説明

乾燥した生物学的治療用組成物、その使用、及びその投与のための装置及び方法

迅速に活性化可能な細菌を乾燥形態で含む生物学的治療用組成物、かかる組成物を投与するための装置、及びその治療方法が開示される。生物学的治療用組成物自体を調製する方法、並びにかかる組成物のための細菌を調製する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物学的治療用組成物に関し、より具体的には、非病原性の細菌菌株を含む乾燥された生物学的治療用組成物、ならびに、その使用、治療方法、及びその投与のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクス細菌は、ヒトおよび/または動物にとって有益である。この分野では、プロバイオティクス細菌の使用が、腸管微小生物叢組成における変化または腸管微小生物叢組成に対する変化を伴い、および/またはそのような変化を引き起こし、および/または、微小生物叢組成に対する何らかの変化をもたらし、および/または、そのような変化を維持する胃腸感染症および他の疾患または障害、ならびに、そのような疾患または障害を積極的に引き起こし、または増強する、微小生物叢組成に対する変化を防止または治療するために、哺乳動物の腸管における微生物バランスを改善させることについて知られている。
【0003】
しかしながら、今日までに行われた研究の結果は矛盾しており、かつ/または曖昧である。例えば、一部の研究では、「旅行者下痢症」を治療するためにプロバイオティクス細菌を単独で使用することは、偽薬と対比したとき、患者において有意な効果を提供するために十分ではなく、それにもかかわらず、プロバイオティクス治療と抗生物質との組合せは非常に有効であることが立証された。他の研究では、プロバイオティクス治療が単独で有益な効果を有したが、多くの場合、そのような効果が明らかになるためには3ヶ月〜6ヶ月が必要であったことが示されている(例えば、J.JAMA、1996、第275巻、第11号;米国特許第5433826号;米国特許第5589168号などもまた参照のこと)。
【0004】
最近の研究は、単独または組合せでのいずれであっても、様々なタイプのプロバイオティクス細菌の作用の研究;プロバイオティクス細菌の生存率の改善、および、長期間の保存を可能にする方法;バイオマスの蓄積;ならびに、ヒトおよび動物の予防および治療におけるプロバイオティクス細菌の使用に向けられている。
【0005】
約400の異なる種類の細菌およびバクテロイドがヒトおよび他の哺乳動物の消化管に存在することが知られており、これらは排泄物体積の約30%〜40%をもたらし得る。これらの既知のタイプのうち、約15のみの特徴および機能が何らかで詳しく研究されている。
【0006】
これらのタイプの細菌のそれぞれが消化管における自身の生態学的地位を占めており、また、それぞれが最適な生存および増殖速度のための特定の条件を有する。
【0007】
様々な疾患または障害の原因となり得る病原性細菌もまた、自身の特定の環境的領域または生息環境を占めている。病原性細菌とプロバイオティクス細菌との間での競合が様々な条件のもとで生じ得る。しかし、最大の競合作用が、病原性細菌およびプロバイオティクス細菌の両方の最適な生存および増殖速度のための条件が類似しているときに生じる。そのような条件のもとでは、生存は、栄養分または生育因子に対するより厳しい競合、ならびに、相乗的な栄養分利用、および、受容体部位に対する競合に依存する。抗菌性物質の産生、増殖の強さ、および、制限的環境の作出(免疫学的プロセスの誘導および上皮細胞の代謝回転の刺激を含む)などの要因もまた、そのような条件のもとでは重要な意味を有する。
【0008】
プロバイオティクス組成物が、非病原性大腸菌と、他の非病原性細菌との培養物を使用して開発されている(米国特許第5340577号;米国特許第5443826号;米国特許第5478557号;米国特許第5604127号)。
【0009】
大きな拮抗活性を有するラクトース陽性の非病原性大腸菌菌株がドイツおよびロシアにおいて凍結乾燥調製物として作製されている(例えば、大腸菌M17の凍結乾燥調製物Colibacterin siccumの使用、これは、Vidal Handbook:Pharmaceutical preparations in Russia(Astra Pharm Service、1997、Moscow)に記載される)。
【0010】
様々な研究が、乾燥されかつ非常に小さいカプセルに配合されるラクトバチルス属(Lactobactria)を使用して行われている(米国特許第5501857号、同第5614209号および同第5635202号)。それらの著者らは、そのようなマイクロカプセル化された調製物は、胃を通過する期間中において従来の形態よりも大きい安定性を有することを主張している。
【0011】
生細菌の保存における研究は、主として、その適用を簡略化するための改善された製造方法および技術的解決策に関して、凍結乾燥された調製物に向けられている(米国特許第5139792号および同第5401501号)。
【0012】
背景技術の特許はどれも、細菌細胞が(例えばフリーズドライ又は凍結乾燥により)乾燥されているが、対象の胃腸管と接触するようにされたとき迅速に「再活性化」されることができるか又は高レベルの生物学的活性を達成することができるプロバイオティクス組成物を教示も、示唆もしていない。実際、そのような乾燥組成物は、プロバイオティクス治療として劣った質の細菌を作り出すことが知られている。何故なら、細菌は対象の胃腸菌への侵入により増殖及び/又は他の生物学的活性を発揮することができないか、又はそのような増殖及び/又は他の生物学的活性を発揮することができる状態にゆっくりとのみ戻るからである。
【0013】
そのような迅速に活性化可能なプロバイオティクス組成物は、例えば、炎症性腸疾患のような疾患のためには明らかに必要とされる。
【0014】
炎症性腸疾患(またはIBD)は、胃腸管の関連するが、異なった慢性的な炎症性障害(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎(UC)、不確定大腸炎、顕微鏡的大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎など;クローン病および潰瘍性大腸炎が最も一般的な疾患である)を包含する総称的な用語である。胃腸管のもう1つの慢性的障害が過敏性腸症候群(IBS)である。
【0015】
ほとんどの患者について、IBDおよびIBSは、症状が数ヶ月から数年間にわたって続く慢性的な状態である。IBDおよびIBSは若年成人において最も一般的であるが、どの年齢でも発生し得る。IBDおよびIBSの症状は世界中で見出されるが、合衆国、英国および北ヨーロッパなどの工業化国では非常に一般的である。例えば、IBDは、合衆国だけで百万人の人々が罹っていることが推定され、西ヨーロッパでも同等の数の人々が罹っていることが推定される。
【0016】
IBDおよびIBSの正確な原因は未だ理解されていない。一般的な仮説では、例えば、免疫系における障害、および前炎症性サイトカインの作用、およびリンパ球サブセットの選択的活性化が含まれ、これらにより、腸における炎症性応答の抑制されない活性化が永続化する。病原性細菌および潜在的病原性細菌によって生じる代謝産物が免疫系における障害を引き起こすことがある。従って、これらの細菌はこの天然の乱れに関係することがあり、また、腸における微生物学的バランスの乱れに関連づけられ得る。そのような乱れはそれ自体が原因となることがあり、あるいは(または組合せで)、この乱れが次に免疫系の自己免疫反応および/または他の反応を生じさせ得ることが考えられる。例えば、IBSを罹っている患者では、そのような患者の80%までが腸系における細菌の過剰増殖を有することが近年に示されたが、この過剰増殖の治療により、症状の軽減または症状の停止さえもが多くのIBS患者でもたらされた(Mark Pimentel博士(Cedars−Sinai Medical Center、California)による研究から)。
【0017】
IBDおよびIBSには治療法がない。IBDまたはIBSに冒された患者は、一般には、現在、炎症プロセスを軽減すること、および、患者に対する炎症プロセスの影響を小さくすることに向けられている治療法により治療される。IBDの現在知られている医学的治療は、炎症性腸疾患の急性悪化の数、頻度および重篤度を軽減するために、また、二次的な合併症を防止するために意図されているが、いくら良くても、その結果は失望させるものである。
【0018】
IBDまたはIBSを治療するための現在知られている方法は、(i)IBDに対する実質的な治療法を提供することができず、むしろ、症状の治療を提供するだけであり、また、(ii)重篤な有害副作用が伴う薬物療法、または侵襲的な手術的治療のいずれかを含み、両者とも患者の生活の質に影響を及ぼすので、少なくとも一部のIBD罹患者またはIBS罹患者に解決策を提供することができない場合がある。
【0019】
原因が未知の及び/又は治療が不満足である胃腸管に関与する他の疾患は、顕微鏡的又はリンパ球大腸炎及びコラーゲン蓄積大腸炎を含み、これらは同一の疾患の変異を表しているのかもしれない。この疾患は、中年の女性が通常罹う増大する病弱な水っぽい下痢によって特徴付けられる。結腸鏡検査は粘膜の正常な外観を示すが、生検は炎症性細胞及び上皮リンパ球での粘膜固有層の湿潤を示す。コラーゲン蓄積大腸炎のみにおいてコラーゲンの上皮下帯が存在する。この疾患の病因は謎のままであるが、UC及びクローン病とほぼ同様に炎症過程が管腔の因子によって引起されるのかもしれないという証拠がある。この疾患はIBDとほぼ同様に5−アミノサリチル酸(5−ASA)医薬及びコルチコステロイドによって治療される。5−ASA生成物は、頭痛、悪心、疲労、腹痛及び悪化する下痢を生じうる。過敏感反応は、発疹、熱、肝炎、肺炎、溶血性貧血及び骨髄抑制に導きうる。コルチコステロイドの長期間の使用はとりわけクッシング病、高血糖、ざそう、筋肉の弱化、骨粗しょう症及び白内障を生じうる。
【0020】
さらに別のかかる疾患は結腸直腸癌である。結腸直腸癌の大部分は、病因にかかわらず、腺腫様ポリプから生じると考えられている。これらのポリプは粘膜から突出しており、内視鏡で見ることができる。規則的な一般的な胃腸スクリーニング及びポリプの除去は、今までのところ結腸癌を予防する最良の方法である。不幸なことに、結腸癌は米国の癌による死因の第二番目になお留まっており、これは主に規格化されたスクリーニングプログラムに対する満足できない固執のためである。特定の遺伝的症候群(例えば家族性ポリポーシス)は、大腸中の何千もの腺腫様ポリプの出現によって特徴付けられる。もし外科手術治療が行われないと、結腸直腸癌はほぼ全ての患者で40歳までに進行する。これらの個体において結腸癌を予防するためには、結腸全体を切除することが通常必要である。食物繊維摂取を増大させて飽和脂肪摂取を減少させることのような食事要因は役立つかもしれないが、結腸ポリプを予防して結腸直腸癌を予防する他の確実で迅速な方法は現在存在しない。スリンダク及びセレコキシブの如き非ステロイド性抗炎症薬はいくらかの見込みを保持する。しかし、これらの非ステロイド性医薬は腎不全、水腫及び高血圧などの有害な胃腸副作用をしばしば生ずる。
【発明の開示】
【0021】
背景技術は、迅速に活性化可能な細菌を乾燥状態で含む生物学的治療用組成物を教示も、示唆もしていない。背景技術はまた、微生物感染症、過敏性腸症候群(IBS)および炎症性腸疾患(IBD)(これらに限定されない)をはじめとする様々な腸障害を治療するためのそのような組成物を教示も、示唆もしていない。
【0022】
本発明は、背景技術のこの欠点を、乾燥形態の迅速に活性化可能な細菌を含む生物学的治療用組成物を提供することによって克服する。本発明はまた、活性化されたバイオマスを再構成して増大させてかかる組成物を投与するための装置、及びその治療方法も包含する。本発明はまた、生物学的治療用組成物自体の調製方法、並びにかかる組成物のための細菌の調製方法も包含する。
【0023】
本発明の生物学的治療用組成物は、第一の要素として、乾燥形態の細菌を含む。「乾燥形態」とは、細菌が、粉末、顆粒又は固形物を含むがこれらに限定されない乾燥形態にあることを意味する。「乾燥」とは、細菌の全水分率が好ましくは約10%未満、好ましくはより好ましくは約5%未満、最も好ましくは約1%未満であることを意味する。細菌は所望によりフリーズドライ又は凍結乾燥されていてもよいが、細菌を乾燥させる方法としてはいかなる方法も所望により用いられることができる。
【0024】
本発明の生物学的治療用組成物はまた、第二の要素として、対象への投与の前に乾燥細菌を湿潤させるための別個の湿潤成分を含む。湿潤成分は、例えば水性媒体の如き液体媒体を含むことが好ましい。より好ましくは、水性媒体は例えば滅菌塩溶液の如き溶液を含むが、所望により溶液は対象に投与するために好適ないかなる物質を含んでいてもよい。より好ましくは、対象はヒトであるが、所望により対象は下等哺乳類であることができる。代わりに湿潤成分は、プディング又はヨーグルトの如き半固体配合物、又はかかる濃度又はテキスチャーを有する他の配合物を含むことができる。しかし、所望により及び好ましくは、一以上の味又は臭いを改良するための薬剤がプロバイオティクス細菌自体と共に「乾燥」混合物中に含まれる。
【0025】
二つの要素は、組成物が対象に投与されるまで分離された状態で維持される。例えば、生物学的治療用組成物の二つの要素は、所望により装置の二つの分離された区画中に貯蔵されることができる。かかる装置の非限定的な例が以下に記述される。次に二つの要素は混合され、例えば飲料の形態で対象に投与される。
【0026】
本発明の所望のしかし好ましい実施形態によれば、生物学的治療用組成物のための細菌は、少なくとも一つの選択圧に従って選択されている。所望により、選択圧は、温度、時間(一定の期間にわたって貯蔵されたときの安定性)、及び浸透圧の少なくとも一つを含むことができる。本発明はまた、選択圧に従って細菌を選択し、そして細菌を乾燥することを含む生物学的治療用組成物の調製方法も提供する。所望により、以下で詳述するように、第二の要素(湿潤成分)又は乾燥された細菌の一つ又は両方は追加の賦形剤と混合されることができる。かかる賦形剤の非限定的な例は、香味剤、安定化剤、糖又は他のエネルギー源、緩衝剤などを含む。
【0027】
本発明はまた、その治療を必要としている対象に生物学的治療用組成物を投与することを含む、対象を治療するための方法を提供する。好ましくは、この方法は、装置の分離された区画中に組成物の二つの要素を提供し、次にこれらの二つの要素を対象に投与するために混合することを含む。好ましくは、この方法は、治療が所望または要求される胃腸疾患または胃腸障害を治療するためのものであり、この場合、そのような胃腸疾患または胃腸障害は、場合により、および、より好ましくは、微生物感染症(例えば、細菌感染症)および/またはIBDおよび/またはIBSを含むことができる。本発明はまた、AAD(抗生物質に関連した下痢)、ならびに、急性下痢の任意の形態、例えば、微生物(これには、腸管毒産生大腸菌、サルモネラ属細菌、プロテウス属細菌、シュードモナス属細菌、クロストリジウム属細菌、ブドウ球菌属細菌、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)などが含まれるが、これに限定されない)によって引き起こされる下痢、または、検出されない病原体によって引き起こされる下痢;旅行者下痢症の症状;病院環境における急性下痢を治療するために、また、同様に、下痢を伴うIBS(過敏性腸症候群)(粘液性または炎症性のいずれかであっても)の症状、および、放射線または化学療法によって引き起こされる下痢を治療するために有用である。
【0028】
本発明はまた、下記のような、胃腸管における微小生物叢の「異常」または「異常な」分布の存在に関連づけられる様々な疾患状態を治療するために有用である:IBD(炎症性腸疾患)(粘液性または炎症性のいずれかであっても)、痙攣性結腸、粘液性大腸炎、抗生物質に関連した大腸炎、特発性または単純性便秘、ならびに、特定の微生物(例えば、Clostridium difficile、Campylobacter jejuni/coliなど、およびCandidaなど)による慢性的な胃腸感染症;および、抗生物質、放射線療法または化学療法、腸感染、消化管手術、免疫不全、不都合な生態学的状況の影響(より大きな放射線および年齢変化を含む)によって引き起こされる消化管微生物バランスの乱れに起因する慢性的な下痢;顕微鏡的又はリンパ球大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、結腸ポリプ及び家族性ポリプ症候群(例えば家族性ポリポーシス症候群、ガードナー症候群)。
【0029】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物および方法は、所望により、食中毒、消化不良症状、または、急性下痢の症状発現、あるいは、検出されない病原体または未知の病因によって引き起こされる下痢を治療するために有用である。本発明はまた、場合により、腸管微小生物叢の微生物バランスの乱れによって、および/または、小腸における細菌の過剰増殖によって引き起こされるか、または維持される消化管の疾患および障害を治療するために有用である。本発明はまた、場合により、抗生物質治療、放射線療法または化学療法、消化管の疾患または障害(消化管手術を含む)から生じる消化管微小生物叢の微生物バランスの乱れレベルを防止するか、または低下させるために有用である。
【0030】
本発明のさらに他の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物および方法は、所望により消化管の外部の疾患、特定の食事要因および環境的要因から生じる消化管微小生物叢の微生物バランスにおける乱れを防止または治療するために有用である。本発明はまた、高齢者および抵抗力が低下した患者における胃腸管の生理学的活性を改善または正常化するために有用である。
【0031】
従って、本発明の1つの態様によれば、その必要性のある対象における炎症性腸疾患/過敏性腸症候群(IBDまたはIBSおよびその他)を治療する方法が提供される。この方法は、投与前に調製される混合物中に組成物の二つの要素を含む、混合された配合物でのプロバイオティクス大腸菌菌株の治療効果的な量を対象に経口投与することを含む。治療効果的な量は、好ましくは、投与あたり約10個〜約1012個の生細菌であり、1日あたり1回〜10回(好ましくは約2回〜4回)の範囲で投与される。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、混合された液体又は半固形配合物でのプロバイオティクス菌株(好ましくは大腸菌菌株)の治療効果的な量を対象に経口投与することを含む、微生物感染に対する治療方法が提供される。そこでは、二つの要素は分離されて保存されており、次に投与前に、好ましくは貯蔵用の二つの分離された区画を有する装置中で混合される。より好ましくは、要素は装置中で混合可能であり、次に対象に、所望により装置自体から投与されることができる。
【0033】
下記の表には、様々な疾患および障害を治療するための本発明による組成物の提案される用量が示されるが、この表は例示目的のためだけに意図され、いかなる点でも限定であることを望まない。用量は、その混合された形態で生物学的治療用組成物の測定に従って与えられる。

【0034】
本発明はまた、他の疾患の治療によって引き起こされる副作用のような障害をはじめとする免疫系の障害に苦しんでいる対象における免疫系を改善または正常化するためにも有用であり、そして同様に、家畜を治療するためにも有用である。
【0035】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、非病原性のラクトース陽性プロバイオティクス菌株(例えば、大腸菌M−17株など)は、単独で、あるいは、所望により、1つ以上の大腸菌菌株および/または他の細菌菌株と一緒に提供される。
【0036】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、混合された配合物(組成物の二つの要素の混合物を含む)は1mlあたり約10CFU〜約1012CFUのプロバイオティクス大腸菌菌株を含み、より好ましくは、1mlあたり約10CFU〜約1010CFUのプロバイオティクス大腸菌菌株を含む。
【0037】
本発明は、プロバイオティクス大腸菌菌株を用いて細菌感染症、及び/又は炎症性腸疾患/過敏性腸症候群(IBDまたはIBSまたはその他)を治療するための方法および生物学的治療用組成物を提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。そのような治療は、有効であり、安全であり、非侵襲性であり、かつ副作用がないので、上記に記載されるような疾患または障害、あるいは、他の疾患または障害を治療する現在の方法と比較したとき、非常に好都合である。
【0038】
本発明の1つの利点は、対象に投与する前に湿潤成分と乾燥細菌を混合するために、細菌のプロバイオティクス作用が、胃腸管に達したときに直ちに開始されることである。
【0039】
本発明のさらなる利点は、調製物が、細菌の生存能力の著しい喪失を伴うことなく、長期間にわたって貯蔵され得ることである。
【0040】
本発明はまた、生物学的治療用組成物の広い作用スペクトルの効能は、病原体を最初に特定し、抗菌性調製物に対するその感受性を明らかにすることなく、腸感染症を効果的に治療することを可能にし得るという利点を有する。
【0041】
図面の簡単な記述
本発明は、添付されている図面を参照して、例としてのみ、本明細書中に記載される。
図1は、本発明による装置の例示的実施形態を示す。
図2は、少なくとも二つの分離された区画を有する貯蔵及び/又は輸送形式の図1の装置の断面を示す。
図3は、少なくとも二つの分離された区画の内容物が混合された後の図1の装置の断面を示す。
図4は、図1の装置の少なくとも二つの分離された区画の内容物の混合を示す。
図5A及び図5Bは、図1の装置についての生じる混合物の投与のためのノズルの二つの例示的実施形態を示す。
図6は、本発明による装置についての別の例示的実施形態の断面を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明は、乾燥形態の迅速に活性化可能な細菌を含む生物学的治療用組成物の発明である。本発明はまた、活性化されたバイオマスを再構成して増大させてかかる組成物を投与するための装置、及びその治療方法も包含する。本発明はまた、生物学的治療用組成物自体の調製方法、並びにかかる組成物のための細菌の調製方法も包含する。
【0043】
本発明の生物学的治療用組成物は、第一の要素として、乾燥形態の細菌を含む。「乾燥形態」とは、細菌が、粉末、顆粒又は固形物を含むがこれらに限定されない乾燥形態にあることを意味する。「乾燥」とは、細菌の全水分率が好ましくは約10%未満、好ましくはより好ましくは約5%未満、最も好ましくは約1%未満であることを意味する。細菌は所望によりフリーズドライ又は凍結乾燥されていてもよいが、細菌を乾燥させる方法としてはいかなる方法も所望により用いられることができる。
【0044】
本発明の生物学的治療用組成物はまた、第二の要素として、対象への投与の前に乾燥細菌を湿潤させるための別個の湿潤成分を含む。湿潤成分は、例えば水性媒体の如き液体媒体を含むことが好ましい。より好ましくは、水性媒体は例えば滅菌塩溶液の如き溶液を含むが、所望により溶液は対象に投与するために好適ないかなる物質を含んでいてもよい。湿潤された組合せは、水又は非水性媒体中の懸濁液又は溶液を所望により含んでいてもよい。より好ましくは、対象はヒトであるが、所望により対象は下等哺乳類であることができる。代わりに湿潤成分は、プディング又はヨーグルトの如き半固体配合物、又はかかる粘稠度又はテキスチャーを有する他の配合物を含むことができる。湿潤成分はまた組成物の嗜好性を増大するための少なくとも一つの他の成分、例えば味、臭い又はテキスチャー、又はそれらの組合せに関する成分を含むことが好ましい。
【0045】
二つの要素は、組成物が対象に投与されるまで分離された状態で維持される。例えば、生物学的治療用組成物の二つの要素は、所望により装置の二つの分離された区画中に貯蔵されることができる。かかる装置の非限定的な例が以下に記述される。次に二つの要素は混合され、例えば飲料の形態(溶液又は懸濁物)及び/又はゲル、プディング、増粘されたペースト又は他の増粘された組成物、又はいかなる他の半固体配合物の如きのみ込むことができる又は他の摂取することができる半固体配合物として対象に投与される。代わりに、二つの要素は混合され、生物学的治療用成分はまず再活性化され、対象に投与される前に装置内で増殖される。
【0046】
投与の容易さは、対象への投与前に二つの要素を組合せる多くの利点の一つにすぎない。液体又は半固体組成物は、対象に(子供、高齢者及び/又は障害者に、又は丸薬又は他の固体用量形態をのみ込むのに困難性を感じるかもしれないいかなる他の対象にすら)比較的容易に投与されることができる。しかし、混合された組成物は、細菌が一層迅速に活性化(より好ましくは対象への組成物の投与前に)されるようになることを可能にする少なくとも一つの成分を含むことが好ましい。それ故、本発明の組成物は、細菌が乾燥形態で貯蔵されることを可能とし、なおかつ所望により対象に組成物の投与の前又は後に迅速な活性化のために「押しがけ(jump−started)」されることを可能にすることが好ましい。
【0047】
本発明の所望のしかし好ましい実施形態によれば、生物学的治療用組成物のための細菌は、少なくとも一つの選択圧に従って選択されている。「選択圧」とは、好ましくない条件であって、そこに細菌細胞がさらされてかかる条件で依然として生存可能である細胞が選択される条件を意味する。所望により、選択圧は、以下に詳述するように温度、時間(一定の期間にわたって貯蔵されたときの安定性)、及び浸透圧の少なくとも一つを含むことができる。
【0048】
本発明はまた、選択圧に従って細菌を選択し、そして細菌を乾燥することを含む、生物学的治療用組成物の調製方法を提供する。従って、細菌細胞は、代謝に好ましくない条件にさらされているときに依然として生存可能である細胞を選択するために、選択圧因子の適用によって最初に選択される。このような選択圧因子は、所望により、および、好ましくは、時間(ある時間の間貯蔵されたときの安定性)、温度および浸透圧の条件の少なくとも1つを含むことができる。従って、最大の生存能力を有する細菌が選択される。
【0049】
温度選択条件は、所望により、および、好ましくは、活発な生命維持の細胞代謝のための最適な範囲を超える温度に、好ましくは、40℃の温度に4日〜5日の期間にわたって細胞をさらすことを含む。
【0050】
好ましくは、細胞は、活発な生命維持の細胞代謝のための最適な温度範囲よりも低い温度に、好ましくは、2℃〜15℃の温度に1ヶ月〜12ヶ月の期間にわたって、より好ましくは、3ヶ月〜12ヶ月の期間にわたってさらすことによって選択することができる。
【0051】
本発明の方法によれば、選択された細菌は、好ましくは、選択された生存可能な非病原性細菌を含有するバイオマス(これは、所望により、および、好ましくは、1mlあたり約10コロニー形成単位〜約10コロニー形成単位(CFUs)の選択されたプロバイオティクス大腸菌を含む)の製造のために、増殖培地に接種するために使用される。懸濁培地は本質的には増殖培地を含まない。
【0052】
懸濁培地は所望により及び好ましくは、細菌細胞の生分解性成分の産生を妨げる条件のもとでの自己溶解を促進する。自己溶解は、所望により、機械的作用の適用によって、および/または、環境の構成によって増大させることができる。例えば、自己溶解を、細菌細胞の内側の浸透圧と、懸濁培地の浸透圧との間で浸透圧の不均衡を与えることによって誘導することができる。例えば、自己溶解を、低い浸透圧を有する好適な懸濁培地の使用によって、最も好ましくは、約0.3%〜約0.6%の塩化ナトリウム溶液の使用によって誘導することができる。
【0053】
あるいは、自己溶解を、細菌懸濁物の密度に対する変化によって、例えば、密度を、1mlあたりの細菌数(CFU;これら2つの用語は本出願では交換可能に使用されることに留意しなければならない)が好ましくは約1011個〜約1012個であるようにすることによって誘導することができる。
【0054】
同様に、あるいは、別の方法を、細菌の生分解成分の産生を妨げるために使用することができる。そのような方法の例には、例えば、超音波または他の方法が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
所望により及び好ましくは、第二の要素(湿潤成分)又は乾燥された細菌の一つ又は両方は追加の賦形剤と混合されてもよい。
【0056】
本発明の所望のしかし好ましい実施形態によれば、一つ以上の賦形剤は乾燥細菌と混合される。かかる賦形剤は所望により細菌が乾燥された後に、例えば賦形剤と粉末形態の細菌を混合することによって混合されることができる。
【0057】
代わりに又は追加的に、一以上の賦形剤は所望により液体形態で細菌に添加され、その後、組合せは乾燥されることができる。例えば、米国特許第6569424号(この文献はここに全てが記載されているかのように参照としてここに組入れる)は、細菌を炭水化物富化培地と組合せてそれにより細菌と培地が組合されて望ましい数の用量当り全生物が達成されるまで発酵されることが記載されている。生物学的治療用組成物の細菌成分は次に所望によりそして好ましくは濃縮されて凍結乾燥されてもよい。炭水化物富化培地は、当該技術分野で一般的ないかなるかかる培地も含む。本発明の一つの実施形態は、乳製品である炭水化物富化培地を含む。いかなる乳製品も好適であるが、ミルクが培地として特に有用である。
【0058】
本発明で使用するのに好適な賦形剤は例えば香味剤、安定化剤、糖又は他のエネルギー源、緩衝剤、増粘剤、希釈剤、分散助剤、乳化剤又は結合剤などを含む。
【0059】
安定化剤/乳化剤は当該技術分野では周知であり、製品の望ましい特性(例えばこく及びテキスチャー、粘度/粘稠度、外観及び口あたり)を増大して維持するために様々な食品製品で使用される。かかる安定化剤/乳化剤の例は以下のものを含むがこれらに限定されない:天然ガム;変性された天然又は半合成ガム;及び合成ガム。ゼラチン及び変性ゼラチンも所望により使用されることができる。本発明で使用されるのに好適な安定化剤/乳化剤の非限定的な例は、Tamine and Robertson,Yoghurt Science and Technology 1985,Pergamon Pressに見出されることができ、この文献はここに全てが記載されているかのように参照としてここに組入れる。
【0060】
安定化剤/乳化剤は約0.1〜約25重量%の濃度で使用されることができる。濃度は、製品の種類、澱粉及び/又は食物繊維(又は使用されるいかなる他のキャリア成分)の量、及びプロバイオティクス微生物に応じて変化しうることは理解されるであろう。
【0061】
本発明による生物学的治療用組成物は、所望によりそして好ましくはキャリアを含み、これは、少なくとも胃腸管と接触して配置される前に、しかし所望により胃腸管に投与した後に、微生物のための増殖培地又は維持培地として作用する。かかるキャリアは所望により乾燥細菌に及び/又は湿潤成分に又は両方に含まれることができる。代わりに、多数のかかる要素が、乾燥細菌を第一の要素として、キャリアを第二の要素として、及び湿潤成分を第三の要素として与えられることができる。他のかかる要素も所望により与えられることができる。好ましくは、かかる要素は単一の装置の分離された区画中に包装され、より好ましくは装置内で混合されることができる。
【0062】
キャリアのための好適な成分の例は以下のものを含むがこれらに限定されない:トレハロース、マルト−デキストリン、米粉、微小結晶質セルロース(MCC)、ステアリン酸マグネシウム、イノシトール、FOS、グルコオリゴ糖(GOS)、デキストロース、スクロース、タルクなど。本発明で使用するのに好適な追加のキャリアは当業者には自明であろう。
【0063】
もしキャリアが蒸発された油(これは組成物が凝結する傾向(成分胞子、塩、粉末及び油の付着)を作り出す)を含むなら、成分を分散させて凝結を防止する乾燥充填剤を含むことが好ましい。例示的な凝結防止剤は、MCC、タルク、珪藻土、非晶質シリカなどを含み、典型的には約1重量%〜約95重量%の量で添加される。
【0064】
キャリアはまた、細菌の再水和のための再水和配合物を含み、これはグルコース、クエン酸カリウム、塩化ナトリウム及び/又はクエン酸ナトリウムを好適な再水和配合物の非限定的な例として含む。
【0065】
コーンスターチ、グアーガム、キサンタンガムなどの周知の増粘剤が組成物に添加されてもよい。メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール及びエチレンジアミンテトラアセテート塩を含む保存剤がキャリアに含まれてもよい。周知の香味剤及び/又は着色剤がキャリアに含まれてもよい。組成物はグリセロール又はプロピレングリコールの如き可塑剤を含んでいてもよい。
【0066】
湿潤成分は水性又は油性のベースを所望により含んでいてもよく、その例は白ペトラタム、イソプロピルミリステート、ラノリン又はラノリンアルコール、鉱物油、芳香油又は精油、ノウゼンハレン属の植物の精油、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール(一緒に又は様々な組合せで)、ヒドロキシプロピルセルロース(MW=100000〜1000000)、界面活性剤(例えばポリオキシルステアレート又はラウリル硫酸ナトリウム)である。代わりに又は追加的に、乾燥形態の一つ以上のベース成分は所望により乾燥された細菌と混合されることができ、及び/又は別個のキャリア要素として存在することができる。乾燥された細菌と(及びもし必要なら別個のキャリア要素と)混合されるとき、これらの二つの要素の組合せは所望によりそして好ましくはローション、ゲル、クリーム又は半固体組成物を形成する。
【0067】
他の好適な湿潤成分は、油中水形又は水中エマルション及び乳化剤と緩和剤の溶媒との混合物を含み、この溶媒は例えばステアリン酸スクロース、スクロースココエート、ジステアリン酸スクロース、鉱物油、プロピレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ポリオキシプロピレン−5−ステアリルエーテル及び水である。例えば、水、ステアリン酸グリセロール、グリセリン、鉱物油、合成鯨脳、セチルアルコール、ブチルパラベン、プロピルパラベン及びメチルパラベンを含むエマルションが商業的に入手可能である。
【0068】
本発明はまた、その治療を必要としている対象に生物学的治療用組成物を投与することを含む、対象を治療するための方法を提供する。好ましくは、この方法は、装置の分離された区画中に組成物の二つの要素を提供し、次にこれらの二つの要素を対象に投与するために混合することを含む。好ましくは、この方法は、治療が所望または要求される胃腸疾患または胃腸障害を治療するためのものであり、この場合、そのような胃腸疾患または胃腸障害は、場合により、および、より好ましくは、微生物感染症(例えば、細菌感染症)および/またはIBDおよび/またはIBSを含むことができる。本発明はまた、AAD(抗生物質に関連した下痢)、ならびに、急性下痢の任意の形態、例えば、微生物(これには、腸管毒産生大腸菌、サルモネラ属細菌、プロテウス属細菌、シュードモナス属細菌、クロストリジウム属細菌、ブドウ球菌属細菌、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)などが含まれるが、これに限定されない)によって引き起こされる下痢、または、検出されない病原体によって引き起こされる下痢;旅行者下痢症の症状;病院環境における急性下痢を治療するために、また、同様に、下痢を伴うIBS(過敏性腸症候群)(粘液性または炎症性のいずれかであっても)の症状、および、放射線または化学療法によって引き起こされる下痢を治療するために有用である。
【0069】
本発明はまた、下記のような、胃腸管における微小生物叢の「異常」または「異常な」分布の存在に関連づけられる様々な疾患状態を治療するために有用である;IBD(炎症性腸疾患)(粘液性または炎症性のいずれかであっても)、痙攣性結腸、粘液性大腸炎、抗生物質に関連した大腸炎、特発性または単純性便秘、ならびに、特定の微生物(例えば、Clostridium difficile、Campylobacter jejuni/coliなど、およびCandidaなど)による慢性的な胃腸感染症;および、抗生物質、放射線療法または化学療法、腸感染、消化管手術、免疫不全、不都合な生態学的状況の影響(より大きな放射線および年齢変化を含む)によって引き起こされる消化管微生物バランスの乱れに起因する慢性的な下痢。
【0070】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物および方法は、所望により、食中毒、消化不良症状、または、急性下痢の症状発現、あるいは、検出されない病原体または未知の病因によって引き起こされる下痢を治療するために有用である。本発明はまた、場合により、腸管微小生物叢の微生物バランスの乱れによって、および/または、小腸における細菌の過剰増殖によって引き起こされるか、または維持される消化管の疾患および障害を治療するために有用である。本発明はまた、場合により、抗生物質治療、放射線療法または化学療法、消化管の疾患または障害(消化管手術を含む)から生じる消化管微小生物叢の微生物バランスの乱れレベルを防止するか、または低下させるために有用である。
【0071】
本発明のさらに他の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物および方法は、所望により消化管の外部の疾患、例えば特定の食事要因および環境的要因から生じる消化管微小生物叢の微生物バランスにおける乱れを防止または治療するために有用である。本発明はまた、高齢者および/または抵抗力が低下した患者における胃腸管の生理学的活性を改善または正常化するために有用である。
【0072】
従って、本発明の1つの態様によれば、その必要性のある対象における炎症性腸疾患/過敏性腸症候群(IBDまたはIBSおよびその他)を治療する方法が提供される。この方法は、投与前に調製される混合物中に組成物の少なくとも二つの要素を含む、混合された配合物でのプロバイオティクス大腸菌菌株の治療効果的な量を対象に経口投与することを含むことが好ましい。治療効果的な量は、好ましくは、投与あたり約10個〜約1012個の生細菌であり、1日あたり1回〜10回(好ましくは約2回〜4回)の範囲で投与される。
【0073】
本発明のさらなる態様によれば、混合された液体又は半固形配合物でのプロバイオティクス菌株(好ましくは大腸菌菌株)の治療効果的な量を対象に経口投与することを含む、微生物感染に対する治療方法が提供される。そこでは、二つの要素は分離されて保存されており、次に投与前に、好ましくは貯蔵用の二つの分離された区画を有する装置中で混合される。より好ましくは、要素は装置中で混合可能であり、次に対象に、所望により装置自体から投与されることができる。
【0074】
本明細書中で使用される用語「方法」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これらには、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の当業者によって知られているか、または、知られている様式、手段、技術および手順からそのような当業者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書中において、用語「治療する」は、疾患の進行を妨げること、または実質的には阻害すること、または遅くすること、または取り消すこと、あるいは、疾患の臨床的症状を実質的に改善すること、あるいは、疾患の臨床的症状の出現を実質的に防止することを包含する。
【0076】
用語「防止する」は、対象が障害または疾患を最初に獲得することを禁じることを示す。
【0077】
本明細書中で使用される表現「炎症性腸疾患(IBD)」は、GI管における炎症性活動によって特徴づけられる障害または疾患を示し、これには、粘液形態のIBDが含まれ得る。本発明のプロバイオティクス菌株によって治療可能であるIBDの例には、クローン病(遠位性および近位性の両方)、潰瘍性大腸炎、不確定大腸炎、顕微鏡的大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、小腸および/または近位腸の特発性炎症、ならびに、IBDに関連した下痢が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書中で使用される用語「投与する」は、プロバイオティクス大腸菌菌株(1つ以上)または他の菌株(1つ以上)を疾患または障害によって冒されているGI管内の領域または部位に届けるための方法を示す。
【0079】
用語「治療効果的な量」は、治療されている疾患または障害の症状の1つ以上を少なくともある程度緩和する、投与されているプロバイオティクス大腸菌菌株または他の菌株のそのような量を示す。
【0080】
以降、用語「対象」は、治療剤が投与されるヒトまたは下等動物を示す。
【0081】
投薬は、症状の重篤度、および、治療剤に対する対象の応答性に依存する。当業者は、最適な投薬量、投薬方法論および反復割合を容易に決定することができる。
【0082】
治療効果的な量は、本発明の方法によれば、好ましくは、投与あたり約10個〜約1012個の生細菌の範囲であり、より好ましくは、投与あたり約10個〜約1010個の生細菌の範囲であり、より好ましくは、投与あたり約10個〜約1010個の生細菌の範囲であり、最も好ましくは、投与あたり約5x10個〜約2x1010個の生細菌の範囲である。
【0083】
本発明による投与回数は、好ましくは、1日あたり1回から10回の投与に及び、より好ましくは、1日あたり1回から5回の投与に及び、最も好ましくは、1日あたり2回から4回の投与に及ぶ。1日に投与される生細菌の総量は、好ましくは、1日あたり約10個〜約1011個の生細菌の範囲である。だが、1日に投与される生細菌の総量は、所望により、1日あたり約10個〜約1012個の生細菌の範囲である。
【0084】
本発明のプロバイオティクス菌株は、好ましくは、本明細書中下記に詳しく記載され、また、下記の実施例の節においてさらに例示されるように、最初は乾燥組成物として配合されるが、液体又は半固体配合物として投与される。
【0085】
本発明の所望のしかし好ましい実施形態によれば、乾燥された細菌と湿潤成分(及びもし必要なら別個のキャリア)の混合物は対象への投与前に放置される。所望により、混合物は少なくとも予め決められた時間の間放置される。代わりに、混合物は、少なくとも混合物のpHの変化(所望によりpH感受性物質の色の変化を通して測定される)又は光学密度の増大(これは細菌が少なくともいくらか活性化されたことを示す)の如き特定の終点が到達されるまで放置される。かかる予備活性化は、本発明の生物学的治療用組成物の細菌が例えば直ちに治療的に活性になるか、又は少なくとも経口投与直後に治療的に活性になることを生ずる。なぜなら、腸管におけるバイオマス生成がほとんど又は全く要求されないことが好ましいからである。
【0086】
本発明によるプロバイオティクス菌株の混合物は一旦調製されると、等浸透圧量の塩を所望により含むことができ、以下に詳述するように他の成分をさらに含むことができる。好ましくは、生じた混合物は、生存能力を維持するために好ましいpHを有する。
【0087】
本発明によるプロバイオティクス菌株の調製された混合物は、典型的には、1mlあたり約10CFU〜約1012CFU(コロニー形成ユニット)のプロバイオティクス大腸菌菌株(又は他の菌株)を含む。好ましくは、混合物は1mlあたり約10CFU〜約1010CFUを含み、より好ましくは、1mlあたり約10CFU〜約10CFUを含む。
【0088】
非病原性のラクトース陽性大腸菌(例えば、M17株およびNissle株など)は、健康に役立つ好気性微小生物叢の主要群をヒトおよび動物の腸において構成しており、これらは微生物学的バランスを提供し、かつ、栄養および免疫性において重要な役割を果たしているので、本発明で使用するための好ましい細菌菌株の例である。
【0089】
この細菌菌株は、下痢を引き起こす原因となっている腸管病原体の大部分と同じ系統発生的群に属しており、従って、それらの生存条件は大部分が類似しており、そのため、これらの菌株の間での大きなレベルの競合的排除が生じる。この競合的作用には、プロバイオティクス細菌の増殖期間中における抗菌性物質の産生、栄養分および成長因子に対する競合、相乗的な栄養利用、ならびに、受容体部位に対する競合が含まれる。
【0090】
細菌病原体に対する本発明の生物学的治療用組成物の拮抗作用が、標準の凍結乾燥された調製物に由来するプロバイオティクス細菌の拮抗作用よりもかなり大きいことが見出された。「拮抗(的)」によって、特定の細菌菌株が他の細菌または他の微生物の増殖を弱めることができることが意味されることに留意しなければならない。
【0091】
主として塩酸を含む胃酸の作用は多くの細菌の死を引き起こすことが知られている。乾燥された形態での細菌は、液体培地に含有される細菌よりも弱く、従って、胃酸の作用をより受けやすい。従って、本発明の生物学的治療用組成物に含有される細菌は、混合物の調製後、胃を通過するとき、標準の凍結乾燥された調節物における細菌よりも安定である。典型的なプロバイオティクス細菌(例えばラクトバチルス属の細菌やビフィドバクテリウム属の細菌)は、増殖を開始し、その拮抗的性質を発揮する前に結腸に進入する。しかしながら、腸管病原体の大部分に対する最初の作用部位は結腸でなく、胃腸管の上部部分である。知られているプロバイオティクス調製物は、生細菌の競合的濃度を腸の上部部分に送達することができず、従って、事実上、急性の細菌性下痢、および、腸の上部区域におけるミクロ生態学的バランスの乱れによって引き起こされる状態を除くことにおいて効果がない。
【0092】
本発明の生物学的治療用組成物の調製において、最大の拮抗活性を有し、かつ、長期間にわたる貯蔵(好ましくは約12ヶ月までの貯蔵)のもとで最も持続する細菌細胞を有する大腸菌細胞(または他の細菌細胞)が、より好ましくは、有益なプロバイオティクス性質を有するラクトース陽性の非病原性大腸菌種から最初に選択される。
【0093】
本発明の生物学的治療用組成物において使用される大腸菌細胞または他の細菌は、選択された細胞のみが依然として生存可能であるように、選択圧を細胞に及ぼすことによって所望により及び好ましくは選択される。選択圧の適用は、長期間の生存能力を有する細胞が選択されるような時間圧(経時的な安定性)の使用;浸透圧の適用;基礎代謝の低下;または、温度の上昇によって達成することができる。温度による選択は、所望により、および、好ましくは、細胞を約40℃の温度に少なくとも4日間さらすこと、および/または、より高い温度に、より短い期間さらすことを含む。これらの手段によって、大きい生存能力を有する細胞のみが最初の培養物から選択される。
【0094】
選択された細菌細胞は、増殖培地への接種のために使用された。好適な増殖培地には、好ましくは、背景技術において知られているような必要な栄養分、増殖因子などのすべてが含まれる(例えば、“Manual of Methods for General Bacteriology”(P.Gerhardt編、American Society for Microbiology、Washington,D.C.、米国、1981)に記載される栄養分、増殖因子など)。
【0095】
グラム陰性細菌(特に大腸菌)の細胞内部の浸透圧が対数増殖期では約15気圧にまで達し、また、増殖の定常期では2気圧〜約3気圧に達し得ることが知られている。本発明の方法の好ましい実施形態において、低い浸透圧(好ましくは1気圧未満、より好ましくは約0.3気圧〜約0.4気圧)を有する懸濁培地が使用される。本発明の生物学的治療用組成物のための菌株の最初の調製段階のときにおける浸透圧の不均衡および大きい細菌密度は、対数期において、最も弱く、かつ最も小さい定常的細菌細胞の自己溶解のための条件をもたらす。これらの溶解した細胞は、懸濁培地における細菌由来の細胞成分の蓄積をもたらし、これにより、残存する細胞の栄養学的要求を提供する。この手法を使用して、1011細菌/ml(CFU)〜約1012細菌/ml(CFU)の細胞濃度が得られた。だが、再度ではあるが、所望により、細胞濃度はより広い範囲で存在し得る。
【0096】
本発明の生物学的治療用組成物はヒトおよび動物の治療において使用することができる。
【0097】
本発明の追加の目的、利点及び新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
【実施例】
【0098】
本発明の生物学的治療用組成物の配合、調製、投与のための装置および使用が、下記の非限定的な実施例を参照して例示される。
【0099】
(実施例1):細菌の調製プロセス
選択された細菌を、自己溶解物を作製するために、0.3%〜0.6%のNaCl溶液において1011CFU/ml〜1012CFU/mlの範囲にある高濃度物の形態でバイオマスを形成させるための生育のために最初に調製する。
【0100】
液体培地:
細菌バイオマスの調製のために、通気を伴う標準的な発酵槽を使用することができる。細菌の増殖のために必要な栄養分を2段階で加える:第一段階では、元のバッチ培地の一部として、そして第二段階では、製造反応槽中の栄養分涸渇の後、連続的な補足供給溶液として加える。
【0101】
典型的な発酵プロセスでは、培地は、好適な窒素源、グルコース、塩化ナトリウム、ならびに、中性またはわずかに塩基性のpH(7.2±0.2)を提供するために十分なリン酸二ナトリウムおよびリン酸一カリウムの組合せからなり得る。
【0102】
例示的な培地は、リン酸塩(例えばリン酸ナトリウム及びリン酸カリウム);硫酸マグネシウム;ハロゲン化物塩(例えば塩化ナトリウム、塩化アンモニウム及び塩化カルシウム);微量無機物及びニコチン酸を、エネルギー源としてのグルコースと共に含む。
【0103】
さらなる栄養分が、細菌が増殖する過程の期間中に、栄養培地に自動的に供給される。
【0104】
さらなるグルコースを、発酵液中のグルコース濃度が一定レベルで保たれるような方法で培養物の増殖に従って連続して加えなければならない。
【0105】
さらなる通気(0.5vvm)が細菌増殖の全期間中に行われる。
【0106】
発酵液のpHを、4NのNHOHの連続した添加によって中性に保つことができる。
【0107】
培養液は、増殖サイクルの定常期に達するまで約32℃〜約36℃の温度でインキュベーションされる。
【0108】
16時間〜18時間の後、細胞を、総窒素の残存量が1mlの懸濁物あたり10個〜10個の微生物細胞の細胞濃度について0.3%以下(好ましくは0.03%以下)であるレベルにまで、遠心分離または限外ろ過によって集め、生理的食塩水に再懸濁して、再沈殿させる。
【0109】
1011個〜1012個の細菌の懸濁物を、4℃〜8℃に冷却された0.4%〜0.6%のNaCl溶液において調製し、冷蔵条件下で貯蔵する。この段階(および/または対象への投与)のための細菌の濃度は所望により約10細菌/ml〜約1012細菌/mlの範囲であってもよいことに留意しなければならない。
【0110】
固体培養培地:
非病原性大腸菌を、本発明に従って細菌バイオマスの最大蓄積をもたらす栄養分の組成を使用して固体培地において増殖させた。
【0111】
培地は所望により、及び好ましくは窒素源、デキストロース、塩化ナトリウム及び寒天を含む。培地の最終pHは好ましくは約7である。
【0112】
培地の例示的組成は下記の通りである:

【0113】
調製された培地を、5ミリメートル〜7ミリメートルの層厚で対応するマトリックスに注ぐ。冷却後、培地に大腸菌M−17の細菌培養物を播種する。
【0114】
マトリックスをインキュベーターに入れ、最適な温度(34℃〜38℃)で約24時間〜28時間、好気的条件下でインキュベーションする。この手順により、1mlの培地あたり1010個〜1011個の細胞が得られた。
【0115】
この期間の後、単離された純粋な培養物は、細菌が、液体(または少なくとも実質的な量の液体)をプレートに導入することなく、スパチュラなどの道具により取り出される「乾式法」によってプレートから取り出さなければならない。この目的のために、バイオマス回収のための特別な調節装置が使用されている。
【0116】
1011CFU〜1012CFUの細菌の懸濁物を0.4%〜0.6%のNaCl溶液において調製する。懸濁物を本発明の時間及び貯蔵圧の実施形態で、所望により及び好ましくは冷蔵条件下で貯蔵する。
【0117】
(実施例2):生物学的治療用組成物の調製−例示的方法
本発明による組成物は、所望により、下記の例示的な方法に従って調製することができる。プロバイオティクス大腸菌(10細胞〜10細胞)(これは所望により種菌ストックに由来する)を、標準的な微生物発酵技術を使用して液体培地成分または固体培地成分に接種する。増殖条件には、好ましくは、連続通気、中性pHの維持およびグルコースの補充が含まれる。この生物は、好ましくは、いかなる点でも遺伝子操作されておらず、むしろ、正常なヒトの胃腸管から得られた微小生物叢から単離されている。
【0118】
製造は、所望により、及び好ましくは、下記の重要な制御点に関して制御される:
・培養物を受け取るとき、および、培養物を取り扱うときに払われるべき予防的措置;
・適切な培養条件を保証するための制御手順;
・無菌性の維持;
・完成した製造物におけるプロバイオティクス細菌の妥当なレベルを保証するための制御手順。
【0119】
所望により、及び好ましくは、種菌ストックそのものを下記のように調製することができる。大腸菌M−17の1つの凍結乾燥バイアルを−80℃での貯蔵から取り出し、室温で解凍し、その後、滅菌されたトリプシン消化ダイズ培養液(Difco)を含有する無菌のバッフル付振とうフラスコに無菌的に移す。15時間〜20時間の増殖の後、培養物を顕微鏡で調べ、Bacto m Endo Agar LESプレートに画線して純度について調べる。
【0120】
反応槽の準備
それぞれの反応槽は回分処理され、培地を入れて滅菌される。デキストロースは別個に滅菌され、培養物を接種する前に2.5g/Lの濃度に加えられる。
【0121】
反応槽への接種
種菌培養物をバイオリアクターに無菌的に移し、培養物を、温度、pH、撹拌および溶存酸素の確立された条件のもとで増殖させる。3.5g/L〜3.9g/Lのグルコース供給を接種後4時間から開始する。18時間〜22時間の増殖の後、培養物を顕微鏡で調べ、Bacto m Endo Agar LESプレートに画線して純度について調べる。その後、反応槽は捕集のために10℃未満に冷却される。
【0122】
精密ろ過
バイオリアクターの内容物を、0.2μmの細孔サイズのタンジェンシャルフロー精密ろ過ユニットを使用する濃縮によって集める。濃縮物を、5体積の無菌の生理的食塩水を用いて透析し、その後、4℃〜6℃での貯蔵のための無菌のビンに入れる。サンプルを顕微鏡で調べ、Bacto m Endo Agar LESプレートに画線して純度について調べ、そして、トリプシン消化ダイズ寒天プレートに置床することによって数を数える。
【0123】
精密ろ過の代わりに、バイオリアクターの内容物は、回分式又は連続的な遠心分離及び無菌培地又は塩溶液での繰返しの洗浄によって集められ、次に無菌の瓶に入れられてもよい。
【0124】
(実施例3):投与のための例示的装置
この実施例は、本発明による生物学的治療用組成物の貯蔵及び投与のための多数の異なる非限定的例示装置の実施形態を記述する。
【0125】
図1に関して示されるように、本発明による例示的装置100は、複数の区画(図1には示されていない。図2参照)を含むための本体102を有する。本体102は、対象への混合物の投与のためのノズル104と連通していることが好ましい。ノズル104はカバー106で被覆されていることが好ましく、このカバー106は投与が行われるために除去されることができる。
【0126】
本体102は複数の部分に分割されることが好ましく、その機能は図2及び図3に関して以下に詳述される。装置100はハンドル112を与えられていることも好ましく、その機能も図2及び図3に関して以下に詳述される。
【0127】
図2及び図3は装置100の断面図を示す。図2では装置100はセパレータ204によって分離された二つの区画200及び202を有するものとして示されている。区画200は所望により及び好ましくは湿潤成分206を含み、一方区画202は所望により及び好ましくは乾燥された細菌208を含むが、これらの部分は逆にされることもできる。所望により、別個のキャリアが別個の区画(図示せず)に存在してもよく;代わりにキャリアは所望により乾燥された細菌及び/又は湿潤成分と混合されてもよい。
【0128】
図2について装置100は貯蔵及び/又は輸送のための好適な構造で存在する。少なくとも湿潤成分206及び乾燥された細菌208を含む生物学的組成物の要素が対象への投与の前に混合される場合、ハンドル112は握られ、図3に関して示されるようにセパレータ204に穴を開け及び/又はセパレータ204を除去するように操作される。以下、「少なくとも部分的に除去される」は、穴を開けられること、脱離されること、除去されること及び分離されることを含む。
【0129】
図3の所望の実施形態では、ハンドル112は所望により、プランジャー300がセパレータ204に対して押されてセパレータ204が少なくとも部分的に除去又は脱離されるように押され又はねじられる。所望により、プランジャー300はばね302を有し、その緊張がハンドル112をねじることによって増大され、その緊張は次にプランジャー300をセパレータ204に対して押しつけさせる。プランジャー300は所望により区画202中に存在することができるが、プランジャー300は所望により区画202から壁(図示せず)によって分離されていることができる。
【0130】
一旦セパレータ204が穴を開けられ、又は少なくとも部分的に除去又は脱離されると、区画200と202の内容物は図4に関して示されるように混合される。混合物が投与のために準備されると、混合物(参照番号500として示す)は好ましくは図5A及び図5Bに関して示されるようにカバー106の除去後に装置100から外に流出させられる(明確さのために全ての参照番号は示されていない)。ノズル104の開口の構成に応じて、混合物500は所望により大きな開口502を通って流出することができ、又は代わりに混合物は小さな開口504を通って滴下されることができる。
【0131】
図6は本発明によるディスペンシング装置の第二の実施形態を示す。示されるように、ディスペンシングシステム600は下部容器602を有し、これは所望により例えば瓶の形態であることができる。ディスペンシングシステム600はまた、好ましくは上部容器604を有する。上部容器602及び下部容器604の一方は湿潤成分を貯蔵することが好ましく、他方は乾燥された細菌を貯蔵することが好ましい。好ましくは、下部容器602が湿潤成分を貯蔵し、これは例えば水溶液であることができ、一方上部容器604は乾燥された細菌を貯蔵するが、この構造は逆転させることもできる。
【0132】
いずれの場合でも、上部容器604の内容物が下部容器602の内容物と混合されるためには、上部容器604は上部容器604の下方部分606を通して下部容器602と連通するようになることができることが好ましい。下方部分606の第一部分は破壊されるための解放切り込み線608を有することが好ましく、下方部分606の第二部分は上部容器604に下方部分606をヒンジ結合させるためのヒンジ切り込み線610を有することが好ましい。圧力が解放切り込み線608に加えられると、解放切り込み線608は破壊され、一方下方部分606はヒンジ切り込み線610にぶらさがり、それにより上部容器604中に開口を作り出す。次に、上部容器604の内容物は下部容器602の内容物と自由に混合されることができる。
【0133】
示されるような好ましい実施形態について、上記容器604は示されるように下部容器602の上に、下部容器602の首の内に吊り下げられることが好ましい。この吊り下げは所望により及び好ましくは上部容器604をプランジャー612に取付けることによって達成され、このプランジャー612はプランジャーハンドル614及びプランジャー部分616を有する。プランジャー部分616は所望により示されるように上部容器604の一部分を形成することができるが、いずれの場合でも下方部分606に突っ込むことができるように接続されることが好ましい。一旦圧力がプランジャーハンドル614を通してプランジャー部分616に加えられると、かかる圧力は上述のように解放切り込み線608の破壊を引き起こすことが好ましい。
【0134】
上記容器604及び下部容器602を取付けるために、上部容器604の少なくとも一部及び下部容器602の少なくとも一部(首の如き)の両方が内側キャップ618に取付けられることが好ましい。プランジャー612(又はハンドル614の如き少なくとも露出された部分)は保護キャップ622によって保護されることが好ましく、この保護キャップ622は示されるように外側キャップ620にスナップ留めされることが好ましい。
【0135】
使用者が生物学的治療用配合物の内容物を飲みたいか又は摂取したい場合、好ましくは使用者は保護キャップ622を除去してハンドル614を通してプランジャー612を押し下げる。生じる圧力は解放切り込み線608を破壊し、下方部分606がヒンジ切り込み線610にぶらさがるようにし、それにより上部容器604中に開口を作り出す。次に上部容器604の内容物は下部容器602の内容物と自由に混合される。次に内側キャップ618が上部容器604などと共に除去され、使用者が下部容器602から配合を小出しすることを可能にする。
【0136】
(実施例4):生物学的治療用組成物を用いた治療方法
上記で記されたように、本発明の生物学的治療用組成物は、微生物感染、IBSおよびIBD(これらに限定されない)をはじめとする胃腸の疾患および状態に対する効果的な治療であることが示されている。下記の実施例は、そのような胃腸疾患または胃腸障害(または治療を必要とする状態)、および、任意の他の好適な状態を、本発明の生物学的治療用組成物を用いて治療する方法の例示にすぎず、従って、限定であることは意図されない。
【0137】
この方法は、少なくとも乾燥された細菌及び湿潤成分、そして所望によりキャリア(もし分離されているなら)を混合して混合物を形成させることによって生物学的治療用組成物を調製することを含む。湿潤成分は所望により液体又は半固体配合物であることができる。この工程は所望により、上述のように要素をそれらが混合物に混合されるまで分離された区画に保持する装置中で要素を混合することによって行われることができる。次に、混合物は好ましくは細菌の活性化のために放置される。次に、混合物は治療されるべき対象に、例えば混合物を飲むか又はのみ込むことによって投与される。
【0138】
生物学的治療用組成物の混合物は、好ましくは胃腸疾患、障害又は状態又は対象におけるいかなる他の症状の徴候の不存在、又は対象におけるかかる疾患、障害、状態又は症候の出現の防止の如き予め規定された終点が到達されるまで、効果的な用量方法論に従って、医薬的に効果的な量で投与される。
【0139】
(実施例5):下痢の治療
この実施例は、サルモネラ菌によって引き起こされる急性下痢及び未知の原因の食中毒(旅行者下痢を含む)の状態を解消する効果の非限定的な例示であり、一日あたり患者に投与されたプロバイオティクス細菌の量が示される(用量依存的効力)。
【0140】
有意な数の患者が本発明の生物学的治療用組成物の混合物の様々な治療的に効果的な量で治療される。これらの量は所望により一日あたり100億〜2000億の生きた細菌の範囲であり、4〜6用量(又は他の好適な数の用量)に分割される。かかる投与は、下痢の症候及び効果に対する本発明の用量依存的効力を実証する。
【0141】
(実施例6):追加の調製実施形態
この実施例は、本発明による生物学的治療用組成物を調製する方法の他の例示的実施形態を提供する。この製品を作り出す基本的な方法は所望により以下のようにして行われることができる:
大腸菌ATCC202226を発酵器中で高細胞密度まで増殖させる;
細胞を除去して洗浄して、最後にそれらを望ましい密度にスクロース−リン酸緩衝液中に再懸濁する;
この懸濁液の少量を二相容器の一つの相中で風乾又は凍結乾燥させ、前記少量が第二相の液体中で水和されて望ましい濃度を作り出すのに十分なスクロースを含むようにする;
好ましくは炭水化物なしの好適な増殖培地を第二相中の一用量中に調製し、他の区画に配置し;
製品が使用される前の予め決められた時間に二つの区画を混合して予め決められた時間の間、室温でインキュベートする;
最終製品中の増殖量は、炭素源として存在するスクロースの量の関数になるであろう。
【0142】
注:設計された通りのこの工程は、増殖のためにスクロースを使用することができる細菌株で効力がある。
【0143】
分かりやすくするため別個の実施態様で説明されている本発明のいくつもの特徴は、組み合わせて単一の実施態様にして提供することもできることは分かるであろう。逆に簡略化するため単一の実施態様で説明されている本発明の各種特徴は、別個に又は適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0144】
本発明を、その具体的実施態様とともに説明してきたが、多くの変形と変更が当業技術者には明らかであることは明白である。したがって、本発明は、本願の特許請求の範囲の精神と広い範囲内に入っているこのような変形と変更をすべて含むものである。本明細書に記載のすべての刊行物、特許及び特許願は、あたかも、個々の刊行物、特許又は特許願各々が、本願に具体的にかつ個々に参照して示されているように、本願に援用するものである。さらに、本願における任意の文献の引用もしくは確認は、このような文献が本発明に対する従来技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明による装置の例示的実施形態を示す。
【図2】少なくとも二つの分離された区画を有する貯蔵及び/又は輸送形式の図1の装置の断面を示す。
【図3】少なくとも二つの分離された区画の内容物が混合された後の図1の装置の断面を示す。
【図4】図1の装置の少なくとも二つの分離された区画の内容物の混合を示す。
【図5a】図1の装置のための生じる混合物の投与のためのノズルの二つの例示的実施形態を示す。
【図5b】図1の装置についての生じる混合物の投与のためのノズルの二つの例示的実施形態を示す。
【図6】本発明による装置についての別の例示的実施形態の断面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含む、生物学的治療用組成物を投与するための装置:
(a)湿潤成分を保持するための第一区画;
(b)細菌を乾燥形態で保持するための第二区画;
(c)前記第一区画と前記第二区画を分離するためのセパレータであって、前記セパレータが少なくとも部分的に除去されたとき、前記湿潤成分と前記乾燥された細菌が混合されて混合物を形成することを可能にし、それにより生物学的治療用組成物を形成するセパレータ。
【請求項2】
前記乾燥形態の細菌が、約10重量%未満の全水分率を有する細菌を含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記全水分率が約5重量%未満である請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記全水分率が約1重量%未満である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記乾燥形態が、粉末、顆粒及び固形物からなる群から選択される請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記湿潤成分が、液体成分及び半固体成分の少なくとも一つを含む請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記湿潤成分が、油中水形エマルション、水中油形エマルション及び乳化剤と緩和剤の混合物からなる群から選択される請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記湿潤成分が、ステアリン酸スクロース、スクロースココエート、ジステアリン酸スクロース、鉱物油、プロピレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ポリオキシプロピレン−5−ステアリルエーテル及び水からなる群から選択される溶媒をさらに含む請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記湿潤成分が、白ペトラタム、イソプロピルミリステート、ラノリン、ラノリンアルコール、鉱物油、芳香油又は精油、ノウゼンハレン属の植物の精油、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース及び界面活性剤からなる群から選択される成分をさらに含む請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記液体成分が水溶液を含む請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記水溶液が塩溶液を含む請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記塩溶液が滅菌されている請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記半固体成分がゲルを含む請求項6に記載の装置。
【請求項14】
前記半固体成分が、プティング及びヨーグルトからなる群から選択される請求項6に記載の装置。
【請求項15】
前記湿潤成分が、少なくとも前記乾燥形態の細菌と混合された後にバランスのとれたpHを有する請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記湿潤成分が、少なくとも前記乾燥形態の細菌と混合された後に浸透圧バランスを有する請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記混合物が、ローション、ゲル、クリーム又は半固体組成物の一つを含む請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記混合物のための少なくとも一つの賦形剤を含むキャリアをさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記賦形剤が、安定化剤、糖、緩衝剤、増粘剤、希釈剤、分散助剤、乳化剤、結合剤、保存剤、可塑剤及び凝結防止剤からなる群から選択される請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記安定化剤が、天然ガム、変性された天然又は半合成ガム、合成ガム、ゼラチン及び変性ゼラチンからなる群から選択される請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記安定化剤が約0.1重量%〜約25重量%の濃度で存在する請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記凝結防止剤が、微小結晶質セルロース、タルク、珪藻土及び非晶質シリカからなる群から選択される請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記凝結防止剤が約1重量%〜約95重量%の量で存在する請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記キャリアが、前記細菌の再水和のための再水和配合物をさらに含む請求項18に記載の装置。
【請求項25】
前記再水和配合物が、グルコース、クエン酸カリウム、塩化ナトリウム及び/又はクエン酸ナトリウムを含む請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記増粘剤が、コーンスターチ、グアーガム及びキサンタンガムからなる群から選択される請求項19に記載の装置。
【請求項27】
前記保存剤が、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール及びエチレンジアミンテトラアセテート塩からなる群から選択される請求項19に記載の装置。
【請求項28】
前記可塑剤が、グリセロール及びポリエチレングリコールからなる群から選択される請求項19に記載の装置。
【請求項29】
前記キャリアを含むための追加の区画をさらに含む請求項18に記載の装置。
【請求項30】
前記細菌及び前記湿潤成分の少なくとも一つが前記キャリアと組合せられ、かくして前記セパレータが少なくとも部分的に除去されたとき、前記湿潤成分と前記乾燥された細菌と前記キャリアが混合されて混合物を形成することを可能にし、それにより生物学的治療用組成物を形成する請求項18に記載の装置。
【請求項31】
前記キャリアが、前記混合物の嗜好性を増大させるための少なくとも一つの賦形剤を含む請求項18に記載の装置。
【請求項32】
前記嗜好性を増大させるための賦形剤が、味を改良するための薬剤、臭いを改良するための薬剤及びテキスチャーを改良するための薬剤又はそれらの組合せからなる群から選択される請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記キャリアが、前記混合物中の前記細菌の活性化のための少なくとも一つの賦形剤を含む請求項18に記載の装置。
【請求項34】
前記少なくとも一つの賦形剤がエネルギー源を含む請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記少なくとも一つの賦形剤が、前記混合物中での前記細菌の前記活性化の検出のための生理学的指示薬をさらに含む請求項18に記載の装置。
【請求項36】
前記生理学的指示薬がpH指示薬を含む請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記細菌は少なくとも一つの選択圧に従って選択されたものである請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記選択圧は温度圧を含む請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記温度圧は、前記細菌を含む培地の温度を上昇させることを含む請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記温度圧は、前記細菌を約36℃〜約50℃の温度に供することを含み、ここで前記細菌は懸濁物中にある請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記細菌は約40℃の温度に供される請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記細菌は約40℃の温度に少なくとも4日間供される請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記温度圧は、前記細菌を含む培地の温度を低下させることを含む請求項38に記載の装置。
【請求項44】
前記低下させることは、前記温度を約1℃〜約12℃に12ヶ月間まで低下させることを含む請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記温度は少なくとも約3ヶ月間低下される請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記選択圧は、貯蔵時間を含み、ここで前記細菌は少なくとも約1ヶ月間貯蔵される請求項37に記載の装置。
【請求項47】
前記細菌は約12ヶ月間まで貯蔵される請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記選択圧は浸透圧を含む請求項37に記載の装置。
【請求項49】
前記選択圧は低浸透圧を含む請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記浸透圧は1気圧より低い圧力を含む請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記浸透圧は約0.3気圧〜約0.4気圧の圧力を含む請求項50に記載の装置。
【請求項52】
乾燥形態の迅速に活性化可能な細菌、前記細菌の迅速な活性化を生じるための少なくとも一つの物質を含むキャリア、及び湿潤成分を、少なくとも二つの別個の要素中に含む生物学的治療用組成物であって、前記乾燥形態の細菌、前記キャリア及び前記湿潤成分が混合されて混合物を形成するとき、前記細菌が前記混合物中で迅速に活性化されるようになる生物学的治療用組成物。
【請求項53】
前記乾燥形態の細菌が、約10重量%未満の全水分率を有する細菌を含む請求項52に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項54】
前記全水分率が約5重量%未満である請求項53に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項55】
前記全水分率が約1重量%未満である請求項54に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項56】
前記乾燥形態が、粉末、顆粒及び固形物からなる群から選択される請求項52に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項57】
前記湿潤成分が、液体成分及び半固体成分の少なくとも一つを含む請求項52に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項58】
前記湿潤成分が、油中水形エマルション、水中油形エマルション及び乳化剤と緩和剤の混合物からなる群から選択される請求項57に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項59】
前記湿潤成分が、ステアリン酸スクロース、スクロースココエート、ジステアリン酸スクロース、鉱物油、プロピレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ポリオキシプロピレン−5−ステアリルエーテル及び水からなる群から選択される溶媒をさらに含む請求項58に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項60】
前記湿潤成分が、白ペトラタム、イソプロピルミリステート、ラノリン、ラノリンアルコール、鉱物油、芳香油又は精油、ノウゼンハレン属の植物の精油、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース及び界面活性剤からなる群から選択される成分をさらに含む請求項57に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項61】
前記液体成分が水溶液を含む請求項57に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項62】
前記水溶液が塩溶液を含む請求項61に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項63】
前記塩溶液が滅菌されている請求項62に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項64】
前記半固体成分がゲルを含む請求項57に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項65】
前記半固体成分が、プティング及びヨーグルトからなる群から選択される請求項57に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項66】
前記湿潤成分が、少なくとも前記乾燥形態の細菌と混合された後にバランスのとれたpHを有する請求項52に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項67】
前記湿潤成分が、少なくとも前記乾燥形態の細菌と混合された後に浸透圧バランスを有する請求項52に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項68】
前記混合物が、ローション、ゲル、クリーム又は半固体組成物の一つを含む請求項52に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項69】
前記混合物のための少なくとも一つの賦形剤を含むキャリアをさらに含む請求項52に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項70】
前記賦形剤が、安定化剤、糖、緩衝剤、増粘剤、希釈剤、分散助剤、乳化剤、結合剤、保存剤、可塑剤及び凝結防止剤からなる群から選択される請求項69に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項71】
前記安定化剤が、天然ガム、変性された天然又は半合成ガム、合成ガム、ゼラチン及び変性ゼラチンからなる群から選択される請求項70に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項72】
前記安定化剤が約0.1重量%〜約25重量%の濃度で存在する請求項71に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項73】
前記凝結防止剤が、微小結晶質セルロース、タルク、珪藻土及び非晶質シリカからなる群から選択される請求項70に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項74】
前記凝結防止剤が約1重量%〜約95重量%の量で存在する請求項73に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項75】
前記キャリアが、前記細菌の再水和のための再水和配合物を含む請求項70に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項76】
前記再水和配合物が、グルコース、クエン酸カリウム、塩化ナトリウム及び/又はクエン酸ナトリウムを含む請求項70に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項77】
前記増粘剤が、コーンスターチ、グアーガム及びキサンタンガムからなる群から選択される請求項70に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項78】
前記保存剤が、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール及びエチレンジアミンテトラアセテート塩からなる群から選択される請求項70に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項79】
前記可塑剤が、グリセロール及びポリエチレングリコールからなる群から選択される請求項70に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項80】
前記キャリアを含むための追加の区画をさらに含む請求項69に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項81】
前記細菌及び前記湿潤成分の少なくとも一つが前記キャリアと組合せられる請求項69に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項82】
前記キャリアが、前記混合物の嗜好性を増大させるための少なくとも一つの賦形剤を含む請求項69に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項83】
前記嗜好性を増大させるための賦形剤が、味を改良するための薬剤、臭いを改良するための薬剤及びテキスチャーを改良するための薬剤又はそれらの組合せからなる群から選択される請求項82に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項84】
前記キャリアが、前記混合物中の前記細菌の活性化のための少なくとも一つの賦形剤を含む請求項69に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項85】
前記少なくとも一つの賦形剤がエネルギー源を含む請求項84に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項86】
前記少なくとも一つの賦形剤が、前記混合物中での前記細菌の前記活性化の検出のための生理学的指示薬をさらに含む請求項69に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項87】
前記生理学的指示薬がpH指示薬を含む請求項54に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項88】
前記細菌は少なくとも一つのの選択圧に従って選択されたものである請求項52に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項89】
前記選択圧は温度圧を含む請求項88に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項90】
前記温度圧は、前記細菌を含む培地の温度を上昇させることを含む請求項89に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項91】
前記温度圧は、前記細菌を約36℃〜約50℃の温度に供することを含み、ここで前記細菌は懸濁物中にある請求項90に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項92】
前記細菌は約40℃の温度に供される請求項91に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項93】
前記細菌は約40℃の温度に少なくとも4日間供される請求項92に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項94】
前記温度圧は、前記細菌を含む培地の温度を低下させることを含む請求項88に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項95】
前記低下させることは、前記温度を約1℃〜約12℃に12ヶ月間まで低下させることを含む請求項94に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項96】
前記温度は少なくとも約3ヶ月間低下される請求項95に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項97】
前記選択圧は、貯蔵時間を含み、ここで前記細菌は少なくとも約1ヶ月間貯蔵される請求項88に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項98】
前記細菌は約12ヶ月間まで貯蔵される請求項97に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項99】
前記選択圧は浸透圧を含む請求項88に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項100】
前記選択圧は低浸透圧を含む請求項99に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項101】
前記浸透圧は1気圧より低い圧力を含む請求項100に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項102】
前記浸透圧は約0.3気圧〜約0.4気圧の圧力を含む請求項101に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項103】
前記細菌は少なくとも1つの大腸菌菌株を含む請求項52に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項104】
前記細菌は、拮抗特性を有する非病原性のラクトース陽性菌株を含む請求項103に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項105】
前記細菌は、M17、Nissle及び大腸菌株BU−230−98 ATCC受託番号202226(DSM12799)からなる群から選択される株を含む請求項104に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項106】
前記細菌は、大腸菌の複数の菌株を含むか、または大腸菌の少なくとも1つの菌株と少なくとも1つの追加の細菌菌株を含む請求項103に記載の生物学的治療用組成物。
【請求項107】
選択圧に従って細菌を選択し、細菌を乾燥させることを含む、請求項52に記載の生物学的治療用組成物の調製方法。
【請求項108】
乾燥後、少なくとも一つの賦形剤を前記細菌と混合することをさらに含む請求項107に記載の方法。
【請求項109】
乾燥に先立って少なくとも一つの賦形剤を液体形態で前記細菌に添加する工程をさらに含む請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記乾燥することは凍結乾燥及びフリーズドライの一つを含む請求項107に記載の方法。
【請求項111】
前記選択圧は温度圧を含む請求項107に記載の方法。
【請求項112】
前記温度圧は、前記細菌を含む培地の温度を上昇させることを含む請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記温度圧は、前記細菌を約36℃〜約50℃の温度に供することを含み、ここで前記細菌は懸濁物中にある請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記細菌は約40℃の温度に供される請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記細菌は約40℃の温度に少なくとも4日間供される請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記温度圧は、前記細菌を含む培地の温度を低下させることを含む請求項111に記載の方法。
【請求項117】
前記低下させることは、前記温度を約1℃〜約12℃に12ヶ月間まで低下させることを含む請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記温度は少なくとも約3ヶ月間低下される請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記選択圧は、貯蔵時間を含み、ここで前記細菌は少なくとも約1ヶ月間貯蔵される請求項107に記載の方法。
【請求項120】
前記細菌は約12ヶ月間まで貯蔵される請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記選択圧は浸透圧を含む請求項107に記載の方法。
【請求項122】
前記選択圧は低浸透圧を含む請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記浸透圧は1気圧より低い圧力を含む請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記浸透圧は約0.3気圧〜約0.4気圧の圧力を含む請求項123に記載の方法。
【請求項125】
請求項52〜106のいずれか一項に記載の組成物の治療的に有効な量を、活性化された細菌との前記混合物として投与することを含む、その必要のある対象の治療方法。
【請求項126】
前記組成物は飲料として投与される請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記対象は、腸疾患の治療の必要がある請求項125に記載の方法。
【請求項128】
前記腸疾患は、微生物感染、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、痙攣性結腸、粘液性大腸炎、抗生物質に関連した大腸炎、特発性又は単純性便秘からなる群から選択される請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記腸疾患は下痢を含む請求項127に記載の方法。
【請求項130】
前記下痢は、急性下痢、抗生物質に関連した下痢、旅行者下痢、病因環境における急性下痢、及び微生物、放射線、化学療法、抗生物質、腸感染、消化管手術、免疫不全、年齢変化、顕微鏡的又はリンパ球の大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、結腸ポリプ及び家族性ポリプ症候群のいずれか一つによって生じる下痢からなる群から選択される請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記微生物は、腸管毒産生大腸菌、サルモネラ属、プロテウス属、シュードモナス属、クロストリジウム属、ブドウ球菌属及びフレクスナー赤痢菌からなる群から選択される請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記家族性ポリプ症候群は、家族性ポリポーシス症候群及びガードナー症候群からなる群から選択される請求項130に記載の方法。
【請求項133】
前記対象は、食中毒及び消化不良の徴候からなる群から選択される症状を治療する必要がある請求項125に記載の方法。
【請求項134】
前記対象は、腸管微小生物叢の微生物バランスの乱れ及び小腸における細菌の過剰増殖からなる群から選択される要因によって引き起こされるか、または維持される消化管の障害を治療する必要がある請求項125に記載の方法。
【請求項135】
腸微小生物叢の微生物バランスの前記乱れは、抗生物質治療、放射線療法、化学療法及び消化管の障害からなる群から選択される要因によって引き起こされる請求項134に記載の方法。
【請求項136】
腸微小生物叢の微生物バランスにおける前記乱れは、食事要因又は環境的要因から生じる請求項134に記載の方法。
【請求項137】
前記治療的に有効な量は、約10〜約1012個の前記活性化された細菌を含む請求項125に記載の方法。
【請求項138】
前記治療的に有効な量は、約10〜約10個の前記活性化された細菌を含む請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記治療的に有効な量は、1日当り1〜10回投与される請求項137に記載の方法。
【請求項140】
前記治療的に有効な量は、1日当り2〜4回投与される請求項137に記載の方法。
【請求項141】
前記対象は免疫系障害を治療する必要性がある請求項125に記載の方法。
【請求項142】
前記対象はヒトである請求項125に記載の方法。
【請求項143】
請求項125に記載の方法において使用するためのディスペンサであって、以下のものを含む本体を含むディスペンサ:
(a)湿潤成分を保持するための第一区画;
(b)細菌を乾燥形態で保持するための第二区画;
(c)前記第一区画と前記第二区画を分離するためのセパレータであって、前記セパレータが少なくとも部分的に除去されたとき、前記湿潤成分と前記乾燥された細菌が混合されて混合物を形成することを可能にし、それにより生物学的治療用組成物を形成するセパレータ。
【請求項144】
前記セパレータが、穴を開けること、脱離させること、除去すること及び分離することの一つによって部分的に除去可能である請求項143に記載のディスペンサ。
【請求項145】
前記ディスペンサの前記本体の外に延出する第一端及び前記セパレータに隣接して配置された第二端を有する棒をさらに含み、前記棒は、前記棒の操作により前記第二端が前記セパレータに対して押されて前記セパレータが穴を開けられるか又は除去されるように、前記本体内で押し下げることができる請求項143に記載のディスペンサ。
【請求項146】
前記棒が、バネ負荷されたプランジャーである請求項145に記載のディスペンサ。
【請求項147】
前記棒が、前記第一端に取付けられたハンドルを与えられている請求項145に記載のディスペンサ。
【請求項148】
前記操作が、押すこと及びねじることの一つを含む請求項145に記載のディスペンサ。
【請求項149】
前記本体が瓶を含む請求項143に記載のディスペンサ。
【請求項150】
前記第一区画に連通するノズルをさらに含む請求項143に記載のディスペンサ。
【請求項151】
前記ノズルを封止するための除去可能なカバーをさらに与えられている請求項150に記載のディスペンサ。
【請求項152】
前記セパレータが、前記第一区画と前記第二区画の間の開口の上に配置されており、前記セパレータの第一部分は、破壊されるための解放切り込み線によって前記開口の第一側に接続されており、前記セパレータの第二部分は、ヒンジ切り込み線によって前記開口の第二側に接続されており、前記解放切り込み線に圧力が発揮されるとき、前記解放切り込み線は破壊され、前記セパレータの前記第二部分は前記ヒンジ切り込み線にぶらさがり、それにより前記第一区画と前記第二区画の間の前記開口を開く請求項143に記載のディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−518463(P2007−518463A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534135(P2006−534135)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/032327
【国際公開番号】WO2005/034861
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(506053076)ザ バイオ バランス コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】