説明

乳凝固性のオンライン分析および分類のためのシステムおよび方法

予測される凝固特性に基づく乳のオンラインチャネリングのための方法であって、搾乳ステーションと集乳ポイントとの間のミルクラインから生乳を試料採取するステップと、生乳試料に対し光透過、光反射、散乱、および蛍光発光のうちの1つ以上のスペクトル分析を実行するステップと、該スペクトル分析に基づいて少なくとも1つの凝固パラメータをオンラインで予測するステップと、少なくとも1つの凝固パラメータに基づいて搾乳ステーションからオンラインで複数の給送先の1つに乳をチャネリングするステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その一部の実施形態では、乳の定量分析の分野に関し、さらに詳しくは、乳の凝固特性の定量分析に関するが、それのみに限定されない。
【背景技術】
【0002】
酪農場によって供給される乳の凝固特性は、チーズ産業にとって非常に重要である。有利な凝固特性、例えば短い凝固時間および高いカード硬さを持つ乳は、劣った特性の乳と比較して望ましい組成で高いチーズ収量をもたらすことができる。
【0003】
Journal of Dairy Technology、Vol.55、No.2、May2002、pp.65〜74で発表されたO’Callaghanらによる論文「Review of systems for monitoring curd setting during cheesemaking」には、乳の凝固特性を検出するための公知の方法が記載されており、その内容全体を参照によって本明細書に援用する。記載された方法は、レンネット凝固中に乳中で生じる生理化学的変化に基づいている。典型的に、酪農場の総合集乳タンクから抽出した乳試料にレンネットが添加され、凝乳の凝固特性が測定される。
【0004】
Acta Agriculturae Scand Section A、2005;Vol.55:pp.145〜148に発表されたKUBARSEPPらによる論文「A comparison of the methods for determination of the rennet coagulation properties of milk」には、凝固特性を測定するための2つの公知の技術、すなわちformagraphおよびoptigraphが記載されており、その内容全体を参照によって本明細書に援用する。
【0005】
KUBARSEPPらによる論文によると、formagraphは、凝乳の試料が線形振動にさらされたときに振り子によって加えられる小さい力を測定する。記録される測定値は硬さおよび時間である。硬さは典型的に凝乳の粘度特性および弾性特性の組合せと定義される。
【0006】
KUBARSEPPらの論文によると、optigraphは、凝固工程が進行するにつれて凝乳から放射される近赤外線(NIR)信号減衰に基づいている。
【0007】
どちらの方法も、測定を実行する前に酵素を添加する必要があり、したがって破壊的である。これらの方法の分析継続時間は搾乳セッションより長くなることがあり、したがって酪農場で総合タンク内の乳の評価に実現される。
【0008】
「Spectroscopic Fluid Analyzer」と称する国際特許出願公開WO03040704は、流体の成分要素の濃度を決定するためのNIR分光法による流体分析システムを記載しており、その内容全体を参照によって本明細書に援用する。前記システムは、流体の試料に照射するための一連の発光ダイオード(LED)、ならびに各LEDの波長範囲について試料による透過吸光度および試料からの反射または散乱を測定するための光検出器を使用する。試料の成分要素の濃度は、既知の濃度の成分を有する多数の試験試料から得られた測定強度に対する事前の統計分析によって抽出された、測定透過強度および/または反射強度ならびに経験的係数の関数である多項式の形で表される。WO03040704には、流体の流動試料に対し光吸収測定を実行するために使用することのできる試料チャンバについても記載されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一部の実施形態の態様では、搾乳室で回収された生乳の少なくとも1つの凝固特性のオンラインおよび/または実時間分析のための方法および装置を提供する。
【0010】
本発明の一部の実施形態の態様では、搾乳室で回収された生乳の少なくとも1つの凝固パラメータのオンライン検出に基づくオンラインおよび/または実時間乳チャネリングのための方法および装置を提供する。
【0011】
本発明の一部の実施形態の態様では、予測される凝固特性に基づく乳のオンラインチャネリングのための方法であって、搾乳ステーションと集乳ポイントとの間のミルクラインから生乳を試料採取するステップと、生乳試料に対し光透過、光反射、散乱、および蛍光発光のうちの1つ以上のスペクトル分析を実行するステップと、該スペクトル分析に基づいて少なくとも1つの凝固パラメータをオンラインで予測するステップと、少なくとも1つの凝固パラメータに基づいて搾乳ステーションからオンラインで複数の給送先の1つに乳をチャネリングするステップとを含む方法を提供する。
【0012】
任意選択的に、スペクトル分析はNIR分光法により実現される。
【0013】
任意選択的に、スペクトル分析は可視光分光法により実現される。
【0014】
任意選択的に、スペクトル分析は、各々が測定に使用される範囲内の異なる波長で生乳試料を照射するように構成された、複数のLEDを用いて実行される。
【0015】
任意選択的に、範囲は365nmから950nmの間である。
【0016】
任意選択的に、スペクトル分析は、生乳試料を透過した光を検出するために1つ以上の検出器を用いて実行される。
【0017】
任意選択的に、スペクトル分析は、生乳試料から反射した光を検出するために1つ以上の検出器を用いて実行される。
【0018】
任意選択的に、スペクトル分析は、生乳試料からの光散乱を検出するために1つ以上の検出器を用いて実行される。
【0019】
任意選択的に、スペクトル分析は蛍光分光法により実現される。
【0020】
任意選択的に、スペクトル分析は、290nmから430nmの間の事前選択された波長を有する複数の光源を用いて実行される。
【0021】
任意選択的に、前記方法は、実質的に90度に散乱した光を検出することを含む。
【0022】
任意選択的に、予測は事前に格納された経験的データに基づく。
【0023】
任意選択的に、前記方法は、既知の凝固特性を有する様々な乳牛および搾乳セッション中の様々な期間からの多数の試験試料の統計分析から得た経験的係数を含む所定の多項式に基づいて、生乳試料の凝固特性を決定するステップを含む。
【0024】
任意選択的に、既知の凝固特性は、試験試料にレンネットを添加した後の試験試料の各々の光学的測定から決定される。
【0025】
任意選択的に、試料採取は脈動乳流に対して実行される。
【0026】
任意選択的に、スペクトル分析は各試料に対し複数回実行される。
【0027】
任意選択的に、凝固パラメータはCy(90)、Cy(60)、およびRCTを含む群から選択される。
【0028】
任意選択的に、生乳試料の分析は、乳への凝固剤の添加を含まない。
【0029】
任意選択的に、チャネリングは自動的に、人間の介在無く実行される。
【0030】
任意選択的に、チャネリングは個々の乳牛の搾乳ステーションに対して実行される。
【0031】
本発明の一部の実施形態の態様では、生乳の予測される凝固特性に従って乳をオンラインチャネリングするためのシステムであって、搾乳ステーションと集乳ポイントとの間に乳流をもたらすように構成されたミルクラインと、ミルクラインからの脈動乳試料を受け取るように構成された試料採取チャンバと、ミルクライン中を流れる生乳の試料の少なくとも1つの光学特性を決定するように構成された分析装置と、乳の光学データに基づいて乳の凝固特性を推定するように動作する処理装置と、処理装置から推定値を受け取りかつ推定された凝固特性に応答する給送先に流動ライン内のミルクをチャネリングする制御装置とを含むシステムを提供する。
【0032】
任意選択的に、分析装置はNIR分光分析装置である。
【0033】
任意選択的に、分析装置は可視光分光分析装置を含む。
【0034】
任意選択的に、分析装置は蛍光分光分析装置である。
【0035】
任意選択的に、システムは、規定の多項式関数に基づいて分析装置からの出力を試料の少なくとも1つの凝固特性に関連付ける経験的係数を格納するためのメモリユニットを含む。
【0036】
任意選択的に、経験的係数は、既知の凝固特性を有する様々な乳牛および搾乳セッション中の様々な期間からの多数の試験試料の統計分析から得られる。
【0037】
任意選択的に、凝固特性はCy(90)、Cy(60)、およびRCTを含む群から選択されるパラメータから決定される。
【0038】
任意選択的に、制御装置は、規定閾値より低いカード硬さを有すると決定された乳を飲料用にチャネリングし、かつ規定閾値より高いカード硬さを有すると決定された乳をチーズ製造用にチャネリングするように構成される。
【0039】
任意選択的に、制御装置は、乳の各脈動試料の分解能で乳をチャネリングするように構成される。
【0040】
任意選択的に、制御装置は、2秒毎に約1回の分解能で乳をチャネリングするように構成される。
【0041】
任意選択的に、分析装置は、生乳の試料に凝固剤を添加することなく分析を実行するように構成される。
【0042】
本発明の一部の実施形態の態様では、生乳の凝固特性を予測するための方法であって、凝固剤を添加することなく生乳試料に対して光透過、光反射、散乱、および蛍光発光のうちの1つ以上のスペクトル分析を実行するステップと、スペクトル分析に基づいて少なくとも1つの凝固パラメータを予測するステップとを含む方法を提供する。
【0043】
任意選択的に、スペクトル分析はNIR分光法により実現される。
【0044】
任意選択的に、スペクトル分析は可視光分光法により実現される。
【0045】
任意選択的に、スペクトル分析は蛍光分光法により実現される。
【0046】
任意選択的に、予測は事前に格納された経験的データに基づく。
【0047】
任意選択的に、予測は、既知の凝固特性を有する様々な乳牛および搾乳セッション中の様々な期間からの多数の試験試料の統計分析から得た経験的係数を含む所定の多項式に基づく。
【0048】
任意選択的に、既知の凝固特性は、試験試料にレンネットを添加した後の試験試料の各々の光学的測定から決定される。
【0049】
任意選択的に、スペクトル分析は各試料に対し複数回実行される。
【0050】
任意選択的に、凝固パラメータはCy(90)、Cy(60)、およびRCTを含む群から選択される。
【0051】
本発明の一部の実施形態の態様では、ミルクラインからオンラインで脈動乳試料を受け取るように構成された試料採取チャンバと、試料採取チャンバで乳試料の少なくとも1つの特性を決定するように構成された分析装置と、少なくとも1つの特性および少なくとも1つの特性を乳の凝固特性に関連付ける事前に格納された経験的データに基づいて乳試料の凝固特性をオンラインで推定するように動作する処理装置とを含む、乳の少なくとも1つの凝固特性をオンライン分析するためのシステムを提供する。
【0052】
任意選択的に、分析装置は、生乳の試料に凝固剤を添加することなく分析を実行するように構成される。
【0053】
任意選択的に、分析装置は、乳試料の少なくとも1つの光学特性を決定するように構成される。
【0054】
任意選択的に、凝固特性は、Cy(90)、Cy(60)、およびRCTを含む群から選択されたパラメータによって決定される。
【0055】
任意選択的に、システムは、規定の多項式関数に基づいて分析装置からの出力を乳試料の少なくとも1つの凝固特性に関連付ける経験的係数を格納するためのメモリユニットを含む。
【0056】
任意選択的に、経験的係数は、既知の凝固特性を有する様々な乳牛および搾乳セッション中の様々な期間からの多数の乳試料の統計分析から得られる。
【0057】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0058】
本発明の実施形態の方法および/またはシステムを実行することは、選択されたタスクを、手動操作で、自動的にまたはそれらを組み合わせて実行または完了することを含んでいる。さらに、本発明の装置、方法および/またはシステムの実施形態の実際の機器や装置によって、いくつもの選択されたステップを、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、あるいはオペレーティングシステムを用いるそれらの組合せによって実行できる。
【0059】
例えば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実施されることができる。ソフトウェアとして、本発明の実施形態により選択されたタスクは、コンピュータが適切なオペレーティングシステムを使って実行する複数のソフトウェアの命令のようなソフトウェアとして実施されることができる。本発明の例示的な実施形態において、本明細書に記載される方法および/またはシステムの例示的な実施形態による1つ以上のタスクは、データプロセッサ、例えば複数の命令を実行する計算プラットフォームで実行される。任意選択的に、データプロセッサは、命令および/またはデータを格納するための揮発性メモリ、および/または、命令および/またはデータを格納するための不揮発性記憶装置(例えば、磁気ハードディスク、および/または取り外し可能な記録媒体)を含む。任意選択的に、ネットワーク接続もさらに提供される。ディスプレイおよび/またはユーザ入力装置(例えば、キーボードまたはマウス)も、任意選択的にさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0061】
【図1】図1は、本発明の一部の実施形態に係る、凝固特性に基づいて生乳をオンライン分析およびチャネリングするための例示的システムの略図である。
【0062】
【図2】図2は、本発明の一部の実施形態に係る、凝固特性を決定するために生乳のオンライン分析用に実現することのできる光学測定システムの例示図である。
【0063】
【図3】図3は、本発明の一部の実施形態に係る、NIR分光測定システムから検出された強度と生乳の少なくとも1つの凝固性特性との間の関係を決定するための例示的方法を説明する簡易フローチャートである。
【0064】
【図4】図4は、本発明の一部の実施形態に係る、生乳の凝固特性のオンライン分析に使用される蛍光発光測定システムの略図である。
【0065】
【図5】図5は、本発明の一部の実施形態に係る、蛍光測定システムから検出された放射と生乳の少なくとも1つの凝固性特性との間の関係を決定するための例示的方法を説明する簡易フローチャートである。
【0066】
【図6】図6は、本発明の一部の実施形態に係る、凝固特性に基づいて生乳をオンライン分析およびチャネリングするための例示的方法を説明する簡易フローチャートである。
【0067】
【図7】図7は、本発明の一部の実施形態に係る、オンラインNIR分光システムを用いてカード硬さの値を予測するため使用される3つの異なる多項式から得られた試料結果を示すグラフである。
【0068】
【図8A−8B】図8Aは、本発明の一部の実施形態に係るオンライン蛍光システムにより予測された値について、カード硬さの測定値および予測値を比較したときに得られた試料結果を示すグラフである。図8Bは、本発明の一部の実施形態に係るオンライン蛍光システムにより予測された値について、レンネット凝固時間の測定値および予測値を比較したときに得られた試料結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明は、その一部の実施形態では、乳の定量分析の分野に関し、さらに詳しくは、乳の凝固特性の定量分析に関するが、それのみに限定されない。
【0070】
異なる乳牛の間で、かつ個々の乳牛の搾乳セッション中に、乳凝固特性は著しく変動する。乳の凝固パラメータの定量分析は、所望の製品、例えばチーズ製造、飲用乳に対するその適合性に従って、乳を選択することを可能にする。乳の凝固パラメータを測定するための公知の技術により、凝乳の分析に基づいて農場の平均産出量のための凝固特性を決定することができる。乳は、平均産出量のために決定された特性に基づいて異なる給送先に配送することができる。
【0071】
本発明者らは、その凝固特性による乳の分類を改善するために、凝固パラメータのオンラインおよび/または実時間分析を実現することができることを見出した。発明者らは、そのような分析が、個別乳牛の凝固特性に基づいて、かつ/または搾乳セッション中の凝固パラメータの変化に基づいて、異なるタンクへの乳のオンラインチャネリングを容易にすることを見出した。乳を所望の製品に対するその適合性に従って分離する分解能の改善は、牛群の平均乳の経済的価値を向上させ得る。本明細書で使用する場合、凝固パラメータのオンラインおよび/または実時間分析という用語は、例えばミルクライン内の乳流を妨げることなく、決定されたパラメータを保有する乳流の特定の給送先へのチャネリングに影響を及ぼすのに間に合うように分析の結果が得られるように、搾乳セッション中に実行される分析を指す。
【0072】
典型的には、乳の脂肪濃度は搾乳セッション中にほぼ線形的に増加する。脂肪は凝固する固体の間に存在するので、搾乳セッションの進行中に乳の凝固能力も増大することが予想される。しかし、「過搾乳」が発生した場合、例えば搾乳セッションが望ましい期間を超えて延長された場合、空の乳頭の消耗のため、乳の凝固能力は典型的には低下する。
【0073】
さらに、典型的には、その乳の凝固能力を破壊および/または損傷するように働く細菌に感染している可能性がある乳牛が牛群には常に1頭以上存在することが知られている。診断は典型的には牛乳中の体細胞数(SCC)の上昇の検出による。感染牛の早期診断は、牛群の他の乳牛間の細菌の伝播を防止することができる。本発明者らは、凝固パラメータを収集するそばからオンライン分析すると、各搾乳セッション中に感染乳牛を識別することが容易になるので、感染乳牛を即座に治療することができることを見出した。本発明者らは、体細胞は乳頭の底に集中する傾向があるので、感染による、例えば高いSCCによる乳の低い凝固能力は典型的には、搾乳セッションの開始時に検出することができることを見出した。
【0074】
本発明の一部の実施形態の態様は、生乳の凝固特性のオンライン分析のためのシステムを提供する。本発明の一部の実施形態によると、前記システムは、液体試料を受け入れるように動作する少なくとも1つの測定チャンバと、測定チャンバを貫流する流体を照射するように動作する1つ以上のNIR光源と、流動する流体から光の透過吸収、反射、および/または散乱を検出するように動作する1つ以上のNIR光検出器とを含む。本発明の一部の実施形態によると、NIR光源は各々が異なる波長を有する一連のLEDを含む。
【0075】
本発明の他の実施形態によると、システムは、液体試料を受け入れるように動作する少なくとも1つの測定チャンバと、乳試料を励起させるために290nmから430nmの間の事前選択された波長を持つ1つ以上の光源と、蛍光発光スペクトルを記録するための分光計とを含む。
【0076】
本発明の一部の実施形態の態様は、分光法による流体分析に基づいて、生乳の1つ以上の凝固特性をオンライン分析するための方法を提供する。一部の例示的実施形態では、透過、反射、散乱、および/または吸収されたNIR光の測定強度は、既知の凝固特性を有する多数の試験試料から得られた測定強度と比較される。他の実施形態では、蛍光発光スペクトルが、既知の凝固特性を有する多数の試験試料から得られた測定放射と比較される。
【0077】
本発明の一部の実施形態によると、生乳の1つ以上の凝固特性は、測定された放射、透過、反射、散乱、および/または吸収された強度、ならびに経験的係数の関数である多項式の形で表される。本発明の実施形態によると、経験的係数を規定するために、本明細書に記載するシステムおよび方法を用いて、多数の乳牛からかつ搾乳セッションの最中に採取された乳の試料に対して行なわれた吸収および反射の測定からデータが得られる。加えて、乳の各試料の凝固特性は、公知の方法を用いて、独立して決定される。次いで、これらの既知の凝固特性は、本明細書に記載する統計分析法を使用することによって経験的係数を抽出するために使用される。
【0078】
本発明の一部の実施形態によると、経験的係数は、各光源(各々が異なる波長を有する)に対して、かつ検出された光、例えば放射、透過、反射、および/または散乱された光を測定する光検出器の各々に対して決定される。
【0079】
本発明の一部の実施形態によると、経験的係数は、例えば既知の凝固特性を有する多数の試験試料を測定することによって得られる測定強度に対し、部分最小2乗(PLS)回帰、部分成分分析(PCA)、および/または多変量成分分析を実行することによって抽出される。ひとたび抽出されると、係数はそれらに関連付けられる試料の凝固特性と共に、未知の試料の測定に使用するための参照データベースとしてメモリに格納される。本発明の実施形態によると、複数成分化学反応力学の分析に使用されるケモメトリック分析法に類似した方法を使用して、測定値はデータベースの内容と比較される。
【0080】
本発明の一部の実施形態によると、1つ以上の凝固パラメータは、カード硬さ、例えばレンネットCy(60)の添加から1時間後および/またはレンネットCy(90)の添加から90分後の予想カード硬さを含む。一部の例示的実施形態では、比較的高いカード硬さの乳は、乾燥チーズ製造用のタンクにチャネリングされる。本発明の一部の例示的実施形態では、比較的低いカード硬さの乳は、乳が飲用に包装されるタンクにチャネリングされる。
【0081】
本発明の一部の実施形態によると、1つ以上の凝固特性はレンネット凝固時間(RCT)を含む。一部の例示的実施形態では、比較的高速のRCTを持つ乳は、乾燥チーズ製造用のタンクにチャネリングされる一方、比較的低速のRCTを持つ乳は飲用にチャネリングされてもよい。
【0082】
本発明の一部の実施形態の態様は、収集されるそばから行なわれる生乳の1つ以上の凝固パラメータのオンライン分析に基づいて、乳を異なる集乳槽にチャネリングするためのシステムを提供する。本発明の一部の実施形態によると、前記システムは、収集された生乳の試料のオンライン分析を実行するための分析装置と、選択された集乳弁に通じる選択されたミルクラインを介して乳流をチャネリングするための切替弁とを含む。本発明の一部の実施形態によると、切替弁は、個別乳牛の単一搾乳セッション中に1つ以上のミルクラインを介して乳をチャネリングするように動作する。本発明の一部の実施形態によると、前記システムは、分析装置から出力されるデータに基づいて、切替弁の機能を制御するための制御装置を含む。
【0083】
ここで、図1を参照する。図1は、本発明の一部の実施形態に係る、生乳のオンライン凝固分析および検出された凝固特性に基づくチャネリングのための例示的システムを示す。本発明の一部の実施形態によると、乳分析およびチャネリングシステム100は搾乳室に配置され、搾乳セッション中に個別乳牛からポンプで送り出された乳を分析およびチャネリングするために実現される。本発明の一部の実施形態によると、乳牛112からポンプで送り出される乳は、乳量計122、生乳凝固分析装置124、および1つ以上のミルクライン130を介して集乳槽132、例えば集乳槽132A、132Bに乳をチャネリングする切替弁128を貫流する。本発明の一部の実施形態によると、凝固特性のオンライン分析は分析装置124によって実行され、分析装置124から得られた値および/または信号は制御装置システム114に伝送される。典型的には、制御装置システム114は得られたデータに基づいて切替弁128の機能を制御し、それによって1つ以上の測定パラメータに基づいて乳流の異なるミルクライン130へのチャネリングを制御する。
【0084】
本発明の一部の実施形態によると、制御装置システム114と任意の乳量計122、凝固分析装置124、および切替弁128との間の通信は、それぞれ接続ライン120、118、および116であってよい。任意選択的に、乳量計122、凝固分析装置124、および切替弁128は、接続ライン120、118、および116を介して電源もまた供給される。任意選択的に、通信および/または電力供給は無線通信、例えばブルートゥース通信によって達成される。任意選択的に、制御装置システム114、乳量計122、凝固分析装置124、および切替弁128のうちの1つ以上が単一のユニットに統合される。
【0085】
本発明の一部の実施形態によると、凝固分析装置124はNIR分光分析装置である。一部の例示的実施形態では、凝固分析装置は、援用する国際特許公開第WO03/040704号に記載されたNIR分光法による乳分析装置と同様であってよい。本発明の他の実施形態によると、凝固分析装置124は、乳試料の蛍光発光スペクトルの検出に基づく蛍光分析装置である。1つの例示的実施形態では、分析装置124は、2つ以上の分析装置、例えばNIR分光分析装置および蛍光分析装置を含む。
【0086】
本発明の一部の実施形態によると、凝固分析装置124は、凝固に関連する1つ以上のパラメータ、例えばRCT、Cy(60)、および/またはCy(90)を検出、感知、および/または測定するように実現される。一部の例示的実施形態では、凝固分析装置124はまた、乳の他の特性、例えば援用する国際特許公開第WO03/040704号に記載された乳の成分要素のレベルを決定するように実現される。
【0087】
本発明の一部の実施形態によると、制御装置システム114はメモリ1140、処理装置1145、および制御装置1149を含む。任意選択的に、制御システム114は、処理およびメモリ機能の少なくとも一部分がコンピューティングシステムによってもたらされるように、コンピューティングシステムと通信する。本発明の一部の実施形態によると、分析装置124および/または乳量計から得られた信号、データ、および/または値は、少なくとも部分的に制御システム114によって処理されてもよい。任意選択的に、データの処理は分析装置124および/または乳量計122によって実行される。本発明の一部の実施形態によると、メモリ1140は、乳が貫流するミルクラインの選択の基礎になる1つ以上の閾値を格納するように実現される。本発明の一部の実施形態によると、メモリ1140は、生乳の凝固特性を分析装置124から得られたデータの関数として表す1つ以上の多項式を規定する複数の係数を格納するように実現される。本発明の一部の実施形態によると、分析装置124は、1つ以上の多項式係数および/または閾値を格納および/または決定する処理および/またはメモリ能力を含む。
【0088】
本発明の一部の実施形態によると、制御システム114は、乳分析およびチャネリングシステム100とのユーザインタフェースのためのディスプレイおよびユーザ入力ユニットを有する端末1150を備える。一部の例示的実施形態では、ユーザは、制御システム114とのインタフェースを介して、切替弁128が乳をチャネリングさせることのできる作動ミルクライン130の数、ならびに/または乳が方向付けられるべき特定のチャネルおよび/もしくは槽を選択および/または調整することができる。一部の例示的実施形態では、ユーザは、制御システム114とのユーザインタフェースを介して、ポンプで送り出される乳の給送先を決定するために使用される1つ以上のパラメータ値を選択および/または調整することができる。他のパラメータは、ユーザが制御システム114のユーザ・インタフェース・ユニットを介して、例えば搾乳セッション中に、分析装置124の試料採取率を選択および/または調整することができる。本発明の実施形態によると、制御システム114は、例えばユーザ・インタフェース・ユニットを介して、乳牛チェックイン情報を受け取るように実現される。乳牛チェックイン情報は、乳牛の識別、1日当たりの搾乳セッション数、乳牛の栄養情報、乳牛の健康状態等を含むことができる。本発明の一部の実施形態によると、制御システム114は、搾乳セッションおよび測定パラメータに関する情報を報告するように実現される。一般的に、乳の分流および/またはチャネリングは自動的に実行される。本発明の一部の実施形態によると、制御システム114は入力/出力(I/O)装置によって置換され、かつ/または中央制御システムに統合される。
【0089】
本発明の実施形態によると、切替弁は、原料、流量、および自浄能力に関して、酪農産業に適用可能ないずれかの公知の切替弁および/または分流弁とすることができる。一部の例示的実施形態では、搾乳ラインの平均流量は乳で約5リットル/分、および空気で10リットル/分であり、乳流量の略最大値は15リットル/分である。
【0090】
図1で乳量計122は分析装置124の上流に示されているが、分析装置124は乳量計122の上流に配置してもよく、かつ/または乳量計122と一体化されてもよい。個別乳牛出力の乳チャネリングのためのシステムを記載したが、それは多数の乳牛からの共通ミルクラインにも同様に適用することができる。
【0091】
ここで、図2を参照する。図2は、本発明の一部の実施形態に係る、凝固特性を決定するために生乳のオンライン分析用に実現することのできる光学測定システムの例示図を示す。本発明の一部の実施形態によると、図2に示された光学分析システムは、援用する国際特許公開第WO03040704号に記載された光学分析システムに類似するが、凝固関連パラメータを計算するのに適したコンピューティングおよび制御システム232を含む。
【0092】
本発明の実施形態によると、分析装置124は、搾乳ステーション212と集乳ポイント214との間の流通導管、パイプ、および/またはチューブ210に沿って組み込まれる。本発明の一部の実施形態によると、分析装置124は、チューブ210からの乳を試料キャビティ218に収集しかつ分析する試料採取チャンバ216を含む。一部の例示的実施形態では、試料採取チャンバ216は、好ましくは乳の主流通導管に隣接しかつ流動する乳の絶えず変化する試料で満たされるように略下向きに位置付けられた、陥凹キャビティ218を含む。これは、脈動および乱流が測定の精度に有意の影響を及ぼすことなく、脈動乳流に光透過測定を実行することを可能にする。
【0093】
本発明の一部の実施形態によると、光透過測定は、各々が測定に使用される範囲内の異なる波長で発光する複数のディスクリートLED発光体221を組み込んだ、LEDアレイ220を用いて実行される。例示的実施形態によると、LED221の波長の範囲は、スペクトルの可視光ないしNIR領域をカバーする365nmから950nmの間である。任意選択的に、各LED221から出力される光は光ファイバ222を用いて、全てのファイバ222が束ねられて小型の光源を形成するローゼット223に伝送され、それは照射された単数または複数のLEDまたはLED221の波長を放射する。一部の例示的実施形態では、検出器224はローゼット223の中心に位置付けられ、LEDアレイ220からの反射光および/または後方散乱光を検出する。
【0094】
本発明の一部の実施形態によると、光源ローゼット223から伝送された光は入口ポートを介して入射し、試料キャビティ218を通過し、1つ以上の出口ポート231を介して出射し、任意選択的に、出口ポート231に隣接して配置されたシリコン光検出器227によって検出される。一部の例示的実施形態では、ビーム強度に対応する検出された信号228は、信号増幅および処理システム230に入力される。検出システムからの出力強度はコンピューティングおよび制御システム232に送ることができ、得られたスペクトルはそこで本明細書に記載の方法によって分析される。一部の例示的実施形態では、コンピューティングおよび制御システム232は、使用される場合、変調周波数をもたらすLED光源221に制御情報235を送り、それは制御ライン236によって信号増幅および処理システム230内の位相敏感検波器にも入力される。コンピューティングおよび制御システム232は、測定すべきスペクトル範囲全体をスキャンするためのLED光源221の切替順序およびタイミングを制御するように実現することもできる。
【0095】
例示的実施形態によると、各LED221は数ミリ秒間点灯され、その波長で吸収および/または散乱測定が実行される。測定をより迅速に実行するために、検出器227における透過吸光度信号および検出器224における後方散乱信号を同時に測定することができる。一部の実施形態によると、略90度に散乱した光を測定するためにトラバース検出器229が使用され(またはレーザビーム方向に対して0から180度の間のいずれか他の角度に配置されてその方向の散乱を測定し)、その信号も検出器224および227における信号と同時に測定される。
【0096】
典型的には、搾乳中のチャンバ216内の乳流のパルスレートは最大でも、2秒に1回のミルクパルスより一般的に低い。この繰返し率は一般的に測定スキャンレートよりかなり遅いので、吸光度/散乱測定を試料キャビティ218内に収集された各乳試料に対し数回繰り返し、次いで試料毎に平均することができ、それによって測定のばらつきレベルが低減され、濃度の計算精度が向上する。
【0097】
ここで、図3を参照する。図3は、本発明の一部の実施形態に係る、NIR分光測定システムから検出された強度と生乳の少なくとも1つの凝固性特性との間の関係を決定するための例示的方法を説明する簡易フローチャートを示す。本発明の一部の実施形態によると、生乳試料が多数の乳牛および搾乳セッション中の様々な時点から収集される(ブロック310)。本発明の一部の実施形態によると、NIR分光法は、本書に記載する方法および/または援用する国際特許公開WO03040704に記載された方法に従う(ブロック320)。NIR分光法からの1つ以上の検出強度、例えば反射強度、透過強度、後方散乱強度が検出される(ブロック330)。一部の例示的実施形態では、凝固剤、例えばレンネットが、収集された試料の各々に添加される(ブロック340)。1つ以上の凝固性特性を決定するための1つ以上の公知の方法を決定することができる(ブロック350)。1つの例では、optigraphを用いてカード硬さパラメータが決定される。例えば90分後のカード硬さCy(90)が決定される。1つの例では、公知の方法を用いてパラメータRCTが決定される。2つ以上のパラメータを決定することができ、各々のパラメータを決定するために2つ以上の公知の方法を実現することができる。
【0098】
本発明の一部の実施形態によると、生乳の凝固特性は、流体を透過する光ビームの強度および流体から反射および/または散乱したビームの強度を、検出された強度および1つ以上の経験的係数による規定の凝固パラメータのための多項式に当てはめることによって定義される(ブロック360)。本発明の実施形態によると、経験的係数は、既知の凝固パラメータを有する流体の複数の試料から得られた透過、反射、および/または散乱強度の統計分析によって決定される。ひとたび決定されると、経験的係数は好ましくはデータベース(ブロック370)に格納され、将来の生乳の試料の凝固パラメータを実時間で決定するために使用することができる。
【0099】
本発明の一部の実施形態によると、多項式は、各LED測定に対し測定された透過、反射、および/または散乱光強度の項により定義される。一部の実施形態では、各強度項に経験的係数が付き、多項式は次の形になる。

式中:
j=1〜10であり、NIRおよび可視光スペクトルにおける10個のディスクリート光源を表す。
tj=透過率光検出器で検出される光源jからの光の強度である。
rj=反射率光検出器で検出される光源jからの光の強度である。
CP=凝固パラメータ、例えばCy(90)、RCT、Cy(60)である。
axtj、bxtj、cxtj、...axrj、bxrj、cxrj=検出された光の強度を凝固特性CPに関連付ける経験的係数である。
【0100】
1つの実施形態によると、3次多項式が使用され、cxtjおよびcxrjまでの係数だけが使用される。
【0101】
典型的には、経験的係数の値は、試料の大量収集に対しPLS回帰、PCA、および/または多変量成分分析を実行するなど、統計分析法を使用することによって、最初に実験的に決定することが好ましく、カード硬さおよび/またはレンネット凝固時間は標準検出法を通して分かる。充分に幅広いデータベースを提供するために、試料は典型的には数百頭の様々な乳牛から得られる。
【0102】
ひとたびこれらの係数が分かると、係数はそれらが関連付けられる試料の凝固パラメータ値と共に、未知の試料の測定に使用するために、参照データベースとしてコンピューティングシステムのメモリに格納される。本発明の1つの実施形態では、乳の未知の試料からの凝固パラメータの抽出は、さらなる統計分析法によって、測定強度を複数成分化学反応力学の分析に使用されるケモメトリック分析法から分かるようなデータベースの内容と比較して、実行される。本発明の1つの実施形態によると、分析装置は16個のLED光源221を使用するので、16個のLED221の各々から1つずつ透過測定から16個、および16個のLED221の各々から1つずつ反射率または後方散乱測定から16個、乳の未知の各試料から32個の測定信号が得られる。各々がそれらの既知の波長範囲にあるこれらの32個の測定信号は次いで、統計分析ケモメトリック型方法によって、種々の乳凝固特性に関係付けられる格納されたスペクトル曲線の大量データベースに関係付けられる。この較正および分析の方法はこうして、一部の先行技術の光学的流体分析装置で使用されるレーザのようなよりディスクリートな単色光源ではなく、不均一な広いスペクトル範囲を持つ安価なLED221を光源として使用することを可能にする。
【0103】
本発明の一部の実施形態によると、多項式法以外の他の数学的および/または統計的方法を使用して、行なわれた測定と生乳試料の凝固特性との間の関係が決定される。本発明の1つの実施形態では、多変量分析が実行される。別の実施形態では、PLS回帰が実現される。さらに別の実施形態では、PCAが使用される。任意選択的に、例えばニューラルネットワーク方式、遺伝的アルゴリズム、非線形PCA、多重線形回帰(MLR)、およびクラスタ分析をはじめとする他の方法が実現される。精度、安定性、および実現に要する処理能力および/または時間に基づいて、1つ以上のアルゴリズムを選択することができる。
【0104】
一部の実施形態によると、2つ以上の分析方法が使用され、結果が比較される。本発明の一部の実施形態によると、乳の異なる特性を予測するために、異なるアルゴリズムおよび/または分析方法を実現することができる。
【0105】
本発明の実施形態について16個のLEDを用いて説明したが、本書に記載するシステムおよび方法は16個のLEDの使用に限定されず、16個より多数または少数のLEDを用いて実現することができる。さらに、本書に記載するシステムおよび方法は、本書に記載するLEDの波長を持つLEDの使用に限定されない。さらに、規定の多項式に32個より多数または少数の測定信号を使用することができる。例えば48個の測定信号を、例えば透過測定から16個、反射率測定から16個、および後方散乱測定から16個を使用することができる。
【0106】
検出された乳成分の全てに対するこれらの濃度分析の結果は印刷するか、あるいは出力ユニット234に表示し、かつ分析のために牛群管理システムに転送することができる。本発明の一部の実施形態によると、出力ユニット234は制御システム114と一体である。
【0107】
ここで、図4を参照する。図4は、本発明の一部の実施形態に係る、生乳の凝固特性のオンライン分析に使用される蛍光発光測定システムの略図を示す。本発明の一部の実施形態によると、1つ以上のディスクリート光源412は、光導体414を介して試料採取チャンバ416内の乳試料を連続的に照射して励起させる。本発明の一部の実施形態によると、光源412は290nmから430nmの間の事前選択された波長を照射する。一部の例示的実施形態では、試料採取チャンバ416は試料採取チャンバ218と同様とすることができる。本発明の一部の実施形態によると、90度に出射した蛍光は、光導体418を介して収集され、格子および/または分光計424は発光スペクトルを記録する。本発明の一部の実施形態によると、スペクトルデータ、例えばスペクトルデータ420は、コンピューティングユニット422を用いて凝固特性を計算するために使用される。本発明の一部の実施形態によると、コンピューティングユニット422の機能性は、制御システム114および/または分析装置124に埋め込むことができる。
【0108】
典型的には、乳にはトリプトファンおよび他の芳香族アミノ酸、ビタミンA、FAD、FADH、NaDH、キサンチンオキシダーゼ等のような多くの蛍光発光物質が存在する。各照射波長の蛍光スペクトルは、特定の生乳試料の成分および特性によって影響される。本願発明者らは、これらの蛍光スペクトルを使用して生乳の凝固特性のみならず、脂肪、タンパク質、カゼイン、および体細胞数のような他の乳成分をも決定することができることを見出した。
【0109】
ここで、図5を参照する。図5は、本発明の一部の実施形態に係る、蛍光測定システムから検出された強度と生乳の少なくとも1つの凝固性特性との間の関係を決定するための例示的方法を説明する簡易フローチャートを示す。本発明の実施形態によると、生乳試料は多数の乳牛および搾乳セッション中の様々な時点から収集される(ブロック510)。本発明の一部の実施形態によると、蛍光発光は、収集された様々な試料の蛍光発光を決定するために実行される(ブロック520)。検出された試料からの蛍光発光は格納される(ブロック530)。一部の例示的実施形態では、凝固剤、例えばレンネットが、収集された試料の各々に添加される(ブロック540)。1つ以上の凝固性特性を決定するための1つ以上の公知の方法を決定することができる(ブロック550)。1つの例では、optigraphを用いてカード硬さパラメータが決定される。例えば90分後のカード硬さCy(90)が決定される。1つの例では、公知の方法を用いてパラメータRCTが決定される。2つ以上のパラメータを決定することができ、各々のパラメータを決定するために2つ以上の公知の方法を実現することができる。
【0110】
本発明の一部の実施形態によると、生乳の凝固特性は、光源の各々から検出された蛍光発光を、検出された蛍光発光および1つ以上の経験的係数による規定の凝固パラメータのための多項式に当てはめることによって定義される(ブロック560)。本発明の実施形態によると、経験的係数は、各々の光源412によって、かつ既知の凝固パラメータを有する流体の複数の試料からの蛍光発光の統計分析によって決定される。ひとたび決定されると、経験的係数は好ましくはデータベースに格納され(ブロック570)、生乳の将来の試料の凝固パラメータを実時間で決定するために使用することができる。本発明の実施形態によると、多項式の構築のために実行される統計分析は、NIR分光分析に関連して記載したものと同様とすることができる。本発明の一部の実施形態によると、多変量分析、PLS回帰、および/またはPCAを使用して、乳試料のNIR分光分析から乳の凝固特性が決定される。
【0111】
ここで、図6を参照する。図6は、本発明の一部の実施形態に係る、凝固特性に基づいて生乳をオンライン分析およびチャネリングするための例示的方法を説明する簡易フローチャートを示す。本発明の一部の実施形態によると、生乳の凝固特性に基づいてそのオンライン分析およびチャネリングを実行するために、図2および4に関連して記載したような光学分析システムを実現することができる。本発明の一部の実施形態によると、搾乳セッション中に、生乳試料は試料採取チャンバにチャネリングされる(ブロック610)。NIRおよび/または蛍光スペクトルにおけるスペクトル分析が実行される(ブロック620)。強度および/または放射が検出される(ブロック630)。複数の予め定められた経験的係数を含む所定の多項式に基づいて、1つ以上の凝固性特性が決定される。乳試料は主ミルクラインに流し込まれ、かつ/または新しい上流試料に置き換えられ(ブロック650)、切替弁の方向は、現在の乳流を選択された給送先、例えばミルクラインおよび/または乳槽にチャネリングするように設定される(ブロック660)。凝固特性のデータのみならず他のデータも任意選択的に格納される(ブロック670)。
【0112】
1つの例示的実施形態では、予測される凝固パラメータはCy(90)であり、この予測に基づいて乳流は3つの別々のラインを介して分配される。例えばCy(90)<4の場合、ラインを通して、かつ/または飲料に使用される槽内にチャネリングされ、4>Cy(90)<10の場合、ソフトチーズ、例えばカテッジチーズおよびヨーグルト用にチャネリングされ、Cy(90)>10の場合、乾燥チーズ、例えばチェダーチーズ、ファルマジャーノ(farmagiano)用にチャネリングされる。
【0113】
典型的には、搾乳セッション中の乳の脂肪濃度の増加のため、Cy(90)は搾乳セッション中に増加する。本発明の一部の例示的実施形態では、個別乳牛の凝固特性に応じて、搾乳セッション中に排出される乳の最初の部分は、ラインを通して、かつ/または飲料に使用される槽内にチャネリングされ、搾乳セッション中に排出される乳の中間部分は、ラインを通して、かつ/またはソフトチーズに使用される槽内にチャネリングされ、搾乳セッション中の乳の最後の部分は、ラインを通して、かつ/またはハードチーズに使用される槽内にチャネリングされる。様々な製品に使用される搾乳セッションの部分は、乳のオンライン予測された凝固特性、例えばCy(90)の予測に依存する。1つの例示的実施形態では、比較的高い凝固能力を持つ乳を生産する乳牛からの乳は、チーズ製造のみに使用される一方、比較的低い凝固能力を持つ乳を生産する乳牛からの乳は、飲料および/またはソフトチーズ製造のみに使用される。本発明の一部の実施形態によると、例えばCy(90)のオンライン予測に基づいて検出されたSCC数の高い乳牛からの乳は、別のラインおよび/または槽にチャネリングされる。
【0114】
本発明の一部の実施形態によると、1つ以上の検出される凝固特性の値の低下の検出は、搾乳セッションを停止するための指標として使用される。本発明の一部の実施形態によると、搾乳セッションの停止は、搾乳セッション中に1つ以上の記録されたパラメータの分析に基づいて自動的に実行される。
【0115】
ここで、図7を参照する。図7は、本発明の一部の実施形態に係る、オンラインNIR分光システムを用いてカード硬さの値を予測するため使用された3つの異なる多項式から得られた試料結果のグラフを示す。測定された凝固特性は90分後のカード硬さCy(90)である。X軸はoptigraphによって測定された結果を表し、Y軸は、とりわけ図2〜3に関連して説明したNIR分光システムによって1日にわたって測定された結果に基づく、Cy(90)の予測値を表す。図7の各線は、1日にわたって得られた1組のデータから作成され、他の2日間にわたって得られた、予測凝固パラメータに適用されたモデルの結果を表す。例えば、直線710は、1日目に収集された試料から規定された多項式に基づいて、2日目および3日目に収集された試料からのCy(90)の測定値および予測値を示す。同様に、直線720は、2日目に収集された試料から規定された多項式に基づいて、1日目および3日目に収集された試料からのCy(90)の測定値および予測値を示す。直線730は、3日目に収集された試料から規定された多項式に基づいて、1日目および2日目に収集された試料からのCy(90)の測定値および予測値を示す。本発明の一部の実施形態によると、実質的に全ての線、例えば3つの線710、720、および730が実質的に重なる場合、かつ/または異なるモデル間の標準偏差が単一モデルの異なる試料間の標準偏差より低い場合、安定なモデルが定義される。本発明の一部の実施形態によると、安定なモデルが決定されるまで、モデルを定義するために使用される試料、例えば乳牛の数が増加される。一部の例示的実施形態では、典型的には500頭以上の乳牛から得られる、Cy(90)パラメータを予測するための統計モデルを定義するために、約500〜2000回の搾乳セッション、例えば1000回の搾乳セッションが使用される。
【0116】
ここで、図8Aおよび8Bを参照する。図8Aおよび8Bは、本発明の一部の実施形態に係るオンライン蛍光システムにより予測された値について、カード硬さおよびレンネット凝固時間の測定値および予測値を比較したときに得られた試料結果を示す。図8Aにおいて、測定された特性は90分後のカード硬さCy(90)であり、図8Bにおいて、測定された特性はRCTである。X軸はoptigraphによって測定された結果を表し、Y軸は、とりわけ図4〜5に関連して記載したトリプトファン(290nmで励起)スペクトルモデルの蛍光発光によって予測された結果を表す。
【0117】
本発明の実施形態について、スペクトル分析を実行して乳の凝固特性をオンラインで予測することに基づいて説明したが、超音波、電気伝導度、およびケモセンサをはじめとする他の測定技術も同等に適用することができる。
【0118】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0119】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0120】
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
【0121】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測される凝固特性に基づく乳のオンラインチャネリングのための方法であって、
搾乳ステーションと集乳ポイントとの間のミルクラインから生乳を試料採取するステップと、
生乳試料に対し光透過、光反射、散乱、および蛍光発光のうちの1つ以上のスペクトル分析を実行するステップと、
該スペクトル分析に基づいて少なくとも1つの凝固パラメータをオンラインで予測するステップと、
少なくとも1つの凝固パラメータに基づいて搾乳ステーションからオンラインで複数の給送先の1つに乳をチャネリングするステップと
を含む方法。
【請求項2】
スペクトル分析はNIR分光法により実現される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スペクトル分析は可視光分光法により実現される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
スペクトル分析は、各々が測定に使用される範囲内の異なる波長で生乳試料を照射するように構成された、複数のLEDを用いて実行される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
範囲は365nmから950nmの間である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
スペクトル分析は、生乳試料を透過した光を検出するために1つ以上の検出器を用いて実行される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
スペクトル分析は、生乳試料から反射した光を検出するために1つ以上の検出器を用いて実行される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
スペクトル分析は、生乳試料からの光散乱を検出するために1つ以上の検出器を用いて実行される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
スペクトル分析は蛍光分光法により実現される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
スペクトル分析は、290nmから430nmの間の事前選択された波長を有する複数の光源を用いて実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
実質的に90度に散乱した光を検出することを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
予測は事前に格納された経験的データに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
既知の凝固特性を有する様々な乳牛および搾乳セッション中の様々な期間からの多数の試験試料の統計分析から得た経験的係数を含む所定の多項式に基づいて、生乳試料の凝固特性を決定するステップを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
既知の凝固特性は、試験試料にレンネットを添加した後の試験試料の各々の光学的測定から決定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
試料採取は脈動乳流に対して実行される、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
スペクトル分析は各試料に対し複数回実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
凝固パラメータはCy(90)、Cy(60)、およびRCTを含む群から選択される、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
生乳試料の分析は、乳への凝固剤の添加を含まない、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
チャネリングは自動的に、人間の介在無く実行される、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
チャネリングは個々の乳牛の搾乳ステーションに対して実行される、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
生乳の予測される凝固特性に従って乳をオンラインチャネリングするためのシステムであって、
搾乳ステーションと集乳ポイントとの間に乳流をもたらすように構成されたミルクラインと、
ミルクラインからの脈動乳試料を受け取るように構成された試料採取チャンバと、
ミルクライン中を流れる生乳の試料の少なくとも1つの光学特性を決定するように構成された分析装置と、
乳の光学データに基づいて乳の凝固特性を推定するように動作する処理装置と、
処理装置から推定値を受け取りかつ推定された凝固特性に応答する給送先に流動ライン内のミルクをチャネリングする制御装置と
を含むシステム。
【請求項22】
分析装置はNIR分光分析装置である、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
分析装置は可視光分光分析装置を含む、請求項21又は22に記載のシステム。
【請求項24】
分析装置は蛍光分光分析装置である、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
規定の多項式関数に基づいて分析装置からの出力を試料の少なくとも1つの凝固特性に関連付ける経験的係数を格納するためのメモリユニットを含む、請求項21〜24のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
経験的係数は、既知の凝固特性を有する様々な乳牛および搾乳セッション中の様々な期間からの多数の試験試料の統計分析から得られる、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
凝固特性はCy(90)、Cy(60)、およびRCTを含む群から選択されるパラメータから決定される、請求項21〜26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
制御装置は、規定閾値より低いカード硬さを有すると決定された乳を飲料用にチャネリングし、かつ規定閾値より高いカード硬さを有すると決定された乳をチーズ製造用にチャネリングするように構成される、請求項21〜27のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
制御装置は、乳の各脈動試料の分解能で乳をチャネリングするように構成される、請求項21〜28のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
制御装置は、2秒毎に約1回の分解能で乳をチャネリングするように構成される、請求項21〜29のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
分析装置は、生乳の試料に凝固剤を添加することなく分析を実行するように構成される、請求項21〜30のいずれかに記載のシステム。
【請求項32】
生乳の凝固特性を予測するための方法であって、
凝固剤を添加することなく生乳試料に対して光透過、光反射、散乱、および蛍光発光のうちの1つ以上のスペクトル分析を実行するステップと、
スペクトル分析に基づいて少なくとも1つの凝固パラメータを予測するステップと
を含む方法。
【請求項33】
スペクトル分析はNIR分光法により実現される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
スペクトル分析は可視光分光法により実現される、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
スペクトル分析は蛍光分光法により実現される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
予測は事前に格納された経験的データに基づく、請求項32〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
予測は、既知の凝固特性を有する様々な乳牛および搾乳セッション中の様々な期間からの多数の試験試料の統計分析から得た経験的係数を含む所定の多項式に基づく、請求項32〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
既知の凝固特性は、試験試料にレンネットを添加した後の試験試料の各々の光学的測定から決定される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
スペクトル分析は各試料に対し複数回実行される、請求項32〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
凝固パラメータはCy(90)、Cy(60)、およびRCTを含む群から選択される、請求項32〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
乳の少なくとも1つの凝固特性をオンライン分析するためのシステムであって、
ミルクラインからオンラインで脈動乳試料を受け取るように構成された試料採取チャンバと、
試料採取チャンバで乳試料の少なくとも1つの特性を決定するように構成された分析装置と、
少なくとも1つの特性および少なくとも1つの特性を乳の凝固特性に関連付ける事前に格納された経験的データに基づいて乳試料の凝固特性をオンラインで推定するように動作する処理装置と
を含むシステム。
【請求項42】
分析装置は、生乳の試料に凝固剤を添加することなく分析を実行するように構成される、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
分析装置は、乳試料の少なくとも1つの光学特性を決定するように構成される、請求項41又は42に記載のシステム。
【請求項44】
凝固特性は、Cy(90)、Cy(60)、およびRCTを含む群から選択されたパラメータによって決定される、請求項41〜43のいずれかに記載のシステム。
【請求項45】
規定の多項式関数に基づいて分析装置からの出力を乳試料の少なくとも1つの凝固特性に関連付ける経験的係数を格納するためのメモリユニットを含む、請求項41〜44のいずれかに記載のシステム。
【請求項46】
経験的係数は、既知の凝固特性を有する様々な乳牛および搾乳セッション中の様々な期間からの多数の乳試料の統計分析から得られる、請求項45に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A−8B】
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【公表番号】特表2011−516879(P2011−516879A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503545(P2011−503545)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000324
【国際公開番号】WO2009/125386
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510270971)エス.エー.イー. アフィキム ミルキング システムズ アグリカルチュラル コーポラティヴ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】