説明

乳化組成物

【課題】皮膚塗布時になじみが良く、使用中の肌感触に優れ、従来より使用時と水洗後のべたつきが改善され、かつ優れたクレンジング力を有する、クレンジングクリーム化粧料として有用な乳化組成物を提供すること。
【解決手段】ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油の1種または2種以上を0.1〜12.0質量%と、ポリオキシアルキレングリセリル脂肪酸エステルの1種または2種以上を0.1〜12.0質量%と、分子内にカルボキシル基を有する水溶性高分子を0.01〜3.0質量%と、油成分を20.0〜60.0質量%と、グリコールの1種または2種以上を12.0〜40.0質量%と、水を含有する乳化組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化組成物に関し、更に詳しくは皮膚塗布時になじみが良く、使用中の肌感触に優れ、従来より使用時と水洗後のべたつきが改善され、かつ優れたクレンジング力を有する、クレンジングクリーム化粧料として有用な乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚上の皮脂汚れや口紅、ファンデーション、アイシャドウ、マスカラ等のメイクアップ化粧料を除去する目的のクレンジング化粧料があり、これは皮膚に塗布してのばし、その使用後は皮膚から除去されるものである。クレンジング化粧料としては、様々な形態のものが市販されているが、クリーム状の乳化組成物であるのは主にW/O型もしくはO/W型(例えば、特許文献1を参照。)のエマルションのものが市販されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3636865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
W/O型エマルションの場合、連続相が油成分であるため、クレンジング力に優れているものの、用済後の化粧料の除去が困難で、油性成分が手や顔に残りべたつくため、使用感が好ましくない。O/W型エマルションの場合は、使用中の肌感触は良いが、連続相が水成分であるため、クレンジング力が不十分であり、皮脂やメイク汚れが肌に残留し、水洗後の肌もべたついて好ましくない。上記の如き実情において、皮膚塗布時になじみが良く、使用中の肌感触に優れ、従来より使用時と水洗後のべたつきが改善され、かつ優れたクレンジング力を有する、クレンジングクリーム化粧料の出現が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記問題点のない化粧料を得るべく鋭意研究を重ねた結果、特定の界面活性剤、分子内にカルボキシル基を有する水溶性高分子、油成分、グリコールおよび水を併用すれば、上記要件を満たす優れたクレンジング化粧料などとして有用な組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明の乳化組成物は、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油の1種または2種以上を0.1〜12.0質量%と、ポリオキシアルキレングリセリル脂肪酸エステルの1種または2種以上を0.1〜12.0質量%と、分子内にカルボキシル基を有する水溶性高分子を0.01〜3.0質量%と、油成分を20.0〜60.0質量%と、グリコールの1種または2種以上を12.0〜40.0質量%と、水を含有することを特徴とするものである。また、上記油成分がシリコーン油を含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、皮膚塗布時になじみが良く、使用中の肌感触に優れ、従来より使用時と水洗後のべたつきが改善され、かつ優れたクレンジング力を有する、クレンジングクリーム化粧料として有用な乳化組成物が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明で使用されるポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油は、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(30E.O.)、
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(100E.O.)などHLB値が7以上のものが挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用され、本発明の乳化組成物の全組成に対し0.1〜12.0質量%の範囲で配合されるが、好ましくは1.0〜8.0質量%の範囲で配合される。
【0010】
本発明で使用されるポリオキシアルキレングリセリル脂肪酸エステルは、例えば、ポリオキシエチレングリセリルモノイソステアレート(6E.O.)、ポリオキシエチレングリセリルモノイソステアレート(10E.O.)、ポリオキシエチレングリセリルモノイソステアレート(20E.O.)、ポリオキシエチレングリセリルモノイソステアレート(60E.O.)、ポリオキシエチレングリセリルトリイソステアレート(20E.O.)、ポリオキシエチレングリセリルトリイソステアレート(30E.O.)、ポリオキシエチレングリセリルトリイソステアレート(60E.O.)、ポリオキシエチレングリセリルトリオレエート(20E.O.)、ポリオキシエチレングリセリルトリオレエート(60E.O.)、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート(5E.O.)、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート(15E.O.)など、HLB値が7以上のものが挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用され、本発明の乳化組成物の全組成に対し0.1〜12.0質量%の範囲で配合されるが、好ましくは1.0〜10.0質量%の範囲で配合される。
【0011】
本発明で使用される分子内にカルボキシル基を有する水溶性高分子は、例えば、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、CMC(カルボキシメチルセルロース)、ポリアクリル酸、スチレン−マイレン酸共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルキルアクリル酸―アクリル酸共重合体などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用され、本発明の乳化組成物の全組成に対し0.01〜3.0質量%の範囲で配合されるが、好ましくは0.12〜1.50質量%の範囲で配合される。
【0012】
本発明で使用される油成分は、化粧料、医薬品等に通常使用されるものでよく、例えばシリコーン油、エーテル油、炭化水素類、高級アルコール高級脂肪酸エステル類、高級アルコール類、高級脂肪酸類、動植物油脂、コレステロール脂肪酸エステル類、香料などが挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用され、好ましいものとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルシクロポリシロキサンなどのシリコーン油を含む場合である。油性成分は本発明の乳化組成物の全組成に対し20.0〜60.0質量%の範囲で配合されるが、好ましくは30.0〜50.0質量%配合される。
【0013】
本発明で使用されるグリコールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、特にプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコールが洗浄力の点からより好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用され、本発明の乳化組成物の全組成に対し12.0〜40.0質量%の範囲で配合されるが、好ましくは14.0〜30.0質量%の範囲で配合される。
【0014】
また、水分量は本発明の使用目的、適切な物性に応じて適宜選択し得る。
【0015】
本発明では、さらに化粧料、医薬品等に通常使用される薬効剤、保湿成分、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機および無機粉体、色素などを必要に応じて配合することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で固形油分、半固形油
分を加えることができる。
【実施例】
【0016】
次に実施例を挙げて本発明を説明するが、それに先立ち評価方法を示す。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0017】
<評価方法>
女性パネラー20名の顔面に市販の油性ファンデーションを塗布し、30分放置後、実施例および比較例のクレンジング化粧料約3gを用い、1分間、一定の力および速さで顔面を手でマッサージし、その後水で洗い流した。その際の塗布時のなじみ、使用中の肌感触、クレンジング力、洗い上がりの肌感触(べたつきのなさ)の各項目を5段階評価し、更にその平均点から下記基準により判定した。
5段階評価
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:やや悪い
1点:悪い
【0018】
判定
◎ :平均点が4.5点以上
○ :3.5以上、4.5点未満
△ :2.5以上、3.5点未満
× :平均点が2.5点未満
【0019】
<製法>
すべての成分を加温溶解、混合、均一撹拌した後に冷却し、調製した。
【0020】
実施例1〜3、比較例1〜3
表1に記載の配合組成よりなる乳化組成物を調製し、評価を行った。その結果を表1に併せて示した。
【0021】
【表1】

【0022】
表1より明らかなように、本発明の成分を用いた実施例1〜3の乳化剤組成物は、いずれも優れた性能を示していた。一方、比較例1〜3では、塗布時のなじみ、(使用中の)肌感触、クレンジング力、洗い上がりの肌感触(べたつきのなさ)いずれかの特性が劣っており、本発明の目的を達成できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(F)を含有することを特徴とする乳化組成物。
(A)ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油の1種または2種以上を0.1〜12.0質量%
(B)ポリオキシアルキレングリセリル脂肪酸エステルの1種または2種以上を0.1〜12.0質量%
(C)分子内にカルボキシル基を有する水溶性高分子を0.01〜3.0質量%
(D)油成分を20.0〜60.0質量%
(E)グリコールの1種または2種以上を12.0〜40.0質量%
(F)水
【請求項2】
成分(D)がシリコーン油を含む油成分である請求項1記載の乳化組成物。

【公開番号】特開2009−269860(P2009−269860A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121898(P2008−121898)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】