説明

乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置

【課題】腫瘤と石灰化の位置を的確に表示するX線断層画像と細かい石灰化が明確に画像に現れるX線透過平面画像の両方を提供して、的確な乳がんの早期診断を可能にする乳房X線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】X線発生装置20とX線検出器18とが天板12に垂直で乳房を垂らす開口14を通る回転軸Aを挟んで対向配置されその回転軸の周りに回転するように構成されたX線撮影装置と、X線撮影装置から供給されるX線透過画像を再構成してX線断層画像を生成する演算装置とを備え、回転しながらX線断層画像用のX線コーンビームを照射して得るX線透過画像を用いてX線断層画像を生成し、これに基づいて決定する配置位置にX線撮影装置を配置して平面画像用のX線コーンビームによる乳房のX線透過平面画像を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータトモグラフィ(CT)によるX線断層画像と共に、乳房中の腫瘤や石灰化の状態を適切に表示したX線透過平面画像を得るようにした乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、触診と超音波診断を用いて乳がん検査を行っていた。しかし、これらの検査では、ある程度大きく成長したがん細胞でなければ簡単に見つけることができない。このため、早期乳がんで発生する腫瘤や石灰化を見つけることが比較的容易なX線透過画像を用いるマンモグラフィが併用されるようになってきた。しかし、マンモグラフィで得られた画像は単純なX線透過平面画像であるから、対象とする腫瘤部や石灰化部が乳腺などX線像を形成する物と像が重なっている場合などには病巣の判定がしにくい。
【0003】
そこで、3D画像を得ることができるコンピュータトモグラフィ(CT)を使った乳房断層画像撮影装置(マンモCT)が開発されてきた。マンモCTならば、病巣部分がX線不透過部と重なった状態でも正確に評価でき、乳がんの早期発見に効果がある。
【0004】
特許文献1および特許文献2は、それぞれマンモCTの1例を開示している。
特許文献1に開示されたマンモCTは、乳房位置に開口部が開いた乳房撮影用寝台と、開口部の周りを水平に回転する測定装置部と、乳房撮影用寝台や測定装置部を運動させるモーターと計測装置を作動させるスイッチを制御する制御装置とを備える。測定装置部は、X線発生装置と、これと対向配置されるX線検出装置と、X線検出装置で得られるX線透過画像から断層画像を再構成する演算装置とから構成される。
【0005】
X線発生装置とX線検出装置は、開口部を通る回転軸の周りを一緒に回転しながら、所定の角度位置ごとにX線撮影して、各方向から見た被検体のX線透過画像を取得する。
このため、X線発生装置は、駆動スイッチにしたがって、たとえば所定角度回転するごとにX線を放射する。X線は錘体状に放射されるコーンビームとなって被検体を透過しX線検出装置に入射する。X線検出装置は、X線検出素子が平面上にマトリックス状に配置されたフラットパネルデテクター(FPD)である。各X線検出素子はX線発生装置から投射されるX線が光路中の物質により吸収されて残ったX線強度に対応する測定信号として蓄積するので、FPDは被検体に関するX線透過画像を形成することになる。X線検出装置は、各検出素子の測定信号を走査して順次出力することにより、X線透過画像を伝送することができる。こうして集積されたX線透過画像を再構成して被検体のX線断層画像を作成して表示する。
【0006】
開示のマンモCTを用いて乳がんの検診をするときは、被検者は乳房撮影用寝台にうつ伏せに横たわり、測定したい乳房を開口部に当てると、乳房はX線発生装置とX線検出装置との間に垂下する。被検者は胸を開口部に押し付けて、乳房が胸壁近くまで測定領域に露呈されるようにする。
コーンビームX線発生装置とFPDX線検出装置は、被検体である乳房の周りを回転しながら、所定角ごとにX線発生装置を作動させX線検出装置でX線透過画像を撮影し、再構成演算装置に画像信号を伝送する。再構成演算装置は、X線透過画像を再構成して3D化し、乳房のX線断層画像を作成する。X線断層画像は、立体画像のため乳腺などの組織の裏側にある病変部でも検出することができる。
【0007】
乳がん検診において早期発見をするために重要な役割を果たすのは小さな腫瘤と石灰化であり、これらが十分撮影できることが重要である。
X線透過画像では石灰化部分は骨と同等の画像吸収を示すので、比較的小さな石灰化も容易に映像化できる。マンモCTのX線断層画像は腫瘤を検出する能力が高いが、X線透過画像からX線断層画像を再構成するときに高周波の情報が劣化するので、細かい石灰化に対しては検出能が高くない。しかし、X線断層画像はX線透過画像から再構成して得ている。そこで、腫瘤をX線断層画像で検出し、細かい石灰化はX線透過画像を使って検出するようにしたマンモCTが考えられる。
【0008】
ところが、マンモCTのX線断層画像に使うX線透過画像は、たとえば1回転あたり300枚など、極めて多数の撮影が必要になる。したがって、多数回の被曝から受けるダメージを抑制するため、X線断層画像を作成するときに使用するX線コーンビームはエネルギーが弱く線量の小さいX線が選択される。このため、X線断層画像撮影装置においてX線断層画像を形成する途中で得られるX線透過画像を単独で診断のために使おうとしても、個々の画像は細かい石灰化を十分に検出することができない。
【特許文献1】米国特許第6480565号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、腫瘤と石灰化の位置を的確に表示するX線断層画像と細かい石灰化が明確に画像に現れるX線透過平面画像の両方を提供して、的確な乳がんの早期診断を可能にする乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置は、被検者が伏臥したときに乳房を垂らす開口部を備えた天板と、X線発生装置とX線検出器とが天板に垂直で開口部を通る回転軸を挟んで対向配置されその回転軸の周りに回転するように構成されたX線撮影装置と、X線撮影装置から供給されるX線透過画像を再構成してX線断層画像を生成する演算装置と、X線撮影装置が回転する間にX線発生装置がX線断層画像用のX線コーンビームを放射することにより得たX線断層画像を表示する表示装置と、X線撮影装置をX線断層画像に基づいて決められたX線透過画像を得るための配置位置に適合させてX線発生装置に平面画像用のX線コーンビームを放射させX線検出器に乳房のX線透過平面画像を提供させる制御装置とを備えて、乳房のX線断層画像とこれに基づいて取得したX線透過平面画像を提供することを特徴とする。
【0011】
X線撮影装置の配置位置は、X線撮影装置を回転させる間にX線発生装置がX線断層画像用のX線コーンビームを放射して、X線検出器が所定数のX線透過画像を得て演算装置がX線透過画像を用いて生成するX線断層画像に基づいて決める。X線断層画像は表示装置に表示されるので、医師等が表示されたX線断層画像に表れた腫瘤や石灰化を選択してX線撮影装置の配置位置を指定することができる。また、判定装置を備えてX線断層画像を画像処理して配置位置を決定することもできる。
【0012】
また、本発明に係る乳房X線透過平面画像断層画像撮影方法は、天板の開口部を通る回転軸を挟んで対向配置されたX線発生装置とX線検出器からなるX線撮影装置が開口部から垂れた乳房の周りを回転して所定数のX線透過画像を取得し、所定数のX線透過画像を再構成してX線断層画像を生成すると共に、X線断層画像に基づいて所定の病変部がよく写るようなX線撮影装置の配置位置を求め、X線撮影装置をその配置位置に適合させて乳房のX線透過平面画像を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置及び方法によれば、乳房部分のみを走査して得たX線透過画像を再構成して得たX線断層画像を提供すると共に、X線断層画像として得られた立体画像から目的の腫瘤や石灰化の3D位置を求めることができるので、これら目的物に対して最もX線透過距離が短くなる方向など、乳房に対する適宜の方向を決定して、その方向にX線断層画像を得るときより高線量のX線コーンビームを照射して形成したX線透過平面画像を得ることができる。本発明のX線断層画像は腫瘤や石灰化の位置や形状を立体的に捕捉し、高線量のX線を使ったX線透過平面画像は石灰化を細かいところまで捕捉するので、X線断層画像とX線透過平面画像の両方を観察することにより、早期乳がんについても見落としの少ない、より的確な乳がん検診を実施することができる。
【0014】
また、1対の圧迫板をX線撮影装置と同様に回転可能に設備したものでは、X線断層画像から得られた問題の腫瘤や石灰化について、乳房をX線透過方向に圧迫して等厚に形成してX線照射することにより、細かいところまで鮮明なX線透過平面画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は本発明の1実施形態に係る乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置の主要部について示した構成概念図、図2はX線画像撮影装置の1例を説明する側面図、図3はその平面図、図4はX線画像撮影装置の配置位置決定方法を例示する概念図、図5は乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置制御系のブロック図、図6は制御工程を示すフロー図である。本発明の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置は、従来の乳房X線断層画像撮影装置に対して、石灰化を精度よく捕捉する乳房X線透過平面画像撮影装置を組み合わせることにより、単に2つの装置を組み合わせたものでは得られない複合的な効果を有するようにしたものである。
【0016】
本実施形態に係るX線透過平面画像断層画像撮影装置100は、図1に示すとおり、乳房Bを通す開口を備え被検者Pが伏臥して開口から乳房Bを垂下することができる天板12と、放射状のX線コーンビームCを放射するX線発生装置20と、X線発生装置20から放射され開口から垂下した乳房Bを透過したX線の入射強度を検知するX線検知素子を面上に複数配置したフラットパネルディスプレイ(FPD)を備えたX線検出器18と、X線発生装置20とX線検出器18を搭載し、乳房Bを通るように設置された回転軸Aの周りを回転する回転支持板16とを備える。
【0017】
天板12は、被検者Pが伏臥して開口から乳房Bをできるだけ多く突き出すために適当な人間工学的形状を備える。また、開口は、乳房Bのサイズに合わせて開口径や形状を選択できることが好ましい。なお、開口は、乳房Bの形状に合わせて形状が変化するようなシリコン樹脂などの素材で形成されることが好ましい。また、開口の部分を周囲より突き出させるようにして周囲に図示しないX線遮蔽部を形成し、乳房B以外の部分がX線被曝し難いようにしてある。さらに、X線発生器20から放射されるX線ビームは、天板12に横たわる被検者Pの方向にはX線が向かわないように形成された錘体状のコーンビームCである。
【0018】
図2及び図3に示すように、X線発生装置20とX線検出器18は、乳房Bが垂下するための開口14を通る垂直な回転軸Aの周りを回転する回転支持装置16に、回転軸Aを挟んで対向するように搭載され、回転駆動装置28により回転軸Aの近傍に存在する乳房Bを巡りながら、所定のタイミングでX線発生装置20を作動させてX線コーンビームを放射し、X線検出器18により所定数のX線透過像を撮像する。X線透過像データは画像処理装置に伝達され、再構成演算を施してX線断層画像を生成する。X線断層画像を再構成するために多数のX線透過像を取得する必要があるので、被検者PやオペレータのX線被曝を抑制するためX線発生装置20から放射するコーンビームは比較的低線量のX線ビームとする必要がある。
【0019】
X線発生装置20とX線検出器18はそれぞれ回転軸Aに向かって敷設されたガイドレール25,23の上を並進して位置決めする並進装置24,22を備えている。並進装置22,24を使って、測定対象となる乳房Bの大きさに応じて乳房Bとの距離を変化させて画像拡大比率を調整することにより、乳房Bの影像の大きさを調整することができる。また、乳房BがX線コーンビームCの照射範囲やX線検出器18の測定範囲を超える場合には、測定対象となる乳房Bとの距離を大きくとり画像拡大比率を減少させて撮影範囲に入れるようにすることができる。さらに、回転支持装置16を回転可能に支持する回転棒26を鉛直方向に移動できるようにすると、X線発生装置20とX線検出器18の組を一緒に下降させて撮影領域を乳房Bの先端部分に移動させて撮影することができる。
【0020】
得られたX線断層画像は表示装置に表示される。ここで、医師がX線断層画像を観察して精査すべき病巣Fあるいは腫瘤や石灰化部を指定すると、X線断層画像を生成した画像処理装置において指定された病巣Fなどの位置が算定され、X線の透過距離が最も短くなる方向が算定される。最短距離は、簡単には、乳房Bが回転軸Aに関して点対称な立体形状を有すると仮定して、回転軸Aと問題の病巣Fを含む像面Tに対して垂直の方向にあるとすることができる。たとえば、図4に表したように、指定された病巣Fが基準軸Sに対して角度αの位置にある場合には、X線発生装置20とX線検出器18を結ぶ線が基準軸Sからαと反対の方向に角度β=90°−αだけ回転した方向になるように配置すればよい。
【0021】
上記算定された配置位置にしたがってX線発生装置20とX線検出器18を配置して、X線発生装置20を作動させてX線コーンビームを放射すると、X線検出器18によりX線透過平面画像を取得することができる。X線透過平面画像は表示装置に表示され、X線断層画像と共に利用することにより、乳がんの早期発見に寄与する。X線透過平面画像は多数撮影する必要がないので、X線被曝の観点からは、X線ビームの線量はかなり大きくてよい。大きな線量のX線ビームを使用することにより、小さな石灰化部も鮮明に影像化して、的確に診断することができる。
【0022】
なお、発達した自動検診技法を利用すれば、精査を要する腫瘤や石灰化を自動的に判定してこれらがよくみえる画像を取得できる方向に撮影装置を配置することが可能になる。しかし、医師が的確に診断を下すために必要とする腫瘤等の影像は1個と限らないし、大きいだけが選択条件とは限らないので、必要に応じて医師自身が指定する手段は必ず必要とされる。また、外部から測定方向を指定する手段は、対象の腫瘍等を選択するばかりでなく、観察する方向を直接に指定することも可能であることが好ましい。
【0023】
なお、X線検出器18は画素密度の切り替えができるものを使うことができる。X線透過平面画像を提供するときにはX線断層画像を提供するときより高い画素密度に切り替えてX線を検出することによって影像が精細化し、状況の把握が容易になる。また、画像の拡大表示も可能になるので、通常極細かい影像となる石灰化の状況も正確な観察が容易にできる。
【0024】
また、X線発生装置20は、管電圧、ターゲット、フィルタのいずれか1以上を変更することにより発生するX線の波長もしくは線量を変えることができるX線管を用いて、これらの要素を適宜調整することによりX線断面画像とX線透過平面画像とでそれぞれ最も適した性質のX線を発生させるようにすることができる。たとえば、X線断面画像に適合するX線発生条件とX線透過平面画像に適合するX線発生条件を選択して切り替える条件切換装置を設けて、X線透過平面画像撮影に切り替えるときに、自動的にX線透過平面画像に適合するX線を発生するように、X線発生装置20の要素を調整あるいは交換するようにすることができる。
【0025】
乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置100は、さらに、天板12と回転支持板16の運動とX線発生装置41とX線検出器42の作動を制御する制御装置を備え、また、画像処理装置および画像表示装置を備える。
図5の制御系のブロック図を参照すると、乳房断層画像撮影装置100は、画像生成部110、画像処理部120、画像保存部130、画像表示部140、撮影部160、天板部170で構成される。
【0026】
画像生成部110は、具体的には図1に表示されたX線発生装置20に対応するX線発生手段113とX線検出器18に対応するX線検出手段115からなり、撮影手段111からトリガー信号を受けると、X線発生手段113がコーンビームを放射し、X線検出手段115が被検体である乳房Bを透過したコーンビームCを検出してX線透過画像信号を生成し画像処理部120に送信する。
【0027】
画像処理部120は、画像処理手段121、画像補正手段123、画像再構成手段125、確認画像生成手段127および調整値算出手段129からなる。
画像処理手段121は、画像生成部110から入力した検出信号に基づいてX線検出手段115が検出したX線透過画像の画像信号を生成する。生成した画像信号は画像補正手段123に伝達されると共に、画像保存部130や画像表示部140に伝送され、取得画像情報として参照することができる。
【0028】
画像補正手段123は、入手した原画像信号についてノイズを除去し、アーチファクトを低減させるなどの補正を施して、画像再構成手段125および確認画像生成手段127に伝達する。
画像再構成手段125は、被検体について取得した各方向からの画像信号がそろったところで、再構成演算を行って被検体のX線断層画像を形成する画像信号を生成し、画像保存部130と画像表示部140に伝送する。また、X線断層画像の情報は、腫瘤や石灰化の発見と位置の特定に使われ、さらに調整値算出手段129によりX線発生装置20とX線検出器18を結ぶ線の方向を定める設定値として撮影部制御手段161に供給される。
【0029】
確認画像生成手段127は、装置100の調整に使う確認画像を生成して調整値算出手段129に送る。画面と被検体の位置関係が分かるような画像を生成して、正しいアライメントができているか、的確な分解能を持っているか、余分なノイズが含まれないか、など装置の調整値と関連する事項を確認する。
調整値算出手段129は、画面枠の位置、信号強度、その他の環境値について期待値からの偏差を解消させるために必要な調整値を算出して、撮影部制御手段161、天板部制御手段171および押圧部制御手段181に伝送する。
【0030】
また、調整値算出手段129は、判定手段として予め決められた基準に基づいてX線断層画像の情報に基づいて観察に適した向きを判定し、X線発生装置20とX線検出器18の配置位置を算出して、撮影部制御手段161を介してこれら装置を算出された位置に配置する。
なお、調整値は、撮影部配置位置を含めて、オペレータが調整値入力手段151を介して直接に指定することもできる。調整値入力手段151は、キーボードやタッチパネルあるいはマウスを使ったデータ入力装置などで構成される。調整値入力手段151は、X線断層画像中の腫瘍や石灰化を手動で指定するために利用することもできる。
【0031】
画像保存部130には、画像メモリなどで形成される画像保存手段131が設けられていて、画像情報が必要になったら簡単に読み出して利用できるようになっている。
画像表示部140には、画像表示手段141と確認画像表示手段143が設けられている。画像表示手段141は、乳がん診断に用いる画像として、乳房内に腫瘤、石灰化、がん組織などが存在しないかを確認するための乳房の断面画像や立体画像などを表示する。
【0032】
また、確認画像表示手段143は乳房断層画像撮影装置100の異常や不調を監視したり調整したりするために利用できる画像を表示する。特に、調整をオペレータが手動で実施する場合には、確認画像表示手段143により表示された画像を観察しながら調整する必要がある。確認画像生成手段127は、オペレータの判断を助けるため、表示画面にスケールを写し込んだり、目標値との偏差を確定できる数値を明示したりして、調整量の目算が容易になるような表示をさせることが好ましい。
【0033】
撮影部160は、撮影部制御手段161に支配される撮影部回転手段163、撮影部昇降手段165、X線検出部並進手段167、X線発生部並進手段169を備える。画像生成部110を駆動させた撮影手段111は、撮影手順を進行させるたびに、撮影部制御手段161にトリガー信号を供給して、図3に表示された回転支持装置16の回転駆動装置28に当たる撮影部回転手段163と回転棒26の上下動を制御する昇降装置に当たる撮影部昇降手段165を介してX線発生手段113とX線検出手段115の回転および高さを次に決められた位置に調整する。また、X線検出部並進手段167とX線発生部並進手段169を使って、X線検出器18であるX線検出手段115とX線発生装置20であるX線発生手段113あるいは被検体である乳房Bすなわち回転軸Aまでの距離を加減して検出感度を調整することもできる。
【0034】
天板部170は、天板並進手段173と天板昇降手段175で構成され、天板部制御手段171に支配される。乳房Bに照射するコーンビームCの位置は、回転支持装置16の昇降で容易に調整することができるが、相対的な関係にあるので、天板12を昇降して高さを調整することによっても可能である。また、左右の乳房を切り替えて診断するときには、切替え時に新しい乳房Bの位置を回転支持装置16の回転軸Aに合わせ直す必要がある。特に、天板12に左右の乳房に合わせて2個の開口14が設けられている場合には、他方の開口14を回転軸Aの位置まで並進させて位置合わせすることになる。
【0035】
図6は、上記本実施形態の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置100を使って目的のX線断層画像とX線透過画像を取得するときの工程例を表すフローチャートである。初めの工程S01で、被検者Pが天板12上にのぼり、うつ伏せになって乳房Bを天板12の開口14に落とすと、乳房Bが、X線発生装置20とX線検出器18の間の回転軸A近くに垂れ下がって、撮影領域内に収まる。開口14は、被検者Pによって大きさや形状の異なるそれぞれの乳房Bに最も適合する大きさや形状を有するものを選ぶことができる。また、開口14はシリコン樹脂など、乳房形状に合わせて変形する素材であることが好ましい。被検者Pは、乳房B以外の部分がX線被曝しないように、遮蔽部材で保護されている。
【0036】
次に、第2工程S02で、診断に十分な範囲の乳房が撮影範囲に納まっているかを判定し、不足する場合には撮影装置の位置調整を行う。このため、低線量でのX線単純撮影をしてX線透過像の画像データを判定装置に供給する。X線撮影に代えて、図示しない光源とCCDカメラとで光学的な画像撮影を行って、外形から判定するようにしてもよい。取得された撮影影像は、下側境界となる乳頭と上側境界となる胸壁が適切に撮影領域に入っているかを判断するために使用される。この判断は、調整値算出手段129を構成する判定部が画像解析などを使って行うが、オペレータによって行われる場合もある。このため、X線透過画像や光学的画像はオペレータが観察できるように確認画像表示手段143に表示することが好ましい。なお、被検者Pの乳房B表面に貼付あるいは塗布されたマーカの位置を画面中で確認することで、適正な撮影範囲を判定することができる。また、低線量X線を使うときは、肋骨や胸骨の陰影をマーカとして利用することができる。
【0037】
乳房Bの必要な領域が撮影範囲に含まれないと判定された場合は、撮影範囲が適切になるように乳房Bと撮影装置との相対位置を調整する。天板12と撮影装置の相対位置の調整は、撮影部用の回転支持装置16と図示しない天板昇降装置のいずれを使っても行うことができる。また、乳房Bが大きくて撮影範囲に納まらない場合は、回転支持装置16によりX線検出器18とX線発生装置20を上下方向にシフトしながらX線透過画像を取得するため、X線検出器18とX線発生装置20の天板12に対する相対位置調整量および回転支持装置16の回転回数を算出して乳房の根元から先端までシフトしながらX線撮影を実行させる。なお、所定の撮影範囲に収まらない大きな乳房の場合は、前述のように、乳房Bがある回転軸AとX線発生装置20またはX線検出器18の距離すなわち幾何学的配置を調整することにより乳房全体が撮影範囲に入るようにすることができる。
【0038】
乳房Bの必要な領域が撮影範囲に含まれるかの判定と乳房Bと撮影装置の相対位置の調整は、乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置100自身で自動的に行われることが好ましいが、オペレータが判定して手動で調整することもできる。オペレータが的確に判断および調整を行うために、確認画像表示手段143に、スケール表示など、乳頭や胸壁と撮影範囲境界との変移量の評価と調整量の算定を支援するような補助表示があることが好ましい。また、オペレータは調整値入力手段151を介して調整量を手動入力することができる。
【0039】
装置の準備ができて、乳房Bの必要な領域が撮影範囲に含まれると判定された場合は、第3工程S03に進み、断層画像を得るためのX線透過画像撮影を行う。撮影装置を搭載した回転支持装置16が所定角回転するたびに駆動信号を発生して、X線発生装置20からX線コーンレーザCを放射し、X線検出器18のFPDで可視化した2次元のX線透過画像を断層画像に必要な所定の枚数だけ形成する。X線コーンレーザCの線量は比較的小さくして、被検者Pの被曝を防止する。
【0040】
得られた所定枚数のX線透過画像に基づいて、第4工程S04で、画像再構成手段125を用いて再構成することにより、X線断層(CT)画像を形成する。
X線断層画像は、第5工程S05で、いずれかの画像表示手段で表示される。
医師らは、表示装置に表示されたCT画像を検討して、画像中に石灰化部分や腫瘤などが存在するかを判断することができる。CT画像では特に腫瘤については多数の画像に亘る情報を使って像を形成するので検出度が高いが、石灰化についてはX線透過画像からX線断層画像を再構成するときに高周波の情報が劣化するので特に細かい石灰化に対しては検出能が高くない。
【0041】
第10工程S10において、医師らは、診断に必要な石灰化のX線透過画像を収集するため、CT画像中の病変部のうち特に観察したい部分を指定する。指定は、調整値入力手段151を介して行う。なお、観察部分は、調整値算出手段129において自動的に評価した結果に基づいて、自動的に決定することもできる。
第11工程S11において、調整値算出手段129が、指定された病変部をX線透過画像で観察するときに最もよい観察方向を算定して、その値を撮影部制御手段161に出力する。観察方向は、指定された病変部と回転軸Aを含む面に対して垂直な方向などが考えられる。
【0042】
第12工程S12において、撮影部回転手段163が、X線検出器18とX線発生装置20を搭載して回転軸Aの周りを回転する回転支持装置16を算定位置に配置させる。
第13工程S13において、X線発生装置20に始業トリガーを送り、比較的大きな線量のX線コーンビームを発生させ、乳房Bを透過したX線をX線検出器18で受けて、X線透過平面画像を形成する。X線は、指定された病変部について乳房Bの透過長が最も小さい部分を透過したものであるので、ここで得られるX線透過平面画像は、病変部のX線吸収状態を最も明瞭に示すものとなっている。
第14工程S14では、X線検出器18で得られたX線透過平面画像は画像処理手段121で画像信号に変成され、画像表示手段141を介して表示される。先に取得したX線断層画像を並列にまたは切り替えて表示することができる。
【0043】
第20工程S20において、医師などが表示されたX線断層画像とX線透過平面画像を観察して乳がん検診を行う。X線透過平面画像には石灰化がよく表示され、X線断層画像は腫瘤がよく表示されているので、両画像を使用することで従来の単独表示と比較して、より的確な診断を行うことが可能になる。
【0044】
図7は本実施形態の別態様における圧迫板の1例の作用を説明する概念図である。本態様の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置100は、乳頭を圧迫する1対の圧迫板30,32を備えるところに差異があるだけで他は変わらない。
圧迫板30,32は、現状のマンモグラフィに用いられる圧迫板と同じ態様のもので、X線吸収率が小さいプラスチックスなどで形成され、被検体の乳房BをX線照射方向から強く挟み等厚化して薄くすると共に病変部Fを固定して、患部の鮮明なX線透過画像を得ることにより、観察を容易にするものである。したがって、圧迫板30,32は乳房Bを挟むときには、X線発生装置20とX線検出器18を結ぶ線に対して垂直に並ぶように配置される。
【0045】
なお、X線断層画像を観察して指定した病巣Fが、たとえば、図7に表したように、基準軸Sに対して角度αの位置にある場合には、X線発生装置20とX線検出器18を結ぶ線が基準軸Sからαと反対の方向に角度β=90°−αだけ回転した方向になるように配置することができる。このような配置方法では、圧迫板30,32に挟まれたときに、病巣Fが、厚みのほぼ中間にあって回転軸Aから最も離れた位置に存在する。したがって、目的の病巣Fは最も独立的に影像が形成され、的確な観察ができる。
また、圧迫板30,32は、X線断層画像を取得するときにはX線エネルギーの減衰を来すため、コーンビームCによる撮影領域から退避していることが求められる。
【0046】
図8は、本態様における圧迫板の構成例を示す側面図である。図8の構成では、X線発生装置とX線検出器を搭載する回転支持装置16の回転棒26に対して同軸の回転軸36により回転可能に支持される圧迫板回転支持装置34が設備されていて、圧迫板回転支持装置34に圧迫板30,32が搭載されている。回転軸36は、撮影装置の回転駆動装置28に抱かれた圧迫板回転駆動装置38により駆動される。圧迫板30,32は、図示しない並進装置によりその間隙が調整されるようになっていて、乳房Bに対する圧迫力を制御することができる。
【0047】
図9は圧迫板の退避方法を説明する図面である。図9(a)は乳房を圧迫しているときの圧迫板の平面配置図、図9(b)は撮影領域から退避したときの圧迫板の平面配置図である。X線透過平面画像を取得する間で、X線発生装置20とX線検出器18が所定の方向に固定され、圧迫板30,32が乳房を挟み込んで稼働状態にあるときは、図9(a)に示すように、圧迫板30,32はX線発生装置20とX線検出器18を結ぶ軸線上に配置される。一方、X線断層画像を得るために乳房の周りを回転しながらX線透過画像を撮影している間は、圧迫板30,32はわずかとはいえX線コーンビームCを減衰させるので、乳房Bに入射するコーンビームCを避けるため、図9(b)に示すように、X線発生装置20とX線検出器18を結ぶ軸線に垂直な方向に対向してかつコーンビームCの外側に配置することにより退避させる。
【0048】
退避した圧迫板30,32はX線発生装置20とX線検出器18の回転につれて回転する必要があるが、図8に示す圧迫板回転支持装置34を撮影装置の回転支持装置16に直交するように固定して、共に回転駆動装置28により回転させるようにすればよい。なお、圧迫板30,32が乳房を挟み込んで稼働状態にあるときは、圧迫板回転支持装置34を撮影装置の回転支持装置16と同じ向きになるように固定して、共に回転させればよいので、圧迫板回転駆動装置38は圧迫板回転支持装置34を撮影装置の回転支持装置16に対して90°回転駆動するものであってもよい。もちろん、圧迫板回転駆動装置38が独立に圧迫板30,32を撮影装置と同速度で回転させるものであってもよい。
【0049】
図10は別の圧迫板退避方法を説明する図面である。図10(a)は乳房を圧迫しているときの圧迫板の側面配置図、図10(b)は撮影領域から退避したときの圧迫板の側面配置図である。X線透過平面画像を取得する間で、圧迫板30,32が乳房を挟み込んで稼働状態にあるときは、図10(a)に示すように、圧迫板30,32はX線コーンビームCの上縁付近まで押し上げられて乳房を挟むように配置される。
【0050】
一方、X線断層画像のためにX線透過画像を撮影しているときには、図10(b)に示すように、圧迫板30,32をX線コーンビームCの下端より下に移動して退避する。下に退避した圧迫板30,32は撮影装置が回転している間、一緒に回転していても停止していてもよい。なお、圧迫板の退避方法は、上記の方法に限られず、たとえば、圧迫板を傾けて撮影領域を避ける方法など、適宜工夫が可能である。
【0051】
図11は、本実施形態における圧迫板部制御系のブロック図である。本態様では圧迫板部が付帯するので、制御系全体の構成として図5のブロック図に圧迫板部制御系を追加する必要がある。圧迫板部180は、圧迫板退避手段183と圧迫板並進手段185と圧迫板回転手段187で構成され、調整値算出手段129から受け取る調整値信号に基づき圧迫板の挙動を制御する圧迫板制御手段181に支配される。
【0052】
圧迫板30,32は非稼働期には撮影領域から退避させる必要がある。退避行為は種々の方法で実現できるので、圧迫板退避手段183には装置に即した適宜の機構が採用される。圧迫板並進手段185は乳房を挟み込んで適宜の圧迫力で圧迫して均等に薄い状態にするものである。また、圧迫板回転手段187は、撮影装置が乳房の周りを回転している間、圧迫板を一緒に回転させなければならない場合に、回転させる。また、退避状態と稼働状態を切り替えるために回転が必要な場合に作動する。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置は、乳房の腫瘤なら効率よく捕捉できるX線断層画像により腫瘍あるいは石灰化の位置を立体的に捕捉して、これら特に石灰化を明瞭に捕らえることができる方向に撮影装置をセットしてX線透過平面画像を取得するので、乳房における腫瘤と石灰化の両方を的確に把握して診断することができ、乳がんの早期発見に大きく寄与することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の1実施形態に係る乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置の主要部について示した構成概念図である。
【図2】本実施形態におけるX線画像撮影装置の1例を説明する側面図である。
【図3】図2に示すX線画像撮影装置の平面図である。
【図4】本実施形態で使用するX線画像撮影装置の配置位置決定方法を例示する概念図である。
【図5】本実施形態に係る乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置制御系のブロック図である。
【図6】本実施形態における制御工程を示すフロー図である。
【図7】本実施形態における圧迫板の1例の作用を説明する概念図である。
【図8】図7に示す圧迫板の構成を説明する側面図である。
【図9】本実施形態における圧迫板の退避方法の1例を説明する概念図である。
【図10】本実施形態における圧迫板の退避方法の別例を説明する概念図である。
【図11】本実施形態における圧迫板部制御系のブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
A 回転軸
B 乳房
C コーンビーム
F 病変部
P 被検者
S 基準軸
T 像面
12 天板
14 開口
16 回転支持装置
18 X線検出器
20 X線発生装置
22,24 並進装置
23,25 ガイドレール
26 回転棒
28 回転駆動装置
30,32 圧迫板
34 圧迫板回転支持装置
36 回転軸
38 圧迫板回転駆動装置
100 乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置
110 画像生成部
111 撮影手段
113 X線発生手段
115 X線検出手段
120 画像処理部
121 画像処理手段
123 画像補正手段
125 画像再構成手段
127 確認画像生成手段
129 調整値算出手段
130 画像保存部
131 画像保存手段
140 画像表示部
141 画像表示手段
143 確認画像表示手段
151 調整値入力手段
160 撮影部
161 撮影部制御手段
163 撮影部回転手段
165 撮影部昇降手段
167 X線検出部並進手段
169 X線発生部並進手段
170 天板部
171 天板部制御手段
170 天板部
171 天板部制御手段
173 天板並進手段
175 天板昇降手段
177 圧力検知手段
180 圧迫板部
181 圧迫板制御手段
183 圧迫板退避手段
185 圧迫板並進手段
187 圧迫板回転手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者が伏臥したときに乳房を垂らす開口部を備えた天板と、
X線断層画像用と平面画像用のX線コーンビームを選んで放射するX線発生装置と該X線コーンビームを入射してX線透過画像を得るX線検出器とが前記天板に垂直で前記開口部を通る回転軸を挟んで対向配置され該回転軸の周りに回転するように構成されたX線撮影装置と、
前記X線撮影装置から供給される所定数のX線透過画像を再構成してX線断層画像を生成する演算装置と、
前記X線撮影装置が回転する間に前記X線発生装置がX線断層画像用のX線コーンビームを放射することにより得た前記X線断層画像を表示する表示装置と、
該X線撮影装置を前記X線断層画像に基づいて決められたX線透過画像を得るための配置位置に適合させて前記X線発生装置に平面画像用のX線コーンビームを放射させ前記X線検出器に前記乳房のX線透過平面画像を提供させる制御装置と
を備える乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置。
【請求項2】
さらに、前記X線断層画像に基づいて前記X線撮影装置がX線透過画像を得るための配置位置を決める判定装置を備える、請求項1記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置。
【請求項3】
さらに、前記回転軸を挟んで配置され該回転軸の周りを回転して適宜に位置決めできる、前記開口部から垂れた乳房を挟んで圧迫する1対の圧迫板を備え、
前記制御装置は、前記X線断層画像を生成する間は該1対の圧迫板が前記乳房を圧迫しない状態に保持し、前記乳房のX線透過平面画像を提供させる間は前記X線断層画像に基づいて決められる前記X線撮影装置の配置位置に対応する位置に前記1対の圧迫板を配置して前記乳房を圧迫する、請求項1または2記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置。
【請求項4】
前記X線検出器は画素密度の切り替えができるものであって、前記X線透過平面画像を提供するときには前記X線断層画像を提供するときより高い画素密度に切り替えてX線を検出する、請求項1から3のいずれか一項に記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置。
【請求項5】
前記X線断層画像用のX線コーンビームは前記平面画像用のX線コーンビームより線量が小さい、請求項1から4のいずれか一項に記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置。
【請求項6】
前記透過平面画像撮影と前記X線断層画像撮影を切り替えるときに、前記X線発生装置の管電圧、ターゲット、フィルタのいずれか1以上を変更して新しい撮影条件に適合するX線波長もしくはX線線量を選択する、請求項1から5のいずれか一項に記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置。
【請求項7】
前記X線透過平面画像を取得するときの前記X線撮影装置の配置位置は、前記生成されたX線断層画像に基づいて、前記乳房に対するX線透過長が最も短くなる方向から撮影するものである、請求項1から6のいずれか一項に記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置。
【請求項8】
前記1対の圧迫板は前記X線撮影装置と共通の回転装置に搭載されて、前記X線発生装置と前記X線検出器を結ぶ直線上に配設される、請求項1から7のいずれか一項に記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置。
【請求項9】
前記1対の圧迫板は前記乳房を圧迫しないときは前記X線撮影装置の撮影領域から退避する、請求項1から8のいずれか一項に記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影装置。
【請求項10】
天板の開口部を通る回転軸を挟んで対向配置されたX線発生装置とX線検出器からなるX線撮影装置が該開口部から垂れた乳房の周りを回転して所定数のX線透過画像を取得し、
該所定数のX線透過画像を再構成してX線断層画像を生成し、
該X線断層画像に基づいて所定の病変部がよく写る前記X線撮影装置の配置位置を求め、
該X線撮影装置を該配置位置に適合させて前記乳房のX線透過平面画像を取得する
乳房X線透過平面画像断層画像撮影方法。
【請求項11】
前記乳房のX線透過平面画像を取得するときには、1対の圧迫板により前記開口部から垂れた乳房を挟んで圧迫する、請求項10記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影方法。
【請求項12】
前記X線透過平面画像を取得するときには前記X線断層画像を生成するときより高い画素密度に切り替える、請求項10または11記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影方法。
【請求項13】
前記X線断層画像に用いる前記X線透過画像を取得するときに照射するX線コーンビームは前記平面画像を取得するときに照射するX線コーンビームより線量が小さい、請求項10から12のいずれか一項に記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影方法。
【請求項14】
前記乳房のX線透過平面画像を取得する前に、前記X線発生装置の管電圧、ターゲット、フィルタのいずれか1以上を変更することにより該X線透過平面画像に適した波長もしくは線量を有するX線に切り替える、請求項10から13のいずれか一項に記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影方法。
【請求項15】
前記乳房のX線透過平面画像を取得するときの前記X線撮影装置の配置位置は、前記生成されたX線断層画像に基づいて、前記乳房に対するX線透過長が最も短くなる方向から撮影するものである、請求項10から14のいずれか一項に記載の乳房X線透過平面画像断層画像撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−68929(P2010−68929A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238147(P2008−238147)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】