説明

乗客コンベア及びその手摺駆動装置

【課題】乗客コンベアにおいて、簡易な構成で、保守性および安全性の向上を図ること。
【解決手段】乗客コンベア30は、循環駆動される踏段4と、この踏段4を駆動する走行駆動源5と、踏段4と同期して循環駆動される手摺6と、手摺6を駆動する手摺駆動装置40とから構成される。手摺駆動装置40は、駆動ローラ11Aの近傍に配置され且つ踏段4を駆動する走行駆動源5とは別に設けられた手摺駆動モータ9と、手摺駆動モータ9に取り付けられた減速手段10と、減速手段10に直接結合された駆動ローラ11A〜11Cと、駆動ローラ11A〜11Cに対して手摺6を挟んで配置された従動ローラ12A〜12Cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベア及びその手摺駆動装置に係り、特に踏段を駆動する走行駆動源とは別の手摺駆動モータを備え、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベア及びその手摺駆動装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアの手摺駆動に関する技術としては、例えば、特開平7−149491号公報(特許文献1)に記載された技術がある。この特許文献1の従来技術は、手摺チェーンを介して手摺駆動部で駆動される複数のスプロケット並びに複数の駆動ローラで主枠に巻装された手摺を駆動するマンコンベアの手摺駆動装置において、手摺駆動部、減速手段、手摺チェーン及び複数のスプロケット並びに複数の駆動ローラで構成した複数の手摺駆動ユニットを主枠に収納したものである。
【0003】
【特許文献1】特開平7−149491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の従来技術では、手摺駆動源を構成する減速手段から駆動ローラまで駆動力を伝達するために手摺チェーン用いていることから、テンション調整および潤滑などの面倒な保守が必要になると共に、手摺チェーンの破断を検出するための高価な安全装置が必要になるという課題を有している。また、手摺駆動源が踏段より下方の奥深い位置に設置されることから、手摺駆動装置の保守の際に手摺を取り外すことが必要となり、その保守が極めて面倒であるという課題を有している。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構成で、保守性および安全性の向上を図ることができる乗客コンベア及びその手摺駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するための本発明の第1の態様は、循環駆動される踏段と、前記踏段を駆動する走行駆動源と、前記踏段と同期して循環駆動される手摺と、前記手摺を駆動する手摺駆動装置とから構成される乗客コンベアにおいて、前記手摺駆動装置は、駆動ローラの近傍に配置され且つ前記踏段を駆動する前記走行駆動源とは別に設けられた手摺駆動モータと、前記手摺駆動モータに取り付けられた減速手段と、前記減速手段に直接結合された前記駆動ローラと、前記駆動ローラに対して前記手摺を挟んで配置された従動ローラとを備えていることにある。
【0007】
係る本発明の第1の態様におけるより好ましい具体的構成例は次の通りである。
(1)前記減速手段は、前記手摺駆動モータの出力軸に結合されたウォームと、前記ウォームとの噛み合い位置に配置されたウォームホイールとを備えていること。
(2)上記(1)において、前記駆動ローラは、前記踏段の外部に露出する部分に略平行に延びている手摺部分の上面に位置され、且つ手摺長手方向に隣接して複数配置され、前記手摺駆動モータは前記駆動ローラに対して手摺長手方向に隣接して配置され、前記ウォームホイールは前記各駆動ローラに対して側方に隣接してそれぞれ配置され、前記手摺駆動モータの出力軸は前記各ウォームホイールの上方に延びており、前記ウォームは前記各ウォームホイールとの噛み合い位置に配置されて前記手摺駆動モータの出力軸に取り付けられていること。
(3)上記(2)において、前記手摺を支持する欄干と、前記欄干と前記踏段との隙間を塞ぎ且つ着脱可能に設けられた閉鎖部材とを備え、前記手摺駆動装置は前記閉鎖部材を取り外した状態における前記欄干と前記踏段との隙間に臨むメンテナンス可能な空間に収納されていること。
(4)前記踏段を駆動する速度を検出する踏段速度検出器と、前記手摺の速度を検出する手摺速度検出器と、前記踏段速度検出器及び前記手摺速度検出器で検出した速度に基づいて前記手摺駆動モータを制御する制御部とを備えていること。
(5)上記(4)において、前記制御部は、前記踏段速度検出器及び前記手摺速度検出器で検出した速度に基づいて前記踏段の速度と前記手摺の速度とを同期させるように前記手摺駆動モータの駆動速度を補正する速度補正手段と、前記踏段速度検出器及び前記手摺速度検出器で検出した速度に基づいて前記手摺駆動装置の異常を判断する異常判断手段とを備えていること。
(6)上記(5)において、前記速度補正手段は、前記踏段速度検出器及び前記手摺速度検出器で検出した速度の差が第1の閾値より大きく第2の閾値以下の場合に、前記手摺駆動モータの駆動速度を補正するものであり、前記異常判断手段は、前記踏段速度検出器及び前記手摺速度検出器で検出した速度の差が、前記第2の閾値より大きく設定された第3の閾値より大きい場合に、前記手摺駆動装置を異常と判断するものであること。
(7)前記手摺駆動モータは前記踏段の外部に露出する部分に略平行に延びている手摺部分の上方に配置され扁平モータで構成され、前記減速手段は前記手摺駆動モータの出力軸の周囲に太陽歯車、遊星歯車及び内歯車の順に配置された歯車群で構成されて前記手摺駆動モータに並置され、前記駆動ローラは前記内歯車の周囲に設けられたリング状部材で構成されていること。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、駆動ローラの近傍に配置され且つ踏段を駆動する走行駆動源とは別に設けられた手摺駆動モータと、前記手摺駆動モータに取り付けられた減速手段と、前記減速手段に直接結合された前記駆動ローラと、前記駆動ローラに対して手摺を挟んで配置された従動ローラとを備えている乗客コンベアの手摺駆動装置にある。
【0009】
係る本発明の第2の態様におけるより好ましい具体的構成例は次の通りである。
(1)前記減速手段は、前記手摺駆動モータの出力軸に結合されたウォームと、前記ウォームとの噛み合い位置に配置されたウォームホイールとから構成され、前記駆動ローラは、前記踏段の外部に露出する部分に略平行に延びている手摺部分の上面に位置し、且つ手摺長手方向に隣接して複数配置され、前記手摺駆動モータは前記駆動ローラに対して手摺長手方向に隣接して配置され、前記ウォームホイールは前記各駆動ローラに対して側方に隣接してそれぞれ配置され、前記手摺駆動モータの出力軸は前記各ウォームホイールの上方に延びており、前記ウォームは前記各ウォームホイールとの噛み合い位置に配置されて前記手摺駆動モータの出力軸に取り付けられていること。
【発明の効果】
【0010】
本発明の乗客コンベア及びその手摺駆動装置によれば、簡易な構成で、保守性および安全性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の複数の実施形態について図を用いて説明する。各実施形態の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の乗客コンベア及びその手摺駆動装置を図1から図4を用いて説明する。
【0012】
まず、本実施形態の乗客コンベア30の全体構成に関して図1を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態の乗客コンベア30の説明斜視図である。
【0013】
本実施形態の乗客コンベア30はエスカレータの例であるが、本発明は歩く歩道などの乗客コンベアにも適用可能である。乗客コンベア30では、上方スプロケット(第1のスプロケット)1が設置場所の一側上部に配置され、下方スプロケット(第2のスプロケット)2が設置場所の他側下部に配置されている。これらのスプロケット1、2間には踏段チェーン3が張架され、上方スプロケット1が走行駆動源5にて駆動されることにより、下方スプロケット2が従動されるように構成されている。走行駆動源5は走行駆動モータを主要構成要素として備えている。
【0014】
踏段チェーン3には踏段4が締結されている。この踏段4は、多数の個別踏段4A〜4Zが連結されて全体が輪状に構成され、その概略上半分が常に露出するように設置される。上方スプロケット1が走行駆動源5により駆動されることにより、踏段チェーン3を介して踏段4が循環駆動される。
【0015】
手摺駆動装置40は、駆動ローラ11の近傍に配置され且つ踏段4を駆動する走行駆動源5とは別に設けられた手摺駆動モータ9と、手摺駆動モータ9に取り付けられた減速手段の一例である手摺駆動用減速機10と、手摺駆動用減速機10に直接結合された複数の駆動ローラ11A〜11Cと、駆動ローラ11A〜11Cに対して手摺4を挟んで配置された複数の従動ローラ12A〜12Cと、従動ローラ12A〜12Cを手摺側に押圧する複数の押し付けばね13A〜13Cとを備えている。手摺6は、各駆動ローラ11A〜11Cと従動ローラ12A、12B、12Cとの間に挟圧され、各駆動ローラ11A〜11Cの回転により駆動される。
【0016】
かかる構成によれば、従来のように手摺チェーンを用いる必要がないため、簡易な構成となり、テンション調整および潤滑などの面倒な保守が不要になり、手摺チェーンの破断を検出するための高価な安全装置も不要になる。従って、保守性および安全性の向上を図ることができる。換言すれば、複数の手摺駆動ローラと駆動源の問に伝達要素を用いずに機械的な同期を図ることが可能となるため、保守性および安全性の向上を図り、かつ簡易な構成で手摺を単独駆動する乗客コンベアの手摺駆動装置を構成できる。
【0017】
なお、押し付けばね13A〜13Cは、その一端が固定側であるフレーム固定部に固定され、その他端が従動ローラ12A〜12Cに押圧力を付与している。
【0018】
踏段4の両側には、踏段4に沿って延びる欄干7が設置されている。手摺6は、全体が輪状に構成された可撓性を有するベルトで形成され、欄干7に支持されている。手摺6の下側部分は、踏段4の外部に露出する部分に近接して略平行に延びている。
【0019】
乗客コンベア30は、踏段4を駆動する速度を検出する踏段速度検出器8と、手摺6の速度を検出する手摺速度検出器14と、踏段速度検出器8及び手摺速度検出器14で検出した速度に基づいて手摺駆動装置40の手摺駆動モータ9などに駆動指令を出力する駆動指令を出力して制御する制御部(図示せず)とを備えている。
【0020】
なお、図1では、スカートガード21、内デッキ19、外デッキ20の中間部分を省略して手摺駆動装置40を表示するようにしてある。また、図1では、踏段4、踏段チェーン3の一部を省略すると共に、右側の欄干7などを省略してある。
【0021】
次に、手摺駆動装置40に関して図2及び図3を参照しながら具体的に説明する。図2は図1における手摺駆動装置40の斜視概略図、図3は図1における手摺駆動装置40の設置部の断面図である。
【0022】
手摺駆動用減速機10は、図2に示すように、手摺駆動モータ9の出力軸15に結合された複数のウォーム16A〜16Cと、各ウォーム16A〜16Cとの噛み合い位置に配置されたウォームホイール17A〜17Cと、これらを収納するギヤケース18とを備えている。
【0023】
駆動ローラ11A〜11Cは、踏段4の外部に露出する部分に略平行に延びている手摺部分の上面に位置され、且つ手摺長手方向に隣接して複数配置されている。本実施形態では、3連式の駆動ローラ11A〜11Cで構成されている。手摺駆動モータ9は、3連式の駆動ローラ11A〜11Cにおける端の駆動ローラ11Aに対して、手摺長手方向に隣接して配置されている。ウォームホイール17A〜17Cは、各駆動ローラ11A〜11Cに対して側方に隣接してそれぞれ配置され、ギヤケース18に軸支持されている。手摺駆動モータ9の出力軸15は各ウォームホイール17A〜17Cの上方に延びている。ウォーム16A〜16Cは各ウォームホイール17A〜17Cとの噛み合い位置に配置されて手摺駆動モータ9の出力軸15に取り付けられている。
【0024】
図3に示すように、手摺6を支持する欄干7の周辺には、欄干7と踏段4との隙間を塞ぎ且つ着脱可能に設けられた閉鎖部材19、21が備えられている。手摺駆動装置40は閉鎖部材19、21を取り外した状態における欄干7と踏段4との隙間に臨むメンテナンス可能な空間に収納されている。具体的には、手摺6を支持する欄干7の周辺には、欄干7と踏段4との隙間を閉塞する着脱可能なスカートガード21と、スカートガード21の上端面を覆うように設けられた着脱可能な内デッキ19と、欄干7の外側を覆うように設けられた外デッキ20とが設けられ、手摺駆動装置40は、スカートガード21、内デッキ19及び外デッキ20で囲まれた空間に収納して配置されている。
【0025】
かかる構成によれば、手摺駆動装置40をコンパクトで省スペース性に優れたものとすることができ、安価で設置場所の制約をなくすことができると共に、内デッキ19及びスカートガード21などの閉鎖部材を取り外すのみで、手摺駆動装置40を外部よりメンテナンスすることができるので、格段に保守性を向上することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、3つのウォーム減速手段としたが、例えば1つ目の駆動ローラ11Aをウォーム減速手段で駆動し、1つ目の減速手段で得た駆動力をアイドラギヤを介した平歯車により2つ目および3つ目の駆動ローラ11B、11Cに伝達する構成としてもよい。
【0027】
次に、乗客コンベア30の制御動作に関して図4を参照しながら説明する。図4は図1における乗客コンベア30の制御フロー図である。
【0028】
制御部では、踏段速度検出器8からの出力信号Vsを受けると共に(ステップS1)、手摺速度検出器14からの出力信号Vを受ける(ステップS2)。次いで、踏段速度と手摺速度との速度差を算出し、その速度差が第1の閾値δ(%)以内かを判断する(ステップS3)。ここで、その速度差が第1の閾値δ(%)以内であれば、得られた現状の手摺速度に対応した手摺駆動モータ9の回転数を次ステップの指令値ωHOとして出力し(ステップS4)、ステップS9へ進む。
【0029】
ステップS3の判定で、その速度差が第1の閾値δ(%)を超えていれば、その速度差が第2の閾値δ(%)以内かを判断する(ステップS5)。ここで、その速度差が第1の閾値δ(%)を超えて第2の閾値δ(%)以内であれば、式(1)にて算出される回転数を指令値として出力し(ステップS6)、ステップS9へ進む。
【0030】
ステップS5の判定で、速度差が第2の閾値δ2(%)を超える場合であれば、手摺駆動モータ9あるいは手摺速度検出器14の故障、過負荷による駆動ローラ11A〜11Cの滑りの発生が考えられるため、ステップS7に進んで経過時間をカウントする。そして、この状況が長時間継続されるときには、故障・異常発生と判断し、乗客コンベア30を停止すると共に、保守会社へ発報する(ステップS8)。ステップS7で、第2の閾値δ2(%)を超える時間が所定時間T(秒)より短い場合には、ステップS6に進む。
【0031】
ステップS9において、次ステップの踏段駆動回転指令値ωSOから算出される踏段速度VSOと手摺駆動モータ9の回転数を次ステップの指令値ωHOから算出される手摺駆動速度VHOとを比較する。ここで、その速度差が第3の閾値δ3(%)以下であれば、次ステップの手摺駆動モータ9の回転指令値ωHOとして出力する(ステップS10)。
【0032】
ステップS9の判定で、その速度差が第3の閾値δ3(%)を超えていれば、制御部自体の故障と判断し、乗客コンベア30の停止および保守会社への発報を行う。
【0033】
ωHO=ω+(V−V)/R …(1)
ここで、ω:定常の手摺駆動装置への回転数指令値、R:駆動ローラ半径である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の乗客コンベア及びその手摺駆動装置について図5を用いて説明する。図5は本発明の第2実施形態の乗客コンベアにおける手摺駆動装置40の縦断面図である。この第2実施形態は、次に述べる点で第1実施形態と相違するものであり、その他の点については第1実施形態と基本的には同一であるので、重複する説明を省略する。
【0034】
この第2実施形態では、手摺駆動用減速機10を駆動ローラ6のボス部として組み込み、手摺駆動用減速機10及び駆動ローラ6と手摺駆動モータ9とを乗客コンベア30の幅方向に並設した構成である。手摺駆動モータ9は、踏段4の外部に露出する部分に略平行に延びている手摺部分の上方に配置され、扁平モータで構成されている。従って、手摺駆動用減速機10及び駆動ローラ6も、踏段4の外部に露出する部分に略平行に延びている手摺部分の上方に配置されている。
【0035】
具体的には、手摺駆動モータ9の出力軸15の周囲に太陽歯車22が設けられ、その周囲に太陽歯車22と噛み合うように遊星歯車23が設けられ、この遊星歯車23と噛み合うように内歯車24が設けられている。さらに、本実施形態では、遊星歯車23を乗客コンベア30の固定部に設置した遊星歯車ブラケット25に回転自由に設置する構成とした。なお、内歯車24の外周にはゴム部材26を接着する構成とした。
【0036】
このような構成とすることにより得られる効果は、駆動ローラ6の幅を手摺駆動用減速機10のスペースに活用できるため、幅方向寸法の増大を抑制することができ、第1実施形態と同様に駆動力伝達要素を用いないため、安全性および保守性の向上が図れる。
【0037】
なお、本実施形態では、太陽歯車22と手摺駆動モータ9の出力軸15とを結合し、遊星歯車23を自転させ、内歯車24を自転させる構成とした。しかし、遊星歯車減速機は構成要素である3つの歯車の駆動パターンで様々な減速方法をもつことが一般的に知られている。本実施形態の特徴は、遊星歯車減速機の省スペースで構成可能という特徴を活かし、駆動ローラ6のボス部として活用したことであり、駆動パターンに関する様々な減速方法の採用を制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態の乗客コンベアの説明斜視図である。
【図2】図1における手摺駆動装置の斜視概略図である。
【図3】図1における手摺駆動装置の設置部の断面図である。
【図4】図1における乗客コンベアの制御フロー図である。
【図5】本発明の第2実施形態の乗客コンベアにおける手摺駆動装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1…上スプロケット、2…下スプロケット、3…踏段チェーン、4…踏段、4A〜4Z…個別踏段、5…走行駆動源、6…手摺、7…欄干、8…踏段速度検出器、9A〜9C…手摺駆動モータ、10…手摺駆動用減速機(減速手段)、11A〜11C…駆動ローラ、12A〜12C…従動ローラ、13A〜13B…押し付けばね、14…手摺速度検出器、15…出力軸、16…ウォーム、17…ウォームホイール、18…ギヤケース、19…内デッキ、20…外デッキ、21…スカートガード、22…太陽歯車、23…遊星歯車、24…内歯車、25…遊星歯車ブラケット、26…ゴム部材、30…乗客コンベア、40…手摺駆動装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環駆動される踏段と、
前記踏段を駆動する走行駆動源と、
前記踏段と同期して循環駆動される手摺と、
前記手摺を駆動する手摺駆動装置とから構成される乗客コンベアにおいて、
前記手摺駆動装置は、駆動ローラの近傍に配置され且つ前記踏段を駆動する前記走行駆動源とは別に設けられた手摺駆動モータと、前記手摺駆動モータに取り付けられた減速手段と、前記減速手段に直接結合された前記駆動ローラと、前記駆動ローラに対して前記手摺を挟んで配置された従動ローラとを備えていることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項2】
請求項1において、前記減速手段は、前記手摺駆動モータの出力軸に結合されたウォームと、前記ウォームとの噛み合い位置に配置されたウォームホイールとを備えていることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項3】
請求項2において、前記駆動ローラは、前記踏段の外部に露出する部分に略平行に延びている手摺部分の上面に位置され、且つ手摺長手方向に隣接して複数配置され、前記手摺駆動モータは前記駆動ローラに対して手摺長手方向に隣接して配置され、前記ウォームホイールは前記各駆動ローラに対して側方に隣接してそれぞれ配置され、前記手摺駆動モータの出力軸は前記各ウォームホイールの上方に延びており、前記ウォームは前記各ウォームホイールとの噛み合い位置に配置されて前記手摺駆動モータの出力軸に取り付けられていることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項4】
請求項3において、前記手摺を支持する欄干と、前記欄干と前記踏段との隙間を塞ぎ且つ着脱可能に設けられた閉鎖部材とを備え、前記手摺駆動装置は前記閉鎖部材を取り外した状態における前記欄干と前記踏段との隙間に臨むメンテナンス可能な空間に収納されていることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項5】
請求項1において、前記踏段を駆動する速度を検出する踏段速度検出器と、前記手摺の速度を検出する手摺速度検出器と、前記踏段速度検出器及び前記手摺速度検出器で検出した速度に基づいて前記手摺駆動モータを制御する制御部とを備えていることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項6】
請求項5において、前記制御部は、前記踏段速度検出器及び前記手摺速度検出器で検出した速度に基づいて前記踏段の速度と前記手摺の速度とを同期させるように前記手摺駆動モータの駆動速度を補正する速度補正手段と、前記踏段速度検出器及び前記手摺速度検出器で検出した速度に基づいて前記手摺駆動装置の異常を判断する異常判断手段とを備えていることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項7】
請求項6において、前記速度補正手段は、前記踏段速度検出器及び前記手摺速度検出器で検出した速度の差が第1の閾値より大きく第2の閾値以下の場合に、前記手摺駆動モータの駆動速度を補正するものであり、前記異常判断手段は、前記踏段速度検出器及び前記手摺速度検出器で検出した速度の差が、前記第2の閾値より大きく設定された第3の閾値より大きい場合に、前記手摺駆動装置を異常と判断するものであることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項8】
請求項1において、前記手摺駆動モータは前記踏段の外部に露出する部分に略平行に延びている手摺部分の上方に配置され扁平モータで構成され、前記減速手段は前記手摺駆動モータの出力軸の周囲に太陽歯車、遊星歯車及び内歯車の順に配置された歯車群で構成されて前記手摺駆動モータに並置され、前記駆動ローラは前記内歯車の周囲に設けられたリング状部材で構成されていることを特徴とする乗客コンベア。
【請求項9】
駆動ローラの近傍に配置され且つ踏段を駆動する走行駆動源とは別に設けられた手摺駆動モータと、
前記手摺駆動モータに取り付けられた減速手段と、
前記減速手段に直接結合された前記駆動ローラと、
前記駆動ローラに対して手摺を挟んで配置された従動ローラとを備えている乗客コンベアの手摺駆動装置。
【請求項10】
請求項9において、前記減速手段は、前記手摺駆動モータの出力軸に結合されたウォームと、前記ウォームとの噛み合い位置に配置されたウォームホイールとから構成され、前記駆動ローラは、前記踏段の外部に露出する部分に略平行に延びている手摺部分の上面に位置し、且つ手摺長手方向に隣接して複数配置され、前記手摺駆動モータは前記駆動ローラに対して手摺長手方向に隣接して配置され、前記ウォームホイールは前記各駆動ローラに対して側方に隣接してそれぞれ配置され、前記手摺駆動モータの出力軸は前記各ウォームホイールの上方に延びており、前記ウォームは前記各ウォームホイールとの噛み合い位置に配置されて前記手摺駆動モータの出力軸に取り付けられていることを特徴とする乗客コンベアの手摺駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−308271(P2007−308271A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139920(P2006−139920)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】