造工程を示す図である。
【図3C】図3Cは、実施例2にかかるインターポーザの製造工程を示す図である。
【図4】図4は、実施例2にかかるインターポーザの製造手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施例2にかかるインターポーザにLSIパッケージを搭載する搭載工程を示す図である。
【図6】図6は、実施例2にかかるインターポーザを用いてLSIパッケージをマザーボードに実装する実装工程を示す図である。
【図7】図7は、実施例2にかかるインターポーザを用いてLSIパッケージをマザーボードに実装する実装手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、LSIパッケージをマザーボードに実装する従来方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、開示の技術の中継基板、プリント基板ユニットおよび中継基板の製造方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。中継基板は、半導体素子がパッケージ基板に搭載された半導体素子パッケージを回路基板に実装する電子部品である。なお、以下の実施例により開示の技術が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
[基板ユニットおよび中継基板の構成]
図1は、実施例1にかかる基板ユニットを側方から見た断面図である。同図は、実施例1にかかる基板ユニット100が有する第一の回路基板10、中継基板20および第二の回路基板30をそれぞれ側方から見た図である。同図において、中継基板20を断面図で示す。また、同図に示すように、第一の回路基板10、中継基板20および第二の回路基板30の所定の接合部位が図1における破線矢印に従って接合されることにより、第一の回路基板10が中継基板20を介して第二の回路基板30に実装される。
【0014】
第一の回路基板10において、半導体素子11がパッケージ基板13の一方の面側に搭載され、接続端子12を介してパッケージ基板13と電気的に接続される。接続端子12は、例えば半田ボール、リード線もしくは電極パッドなどである。
【0015】
また、パッケージ基板13の半導体素子11を搭載しない面側には、電子部品14および接続端子15が配置される。電子部品は、例えばキャパシタである。電子部品14は、パッケージ基板13を境界にして半導体素子11と対向する位置に配置される。
【0016】
そして、電子部品14は、パッケージ基板13の層内における図示しない所定の電気配線によって半導体素子11と電気的に接続される。また、接続端子15は、パッケージ基板13の層内における図示しない所定の電気配線によって半導体素子11と電気的に接続される。なお、パッケージ基板13の半導体素子11を搭載しない面において、電子部品14の周囲に接続端子15が配置される。
【0017】
中継基板20は、絶縁層21と、絶縁層21に内包される金属板22とを有する。中継基板20の形状は、例えば所定の厚みを有する矩形もしくは正方形である。絶縁層21は、例えばFR−4の難燃性を有するガラス布基材エポキシ樹脂またはガラス布基材エポキシ樹脂と同等以上の強度を有する非導電性の樹脂を用いて板状に形成される。また、金属板22は、例えば銅箔または銅と同等以上の導電性を有する金属を用いて形成される。中継基板20は、絶縁層21および金属板22によって、第一の回路基板10の撓みや反り返りによって中継基板20にかかる応力を抑制する強度を有する。
【0018】
また、中継基板20は、金属板22と一体であり、金属板22の所定位置から絶縁層21を貫通して第一の回路基板10を搭載する表面へ露出する第一の接続端子23−1有する。また、同様に、金属板22と一体であり、金属板22の所定位置から絶縁層21を貫通して第二の回路基板30と向かい合う表面へ露出する第二の接続端子23−2する。さらに、中継基板20は、第一の回路基板10を搭載する表面から第二の回路基板30と向かい合う表面へと絶縁層21および金属板22をともに貫通する金属杭24を有する。
【0019】
第一の接続端子23−1および第二の接続端子23−2は、第一の回路基板10および第二の回路基板30それぞれの電源端子またはグランド端子と接続端子15または27を介して電気的に接続される。金属板22は、図1に示すA−Aの面において一体形成されている。よって、金属板22は、中継基板20において、電源層またはグランド層として機能する。また、金属杭24は、第一の回路基板10の信号端子と、対応する第二の回路基板30の信号端子とを電気的に接続する。
【0020】
図1に示すように、第一の接続端子23−1および第二の接続端子23−2は複数であってもよい。この場合には、いずれかの第一の接続端子23−1および第二の接続端子23−2が第一の回路基板10および第二の回路基板30それぞれの電源端子またはグランド端子と接続されると、金属板22が電源層またはグランド層として機能する。また、金属杭24の数は、第一の回路基板10の信号端子および対応する第二の回路基板30の信号端子と同数である。図1では、同一の他の第一の接続端子23−1および第二の接続端子23−2の同一符号、および、同一の他の金属杭24の同一符号の記載を省略している。
【0021】
第一の接続端子23−1および第二の接続端子23−1は、第一の回路基板10および第二の回路基板30それぞれの電源端子またはグランド端子の位置に従って配置される。また、金属杭24は、第一の回路基板10の信号端子および対応する第二の回路基板30の信号端子の位置に従って配置される。
【0022】
また、中継基板20は、絶縁層21が、第一の回路基板10が有する電子部品14と対向する範囲の絶縁層21および金属板22をともに貫通する貫通孔25を有する。電子部品14と対向する絶縁層21の範囲は、例えば矩形もしくは正方形である。貫通孔25によって、中継基板20が第一の回路基板10と第二の回路基板30との間に配置される際に、電子部品14と、中継基板20との物理的干渉を回避することができる。
【0023】
第二の回路基板30は、中継基板20が接続される基板31の面側に、中継基板20の第二の接続端子23−2または金属杭24と接続される接続端子32が設けられる。また、第二の回路基板30は、電源線34が設けられ、中継基板20の金属杭24を介して第一の回路基板10へ電気信号を供給する。また、第二の回路基板30は、接地線35が設けられ、中継基板20の第一の接続端子23−1、金属板22および第二の接続端子23−2を介して第一の回路基板10を接地する。
【0024】
なお、中継基板20の各接続端子と、第一の回路基板10および第二の回路基板30の各接続端子との接続は、半田ボールを用いたリフロー半田付けによるとしている。しかしリフロー半田付けに限られるものではなく、各接続端子同士を直接半田付けする方法や接着剤を用いる方法を採用してもよい。
【0025】
上述してきたように、本実施例1では、中継基板20は、第一の回路基板10と第二の回路基板30とを電気的に接続するとともに、絶縁層21がスティフナとして機能して第一の回路基板10の撓みや反り返りによる応力を抑制することができる。
【実施例2】
【0026】
以下の実施例では、半導体素子はLSI(Large Scale Integration)を例とし、中継基板はインターポーザを例とし、回路基板は電子デバイスに収蔵されるマザーボードを例として説明する。しかし、開示の技術は、LSI、インターポーザ、マザーボードに限らず、目的を達成するため、半導体素子一般、中継基板一般、回路基板一般に広く適用可能である。
【0027】
[インターポーザの構成]
図2は、実施例2にかかるインターポーザを示す図である。図2の(2A)は、実施例2にかかるインターポーザ20aの断面図である。なお、同図において、符号を付与した構成部と同一の構成部への符号の付与を省略している。
【0028】
また、(2B)は、(2A)におけるインターポーザ20aのA−Aにおける断面図である。また、(2C)は、(2A)におけるインターポーザ20aのB−BもしくはC−Cで示される表面を示す図である。なお、(2A)は、(2B)におけるD−Dもしくは(2C)におけるE−Eにおける断面図である。
【0029】
図2の(2A)において、インターポーザ20aのB−Bは、図示しないLSIパッケージが搭載される搭載面を示す。また、インターポーザ20aのC−Cは、図示しないマザーボードへインターポーザ20aを実装する実装面を示す。
【0030】
インターポーザ20aは、ガラス布基材エポキシ樹脂を用いて板状に形成された絶縁層21aを基体とする。このため、インターポーザ20aは、熱膨張係数がLSIパッケージのパッケージ基板よりも小さくなる。そこで、LSIパッケージをインターポーザ20aに搭載して接続端子同士を固定すると、インターポーザ20aは、LSIの発熱によるLSIパッケージのパッケージ基板の熱膨張を抑制するスティフナとなる。
【0031】
インターポーザ20aは、絶縁層21aに内包されるように銅箔の金属板22aを有する。金属板22aは、A−Aにおける断面において一体形成されている。金属板22aは、(2A)に示すように、絶縁層21aを貫通し、B−Bで示すLSIパッケージの搭載面、および、C−Cで示すマザーボードへの実装面へそれぞれ接続端子として露出する部分を複数有する。
【0032】
ここで、金属板22aから絶縁層21aを貫通してB−Bで示すLSIパッケージの搭載面に露出する端子を第一の接続端子23a1という。同様に、金属板22aから絶縁層21aを貫通してC−Cで示すマザーボードへの実装面に露出する端子を第二の接続端子23a2という。第一の接続端子23a1および第二の接続端子23a2は、金属板22aを境界にして対をなすように搭載面および実装面の表面に露出する。そして、インターポーザ20aは、(2A)に示すように、第一の接続端子23a1および第二の接続端子23a2の対を複数有する。
【0033】
第一の接続端子23a1は、インターポーザ20aの金属板22aと、インターポーザ20aに搭載されるLSIパッケージの電源端子またはグランド端子とを半田ボールを介して電気的に接続する。ここで、グランドは、接地をいう。また、第二の接続端子23a2は、インターポーザ20aの金属板22aと、インターポーザ20aが実装されるマザーボードの電源端子またはグランド端子とを半田ボールを介して電気的に接続する。このようにして、インターポーザ20aの金属板22aは、マザーボードからの電源をLSIパッケージに搭載されるLSIへ供給する電源層、または、LSIをグランドするグランド層として機能する。
【0034】
また、金属板22aは、一体形成されていることから、第二の接続端子23a2のいずれかをマザーボードの電源端子またはグランド端子と接続することによって、LSIパッケージに搭載されるLSIに電源を供給、または、LSIをグランドすることが可能である。
【0035】
(2A)に示すように、インターポーザ20aは、B−Bで示すLSIパッケージの搭載面からC−Cで示すマザーボードへの実装面まで、金属板22aとともに絶縁層21aを貫通する銅製の金属杭24aを複数有する。
【0036】
前述したように、金属板22aは、絶縁層21aに内包されるとともに、全体が絶縁層21aによって被覆される。また、(2A)および(2B)に示すように、金属杭24aの内径は、金属杭24aを貫通させるために金属板22aに設けられた貫通孔24a1の内径よりも小さい。このため、金属杭24aおよび金属板22aは絶縁層21aによって絶縁される。よって、全ての金属杭24aは、LSIパッケージの信号端子と、対応するマザーボードの信号端子とをそれぞれ電気的に独立して接続可能である。また、(2B)に示すように、金属板22aの縁部も絶縁層21aに内包される。
【0037】
なお、(2C)に示すように、インターポーザ20aにおいて、B−Bで示すLSIパッケージの搭載面、または、C−Cで示すマザーボードへの実装面では、第一の接続端子23a1または第二の接続端子23a2、および、金属杭24aが接続端子として所定の並びで露出している。
【0038】
また、(2B)および(2C)に示すように、インターポーザ20aは、B−Bで示すLSIパッケージの搭載面において、LSIパッケージ搭載の際、LSIパッケージにLSIと対向して配置されるキャパシタが物理的に干渉する範囲に貫通孔25aを有する。貫通孔25aは、矩形もしくは正方形であり、インターポーザ20aの金属板22aとともに絶縁層21aを貫通する。LSIパッケージをインターポーザ20aに搭載する際、LSIパッケージにLSIと対向して配置されるキャパシタが物理的に干渉する場合には、貫通孔25aによって干渉を回避できる。
【0039】
[インターポーザの製造工程]
図3A〜図3Cは、実施例2にかかるインターポーザの製造工程を示す図である。インターポーザ20aの製造は、所定の製造装置もしくは手作業にておこなわれる。なお、図3A〜図3Cは、製造途中のインターポーザ20aを側方からみた断面図である。また、同一の図において、符号を付与した構成部と同一の構成部への符号の付与を省略している。
【0040】
先ず、図3Aの(3A)に示すように、薄板状(例えば、1mm〜2mm程度)に形成された銅箔41の表面部および裏面部に、(3B)に示すスルーホール43を形成するスルーホール形成用のレジスト42aおよび42bを貼付する。銅箔41は、スルーホール43は、図3Cの(3K)を参照して後述する金属杭(ビア)49を形成する孔である。スルーホール形成用のレジスト42aおよび42bは、スルーホール43を形成する位置および形状に非被覆領域を有するそれぞれ一枚のレジストである。
【0041】
続いて、(3B)に示すように、銅箔41のレジスト42aおよび42bによる非被膜領域にエッチングによりスルーホール43を形成する。続いて、(3C)に示すように、スルーホール43形成用のレジスト42aおよび42bを銅箔41から剥離する。
【0042】
続いて、(3D)に示すように、銅箔41に電源層またはグランド層の端子形成用のレジスト44aおよび44bを貼付する。電源層またはグランド層の端子形成用のレジスト44aおよび44bは、電源層またはグランド層の端子を形成する位置および形状にそれぞれ貼付されるレジストである。
【0043】
続いて、図3Bの(3E)に示すように、銅箔41の電源層またはグランド層の端子形成用のレジスト44aおよび44bの貼付位置にエッチングにより電源層またはグランド層の第一の接続端子45aおよび第二の接続端子45bを形成する。続いて、(3F)に示すように、電源層またはグランド層の端子形成用のレジスト44aおよび44bを銅箔41から剥離する。
【0044】
続いて、(3G)に示すように、銅箔41全体を内包するように、絶縁層46を形成する。なお、(3G)に示す段階では、銅箔41全体を均等の厚みで内包するように絶縁層46が形成される。このため、第一の接続端子45a1および第二の接続端子45a2を内包する絶縁層46は、第一の接続端子45a1および第二の接続端子45a2の先端に相当する部分に突出部46aおよび46bを有する。
【0045】
続いて、(3H)に示すように、(3G)に示す第一の接続端子45a1および第二の接続端子45a2の先端に相当する部分である絶縁層46の突出部46aおよび46bを研磨処理によって研磨する。そして、第一の接続端子45a1および第二の接続端子45a2の先端を露出させる。なお、第一の接続端子45a1および第二の接続端子45a2の先端の露出部分は、絶縁層46の表面と同一面を形成する。
【0046】
続いて、図3Cの(3I)に示すように、絶縁層46によって内包された銅箔41のスルーホール43の部分に、レーザー処理によって銅箔41のスルーホール43より内径が小さいスルーホール47を形成する。(3I)に示すように、スルーホール47の内径がスルーホール43より小さいため、絶縁層46によるスルーホール43の内径部の被覆が維持される。
【0047】
続いて、(3J)に示すように、スルーホール47を経由して絶縁層46および銅箔41を貫通する金属杭49を形成するため、絶縁層46全体を被覆する金属杭形成用のレジスト48を形成する。続いて、(3K)に示すように、銅メッキ処理によってスルーホール47に金属杭49を形成し、金属杭形成用のレジスト48を絶縁層46から剥離する。
【0048】
[インターポーザの製造工程]
図4は、実施例2にかかるインターポーザの製造手順を示すフローチャートである。インターポーザ20aの製造手順は、所定の製造装置もしくは手作業にておこなわれる。同図に示すように、先ず、インターポーザ20aの支持体、および、電源層またはグランド層となる銅箔にスルーホール形成用のレジストを貼付する(ステップS101)。
【0049】
続いて、ステップS101で銅箔に貼付されたスルーホール形成用のレジストを用いてエッチングによりスルーホールを銅箔に形成する(ステップS102)。続いて、ステップS102でスルーホールが形成された銅箔からスルーホール形成用のレジストを剥離する(ステップS103)。
【0050】
続いて、ステップS103でスルーホールが形成された銅箔に電源層またはグランド層の端子形成用のレジストを貼付する(ステップS104)。続いて、エッチングにより電源層またはグランド層の端子を銅箔に形成する(ステップS105)。続いて、電源層またはグランド層の端子が形成された銅箔から電源層またはグランド層の端子形成用のレジストを剥離する(ステップS106)。
【0051】
続いて、ガラス布基材エポキシ樹脂を用いて電源層またはグランド層の端子が形成された銅箔全体を内包する絶縁層を形成する(ステップS107)。続いて、ステップS107によって絶縁層により全体が内包された銅箔の電源層またはグランド層の端子部分を被覆する部分の絶縁層を研磨し、絶縁層から電源層またはグランド層の端子の一部を露出させる(ステップS108)。
【0052】
続いて、ステップS107によって絶縁層により被覆され塞がれた銅箔のスルーホール未満の内径を有する金属杭形成用のスルーホールを銅箔のスルーホールに該当する絶縁層の位置にレーザー処理によって形成する(ステップS109)。続いて、ステップS109によって絶縁層全体を被覆するように金属杭形成用のレジストを形成する(ステップS110)。
【0053】
続いて、ステップS110によって金属杭形成用のレジストが形成された絶縁層の金属杭形成用のスルーホールに銅メッキ処理によって金属杭を形成する(ステップS111)。続いて、金属杭が形成された絶縁層から金属杭形成用のレジストを剥離する(ステップS112)。続いて、絶縁層にLSIパッケージを搭載する際、LSIと対向してLSIパッケージに配置されるキャパシタが物理的に干渉する絶縁層の範囲をくり貫いて貫通孔を形成する(ステップS113)。
【0054】
[インターポーザへのLSIパッケージ搭載方法]
図5は、実施例2にかかるインターポーザに半導体パッケージを搭載する搭載工程を示す図である。先ず、(5A)に示すように、板状に形成されたインターポーザ20aの一方の面に露出する第一の接続端子23a1もしくは第二の接続端子23a2、および、金属杭24aの露出部分に半田ボール27aをそれぞれ接合する。
【0055】
続いて、(5B)に示すように、(5A)で半田ボール27aが接合されたインターポーザ20aの面を裏返す。そして、半田ボール27aが接合されていないインターポーザ20aの他の面に、接続端子にあらかじめ半田ボール15aがそれぞれ接合されたLSIパッケージ10aを搭載する。
【0056】
続いて、(5C)に示すように、LSIパッケージ10aの接続端子と、インターポーザ20aにおける対応する第一の接続端子23a1もしくは第二の接続端子23a2、および、金属杭24aの露出部分とを、例えばリフロー半田付けによって接続する。なお、LSIパッケージ10aをインターポーザ20aに搭載する際、LSIパッケージ10aにおいてLSI11aと対向して配置されるキャパシタ14aを貫通孔25aの部分に通す。
【0057】
[インターポーザのマザーボードへの実装方法]
図6は、実施例2にかかるインターポーザを用いてLSIパッケージをマザーボードに実装する実装工程を示す図である。図6に示すように、インターポーザ20aの第二の接続端子23a2および金属杭24aは、半田ボール27aを介してマザーボード30aの基板31a上に配置される接続端子32aとそれぞれ接続される。
【0058】
なお、マザーボード30aは、電源線34aが設けられ、インターポーザ20aの金属杭24aを介してLSIパッケージ10aへ電気信号を供給する。また、マザーボード30aは、接地線35aが設けられ、インターポーザ20aの第一の接続端子23a1、金属板22aおよび第二の接続端子23a2を介してLSIパッケージ10aを接地する。
【0059】
図7は、実施例2にかかるインターポーザを用いてLSIパッケージをマザーボードに実装する実装手順を示すフローチャートである。インターポーザを用いてLSIパッケージをマザーボードに実装する実装手順は、所定の実装装置もしくは手作業にておこなわれる。
【0060】
先ず、インターポーザの一方の面に露出している端子に半田ボールを接合する(ステップS201)。続いて、LSIパッケージのインターポーザとの接合面に露出している端子に半田ボールを接合する(ステップS202)。
【0061】
続いて、LSIパッケージの半田ボールが接合された面をインターポーザの半田ボールが接合されていない面に半田ボールを介して接合することにより、LSIパッケージをインターポーザに搭載する(ステップS203)。続いて、半田ボールを介して、LSIパッケージが接合されたインターポーザをマザーボードに実装する(ステップS204)。
【0062】
上述してきたように、実施例2によれば、インターポーザ20aがLSIパッケージ10aとマザーボード30との間に介在して、LSIパッケージ10aとマザーボード30とを電気的に接続するとともに、スティフナとして機能する。電気的に接続するコネクタとしての機能と、スティフナとしての機能を有し、かつ、電源層またはグランド層として機能する金属板を内包するインターポーザ20aを簡便な工法で製造し、安価に提供することができる。
【0063】
また、図8に示すLSIパッケージ10bをマザーボード30bに実装する従来方法のように、LSIパッケージ10bのパッケージ基板13b上にスティフナ16bを装着する必要がない。そして、インターポーザ20aは、全体がスティフナとして機能することから、従来よりも補強効果が高い。
【0064】
また、図8に示すように、半田ボール15bを介してLSIパッケージ10bをマザーボード30bの基板31b上に配置される接続端子32bおよび半田ボール15bを介して直接実装する場合を考える。この場合には、LSI11bと対向する面に配置されるキャパシタ14bと、マザーボード30bとの物理的干渉を回避する必要がある。
【0065】
しかし、インターポーザ20aを用いると、キャパシタ14aとマザーボード30aとの干渉を回避するために、マザーボード30bのように干渉範囲を座繰った、もしくは、くり貫いた干渉回避孔33bを設ける必要がない。したがって、マザーボード30aにおいて干渉回避部分を迂回させてLSI11aへ電源を供給する配線を取り回す必要がなくなり、LSI11aへの電源の安定供給に繋がる。
【0066】
なお、インターポーザ20aの各接続端子と、LSIパッケージ10aおよびマザーボード30aの各接続端子との接続は、半田ボールを用いたリフロー半田付けによるとしている。しかしリフロー半田付けに限られるものではなく、各接続端子同士を直接半田付けする方法や接着剤を用いる方法を採用してもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 第一の回路基板
10a、10b LSIパッケージ
11 半導体素子
12 接続端子
13、13b パッケージ基板
14 電子部品
14a、14b キャパシタ
15 接続端子
15a、15b 半田ボール
16b スティフナ
20 中継基板
20a インターポーザ
21、21a 絶縁層
22、22a 金属板
23−1、23a1、45a1 第一の接続端子
23−2、23a2、45a2 第二の接続端子
24、24a 金属杭
24a1 貫通孔
25、25a 貫通孔
27 接続端子
27a 半田ボール
30 第二の回路基板
30a、30b マザーボード
31、31a、31b 基板
32、32a 接続端子
33b 干渉回避孔
34、34a 電源線
35、35a 接地線
41 銅箔
42a、42b スルーホール形成用のレジスト
43、47 スルーホール
44a、44b 電源層またはグランド層の端子形成用のレジスト
46 絶縁層
46a 突出部
48 金属杭形成用のレジスト
49 金属杭
100 基板ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の回路基板と第二の回路基板との間に配置されるべく板状に形成された絶縁層と、
前記絶縁層に内包されるとともに、前記第一の回路基板および前記第二の回路基板に電気的に接続されるべく前記絶縁層から一部が露出し、前記第一の回路基板に対して電源層またはグランド層となる金属板と、
前記絶縁層を貫通するように形成され、前記第一の回路基板と前記第二の回路基板とを電気的に接続する金属杭と
を備えたことを特徴とする中継基板。
【請求項2】
前記絶縁層が、前記第一の回路基板と前記第二の回路基板との間に配置される際に、前記第一の回路基板が有する電子部品と対向する範囲に、貫通孔を有することを特徴とする請求項1記載の中継基板。
【請求項3】
第一の回路基板と、
第二の回路基板と、
板状に形成され、前記第一の回路基板と前記第二の回路基板との間に配置された絶縁層と、
前記絶縁層に内包されるとともに、前記絶縁層から露出する部分が前記第一の回路基板および前記第二の回路基板に電気的に接続され、前記第一の回路基板に対して電源層またはグランド層となる金属板と、
前記絶縁層を貫通するように形成され、前記第一の回路基板と第二の回路基板とを電気的に接続する金属杭と
を備えたことを特徴とするプリント基板ユニット。
【請求項4】
前記絶縁層が前記第一の回路基板が有する電子部品と対向する範囲に貫通孔を有することを特徴とする請求項3記載のプリント基板ユニット。
【請求項5】
半導体素子が搭載された半導体素子パッケージと電子デバイスの回路基板とを中継して前記半導体素子パッケージを前記回路基板に実装する中継基板の製造を基板製造装置がおこなう製造方法であって、
低熱膨張性を有する導電性の板状部材の所定部位にスルーホールを形成するための第一のレジストを貼付し、前記第一のレジストが貼付された前記板状部材にエッチングによりスルーホールを形成した後に前記板状部材から前記第一のレジストを剥離するスルーホール形成ステップと、
前記スルーホール形成ステップによって前記スルーホールが形成された前記板状部材の所定部位に電源接地層の端子を形成するための第二のレジストを貼付し、前記板状部材にエッチングにより電源接地層の端子を形成した後に前記板状部材から前記第二のレジストを剥離する端子形成ステップと、
前記端子形成ステップによって前記電源接地層の端子が形成された前記板状部材を全面被覆する絶縁層を形成する絶縁層形成ステップと、
前記絶縁層形成ステップによって形成された前記絶縁層の表面を研磨して前記端子形成ステップによって形成された前記電源接地層の端子の端部を前記絶縁層の表面から露出させる端子形成ステップと、
前記絶縁層形成ステップによって形成された前記絶縁層によって被覆された前記スルーホールに該当する部分に前記スルーホール未満の内径を有するビア形成用のスルーホールを形成するビア形成用スルーホール形成ステップと、
前記ビア形成用スルーホール形成ステップによって前記ビア形成用のスルーホールが形成された前記板状部材にビアを形成するための第三のレジストを貼付し、前記第三のレジストが貼付された前記板状部材の前記ビア形成用のスルーホールに導電性素材にてビアを形成した後に前記板状部材から前記第三のレジストを剥離するビア形成ステップと、
前記半導体素子パッケージと前記電子デバイスの回路基板とを中継して前記半導体素子パッケージを前記回路基板に実装する際に、前記半導体素子パッケージにおいて前記半導体素子と対向して搭載される電子素子が物理的に干渉する前記中継基板の部分に貫通孔を形成する貫通孔形成ステップと
を含むことを特徴とする中継基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−82221(P2011−82221A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230912(P2009−230912)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】