説明

乾癬および関連障害を評価および処置するためのマーカーおよび方法

被験者における皮膚関連障害、例えば乾癬の予後または診断評価の方法は、サンプルにおける遺伝子の存在、不在および/または量を対照標準と相関させて、障害の存在および/または重篤度、および/または障害の処置への応答を決定する。この方法は候補療法の有効性の同定を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性な乾癬のような皮膚関連障害の指標になる発現プロファイルおよび核酸の同定、ならびに乾癬および関連障害の診断におけるそのような発現プロファイルおよび核酸の使用に関する。さらに、本発明は、乾癬を調節する候補薬剤および/または標的を同定および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尋常性乾癬は、極度に複雑な基礎的病態生理を有する慢性の炎症性皮膚疾患である。その細胞成分は、過形成の表皮ケラチン細胞、T細胞を含む浸潤性単核細胞、好中球、樹状細胞およびマクロファージを含む(非特許文献1)。これらの疾病を媒介する細胞は、数種のタンパク質ファミリー、例えばサイトカイン、ケモカイン、接着分子、プロテアーゼおよびプロテイナーゼ阻害剤の異常産生を表す。これらのタンパク質の機能は、先天性免疫および炎症から細胞分化および増殖までの範囲に及ぶ(非特許文献2;非特許文献3)。臨床的および翻訳研究をとおして、これらの分子の少なくとも若干のものは、乾癬の発生および維持において決定的役割を演じることが示された。
【0003】
乾癬におけるTh1免疫応答の発達において重要であると考えられる2種のサイトカインは、インターロイキンー12(IL−12)およびIL−23である。両サイトカインは、抗原提示細胞、例えばマクロファージおよび樹状細胞によって産生され、そしてT細胞およびナチュラルキラー細胞を活性化することによって機能する。IL−12およびIL−23は、IL−12ではp35/p40タンパク質サブユニット、そしてIL−23ではp19/p40タンパク質サブユニットからなる可溶性サイトカインのヘテロ二量体ファミリーのメンバーである。いずれかのサイトカインのIL−12p40サブユニットは、免疫細胞の表面に見出だされる膜貫通IL−12受容体β1(IL−12R1)に結合できる。
【0004】
IL−12p35またはIL−23p19の、それらの受容体パートナー、それぞれIL−12R2およびIL−23Rへのその後の結合は、各サイトカインに対して特異的である免疫シグナル伝達事象をもたらす。かくして、IL−12p40/IL−12R1相互作用の妨害は、両IL−12およびIL−23の生物学的活性を妨げるであろう。IL−12の機能は、十分に特性決定されており、そしてインターフェロン−(INF−)の誘導、Th1細胞の分化、および生来の耐性と適応性免疫の間の橋架けを含む(非特許文献4)。IL−23の免疫結果の多くはなお、活発な研究の課題であるけれども、IL−23は、IL−12のそれらと類似しているが同一ではない機能を有することが提案されている(非特許文献5)。
【0005】
マイクロアレイ技術は、何千もの遺伝子の発現の分析を同時に可能にし、そしてまた高処理型式への自動化を可能にするので、それは強力な道具である。自己免疫疾患、例えば乾癬として知られるような複雑な宿主機能に関連する疾患では、マイクロアレイの結果は、疾病の診断および管理に対する新しいアプローチを計画する際に利用できる遺伝子発現プロファイルを提供することができる。これらのアプローチはまた、新規遺伝子を同定し、そして疾病または症状とはこれまで無関係とされた未知の機能の遺伝子に注釈を加えることに役立つ。
【0006】
遺伝子発現は、siRNA、shRNA、アンチセンス分子およびDNAザイム(DNAzyme)の使用を含む、いくつかの異なる方法において調節することができる。siRNAおよびshRNAの両者はRNAi経路を介して作用し、そして遺伝子の発現を抑制するために成功裏に使用されてきた。RNAiは、蠕形動物において最初に発見され、そしてdsRNAに関連する遺伝子サイレンシングの現象は、FireおよびMelloによって植物において最初に報告され、そして植物細胞がRNAウイルスによる感染に抵抗する1つの方法であると考えられる。この経路では、長いdsRNAウイルス生産物は、DICER様酵素によって長さ21−25bpの、より小さいフラグメントにプロセスされ、次いで、二本鎖分子が解かれて、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に負荷される。類似の経路が哺乳動物細胞において同定されているが、遺伝子に特異的ではなく、そしてその細胞におけるタンパク質合成の総体的閉鎖をもたらす、いわゆるインターフェロン応答の誘導を避けるために、dsRNA分子が長さ30bpより小さくなくてはならないという注目すべき差異を有する。
【0007】
合成siRNAは、単一遺伝子を選択的に標的とするように成功裏に設計され、そしてインビトロおよびインビボで細胞に送達することができる。shRNAはsiRNA分子のDNA等価物であり、それらが分裂周期毎に複製される細胞のゲノム中に組み込まれるという利点を有する。
【0008】
DNAザイムはまた遺伝子発現を調節するために使用されてきた。DNAザイムは一本鎖RNAを切断する触媒的DNA分子である。それらは、標的RNA配列に対して高度に選択的であり、それ自体メッセンジャーRNAの標的化をとおして特異的遺伝子を下方調節するために使用することができる。
【0009】
したがって、自己免疫疾患、例えば乾癬、ならびに他の疾病および症状を診断および処置するための方法を開発する上に有用な新しい遺伝子マーカーを同定かつ特性決定する必要性が存在する。
【非特許文献1】Barker,JN.1994,Baillieres Clin Rheumatol 8:429−
【非特許文献2】Barker,J et al.,1991,J Dermatol Sci,2:106−
【非特許文献3】Austin,LM 1999.J Imvest Dermatol.113:752−
【非特許文献4】Trinchieri,G.2003 Interleukin−12 and the regulation of innate resisitance and adaptive immunity.Nat Rev immunol 3:133146
【非特許文献5】Oppmann et al.,2000 Immunity 13:715−725
【発明の開示】
【0010】
本発明は、乾癬および/または関連疾病または障害を調節する候補薬剤および/または標的を同定および使用することによって、そのような疾病または障害を診断および/または処置する方法に関する。本発明は、乾癬を有し、そして/または乾癬の症候を低下させるのに有効な薬剤により処置された患者において発現レベルを改変した、36種の遺伝子のパネルの発見を含む。改変された発現レベルは、乾癬および/または処置に対する被験者の応答の指標になるバイオマーカープロファイルとして働くことができるプロファイルを構成する。
【0011】
特定の実施態様では、本発明は、プロファイルを構成する36種の遺伝子の1種以上の遺伝子発現のパターンに基づく乾癬に対する処置の効力を決定する方法を含む。これは、例えば、臨床的応答の他の全測定結果が明らかになる前に、患者に対して実施することができる。1つの実施態様では、薬物候補のスクリーニングの方法は、薬物候補の存在下での発現のレベルに対して、薬物候補の不在下での発現のレベルを比較することを含み、ここで、薬物候補の濃度は、存在する場合には変えることができ、そしてその比較は、薬物候補による処置中または処置後に起きてもよい。典型的な実施態様では、細胞標本は少なくとも2種の発現プロファイル遺伝子を発現する。プロファイル遺伝子は増加または減少を示してもよい。
【0012】
1つの実施態様では、乾癬関連の遺伝子プロファイルは、予後または診断目的のためのアレイに基づく方法を創製するために使用され、その方法は、
(a)患者から得られた標本から代表的な核酸の混合物を調製し、そして混合物中の該サンプル核酸を検出可能なマーカーにより標識させ;
(b)多数の核酸セグメントを含んでなるアレイとサンプルを接触させ、ここで、各核酸セグメントは、乾癬関連のバイオマーカーのパネルがアドレスによってアレイのフィーチュア(feature)として同定される基板(substrate)表面上の別々の既知のアドレスに固定化され、さらに該アレイが基板上の既知アドレスにおける少なくとも1種の校正(calibration)核酸を含み、ここで、接触は、サンプル核酸がアレイに固定化された核酸セグメントに特異的に結合できる条件下で実施される;
(c)処置される患者からの全試験サンプルと対照標準の統計学的比較を実施し;そして
(d)CNTO1275による処置に対して応答性の患者から採取されたサンプルについて、来歴パターンをもつ乾癬関連の遺伝子プロファイルのメンバーであるそれらのフィーチュアの強度変化(change)のパターンに対して、試験サンプルについてのフィーチュアの強度パターンを比較する;ことを含む。
【0013】
その他の実施態様では、本発明は、乾癬および/または関連疾病または障害を調節する候補薬剤および/または標的を同定および使用することによって、そのような疾病または障害を診断し、そして遺伝子発現のパターンに基づく乾癬および/または関連疾病または障害の処置の効力を決定するためのキットを含む。
【0014】
本発明のその他の実施態様は、乾癬または関連障害を処置するために、乾癬関連の遺伝子パネル生産物に対向される抗体を含む、乾癬関連遺伝子パネルの遺伝子の転写または遺伝子産物のアゴニストおよび/またはアンタゴニスト、ならびに乾癬関連遺伝子パネルアンタゴニストを使用する方法に関する。
【0015】
1つの態様では、乾癬関連遺伝子パネルアンタゴニストは、乾癬関連遺伝子パネル生産物に特異的に結合する抗体である。そのような抗体の特定の利点は、それらが、その作用を防ぐ様式で乾癬関連遺伝子パネル生産物に結合することができることである。かくして、本発明の方法は、ヒトまたは非ヒト患者における種々の皮膚関連の障害に関する疾病状態の治療および予防処置のために抗体を理想的に適合させる、望ましい中和特性を有する抗体を使用する。したがって、本発明は、肺関連の疾病または障害を抑制するために、中和性の乾癬関連遺伝子パネル生産物抗体の量を患者に投与することを含む、そのような処置の必要な患者における乾癬または関連疾病または症状を処置する方法に対向される。
【0016】
その他の態様では、本発明は、細胞における活性または発現が調節されるように、乾癬関連遺伝子パネル遺伝子の活性または発現を調節(抑制または増進)する薬剤(例えば、アンタゴニストまたはアゴニスト)と細胞を接触させることを含む、乾癬関連遺伝子パネル遺伝子の活性を調節する方法を提供する。好適な実施態様では、薬剤は、乾癬関連遺伝子パネルに特異的に結合する抗体である。他の実施態様では、モジュレーターはペプチド、ペプチド擬似体または他の低分子である。
【0017】
また本発明は、障害が乾癬関連遺伝子パネルの量または活性を調節することによって軽減することができる乾癬または関連障害を有する被験者を処置する方法を提供する。また本発明は、乾癬関連遺伝子パネル生産物の活性のモジュレーターまたは乾癬関連遺伝子パネルの発現のモジュレーターである薬剤を被験者に投与することによって、乾癬関連遺伝子パネル生産物またはそれらをコードしているポリヌクレオチドの異常な活性を特徴とする障害を有する被験者を処置する方法を提供する。
【0018】
1つの実施態様では、モジュレーターはポリペプチドまたは低分子化合物である。その他の実施態様では、モジュレーターはポリヌクレオチドである。特定の実施態様では、乾癬関連遺伝子パネルアンタゴニストは、細胞による乾癬関連遺伝子パネルの生産を妨げることができるsiRNA分子、shRNA分子、アンチセンス分子、リボザイムまたはDNAザイムである。
【0019】
さらに本発明は本明細書に記述されるすべての発明を提供する。
【0020】
定義
次に示す定義は、本明細書において本発明を記述されるために使用される種々の用語の意味および範囲を具体的に説明し、定義するために記述される。
【0021】
ポリペプチドの「活性」、生物学的活性および機能的活性は、標準技術にしたがってインビボ、インサイチューまたはインビトロで決定されるようなその他のタンパク質または分子とのそれとの特異的相互作用に対する応答において、乾癬関連遺伝子パネルの遺伝子によって発揮される活性を指す。そのような活性は、直接活性、例えば第2のタンパク質との組み合わせ活性またはそのタンパク質における酵素活性であってもよく、あるいは間接活性、例えば第2のタンパク質とそのタンパク質の相互作用、または細胞内シグナル伝達または凝固カスケードにおけるような一連の相互作用によって媒介される細胞プロセスであってもよい。
【0022】
「抗体」は、免役グロブリン分子の少なくとも1部分、例えば、限定されるものではないが、重鎖または軽鎖の少なくとも1個の相補性決定部(CDR)またはそのリガンド結合部分、重鎖または軽鎖可変部、重鎖または軽鎖定常部、枠組み構造領域、またはそれらのすべての部分、フラグメントまたは変異体、を含む分子を含有するすべてのポリペプチドまたはペプチドを含む。用語「抗体」は、抗体擬似体を含む、抗体、消化フラグメント、特定の部分およびそれらの変異体を包含するか、あるいは一本鎖抗体およびそのフラグメントを含む、抗体またはその特定のフラグメントまたは部分の構造および/または機能を模倣する抗体の部分を含むことが意図される。例えば、抗体フラグメントは、限定されるものではないが、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化および部分還元による)およびF(ab’)2(例えば、ペプシン消化による)を含み、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシンまたはプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分還元および再集合(reaggregationによる)、FvまたはscFv(例えば、分子生物学技術による)フラグメントが、本発明によって包含される(参照、例えば、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994−2001);Colligan,et al.,Current Protocols in Polypeptide Science,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1997−2001))。
【0023】
本明細書で使用されるような、用語「アレイ」または「マイクロアレイ」または「バイオチップ」または「チップ」は、多数の固定化された標的要素を含んでなる製造商品またはデバイスを指し、各標的要素は、以下にさらに詳細に議論されるように、固体表面に固定化された、生物学的分子、例えば、核酸分子またはポリペプチドのような特定の組成物を含んでなる「クローン」、「フィーチュア(feature)」、「スポット」または一定の領域を含む。
【0024】
本発明の核酸配列「の相補物(of complement)」または「に相補的(to complementary)」は、最初のポリヌクレオチドに比較して相補的な塩基配列および逆配向を有するポリヌクレオチド分子を指す。
【0025】
当該技術分野において既知であるような「同一性(identity)」は、配列を比較することによって決定されるような、2種以上のポリペプチド配列または2種以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野において、また「同一性」は、そのような配列の糸の間の一致によって決定されるような、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」および「類似性」は、限定されるものではないが、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;およびSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991;およびCarillo,H.,and Lipman,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988)において記述されている方法を含む、既知の方法によって容易に計算することができる。その上、パーセンテージ同一性に関する値は、the default settings for the AlignX component of Vector NTI Suite 8.0(Informax,Frederick,MD)を使用して生成されるアミノ酸およびヌクレオチド配列整列から得ることができる。
【0026】
本明細書で使用されるような、用語「に特異的にハイブリダイズする」、「に特異的にハイブリダイズすること」、「特異的ハイブリダイゼーション」および「に選択的にハイブリダイズする」は、ストリンジェント(緊縮)条件下で特定のヌクレオチド配列に対する優先的な核酸分子の結合、二重鎖形成またはハイブリダイジングを指す。用語「ストリンジェント条件」は、プローブがその標的サブ配列に優先的に;かつ、他の配列に対しては、より低度にハイブリダイズできるか、または少しもハイブリダイズできない条件を指す。核酸のハイブリダイゼーション(例えば、アレイ、サザンまたはノーザンハイブリダイゼーションにおけるような)に関して「ストリンジェントハイブリダイゼーション」および「ストリンジェントハイブリダイゼーション洗浄条件」は、配列依存性であり、そして種々の環境パラメーター下では異なる。本発明を実行するために使用されてもよい代替ハイブリダイゼーション条件は、以下に詳細に記述されている。その他の態様では、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件は、以下に、さらに詳細に記述されるように、温和条件、ストリンジェント条件および非常にストリンジェントな条件下で実施される。また代替洗浄条件は、本明細書でさらに詳細に記述されるように、種々の態様において使用される。
【0027】
本明細書で使用されるような、語句「標識された生物学的分子」または「検出可能な組成物により標識された」または「検出可能な部分により標識された」は、以下に詳細に記述されるように、検出可能な組成物、すなわち標識を含んでなる生物学的分子、例えば、核酸を指す。標識は、また、核酸、例えば、以下に記述されるように、「分子ビーコン」としてのステム−ループ構造の形態における核酸のようなその他の生物学的分子であってもよい。これは、例えば、ニックトランスレーション、ランダムプライマー伸張、退化プライマーによる増幅などによって、核酸中への標識された塩基(または、検出可能な標識に結合できる塩基)の組み込みを含む。いかなる標識も使用することができる、例えば、化学発光標識、放射能標識、酵素的標識など。標識は、いかなる手段によっても、例えば、肉眼的、分光法的、光化学的、生物化学的、免疫化学的、物理的、化学的および/または化学発光的検出によって検出することができる。本発明は、検出可能な標識を含む固定化核酸を含んでなるアレイを使用してもよい。
【0028】
本明細書で使用されるように、用語「核酸」は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態におけるデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を指す。この用語は、天然のヌクレオチドの既知の類似体を含有する核酸を包含する。用語核酸は、遺伝子、DNA、RNA、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチドプライマー、プローブおよび増幅生成物と互換的に使用される。また用語は、DNA骨格類似体、例えば、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、アルキルホスホトリエステル、スルファメート、3’−チオアセタール、メチレン(メチルイミノ)、3’−N−カルバメート、モルホリノカルバメートおよびペプチド核酸(PNA)を包含する。
【0029】
本明細書で使用されるように、用語「サンプル」または「核酸のサンプル」は、DNAもしくはRNA、または天然起源から単離されたDNAもしくはRNAの核酸代表物を含んでなるサンプルを指す。「核酸のサンプル」は、その他の核酸(例えば、固定化されたプローブ)に対するハイブリダイゼーションのために適当な形態物において(例えば、可溶性水溶液として)存在する。サンプル核酸は、特定の細胞または組織から単離、クローン化または抽出されてもよい。核酸サンプルが調製される細胞または組織サンプルは、典型的には、乾癬または関連疾病または症状を有するか、または有すると疑われる患者から採取される。細胞および組織サンプルを単離する方法は、当業者には周知であり、そして限定されるものではないが、吸引、組織切断、針生検などを含む。しばしば、サンプルは、組織学的目的のために採取された凍結切片またはパラフィン切片のような組織の切片を含む、患者から得られたサンプルである「臨床サンプル」であってもよい。またサンプルは、薬物候補への応答を検出することが望まれるであろう、患者から採取された(細胞の)上澄液または細胞それ自体から、あるいは細胞培養物、組織培養物からの細胞および他の培地から得られてもよい。若干の場合には、核酸はハイブリダイゼーションの前に、PCRのような標準技術を使用して増幅されてもよい。プローブは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅生成物、実質的に完全な染色体または染色体フラグメント、または実質的に完全なゲノムのコレクション、例えば、クローン、例えば、BACs、PACs、YACsなどのコレクションのような、の1個以上の特定の(予め選ばれた)部分からの核酸の起源から作成されてもよく、そして集合的に代表物であってもよい(下記、参照)。
【0030】
「核酸」はヌクレオチドのポリマーであり、ここで、ヌクレオチドは、糖が、仲介する少なくとも二価の分子、例えばリン酸によって互いに順に結合されている糖に結合された塩基を含む。天然に存在する核酸では、糖は2’−デオキシリボース(DNA)またはリボース(RNA)のいずれかである。非天然のポリ−またはオリゴヌクレオチドは、修飾された塩基、糖または結合分子を含有するが、一般には、後にそれらが設計される天然に存在する核酸の相補的性質を模倣していると理解される。非天然のオリゴヌクレオチドの例は、ホスホロチオレート骨格を有するアンチセンス分子組成物である。「オリゴヌクレオチド」は、一般に、30個未満のヌクレオチドを有する核酸分子を指す。
【0031】
用語「プロファイル」は、パターンを意味し、そして多数のフィーチュアの変化の大きさと方向に関する。プロファイルは、厳密に解釈されてもよい、すなわち、ここでは、特性を表すプロファイル内のフィーチュアの大きさおよび/または数における変化は、参考プロファイルに実質的に類似しているか、あるいは、それは、例えば、フィーチュアの特性の全部またはサブセットの絶対的一致よりもむしろ傾向を求めることによって、あまり厳密には解釈されなくてもよい。
【0032】
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、先に詳細に議論されたように、変異体が得られたポリペプチドに実質的に対応する構造および活性を有する「類似体」または「保存変異体」および「擬似体」または「ペプチド擬似体」を含む。
【0033】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって結合されたアミノ酸残基のポリマーであり、そしてペプチドは、一般には、12個以下の残基のアミノ酸ポリマーを指す。ペプチド結合は、核酸鋳型により指導されるように天然に、または当該技術分野において周知の方法によって合成的に生産されてもよい。
【0034】
「タンパク質」は、1種以上のポリペプチド鎖を含んでなる巨大分子である。タンパク質は、ペプチド結合の形成に必要とされないアミノ酸のサイドグループに結合された置換基をさらに含んでもよい。典型的には、真核細胞発現によって形成されるタンパク質は、また炭水化物を含有する。タンパク質は、本明細書では、それらのアミノ酸配列または骨格に関して定義され、そして置換基は、既知であってもなくても特定されない。
【0035】
用語「受容体」は、特定のリガンドまたは結合パートナーとの相互作用の結果として、例えば細胞において、生物学的活性に影響を与える能力を有する分子を言う。細胞膜に結合された受容体は、細胞外のリガンド結合ドメイン、1個以上の膜横断または膜貫通ドメイン、および典型的にはシグナル伝達に関与する細胞内エフェクタードメインを特徴とする。細胞膜受容体へのリガンド結合は、細胞外ドメインにおける変化を惹起し、これが細胞膜を横断して伝達され、1種以上の細胞内タンパク質との相互作用を導くかまたは導かず、そして細胞の特性、例えば酵素活性、細胞型または遺伝子発現プロファイルを変える。また受容体は、細胞表面に結合されていなくてもよく、そしてサイトゾル、核に存在しても、または細胞から完全に遊離していてもよい。非細胞結合受容体は可溶性受容体またはリガンドと呼ばれる。
【0036】
本明細書に引用されたすべての公表物または特許は、引用によって完全に本明細書に組み入れられており、したがって、具体的に指摘されてもされなくても、それらは、本発明の時点における当該技術分野の状態を示し、そして/または本発明の説明および可能性を提供する。公表物は、すべての科学または特許公報物、あるいは全ての記録、電信または印刷型式を含む、すべての媒体型式において利用できるすべての他の情報を指す。次の参考文献は、引用によって完全に本明細書に組み入れられている:Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1987−2001);Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Habor,NY(1989);Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Habor,NY(1989);Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994−2001);Colligan,et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY(1997−2001)。
【0037】
遺伝子パネル同定および評価
CNTO1275は、Centocor,Inc.のヒト抗IL−12p40ヒトIgG1抗体であり、これは、ヒトIL−12およびIL−23のp40サブユニットに結合する。CNTO1275は、乾癬の処置のために臨床試験中である。
【0038】
中度〜重度の乾癬を有する患者におけるCNTO1275の初期臨床試験(研究名T01)は、単回のIV用量後の有意な離床的改善を例証した(Kauffman,CL et al.,2004.J Invest Dermatol.123:1037−1044)。第1相、ヒトにおける最初の非無作為化オープンラベル研究は、CNTO1275の単回静脈内注入が、一般に、十分に許容され、そして乾癬病巣の濃度依存的改善を誘導することを例証した。乾癬はヒトにおけるもっとも普遍的なT細胞媒介炎症性疾患の1つであり、そしてもっとも通常の免疫媒介炎症性疾患および障害にはいるが、自己抗原は同定されていない。乾癬の病因は、ケラチン細胞の過増殖および血管の顕著な拡張を伴う血管形成をもたらす、病巣および/または循環性T細胞の活性化およびそれらの分泌生産物によると考えられる。
【0039】
T01研究では、3%〜35%にわたる体表面積と、体幹または体肢のいずれかに少なくとも2個の斑を有する18人の患者が、単回静脈内注入により処置された。用量は0.1〜5.0mg/kgの範囲であった。CNTO1275に関する重大な悪い事象はなかった。もっとも普通に報告された悪い事象は、CD4+およびCD16/56+細胞における一過性の減少、頭痛、通常のかぜ症候および生検部位における疼痛を含んだ。18人の被験者中12人(67%)は、研究投与後8〜16wk間に、乾癬活性および重篤度指数(PASI)における少なくとも75%の改善を達成した。離床的改善は濃度依存性であった。
【0040】
実施例1に記述されるような類似の研究、T02では、この研究における被験者からの皮膚生検サンプルを使用してマイクロアレイによる遺伝子プロファイリングの分析が、PASIスコアによって測定されるように、可視的な離床的改善前にCNTO1275処置の効力に相関した予後指標遺伝子パネルの同一性をもたらした。
【0041】
本発明は、乾癬に関連される障害の診断の新規方法、ならびに乾癬、特に乾癬性皮膚病巣の症候を緩和する組成物についてのスクリーニングの方法を提供する。本明細書に記述されるような、「乾癬」、「乾癬性皮膚病巣」、「乾癬関連症状」または文法的等価物は、血管の顕著な拡張を伴うケラチン細胞過増殖および血管形成、すなわち、発疹性(erupting)皮膚病巣をもたらすT細胞媒介の炎症性疾患によって特色づけられる疾病状態または症状を意味する。他の皮膚のT細胞障害は、皮膚のT細胞リンパ腫を含む。
【0042】
乾癬または関連障害の処置では、病原性T細胞応答を制限することが望ましいであろう。サイトカインのIL−12ファミリー、IL−12、IL−23は、Th1作動性免疫応答に関与しているとして同定された。したがって、共通のβ(p40)サブユニットを共有する全メンバー(IL−12またはIL−23にのみに限定されない)のアンタゴニストが、乾癬を処置するためのヒトにおける最初の(first−in−human)治療剤として選ばれた。
【0043】
1つの態様では、遺伝子の発現レベルは、発現プロファイルを提供するために診断情報が所望される種々の患者サンプルにおいて決定される。特定のサンプルの発現プロファイルは、本質的に、そのサンプルの状態の「フィンガープリント」であり;2つの状態が、類似に発現されたすべての特定の遺伝子を有する限り、多数の遺伝子の評価は、同時に、患者サンプルの状態に独特な遺伝子発現プロファイルの生成を可能にする。すなわち、正常な組織は病巣組織と区別でき、そして処置された患者からの組織は未処置の患者と区別できる。既知である種々の疾病状態の組織の発現プロファイルを比較することによって、これらの状態の各々において重要である遺伝子に関する情報(遺伝子の両上方−および下方調節を含む)が得られる。
【0044】
疾病組織において分別的に発現される配列(遺伝子)の同定は、多くの方法におけるこの情報の使用を可能にする。例えば、特定の処置療法の評価が評価できる。同様に、診断が、既知の発現プロファイルと患者サンプルを比較することによって実施されてもよく、または確認されてもよい。さらにまた、これらの遺伝子発現プロファイル(または個々の遺伝子)は、特定の発現プロファイルを模倣するか、または変更することに目を向けての薬物候補のスクリーニングを可能にする;例えば、スクリーニングが、血管形成発現プロファイルを抑制する薬物のために実施されてもよい。
【0045】
このことは、重要な疾病遺伝子のセットを含んでなるバイオチップを作成することによって実施されてもよく、次いで、これがこれらのスクリーニングにおいて使用できる。またこれらの方法は、タンパク質に基づいて実施されてもよい;すなわち、乾癬関連遺伝子産物タンパク質のタンパク質発現レベルが、診断目的のためまたは候補薬剤のスクリーニングのために評価されてもよい。さらに、乾癬関連遺伝子プロファイルを含む核酸配列が使用されて、アンチセンス核酸の投与を含む療法が設計されてもよく、あるいは、その遺伝子配列によりコードされたタンパク質がワクチンの成分として投与されてもよい。
【0046】
かくして、本発明は、乾癬において分別的に発現される核酸およびタンパク質配列、本明細書では「乾癬関連遺伝子配列」と呼ばれる、に関する情報を提供する。以下に略記されるように、乾癬関連遺伝子配列は、乾癬に関連する障害において上方調節される(すなわち、より高いレベルで発現される)それらの配列、ならびに下方調節される(すなわち、より低いレベルで発現される)それらの配列を含む。好適な実施態様では、乾癬関連遺伝子配列はヒト由来である;しかしながら、当業者によって評価できるように、他の生物由来の乾癬関連遺伝子配列が、疾病および薬物評価の動物モデルにおいては有用であろう;かくして、他の乾癬関連遺伝子配列が、齧歯類(ラット、マウス、ハムスター、モルモットなど)、霊長類、農場動物(ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマなどを含む)を含む哺乳類を含む脊椎動物から提供される。他の生物由来の乾癬関連遺伝子配列が、当該技術分野において既知の技術を使用して得られてもよい。
【0047】
乾癬関連遺伝子配列は、両核酸およびアミノ酸配列を含んでもよい。好適な実施態様では、乾癬関連遺伝子配列は組み換え核酸である。本明細書における用語「組み換え核酸」とは、一般に、ポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼによる核酸の操作によって、普通には自然では見出だされない形態において、インビトロで最初から形成される核酸が意味される。かくして、線状形態において単離された核酸、または正常では結合されないDNA分子を連結することによってインビトロで形成された発現ベクターは、両者ともに、本発明の目的のための組み換え体と考えられる。組み換え核酸が作成され、そして宿主細胞または生物体中に再導入されると、それは、非組み換え的に、すなわち、インビトロの操作よりもむしろ宿主細胞のインビボの細胞機構を使用して複製できる;しかしながら、そのような核酸は、一旦組み換え的に生産されると、続いて、非組み換え的に複製されるけれども、なお本発明の目的では組み換え体と考えられることが理解される。
【0048】
本発明を実施する方法
本発明は、2種以上のサンプル中の結合性分子(例えば、核酸配列)の相対量に依存するインシリコ(in silico)のアレイに基づく方法を提供する。また、2種以上のサンプル中の結合性分子(例えば、核酸配列)の相対量を決定し、そして決定された相対的結合量を使用して疾病を診断し、格付け(stage)し、特定の療法に対する応答を予測し、そして治療処置を追跡および増進するためのコンピューターで実行される方法が提供される。
【0049】
本発明の方法の実施では、標識された生物学的分子(例えば、核酸)の2種以上のサンプルが2種以上のアレイに適用されるが、ここで、アレイは、実質的に、固定化された結合性分子(例えば、標識されたサンプル核酸にハイブリダイズすることができる固定化された核酸)の同じ相補物(complement)を有する。2種以上のアレイは、典型的には、同じアレイの多数のコピーである。しかしながら、アレイ上の各「スポット」、「クローン」または「フィーチュア」は、類似の生物学的分子(例えば、同配列の核酸)を有し、そして各スポットにおける生物学的分子(例えば、核酸)は、核酸および他のアレイについては典型的であるとして既知であるので、本発明において使用される多数のアレイは、配置において同一である必要はなく、基板上の各フィーチュアの位置が既知である、すなわち、アドレスを有することのみが必要である。かくして、1つの態様では、多数の生物学的分子(例えば、核酸)サンプルは、アレイに比較的に結合され(例えば、同時にハイブリダイズされる)、そして収集された情報は、結果がフィーチュア(例えば、核酸配列)の固有の性質に基づき、基板上のその位置には基づかないようにコードされる。
【0050】
核酸の増幅
オリゴヌクレオチドプライマーを用いる増幅が使用されて、本発明の組成物および方法において使用される核酸が生成され、アレイにハイブリダイズされる試験または対照サンプルのレベルが検出または測定する、などができる。熟練研究者は、適当なオリゴヌクレオチド増幅プライマーを選択および設計することができる。また、増幅方法は当該技術分野において周知であり、そして例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、PCR(PCR PROTOCOLS,A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS,ed.Innis,Academic Press,Inc.,N.Y.(1990)およびPCR STRATEGIES(1995),ed.Innis,Academic Press,Inc.,N.Y.)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(参照、例えば、Wu(1989)Genomics 4:560;Landegren(1988)Science 241:1077;Barringer(1990)Gene 89:117);転写増幅(参照、例えば、Kwoh(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173);および、自己維持(self−sustained)配列複製(参照、例えば、Guatelli(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874);Qベータレプリカーゼ増幅(参照、例えば、Smith(1997)J.Clin.Microbiol.35:1477−1491)、自動Qベータレプリカーゼ増幅アッセイ(参照、例えば、Burg(1996)Mol.Cell.Probes 10:257−271)および他のRNAポリメラーゼ媒介技術(例えば、NASBA、Cangene、Mississauga、Ontario)を含む;参照、またBerger(1987)Methods Enzymol.152:307−316;Sambrook;Ausubel;米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号;Sooknanan(1995)Biotechnology 13:563−564。
【0051】
核酸をハイブリダイズする
本発明の方法を実施するには、核酸の試験および対照サンプルが、例えば、アレイ上の固定化プローブ核酸にハイブリダイズされる。その他の態様では、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件は温和な条件、ストリンジェント条件および非常にストリンジェントな条件下で実施される。核酸のハイブリダイゼーションについての広範なガイドは、例えば、Sambrook Ausubel,Tijssenにおいて見出だされる。一般に、高ストリンジェントのハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、一定のイオン強度およびpHにおいて特定の配列の熱融点(Tm)以下約5℃であるように選ばれる。Tmは、標的配列の50%が、完全に一致したプローブにハイブリダイズする温度(一定のイオン強度およびpH下で)である。非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブのTmに等しいように選ばれる。アレイまたはサザンまたはノーザンブロットにおけるフィルターにおいて、100個以上の相補的残基を有する相補的核酸のハイブリダイゼーションのためのストリンジェントハイブリダイゼーション条件の例は、一夜実施されるハイブリダイゼーションによる標準ハイブリダイゼーション溶液(参照、例えば、Sambrook)を使用して42℃である。高いストリンジェント洗浄条件の例は、約15分間72℃で0.15MNaClである。ストリンジェント洗浄条件の例は、15分間65℃で0.2xSSC洗浄液である(参照、例えば、Sambrook)。しばしば、高ストリンジェント洗浄は、中または低ストリンジェント洗浄によって先行されてバックグラウンドのプローブシグナルが除去される。100個以上のヌクレオチドの二重鎖についての代表的な中ストリンジェント洗浄は、15分間45℃で1xSSCである。100個以上のヌクレオチドの二重鎖についての低ストリンジェント洗浄の例は、15分間40℃で4x〜6xSSCである。
【0052】
例えば、アレイによる比較ゲノムハイブリダイゼーションのような比較核酸ハイブリダイゼーションの実施における、本発明の組成物および方法のその他の態様では、蛍光染料Cy3(R)およびCy5(R)が、2種のサンプルからの核酸フラグメント、例えば、アレイに固定化された核酸対サンプル核酸、または対照物から生成された核酸対試験細胞または組織からの核酸、を分別して標識するために使用される。多くの市販装置がこれらの2種の染料の検出に用立てるために設計されている。Cy5(R)、またはフルオル(fluors)または他の酸化感受性化合物の安定性を増大させるために、抗酸化剤および遊離基捕捉剤が、ハイブリダイゼーション混合液、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄溶液において使用されてもよい。かくして、Cy5(R)シグナルは劇的に増大され、そしてより長いハイブリダイゼーション時間が可能である。参照、WO0194630A2および米国特許出願第20020006622号。
【0053】
ハイブリダイゼーション感度をさらに増大するために、ハイブリダイゼーションは、制御された不飽和湿度環境において実施されてもよく;それによって、ハイブリダイゼーション効率は湿度が飽和されない場合には有意に改良される。参照、WO0194630A2および米国特許出願第20020006622号。ハイブリダイゼーション効率は、湿度が動的に制御される場合、すなわち、湿度がハイブリダイゼーション中に変化する場合に、改良することができる。物質移動は、動的にバランスされた湿度環境において促進されるであろう。ハイブリダイゼーション環境における湿度は、段階的または連続的に調節することができる。オペレーターがプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、洗浄および/または検出段階中の湿度制御を可能にする、ハウジング(housing)および制御部を含んでなるアレイデバイスが使用されてもよい。そのデバイスは、検出、制御および記憶構成部を有して、湿度および温度制御(恒常的かつ正確であるか、または変動する)、およびプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、洗浄および検出段階を含む全操作サイクル中の他のパラメーターのプレプログラミングを可能にする。参照、WO0194630A2および米国特許出願第20020006622号。
【0054】
本発明の方法は、浸透変動を含むハイブリダイゼーション条件を含んでもよい。またハイブリダイゼーション効率(すなわち、平衡までの時間)は、高−/低張性を変えること、例えば、溶質勾配を含む、ハイブリダイゼーション環境によって増進することができる。例えば、低塩ハイブリダイゼーション溶液が、アレイハイブリダイゼーションチャンバーの一方の側に置かれ、そしてより高い塩バッファーが他方の側に置かれて、チャンバーにおける溶質勾配が形成される。参照、WO0194630A2および米国特許出願第20020006622号。
【0055】
反復核酸配列がハイブリダイズする能力をブロックする
本発明の方法は、固定化された核酸セグメントにおいて反復核酸配列がハイブリダイズする能力をブロックする(「ハイブリダイゼーション能力」をブロックする)段階を含んでもよい。サンプル核酸配列における反復核酸配列のハイブリダイゼーション能力は、サンプル核酸配列を無標識または標識反復核酸配列と混合することによってブロックすることができる。サンプル核酸配列は、アレイに固定化された核酸配列と接触する段階前に反復核酸配列と混合されてもよい。ブロッキング配列は、例えば、Cot−1DNA、サケ精子DNAまたは特異的な反復ゲノム配列である。反復核酸配列は標識されなくてもよい。例えば、Cot−1を使用して反復配列のハイブリダイゼーション能力を除去および/または無能化する多数の方法が知られている;参照、Craig(1997)Hum.Genet.100:472−476;WO93/18186。反復DNA配列は、磁気精製およびアフィニティーPCRの手段によってライブラリープローブから除去されてもよい、参照、例えば、Rauch(2000)J.Biochem.Biophys.Methods 44:59−72。
【0056】
アレイは、総称的には、サンプル中の分子に特異的に結合する(例えば、ハイブリダイゼーション)ために固体表面に固定化された1種以上の生物学的分子(例えば、核酸またはポリペプチド)を含んでなる各標的要素により、定義された「スポット」または「クラスター」、または「フィーチュア」のようなプレートの表面上に固定化された多数の標的要素である。固定化核酸は、ヒトゲノムを含む、特異的メッセージ(例えば、cDNAライブラリーのような)または遺伝子(例えば、ゲノムライブラリーのような)からの配列を含んでもよい。他の標的要素は参考配列などを含んでもよい。アレイの生物学的分子は、種々のサイズおよび種々の密度において固体表面上に配置されてもよい。クラスターにおける生物学的分子の密度およびアレイ上のクラスターの数は、標識の性質、固体支持体、基板表面の疎水性の度合などのような多数の因子に依存するであろう。各フィーチュアは、実質的に、同じ生物学的分子(例えば、核酸)または生物学的分子の混合物(例えば、種々の長さおよび/または配列の核酸)を含んでもよい。かくして、例えば、フィーチュアは、DNAのクローン化断片の1つ以上のコピーを含んでもよく、そして各コピーは種々の長さのフラグメントに分割されてもよい。
【0057】
生物学的分子が固定化されているアレイ基板表面は、以下にさらに議論されるように、ニトロセルロース、ガラス、石英、融解石英、プラスティックなどを含んでもよい。本発明の組成物および方法は、例えば、米国特許第6,344,316号;同第6,197,503号;同第6,174,684号;同第6,159,685号;同第6,156,501号;同第6,093,370号;同第6,087,112号;同第6,087,103号;同第6,087,102号;同第6,083,697号;同第6,080,585号;同6,054,270第号;同第6,048,695号;同第6,045,996号;同第6,022,963号;同第6,013,440号;同第5,959,098号;同第5,856,174号;同第5,843,655号;同第5,837,832号;同第5,770,456号;同第5,723,320号;同第5,700,637号;同第5,695,940号;同第5,556,752号;同第5,143,854号において記述されているような、アレイの全体または部分設計、および関連構成部分および方法に組み入れられている;また参照、例えば,WO99/51773;WO99/09217;WO97/46313;WO96/17958;WO89/10977;また参照、例えば、Johnston(1998)Curr.Biol.8:R171−174;Schmmer(1997)Biotechnicques 23:1087−1092;Kem(1997)Biotechnicques 23:120−124;Solinas− Toldo(1997)Genes,Chromosomes & Cancer 20:399−407;Bowtell(1999)Nature Genetics Supp.21:25−32;Epstein(2000)Current Opinion in Biotech.11:36−41;Mendoza(1999)Biotechnicques 27:778−788;Lueking(1999)Anal.Biochem.270:103−111;Davies(1999)Biotechnicques 27:1258−1261。
【0058】
基板表面
本発明の組成物および方法において使用されてもよい基板表面は、例えば、ガラス(参照、例えば、米国特許第5,843,767号)、セラミックスおよび石英を含む。アレイは、硬質、半硬質または柔軟性材料の基板表面を有してもよい。基板表面は、平らまたは平面でもよく、ウェル、高くした領域、刻まれた溝、穴、ビーズ、フィラメントなどとして成形されてもよい。また基板表面は、ニトロセルロース、紙、結晶性基板(例えば、ヒ化ガリウム)、金属、メタロイド、ポリアクリロイルモルホリド、種々のプラスティックおよび塑性コポリマー、Nylon(R)、Teflon(R)、ポリエチレン、ポロプロピレン、ラテックス、ポリメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、レーヨン、ナイロン、ポリ(ビニルブチレート)およびセルロースアセテートのような種々の材料を含んでもよい。基板はコートされてもよく、そして基板およびコーティングは、例えば、アミンに複合できるように機能化されてもよい。
【0059】
校正配列を含んでなるアレイ
本発明は、アレイに基づくハイブリダイゼーション反応の結果を正規化(normalize)するための固定化された校正配列を含んでなるアレイの使用、ならびにこれらの校正配列を使用して、例えば、比率プロファイル(ratio profile)を「正規化」または「校正」するために校正配列のコピー数を決定する方法を意図する。校正配列は、アレイ上の固定化核酸配列の独特配列と実質的に同じ配列であってもよい。例えば、アレイ上の各「スポット」または「バイオサイト(biosite)」からの「マーカー」配列(そのスポットにおいてのみ存在して、それをそのスポットの「マーカー」にさせる)は、1個以上の「対照」または「校正」スポット上の対応する配列によって表される。
【0060】
「対照スポット」または「校正スポット」は、「正規化」のために使用されて、信頼性と再現性のある情報を提供することができる。対照スポットは、アレイにハイブリダイズされる標識されたサンプル(またはサンプル由来の標識された結合分子)に依存しない首尾一貫した結果を提供することができる。対照スポットを使用して、本発明のインシリコのアレイに基づく方法で使用される2個のアレイ(またはそれ以上)の間の可能性のある強度誤差を相殺するための「正規化」または「校正」曲線を生成することができる。
【0061】
アレイ上に対照を生成する1つの方法は、アレイ上にスポットされるすべての生物学的分子(例えば、核酸配列)の等モル混合物を使用し、そして単一のスポットを生成することである。この単一スポットは、アレイ上のすべての他のスポット由来の生物学的分子(例えば、核酸配列)の等量を有するであろう。多数の対照スポットは、等モル混合物の濃度を変えることによって生成することができる。
【0062】
サンプルおよび標本
サンプル核酸は、特定の細胞、組織または他の標本から、単離、クローン化または抽出されてもよい。核酸サンプルが調製される細胞または組織サンプルは、典型的には、乾癬または関連症状を有するか、または有する疑いのある患者から採取される。細胞および組織サンプルを単離する方法は、当業者には周知であり、そして限定されるものではないが、吸引、組織切断、針生検などを含む。しばしば、サンプルは、全血、または組織学的目的のために採取された凍結切片またはパラフィン切片のような組織の切片を含む、患者由来のサンプルである「臨床サンプル」である。またサンプルは、薬物候補への応答を検出することが望まれるであろう、患者から採取された(細胞の)上澄液または細胞それ自体からか、あるいは細胞培養物、組織培養物からの細胞および他の培地から得られてもよい。若干の場合には、核酸は、ハイブリダイゼーションの前に、PCRのような標準技術を使用して増幅されてもよい。
【0063】
1つの実施態様では、本発明は、疾病の消散をモニターする処置後の方法である。その方法は、(1)乾癬または関連疾病または障害を診断された個人からの皮膚病巣または他の標本を採取し、(2)パネルのプロファイル遺伝子の発現レベルを測定し、(3)遺伝子の処置後の発現レベルを、その個人の処置前の参考プロファイルと比較し、そして(4)乾癬関連遺伝子プロファイルの少なくとも1つの成分をモニターすることによって乾癬病巣の消散についての予後を測定することを含む。
【0064】
その他の実施態様では、本発明は乾癬についての診断方法であり、そして対照標準(サンプル)は関連していない部位から採取され、そして試験サンプルは疑いのある病巣から採取される。
【0065】
バイオマーカーの利用を評価する方法
処置に対する患者の応答、予後、または疾病の存在、程度、重篤度または段階を評価するための本発明のバイオマーカー遺伝子パネルの診断および予後の利用は、健康または疾病の患者の状態を評価するための他の手段を使用することによって評価することができる。例えば、疾病の全体的測定は、医者の評価に限定されるものではないような、ある種の造影方法、写真、放射線法または磁気共鳴技術による造影によって評価および記録されてもよい。健康または疾病の一般的指標は、血清または血液組成(タンパク質、肝臓酵素、pH、赤血球容量、ヘマトクリット、ヘモグロビンまたは特異的タンパク質)をさらに含む。しかしながら、若干の疾病では、病因はなおわずかしか理解されていない。乾癬は1つのそのような疾病の例である。
【0066】
乾癬のもっとも普通の変種は斑型(plaque type)と呼ばれる。斑型乾癬を有する患者は、長期間、基本的に無変化のままである、安定な、徐々に拡大する斑を有する。斑(plaque)乾癬が存在するもっとも普通の領域は、肘、膝、臀部裂および頭皮である。併発は全身性の傾向がある。逆の(inverse)乾癬は、腋窩、鼠径部、乳腺下および臍を含む間擦領域を冒す;またそれは頭皮、手掌および足裏を冒す傾向にある。個々の病巣は、明瞭に境界を定める斑であるが、それらの場所により湿っていることもある。斑乾癬は、一般に、徐々に発達し、そして治癒の遅い経過をたどる。それは、まれには突発的に一時軽くなる。
【0067】
発疹性乾癬(滴状の乾癬)は、子供および青年においてもっとも一般的である。それは、乾癬を有しない個人または慢性斑乾癬を有する個人において急に発生する。患者は、溶血性連鎖球菌による上気道感染後にしばしば、多くの小さい紅斑性、落屑性斑を呈する。区別される診断は、バラ色ひ糠疹(pityriasis rosea)および二期梅毒を含むべきである。膿疱性乾癬はその他の変異体である。患者は、手掌および足裏に局在する疾病を有するか、または発熱、倦怠、下痢および関節痛を一般化または関連される疾病を有する。
【0068】
乾癬を有する全患者の約半数は、斑点状の点食、爪の肥厚または爪下の過角質症として現れる指爪の併発症を有する。乾癬を有する患者の約5〜10%は関節病訴を伴い、そしてこれらは指爪併発症を有する患者においてもっとも頻繁に見出だされる。あるものは、古典的なリューマチ様関節炎の同時発生を有するが、多くのものは、乾癬に関連する3種の1つにはいる関節疾患:(1)もっとも普通には遠位または近位の指節間関節を伴い、そしてあまり普通ではないが膝、股関節、足根関節および手根を伴う非対称の炎症性関節炎;(2)セロネガティブリューマチ様関節炎様疾患;これらの患者の有意な部分は、重度の破壊的な関節炎を発達し続ける;または(3)脊椎に限定される疾患(乾癬性脊椎炎);を有する。
【0069】
乾癬の病因はまだよく理解されていないが、その疾病に対する遺伝要素が明らかに存在する。乾癬を有する患者の50%以上が陽性の家族歴を示す。乾癬はHLA−Cw6に、そしてより低い程度にはHLA−DR7に結び付けられてきた。乾癬病巣は、乾癬の病理生理学において役割を有すると考えられる活性T細胞による皮膚の浸潤を特徴とする。多分、活性T細胞由来のサイトカインが、ケラチン細胞の過増殖を刺激する成長因子を作り出すのであろう。T細胞の活性化、クローンの拡大、またはプロ炎症性サイトカインの放出を抑制する薬剤は、重度の乾癬の処置のためにしばしば有効である。
【0070】
乾癬の処置は、疾病のタイプ、場所および程度により異なる。すべての患者は、彼らの皮膚の過度の乾燥または刺激を避け、そして十分な皮膚の水和を維持するように指導されねばならない。局在する斑型の乾癬を有するほとんどの患者は、中力価の局所的グルココルチコイドにより管理することができるが、それらの長期使用は、しばしば、有効性の喪失(過耐性)および皮膚の萎縮を伴う。局所的ビタミンD類似体(カルシポトリエン(calcipotriene))およびレチノイド(タザロテン(tazarotene))もまた、乾癬の処置において有効であり、そして他の局所的薬剤、例えばコールタール、サリチル酸およびアントラリンを大きく置き換えた。
【0071】
天然または人工の、紫外線は、広範囲にわたる乾癬を有する患者のための有効な療法である。紫外線B(UV−B)は、それだけでも有効であり、またはコールタールまたはアントラリンと組み合わせられてもよい。経口または局所的いずれかのソラレンと紫外線A(UV−A)スペクトルとの組み合わせ(PUVA)もまた、乾癬の処置のために顕著に有効であるが、長期使用は、鱗状細胞がんおよび皮膚の黒色腫の発生の増加に関係するであろう。
【0072】
種々の他の薬剤が、重度の広範囲にわたる乾癬疾患のために使用することができる。経口グルココルチコイドは、治療が継続されない場合に生命を脅かす膿疱性乾癬を発生する可能性のために乾癬の処置には使用してはならない。メトトレキセートは、特に、乾癬性関節炎を有する患者における有効な薬剤である;しかしながら、肝臓毒と骨髄抑制がその使用を制限する。合成レチノイド、アシトレチン(acitretin)は重度の乾癬を有する若干の患者において有効である。それは強力な催奇形物質であり、そして妊娠の可能性のある女性には使用してはならない。T細胞媒介障害として乾癬を関係させる証拠は、治療努力を免疫調節に対向させた。シクロスポリンは重度の疾患を有する選ばれた患者には非常に有効であるが、腎毒性と高血圧がその使用を複雑にする。
【0073】
インフリキシマブ(infliximab)およびエタネルセプト(etanercept)、腫瘍壊死因子(TNFα)アンタゴニストは、乾癬性関節炎のために今日承認されている。他のTNFαアンタゴニストおよびプロ炎症性サイトカイン、T細胞活性化およびリンパ球輸送を標的とする他の薬剤は、乾癬の炎症特性を抑制することに有用であるかもしれない。
【0074】
患者のアセスメントおよびモニタリング
乾癬患者は、共通に、the Psoriasis Area and Severity Index(PASI)およびPhysician Global Assessment(PGA)を使用して評価される。PASI(3)は、乾癬斑の紅斑、厚さおよび落屑の程度を評価し、そして4ケ所の別々の体領域(頭部、躯幹、上部および下部体肢)におけるこれらの要素の各々の改善度合を評価する。0〜72の範囲のPASI要素のスコアは、主観的な測定値を提供し、そして関連する体表面領域(BSA)の評価に頼る。PGAは、全般的特質(紅斑、落屑および厚さ)および基線アセスメントに比較した斑の程度(BSA)を総括する6ポイントスコアである。患者の応答は、worse,poor(0−24%)、fair(25−49%)、good(50−74%)、excellent(75−99%)またはcleared(100%)として評価される。
【0075】
近年、the National Psoriasis Foundation’s(NPF’s)Medical Advisory Boardは、5要素法:the NPF−Psoriasis Score(NPF−PS)を開発した。0〜30の範囲の総スコアに寄与するNPF−PSの均等に計られた第1のエンドポイントは、2つの標的病巣の硬化、BSA、医師の統計的包括的アセスメント、患者の包括的アセスメントおよび掻痒を含む(Kreuger,G.1999.National Psoriasis Foundation Psoriasis Forum 5:1−5)。NPF−PSは、臨床的重篤度の患者および研究者の包括的アセスメントに等しい重みを与える。第2に、掻痒は、乾癬患者の79%の病訴であるけれども、PASIまたはPGAのいずれも掻痒の測定値を含まない。
【0076】
他の免疫学的に媒介される皮膚障害は、尋常性天疱瘡、免疫学的に尋常性の天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、水泡性類天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、線状iga疾患、獲得性表皮水泡症、瘢痕性類天疱瘡、皮膚筋炎、紅斑性狼瘡、強皮症および限局性強皮症を含む。皮膚筋炎、紅斑性狼瘡、強皮症および限局性強皮症は顕著な皮膚の特徴を有する自己免疫系疾患として分類される。
【0077】
皮膚の他の疾病
発疹が、鱗屑に関連して、高くなった病巣、丘疹(<1cm)または斑(>1cm)によって特徴づけられる場合、それは丘疹鱗屑性病巣と呼ばれる。もっとも通常の丘疹鱗屑疾患−乾癬、白癬、バラ色ひ糠疹および扁平苔癬−は、1次皮膚疾患である。乾癬病巣が関節炎を伴う場合、乾癬性関節炎またはReiter’s疾患の可能性が考慮されるべきである。口内潰瘍、結膜炎、ブドウ膜炎および/または尿道炎の病歴は、その後の診断を示す。滴状乾癬では、しばしば連鎖球菌の感染に関連して、小さい、広範に散在する、均一な病巣の急性発生がある。リチウム、ベータブロッカー、HIV感染、および全身的なグルココルチコイドの迅速なテーパー(taper)が、また、乾癬を悪化させることが知られている。
【0078】
バラ色ひ糠疹または扁平苔癬の診断がなされる場合は常に、発疹が不快な薬剤を単純に中止することによって処置されることがあるので、患者の投薬を再調査することは重要である。バラ色ひ糠疹様の薬物発疹は、ベータブロッカー、アンギオテンシン−変換酵素(ACE)阻害剤、金およびメトロニダゾールによりもっとも普通に見られ、一方、扁平苔癬様発疹を生じることがある薬物は、金、抗マラリア剤、チアジド、キニジン、フェノチアジン、スルホニル尿素およびACE阻害剤を含む。扁平苔癬様病巣もまた慢性移植片対宿主疾患において観察される。
【0079】
その初期段階では、皮膚のT細胞リンパ腫(CTCL)は、湿疹または乾癬と混同されることがあるが、それは、しばしば、これらの炎症性疾患のための適当な療法に応答するのに失敗する。CTCLは、大きい斑の類乾癬の病巣内に発生することがあり、そして病巣の厚さにおける増加によって示唆される。CTCLの診断は皮膚の生検によって確定されるが、ここでは、異常なTリンパ球の集積が表皮および真皮において見出だされる。疾患が進行するにつれて、皮膚の腫瘍およびリンパ節の併発が現れるであろう。
【0080】
二期梅毒では、薄い鱗屑をもつ赤褐色の丘疹が散在している。しばしば、発疹は手掌および足裏を巻き込み、そしてバラ色ひ糠疹に類似していることがある。関連する知見は、診断を与えるのを助け、そして顔面の輪状斑、非瘢痕性脱毛、扁平コンジローム(広範および湿潤)および粘膜斑ならびにリンパ節症、倦怠、頭痛および筋痛を含む。一期機会と二期段階の間隔は、通常、4〜8週であり、そして適当な治療なしに突然の消散が見られる。
【0081】
かくして、本発明の方法は、本発明の分析方法がTh1−型疾病に対する応答物を予測する限り、種々の皮膚症候を示す患者のための治療処置を評価し、推奨するために使用できる。
【0082】
パネルにおける遺伝子のほとんどが、以前には、乾癬皮膚において異常に発現されると報告されていたが、処置の経過中の遺伝子の発現パターンは、乾癬の処置においては研究されておらず、そして予測値を有するようなものは何も同定されていない。本明細書に開示される遺伝子発現バイオマーカーのパネルは、乾癬試行の臨床結果を予測する迅速かつ信頼できる診断道具、または乾癬治療の効力を追跡する予後道具のための方法の創製を可能にする。サンプル中のこれらの遺伝子の検出に基づく診断および予後の方法が提供される。これらの組成物は、例えば、広範な免疫に媒介される炎症性疾患の予防および処置のために使用されてもよい。
【0083】
治療薬剤
アンタゴニスト
本明細書で使用されるように、用語「アンタゴニスト」は、本発明の乾癬関連遺伝子パネルの遺伝子産物の生物学的活性を抑制または中和する物質を指す。そのようなアンタゴニストは種々の方法においてこの効果を達成する。アンタゴニストの1つの種類は、十分な親和力により遺伝子産物タンパク質に結合し、そしてそのタンパク質の生物学的効果を特異的に中和できる。この種類の分子には、抗体および抗体フラグメント(例えば、F(ab)またはF(ab’)分子)が含まれる。アンタゴニストのその他の種類は、遺伝子産物タンパク質のフラグメント、ムテインまたは低有機分子、すなわち、ペプチド擬似体を含み、これらは、遺伝子産物の同族の結合性パートナーまたはリガンドに結合して、その同族リガンドまたは受容体と遺伝子産物の特異的相互作用の生物学的活性を抑制することができる。乾癬関連遺伝子アンタゴニストは、それが遺伝子産物の少なくとも1つの生物学的活性を抑制する物質である限り、これらの種類のいずれであってもよい。
【0084】
アンタゴニストは、遺伝子産物タンパク質またはそのフラグメントの1つ以上の領域に対向される抗体、同族リガンドまたは受容体に対向される抗体、および遺伝子産物の少なくとも1つの生物学的活性を抑制する、遺伝子産物またはその同族リガンドの部分ペプチドを含む。アンタゴニストのその他の種類は、本明細書に開示される、当該技術分野において既知の遺伝子配列を標的とするsiRNA、shRNA、アンチセンス分子およびDNAザイムを含む。
【0085】
適当な抗体は、乾癬関連遺伝子産物の活性化をブロックするか、またはその同族リガンドへの乾癬関連遺伝子産物の結合を妨げるか、または乾癬関連遺伝子産物のシグナル伝達を妨げる、モノクローナル抗体による乾癬関連遺伝子産物への結合に対して競合するそれらのものを含む。
【0086】
乾癬関連遺伝子産物の誘導物質を標的とする療法は、より良好な成功の機会を提供することができる。遺伝子発現は、siRNA、shRNA、アンチセンス分子およびDNAザイムの使用を含む、いくつかの異なる方法において調節することができる。合成siRNA、shRNAおよびDNAザイムは、1種以上の遺伝子を特異的に標的化するように設計でき、そしてそれらは、インビトロまたはインビボにおいて細胞に容易に送達できる。
【0087】
本発明は、アンチセンス核酸分子、すなわち、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドをコードしているセンス核酸に相補的である、すなわち、二本鎖cDNA分子のコーディング鎖に相補的またはmRNA配列に相補的である分子を包含する。したがって、アンチセンス核酸はセンス核酸に水素結合できる。アンチセンス核酸は、完全なコーディング鎖またはその一部分のみ、例えば、タンパク質コーディング領域(またはオープン・リーディングフレーム)の全部または一部に相補的であってもよい。アンチセンス核酸分子は、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドをコードしている核酸配列のコーディング鎖の非コーディング領域の全部または一部に対してアンチセンスであってもよい。非コーディング領域(「5’および3’非翻訳領域」)は、コーディング領域に隣接し、そしてアミノ酸に翻訳されない5’および3’配列である。
【0088】
また、本発明はキメラまたは融合タンパク質を提供する。本明細書で使用されるように、「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、異種のポリペプチド(すなわち、同じ乾癬関連遺伝子産物ポリペプチド以外のポリペプチド)に操作可能に連結された乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドの全部または一部(好ましくは生物学的活性)を含む。融合タンパク質では、用語「操作可能に連結される」は、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドと異種のポリペプチドが互いにインフレームに融合されることを示すよう意図される。異種のポリペプチドは、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端に融合されてもよい。その他の実施態様では、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドまたはそのドメインもしくは活性フラグメントは、異種のタンパク質配列またはそのフラグメントに融合されて、キメラタンパク質を生成することができ、ここで、ポリペプチド、ドメインまたはフラグメントは、互いに末端で融合されずに、異種タンパク質のフレームワーク内で間に入れられる。
【0089】
なおその他の実施態様では、融合タンパク質は、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドの全部または一部が、免疫グロブリンファミリーのメンバーに由来する配列に融合されている免疫グロブリン融合タンパク質である。本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、製薬学的組成物中に組み入れられ、そしてリガンドと、細胞の表面におけるタンパク質(受容体)との間の相互作用を抑制して、インビボにおけるシグナル伝達を抑制するように、被験者に投与することができる。免疫グロブリン融合タンパク質は、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドの同族リガンドの生物学的利用度に影響を与えるために使用することができる。リガンド/受容体相互作用の抑制は、増殖性および分化性障害の処置、および細胞生残の調節(例えば、促進または抑制)の両方のために、治療学的に有用であろう。免疫グロブリンキメラタンパク質の好適な実施態様は、同時係属出願PCT WO/04002417において教示されるように、改変されたフレームワーク領域内の間に入れられた活性ポリペプチドフラグメント有する、C1ドメイン欠失の免疫グロブリンまたは「ミメティボディ(mimetibody)」である。さらに、本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、被験者において乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドに対向される抗体を生産するための免疫原として、リガンドを精製するため、および受容体とリガンドの相互作用を抑制する分子を同定するスクリーニングアッセイにおいて、使用されてもよい。
【0090】
組成物およびそれらの使用
本発明にしたがって、本明細書で記述される、中和性の抗乾癬関連遺伝子産物アンタゴニスト、例えばモノクローナル抗体は、乾癬関連遺伝子産物の活性を抑制するために使用することができる。さらに、そのようなアンタゴニストは、限定されるものではないがリューマチ性疾患を含んでもよい、そのような処置を受け入れる病原または乾癬および関連炎症性疾患を抑制するために使用されてもよい。処置される個体はいかなる哺乳類でもよく、そして好ましくは霊長類、哺乳類である伴侶動物およびもっとも好ましくはヒト患者である。投与されるアンタゴニストの量は、それが使用される目的および投与の方法にしたがって変えることができる。
【0091】
乾癬関連遺伝子アンタゴニストは、病理学的活性が予防されるか停止されることが望まれる組織において効果をもたらすすべての数の方法によって投与されてもよい。さらに、抗乾癬関連遺伝子産物アンタゴニストは、必ずしも、乾癬関連遺伝子産物活性への効果を局部的に伝えるように存在する必要はなく、したがって、それらは、乾癬関連遺伝子産物を含有する体の部分または流体への接近が達成されるどこの場所に投与されてもよい。炎症を起こした、悪性の、または他の傷害された組織の場合には、これらの方法は、アンタゴニストを含有する調合物の直接適用を含んでもよい。そのような方法は、液状組成物の静脈内投与、液状または固形調合物の経皮投与、経口、局所投与、または間隙もしくは手術による(inter−operative)投与を含む。投与は、主要な機能が薬物送達媒体としてではないデバイスの移植によって影響を与えられてもよい。
【0092】
抗体では、好適な用量は約0.1mg/kg〜100mg/kg体重(一般に、約10mg/kg〜20mg/kg)である。抗体が脳において作用する場合、通常、約50mg/kg〜100mg/kgの用量が適当である。一般に、部分ヒト抗体および完全ヒト抗体は、他の抗体よりも長いヒト体内における半減期を有する。したがって、しばしば、より低い用量およびより低い頻度の投与が可能である。修飾物、例えば脂質化(lipidation)が使用されて、抗体を安定化し、そして吸収および組織浸透(例えば、脳中への)が増進されてもよい。抗体の脂質化の方法は、Cruikshankら((1997)J.Acquired Immune Deficiency Syndromes and Retrovirology 14:193)によって記述されている。
【0093】
乾癬関連遺伝子産物アンタゴニスト、核酸分子は、ベクター中に挿入され、そして遺伝子治療ベクターとして使用できる。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号)によるか,または定位注射(参照、例えば、Chen et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057)によって被験者に送達することができる。遺伝子治療ベクターの製薬学的調製物は、適当な希釈液中に遺伝子治療ベクターを含んでもよく、または遺伝子送達媒質が包埋されている徐放性マトリックスを含んでもよい。さもなくば、完全遺伝子送達ベクターが組み換え細胞からインタクトに産生される(例えば、レトロウイルスベクター)場合には、製薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する1種以上の細胞を含んでもよい。
【0094】
製薬学的組成物は、投与のための指示書とともに、容器、包装物またはディスペンサー中に含まれてもよい。
【0095】
薬理ゲノム科学
本明細書に記述されるスクリーニングアッセイによって同定されるような乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドの活性または発現に及ぼす刺激または抑制効果を有する薬剤、またはモジュレーターは、ポリペプチドの異常な活性に関連する障害を(予防的または治療的に)処置するために個人に対して投与することができる。そのような処置と一緒に、個人の薬理ゲノム科学(すなわち、個人の遺伝子型と、外来化合物または薬物に対する個人の応答との間の関係の研究)が考慮されてもよい。治療剤の代謝における差異は、薬理学的に活性のある薬物の用量と血液濃度の間の関係を変えることによって、重度の毒性または治療の失敗をもたらすことがある。したがって、個人の薬理ゲノム科学は、個人の遺伝子型の考慮に基づく予防または治療処置のために有効な薬剤(例えば、薬物)の選択を可能にする。そのような薬理ゲノム科学は、さらに、適当な用量および治療方法を決定するために使用されてもよい。したがって、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドの活性、乾癬関連遺伝子産物核酸の発現、または個人における乾癬関連遺伝子産物遺伝子の突然変異内容が決定され、それによって個人の治療または予防処置のための適当な薬剤が選択されてもよい。
【0096】
薬理ゲノム科学は、罹患したヒトにおける変化した薬物素因および異常な作用による薬物に対する応答において、臨床的に有意な遺伝形質の変形を取り扱う。参照、例えば、Linder(1997)Clin.Chem.43(2):254−266。一般に、2種類の薬物ゲノム科学的状態が区別することができる。薬物が身体に作用する方式を変える単一因子として伝達される遺伝的状態は「変化した薬物作用」と呼ばれる。身体が薬物に作用する方式を変える単一因子として伝達される遺伝的状態は「変化した薬物代謝」と呼ばれる。これらの薬理ゲノム科学的状態は、まれな欠陥または多形のいずれかとして起きることがある。例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠乏は、共通の遺伝される酵素病であり、この場合には、主な臨床的合併症が酸化剤薬物(抗マラリヤ剤、スルホンアミド、鎮痛剤、ニトロフラン)の摂取およびファバ・ビーン(fava beans)の消費後の溶血である。
【0097】
具体的に説明される実施態様として、薬物代謝酵素の活性は、薬物作用の強さおよび期間の両方の主要な決定因子である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)およびチトクロームp450酵素CYP2D6およびCYP2C19)の遺伝的多形の発見は、若干の患者が、薬物の標準かつ安全な用量を摂取した後に期待された薬物効果を得ないか、または誇張された薬物応答および重篤な毒性を示す理由についての説明を提供した。これらの多形性は、集団において2つの表現型、広範なメタボライザー(extensive metabolizer)(EM)および乏しいメタボライザー(poor metabolizer)(PM)において表される。PMの普及は種々の集団の中で異なっている。例えば、CYP2D6をコードしている遺伝子は、高度に多形であり、そして数個の突然変異がPMにおいて同定されていて、これらはすべて、機能性CYP2D6の不在をもたらす。CYP2D6およびCYP2C19の乏しいメタボライザーは、全くしばしば、彼らが標準用量を受けた場合の過大な薬物応答と副作用を経験する。代謝物が活性のある治療学的部分である場合、PMは、そのCYP2D6により形成される代謝物モルフィンによって媒介されるコデインの鎮痛効果について例証されるような、治療学的応答を示すことができない。他の極端なものは、いわゆる超迅速メタボライザーであり、彼は標準用量には応答しない。近年、超迅速代謝の分子基礎が、CYP2D6遺伝子増幅によるものであることが同定された。
【0098】
かくして、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドの活性、ポリペプチドをコードしている核酸の発現、または個人におけるポリペプチドをコードしている遺伝子の変異含量が決定され、それによって個人の治療的または予防的処置のための適当な薬剤が選択できる。その上、薬理ゲノム科学的研究は、個人の薬物応答性の表現型の同定に対して、薬物代謝酵素をコードしている多形対立遺伝子の遺伝子型決定を適用するために使用することができる。この知識は、投薬または薬物選択に適用される場合、副反応または治療学的失敗を避けることができ、その結果、本明細書に記述される代表的スクリーニングアッセイの1つによって同定されるモジュレーターのような、ポリペプチドの活性または発現のモジュレーターにより被験者を処置する場合に治療または予防効力を増進することができる。
【0099】
処置の方法
本発明は、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドの異常な発現または活性に関連し、そして/または乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドが関与している障害の危険にある(またはそれに罹りやすい)か、またはそのような障害を有する、被験者を処置する予防的および治療的両方法を提供する。
【0100】
本発明は、少なくとも1つの乾癬関連遺伝子産物アンタゴニストを使用して、当該技術分野において既知であるかまたは本明細書に記述されるような、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つの乾癬関連遺伝子産物に関連する疾病または症状を調節または処置する方法を提供する。
【0101】
乾癬関連遺伝子産物アンタゴニストの組成物は、乾癬または関連症状、例えば喘息、強皮症、特発性肺線維症の処置における治療的使用を見出だすことができる。
【0102】
また本発明は、限定されるものではないが、リウマチ様関節炎、若年性リウマチ様関節炎、全身的に到来する若年性リウマチ様関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、胃潰瘍、セロネガティブ関節症、変形性関節症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、全身性紅斑性狼瘡、抗リン脂質症候群、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、特発性肺線維症、全身性脈管炎/Wegner’s肉芽腫症、類肉腫症、精巣炎/精管切除反転操作、アレルギー/アトピー性疾患、アレルギ性鼻炎、湿疹、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性結膜炎、過敏性肺炎、移植片、臓器移植拒絶、移植片対宿主病、全身性炎症応答症候群、敗血症症候群、グラム陽性菌敗血症、グラム陰性菌敗血症、培養陰性敗血症、真菌敗血症、好中球減少熱、尿性敗血症、髄膜炎菌血症、外傷/出血、火傷、イオン化放射曝露、急性膵炎、成人呼吸ストレス症候群、リウマチ様関節炎、アルコール由来肝炎、慢性炎症病、類肉腫症、クローン病、鎌状赤血球貧血、糖尿病、腎症、アトピー性疾患、過敏反応、アレルギー性鼻炎、枯草熱、多年生鼻炎、結膜炎、子宮内膜症、蕁麻疹、全身性アナフィラキシー、皮膚炎、悪性貧血、溶血性疾患、血小板減少症、すべての臓器または組織の移植拒絶、腎移植拒絶、心臓移植拒絶、肝臓移植拒絶、膵臓移植拒絶、肺移植拒絶、骨髄移植(BMT)拒絶、皮膚同種移植拒絶、軟骨移植拒絶、骨移植拒絶、小腸移植拒絶、胎児性胸腺移植拒絶、上皮小体移植拒絶、すべての臓器および組織の異種移植拒絶、同種移植拒絶、抗レセプター過敏反応、Graves病、Raynoud’s病、B型インスリン抵抗性糖尿病、重症性筋無力症、抗体媒介細胞毒性、III型過敏反応、全身性紅斑性狼瘡、POEMS症候群(多発神経病、臓器巨大、内分泌病、単クローン性高ガンマグロブリン血症、および皮膚変化症候群)、抗リン脂質症候群、天疱瘡、強皮症、混合結合組織疾患、特発性アジソン病、真性糖尿病、慢性活性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、白斑、脈管炎、post−MI心臓切開症候群、IV型過敏症、接触皮膚炎、過敏性肺炎、同種移植拒絶、細胞内生物による肉芽腫、薬物感受性、代謝性/特発性、Wilson’s病、血色症、α−1−アンチトリプシン欠乏、糖尿病性網膜症、hashimoto’s甲状腺炎、骨粗鬆症、視床下部−下垂体−副腎軸評価、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺炎、脳脊髄炎、悪液質、嚢胞性繊維症、家族性食血細胞性リンパ組織球増多症、皮膚症状、乾癬、脱毛症、ネフローゼ症候群、腎炎、糸球体腎炎、急性腎不全、血液透析、尿毒症、毒素、子癇前症、okt3療法、抗cd3療法、サイトカイン療法、化学療法、放射線療法(例えば、限定されるものではないが無力症、貧血、悪液質などを含む)、慢性サリチル酸中毒など、の少なくとも1つを含む、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種の免疫関連疾患を調節または処置する方法を提供する。参照、例えば、the Merck Manual,12th−17th Editions,Merck & Company,Rahway,NJ(1972,1977,1982,1987,1992,1999),Pharmacotherapy Handbook,Wells et al.,eds.,Second Edition,Appleton and Lange,Stamfold,Conn.(1998,2000)、これらの各々は引用によって完全に組み入れられている。
【0103】
また本発明は、限定されるものではないが、白血病、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B細胞、T細胞またはFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、毛様細胞性白血病、脊髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、結腸直腸がん腫、膵臓がん腫、鼻咽喉がん、悪性組織球増殖症、腫瘍随伴性症候群/悪性の高カルシウム血症、固形腫瘍、腺がん、肉腫、悪性黒色腫、血管腫、転移疾患、がん関連骨吸収、がん関連骨痛など:の少なくとも1つを含む、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1種の悪性疾患を調節または処置する方法を提供する。
【0104】
乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドの異常な発現または活性を特徴とする障害は、さらに、本開示のいずれかの場所に記述される。
【0105】
1.予防的方法
1つの態様では、本発明は、ポリペプチドの発現または少なくとも1つの活性を調節する薬剤を被験者に投与することによって、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドの異常な発現または活性に関連する疾病または症状を、被験者において少なくとも実質的に予防する方法を提供する。乾癬関連遺伝子産物の異常な発現または活性によって惹起されるか、またはそれに寄与される疾病の危険にある被験者は、例えば、本明細書に記述されるような診断または予後アッセイのいずれかまたは組み合わせによって同定することができる。予防的薬剤の投与は、疾病または障害が予防されるか、さもなくば、進行において遅延されるように、異常性の特徴をもつ症候の出現前に実施できる。異常性のタイプに応じて、例えば、アゴニストまたはアンタゴニストが被験者を処置するために使用することができる。適当な薬剤は、本明細書に記述されるスクリーニングアッセイに基づいて決定できる。
【0106】
2.治療的方法
本発明のその他の態様は、治療目的のための乾癬関連遺伝子または遺伝子産物の発現または活性を調節する方法に関する。本発明の調節的方法は、ポリペプチドの1つ以上の活性を調節する薬剤と細胞を接触させることを伴う。活性を調節する薬剤は、核酸またはタンパク質、ポリペプチドの天然に存在する同族リガンド、ペプチド、ペプチド擬似体、または他の低分子のような、本明細書に記述されるような薬剤であってもよい。1つの実施態様では、薬剤は、ポリペプチドの1つ以上の生物学的活性を刺激する。その他の実施態様では、薬剤は、乾癬関連遺伝子または遺伝子産物ポリペプチドの1つ以上の生物学的活性を抑制する。そのような抑制薬剤の例は、アンチセンス核酸分子および抗体および本明細書に記述される他の方法を含む。これらの調節的方法は、インビトロで(例えば、細胞を薬剤とともに培養することによって)、あるいはまた、インビボで(例えば、被験者に薬剤を投与することによって)実施されてもよい。それ自体、本発明は、乾癬関連遺伝子産物ポリペプチドの異常な発現または活性を特徴とする疾病または障害に苦しんでいる個人を処置する方法を提供する。1つの実施態様では、本方法は、発現または活性を調節する(例えば、上方調節するか、または下方調節する)薬剤(例えば、本明細書に記述されるスクリーニングアッセイによって同定される薬剤)、または薬剤の組み合わせ物を投与することを伴う。活性の抑制は、活性または発現が異常に高いか上方調節されているか、そして/または活性の減少が有利な効果をもつように見える状況において望ましい。
【0107】
一般的な用語において本発明を記述したが、本発明の実施態様は、次の実施例においてさらに開示することができ、これは請求の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【実施例】
【0108】
例1:核酸マイクロアレイの使用によるサンプル分析
研究(プロトコールC0379T02)計画は、中度〜重度の尋常性乾癬を有する被験者におけるIL−12に対するヒトモノクローナル抗体(CNTO1275)の単回皮下投与の安全性および薬理作用の評価に関する第1相、二重盲検、偽薬制御研究であった。この研究は、Florida、New JerseyおよびPensylvaniaにおける多数のセンターにおいて実施された。21人の被験者が、3部位にわたる4種の順次増加する用量コホート(0.3mg/kg、0.75mg/kg、1.5mg/kgまたは3.0mg/kg)の1つ内の活性または偽薬処置に対して無作為化された。各被験者は単回皮下注射を受け、そして研究薬剤の投与後少なくとも8時間、診療所に留められた。被験者は24週間にわたって定期的な追跡訪問のために戻り、かつ被験者は少なくとも4週の追跡をもつ必要があった。被験者は、試験薬剤投与前の4週を含む26週までの間参加した。>3%の体表面積(BSA)を伴う中度〜重度の斑乾癬を有し、そして一般に良好な健康状態にある被験者(18〜65歳)が研究に対して承認された。
【0109】
皮膚生検サンプルは、処置前24時間(基線)および処置後1週に試行被験者から採取された。十分な真皮およびSC組織を含む体幹または四肢(extremity)に局在する代表的な生検標的病巣が、生検分析のために使用されるよう研究者によって同定された。6mmパンチ生検が、基線および試験薬剤投与後1週目に得られた。0日目および1週目の両方に2人の無応答者からの4サンプルが存在した。これらのサンプルは分析から排除された。下記のデータは、抗IL−12p40による処置後に乾癬症状における改善を示した患者からのサンプルに基づく。
【0110】
総RNAがRNeasyキット(Qiagen,Valencia,CA)を使用してこれらの皮膚生検から単離された。RNA品質はBioAnalyzer(Agilent,South Plainfield,New Jersey)を使用して評価された。IMAGEコンソーシアムおよびIncyte Genomices(Santa Clara,CA)から収集された8160の独特ヒトcDNAクローンを含有する高品質のRNAのみがマイクロアレイ分析のために使用された。RNA増幅、プローブ合成および標識化、cDNAチップ・ハイブリダイゼーションおよび洗浄は、既に記述されているように実施された(Salunga,et al.1999.In:M.Schena(Ed.),DNA microarrays a practical approach,Oxford University Press,Oxford,pp.121−137)。Agilent Image Scannerが使用されて、cDNAチップ(Palo Alto,CA)を走査した。アレイの各フィーチュアについての蛍光強度は、ImaGeneソフトウェア(BioDiscovery,Los Angeles,CA)を使用して得られた。
【0111】
表1に示されるように、5処置群(偽薬、0.3mg/kg、0.75mg/kg、1.5mg/kgおよび3.0mg/kg)およびこれらの群からの2時点(基線および1週目)からの24サンプルの全てが分析された。
【0112】
【表1】

【0113】
データ処理および分析
GeneSpringTMソフトウェアバージョン6.0(Silicon Genetics,Redwood City,CA)を使用して、各フィーチュアの平均強度が、さらに全サンプルにわたって正規化された。チップ毎(chip−to−chip)の正規化は、チップの中央値強度によって各クローンの平均強度を割ることによって実施された。次いで、各クローンの強度が、対照群におけるそのクローンの中央値強度に対して正規化された。この研究における基線値は、処置前の全0日目サンプルの平均であった。各投薬群(それのみが2サンプルを有する1.5mg/kgを除いて)内の抗IL−12p40処置群vs.偽薬の統計学的比較は、log変換正規化強度において一元ANOVA(p<0.05)によって実施された。
【0114】
続いて、また統計学的二組の解析は0.05のp値を使用した。これらのパラメーターは、350〜400個の遺伝子が可能性のある遺伝子の領域(universe)から偶然に同定できる可能性をもたらす。しかしながら、同定された遺伝子は、それらの発現パターンが臨床的応答と一致するので、本疾病に確かに関係していると考えられる;すなわち、前処置サンプルでは比較的一定であり、処置後に下方調節され、そして最後に、多くは、既知の免疫応答遺伝子、例えば、IL1F5、IL1F9、IL1RN、IL8であり、そして既に炎症症状に関与していた。かくして、それらは、真の乾癬関連遺伝子のバイオマーカーであると信じられる。
【0115】
マイクロアレイの結果
表2A−Fは、少なくとも1つの投薬群比較において統計学的検定による有意な変化を示し、そして第2の投薬群比較において少なくとも1.4倍の変化を示した26個の遺伝子を列挙している。列挙された26個の遺伝子は、6つの機能的部類に細別される乾癬関連遺伝子のパネルを表し、これは、乾癬の消散および正常な皮膚構造と機能への改善の指標となる発現の調節を受ける。1週目に同定された遺伝子のみが報告される;同じ規準に合致するが0日目のサンプルからの遺伝子は排除された。
【0116】
【表2】

【0117】
【表3】

【0118】
【表4】

【0119】
【表5】

【0120】
【表6】

【0121】
【表7】

【0122】
サイトカインおよびケモカイン
多くのTh1サイトカイン、例えばTNF−αおよびTNF−γは、乾癬病巣皮膚(2,3)において上方調節されることが知られているけれども、抗IL−12p40処置は、3種のあまり知られていないIL−1ファミリーメンバー:IL1F5(IL−1δ)およびIL1F9(IL−1 )、およびIL1RN(IL1F5に対して高度に相同であるIL−1受容体アンタゴニスト)を、1週目に選択的に下方調節した。これらのIL−1サイトカインのすべては、乾癬皮膚において実質的に上方調節されると報告されている(Debets,et al.2001.J Immunol.167(3)1440−6;Zhou et al,Physiol Genomics,2003.13(1)69−78)が、本発明は、それらが、目に見える臨床的改善前の数週に、治療の結果として下方調節されたサイトカインの第1波の中にあることを示した。IL1F5およびIL1F9が、好ましくは上皮細胞において、特にケラチン細胞によって発現されることが知られている事実は、これらの2種のサイトカインが、乾癬病因において、より長い、かつより特異的な役割を演じるであろうことを示している。
【0123】
同様に、乾癬病巣において過発現されることが見出だされた多くのケモカイン(Zhou et al,2003,前出)の中で、抗IL−12p40処置は、IL−8およびCXCL1(GRO1)、共に好中球の潜在的化学誘引物質(chemotractant)を選択的に下方調節した。好中球ケモカインの過剰生産および好中球浸潤の結果は、乾癬の分子的および細胞的品質証明であるので、有効な処置は、これらのケモカインの生産を低下させるであろうと期待される。驚くべきことに、マクロファージケモカインCCL3はまた、抗IL−12p40によって下方調節された。乾癬におけるCCL3の関与は報告されていないが、アトピー性皮膚炎(AD)(Hatano,et al.,1999.Clin Exp Immunol,117(2).237−43)、乾癬による多くの臨床的特徴を共有する疾病をもつ患者のPBMCでは、上方調節されることが見出だされた。
【0124】
炎症性メディエーターとしての皮膚プロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤
若干のセリンプロテアーゼおよびそれらの阻害剤は、乾癬に関連していることが報告された。本発明者らは、これらの遺伝子群の下方調節を観察した。例えば、セリンプロテアーゼのカリクレイン(KLK)ファミリーの2つのメンバー、KLK6およびKLK13は、抗IL−12p40処置によって下方調節された。KLKは、染色体19q13上の15個の遺伝子のクラスターによってコードされ、これは、ケラチン細胞の角質細胞への最終分化までの分化に関与している(Lu,et al.,2005.J Invest Dermatol.124(4).778−85)。少なくとも若干のKLKは、セリンプロテイナーゼ阻害剤(SERPIN)ファミリーのメンバーによって負に調節される。興味あることには、4種のSERPINメンバー、SERPINのSERPINB3、B4、B5およびB13は抗IL−12p40によって下方調節された。総括すると、KLK−SERPINネットワークは、乾癬の病因に密接に関与している。
【0125】
皮膚プロテアーゼのその他の例は、組織プラスミノーゲンアクチベーター(PLAT)であり、これは、乾癬表皮、創傷修復中の表皮、および培養におけるケラチン細胞に共通するマーカーであった(Jensen,PJ et al.,1990.J Invest Dermatol 95(5).13S−14S)。PLATは抗IL−12p40処置によって下方調節された。
【0126】
皮膚特異的プロテアーゼ阻害剤のその他の例は、PI3、または皮膚由来のプロテアーゼ阻害剤3、またはエラフィン(elafin)前駆体である。PI3は、正常な皮膚において不在であるが、乾癬のような炎症を起こした皮膚のケラチン細胞において高く誘導される上皮の宿主防御タンパク質である(Pol A,et al.,2003.J Invest Dermatol 120(2).301−7)。PI3発現が、血清またはTNF−αによって誘導することができ、そしてレチノイド、ジトラノール(dithranol)およびp38MAPキナーゼ阻害剤によって抑制されることが知られた。本発明は、その発現がまた、抗IL−12p40によって下方調節することができることを開示する。
【0127】
抗IL−12p40処置の結果として上方調節された遺伝子の中で、もっとも一貫したものはブレオマイシンヒドロラーゼ(BLMH)である。それは細胞質システインペプチダーゼである。この遺伝子の多形性は、神経変性疾患、注目すべきはアルツハイマー病に関連していた(Montoya,SE et al.,1998.Nat Genet 18(3).211−2)。乾癬におけるBLMHの役割はまだ報告されていない。
【0128】
構造および接着分子
乾癬病巣の除去は、多くの構造変化を伴い、そして事実、真皮および表皮成分に組み込まれる分子の多くの遺伝子改変体(alterations)が検出された。例えば、GJB2(Connexin26)、ケラチン細胞分化の両前期および後期における間隙接合成分が、抗IL−12p40処置によって下方調節された。GJB2は、乾癬斑の末梢における基底層と顆粒層および完全に発達した乾癬表皮の全層のケラチン細胞の間に一貫して検出された。しかしながら、乾癬表皮の両対照および非病巣領域では、従来は、GJB2が全くないか、またはその最少量が観察されただけであった(Labarthe,MP et al.,1998.J Invest Dermatol 111(1).72−6)。
【0129】
乾癬病巣におけるケラチン細胞の異常分化によって、早期分化マーカー、例えばプロリン富有タンパク質(SPRR1A)が過発現されるが、一方、後期分化マーカー、例えばloicrin(LOR)は廃止される(Iizuka,H et al.,2004.J Dermatol 31(4).271−6)。この傾向の逆は、抗IL−12p40処置後のわずか1週目に、臨床的改善の強い指示が検出された。
【0130】
臨床的消散の最良の既知の、かつ可能ならばもっとも信頼できるマーカーの1つは、keratin16(KRT16)における減少であった(Holland,DB et al.,1989.Br J Dermatol 120(1).9−19)。両KRT16およびkeratin14は、抗IL−12p40による処置の早期段階において抑制されることが検出された。
【0131】
免疫メディエーターとしての脂質代謝タンパク質
アネキシンI(リポコルチン(lipocortin)I)は、表皮ケラチン細胞の分化および増殖の調節に関与し、そして正常な表皮におけるよりも乾癬表皮において高い発現を有するカルシウム−およびリン脂質−結合性タンパク質であり(Iizuka,H.2004,前出)、抗IL−12p40によって下方調節されることが検出された。
【0132】
抗IL−12p40によって下方調節されることが検出されたその他の重要な免疫メディエーターは、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(lipocalin)(NGAL、リポカリン−2、LCN2)である。LCN2タンパク質は、小さい親油性物質、例えば細菌由来のリポ多糖(LPS)およびホルミルペプチドを結合すると考えられ、そして炎症のモジュレーターとして機能するであろう(Flo,THS et al.,2004.Nature 432:917−921)。さらに、LCNはまた、ヒト皮膚において異常調節されたケラチン細胞分化のマーカーである(Mallbris,L et al.,2002.Exp Dermatol 11(6)。584−91)。
【0133】
乾癬関連脂肪酸結合性タンパク質(FABP5またはPA−FABP)は、乾癬皮膚において高度に上方調節される(Madsen,P.et al.,1992.J Invest Dermatol 99(3)299−305)が、抗IL−12p40処置によって下方調節される、その他のマーカーである。局所的ステロイドによる病巣乾癬皮膚の処置では、PI3およびFABP5の発現パターンにおける変化は、乾癬病巣の退行中の既知の細胞の生物学的事象と一致する様式で変化することが既に報告されていた(Kuijpers,AI et al.,1997.Acta Derm Venereol 77(1).14−9)。
【0134】
RT−PCRにより検出される遺伝子発現変化
マイクロアレイ分析後に残された限られたRNAサンプルを用いて、Taqman分析が、表2における数種の遺伝子について実施された。容量50ulにおける総RNA1μgが、MultiScribe逆転写酵素の存在下でcDNAに変換された。反応は、25℃で10分間、続いて48℃で30分間インキュベートすることによって実施された。逆転写酵素は5分間95℃で失活された。1反応当たりcDNA20ngが、ABI 7900システム(Foster City,California)を用いるリアルタイムPCRにおいて使用された。AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(ABI biosystem,Foster City,California)の存在下で、反応液は50℃で2分間、続いて95℃で10分間インキュベートされた。次いで、反応は、1サイクル当たり15秒、95℃および1分、60℃での40サイクルを行った。
【0135】
ハウスキーピング遺伝子GAPDH(グリセルアルヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)が使用されて遺伝子発現を正規化した。
【0136】
図1A−Dは、Taqmanによって検出されたBLMH(A)、IL1F5(B)、IL−8(C)およびPLAT(D)の遺伝子発現パターンを示すが、これは、一般に、マイクロアレイ分析を使用して計算されたこれらの特異的遺伝子の相対的発現において観察される変化を確認する。
【0137】
例2:第2の乾癬コホートのTaqman分析
研究(C0379T04)は、中度〜重度の乾癬を有する被験者におけるCNTO1275の皮下(SC)投与による単回および多回用量療法の、第II相、無作為化、二重盲検、偽薬制御の並行研究であった。CNTO1275は、ヒトIL−12およびIL−23のp40サブユニットに特異的な完全ヒトモノクローナル抗体である。この研究は、下記のようにCNTO1275または偽薬の皮下(SC)投与の単回および多回用量を受けた5群の被験者からなる:
群I: 1日目(0週目)にCNTO1275 45mgおよび
1、2および3週目に偽薬
群II: 1日目(0週目)にCNTO1275 90mgおよび
1、2および3週目に偽薬
群III:1日目(0週目)および1、2および3週目にCNTO1275 45mg
群IV: 1日目(0週目)および1、2および3週目にCNTO1275 90mg
群V: 1日目(0週目)および1、2および3週目に偽薬
【0138】
十分な真皮およびSC組織を含む体幹または四肢に局在する代表的な生検標的病巣が、生検分析のために研究者によって同定された。4mmパンチ生検が、基線および研究薬剤の投与後12週目に、予め同定された病巣から得られた。総RNAがRNeasyミニキット(Qiagen Inc,Valencia,CA)を使用して生検サンプルから得られた。RNA品質は、Agilent2100 BioAnalyzer(Agilent Technologies,Palo Alto,CA)を使用して評価された。全部で、39種のRNAサンプル(表3に列挙される)がDNAマイクロアレイのために使用された。
【0139】
【表8】

【0140】
総RNAは、RNeasyキット(Qiagen,Valencia,CA)を使用してこれらの皮膚生検から得られた。IMAGEコンソーシアムおよびIncyte Genomices(Santa Clara,CA)から収集された8160の独特ヒトcDNAクローンを含有する高品質のRNAのみがマイクロアレイ分析のために使用された。RNA増幅、プローブ合成および標識化、cDNAチップ・ハイブリダイゼーションおよび洗浄は、既に記述されているように実施された(Salunga,et al.1999.In:M.Schena(Ed.),DNA microarrays a practical approach,Oxford University Press,Oxford,pp.121−137)。Agilent Image Scannerが使用されて、cDNAチップ(Palo Alto,CA)を走査した。アレイの各フィーチュアについての蛍光強度は、ImaGeneソフトウェア(BioDiscovery,Los Angeles,CA)を使用して得られた。
【0141】
GeneSpringTMソフトウェアバージョン6.0(Silicon Genetics,Redwood City,CA)を使用して、各フィーチュアの平均強度が、さらに全サンプルをとおして正規化された。チップ毎の正規化は、チップの中央値強度によって各クローンの平均強度を割ることによって実施された。次いで、各クローンの強度が、対照群におけるそのクローンの中央値強度に対して正規化された。この研究における基線値は、処置前の全0日のサンプルの平均であった。各投薬群内の抗IL−12p40処置群vs.偽薬の統計学的比較は、log変換正規化強度における一元ANOVA(p<0.05)によって実施された。
【0142】
続いて、また統計学的二組の解析は0.05のp値を使用した。これらのパラメーターは、350〜400個の遺伝子が可能性のある遺伝子の領域(universe)から偶然に同定できる可能性をもたらす。しかしながら、同定された遺伝子は、それらの発現パターンが臨床的応答と一致するので、本疾病に確かに関係していると考えられる;すなわち、前処置サンプルでは比較的一定であり、処置後に下方調節され、そして最後に、多くは、既知の免疫応答遺伝子、例えば、PBEF、S100A11およびIL4Rであり、そして既に炎症症状に関与していた。かくして、それらは、真の乾癬関連遺伝子のバイオマーカーであると信じられる。
【0143】
マイクロアレイの結果
表4A−Fは、少なくとも1つの投薬群比較において統計学的検定による有意な変化を示し、そして第2の投薬群比較において少なくとも1.5倍の変化を示した10個の遺伝子を列挙している。列挙された10個の遺伝子は、5つの機能的部類に細別される、乾癬関連遺伝子のパネルを表し、これは、乾癬の消散および正常な皮膚構造と機能への改善の指標となる発現の調節を受ける。12週目に同定された遺伝子のみが報告される;同じ規準に合致するが0日目のサンプルからの遺伝子は排除された。
【0144】
【表9】

【0145】
【表10】

【0146】
【表11】

【0147】
【表12】

【0148】
【表13】

【0149】
RT−PCRにより検出される遺伝子発現の変化
マイクロアレイ分析後に残されたRNAサンプルにおいて、Taqman分析が、表4における数個の遺伝子について実施された。容量50ulにおける総RNAの1μgが、MultiScribe逆転写酵素の存在下でcDNAに変換された。反応は、25℃で10分間、続いて48℃で30分間インキュベートすることによって実施された。逆転写酵素は5分間95℃で失活された。1反応当たりcDNA20ngが、ABI 7900システム(Foster City,California)を用いるリアルタイムPCRにおいて使用された。AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(ABI biosystem,Foster City,California)の存在下で、反応液は50℃で2分間、続いて95℃で10分間インキュベートされた。次いで、反応は、1サイクル当たり15秒、95℃および1分、60℃の40サイクルを行った。
【0150】
ハウスキーピング遺伝子GAPDH(グリセルアルヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)が使用されて遺伝子発現を正規化した。
【0151】
図2A−Dは、Taqmanによって検出されたSERPINB3(A)、SERPINB4(B)、GJB2(C)およびIL1F9(D)の遺伝子発現パターンを示すが、これは、一般に、マイクロアレイ分析を使用して計算されたこれらの特異的遺伝子の相対的発現において観察された変化を確認する。
【0152】
データの総括
総括すると、乾癬の処置についての好ましい結果の指標となる潜在性分子バイオマーカーのパネルが、それらが調節される方向とともに同定された。このパネルにおける遺伝子の発現における変化は、臨床的に測定可能なパラメーター、例えばPASIスコア(乾癬領域および重篤度指標)の改善が達成され、そして/または検出できる前に現れるので、このバイオマーカーのパネルは、臨床的な発展を導く際に特に有用である。かくして、36個の同定された遺伝子は、いずれかの乾癬治療剤、例えばCNTO1275の効力をモニターし、そして投薬療法を導く価値ある情報を提供するツールとして使用することができる乾癬関連遺伝子パネルを提供する。
【0153】
本明細書において乾癬関連遺伝子として同定された遺伝子のパネルは、乾癬、皮膚および炎症への関連性を例証した。本分析によって例証されるように、全体としてそのパネルは、皮膚病巣の併発(involvement)と重篤度における改善をもたらす乾癬の処置の効力を計るためのフィンガープリントを提供する。乾癬関連遺伝子パネルのメンバーである多数の遺伝子は、乾癬皮膚において異常に発現されることが既に示されていた。例えば、IL1F5、IL1F9およびIL1RNのレベルの増大は、乾癬皮膚において実質的に上方調節されると報告された。本研究は、IL1F5、IL1F9およびIL1RNが、この障害において炎症状態を維持する重要なサイトカインである証拠を提供する。IL−8およびPI3のような他の遺伝子は他の炎症性疾患に共通している。かくして、総括すれば、このパネルにおける遺伝子をモニターすることは、薬物候補を評価する方法を提供し、そして今までのところ、これらの遺伝子の発現の調節は、乾癬療法の臨床結果を予測する。
【0154】
ある特定の実施態様に関して、先に具体的に説明され、記述されたけれども、本発明は、示された詳細な記述に限定されることを決して意図していない。むしろ、本発明は、乾癬関連遺伝子および遺伝子産物に対向される。本明細書に開示されるポリヌクレオチド、抗体、装置およびキット、およびそれらの使用、ならびに乾癬関連バイオマーカー遺伝子のレベルを制御する方法、および種々の改変物は、本発明の等価物の範囲内で、かつ本発明の精神から逸脱することなく詳細に作成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1A−D】定量的RT−PCR法によって検出されるパネルメンバーBLMH(A)、IL1F5(B)、IL−8(C)およびPLAT(D)の遺伝子発現パターンを示す。
【図2A−D】定量的RT−PCR法によって検出されるパネルメンバーSERPINB3(A)、SERPINB4(B)、GJB2(C)およびIL1F9(D)の遺伝子発現パターンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)被験者から得られた標本から核酸のサンプルを調製し;
b)そのサンプルを、遺伝子1〜36からなる群からの少なくとも2種のメンバーからなる核酸セグメントのパネルと接触させて、パネルセグメントのレベルを検出し;
c)サンプルを対照標準に対して評価して、サンプル中に存在する少なくとも2種のメンバーの量における変化の大きさを決定し;そして
d)その変化の大きさを皮膚関連障害の存在または消散と相関させる:
ことを含む、被験者における皮膚関連障害の予後または診断評価の方法。
【請求項2】
被験者が皮膚関連障害を有する患者であり、そして段階a)〜d)が、皮膚関連障害のための療法による患者の処置前、処置中および/または処置後に実施される、請求項1の方法。
【請求項3】
皮膚関連障害が乾癬である、請求項2の方法。
【請求項4】
対照標準が、正常な患者からの皮膚組織、未処置の乾癬患者からの皮膚組織および処置された乾癬患者からの皮膚組織からなる群に由来する、請求項2の方法。
【請求項5】
対照標準が療法による処置前の被験者に由来し、核酸のサンプルが療法による処置後の被験者に由来し、そして相関段階が療法による処置の有効性を評価する、請求項2の方法。
【請求項6】
療法が抗IL−12抗体である、請求項2の方法。
【請求項7】
抗IL−12抗体がCNTO1275である、請求項6の方法。
【請求項8】
コレクション(collection)が核酸セグメントのアレイである、請求項1の方法。
【請求項9】
サンプルが、斑乾癬を有することが疑われる患者、承認薬剤による処置を受けている乾癬を有すると診断された患者、および試験薬剤による処置を受けている乾癬を有すると診断された患者からなる群から選ばれる患者の皮膚病巣に由来する、請求項2の方法。
【請求項10】
サンプルが、療法の投与前のサンプルを提供する患者、皮膚関連障害を有する偽薬処置患者、およびバイオバンクからのサンプルからなる群から選ばれる起源に由来する、請求項2の方法。
【請求項11】
コレクションからの少なくとも1種の遺伝子が、サイトカイン、ケモカイン、転写因子、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤、構造および接着分子、受容体および脂質代謝に関与するタンパク質の遺伝子からなる群から選ばれる、請求項1の方法。
【請求項12】
サンプルが皮膚生検サンプルを含む、請求項1の方法。
【請求項13】
サンプルが末梢血液細胞を含む、請求項1の方法。
【請求項14】
サンプルが、遺伝子1〜36からなる群からの少なくとも4種のメンバーを含んでなる核酸セグメントのパネルと接触される、請求項1の方法。
【請求項15】
少なくとも4種の核酸セグメントが、IL1F5(遺伝子1)、IL1F9(遺伝子2)およびPBEF(遺伝子27)からなる群;SERPINB3(遺伝子11)、SERPINB4(遺伝子10)およびSERPINB13(遺伝子13)からなる群;KLK10(遺伝子29)およびKLK13(遺伝子8)からなる群;およびCCL3(遺伝子6)、BLMH(遺伝子7)およびGJB2(遺伝子16)からなる群、を代表するか、または、から選ばれる、請求項14の方法。
【請求項16】
少なくとも2種の核酸セグメントの少なくとも1つが、CXCL1(遺伝子5)、CCL3(遺伝子6)、BLMH(遺伝子7)、GJB2(遺伝子16)、IL1F5(遺伝子1)、IL1F9(遺伝子2)、SERPINB3(遺伝子11)、SERPINB4(遺伝子10)、SERPINB13(遺伝子13)、KLK10(遺伝子29)、PBEF(遺伝子27)、S100A11(遺伝子35)、IL4R(遺伝子36)およびKLK13(遺伝子8)からなる群、を代表するか、または、から選ばれる、請求項1の方法。
【請求項17】
少なくとも2種の遺伝子セグメントが、IL1F5(遺伝子1)、IL1F9(遺伝子2)およびPBEF(遺伝子27)からなる群;およびCCL3(遺伝子6)、BLMH(遺伝子7)およびGJB2(遺伝子16)からなる群、を代表するか、または、から選ばれる、請求項1の方法。
【請求項18】
a)患者から得られたサンプルから核酸のサンプルを調製し;
b)そのサンプルを、IL1F5(遺伝子1)、IL1F9(遺伝子2)、CCL3(遺伝子6)、BLMH(遺伝子7)、GJB2(遺伝子16)、PBEF(遺伝子27)、S100A11(遺伝子35)およびIL4R(遺伝子36)からなる群からの少なくとも1種のメンバーからなる核酸セグメントのパネルと接触させて、パネルセグメントの存在を検出し;
c)サンプルを対照標準に対して評価して、サンプル中に存在する少なくとも1種のメンバーの量の発現レベルにおける変化および/または変化の大きさを決定し;そして
d)発現レベルのその変化および/または大きさを、皮膚関連障害の存在または消散と相関させる:
ことを含む、被験者における皮膚関連障害の予後または診断評価の方法。
【請求項19】
a)患者から得られた標本から核酸の混合物を調製し;
b)該標本核酸を検出可能なマーカーにより標識してサンプルを形成し;
c)そのサンプルを、多数の核酸セグメントを含んでなるアレイと接触させ、ここで、各核酸セグメントは、遺伝子1〜36からなる皮膚関連遺伝子パネルの少なくとも2種のメンバーがアドレスによってアレイのフィーチュアとして同定される、アレイの基板表面上の別々の既知のアドレスに固定化され、ここで、さらに該アレイが基板上の既知アドレスにおける少なくとも1種の校正核酸を含み;
d)核酸セグメントへの標本核酸の結合の程度を決定し;そして
e)予後または診断評価を可能にするために、対照標準に対する結合の程度を比較する:
ことを含む、患者における皮膚関連障害の予後または診断評価のためのアレイに基づく試験方法。
【請求項20】
療法による処置の効果を評価するために、療法により処置された皮膚関連障害患者からの標本核酸の対照標準に対する統計学的比較を実施する段階をさらに含む、請求項19の方法。
【請求項21】
皮膚関連障害が乾癬であり、そして皮膚関連遺伝子パネルが乾癬関連遺伝子パネルである、請求項20の方法。
【請求項22】
療法が抗IL−12抗体である、請求項21の方法。
【請求項23】
抗IL−12抗体がCNTO1275である、請求項22の方法。
【請求項24】
標本が、斑乾癬を有することが疑われる患者、処置を受けていない乾癬を有すると診断された患者、および療法による処置を受けている乾癬を有すると診断された患者の群から選ばれる患者の皮膚病巣に由来する、請求項20の方法。
【請求項25】
標本が、療法の投与前の標本を提供する患者、偽薬により処置された類似の疾病または症状を有する患者、およびバイオバンクからのサンプルからなる群から選ばれる起源に由来する、請求項20の方法。
【請求項26】
遺伝子パネルのメンバーが、サイトカイン、ケモカイン、転写因子、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤、構造および接着分子、受容体、および脂質代謝に関与するタンパク質の遺伝子からなる群から選ばれる、請求項20の方法。
【請求項27】
標本が皮膚生検サンプルを含む、請求項20の方法。
【請求項28】
標本が末梢血液細胞を含む、請求項20の方法。
【請求項29】
結合の程度を比較する段階が、乾癬関連遺伝子パネルのアレイのフィーチュア強度変化の類似性のストリンジェント試験をさらに含む、請求項21の方法。
【請求項30】
遺伝子1〜36の1つのヌクレオチド配列に相補的な少なくとも15のヌクレオチドを含んでなるオリゴヌクレオチド、遺伝子1〜36の1つの少なくとも1部分によってコードされたポリペプチド、および遺伝子1〜36の1つの少なくとも1部分によってコードされたポリペプチドに対するリガンドからなる群から選ばれる少なくとも2種のメンバーを含む、皮膚関連障害に対する細胞または被験者の応答性を試験するための試薬。
【請求項31】
皮膚関連障害が乾癬である、請求項30の試薬。
【請求項32】
サンプルを請求項30の試薬と接触させることを含む、患者サンプルにおける皮膚関連障害に対する応答性を試験する方法。
【請求項33】
試験がRT−PCRによって実施される、請求項32の方法。
【請求項34】
試験がELISAによって実施される、請求項32の方法。
【請求項35】
a)皮膚関連障害について処置されている患者からのサンプルを請求項30の試薬と接触させ;
b)少なくとも2種のメンバーのレベルを測定し;
c)そのレベルを対照標準と比較し;そして
d)少なくとも2種のメンバーのレベルを療法の有効性と相関させる:
ことを含む、皮膚関連障害のための療法の有効性を試験する方法。
【請求項36】
皮膚関連障害が乾癬である、請求項35の方法。
【請求項37】
療法が、IL−12、IL−23または両者のアンタゴニストを含む、請求項35の方法。
【請求項38】
アンタゴニストがIL−12およびIL−23に対する抗体である、請求項37の方法。
【請求項39】
IL−12およびIL−23に対する抗体がCNTO1275である、請求項38の方法。
【請求項40】
対照標準が、正常な患者からの皮膚組織、未処置の乾癬患者からの皮膚組織および処置された乾癬患者からの皮膚組織からなる群に由来する、請求項35の方法。
【請求項41】
少なくとも2種のメンバーが、サイトカイン、ケモカイン、転写因子、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤、構造および接着分子、受容体、および脂質代謝に関与するタンパク質の遺伝子からなる群から選ばれる、請求項35の方法。
【請求項42】
サンプルが皮膚生検サンプルを含む、請求項35の方法。
【請求項43】
サンプルが末梢血液細胞を含む、請求項35の方法。
【請求項44】
サンプルが、遺伝子1〜36からなる群からの少なくとも4種のメンバーを含んでなる核酸セグメントのパネルと接触される、請求項35の方法。
【請求項45】
少なくとも4種の核酸セグメントが、IL1F5(遺伝子1)、IL1F9(遺伝子2)およびPBEF(遺伝子27)からなる群;SERPINB3(遺伝子11)、SERPINB4(遺伝子10)およびSERPINB13(遺伝子13)からなる群;KLK10(遺伝子29)およびKLK13(遺伝子8)からなる群;およびCCL3(遺伝子6)、BLMH(遺伝子7)およびGJB2(遺伝子16)からなる群、を代表するか、または、から選ばれる、請求項44の方法。
【請求項46】
少なくとも2種のメンバーの少なくとも1つが、CXCL1(遺伝子5)、CCL3(遺伝子6)、BLMH(遺伝子7)、GJB2(遺伝子16)、IL1F5(遺伝子1)、IL1F9(遺伝子2)、SERPINB3(遺伝子11)、SERPINB4(遺伝子10)、SERPINB13(遺伝子13)、KLK10(遺伝子29)、PBEF(遺伝子27)、S100A11(遺伝子35)、IL4R(遺伝子36)およびKLK13(遺伝子8)からなる群、を代表するか、または、から選ばれる、請求項35の方法。
【請求項47】
少なくとも2種のメンバーが、IL1F5(遺伝子1)、IL1F9(遺伝子2)およびPBEF(遺伝子27)からなる群;およびCCL3(遺伝子6)、BLMH(遺伝子7)およびGJB2(遺伝子16)からなる群、を代表するか、または、から選ばれる、請求項35の方法。
【請求項48】
遺伝子1〜36からなる群から選ばれる遺伝子の少なくとも1種の少なくとも15の連続するヌクレオチドを含んでなる配列に相補的なポリヌクレオチド配列を含む、乾癬のための治療薬剤。
【請求項49】
ポリヌクレオチド配列がアンチセンスDNAである、請求項48の治療薬剤。
【請求項50】
マーカー遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補的鎖を含むポリヌクレオチドに相補的な少なくとも15のヌクレオチドを含んでなるオリゴヌクレオチドおよびマーカー遺伝子を発現する細胞を含み、ここで、マーカー遺伝子が遺伝子1〜36からなる群から選ばれる、予後または診断的使用のためのキット。
【請求項51】
キットが、マーカー遺伝子によってコードされたアミノ酸配列を含んでなるペプチドを認識する抗体およびマーカー遺伝子を発現する細胞を含み、ここで、マーカー遺伝子が遺伝子1〜36からなる群から選ばれる、乾癬のための治療薬剤のスクリーニングのためのキット。
【請求項52】
本明細書に記述されるすべての発明。

【図1A−D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【公表番号】特表2009−521933(P2009−521933A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548850(P2008−548850)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/062670
【国際公開番号】WO2007/076523
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(503054122)セントカー・インコーポレーテツド (74)
【Fターム(参考)】