説明

乳化型化粧料

【課題】良好な使用性を有し、高いUVA防御効果を有する乳化型化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】乳化剤形の化粧料の油相中に、(a)表面処理されていても良い微粒子金属酸化物、(b)UV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤、水相中に(c)表面処理されていても良い微粒子金属酸化物を含有することを特徴とする乳化型化粧料であり、(a)及び(c)の微粒子金属酸化物が、微粒子二酸化チタン及び/又は微粒子酸化亜鉛であり、(b)UVA領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤がジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び/又はt−ブチルメトキシベンゾイルメタンであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化型化粧料に関し、さらに詳細には良好な使用性を有し、特にA領域の紫外線に対する防御能が高い乳化型化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧料に求められる重要な機能として、紫外線に対する防御能が挙げられる。地球上には320nm〜400nmの紫外線A波(UVA)及び290nm〜320nmの紫外線B波(UVB)が到達しており、それぞれの皮膚に対する作用が異なっていることから、これら二つの領域の紫外線に対する防御能が求められている。
【0003】
UVAはUVBに比し長波長であるため、表皮を通過し皮膚深部の真皮に到達すると考えられている。そのため、UVBの暴露が短時間で皮膚が赤くなる日やけを主に引き起こすのに対し、UVAでは真皮においてコラーゲン線維やエラスチン線維を変性させ皮膚の老化を促進するいわゆる光老化が問題となっている。
【0004】
一方、紫外線防御を目的として、現在ではファンデーション、化粧水、乳液、クリーム等の様々な化粧料において紫外線防御機能が付与されており、UVB防御能をSPF、UVA防御能をPAとして表されている。さらに、より高い紫外線防御能が付与されている紫外線防御化粧料としては、伸びやもちの観点から乳化剤形が好まれている。かかる乳化剤形には、油中水乳化剤形や水中油乳化剤形などが挙げられる。
【0005】
紫外線防御化粧料は、その機能から、UVB及びUVAを遮断し、高いSPFとPAを得ることを目的として紫外線吸収剤や紫外線散乱剤(二酸化チタン、酸化亜鉛など)が配合されている。
【0006】
しかしながら、UVBやUVAを吸収する紫外線吸収剤は古くから用いられているが、これら紫外線吸収剤の多くは高粘の油剤であり、高い紫外線防御効果を得るために化粧料へ高濃度で配合すると著しく使用性が低下するという課題を有していた。
【0007】
これらの課題を解決するために、100nm以下の平均粒子径を有する微粒子二酸化チタンや微粒子酸化亜鉛などのいわゆる微粒子金属酸化物が使用されてきた。紫外線散乱剤は油相あるいは水相に配合しうるが、水相に配合した場合には、分散が均一にならないという課題が存する場合があった。この点に関しては、分散性を向上するために、微粒子金属酸化物に種々の表面処理を実施する技術などが提案されている(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。より高い紫外線防御効果を発揮させるために、単にこれら微粒子金属酸化物の配合料を増やすことも考えられるが、このことによりきしみや白うきが生じる場合が存し、このような方法により紫外線防御効果を高めることには限界があった。
【0008】
これら微粒子金属酸化物の紫外線散乱効果を効率的に発揮させるため、油相及び水相の内外相へ微粒子金属酸化物を配合する試みも提案されており、油相あるいは水相のいずれか一相に微粒子金属酸化物を配合するよりも高い紫外線防御効果が得られることが示されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、本技術で効率的に紫外線防御効果が得られるものの、さらなる紫外線防御効果を得るためにはいまだ不十分であった。
【0009】
以上のように、紫外線防御化粧料には、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤が活用されているが、より高い効果を得るためにこれらを高配合することは、使用性を著しく低下させる場合が存し、油相及び水相に微粒子金属酸化物を配合した場合でも、効率良く紫外線防御能が得られるものの、効果としては十分とはいえない場合が存した。さらに、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の併用もなされているが、紫外線吸収剤と、紫外線散乱剤を油相及び水相の内外相に配合することは全く知られていなかったし、さらにこのような技術により、良好な使用性を有し、顕著な紫外線防御効果を有する乳化型化粧料を作製しうることも全く知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−301828号公報
【特許文献2】特開2001−58934号公報
【特許文献3】特開2009−191033号公報
【特許文献4】特開2011−93826号公報
【特許文献5】特開2010−150164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、良好な使用性を有し、高いUVA防御効果を有する乳化型化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような状況に鑑み、本発明者は良好な使用性を有し、高いUVA防御効果を有する乳化型化粧料を求めて鋭意研究した結果、乳化剤形の化粧料の油相及び水相に紫外線散乱剤である微粒子金属酸化物を配合し、さらに紫外線吸収剤を配合した化粧料が課題を解決しうることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下に示す通りである。
(1)油相中に以下の(a)、(b)、水相中に(c)を含有することを特徴とする乳化型化粧料
(a)表面処理されていても良い微粒子金属酸化物
(b)UVA領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
(c)表面処理されていても良い微粒子金属酸化物
(2)前記(a)及び(c)の微粒子金属酸化物が、微粒子二酸化チタン及び/又は微粒子酸化亜鉛であることを特徴とする(1)に記載の乳化型化粧料。
(3)前記(b)のUVA領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤がジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び/又はt−ブチルメトキシベンゾイルメタンであることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載の乳化型化粧料
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の乳化型化粧料であることを特徴とする紫外線防御化粧料
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、良好な使用性を有し、高いUVA防御効果を有する乳化型化粧料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(1)本発明に関わる金属酸化物
本発明に関わる微粒子金属酸化物とは、平均一次粒子径が10〜80nmの範囲にあるものを指す。より詳細には、微粒子二酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化ジルコニウム、微粒子酸化セリウム等が好適に例示できる。これらの微粒子金属酸化物は、その表面が、シリカ、アルミナ等の無機化合物、あるいは脂肪酸金属石鹸、シリコーン等の有機化合物により被覆されていても良い。これら微粒子金属酸化物の中で、紫外線散乱効果に優れることから、微粒子二酸化チタン、微粒子酸化亜鉛が特に好ましい。
【0015】
本発明に関わる微粒子金属酸化物は、該当する金属の塩を気相中で熱分解する等の常法により作製することが可能であるが、多くの市販品も存し、市販品をそのまま用いることもできる。このような微粒子二酸化チタンとしては、「MTY−110M3S」、「MTY−02」、「MT−100TV」、「MT−500HSA」、「MT−100T」、「MT−01」、「MT−10EX」、「MT−05」、「MT−100Z」、「MT−150EX」、「MT−100AQ」、「MT−100WP」、「MT−100SA」、「MT−500B」、「MT−500SA」、「MT−600B」、「MT−500SAS」(以上、テイカ(株)製)、「タイペークCR−50」、「タイペークTTO−M−1」、「タイペークTTO−V4」(以上、石原産業(株)製)、「ST−455」、「STT−65C−S」、「STT−30EHS」(以上、チタン工業(株)製)、「バイエルチタンR−KB−1」(バイエル社製)などが挙げられる。
また、微粒子酸化亜鉛としては、「MZ−300」、「MZY−303S」、「MZ−306X」、「MZ−500」、「MZY−505S」、「MZ−506X」、「MZY−510M3S」、「MZ−510HPSX」、「WSX−MZ−700」(以上、テイカ(株)製)、「SANT−UFZO−450」、「SANT−UFZO−500」(以上、三好化成(株)製)、「FZO−50」(石原産業(株)製)、「マックスライトZS−032」、「マックスライトZS−032D」(以上、昭和電工(株)製)等が挙げられる。
【0016】
本発明において、微粒子二酸化チタンあるいは微粒酸化亜鉛を乳化型化粧料に配合する場合には、乳化型化粧料を構成する他成分と直接混合し、予め微粒子二酸化チタンあるいは微粒子酸化亜鉛を油剤中に分散させてペーストとなし、該ペーストと乳化型化粧料を構成する他の成分をと混合する工程をとることが好ましい。このような工程をとることにより、微粒子二酸化チタンあるいは微粒子酸化亜鉛を紫外線防御化粧料中に、より均一に配合させることが可能となる。
【0017】
本発明の乳化型化粧料における微粒子金属酸化物の配合料は、化粧料全量に対して0.1〜20.0質量%であることが好ましく、1.0〜15.0質量%であることがより好ましい。配合量が下限未満では紫外線に対する防御効果が不十分な場合があり、また、上限を超える場合には配合料を増加させても紫外線防御効果が頭打ちとなり、紫外線防御化粧料を肌上に塗布した場合に白うきしたり、きしみが出る場合があるため好ましくない。さらに、本発明における微粒子金属酸化物の好ましい配合は、水相と油相における質量比で、5〜40:95〜60が好適である。この範囲において、好適な紫外線防御化粧料となる。
【0018】
以下に、微粒子二酸化チタンの水分散ペーストの製造例を示す。
<製造例1>
水相への微粒子二酸化チタンの配合は、特開2010-150164に記載のごとく、二酸化チタン複合体として配合することが分散性向上の観点から好ましい。本水分散ペーストを調製するにあたり、微粒子二酸化チタン「MT−05」(シリカアルミナ処理微粒子二酸化チタン テイカ(株)製)を用いた。シリカアルミナ処理二酸化チタン換算で20g/Lのチタニア微粒子水分散液5Lとポリアクリル酸(重合度5000)20g(和光純薬工業(株)製)を純水8Lに溶解した溶液を混合し、1時間の熟成後、さらに2N苛性ソーダ水溶液pHを5に調整し、さらに1時間熟成した。これを濾過、洗浄して湿ケーキを得て、純水中にリパルプした後、チタニア微粒子複合体(固形分濃度25%、pH7.5)を得た(試料A)。
【0019】
以下に、微粒子二酸化チタンの油剤分散ペーストの製造例を示す。
<製造例2>
微粒子二酸化チタン「MT−100TV」(テイカ(株)製)50g、デカメチルシクロペンタシロキサン56g、セスキイソステアリン酸ソルビタン4gをコボールミル(神鋼パンテック(株)製)にとり、8時間混合粉砕を行い、油剤分散微粒子二酸化チタンペーストを得た(試料B)。
【0020】
以下に、微粒子酸化亜鉛の油剤分散ペーストの製造例を示す。
<製造例3>
微粒子酸化亜鉛「MZ−503」(テイカ(株)製)を製造例2と同様の操作を行って、微粒子酸化亜鉛ペーストを得た(試料C)。
【0021】
<製造例4>
製造例3における微粒子酸化亜鉛を「MZY−510M3S」(テイカ(株)製)に代え、製造例2と同様の操作を行って、微粒子酸化亜鉛ペーストを得た。
【0022】
(2)本発明に関わるA領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
本発明に関わる成分として、A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤(以下UVA吸収剤という)を含有する。このようなUVA吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、ビス(レスルシニル)トリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタン等の化合物が挙げられる。この中でも、紫外線吸収能に優れることから、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンが特に好ましい。これらの化合物には市販品が存し、市販品をそのまま用いることもできる。具体的な市販品としては「ユビナール A プラス グラニュラー」(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル BASF社製)、「パルソール1789」(t−ブチルメトキシベンゾイルメタン DSM ニュートリション ジャパン社製)が例示できる。
【0023】
これらUVA吸収剤の配合量は乳化型化粧料全量に対して0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.1〜3.0質量%であることがより好ましい。配合量が下限未満では、A領域の紫外線に対する防御効果が不十分な場合があり、上限を超える場合では、配合量を増加させてもA領域の紫外線に対する防御効果が頭打ちになり、使用感の低下が生じる場合があり好ましくない。
【0024】
(3)本発明の乳化型化粧料
本発明の乳化型化粧料においては、使用感をさらに向上させるための粉体成分を配合できる。かかる粉体成分は、表面処理されていても良い球状、針状、板状、紡錘状等の形状や、多孔質、無孔質、中空等の粒子構造、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径等により特に限定されず、1種又は2種以上を使用することができる。好ましい粉体成分としては、鱗片状ガラス、球状シリカ、有機球状粉体等が例示できる。このような好ましい粉体成分には市販品が存し、かかる市販品を購入して使用することもできる。かかる市販品としては、鱗片状ガラスとして平均粒径が10μmの「マイクログラス(登録商標) シルキーフレークTM FTD010FY−F01」、平均粒径が25μmの「マイクログラス(登録商標)シルキーフレークTM FTD025FY−F02」、平均粒径が25μmでシリコーン処理された「マイクログラス(登録商標)シルキーフレークTM FTD025FY−F12」(以上、日本板硝子(株)製)等、球状シリカとしては「SATINIER M5」(日揮触媒化成(株)製)等、有機球状粉体としては「マイクロスフェアーM−305」(松本油脂製薬(株)製)等が好ましく例示できる。
【0025】
本発明の乳化型化粧料は、上記の成分以外に通常化粧料で使用される任意成分を含有することができる。任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー、セルロース粉末、ウレタン粉末、シルク粉末等の有機粉体類、前記粉体類をメタクリロイルオキシアルキルフォスフォリルコリン及びアルキルメタクリレートの共重合体等の生体成分類似高分子にて被覆した粉体、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB塩酸塩、ビタミンBトリパルミテート、ビタミンBジオクタノエート、ビタミンB又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類などが好ましく例示でき、任意成分として配合されることが可能である。
【0026】
本発明の乳化型化粧料は、その優れた紫外線防御効果を効率的に発揮する乳化剤形であることを特徴とする。かかる乳化剤形に関しては、さっぱりとした使用感が求められていることから、水中油型乳化剤形が好ましい。
本発明の乳化型化粧料は、上記成分を常法により処理することにより得られる。
【0027】
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明が以下の実施例限定されるものではない。
【0028】
<製造例1>
表1に示す処方に従って、本発明の乳化型化粧料である実施例、及び比較例の水中油型乳化化粧料を調製した。すなわち、(イ)相にてキサンタンガムを均一分散し、ココグリセリル硫酸Naを溶解させた。次に、(ロ)相を80℃にて均一溶解した後、(ハ)を投入し、加熱を続けながらディスパーを用いて4000rpmで5分間攪拌し、(ロ)(ハ)の混合物を(イ)相に投入し、80℃にて乳化した。その後冷却し、(ニ)(ホ)(へ)を添加し、実施例及び比較例を得た。
【0029】
<実施例1〜9、比較例1〜6>
以下の表1に示す処方に基づき、製造例1に示したごとく実施例1〜9及び比較例1〜6を調製した。
【0030】
【表1】

【0031】
<試験例1>
[UVA防御効果]
日本化粧品工業連合会で策定した「UVA防止効果測定法基準」(1995年)に従って、UVA防御効果(PFA:UVA-Protection Factor)を測定した。当該試験は、実施例2に関して実施した。結果を表2に示す。
【0032】
<試験例2>
[UVB防御効果(耐水性試験)]
UVB防御効果の測定は、FDA(米国食品医薬品局)の最終モノグラフに準拠した耐水性試験において実施した。すなわち、被験者が屋内プールで20分間の水中運動の後、20分間の休憩をはさんで再び20分間の水中運動を実施し、この前後でSPF(Sun
Protection Factor)を測定し、浸水前と浸水後でのSPFから耐水性を評価するものである。当該試験は、実施例2に関して実施した。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】

【0034】
試験例1の結果から、PFAは20.01と非常に高い結果であり、本発明品である化粧料は優れたUVA防御効果を有することが明らかとなった。さらに、試験例2の結果より、SPFは浸水前で56.85、浸水後で53.00といずれも非常に高い値であり、本発明品であるの乳化型化粧料はUVB防御効果自体も非常に優れていた。また、SPFの維持率は93.2%であり、高い耐水性が確認された。これらの結果より、本発明品である乳化型化粧料は、被験者を対象とした試験において、非常に優れたUVA防御効果を有することが証明され、さらにUVB防御効果についても優れていることが明らかとなり、耐水性にも優れる結果であった。
【0035】
<試験例3>
[PFA(UVA防御効果(in
vitro))]
In vitroにおけるUVA防御効果について評価した。すなわち、VITRO-SKIN(登録商標)の表面に2mg/cmとなるように表1に示した試験品を塗布し、20分間乾燥後、SPFアナライザー(Labsphere社製)によりUVAの透過率を測定した。実施例2に関して被験者を対象とした試験において非常に高いPFAが確認されたため、実施例2におけるUVAの透過率と他の実施例及び比較例を比較して評価した。UVAの透過率が低い場合にUVA防御効果が高いと評価できることから、(実施例2のUVAの透過率)/(他の実施例及び比較例のUVAの透過率)×100(%)の値を算出し、以下の評価基準で評価して結果を表3に示す。
(評価基準)
◎ :90%以上
○ :80%以上、90%未満
△ :60%以上、80%未満
× :60%未満
【0036】
<試験例4>
他の評価項目について、以下に示す方法、評価基準で評価した。評価結果について、合わせて表3に示す。
[使用性(のび及びやわらかさ)]
女性パネラー20名に試験品を肌に塗布してもらい、使用性(のび及びやわらかさ)について評価した。評価結果を表3に示す。
(評価基準)
◎ :良いと答えた人数が18人以上
○ :良いと答えた人数が11〜17人
△ :良いと答えた人数が6〜10人
× :良いと答えた人数が5人以下
【0037】
[安定性]
表1の処方に従って試験品を調整し、40℃で2週間保管し、経時での安定性について評価した。評価基準を表3に示す。
◎ :外観上、機能上問題なし
○ :外観上凝集物が認められるが、機能性に問題なし
△ :ゲル感が認められる
× :乳化せず
【0038】
[透明性]
表1の処方に従って試験品を調整し、ドクターブレードにて透明スライドガラスに膜厚0.5milの膜を引き、30分間乾燥後、膜の透明性を目視にて評価した。評価基準を以下に示す。
◎ :透明感がある
○ :透明感はあるが、若干白色を呈する
△ :透明感はほとんどなく、白色を呈する
× :透明感はなく、白色を呈する
【0039】
【表3】

【0040】
表1の実施例及び比較例、表3に示した結果から、本発明のごとく油相及び水相に微粒子金属酸化物を配合し、UVA吸収剤を配合することにより、顕著なUVA吸収効果を発揮することが明らかとなった。さらに、使用性に関して、同様に実施例と比較例の結果から、微粒子金属酸化物が油相と水相の両相に配合されている方が良好であった。透明性に関しては、油相及び水相に微粒子金属酸化物を配合した方が、油相だけに配合するよりも好ましい結果が得られ、また、安定性に関しては、化粧料中に等量の微粒子金属酸化物が配合されていた場合、油相のみに配合されていた場合には凝集を起こしやすい傾向にあり、一方、油相及び水相に配合された場合には、凝集は起こりにくく、安定な乳化型化粧料を提供しうることが明らかとなった。本発明の各実施例においては、安定性及び透明性に問題はないことが明らかとなった。
【0041】
<実施例10、11>
実施例2に配合したUVA吸収剤であるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを、同様にUVA吸収剤であるt−ブチルメトキシベンゾイルメタンあるいはジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸2−エチルヘキシルに代えて製造例1に示したごとく実施例10及び11を調整し、表3に示した項目について評価した。処方と評価結果を合わせて表4に示す。
【0042】
【表4】

【0043】
表4の結果より、本発明の乳化型化粧料において、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンを含有させた場合は、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸2−エチルヘキシルを含有させた場合と比較して、少ない含量で同様のA領域の紫外線に対する防御効果を発揮した。このことより、本発明の粉末化粧料に用いるUVA吸収剤としては、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシベンゾイルメタンが好ましいことが示された。
【0044】
<実施例12、13>
実施例2に配合したホウケイ酸(Ca/Al)を、球状粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマーあるいはシリカ代えて製造例1に示したごとく実施例12及び13を調整し、表3に示した項目について評価した。処方と評価結果を合わせて表5に示す。


【0045】
表5の結果より、本発明の乳化型化粧料において、使用性向上のために、ホウケイ酸、有機球状粉体、シリカ球状粉体の配合が有効であることが明らかとなり、そのうちホウケイ酸が好ましいことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は化粧料等に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油相中に以下の(a)、(b)、水相中に(c)を含有することを特徴とする乳化型化粧料。
(a)表面処理されていても良い微粒子金属酸化物
(b)UV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤
(c)表面処理されていても良い微粒子金属酸化物
【請求項2】
前記(a)及び(c)の微粒子金属酸化物が、微粒子二酸化チタン及び/又は微粒子酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載の乳化型化粧料。
【請求項3】
前記(b)のUVA領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤がジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及び/又はt−ブチルメトキシベンゾイルメタンであることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の乳化型化粧料
【請求項4】
乳化型化粧料であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の紫外線防御化粧料

【公開番号】特開2013−112615(P2013−112615A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257112(P2011−257112)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】