説明

乾癬の治療のためのCGRPアンタゴニスト化合物の使用

本発明は、カルシトニン関連遺伝子ペプチド(CGRP)アンタゴニスト効果を有する化合物に基づく、乾癬の治療、予防及び/又は改善のための方法及び組成物を提供する。CGRPアンタゴニスト活性を有し、従って乾癬を治療するための好適な候補化合物である化合物を同定するための方法もまた、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に乾癬の治療及び/又は予防に使用するための、CGRPアンタゴニスト又はその活性を低減させる組成物及び化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
乾癬は、人口の約2パーセントが罹患している慢性皮膚障害である。この疾患は分化の欠損を伴う皮膚細胞の急速なターンオーバー(過剰増殖)に関連し、よって銀白色の鱗屑が皮膚の表面に形成される。さらに、毛細血管が蛇行、拡張し、炎症反応が起こるため、皮膚が赤くなる。対照的な赤色背景上に隆起した銀白色の鱗屑は、乾癬に特徴的な見苦しい病斑となる。乾癬は、最も一般的には頭皮、膝、肘、手、及び足に出現するが、皮膚のいかなる部分をも冒し得る。この疾患の原因は遺伝学的要素を有すると考えられているが不明であり、T細胞により媒介される自己免疫性皮膚障害であることが示唆されている。この疾患を治療するための多くの試みがなされており、細胞分裂を阻害する局所的及び全身的な乾癬治療がいくつか試みられ、それらは短期間の皮膚の清浄化にある程度は成功している。しかし、これらの治療が効奏する理由は、まだ明らかには理解されていない。当技術分野において示唆されている治療は、対症療法的で待機的であるようである。病巣は、自然と、又は療法の結果消失するかもしれないが、再発の可能性が高い。
【0003】
本発明は、乾癬が神経系の疾患であること、及びニューロペプチドであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)がこの疾患の主要な媒介因子であることを強く示す観察及び新たな所見に基づく乾癬治療法に関するものである。
【0004】
CGRPは、中枢神経系及び末梢神経系の神経終末の両方に貯蔵され、そこから放出される37アミノ酸ポリペプチドである。CGRPは、(ELISAのような)免疫組織化学的方法及び放射免疫測定法により、心臓、末梢及び脳の血管、並びに腎臓を支配している神経に検出されている。CGRPは、多様な組織において同定されている特異的な細胞表面受容体と結合することにより、その生物学的応答を媒介することが示されている。
【0005】
CGRPは、創傷治癒における極めて重要なニューロペプチド(NP)でもあり、その過程の間に放出される最初のNPである。CGRPは、極めて強力な血管拡張剤であり、遅延型過敏反応(DTH)の強力な阻害剤である。CGRPは、毛髪成長の制御において役割を果たしていることが既知であり、ケラチノサイトの増殖を刺激することができる。
【0006】
トリプターゼは、CGRPを切断し、その活性を減少させるプロテアーゼ酵素である。CGRP8−37は、トリプターゼによる特異的切断によりCGRPから作成される内因性ペプチドである。CGRP8−37は、CGRP受容体に対する高親和性アンタゴニストである。このアンタゴニストは、神経シグナルをダウンレギュレートするため、身体で使用される内因性化合物であると考えられている(ネガティブフィードバック制御)。
【0007】
乾癬の皮膚においては、健康な皮膚より多くのループ状毛細血管が、真皮乳頭に見られる。水平叢内のこれらの血管は、尋常性乾癬及びZumbush型膿疱性乾癬における病巣で必ず見られる要素である。乾癬病巣の真皮乳頭内のループ状毛細血管は、拡張し蛇行するようになり、その後、表皮過形成が形態学的に検出される。発達中の乾癬病巣の光学顕微鏡研究に基づき、Pinkus及びMehthreganは、乳頭における炎症細胞及び血清の滲出を伴う初期の血管拡張が、乾癬における開始事象であるとの結論を下した(Pinkus,Mehthregan J.Invest.Dermatol.1966年1月;46(1):109−16)。
【0008】
発達中の1mmの乾癬病巣を研究した数人の研究者らは、乾癬病巣の先端における真皮乳頭の増殖が高まっていることを見出した。彼らは、刺激は不明であったが、この増大が開始事象のうちの一つであると考えた(例えば、Braun Falco及びCristophers,Arch.Dermatol.Forsch.1974;251(2):95−110参照)。Bravermanらは、尋常性乾癬におけるループの状態が正常に戻るパターン、及びZunbuch疾患における血管標識のパターンに基づき、ループ状毛細血管が発達するメカニズムを見出した。乳頭が拡大するにつれ、乳頭外静脈枝の内皮細胞が拡大し、動脈部分が短くなる。静脈部分は、有窓性になる(Braverman,LM.,Psoriasis 第3版(399−407頁),1998年:Roenikg,H.H.;Maibach H.L.編,Marcel Dekker Inc.,NY)。類似した現象が、ラット皮膚の微小血管系において毛髪成長周期中に発生する(Sholley及びCotran Am.J.Anat.1976年10月;147(2):243−54)。活発に成長中の濾胞(発育期)の周囲の毛細血管網は、内皮細胞増殖によりサイズが増加する。事実上全ての内皮細胞が、その毛細血管により栄養供給されている。ヒト皮膚においては、無毛(Braverman,I.M.(前記))及び頭皮(McLeod,W.A.;J.Invest.Dermatol.,1970,55(5),354−7)の両方で、毛包の周囲の毛細血管網は、静脈の超微細構造(橋有窓及び積層基底膜)を有している。ラット毛包が退行期に入ると、部分的には欠損により、そして部分的には崩壊により、血管網のサイズは大きく減少する。
【0009】
毛髪の成長周期は、周知の現象である(例えば、Hair Structure and LifeCycle,http://follicle.com参照)。毛包は、反復的な周期において成長する。一周期は、アナゲン(成長期)、カタゲン(退行期)、及びテロゲン(休止期)という三期に分類され得る。いかなる時点においても、全ての毛髪のうち約85%の毛髪が、成長期にある。成長期が終わると、毛髪は退行期に移行し、それは約1週間又は2週間続く。休止期は退行期の後に起こり、通常約5〜6週間続く。いかなる時点においても、全ての毛髪のうちおよそ10〜15%が、この期にある。これ程の比較的大きな毛髪の画分が休止期にある理由は、そのようにして創傷治癒の場合にケラチノサイト増殖において作用するよう準備されているためである可能性がある。そのためには、初期創傷治癒の制御及び毛髪成長周期の制御において、共通の因子が作用しなければならないであろう。CGRPは、この役割を果たす。ここで、皮膚の治癒中、表皮のケラチノサイト増殖に関与するよう幹細胞ケラチノサイトを表面に移動させるために、CGRPが毛包を増殖期に移行させると仮定される。ケラチノサイトは、毛包の外毛根鞘又は真皮乳頭に由来する。これは、ニューロペプチドが、毛髪成長の制御において主要な役割を果たしていると考えられているという事実により、さらに支持される(例えば、J.Invest.Dermatol.Symp.Proc.1997;2(1),61−68参照)。
【0010】
真皮乳頭がおそらく円形脱毛症(AA)における第一の標的であることが研究で示されている。このため、CGRPは、AA及び乾癬の両方におけるこれらの幹細胞に対する共通の作用物質である。特異的サブタイプの全部である乾癬ケラチノサイトは、毛包に位置する幹細胞に由来すると考えられている。
【0011】
添付の実施例4に記載されるように、乾癬は、皮膚中に六角構造をもって出現することが多いこと、即ち、乾癬病巣は、単独に孤立していることもあるし蜂巣パターンで相互連結されていることもある六角形で出現することが観察された。ここで、これらの六角形が、知覚神経支配の神経学的単位を表していることが仮定される。これは、1個又は複数個の神経のセグメント又は単位が、乾癬病巣が発達する際に関与することを示し得る。帯状疱疹(ウイルス神経感染)病巣の分布及び形に類似性している(実施例5参照)。このことは、乾癬のパターンが、この疾患の神経起源を暗示するものである、という理論をさらに支持する。
【0012】
実施例4に示されるように、乾癬における六角(六辺)形病巣は、大部分が、身体の所定の部分について固定されたサイズを有する。皮膚における神経支配の正確な構造は詳細には記載されていないが、六角形は、ハチの巣及び肝臓の門脈系のように、自然界に広範に見られる。
【0013】
乾癬病巣の最も一般的な局在は、乾癬の神経起源に基づき説明され得る。病巣の著しい対称性が一般的であり、病巣は、例えば、臍、腰部、頭皮側頭部、肘、及び膝のような既知の又は可能性の高い神経重複区域に位置している。頭皮及び仙骨部位には、胎児期の皮膚の発達中、最後に完了する神経冠の胚部分である可能性が非常に高い。これは、皮膚形成不全による皮膚の欠損が、右側頭部位の頭皮に最も頻繁に存在し、二分脊椎が腰仙区域に位置しているという事実により、さらに支持される。頭皮、腰仙区域、肘、及び膝における乾癬の存在は、特に興味深い。四脚動物を考えた場合、これらの部分は、手足の後方部分、前方部分、及び突出部分である。乾癬病巣は、しばしば繰り返し、即ち記憶効果により、皮膚上の同じスポットに出現する。これは、単純ヘルペス感染(末梢皮膚におけるウイルス神経感染)においてしばしば見られるのと同様である。本発明者は、皮膚節(神経支配区域)に沿って分布した乾癬病巣を有する乾癬患者の臨床例を見たことがある。同じパターンが、帯状疱疹感染(ウイルス神経感染)において見られる。
【0014】
乾癬病巣が手の神経支配区域に分布し得ることが、本発明者により観察された。
【0015】
皮膚中の個々のケラチノサイトも、六角形を有している。乾癬ケラチノサイトは、皮膚における神経の成長を刺激するNGF(神経増殖因子)を高レベルに発現している(Acta Derm Ven 1998年3月 84−86)。知覚神経傷害の後に快方に向かう乾癬の報告は、乾癬の病原における神経の役割を支持するさらなる臨床的証拠である(J.of the Am.Acad.Dermatol.28,3,488−489;Int.J.Dermatol.1990;9:418−20)。
【0016】
乾癬が神経発生疾患であるという本発明の基礎となる命題は、他のいくつかの観察で支持されているが、先行技術において明らかには示されていなかった。脳血管障害後、片側不全麻痺と対側性の乾癬が発生した(Int.J:Dermatol.3.(8):598−9 1993年8月)。ハンセン病の患者は、末梢神経が破壊されている。ハンセン病患者は乾癬罹患率が低いことも認められている。CGRPは神経外傷により増加する。CGRP8−37(CGRPアンタゴニスト、下記)は、その増加を阻止する(Am.J.Physiol.268(2pt2)H584−90 1995年2月)。皮神経切断後の乾癬斑の迅速な寛解が、報告されている(Dewing,S.B.Arch Dermatol 104:220−221 1971)。
【0017】
蛍光眼底血管造影法による調査において、有色ウサギにおける網膜色素上皮細胞が観察された。六角パターンが、髄放線から離れた部位で規則的に見られた。そのパターンは、後極よりも末梢で大きくなった。これらの血管造影所見は、サイズ及び形が、走査型電子顕微鏡検及び蛍光光学顕微鏡検により見られたように網膜色素上皮細胞のものと密接に一致した。網膜における知覚神経支配のこのパターンは、皮膚の神経単位に関してここに記載されたものに類似している。皮膚における六角パターンは、末梢で、即ち末端でより大きくなる(Iidaら 日本眼科学会雑誌 1991,95(5):421−7)。
【0018】
乾癬におけるCGRP及びサブスタンスP(SP)並びに神経機能における可能性のある協調
Farberらは、乾癬の病原におけるニューロペプチドの可能性のある役割を1986年に最初に提唱した(Raychaudhuri,P.,Farber,E.M.,Psoriasis 第3版(383−391頁),1998年,Roenikg,H.H.;Maibach H.L編,Marcel Dekker Inc.,NYの概説を参照のこと)。研究者らは、SPに特に焦点を当て、乾癬を治療するためのいくつかのSPアンタゴニスト、例えば、ソマトスタチン及びスパンタイド(Spantide)を提唱した(Farberら(前記))。SP及びCGRPの両方は、しばしば、皮膚中の同じ神経に存在している。SP及びCGRPは、いずれも、創傷治癒において活性であり、CGRPは初期に、SPは後期に活性である。乾癬皮膚ではSP及びCGRPの密度が高いことが報告されている(例えば、Jiangら Int.J.Dermatol.1998,37,572−574参照)。
【0019】
サブスタンスPアンタゴニストであるスパンタイドは、即時型及び遅延型(DTH)皮膚過敏反応を阻害する。CGRPがDTHを抑制することが既知であるため、これはCGRPにより媒介されている可能性があり、従って、SPはCGRPの制御剤として作用するのかもしれない(Wallengren J.Br.J.Dermatol,1991,124(4):324−8)。
【0020】
サブスタンスPは、CGRPの血管拡張活性を制御する。動物を使った実験では、この現象が肥満細胞からのプロテアーゼに依存性であることが明らかになった(Brain S.D.;Williams,T.J.「サブスタンスPはCGRPの血管拡張活性を制御する(Substance P regulates the vasodilator activity of CGRP)」.Nature 1988 335(6185),73−5)。これらの実験は、これらのニューロペプチドがヒト皮膚へ注射された場合、SPが、CGRPにより誘導される長期持続性の血管拡張を一過性の応答へと変換することを示した。後の研究(J.Geronol.:Biol.Sciences 1996,Vol.51A,no,B354−B361)は、既存のCGRPに対する血管拡張応答を終結させるSPの能力を証明するため、「ラット後足蹠における水泡モデル」を使用した。その結果は、ヒト皮膚にSP及びCGRPの組み合わせを投与するとCGRPの血管拡張活性を制限し得ることのみならず、血管拡張活性に対してSPが及ぼすモジュレーター(modulator)阻害効果が用量依存性であることも確認するものと見なされている。この主張は、乾癬におけるSPの変化が、主として制御性(二次性)のものであることを示しているのかもしれない。
【0021】
Haukkarinenら(Haukkarinenら Journal of Pathology,(1996)180,200−205)による報告には、SP、CGRP及びVIPを含有している知覚神経と、活性トリプターゼ及び不活性キマーゼを含有している肥満細胞との間の接触値(contact values)の研究が記載されている。乾癬病巣において、SP及びCGRPの肥満細胞との接触値は増加するが、VIPの接触値は減少する。トリプターゼはCGRP及びVIPを効率的に切断するがSPは切断せず、一方キマーゼはSPを切断する。これは、CGRPの切断を増加させるがSPの切断は増加させないよう作用する乾癬における制御メカニズムを指摘している。即ち、CGRPをダウンレギュレートしようとして活性トリプターゼが増加するが、活性キマーゼは増加しない。
【0022】
本発明者は、乾癬において、トリプターゼ活性の減少が、CGRP活性の増加における重大な工程であると考える。これは、おそらく、CGRP8−37が十分に産生されていないため、CGRPのダウンレギュレーション(ネガティブフィードバック)における特定の工程が欠けているためである。上述のように、この修飾ペプチドは、CGRP受容体に対する高親和性アンタゴニストである。乾癬において特定のトリプターゼが正確に構築されず機能不全である時、それはCGRP活性に実質的な影響を及ぼし得る。トリプターゼをコードする遺伝子のいくつかの変異が、その原因であり得る。乾癬の重度の違いは、特定のトリプターゼの異なる変異によって説明され得る。従って、これが正しいのであれば、乾癬は、ある酵素系における改変によって説明されることができ、そして、おそらくは乾癬の所定のサブタイプについても酵素トリプターゼの単一アミノ酸の改変によってのみ説明され得る。いくつかの観察がこの概念を支持しており、例えば、喫煙は乾癬の確率を増加させることが既知であり、また喫煙は肺におけるトリプターゼの欠陥を引き起こすことも既知である。しかしながら、これは、CGRPを阻止することにより、乾癬が治療又は予防され得るという本発明の効果を変化させない。この仮説は、可能性のある遺伝子欠陥を同定するために、乾癬患者及び対照群からのトリプターゼ(又はトリプターゼをコードする遺伝子)をスクリーニングすることにより、容易に確証され得る。
【0023】
その他のいくつかの要因により、CGRPが、SPよりはるかに可能性の高い乾癬における媒介因子であることが示される。CGRPはそう痒を誘導しないがSPは誘導し、そう痒はほとんどの場合は乾癬に関連した症状ではない;CGRPはSPほど腫脹及び発赤を生じさせず、SPは痛み及び灼熱感覚を伝導する活性が極めて高いが、そのいずれも通常は乾癬の症状ではない。しかしながら、CGRPは、乾癬に関連している紅斑を長期にわたり生じさせるが、SPはそれを生じさせない。
【0024】
滴状乾癬は、しばしば連鎖球菌感染後に見られる。いくつかの連鎖球菌の属が、これを誘導することができる。これらの細菌は、皮膚へ注射された場合に血管拡張を誘導する熱毒素である外毒素Cを産生するという点で共通している。これは、ディック試験として既知の連鎖球菌感染の診断テストとして過去に使用された。北京医科大学(Beijing Medical University)からの実験研究は、内毒素を与えられたラットでは血漿中CGRPレベルが高くなっていることを示した(Tangら Sheng Li Xue Bao 1997年4月;49(2):160−6(Medline abstract PMID:9812851))。CGRPは、知覚ニューロンから放出され、CGRP mRNAの転写でもあり、知覚ニューロンにおけるCGRPの合成は、ラットにおける内毒素中毒の発生中に増加した。ブドウ球菌由来の内毒素の反復注射は、免疫不全マウスにおいて角化症を誘導した。従って、連鎖球菌感染時の乾癬の発症は、CGRPの増加によって説明され得る。
【0025】
上記の事実及び記載された観察事項は全て、CGRPが乾癬における主要な媒介因子であることを強く示しており、これにより後に特異的CGRPアンタゴニストの使用に基づく乾癬治療法に関する本発明を導出した。
【0026】
低分子非ペプチド化合物、ペプチド、及び抗体のようないくつかの化合物が、CGRP受容体を選択的に阻害することが見出されている。そのような活性CGRPアンタゴニストは、CGRPにより媒介される多様な疾患状態の治療において有用であることが予想される。そのような治療が示唆される疾患には、頭痛、特に片頭痛;2型糖尿病(NIDDM);神経性炎症;心臓血管障害;慢性炎症;痛み;内毒素ショック;関節炎;アレルギー性鼻炎;アレルギー性接触皮膚炎;炎症性皮膚状態;及び喘息が含まれる。しかしながら、そのような化合物は、本発明者の知る限り、乾癬の治療のため示唆されたことはない。
【0027】
CGRPのアンタゴニストとして有用であることが見出された先行技術において開示された化合物には、4−スルフィニルベンズアミド化合物(WO98/56779)、3,4−ジニトロベンズアミド化合物(WO98/09630)、修飾されたアミノ酸の群(WO00/55154)、及びベンズアミダゾリニルピペラジン化合物(WO00/18764)がある。
【0028】
CGRPに対する抗体、及びCGRPの不活性誘導体、例えば、8個のN末端アミノ酸を欠く点で正常なCGRPと異なっているCGRP8−37も、記載されている。米国特許第5,935,586号は、皮膚の疾患、特に、苔癬、痒疹、痒疹性中毒疹、及び重度のそう痒を治療するための治療用/化粧用の組成物におけるCGRPアンタゴニストの使用を記載している。米国特許第5,932,215号は、皮膚の赤み、酒さ、及び孤立性紅斑を治療するための、類似の使用を記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の仮説は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の過剰提示が、過剰増殖、T細胞数の増加、血流の増加、及び病巣の局在のような乾癬の病理学的現象のほとんどの原因であることを示唆する。それは、乾癬に対する日光の治療効果及び連鎖球菌感染の負の効果も説明することができる。円形脱毛症(AA)は、CGRPの欠如が原因と思われる機能性毛髪疾患である。AAと乾癬には逆の関係が観察されており、本明細書に記載される。CGRPは両方の疾患に共通の因子である。なぜならば、創傷治癒のための乳頭細胞の使用に関与しており、その経路により、創傷治癒過程において毛包を活性化し得るためである。乾癬は、初期創傷治癒過程に関連した疾患であることが既知である。乾癬病巣の六角構造を示しているここに記載された観察は、この疾患が知覚神経支配の神経単位に関与していることを強く示唆する。結論として、乾癬が神経起源の疾患であり、CGRPがこの疾患の重大な媒介因子である可能性が高いというのが、ここで示され支持された本発明者の新規の仮説である。この仮説によると、乾癬において適切に機能していないのはCGRPの調節であり、従って、CGRPアンタゴニスト性化合物の使用によるCGRPの調節は、乾癬を制御する手段となる。
【0030】
本発明は、例えば、CGRPアンタゴニストの使用により、体内、特に皮膚におけるCGRPの濃度を調節することによる、乾癬の治療及び予防のための新規の方法を記載する。本発明は、乾癬をCGRPが重大な媒介因子である神経起源の疾患として説明する、ここでの新規の観察及び記載により支持される。
【0031】
本発明は、少なくとも乾癬病巣において、CGRPの活性の阻止等によってCGRPのレベルを変化させることにより、疾患が治療及び/又は予防され得るという概念に基づいている。これは、CGRPアンタゴニスト化合物の投与により、又はCGRPのレベルに影響を与えるトリプターゼもしくはその他の化合物を投与することにより達成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0032】
前述のように、本発明は、CGRPアンタゴニスト化合物の使用による、乾癬の治療、改善又は予防方法に関する。現在まで、CGRPアンタゴニストにより乾癬を治療することは構想されたことがなかった。従って、本発明は、乾癬の治療のための少なくとも一つのCGRPアンタゴニスト化合物の使用を特色とする。
【0033】
本明細書における「CGRPアンタゴニスト」とは、有機物か又は無機物かに関わらず、例えば、CGRPの受容体結合の阻害を達成することにより、又は神経繊維によるCGRPの合成及び/又は放出の阻害を達成することにより、又は活性CGRPの分解を増強することにより、活性CGRPのレベルを減少させることができる任意の分子を表す。従って、トリプターゼ活性ポリペプチドは、ペプチドの切断によりCGRPのレベルに影響を与えることができるため、ここで定義されたようなこのカテゴリに含まれ、ヘパリンのようなトリプターゼを安定化する化合物も同様である。前述のように、これらの基準を満たし、本発明において有用である多くの化合物が、最近開発されている。
【0034】
本明細書において、治療とは、少なくともある期間にわたり、疾患の症状を少なくとも部分的に治癒又は軽減する任意の治療形態を示し、疾患の改善とは、ここで、乾癬症状の完全又は部分的な軽減を示す。
【0035】
微小透析は、組織液サンプリングのための方法である。それは、皮膚においても、その他の組織においても使用されている。
【0036】
レーザードップラー流量測定は、皮膚における局在的な表在血流を測定するための技術である。
【0037】
第一の態様において、本発明は、治療的に有効な用量の少なくとも一つのCGRPアンタゴニスト化合物を、薬学的に許容される製剤において対象に投与することを含む、対象の乾癬を治療する方法を提供する。治療的に有効な用量は、選択される特定の化合物に依るが、典型的には該治療のため使用される薬学的組成物の全重量の約0.00001%〜5%の範囲、好ましくは重量の約0.0001%〜2.5%の範囲、例えば、重量の0.001〜1%の範囲又は重量の0.001〜0.1%の範囲である。
【0038】
適当な薬学的に許容される製剤は、以下にさらに記述されるように、選択された化合物及び意図された投与経路に依って、従来の薬学的方法に従い調剤され得る。
【0039】
本発明に係る方法は、全身治療及び/又は局所治療の両方を含む。従って、本発明に従い使用するための組成物は、遠位投与から病巣に到達するよう、経口、経鼻、経直腸、経肺、口腔内に、又は皮下注射、静脈注射もしくは筋肉内注射により、又は、例えば局所、経皮、皮内もしくは皮下に、又は例えば微小透析によるような皮膚もしくは皮下への注入を介して組成物を局所投与することにより、投与され得る。しかしながら、ここでは好ましい実施態様は、局所的投与を含む。
【0040】
従って、本発明は、関連する面において、それを必要とする対象における乾癬を治療、改善、又は予防するための医薬品の製造のためのCGRPアンタゴニスト化合物の使用を提供するということが、ここでの説明から容易に理解されよう。そのような医薬品は、好ましくは、ここに開示されるような組成物である。
【0041】
しかしながら、もう一つの面において、本発明は、前記定義のようなCGRPアンタゴニスト化合物の適用により、毛髪成長を減少させる方法を提供する。この局面は、前述のような、CGRPが毛髪成長周期を調節するという新規の理論から生じたものである。本発明の好ましい実施態様において、これらの方法は、毛髪成長減少効果が求められる区域への、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ペースト剤、イオン電気導入系、液剤又はローション剤のような医薬品の、局所的又は経皮的な適用を含む。
【0042】
本発明に係る局所用製剤は、一つ又は複数の薬学的に許容される担体及び/又は賦形化合物と共に、そして場合によっては一つ又は複数の治療的に活性な成分と共に、活性成分を含む。
【0043】
局所的投与に適した製剤は、そのような適用のため通常利用されている任意の薬学的形態へと製剤化されてもよく、これらには、ローション剤、クリーム剤、ペースト剤、軟膏剤、リポソーム剤、例えばイオン電気導入用のゲル剤、懸濁剤、及び油/水(w/o)型、w/o型、o/w/o型、w/o/w型の乳剤又は微小乳剤等の乳剤を含む、液状又は半液状の調製物が含まれる。それらは、好適には、単独で、又は水性もしくは非水性の液体中の溶液又は懸濁物の中で、微細に粉砕又は粉末化された形態の活性成分を、適当な機械の補助によって、疎水性又は親水性の基剤と混合することにより、入手され得る。基剤には、硬、軟、もしくは流動パラフィンのような炭化水素、グリセロール、ロウ(例えば、ミツロウ、カルナウバロウ)、金属セッケン、粘液、コーン油、アーモンド油、ヒマシ油、もしくはオリーブ油のような天然起源の油、鉱油、動物油(ペルヒドロキシスクアレン);又はエタノール、イソプロパノール、及びプロピレングリコールのようなアルコールと合わせられたステアリン酸もしくはオレイン酸のような脂肪酸が含まれ得る。その製剤は、ソルビタンエステル又はそのポリオキシエチレン誘導体のようなアニオン性、カチオン性、又は非イオン性の界面活性剤等の任意の適当な界面活性剤を含み得る。天然ゴム、セルロース誘導体、又は石英質シリカのような無機材料のような懸濁化剤も、含まれ得る。その製剤は、さらに、当技術分野において既知の吸収促進剤、例えば、タンパク質安定化剤等の安定化剤を含み得る。
【0044】
本発明において有用な既知のCGRPアンタゴニスト化合物には、WO98/56779で開示されたような4−スルフィニルベンズアミド化合物、WO98/09630で開示されたような3,4−ジニトロベンズアミド化合物、WO00/18764で開示されたようなベンズアミダゾリニルピペラジン化合物、配列THRLAGLLSRSGGMVKSNFVPTNVGSKAF(配列番号:1)を有するCGRP8−37等のCGRP誘導体、及び抗CGRP抗体が含まれる。当技術分野において記載された興味深い化合物は、BIBN4096BSと名付けられたベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim)により作製されている非ペプチド分子である(Wuら、Biochem.Soc.Trans.2002年8月、30(4):468−473参照)。
【0045】
CGRPアンタゴニスト活性を有すると考えられており、従って本発明に従い使用するための候補化合物である化合物には、以下のものが含まれる:
(±)−4−[(2−クロロフェニル)スルフィニル]−N−メチル−N−(2−メチルフェニル)−3−ニトロベンズアミド、
(+)−4−[(2−クロロフェニル)スルフィニル]−N−メチル−N−(2−メチルフェニル)−3−ニトロベンズアミド、
(−)−4−[(2−クロロフェニル)スルフィニル]−N−メチル−N−(2−メチルフェニル)−3−ニトロベンズアミド、
(±)−4−[(4−クロロフェニル)スルフィニル]−N−メチル−N−(2−メチルフェニル)−3−ニトロベンズアミド、
(±)−N−メチル−N−(2−メチルフェニル)−4−[(1−オキシド−2−ピリジニル)スルフィニル]−3−ニトロベンズアミド、
(±)−N−メチル−N−(2−メチルフェニル)−3−ニトロ−4−(2−チアゾリルスルフィニル)ベンズアミド、
(±)−N−メチル−N−(2−メチルフェニル)−4−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)スルフィニル]−3−ニトロベンズアミド、
N−[3−[(ジエチルアミノ)カルボニル]プロピル]−N−(2−エチルフェニル)−3−ニトロ−4−(2−チアゾリルスルフィニル)ベンズアミド、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]メチルスルホニルイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]フェニルスルホニルイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[N−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]メチルスルホニルイミノメチル]−D−チロシル]−L−リジル]−4−(4−ピリジニル)ピペラジン、
1−[N−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]フェニルスルホニルイミノメチル]−D−チロシル]−L−リジル]−4−(4−ピリジニル)ピペラジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[4−ブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−3,5−ジメチル−D,L−フェニルアラニル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(4−ピリジニル)ピペラジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(4−ピリジニル)ピペラジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−[3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル]−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ピペリジン、
1−[4−ブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−3,5−ジメチル−D,L−フェニルアラニル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)ピペリジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−[1,3−ジヒドロ−4−フェニル−2(2H)−オキソイミダゾール−1−イル]−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニル−アラニル]−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ピペリジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(2,3,4,5−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ピペリジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(2,4−ジヒドロ−5−フェニル−3(3H)−オキソ−1,2,4−トリアゾール−2−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(2,3,4,5−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(2,4−ジヒドロ−5−フェニル−3(3H)−オキソ−1,2,4−トリアゾール−2−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(2,3,4,5−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(2,4−ジヒドロ−5−フェニル−3(3H)−オキソ−1,2,4−トリアゾール−2−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)ピペラジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(2,3,4,5−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)ピペラジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(2,4−ジヒドロ−5−フェニル−3(3H)−オキソ−1,2,4−トリアゾール−2−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)ピペラジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(2,3,4,5−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)ピペラジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−4−メチル−D,L−フェニルアラニル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−4−メチル−D,L−フェニルアラニル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(3,4−ジヒドロ−2(1H)−オキソキナゾリン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−4−メチル−D,L−フェニルアラニル]−4−(4−ピリジニル)ピペラジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−[1,3−ジヒドロ−2(2H)−オキソイミダゾ[4,5−c]キノリン−3−イル]−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−ピペリジニル)ピペリジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(5,7−ジヒドロ−6−オキソジベンゾ[d,f][1,3]−ジアゼピン−5−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−ピペリジニル)−ピペリジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)ピペラジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−[1,3−ジヒドロ−2(2H)−オキソ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−3−イル]−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)ピペラジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(2,3,4,5−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−ピペリジニル]スルホニル]−D−フェニルアラニル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)ピペラジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(1−ピペリジニル)ピペリジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−(7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−l−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(l−メチル−4−ピペリジニル)ピペラジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−[1,3−ジヒドロ−2(2H)−オキソイミダゾ[4,5−c]キノリン−3−イル]−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(1−ピペリジニル)ピペリジン、
1−[3,5−ジブロモ−N−[[4−[1,3−ジヒドロ−2(2H)−オキソイミダゾ[4,5−c]キノリン−3−イル]−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−チロシル]−4−(1−メチル−4−ピペリジニル)ピペラジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[[4−(7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,3−ベンゾジアゼピン−3−イル)−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)−ピペリジン、
1−[4−アミノ−3,5−ジブロモ−N−[(4−[1,3−ジヒドロ−2(2H)−オキソイミダゾ[4,5−c]キノリン−3−イル]−1−ピペリジニル]シアノイミノメチル]−D−フェニルアラニル]−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ピペリジン、
及びそれらの薬学的に許容される塩。
【0046】
本発明によれば、CGRP活性の間接阻害剤が有用であり得ることが、さらに考えられる。CGRPはバニリン受容体を通してカプサイシンの影響下にあると仮定されているため、これらには、カプサイシンブロッカーであるカプザエジン(capzaezine)が含まれる。その他のそのような間接阻害剤には、CGRPをダウンレギュレートすることができるイメティット(Imetit)のようなヒスタミンH3受容体アゴニストが含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明の有用な実施態様において、CGRPアンタゴニスト化合物を含む薬学的組成物は、当技術分野における標準的な方法により実施されるUVB治療のような他の治療方法と組み合わせて、乾癬の治療のため投与される。
【0048】
本発明のもう一つの面において、乾癬治療用の医薬品において使用するための候補化合物を同定するための方法が、提供される。その方法は、CGRP受容体と結合すると推測される化合物を入手する工程;CGRP受容体を含む試料に例えば約0.1μM〜1mMの範囲の様々な濃度の化合物を添加し、適当な時間インキュベートする工程;標識されたCGRPペプチドを前記インキュベートされた試料に添加する工程(例えば、ヨウ素125のような放射性標識、当技術分野において周知のその他の標識法も適用可能である);様々な濃度の候補化合物を含む該試料における標識されたCGRPペプチドのCGRP受容体との結合を決定する工程;及び該化合物とCGRP受容体との結合親和性を決定する工程を含む。これにより、CGRP受容体と結合すると決定された化合物は、乾癬治療用の医薬品において使用するための候補化合物として同定される。本発明に係るその方法の実施態様は、実施例10に詳細に記載される。
【0049】
その方法の一つの実施態様において、該試料は、表面結合型CGRP受容体を有する生細胞を含む。ある種の実施態様において、該試料は細胞膜調製物を含む。
【実施例】
【0050】
<実施例1>
症例研究:AAにおけるニューロペプチド作動性知覚神経の関与の可能性
R.Rossiらによる最近の研究(Rossi,R.ら Neuroreport,8,1135−1138 1997)は、AAの患者が、より低い基礎血流量を有していることを示した。さらに、AAに罹患した患者の頭皮生体組織においては、CGRP及びSP(サブスタンスP)のレベルが減少しているが、VIP(血管作動性腸管ペプチド)のレベルは減少していないことも示された。刺激に対する反応が改変するため、脱毛症頭皮においては、皮内CGRPに応答して、対照より大きな更に延長された血管拡張が観察される。これは、存在するニューロペプチドの量の事前の減少によるCGRP受容体過敏を示すことが、その研究の著者らにより示唆されている。
【0051】
<実施例2>
AA及び乾癬患者の臨床的観察
AA及び乾癬を患うダウン症候群患者の臨床的観察は、その患者が、一方の耳から後頭部を通って他方の耳までの部位を覆うAAを有していることを示した。AAを有する部位を除き、頭皮全体が乾癬で覆われていた(図1aおよびb参照)。それらの部位において、頭皮は臨床的に正常であった。患者は肘に乾癬があり、また強い乾癬の家族歴を有していた。この観察は、二つの疾患の間に逆の関係が存在することを強く示しており、このことは、本発明者の知る限り、以前には記載されていない。AA部位でCGRPレベルがより低いという実施例1の結果と併せ、これはCGRPが乾癬の原因因子であるという概念をさらに支持する。
【0052】
<実施例3>
UVB療法により治療された乾癬患者の臨床的観察
標準的な臨床プラクティスに従ってUVB治療を受けた患者を、観察し問診した。数人の患者は、最初の治療セッションの後、快方に向かい始める前に、治療開始直後の数日に、乾癬の一過性の悪化を経験したことが認められた。悪化とは、既存の病巣の再発もしくはサイズの拡大、又は新たな病巣の出現と定義された。問診を受けた患者95人のうち38人が、乾癬の悪化を経験したと述べた。21人が新たな病巣を発症し、それは、ほとんどの場合1日又は2日間続いた。これらの病巣は、しばしば、小さく、薄く、赤い斑として認められた。17人の患者では、既に存在していた乾癬病巣の短期間の悪化が認められた。これらの症状は、典型的には最初の治療の後24〜48時間以内に認められた。しかしながら、全ての患者が治療から利益を得た、即ち、より長期にわたり乾癬が全体的に改善された。
【0053】
本発明者は、治療開始時のCGRPの増加は、UV放射線及び熱外傷に対する正常な反応であると仮定する(これは、ラットにおいて実験的に観察されている、Gillardonら Neurosci.Lett.1991年4月1日;124(2):144−7参照)。刺激が進行中である場合には、特異的な防衛機構を増加させ、CGRPのダウンレギュレーションにより細胞の代謝回転を低下させることが、身体にとって有益であると想像される。そのようにして、変異及び皮膚癌のリスクが減少させられるのかもしれない。従って、UVB療法の開始時には、皮膚中に増加するCGRPレベルにより、療法の治癒効果が始まる前に、患者の乾癬症状が増強される。
【0054】
<実施例4>
乾癬のパターン及び位置の研究
多数の患者の乾癬病巣を注意深く研究し、病巣のパターンを分析した。多くの患者で六角パターンを観察することができる(図2〜3参照)。そのようなパターンは、以前に記載されていない。そのパターンは神経学的な単位を象徴するものであると仮定される。皮膚の神経支配の正確な構造は、これまで詳細には記載されたことはない。
【0055】
<実施例5>
帯状疱疹パターン
帯状疱疹病巣のパターンを研究した。このパターンも、六角パターンを示すことが認められる(図4)。ウイルス神経感染である帯状疱疹は、既知の神経学的な関連性を有しており、従って、帯状疱疹及び乾癬の両方で六角パターンが観察されるという事実は、そのようなパターンが神経学的な単位を象徴するものであることを支持する。
【0056】
<実施例6>
皮膚損傷後に形成された乾癬病巣
ある乾癬患者は、掻傷又は損傷を負った部位の皮膚に乾癬病巣を発症した。皮膚が損傷を負った場所に病巣が出現することが観察されることは多く、これは、ケブナー現象と呼ばれている。本発明者は、その病巣が微細な六角形パターンを示すことを観察した(図5参照)。従って、「直線的な」病巣の位置は皮膚への損傷によって引き起こされるが、半円又は六角形を含むより微細な構造パターンは、疾患の神経との関連性を強く示すものであると結論付けられ得る。さらに、六角形のサイズが相互関係を有していること、例えば、より広い線が、より微細な線のより小さな六角単位から構成された六角形で構成されていることが、図5において観察され得る。この伝播は、固定されたサイズの神経単位が乾癬において活性化されることを示す。これは、先行技術において以前には示唆されたことがない。
【0057】
<実施例7>
円形脱毛症パターンの研究
円形脱毛症(AA)を有する患者の頭皮の図6a及びbは、脱毛スポットが、六角形に似た非円形を示すことを明らかにしている。AAと乾癬との関係に関するここでの考察を考慮すると、AAも神経因子を暗示するパターンを示すという指摘は、乾癬が神経学的障害であるという概念をさらに支持する。
【0058】
<実施例8>
症例研究:円形脱毛症のための局所的免疫療法
Orecchiaら(Orecchia,G.ら Dermatologica 1990,180,57−59)は、局所的感作剤SABDE(スクアレン酸ジブチルエステル (squaric acid dibutylester))によるAAの治療を記載している。その治療を受けたある患者は、毛髪再生を得たのと同じスポットに乾癬を発症した。乾癬斑上の毛髪は、治療後に該疾患が全身性脱毛症へと進行的に悪化した後、最後に脱落した。
【0059】
詳細な説明において考察されたように、貯蔵細胞として作用する毛包からのケラチノサイトを活性化するために、CGRPは、休止期(テロゲン期)の毛髪を、活性期(アナゲン期)に移行させることができる。身体が(局所的免疫療法としての)極めて少量の抗原に曝された場合、CGRPが放出され、遅延型過敏(DTH)の過程の進展を中止させる。本発明者は、それが、SABDE及びDPCPが円形脱毛症の治療において有効である理由であると考える。毛包を休止期から成長期に移行させることができる、DTHのダウンレギュレーター及び初期創傷治癒における作用剤としてのCGRPを含むこのメカニズムは、実施例1において証明されたように、乾癬とAAとの間に逆の関係が存在している理由を説明する。
【0060】
<実施例9>
乾癬治療用のローション剤
局所的投与による乾癬の治療及び/又は予防のためのローション剤は、以下のように調製され得る。説明において開示されたもの又は実施例10の方法により同定された化合物から適当な化合物を選択し、パーセントローション剤が以下のように調製される:約0.1〜0.5gの化合物をエタノール6mLに溶解させ、その溶液を、鉱油、綿実油、パルミチン酸イソプロピル及び水と、セスキオレイン酸ソルビタンのような界面活性剤から調製された油中水型ローション(95g)と混和する。油中水型ローション中の成分は、例えば、それぞれ10:10:5:70:5重量部で存在する。
【0061】
<実施例10>
アンタゴニスト性化合物のスクリーニング
CGRP受容体がCGRPと結合するのを妨害する化合物をスクリーニングする方法は、WO98/56779に記載されている。従って、その方法は、本発明にとって有用である可能性の高い化合物を同定するであろう。
【0062】
簡単に説明すると、選択された試験化合物を、[125I]CGRP(Amersham,Chicago,IL)の阻害に関してアッセイする。SK−N−MC細胞(American Type Culture Collection,Rockville,MD)を、10%ウシ胎仔血清を含有している最小必須培地(「MEM」)で増殖させる。細胞をT−150フラスコ又はコスター(Costar)マルチウェルプレートで増殖させ、5%COz及び95%空気の雰囲気の90%給湿インキュベーター内で37℃で維持する。
【0063】
細胞を、5mMトリスHCl pH7.4、10mM Na−EDTAでホモジナイズし、ホモジネートを4℃で20分間48,000gで遠心分離する。そのペレットを、20mLのNa−HEPES pH7.4、10mM MgCl2に再懸濁させ、再遠心分離する。膜ペレットを同緩衝液に再懸濁させ、−70℃で凍結保存する。タンパク質濃度を、標準としてBSA(ウシ血清アルブミン)を使用したPierce社のBCA法により測定する。[125I]CGRP受容体結合アッセイを、20mM Na−HEPES pH7.4、10mM MgCl2、0.05%BSA、及び0.1mg/mLバシトラシンの緩衝液を使用して実施する。膜(50μg/mL)を、25℃で、60分間、500μLの全容量で、様々な濃度(例えば、約1μM〜1mMの範囲)の試験化合物、及び40pM[125I]CGRPと共にインキュベートする。2mLの氷冷0.9%NaClの添加により反応を終了させた後、0.5%ポリエチレンイミン(PEI)に予め浸したスカトロン社製フィルターメート(Skatron Filtermates)を通して急速ろ過を行う。フィルターを、2mLの冷0.9%NaClで2回濯ぎ、ガンマ・カウンターで放射能を計数する。結合データを、従来のリガンド結合計算、及びリガンド(LIGAND)2プログラムのようなプログラムにより分析する。
【0064】
<実施例11>
乾癬病巣周囲の先端におけるCGRPの測定
レーザードップラー血流測定を使用して乾癬病巣の活性先端の位置を決定し、乾癬病巣周囲の正常な皮膚において血流を測定した。乾癬病巣が一定方向に成長すること、即ち、成長中又は活性の先端を有していることは既知である(Cunliffら J.Invest.Dermatol.1989,92(6):782−5参照)。乾癬病巣を有する2人の対象の活性先端及び不活性(反対)先端の両方において、CGRPレベルを測定した。初期の結果は、活性先端では不活性先端と比較してCGRPレベルが増加していることを示している。15kDaのカットオフ値を有するプローブを含む組織液サンプリングのための微小透析装置を使用し、実験を実施した;活性先端及び不活性先端の両方を、各試料当たり合計165分間サンプリングし、各試料から165μLの容量を得た。ニューロペプチドCGRP濃度をELISAにより測定した。サンプリングされた皮膚位置からの組織生検材料を、組織液サンプリングの後に採取した。活性先端においては、拡張もしていた真皮乳頭内のループ状毛細血管の数の増加により示された毛細血管の増加により示される、血流の増加が観察された。表皮過形成又はT細胞活性化は、見出されなかった。
【0065】
これらの結果は、皮膚におけるCGRPレベルの濃度の増加が、乾癬の発症における極めて初期のイベントであることを強く示している。これは、GCRPレベルの調節の失敗(即ち、増強されたCGRPレベル)が、乾癬疾患の病原であり得ることを支持する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1a】円形脱毛症及び乾癬患者の頭皮を表す画像
【図1b】円形脱毛症及び乾癬患者の頭皮を表す画像
【図2a】患者の脚の乾癬パターン
【図2b】患者の脚の乾癬パターン
【図3】指の乾癬病巣
【図4】帯状疱疹病巣を示す画像
【図5】皮膚損傷後に形成された乾癬病巣
【図6a】患者の頭皮の円形脱毛症のパターンを示す画像
【図6b】患者の頭皮の円形脱毛症のパターンを示す画像
【配列表】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における乾癬を治療、改善又は予防する方法であって、治療的有効量の少なくとも一つのCGRPアンタゴニスト化合物を、薬学的に許容される製剤で該対象に投与することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つのCGRPアンタゴニスト化合物が、4−スルフィニルベンズアミド化合物、3,4−ジニトロベンズアミド化合物、ベンズアミダゾリニルピペラジン化合物、抗CGRP抗体、ペプチドCGRP8−37を含むCGRP誘導体、トリプターゼ活性ポリペプチド、及び化合物BIBN4096BS、及びヘパリンを含むトリプターゼを安定化する化合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記CGRPアンタゴニスト化合物が、例えば局所、経皮、皮内もしくは皮下に、又は、例えば微小透析投与による皮膚もしくは皮下への注入により、局所投与されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記CGRPアンタゴニスト化合物が、経口、経鼻、経直腸、経肺、口腔内、又は皮下注射、静脈注射もしくは筋肉内注射により投与されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記CGRPアンタゴニスト化合物が、局所的に投与されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項6】
対象における乾癬を治療、予防又は改善するための医薬品製造のためのCGRPアンタゴニスト化合物の使用。
【請求項7】
前記化合物が、4−スルフィニルベンズアミド化合物、3,4−ジニトロベンズアミド化合物、ベンズアミダゾリニルピペラジン化合物、抗CGRP抗体、CGRP8−37を含むCGRP誘導体、トリプターゼ、ヘパリンを含むトリプターゼを安定化する化合物、及び化合物BIBN4096BSからなる群より選択されることを特徴とする、請求項6記載の使用。
【請求項8】
前記医薬品が局所的に投与されることを特徴とする、請求項6記載の使用。
【請求項9】
少なくとも一つの活性CGRPアンタゴニスト物質及び少なくとも一つの薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、乾癬の治療のための医薬組成物。
【請求項10】
局所、経皮、皮内、皮下もしくはイオン電気導入による投与用、又は、例えば微小透析での注入による投与用であることを特徴とする、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
局所投与用である、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
乾癬治療用の医薬品において使用するための候補化合物を同定する方法であって、
(i)CGRP受容体と結合すると推測される化合物を入手する工程;
(ii)約0.1μM〜1mMの範囲の様々な濃度の化合物を、CGRP受容体を含む試料に添加し、適当な時間インキュベートする工程;
(iii)標識されたCGRPペプチドを、インキュベートされた試料に添加する工程;
(iv)様々な濃度の化合物を含む試料における、標識されたCGRPペプチドのCGRP受容体との結合を測定する工程;及び
(v)化合物のCGRP受容体との結合親和性を決定する工程;
を包含し、それによってCGRP受容体と結合すると決定された化合物を、乾癬治療用の医薬品において使用するための候補化合物として同定することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記試料が表面結合型CGRP受容体を有している生細胞を含むことを特徴とする、請求項11の方法。
【請求項14】
前記試料が細胞膜調製物を含むことを特徴とする、請求項11の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における乾癬を治療、改善又は予防する方法であって、治療的有効量の少なくとも一つのCGRPアンタゴニスト化合物を、薬学的に許容される製剤で該対象に投与することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つのCGRPアンタゴニスト化合物が、4−スルフィニルベンズアミド化合物、3,4−ジニトロベンズアミド化合物、ベンズアミダゾリニルピペラジン化合物、抗CGRP抗体、ペプチドCGRP8−37を含むCGRP誘導体、トリプターゼ活性ポリペプチド、及び化合物BIBN4096BSからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記CGRPアンタゴニスト化合物が、例えば局所、経皮、皮内もしくは皮下に、又は、例えば微小透析投与による皮膚もしくは皮下への注入により、局所投与されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記CGRPアンタゴニスト化合物が、経口、経鼻、経直腸、経肺、口腔内、又は皮下注射、静脈注射もしくは筋肉内注射により投与されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記CGRPアンタゴニスト化合物が、局所的に投与されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項6】
対象における乾癬を治療、予防又は改善するための医薬品製造のためのCGRPアンタゴニスト化合物の使用。
【請求項7】
前記化合物が、4−スルフィニルベンズアミド化合物、3,4−ジニトロベンズアミド化合物、ベンズアミダゾリニルピペラジン化合物、抗CGRP抗体、CGRP8−37を含むCGRP誘導体、トリプターゼ、及び化合物BIBN4096BSからなる群より選択されることを特徴とする、請求項6記載の使用。
【請求項8】
前記医薬品が局所的に投与されることを特徴とする、請求項6記載の使用。
【請求項9】
少なくとも一つの活性CGRPアンタゴニスト物質及び少なくとも一つの薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、乾癬の治療のための医薬組成物。
【請求項10】
局所、経皮、皮内、皮下もしくはイオン電気導入による投与用、又は、例えば微小透析での注入による投与用であることを特徴とする、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
局所投与用である、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
乾癬治療用の医薬品において使用するための候補化合物を同定する方法であって、
(i)CGRP受容体と結合すると推測される化合物を入手する工程;
(ii)約0.1μM〜1mMの範囲の様々な濃度の化合物を、CGRP受容体を含む試料に添加し、適当な時間インキュベートする工程;
(iii)標識されたCGRPペプチドを、インキュベートされた試料に添加する工程;
(iv)様々な濃度の化合物を含む試料における、標識されたCGRPペプチドのCGRP受容体との結合を測定する工程;及び
(v)化合物のCGRP受容体との結合親和性を決定する工程;
を包含し、それによってCGRP受容体と結合すると決定された化合物を、乾癬治療用の医薬品において使用するための候補化合物として同定することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記試料が表面結合型CGRP受容体を有している生細胞を含むことを特徴とする、請求項11の方法。
【請求項14】
前記試料が細胞膜調製物を含むことを特徴とする、請求項11の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2006−501216(P2006−501216A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−527284(P2004−527284)
【出願日】平成15年8月12日(2003.8.12)
【国際出願番号】PCT/IS2003/000023
【国際公開番号】WO2004/014351
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(505050463)
【Fターム(参考)】