説明

乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入方法および自動搬入装置

【課題】予め適宜脱水処理した汚泥を乾燥用容器にできる限り空隙を多くもつよう収容できる乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入方法を提供する。
【解決手段】乾燥用容器1が押出機8の下方位置にあるとき、押出機8の押出作動部材7により集積ホッパー5内の処理汚泥4を押出口6から押出して乾燥用容器1に低くて小さい山状に落下収容する。次いで、乾燥用容器1を定ピッチ送りした後、再度、押出作動部材7により押出口6から処理汚泥4を押出して乾燥用容器1内の前記低くて小さい山状の処理汚泥山4aと並ぶよう落下収容する。爾後、押出作動部材7の押出し作動と乾燥用容器1の定ピッチ送りとを順次繰り返して行うことにより乾燥用容器1内に多数の低くて小さい山状の処理汚泥山4a群を適宜配列状態に収容する。これにより低くて小さい山状の処理汚泥山4aどうし間に空隙が存在することになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天日乾燥による汚泥脱水乾燥装置に使用される乾燥用容器に、予め適宜脱水処理された処理汚泥を自動搬入する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場や下水処理場、あるいは河川、ため池などで発生する汚泥を天日乾燥させるための汚泥脱水乾燥装置として、先に同一出願人により、図5に示すように、複数の乾燥棚21〜24を上下に所定間隔を置いて数段階に重合配置し、乾燥棚21〜24の両端部に汚泥を収容する乾燥用容器(濾過容器)20を各段の乾燥棚の高さまで昇降させるリフター装置25L,25Rを配置させて、汚泥入り乾燥用容器20を下段の乾燥棚から上段の乾燥棚へリフター装置25L,25Rにより順次移動させながら天日乾燥できるようにしたものを提案した(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特許第3616738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記のような多段式の汚泥脱水乾燥装置では、複数の乾燥棚21〜24を上下に数段階に重合配置するため、大量汚泥を天日乾燥する場合にも敷地面積の有効利用を図れるが、水中から汲み上げられた含水率95〜97%の高含水汚泥を天日乾燥させるため、天日乾燥日数が長くかかるという問題がある。そこで、この多段式の汚泥脱水乾燥装置で天日乾燥させるに先立ち、脱水機械等で含水率95〜97%の高含水汚泥を82〜86%程度にまで脱水処理したうえで、この処理汚泥を乾燥用容器20に搬入してこれを多段式の汚泥脱水乾燥装置に移すことにより天日乾燥させることが、天日乾燥日数を短縮化することができて望ましい。
しかしながら、そうした場合、問題となるのは、予め脱水した処理汚泥も乾燥用容器20に山盛り状態に搬入させては該汚泥層内に空隙がほとんど無くなるため汚泥層中心部まで乾燥させる日数が多くかかり、所期の乾燥日数短縮目的を達成できないことになる。
【0005】
そこで本発明の目的は、予め適宜脱水した処理汚泥を乾燥用容器にできる限り空隙を多くもつよう収容できる乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入方法および自動搬入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発明は、予め適宜脱水処理された処理汚泥を乾燥用容器に搬入する乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入方法であって、処理汚泥が集積される集積ホッパーと、この集積ホッパーの底部前側に、横一列に所定間隔置きに並べて設けられた複数個の押出口と、各押出口から前記集積ホッパー内の処理汚泥を押出す複数本の押出作動部材を備えた押出機と、この押出機の下方位置から前方へ前記乾燥用容器を定ピッチずつ送る乾燥用容器搬送装置と、を備え、
前記乾燥用容器が前記押出機の下方位置にあるとき前記押出作動部材により前記集積ホッパー内の処理汚泥を前記押出口から押出して前記乾燥用容器に低くて小さい山状に落下収容し、次いで、前記乾燥用容器を前方へ定ピッチ送りした後、再度、前記押出作動部材により前記押出口から処理汚泥を押出して前記乾燥用容器内の処理汚泥山と並ぶよう落下収容し、爾後、前記押出作動部材による押出し作動と前記乾燥用容器の定ピッチ送りとを順次繰り返して行うことにより乾燥用容器内に多数の低くて小さい山状の処理汚泥山を適宜配列状態に収容することに特徴を有するものである。
【0007】
本発明の請求項2に係る発明は、予め適宜脱水処理された処理汚泥を乾燥用容器に搬入する乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入装置であって、処理汚泥が集積される集積ホッパーと、この集積ホッパーの底部前側に、横一列に所定間隔置きに並べて設けられた複数個の押出口と、各押出口から前記集積ホッパー内の処理汚泥を押出す複数本の押出作動部材を備えた押出機と、この押出機の下方位置から前方へ前記乾燥用容器を定ピッチずつ送る乾燥用容器搬送装置と、を備えていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1、2に記載の発明によれば、押出機の押出作動部材による押出し作動と乾燥用容器の定ピッチ送りとを順次繰り返して行うことにより乾燥用容器内に多数の低くて小さい山状の処理汚泥山が適宜配列状態に収容されるようにしてあるので、多数の略同一高さの低くて小さい山状の処理汚泥山どうし間に空隙が存在し、乾燥用容器内に収容された処理汚泥山群が空隙を多くもつことになり、少ない乾燥日数で効率良く天日乾燥することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の方法を実施できる自動搬入装置の側面図、図2は図1中における矢印Cから見た集積ホッパーの一部正面図、図3(a),(b)は図1の自動搬入装置の作動説明図、図4は乾燥用容器の分解斜視図である。
【0010】
本発明の乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入方法は、例えば図4図に示すような乾燥用容器1を使用する。この乾燥用容器1は、砂の通過を阻止し且つ水及び空気の通過を許容する濾布2が上面開放状の多孔容器本体3の内部に敷設されてなる。多孔容器本体3は、細い鉄筋で大きい篭目を形成するよう四角形の浅い皿状に編組して作った籠や、透明なプラスチック材で多数の孔を有する四角形の浅い皿形状に成形したものなどからなる。濾過容器1の大きさや形状は、特に限定されないが、例えば、縦2m、横3m、高さ20cm程度の大きさのものを使用する。
【0011】
本発明に係る乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入方法は、予め、スクリュープレス脱水機等で含水率82〜86%程度にまで脱水処理された処理汚泥を、次のような自動搬入装置を用いて乾燥用容器1に自動搬入する。
すなわち、本発明に係る乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入装置は、図1、図2に示すように、処理汚泥4が集積される集積ホッパー5と、この集積ホッパー5の底部前側に、横一列に所定間隔置きに並べて設けられた複数個の丸型や菱形等の断面形状の押出口6と、各押出口6から集積ホッパー5内の処理汚泥4を押出す複数本の押出作動部材7が内蔵された押出機8と、この押出機8の下方位置から前方(矢印A方向)へ乾燥用容器1を定ピッチずつ送るコンベヤ等による乾燥用容器搬送装置9とを備える。押出作動部材7は、例えば、各先端側が各押出口6に対応するよう配され且つ前後に往復運動自在なポンチ部材で構成する。
【0012】
かくして、図3(a)のように、乾燥用容器1が押出機8の下方位置にあるとき、押出作動部材7の全て又は任意のものだけを一斉に往動させることにより集積ホッパー5内の処理汚泥4を押出口6から押出して乾燥用容器1に低くて小さい山状に落下収容する。その乾燥用容器1に収容された低くて小さい山状の処理汚泥4を処理汚泥山4aという。次いで、押出作動部材7を一斉に復動させた後、乾燥用容器1を乾燥用容器搬送装置9により前方へ定ピッチ送りする。次いで、再度、押出作動部材7の全て又は任意のものだけを一斉に往動させることで処理汚泥4を押出口6から押出して乾燥用容器1内の前記処理汚泥山4aと並ぶよう落下収容する。爾後、押出作動部材7の往復運動と乾燥用容器1の定ピッチ送りとを順次繰り返して行うことにより、図3(b)のように乾燥用容器1内に多数の略同一高さの低くて小さい山状の処理汚泥山4a群が格子状あるいは千鳥状等の適宜配列状態に収容される。これにより多数の低くて小さい山状の処理汚泥山4aどうし間に空隙が存在し、乾燥用容器1内の処理汚泥山4a群が空隙を多くもつことになる。
【0013】
このように多数の略同一高さの低くて小さい山状の処理汚泥山4aが適宜配列状態に収容され、空隙を多くもつ処理汚泥山4a群が収容された乾燥用容器1は、図5に示す汚泥脱水乾燥装置のリフター装置25Lに移載して天日乾燥に供すると、少ない乾燥日数で効率良く天日乾燥することができる。
【0014】
なお、上記実施例では押出し作動部材7が往復運動自在なポンチ部材で構成されるが、これに代えて、複数本のスクリューで構成することもできる。複数本のスクリューによる押出し作動部材7を採用する場合はそれを定位置で一斉に回転させるだけで集積ホッパー5内の処理汚泥4を押出口6から押出すことができるため、ポンチ部材のように前後に往復運動させる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の方法を実施できる自動搬入装置の側面図である。
【図2】図1中における矢印Cから見た集積ホッパーの一部正面図である。
【図3】(a),(b)は図1の自動搬入装置の作動説明図である。
【図4】乾燥用容器の分解斜視図である。
【図5】従来例の汚泥脱水乾燥装置の正面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 乾燥用容器
4 処理汚泥
4a 処理汚泥山
5 集積ホッパー
6 押出口
7 押出作動部材
8 押出機
9 乾燥用容器搬送装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め適宜脱水処理された処理汚泥を乾燥用容器に搬入する乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入方法であって、
処理汚泥が集積される集積ホッパーと、この集積ホッパーの底部前側に、横一列に所定間隔置きに並べて設けられた複数個の押出口と、各押出口から前記集積ホッパー内の処理汚泥を押出す複数本の押出作動部材を備えた押出機と、この押出機の下方位置から前方へ前記乾燥用容器を定ピッチずつ送る乾燥用容器搬送装置と、を備え、
前記乾燥用容器が前記押出機の下方位置にあるとき前記押出作動部材により前記集積ホッパー内の処理汚泥を前記押出口から押出して前記乾燥用容器に低くて小さい山状に落下収容し、次いで、前記乾燥用容器を前方へ定ピッチ送りした後、再度、前記押出作動部材により前記押出口から処理汚泥を押出して前記乾燥用容器内の処理汚泥山と並ぶよう落下収容し、爾後、前記押出作動部材による押出し作動と前記乾燥用容器の定ピッチ送りとを順次繰り返して行うことにより乾燥用容器内に多数の低くて小さい山状の処理汚泥山を適宜配列状態に収容することを特徴とする、乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入方法。
【請求項2】
予め適宜脱水処理された処理汚泥を乾燥用容器に搬入する乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入装置であって、
処理汚泥が集積される集積ホッパーと、この集積ホッパーの底部前側に、横一列に所定間隔置きに並べて設けられた複数個の押出口と、各押出口から前記集積ホッパー内の処理汚泥を押出す複数本の押出作動部材を備えた押出機と、この押出機の下方位置から前方へ前記乾燥用容器を定ピッチずつ送る乾燥用容器搬送装置と、を備えていることを特徴とする、乾燥用容器への処理汚泥の自動搬入装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−160214(P2007−160214A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359677(P2005−359677)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(500046841)有限会社 エムケイ (10)
【Fターム(参考)】