説明

乾燥食材を含む食品の製造方法

【課題】冷水、牛乳等を加えることにより容易に復元する凍結乾燥処理した乾燥食材を含む食品の効率的な製造方法、及びその乾燥食材を含む食品を提供する。
【解決手段】食材100重量部に対して、酸又はその塩0.01〜30重量部、及び/又はエタノール2〜100重量部を添加した後、凍結乾燥処理することを特徴とする乾燥食材を含む食品の製造方法、及びその方法により得られる乾燥食材を含む食品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材本来の風味や食感に優れ、かつ水戻り性に優れた凍結乾燥処理した乾燥食材を含む食品の製造方法、及びその乾燥食材を含む食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、お湯等で容易に元の状態に戻る凍結乾燥処理した乾燥食品の製造方法が知られている。
例えば、特許文献1には、湯戻り時間を短縮するために、有機酸(食酢)と塩化ナトリウムを添加して炊飯した後、凍結乾燥する凍結乾燥米の製造方法が開示されている。
特許文献2には、pHを8〜9に調整をした野菜類材料、穀類材料を、還元水飴等を含む溶液に浸漬して水切りした後、凍結乾燥する乾燥食品の製造方法が開示されている。
特許文献3には、果実原料をピューレ状にした後、凍結乾燥する果実加工品の製造方法が開示されている。
特許文献4には、スライスした柑橘系果実をトレハロース溶液に浸漬させた後、減圧処理し、常圧に戻して浸漬液を排出し、フリーズドライを行う乾燥柑橘系果実スライスの製造方法が開示され、特許文献5には、DE値5以下のデキストリンを含む組成物を凍結乾燥するフリーズドライ食品の製造法が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜5に記載の凍結乾燥方法では、冷水や牛乳等では元の状態に戻りにくいという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開平3−143359号公報
【特許文献2】特開平6−233651号公報
【特許文献3】特開2004−236612号公報
【特許文献4】特開2006−101763号公報
【特許文献5】特開2006−109786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような状況に鑑み、冷水、牛乳等を加えることにより容易に復元する凍結乾燥処理した乾燥食材を含む食品の効率的な製造方法、及びその乾燥食材を含む食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、食材に、特定量の酸、エタノール等を添加した後、凍結乾燥処理することにより、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供するものである。
(1)食材100重量部に対して、酸又はその塩0.01〜30重量部、及び/又はエタノール2〜100重量部を添加した後、凍結乾燥処理することを特徴とする乾燥食材を含む食品の製造方法。
(2)前記(1)の方法により得られる乾燥食材を含む食品。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、湯戻り性は勿論のこと、冷水、牛乳等による復元性(以下、「水戻り性」ともいう)に優れた乾燥食材を含む食品の効率的な製造方法、及びその乾燥食材を含む食品を提供することができる。また、復元された食材は、その食材本来の軟らかさ、風味、食感、形状を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の乾燥食材を含む食品の製造方法は、食材100重量部に対して、酸又はその塩0.01〜30重量部、及び/又はエタノール2〜100重量部を添加した後、凍結乾燥処理することを特徴とする。
【0008】
(食材)
本発明で用いられる食材は、通常食材として利用できるものであり、かつ凍結乾燥できるものであれば特に制限はないが、果実、野菜、豆類、キノコ類、及びそれらの加工品等が好ましい。
果実としては、桃、苺、林檎、マンゴー、アプリコット、ブルーベリー、クランベリー、キウイ、パイナップル、ブドウ、ミカン等が挙げられる。
野菜としては、人参、大根、玉ネギ、ジャガ芋、カボチャ、蓮根等の根菜類、ニラ、セロリ、ネギ等の茎物等が挙げられる。
豆類としては、小豆、大豆、枝豆、空豆、グリーンピース、コーン等が挙げられ、キノコ類としては、シイタケ、エノキタケ、シメジ、マイタケ、ナメコ、ツクリタケ、エリンギ、ヤマブシタケ等が挙げられる。
【0009】
これらの食材は、そのまま使用することもできるが、通常は、復元して使用するときの食材として適当な大きさに調製(切断ないし整形)して使用することが好ましい。
例えば、乾燥食材を含む食品をブロック状にする場合は、食材を長さ、幅、厚さを、それぞれ通常3〜50mm程度、好ましくは5〜20mm程度にすることが好ましく、スライス状にする場合は、厚さを通常1〜10mm程度、好ましくは2〜8mm程度にすることが好ましい。
【0010】
所望する大きさに調製された食材は、必要に応じて、公知の方法により前処理をすることができる。例えば、食材に水、煮汁等を加えて調製物としたり、糖類等を塗布したり、調味料を加えたり、加熱処理したりすることができる。
より具体的には、食材が果実の場合、甘味を付与するために、砂糖を添加することができる。食材がセロリ、ニラ、ネギ等の野菜の場合、素材の持つ生の風味を保持するために、糖類等を塗布することができる。塗布する糖類としては、例えば乳糖、デキストリン等が挙げられる。また、コンソメスープ用の食材の場合、該食材を軽くローストした後、水又は調味料を添加することができる。
【0011】
(有機酸)
本発明において、酸としては、有機酸、無機酸のいずれを使用することもできる。また、酸の価数に特に制限はない。
1価の有機酸としては、乳酸、酢酸、グルコン酸、パントテン酸、アスコルビン酸等が挙げられるが、これらの中では乳酸が好ましい。
2価の有機酸としては、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸等が挙げられるが、これらの中ではリンゴ酸が好ましい。
3価の有機酸としては、クエン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられるが、これらの中ではクエン酸が好ましい。
有磯酸の塩としては、前記1〜3価の有機酸の塩が挙げられるが、プロトン遊離によるpH調整効果の観点から、2価の有機酸の場合はモノカルボン酸塩が好ましく、3価の有機酸の場合はモノカルボン酸塩及びジカルボン酸塩が好ましい。
塩の種類としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0012】
(無機酸)
無機酸としては、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸等が挙げられる。
無機酸の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0013】
上記の酸又はその塩の中では、1〜3価の有機酸、及び2〜3価の無機酸から選ばれる1種以上が好ましく、それらの中では価数が高い方が好ましく、無機酸よりも有機酸の方がより好ましい。より具体的には、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、及び硫酸から選ばれる1種以上が好ましく、クエン酸、リンゴ酸、乳酸から選ばれる1種以上がより好ましく、クエン酸及び/又はリンゴ酸が更に好ましく、クエン酸が特に好ましい。
【0014】
(エタノール)
本発明においては、アルコールとしてエタノールが好ましく用いられる。エタノールは、凍結乾燥処理時に除去されるため、得られる乾燥食材の味に変化を及ぼすことがない点で優れている。従って、酸味を嫌う乾燥食材、例えば、コーンスープに食材としてコーンを用いて凍結乾燥処理した乾燥食材等を製造する場合に、特に好適に用いられる。
エタノールを添加すると水戻り性が改善される理由は明確ではないが、食材成分が凍結乾燥前の食材調製液側に溶出され易くなり、その状態で凍結乾燥すると、食材がポーラスな状態になり、冷水や牛乳等が食材内部に浸透し易くなるためと考えられる。
上記に例示した酸、エタノールは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、酸とエタノールを併用することが特に好ましい。
【0015】
(酸又はその塩、エタノールの添加量)
酸又はその塩、エタノールの添加量は、凍結乾燥後の水戻り性の観点、及び凍結乾燥を効率的に行う観点から、以下のとおりである。
酸又はその塩を用いる場合の添加量は、食材100重量部に対して、0.01〜30重量部である。より具体的には、有機酸又はその塩を用いる場合の添加量は、食材100重量部に対して0.4〜30重量部であり、好ましくは0.5〜27重量部、より好ましくは0.6〜20重量部、更に好ましくは0.8〜15重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。
また、無機酸又はその塩を用いる場合の添加量は、食材100重量部に対して0.01〜0.75重量部であり、好ましくは0.02〜0.68重量部、より好ましくは0.03〜0.55重量部、更に好ましくは0.04〜0.4重量部、特に好ましくは0.05〜0.3重量部である。
エタノールを用いる場合の添加量は、食材100重量部に対して2〜100重量部であり、好ましくは3〜80重量部、より好ましくは4〜60重量部、更に好ましくは5〜40重量部、特に好ましくは6〜20重量部である。
【0016】
(酸又はその塩、エタノールの添加方法)
食材を凍結乾燥処理するに際しては、処理する食材を含む食材調製物を調製し、該食材調製物に対して、酸又はその塩、エタノールから選ばれる1種以上を添加することが好ましい。
例えば、果実、野菜等の食材100重量部に対して、砂糖を50〜150重量部、澱粉を2〜30重量部、及び水を含む食材調製物を調製し、該食材調製物に含まれる食材100重量部に対して、有機酸又はその塩を0.4〜30重量部、無機酸又はその塩を0.01〜0.75重量部となるように添加して、pHを1.5〜4.0、好ましくは1.6〜3.9、より好ましくは1.8〜3.8、更に好ましくは1.9〜3.7、特に好ましくは2.5〜3.5に調整した後、凍結乾燥処理することが好ましい。
また、例えば、豆類、キノコ類等の食材100重量部に対して、砂糖50〜150重量部、硬さを調整するための澱粉2〜30重量部、及び水を含む食材調製物を調製し、該食材調製物中に含まれる食材100重量部に対して、エタノールを2〜100重量部となるように添加した後、凍結乾燥処理することが好ましい。
【0017】
(加熱処理)
本発明においては、酸又はその塩、及び/又はエタノールを添加する前又は後に、加熱処理することが好ましい。加熱処理の温度は、加熱処理する食材、及びその使用目的等により異なるが、酸又はエタノールの添加効果を高める観点、及び風味を損なわずに衛生的に処理する観点から、通常80℃以上である。
例えば、食材が、桃、苺、林檎、マンゴー、アプリコット等の果実の場合は、加熱処理を軽く行うことが好ましい。具体的には、好ましくは80〜90℃、より好ましくは80〜85℃で、好ましくは1分間以上、より好ましくは3分間以上処理することができる。
食材が、ニラやネギ等、生の食材の風味又は食感を重視するものである場合は、具体的には、好ましくは85〜98℃、より好ましくは90〜97℃で、好ましくは5分間以上、より好ましくは10分間以上処理することができる。
食材が人参、玉ネギ、カボチャ等、煮込んだ食材の風味又は食感を重視する場合は、加熱時間を強めに行うことが好ましく、具体的には、好ましくは85〜98℃、より好ましくは90〜97℃で、好ましくは10分間以上、より好ましくは20分間以上処理することができる。
【0018】
(凍結乾燥処理)
凍結乾燥処理方法に特に制限はないが、通常、まず凍結乾燥処理前の食材調製物を、−15℃以下で完全に凍結するまで予備凍結したのち、凍結乾燥処理することが好ましい。この予備凍結及び凍結乾燥処理の方法としては、従来、食材を凍結乾燥処理する際に慣用されている方法を採用することができる。
すなわち、予備凍結としては、生成する氷結晶の成長を極力抑えて、食材の組織内部からの損傷を防止するため、通常−20〜−40℃の範囲の温度において、急速凍結して完全に凍結する方法が好ましく用いられる。
また、凍結乾燥処理としては、前記−20〜−40℃の予備凍結品を、通常0.7〜266Pa(0.0005〜2Torr)、好ましくは1〜100Paの真空下に置き、該凍結品中の氷を昇華させ、最終的には室温〜70℃程度まで昇温して乾燥させ、水分を好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下にする方法を用いることができる。
このようにして得られた乾燥食材には、連続相をなした空間部が形成され、冷水、牛乳等で復元する際、それらが乾燥食材内部に容易に浸透するので水戻り性が優れたものになると考えられる。
凍結乾燥後、必要に応じて得られた凍結乾燥処理品を整形して、目的の凍結乾燥処理した乾燥食材を含む食品を得ることができる。
【0019】
(乾燥食材を含む食品)
本発明の前記方法によれば、効率よく、果実、野菜、豆類、キノコ類、及びそれらの加工品等の凍結乾燥処理した乾燥食材を含む食品を得ることができる。
なお、「乾燥食材を含む食品」は、代表的には、(a)食材、砂糖、澱粉及び水を含む食材調製物を凍結乾燥処理したものであるが、(b)食材、調味料及び水を含む食材調製物を凍結乾燥処理したものであってもよく、さらに(c)食材のみを凍結乾燥処理したものであってもよい。
【0020】
得られる乾燥食材を含む食品は、熱水で復元できることは勿論、冷水、スープ、又は牛乳等の乳製品によっても短時間で容易に復元し、復元した食品は、本来の軟らかさ、風味、食感、形状を有する食材を含んでいる。
このため、本発明の乾燥食材を含む食品を用いれば、美味しい即席飲み物を容易に得ることができる。例えば、(i)バナナを凍結乾燥処理して得られた乾燥食材に、牛乳を加えることにより、バナナ牛乳を簡便に作ることができ、(ii)コーン、人参、玉ネギ等を含む食材調製液を凍結乾燥処理して得られた乾燥食材に冷水や牛乳を加えることにより、野菜入りスープを簡便に作ることができる。
【実施例】
【0021】
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例1(試験区1)
白桃果肉(水分:約88.7重量%)をスライサー(株式会社ドリマックス製、商品名:スライス・ママ)を用いて約5mm厚にカットした後、直径2cmの円形の型抜きで型抜きし、凍結乾燥用の果肉を作成した。
次に、この果肉と、砂糖、澱粉、クエン酸、水を表1に示す割合で混合して調製物を得た。得られた調製物を85℃で3分間加熱処理した。この加熱処理後の調製物をポリプロピレン製の容器(44mm×50mm×20mm)に入れ、−25℃で24時間保持して予備凍結させた。この予備凍結物をフリーズドライ装置に供し、4〜40Paに減圧後、常法により凍結乾燥した白桃果肉を得た。
この凍結乾燥した白桃果肉を、水に戻し、白桃果肉を取り出し、レオメーター(SUN SUCIENTIFIC CO.,LTD.製、製品名:CR-500DX-SII)を用いて、硬度を測定した。なお、測定は、球型プランジャーを用いて、貫入速度30mm/min、貫入深度5mmの条件で行い、各試験区ごとに5回ずつ測定した。クエン酸を添加しないで凍結乾燥処理をした場合の白桃果肉の貫入抵抗値(対照区1)の平均値1472Mpaを基準とし、各試験区における硬度を表1に100分率で示す。
【0022】
【表1】

【0023】
実施例2〜6(試験区2〜6)
実施例1において、使用する酸の種類をクエン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、又は硫酸とし、各酸を表2〜6に示す割合で仕込み、pHを表1に示す値にして、実施例1と同様に処理して、凍結乾燥物を得た。
この凍結乾燥物を水に戻し、食材を取り出し、その硬度を実施例1と同様にしてレオメーターにより測定した。
なお、それぞれの対照区(対照区2〜6)の貫入抵抗値の平均値を基準にした各試験区における硬度を、表2〜6に100分率で示す。
【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
【表5】

【0028】
【表6】

【0029】
実施例7(試験区7)
実施例1において、クエン酸の代りに68重量%エタノール製剤を用いて、表7に示す割合で仕込み、実施例1と同様に処理してレオメーターにより硬度を測定した。
なお、対照区7の貫入抵抗値の平均値を基準にした各試験区における硬度を、表7に100分率で示す。
【0030】
【表7】

【0031】
実施例8〜12(試験区8〜12)
実施例1において、酸の代わりに68重量%エタノール製剤を添加して、苺、林檎、人参、マンゴー、又は小豆を表8〜9に示す割合で仕込み、実施例1と同様に処理した。
食材の硬度は、官能評価により評価した。官能評価は、対照区及び試験区の凍結乾燥物を水で戻し、食材を取り出し、8人のパネルに、対照区と試験区の食材を比較してもらい、硬い方を選択してもらった。どちらが硬いか判断できない場合には、同等と評価した。結果を表8及び9に示す。
【0032】
【表8】

【0033】
【表9】

【0034】
実施例13〜19(試験区13〜19)
実施例1において、クエン酸及び/又は68重量%エタノール製剤を添加して、白桃、苺、人参、マンゴー、アプリコット、小豆を表8〜9に示す割合で仕込み、実施例1と同様に処理した。
食材の硬度は、官能評価により評価した。官能評価は、対照区及び試験区の凍結乾燥物を水で戻し、食材を取り出し、8人のパネルに、対照区と試験区の食材を比較してもらい、硬い方を選択してもらった。どちらが硬いか判断できない場合には、同等と評価した。結果を表10及び11に示す。
【0035】
【表10】

【0036】
【表11】

【0037】
実施例20〜25(試験区20〜25)
実施例1において、表12に示す割合で仕込み、クエン酸とエタノールの相乗効果を試験した。実施例1と同様に処理してレオメーターにより硬度を測定した。
なお、対照区20の貫入抵抗値の平均値を基準にした各試験区における硬度を、表12に100分率で示す。
また、苺、林檎、人参、マンゴー、小豆については、官能評価により硬さを判断した。官能評価は、対照区及び試験区の凍結乾燥物を水で戻し、食材を取り出し、8人のパネルに、対照区と試験区の食材を比較してもらい、最も軟らかいものを選択してもらった。どちらが硬いか判断できない場合には、同等と評価した。結果を表13及び14に示す。
【0038】
【表12】

【0039】
【表13】

【0040】
【表14】

【0041】
実施例26(試験区26)
実施例1において、クエン酸を用いて、表15に示す割合で仕込み、85℃で3分間加熱処理した場合と、85℃で3分間加熱処理した後、室温まで冷却し、クエン酸を添加した場合の硬度を、レオメーターにより測定した。
なお、対照区26の貫入抵抗値の平均を基準にした各試験区における硬度を、表15に100分率で示す。
【0042】
【表15】

【0043】
表1〜15から明らかなとおり、食材に、酸及び/又はエタノールを添加した後、凍結乾燥処理すると、酸及び/又はエタノールの添加量が大きくなるほど、凍結乾燥処理した食材を水で戻した後の食材の硬度が低下したことが分かる。また、水戻し後の食材は、その食材本来の軟らかさ、風味、食感、形状を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材100重量部に対して、酸又はその塩0.01〜30重量部、及び/又はエタノール2〜100重量部を添加した後、凍結乾燥処理することを特徴とする乾燥食材を含む食品の製造方法。
【請求項2】
酸が、1〜3価の有機酸、及び2〜3価の無機酸から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の乾燥食材を含む食品の製造方法。
【請求項3】
酸が、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、及び硫酸から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の乾燥食材を含む食品の製造方法。
【請求項4】
食材が、果実、野菜、豆類、キノコ類、及びそれらの加工品から選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の乾燥食材を含む食品の製造方法。
【請求項5】
凍結乾燥処理前に80℃以上で加熱処理する、請求項1〜4のいずれかに記載の乾燥食材を含む食品の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法により得られる乾燥食材を含む食品。
【請求項7】
食品が即席飲み物である請求項6に記載の乾燥食材を含む食品。

【公開番号】特開2010−124813(P2010−124813A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306304(P2008−306304)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】