説明

二元金属担持触媒を用いる酢酸からの酢酸エチルの直接的且つ選択的な製造

水素化触媒組成物上で酢酸を気相反応させて酢酸エチルを生成することによって酢酸エチルを選択的に製造する方法を開示し、特許請求する。本発明の一態様においては、シリカ上に担持されている白金及び銅の上で酢酸と水素を反応させることによって、約250℃の温度において気相中で酢酸エチルが選択的に製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、同じ表題の2008年7月31日出願の米国特許出願12/221,209に基づくものであり、ここにその優先権を主張し、その開示事項は参照として本明細書中に包含する。
【0002】
本発明は、一般に酢酸から酢酸エチルを製造する方法に関する。より詳しくは、本発明は、好適な触媒担体上に担持されている、例えば白金又はパラジウム及び銅又はコバルトのような担持二元金属触媒から構成され、場合によっては1種類以上の更なる水素化金属を含む触媒を用いて酢酸を水素化して、高い選択率で酢酸エチルを生成することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0003】
酢酸を酢酸エチルに転化させる経済的に実現可能なプロセスに対する必要性が長い間感じられている。酢酸エチルは、種々の工業製品のための重要な商業的供給原料であり、種々の化学物質の製造における工業溶媒としても用いられている。例えば、酢酸エチルは、それを熱分解プロセスにかけることによって容易にエチレンに転化させることができ、これは次に種々の他の製品に転化させることができる。酢酸エチルは、通常は、価格の変動がより大きくなってきている供給原料から製造される。則ち、天然ガス及び原油の変動する価格は、通常製造される石油又は天然ガスを源とする酢酸エチルのコストにおける変動の原因となり、このために石油の価格が上昇している際には、酢酸エチルの代替源に対する必要性が益々大きくなっている。
【0004】
不均一触媒上でカルボン酸を水素化してアルコールを製造することはよく報告されている。例えば、米国特許2,607,807においては、約88%の収率を達成するために700〜950barの非常に高い圧力においてルテニウム触媒上で酢酸からエタノールを生成することができるが、約200barの圧力においては約40%の低い収率しか得られないことが開示されている。しかしながら、かかる極端な反応条件は、商業的な運転のためには受け入れられず、経済的でない。
【0005】
より最近では、未だ商業的には実現可能ではない可能性があるが、約40〜120barのような大気圧より高い圧力において、コバルト触媒を用いて酢酸を水素化することによってエタノールを製造することができることが報告されている。例えば、Shusterらの米国特許4,517,391を参照。
【0006】
他方、Kitsonらの米国特許5,149,680においては、白金族金属合金触媒を用いてカルボン酸及びそれらの無水物をアルコール及び/又はエステルに接触水素化する方法が記載されている。触媒は、金属レニウム、タングステン、又はモリブデンの少なくとも1つを含む成分を混合した、周期律表第VIII族の少なくとも1種類の貴金属と、第VIII族貴金属と合金を形成することができる少なくとも1種類の金属との合金を含む。ここでは、従来技術文献を凌ぐ向上したアルコール及びそれと未反応のカルボン酸とのエステルの混合物への選択率が達成されると主張されているが、これらの最適触媒条件下での酢酸のエタノールへの水素化中において、3〜9%のメタン及びエタンのようなアルカンが副生成物として生成されることが更に報告された。
【0007】
酢酸を水素化することによって酢酸エチルを製造するための僅かに修正された方法がEP−0372847において報告されている。この方法においては、酸又は無水物を水素と、昇温温度において、第1の成分として少なくとも1種類の第VIII族貴金属、及びモリブデン、タングステン、及びレニウムの少なくとも1つを含む第2の成分、並びに第IVb族元素の酸化物を含む第3の成分を含む触媒組成物の存在下で反応させることによって、カルボン酸又はその無水物から、対応するアルコールを10%未満の選択率で生成させながら、例えば酢酸エチルのようなカルボン酸エステルを50%超の選択率で製造する。しかしながら、ここで報告されている最適条件においても、エタノールに加えて、相当量のメタン、エタン、アセトアルデヒド、及びアセトンなどの副生成物が生成する。更に、酢酸の転化率は、転化率が80%の高さに達した僅かな場合を除いて約5〜40%の範囲である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許2,607,807
【特許文献2】米国特許4,517,391
【特許文献3】米国特許5,149,680
【特許文献4】EP−0372847
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記から、既存のプロセスは酢酸エチルへの必要な選択率を有していないか、或いは既存の技術は、高価であるか及び/又は酢酸エチルの生成に関して非選択的である触媒を用いており、望ましくない副生成物を生成することが明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、ここで、予期しなかったことに、酢酸エチルを工業的スケールで酢酸から直接に非常に高い選択率及び収率で製造することができることが見出された。より詳しくは、本発明は、酢酸を、水素の存在下において、ニッケル、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種類の金属、並びにモリブデン、レニウム、ジルコニウム、銅、及びコバルトから選択される少なくとも1種類の金属を含み、但し白金は、モリブデン、レニウム、ジルコニウム、銅、又はコバルトを用いずに用いることができる水素化触媒上で水素化することを含む、酢酸から酢酸エチルを選択的に生成する方法を提供する。更に、触媒は、ルテニウム、イリジウム、クロム、スズ、タングステン、バナジウム、及び亜鉛からなる群から選択される1種類以上の金属触媒を場合によって含む好適な触媒担体を含む。より詳しくは、本発明方法に好適な触媒は、通常は、好適な触媒担体上に担持されている白金及び銅、又は好適な触媒担体上に担持されているパラジウム及びコバルトの組み合わせを含む。好適な触媒担体としては、限定なしに、シリカ、アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭素、ジルコニア、ジルコニア−シリカ、チタニア、チタニア−シリカ、酸化鉄、及び例えばH−ZSM−5のようなゼオライト触媒が挙げられる。
【0011】
本発明の他の形態においては、シリカのような好適な触媒担体上に担持されている銅/ジルコニウムの組み合わせも、本発明の実施にしたがって酢酸を酢酸エチルへ選択的に水素化するために好適な触媒である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、例証及び例示のみの目的のための数多くの態様を参照して本発明を詳細に記載する。特許請求の範囲において示す本発明の精神及び範囲内の特定の態様に対する修正は、当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0013】
下記においてより具体的に定義しない限りにおいて、用語はその通常の意味で与えられる。モルパーセント(モル%又は%)などの用語は、他に示さない限りにおいてモルパーセントを指す。重量パーセント(重量%又は%)などの用語は、他に示さない限りにおいて重量パーセントを指す。
【0014】
通常は、触媒の金属装填量は、金属及び触媒担体の合計乾燥重量を基準とする触媒金属の重量%として表す。したがって、例えば担体上の1重量%の金属とは、担持金属触媒100g、すなわち担体(99g)と金属(1g)の合計重量中に1gの純粋な金属が存在していることを意味する。
【0015】
「転化率」は、供給流中の酢酸を基準とするモル%として表す。酢酸(AcOH)の転化率は、ガスクロマトグラフィー(GC)のデータから下式:
【0016】
【化1】

【0017】
を用いて計算する。
「選択率」は、転化した酢酸を基準とするモル%として表す。例えば、転化率が50モル%であり、転化した酢酸の50モル%が酢酸エチル(EtOAc)に転化している場合には、本発明者らは酢酸エチル選択率が50%であると言う。選択率は、ガスクロマトグラフィー(GC)のデータから下式:
【0018】
【化2】

【0019】
を用いて計算する。ここで、「(GC)から排出されるCの全ミリモル」とは、ガスクロマトグラフによって分析される全ての生成物からの炭素の全ミリモル数を指す。
反応は、次の化学式:
【0020】
【化3】

【0021】
にしたがって進行する。
本発明によれば、酢酸の酢酸エチルへの転化は、例えば、所望の場合には層状固定床であってよい単一の反応区域内のような種々の形態で行うことができる。断熱反応器を用いることができ、或いは熱伝達媒体を備えたシェルアンドチューブ反応器を用いることができる。固定床には、異なる触媒粒子又はここで更に記載する複数の触媒を含む触媒粒子の混合物を含ませることができる。固定床にはまた、反応物質のための混合区域を構成する粒子状材料の層を含ませることもできる。酢酸、水素、及び場合によっては不活性キャリアガスを含む反応混合物を、混合区域への加圧流として床に供給する。この流れは、次に(差圧を用いて)反応区域又は層に供給される。反応区域は、好適な水素化触媒を含む触媒組成物を含み、ここで酢酸が水素化されて酢酸エチルが生成する。反応器のタイプ、処理量の要求などに応じて、任意の好適な粒径を用いることができる。
【0022】
当業者に公知の種々の金属担持水素化触媒を、本発明方法における酢酸エチルを生成するための酢酸の水素化において用いることができるが、用いる水素化触媒は、ニッケル、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種類の金属、並びにモリブデン、レニウム、ジルコニウム、銅、及びコバルトから選択される少なくとも1種類の金属を含むことが好ましい。更に、触媒は、場合によってはルテニウム、イリジウム、クロム、スズ、タングステン、バナジウム、及び亜鉛からなる群から選択される1種類以上の金属触媒を含む好適な触媒担体を含む。しかしながら、チタニアのような好適な触媒担体上に担持されている白金単独のような単一の担持金属触媒も、本発明方法において用いることができる。
【0023】
好ましくは、本発明方法のために好適な触媒は、好適な触媒担体上に担持されている白金及び銅、或いは好適な触媒担体上に担持されているパラジウム及びコバルトの組み合わせを含む。通常は、好適な担体上の好適な重量比の複数の金属の組み合わせを水素化触媒として用いることができることが好ましい。したがって、例えば約0.1〜1の重量比の白金及び銅(Pt/Cu)又はパラジウム及びコバルト(Co)の組み合わせが特に好ましい。より好ましくは、Pt/Cu又はPd/Coの重量比は約0.2〜0.5であり、最も好ましくはPt/Cu又はPd/Coの重量比は約0.2である。
【0024】
本発明方法において好適な他の触媒としては、H−ZSM−5、シリカ、又は炭素上に担持されている、ニッケル/モリブデン(Ni/Mo)、パラジウム/モリブデン(Pd/Mo)、又は白金/モリブデン(Pt/Mo)の2元金属の組み合わせが挙げられる。本発明のこの形態においては、Ni/Moの2元金属の組み合わせの装填レベルは、酢酸の酢酸エチルへの選択的水素化に影響を与える任意のレベルであってよく、通常は炭素上に担持されている約1重量%のニッケル及び5重量%のモリブデン(1重量%Ni/5重量%Mo)である。
【0025】
他の形態においては、Pd/Moの2元金属の組み合わせの装填レベルは、H−ZSM−5又はシリカ上に担持されている約1重量%のパラジウム及び5重量%のモリブデン(1重量%Pd/5重量%Mo)である。同様に、シリカ又は炭素上に担持されている約1重量%の白金及び5重量%のモリブデン(1重量%Pt/5重量%Mo)の装填量を有するPt/Moの2元金属の組み合わせを用いることもできる。
【0026】
本発明の他の形態においては、触媒は、チタニア上に担持されているニッケル/レニウム(Ni/Re)又はパラジウム/レニウムの2元金属の組み合わせから選択される。ここでも、本発明のこの形態においては、任意の好適な金属装填量を用いて、酢酸エチルへの酢酸の選択的水素化を行うことができる。例えば、チタニア上に担持されている1重量%のニッケル及び5重量%のレニウム(1重量%Ni/5重量%Re)の2元金属の組み合わせ、或いはチタニア上に担持されている1重量%のパラジウム及び5重量%のレニウム(1重量%Pd/5重量%Re)の2元金属の組み合わせを用いることができる。
【0027】
本発明の他の態様においては、酢酸及び水素を含む供給流を、昇温温度において、好適な触媒担体上の約0.5重量%〜約1重量%のパラジウム及び2.5重量%〜約5重量%のレニウムを含む好適な水素化触媒と接触させることを含む、酢酸から酢酸エチルを選択的且つ直接に生成する方法も提供される。より詳しくは、触媒担体は約1重量%の装填レベルのパラジウム及び約5重量%の装填レベルのレニウムを含み、触媒担体はチタニアである。
【0028】
本発明のこの形態においては、反応物質は約1:10〜1:5の範囲のモル比の酢酸及び水素から構成され、反応区域の温度は約225℃〜275℃の範囲であり、反応区域の圧力は約10〜20絶対気圧の範囲である。
【0029】
当該技術において公知の種々の触媒担体を用いて本発明の触媒を担持することができる。かかる担体の例としては、限定なしに、H−ZSM−5のようなゼオライト、酸化鉄、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭素、黒鉛、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい担体は、シリカ、アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭素、ジルコニア、及びチタニアである。より好ましくは、本発明方法における触媒担体としてシリカを用いる。また、シリカの純度がより高いと、担体としてより良好であることを注意することも重要である。
【0030】
本発明方法の他の形態においては、任意の公知のゼオライト触媒を触媒担体として用いることもできる。少なくとも約0.6nmの孔径を有する任意のゼオライトを用いることができるが、かかるゼオライトの中で、モルデナイト、ZSM−5、ゼオライトX、及びゼオライトYからなる群から選択される触媒担体が好ましく用いられる。
【0031】
大孔モルデナイトの製造は、例えば米国特許4,018,514、及びD. DOMINE及びJ. QUOBEXのMol. Sieves Pap. Conf., 1967, 78, Soc. Chem. Ind. Londonに記載されている。
【0032】
ゼオライトXは例えば米国特許2,882,244に、ゼオライトYは米国特許3,130,007に記載されている。
種々のゼオライト及びゼオライトタイプの材料が、化学反応を触媒することに関して当該技術において公知である。例えば、Argauerの米国特許3,702,886においては、種々の炭化水素転化プロセスを触媒するのに有効である「ゼオライトZSM−5」と示される合成ゼオライトの種類が開示されている。
【0033】
本発明の手順のために好適なゼオライトは、塩基性形態、部分的か又は完全に酸性化の形態、或いは部分的に脱アルミニウム化した形態であってよい。
好ましくは、本発明方法におけるゼオライト触媒担体は、対応する「ZSM−5」ゼオライト又は「モルデナイト」ゼオライトから、当該技術において周知の技術を用いてこのゼオライトのカチオンの殆ど、一般には少なくとも約80%を水素イオンで置換することによって製造される、「H−ZSM−5」又は「H−モルデナイト」ゼオライトとして示されるプロトン性形態のものである。これらのゼオライト触媒は、実質的に結晶質のアルミノシリケートであるか、或いは中性形態で明確な結晶構造のシリカ及びアルミナの組み合わせである。本発明の目的のために特に好ましい種類のゼオライト触媒においては、これらのゼオライトにおけるAlに対するSiOのモル比は、約10〜60の比の範囲内である。
【0034】
本発明の他の形態においては、触媒金属であるパラジウム及びコバルトの組み合わせ、或いは白金及び銅の組み合わせを、当該技術において周知の手順又はここで更に記載する手順を用いて、高純度で低表面積のシリカ又はH−ZSM−5の上に担持させる。白金又はパラジウムベースの金属に関して好ましい他の触媒担体は、炭素、チタニア、及びジルコニアである。
【0035】
本発明の他の態様においては、好ましい触媒担体は炭素である。触媒担体として好適な当該技術において公知の種々の形態の炭素を、本発明方法において用いることができる。特に好ましい炭素担体は、黒鉛化炭素、特に英国特許2,136,704に記載されている高表面積黒鉛化炭素である。炭素は、好ましくは粒子状形態、例えばペレットである。炭素粒子の寸法は、任意の与えられた反応器において許容しうる差圧(最小ペレット寸法を与える)、及びペレット内の反応物質の拡散制約(最大ペレット寸法を与える)によって定まる。
【0036】
本発明方法において好適な炭素触媒担体は、好ましくは多孔質炭素触媒担体である。好ましい粒径と共に、炭素は、好ましい表面積特性を満足するために多孔質であることが必要である。
【0037】
炭素触媒担体などの触媒担体は、それらのBET、基底面表面積、及び端面表面積によって特徴づけることができる、BET表面積は、Brunauer、Emmett、及びTellerのJ. Am. Chem. Soc. 60, 309 (1938)の方法を用いて窒素吸着によって測定される表面積である。基底面表面積は、Proc. Roy. Soc. A314, p.473〜498(特にp. 489を参照)に記載されている方法によってn−ヘプタンからのn−ドトリアコンタンの炭素上の吸着熱から求められる表面積である。端面表面積は、上述のProc. Roy. Soc.の論文(特にp. 495を参照)に開示されているn−ヘプタンからのn−ブタノールの炭素上の吸着熱から求められる表面積である。
【0038】
本発明において用いるために好ましい炭素触媒担体は、少なくとも100m/g、より好ましくは少なくとも200m/g、最も好ましくは少なくとも300m/gのBET表面積を有する。BET表面積は、好ましくは1000m/g以下、より好ましくは750m/g以下である。
【0039】
少なくとも10:1、好ましくは少なくとも100:1の基底面表面積:端面表面積の比を有する炭素触媒担体を用いることができる。この比については上限があるとは考えられてはいないが、実施上は、通常は200:1を超えない。
【0040】
好ましい炭素担体は、炭素含有出発材料を熱処理することによって製造することができる。出発材料は、例えば英国特許1,168,785に開示されているようにして製造される親油性黒鉛、或いはカーボンブラックであってよい。
【0041】
しかしながら、親油性黒鉛はフレーク形状の非常に微細な粒子の形態の炭素を含んでおり、したがって触媒担体として用いるためにはあまり好適な材料ではない。本発明者らはこれらの利用を排除することを好む。同様の考察が、これも非常に微細な粒径を有するカーボンブラックに適用される。
【0042】
好ましい材料は、植物性材料、例えばヤシ活性炭、或いはピート又は石炭、或いは炭化可能なポリマーから誘導される活性炭である。熱処理にかける材料は、好ましくは炭素担体のために好ましいとして上記に示されているものよりも大きい粒径を有する。
【0043】
好ましい出発材料は、次の特性:少なくとも100m/g、より好ましくは少なくとも500m/gのBET表面積;を有する。
規定した特性を有する炭素担体を製造するために好ましい1つの熱処理手順は、順番に、(1)炭素を不活性雰囲気中900℃〜3300℃の温度で加熱し(2)炭素を300℃〜1200℃の温度で酸化し(3)不活性雰囲気中900℃〜3000℃の温度で加熱する;ことを含む。
【0044】
酸化工程は、酸素(例えば空気として)を酸化剤として用いる場合には、好ましくは300℃〜600℃の温度で行う。
不活性ガス中の加熱の継続時間は重要ではない。炭素において必要な変化を生起させるためには、炭素を必要な最高温度に加熱するのに必要な時間で十分である。
【0045】
酸化工程は、明らかに、炭素が完全に燃焼するような条件下で行ってはならない。これは好ましくは、過剰酸化を避けるように制御された速度で供給する気体状酸化剤を用いて行う。気体状酸化剤の例は、水蒸気、二酸化炭素、及び分子状酸素を含む気体、例えば空気である。酸化は、好ましくは、酸化工程にかける炭素の重量を基準として少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%の炭素の重量損失を与えるように行う。
【0046】
重量損失は、好ましくは、酸化工程にかける炭素の40重量%以下、より好ましくは炭素の25重量%以下である。
酸化剤の供給速度は、好ましくは所望の重量損失が少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも4時間で起こるようなものである。
【0047】
不活性雰囲気が必要な場合には、これは窒素又は不活性ガスによって与えることができる。
上述したように、2つの金属触媒の組み合わせの装填レベルは、一般に主触媒金属の含量、及び組み合わせの重量比を基準とする。例えば、Pt/Cu又はPd/Coの重量比は約0.1〜2の範囲である。したがって、Pt/Cu又はPd/Coの重量比が0.1である場合には、白金又はパラジウムの量は0.1又は1重量%であってよく、1又は10重量%の銅又はコバルトが触媒担体上に存在する。より好ましくは、Pt/Cu又はPd/Coの重量比は約0.5であり、触媒担体上の白金又はパラジウムの量は0.5又は1重量%のいずれかであってよく、銅又はコバルトの量は1又は2重量%のいずれかである。より好ましくは、Pt/Cu又はPd/Coの重量比は1又は0.2である。したがって、担体上の白金又はパラジウムの量は0.5、1、又は2重量%であり、重量比が1の場合には、銅又はコバルトの量も0.5、1、又は2重量%である。同様に、Pt/Cu又はPd/Coの重量比が0.2である場合には、担体上の白金又はパラジウムの量は0.5又は1重量%であってよく、銅又はコバルトの量は2.5又は5重量%のいずれかである。
【0048】
担体上に存在する場合には、第3の金属の装填量は、本発明においてはあまり重要ではなく、約0.1重量%〜約10重量%の範囲で変化させることができる。担体の重量を基準として約1重量%〜約6重量%の金属装填量が特に好ましい。
【0049】
金属の含浸は、当該技術において公知の任意の方法を用いて行うことができる。通常は、含浸の前に、担体を120℃において乾燥し、約0.2〜0.4mmの範囲の寸法分布を有する粒子に成形する。場合によっては、担体をプレスし、粉砕し、所望の寸法分布に篩別することができる。担体材料を所望の寸法分布に成形する任意の公知の方法を用いることができる。
【0050】
例えばα−アルミナのような低い表面積を有する担体に関しては、所望の金属装填量が得られるように、完全な湿潤又は過剰の液体含浸が得られるまで金属溶液を過剰に加える。
【0051】
上述したように、本発明方法において用いる水素化触媒は、白金/銅、パラジウム/コバルトなどを含む少なくとも2元の金属材料である。いかなる理論にも縛られることは意図しないが、一般に、1つの金属が促進剤金属として作用し、他方の金属が主金属であると考えられる。例えば、本発明のこの方法においては、上記の組み合わせの中で、それぞれ白金、パラジウム、及び銅が、本発明の水素化触媒を製造するための主金属であると考えられる。他の金属、即ち、白金の場合には銅、パラジウムの場合にはコバルトは、用いる触媒担体、反応温度、及び圧力など(しかしながらこれらに限定されない)の種々の反応パラメーターによって促進剤金属と考えられる。触媒には、タングステン、バナジウム、モリブデン、クロム、又は亜鉛のような他の促進剤金属を含ませることができる。
【0052】
2元金属触媒は、一般に2工程で含浸させる。それぞれの含浸工程の後に、乾燥及びカ焼を行う。2元金属触媒はまた、共含浸によって製造することもできる。殆どの場合において、含浸は金属硝酸塩溶液を用いて行うことができる。しかしながら、カ焼によって金属イオンを放出する種々の他の可溶性塩を用いることもできる。含浸のために好適な他の金属塩の例としては、金属シュウ酸塩、金属水酸化物、金属酸化物、金属酢酸塩、アンモニウム金属酸化物、例えば7モリブデン酸アンモニウム6水和物、金属酸、例えば過レニウム酸溶液などが挙げられる。
【0053】
したがって本発明の一態様においては、触媒担体がシリカであり、これに白金及び銅が2元金属装填されている水素化触媒が提供される。本発明のこの形態においては、白金の装填量は約0.5重量%〜約1重量%であり、銅の装填量は約2.5重量%〜約5重量%である。具体的には、シリカ上の1/1、1/5、0.5/0.5、及び0.5/2.5重量%の白金/銅の装填レベルを用いることができる。
【0054】
本発明の他の態様においては、触媒担体が高純度で低表面積のシリカであり、これに白金及び銅又はパラジウム及びコバルトが2元金属装填されている水素化触媒が更に提供される。本発明のこの形態においては、白金又はパラジウムの装填量は約0.5重量%〜約1重量%であり、銅又はコバルトの装填量は約0.1重量%〜約5重量%である。具体的には、高純度で低表面積のシリカ上の1/1、1/5、0.5/0.5、及び0.5/2.5重量%の白金/銅又はパラジウム/コバルトの装填レベルを用いることができる。本発明のこの形態における他の好ましい担体としては、H−ZSM−5、黒鉛化炭素、ジルコニア、チタニア、酸化鉄、シリカ−アルミナ、及びケイ酸カルシウムが挙げられる。
【0055】
本発明の他の態様においては、2元金属触媒が、シリカ、ジルコニア、黒鉛化炭素、H−ZSM−5、チタニア−シリカ、及びジルコニア−シリカ上に担持されている銅及びクロムである水素化触媒が更に提供される。本発明のこの形態においては、銅及びクロムの装填レベルはそれぞれ約3重量%〜約10重量%である。具体的には、上記の任意の触媒担体上のそれぞれ5重量%の銅/クロムの装填レベルが好ましい。
【0056】
一般に、本発明の実施によって、酢酸を非常に高い割合で酢酸エチルに選択的に転化させることができる。酢酸エチルへの選択率は一般に非常に高く、少なくとも60%とすることができる。好ましい反応条件下においては、酢酸は、85又は87.5%より大きい選択率、又はより好ましくは90%以上の選択率で酢酸エチルに選択的に転化する。より好ましくは、酢酸エチル選択率は少なくとも95%である。
【0057】
本発明の触媒を用いる酢酸の転化率は少なくとも20%であり、70%以下とすることができ、酢酸エチルへの選択率は少なくとも60%、好ましくは80%、最も好ましくは95%である。
【0058】
一般に、本発明の活性触媒は、ここで記載する単一金属又は2元金属触媒である。より具体的には、1重量%の白金装填量及び5重量%の銅装填量を有するシリカ上に担持されている白金及び銅を含む2元金属触媒が好ましい。本発明の実施によれば、この触媒を用いて、酢酸を約70%の転化率及び少なくとも80%の酢酸エチル選択率で転化させることができ、より好ましくは少なくとも90%の酢酸エチルへの選択率を達成することができる。
【0059】
担体としてジルコニア、黒鉛、又はチタニアを用い、それぞれ1重量%及び5重量%の白金及び銅の装填量で、同等の転化率及び選択率が達成される。上述のように、パラジウム又は白金と組み合わせて他の促進剤金属を用いることもできる。
【0060】
本発明の他の形態においては、触媒担体としてシリカ又はH−ZSM−5の上の1重量%のパラジウム装填量及び5重量%のコバルト装填量を用いて、少なくとも25%のオーダーの高レベルの転化率、及び少なくとも約90%の酢酸エチルへの高い選択率を得ることもできる。本発明のこの形態において、他の好ましい触媒担体としては、黒鉛化炭素、チタニア、ジルコニア、酸化鉄、シリカ−アルミナ、及びケイ酸カルシウムが挙げられる。
【0061】
本発明方法の他の形態においては、水素化は、触媒床を横切る圧力損失を克服するのに丁度十分な圧力において行う。
反応は、気体状態又は液体状態において、広範囲の条件下で行うことができる。好ましくは、反応は気相中で行う。例えば約200℃〜約300℃、好ましくは約225℃〜約275℃の範囲の反応温度を用いることができる。圧力は一般に反応に対して重要ではなく、大気圧以下、大気圧、又は大気圧以上の圧力を用いることができる。しかしながら、殆どの場合においては、反応圧は約5〜30絶対気圧の範囲であり、最も好ましくは反応区域の圧力は約8〜20絶対気圧の範囲である。
【0062】
反応は、1モルの酢酸エチルを製造するために酢酸1モルあたり1モルの水素を消費するが、供給流中の酢酸と水素との実際のモル比は広範囲の限界値の間、例えば約100:1〜1:100の間で変化させることができる。しかしながら、この比は約1:20〜1:2の範囲であることが好ましい。より好ましくは、酢酸と水素とのモル比は約1:5である。
【0063】
本発明方法に関して用いられる原材料は、天然ガス、石油、石炭、バイオマスなどの任意の好適な源から誘導することができる。メタノールのカルボニル化、アセトアルデヒドの酸化、エチレンの酸化、酸化発酵、及び嫌気発酵などによって酢酸を製造することは周知である。石油及び天然ガスはより高価になってきているので、代替の炭素源から酢酸並びにメタノール及び一酸化炭素のような中間体を製造する方法により興味が持たれている。任意の好適な炭素源から誘導することができる合成ガス(シンガス)からの酢酸の製造が特に興味深い。例えば、Vidalinの米国特許6,232,352(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)においては、酢酸を製造するためにメタノールプラントを改造する方法が教示されている。メタノールプラントを改造することによって、新しい酢酸プラントのためのCO製造に関連する大きな設備コストが大きく減少するか又は大きく排除される。シンガスの全部又は一部をメタノール合成ループから迂回させ、分離器ユニットに供給してCO及び水素を回収し、これを次に酢酸を製造するために用いる。酢酸に加えて、このプロセスを用いて本発明に関して用いられる水素を製造することもできる。
【0064】
Steinbergらの米国特許RE35,377(これも参照として本明細書中に包含する)においては、石油、石炭、天然ガス、及びバイオマス材料のような炭素質材料を転化させることによってメタノールを製造する方法が与えられている。このプロセスは、固体及び/又は液体の炭素質材料を水素添加ガス化してプロセスガスを得て、これを更なる天然ガスで蒸気熱分解して合成ガスを生成することを含む。シンガスをメタノールに転化させ、これを酢酸にカルボニル化することができる。この方法では更に、上述のように本発明に関して用いることができる水素が生成する。Gradyらの米国特許5,821,111(ガス化によって廃バイオマスを合成ガスに転化させる方法が開示されている)、及びKindigらの米国特許6,685,754(これらの開示事項は参照として本明細書中に包含する)も参照。
【0065】
酢酸は、反応温度において気化させて、次に、非希釈状態か、或いは窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などのような比較的不活性のキャリアガスで希釈して、水素と一緒に供給することができる。
【0066】
或いは、Scatesらの米国特許6,657,078(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)に記載されている種類のメタノールカルボニル化ユニットのフラッシュ容器からの粗生成物として、蒸気形態の酢酸を直接回収することができる。粗蒸気生成物は、酢酸及び軽質留分を凝縮するか、又は水を除去する必要なしに本発明の反応区域に直接供給することができ、これによって全体の処理コストが節約される。
【0067】
接触又は滞留時間も、酢酸の量、触媒、反応器、温度、及び圧力のような変数によって広範囲に変化させることができる。通常の接触時間は、固定床以外の触媒系を用いる場合には1秒以下乃至数時間超の範囲であり、好ましい接触時間は、少なくとも気相反応に関しては約0.5〜100秒の間である。
【0068】
通常は、触媒は、例えば、通常は蒸気形態の反応物質が触媒の上又は触媒を通して通過する細長いパイプ又はチューブの形状の固定床反応器内で用いる。所望の場合には、流動床又は沸騰床反応器のような他の反応器を用いることができる。幾つかの場合においては、水素化触媒を不活性材料と組み合わせて用いて、圧力損失、流動性、熱平衡、又は触媒床における他のプロセスパラメーター、例えば反応物質化合物と触媒粒子との接触時間を調節することが有利である。
【0069】
1つの好ましい態様においては、酢酸及び水素を含む供給流を、昇温温度において、好適な触媒担体上の約0.5重量%〜約1重量%の白金又はパラジウム及び約2.5重量%〜約5重量%の銅又はコバルトを含む好適な水素化触媒と接触させることを含む、酢酸から酢酸エチルを選択的且つ直接に生成する方法も提供される。本発明のこの態様において好ましい触媒担体は、シリカ又はH−ZSM−5のいずれかである。
【0070】
本発明方法のこの態様においては、好ましい水素化触媒は、約1重量%の白金及び約5重量%の銅、又は約1重量%のパラジウム及び約5重量%のコバルトを含む。本発明方法のこの態様においては、水素化触媒を固定床内で層状にして、反応を、気相中において、約1:20〜1:5のモル範囲の酢酸及び水素の供給流を用い、約225℃〜275℃の範囲の温度、及び約8〜20絶対気圧の範囲の反応区域の圧力で行い、反応物質の接触時間を約0.5〜約100秒の範囲にすることが好ましい。
【実施例】
【0071】
以下の実施例によって、その後に続く実施例において用いる種々の触媒を製造するために用いる手順を記載する。
実施例A
高純度低表面積シリカ上1重量%白金/5重量%銅の製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度低表面積シリカ(94g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(16mL)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。このカ焼し冷却した材料に、蒸留水(19mL)中の硝酸銅3水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。
【0072】
実施例B
高純度低表面積シリカ上の1重量%パラジウム/5重量%コバルトの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度低表面積シリカ(94g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(22mL)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。このカ焼し冷却した材料に、蒸留水(25mL)中の硝酸コバルト6水和物(24.7g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。
【0073】
実施例C
H−ZSM−5上1重量%パラジウム/5重量%コバルトの製造:
触媒担体としてH−ZSM−5を用いた他は、実施例Bの手順を実質的に繰り返した。
【0074】
実施例D
高純度低表面積シリカ上5重量%銅/5重量%クロムの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度低表面積シリカ(90g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(19mL)中の硝酸銅3水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。このカ焼し冷却した材料に、蒸留水(65mL)中の硝酸クロム9水和物(Alfa Aesar)(32.5g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。
【0075】
実施例E
高純度低表面積シリカ上5重量%炭化モリブデン(MoC)の製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度低表面積シリカ(95g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(63mL)中の7モリブデン酸アンモニウム6水和物(Sigma)(9.5g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。これによってシリカ上の酸化モリブデンが得られる。次に、これを500℃のメタン流中で処理して、表記触媒を与えた。
【0076】
実施例F
チタニア上1重量%白金/5重量%モリブデンの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別したチタニア(94g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(16mL)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。このカ焼し冷却した材料に、蒸留水(63mL)中の7モリブデン酸アンモニウム6水和物(Sigma)(9.5g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。
【0077】
実施例G
高純度低表面積シリカ上1重量%パラジウムの製造:
約0.2mmの均一な粒径分布の粉末化し篩別した高純度低表面積シリカ(99g)を、オーブン内、窒素雰囲気下で120℃において一晩乾燥し、次に室温に冷却した。これに、蒸留水(22mL)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液を加えた。得られたスラリーを、オーブン内で110℃に徐々に加熱(>2時間、10℃/分)して乾燥した。次に、含浸した触媒混合物を500℃においてカ焼した(6時間、1℃/分)。
【0078】
実施例H
H−ZSM−5上1重量%パラジウム/5重量%モリブデンの製造:
蒸留水(22mL)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(65mL)中の7モリブデン酸アンモニウム6水和物(Sigma)(9.5g)の溶液、及び94gのH−ZSM−5を用いた他は、実施例Aの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まずモリブデン、次にパラジウムを順次含侵させた。
【0079】
実施例I
炭素上1重量%ニッケル/5重量%モリブデンの製造:
蒸留水(5mL)中の硝酸ニッケル6水和物(Alfa Aesar)(4.96g)の溶液、蒸留水(65mL)中の7モリブデン酸アンモニウム6水和物(Sigma)(9.5g)の溶液、及び94gの炭素を用いた他は、実施例Aの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まずモリブデン、次にニッケルを順次含侵させた。
【0080】
実施例J
チタニア上1重量%白金の製造:
蒸留水(16mL)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液、及び99gのチタニアを用いた他は、実施例Aの手順を実質的に繰り返した。
【0081】
実施例K
チタニア上1重量%パラジウム/5重量%レニウムの製造:
蒸留水(22mL)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(14mL)中の過レニウム酸(7g)の溶液、及び94gのチタニアを用いた他は、実施例Aの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まずレニウム、次にパラジウムを順次含侵させた。
【0082】
実施例L
炭素上1重量%白金/5重量%モリブデンの製造:
94gの炭素を用いた他は、実施例Fの手順を実質的に繰り返した。
【0083】
実施例M
シリカ上1重量%パラジウム/5重量%ジルコニウムの製造:
蒸留水(22mL)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(100mL)中の硝酸ジルコニウム5水和物(23.5g)の溶液、及び94gのシリカを用いた他は、実施例Aの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まずジルコニウム、次にパラジウムを順次含侵させた。
【0084】
実施例N
チタニア上1重量%白金/5重量%銅の製造:
94gのチタニアを用いた他は、実施例Aの手順を実質的に繰り返した。
【0085】
実施例O
チタニア上1重量%ニッケル/5重量%レニウムの製造:
蒸留水(5mL)中の硝酸ニッケル6水和物(Alfa Aesar)(4.96g)の溶液、蒸留水(14mL)中の過レニウム酸(7g)の溶液、及び94gのチタニアを用いた他は、実施例Aの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まずレニウム、次にニッケルを順次含侵させた。
【0086】
実施例P
シリカ上1重量%白金/5重量%モリブデンの製造:
94gのシリカを用いた他は、実施例Fの手順を実質的に繰り返した。
【0087】
実施例Q
シリカ上1重量%パラジウム/5重量%モリブデンの製造:
94gのシリカを用いた他は、実施例Hの手順を実質的に繰り返した。
【0088】
実施例R
シリカ上5重量%銅/5重量%ジルコニウムの製造:
蒸留水(19mL)中の硝酸銅3水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液、蒸留水(100mL)中の硝酸ジルコニウム5水和物(23.5g)の溶液、及び94gのシリカを用いた他は、実施例Aの手順を実質的に繰り返した。触媒に、まず銅、次にジルコニウムを順次含侵させた。
【0089】
生成物のガスクロマトグラフィー(GC)分析:
オンラインGCによって生成物の分析を行った。1つの炎イオン化検出器(FID)及び2つの熱伝導度型検出器(TCD)を備えた3チャンネルの小型GCを用いて、反応物質及び生成物を分析した。フロントチャンネルには、FID及びCP-Sil 5(20m)+WaxFFap(5m)カラムを取り付け、これを用いて
アセトアルデヒド;
エタノール;
アセトン;
酢酸メチル;
酢酸ビニル;
酢酸エチル;
酢酸;
エチレングリコールジアセテート;
エチレングリコール;
エチリデンジアセテート;
パラアルデヒド;
を定量した。
【0090】
ミドルチャンネルには、TCD及びPorabond Qカラムを取り付け、これを用いて
CO
エチレン;
エタン;
を定量した。
【0091】
バックチャンネルには、TCD及びMolsieve 5Aカラムを取り付け、これを用いて
ヘリウム;
水素;
窒素;
メタン;
一酸化炭素;
を定量した。
【0092】
反応の前に、個々の化合物をスパイクすることによって異なる成分の保持時間を求め、公知の組成の較正用ガス又は公知の組成の液体溶液のいずれかを用いてGCを較正した。これによって、種々の成分に関する応答係数を決定することができた。
【0093】
実施例1
用いた触媒は、実施例Aの手順にしたがって製造したシリカ上1重量%白金/5重量%銅であった。
【0094】
30mmの内径を有し、制御された温度に昇温することができるステンレススチール製の管状反応器内に、50mLのシリカ上1重量%白金/5重量%銅を配置した。充填後の触媒床の長さは約70mmであった。反応の前に、2℃/分の速度で400℃の最終温度に加熱することによって、触媒をその場で還元した。次に、窒素中5モル%の水素を、7500hr−1の気体時間空間速度(GHSV)で触媒室に導入した。還元の後、窒素中5モル%の水素の気体流を継続することによって、触媒を275℃の反応温度に冷却した。反応温度が275℃で安定したら、以下のようにして酢酸の水素化を開始した。
【0095】
供給液は実質的に酢酸から構成されていた。反応供給液を蒸発させ、水素及びキャリアガスとしてヘリウムと一緒に、約1250hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)で、約275℃の温度及び15barの圧力において反応器に充填した。得られた供給流は、約4.4モル%〜約13.8モル%の酢酸、及び約14モル%〜約77モル%の水素を含んでいた。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。37%の酢酸の転化率において、酢酸エチルへの選択率は88.5%であった。
【0096】
実施例2
用いた触媒は、実施例Bの手順にしたがって製造したシリカ上1重量%パラジウム/5重量%コバルトであった。
【0097】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び8barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は26%であり、酢酸エチル選択率は91%であった。
【0098】
実施例3
用いた触媒は、実施例Cの手順にしたがって製造したH−ZSM−5上1重量%パラジウム/5重量%コバルトであった。
【0099】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は18%であり、酢酸エチル選択率は93%であった。
【0100】
実施例4
用いた触媒は、実施例Cの手順にしたがって製造したH−ZSM−5上1重量%パラジウム/5重量%コバルトであった。
【0101】
10,000hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び1barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は6%であり、酢酸エチル選択率は96%であった。生成された他の生成物は、エタン(1.8%)及びエタノール(0.3%)であった。
【0102】
実施例5
用いた触媒は、実施例Hの手順にしたがって製造したH−ZSM−5上1重量%パラジウム/5重量%モリブデンであった。
【0103】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は18%であり、酢酸エチル選択率は93%であった。生成された他の生成物は、エタン(4.3%)及びエタノール(0.2%)であった。
【0104】
実施例6
用いた触媒は、実施例Iの手順にしたがって製造した炭素上1重量%ニッケル/5重量%モリブデンであった。
【0105】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は6%であり、酢酸エチル選択率は88%であった。生成された他の生成物は、エタン(3.3%)及びエタノール(4.9%)であった。
【0106】
実施例7
用いた触媒は、実施例Jの手順にしたがって製造したチタニア上1重量%白金であった。
【0107】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は41%であり、酢酸エチル選択率は88%であった。生成された他の生成物は、エタン(4.8%)及びメタン(1.7%)であった。
【0108】
実施例8
用いた触媒は実施例7において用いたものと同じ触媒であり、これをこの実施例8において再び用いた。
【0109】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は41%であり、酢酸エチル選択率は87%であった。生成された他の生成物は、エタン(5%)及びメタン(1.7%)であった。
【0110】
実施例9
用いた触媒は、実施例Kの手順にしたがって製造したチタニア上1重量%パラジウム/5重量%レニウムであった。
【0111】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は61%であり、酢酸エチル選択率は87%であった。生成された他の生成物は、エタノール(11%)及びアセトアルデヒド(1.3%)であった。
【0112】
実施例10A
用いた触媒は、実施例Lの手順にしたがって製造した炭素上1重量%白金/5重量%モリブデンであった。
【0113】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は15%であり、酢酸エチル選択率は85%であった。生成された他の生成物は、エタン(7.1%)及びエタノール(5.2%)であった。
【0114】
実施例10B
用いた触媒は、実施例Mの手順にしたがって製造したシリカ上1重量%パラジウム/5重量%ジルコニウムであった。
【0115】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は8.3%であり、酢酸エチル選択率は84%であった。生成された他の生成物は、メタン(7.9%)及びエタン(1%)であった。
【0116】
実施例10C
用いた触媒は、実施例Nの手順にしたがって製造したチタニア上1重量%白金/5重量%銅であった。
【0117】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は10%であり、酢酸エチル選択率は84%であった。生成された他の生成物は、アセトン(8.4%)及びアセトアルデヒド(7.1%)であった。
【0118】
実施例10D
用いた触媒は、実施例Oの手順にしたがって製造したチタニア1重量%ニッケル/5重量%レニウムであった。
【0119】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は16.2%であり、酢酸エチル選択率は83%であった。生成された他の生成物は、エタノール(10.4%)及びエタン(2%)であった。
【0120】
実施例10E
用いた触媒は、実施例Pの手順にしたがって製造したシリカ上1重量%白金/5重量%モリブデンであった。
【0121】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は14.3%であり、酢酸エチル選択率は82.4%であった。生成された他の生成物は、エタン(6.6%)及びエタノール(5.7%)であった。
【0122】
実施例10F
用いた触媒は、実施例Qの手順にしたがって製造したシリカ上1重量%パラジウム/5重量%モリブデンであった。
【0123】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は9.8%であり、酢酸エチル選択率は82%であった。生成された他の生成物は、エタノール(8.3%)及びエタン(3.5%)であった。
【0124】
実施例10G
用いた触媒は、実施例Rの手順にしたがって製造したシリカ上5重量%銅/5重量%ジルコニウムであった。
【0125】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流(酢酸に対するHのモル比=5)を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は2.2%であり、酢酸エチル選択率は81.4%であった。生成された他の生成物は、エタン(3.3%)及びアセトアルデヒド(10%)であった。
【0126】
実施例10H
用いた触媒は、実施例Dの手順にしたがって製造したシリカ上5重量%銅/5重量%クロムであった。
【0127】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は25%であり、酢酸エチル選択率は約75%であった。
【0128】
実施例10I
用いた触媒は、実施例Eの手順にしたがって製造した高純度低表面積シリカ上5重量%炭化モリブデン(MoC)であった。
【0129】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は25%であり、酢酸エチル選択率は75%であった。
【0130】
実施例10J
用いた触媒は、実施例Fの手順にしたがって製造したチタニア上1重量%白金/5重量%モリブデンであった。
【0131】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は約50%であり、酢酸エチル選択率は85%であった。
【0132】
実施例10K
用いた触媒は、実施例Gの手順にしたがって製造したシリカ上1重量%パラジウムであった。
【0133】
2,500hr−1の平均合計気体時間空間速度(GHSV)の気化酢酸及び水素の供給流を用いて、250℃の温度及び15barの圧力において、実施例1に示す手順を実質的に繰り返した。蒸気流出流の一部を、流出流の内容物の分析のためにガスクロマトグラフに通した。酢酸の転化率は約65%であり、酢酸エチル選択率は85%であった。
【0134】
特定の例に関して本発明を示したが、本発明の精神及び範囲内のこれらの例に対する修正は当業者には容易に明らかとなるであろう。上述の議論、当該技術における関連する知識、並びに背景技術及び詳細な説明に関連して上記で議論した参考文献(その開示事項は全て参照として本明細書中に包含する)を考慮すると、更なる説明は不要であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸及び水素を含む供給流を、昇温温度において、好適な触媒担体上に担持されている、ニッケル、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種類の金属、並びにモリブデン、レニウム、ジルコニウム、銅、及びコバルトから選択される少なくとも1種類の金属を含み、但し白金は、モリブデン、レニウム、ジルコニウム、銅、又はコバルトを用いずに用いることができ、場合によってはルテニウム、イリジウム、クロム、スズ、タングステン、バナジウム、及び亜鉛からなる群から選択される1種類以上の更なる金属触媒を含む好適な水素化触媒と接触させることを含む、酢酸から酢酸エチルを選択的且つ直接に生成する方法。
【請求項2】
触媒担体が、H−ZSM−5、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭素、ジルコニア、チタニア、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒担体がシリカである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
触媒担体が高純度シリカである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
触媒担体がH−ZSM−5である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
触媒担体が炭素である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
触媒担体が黒鉛である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
触媒担体が高表面積の黒鉛化炭素である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
触媒担体が、約0.1〜1の範囲のPt/Cuの重量比の白金及び銅の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
白金の装填量が約0.5重量%であり、銅の装填量が約2.5重量%であり、触媒担体が、シリカ、黒鉛、シリカ−アルミナ、又はジルコニアである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
白金の装填量が約1重量%であり、銅の装填量が約5重量%であり、触媒担体が、シリカ、黒鉛、シリカ−アルミナ、又はジルコニアである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
触媒担体が、約0.1〜1の範囲のPd/Coの重量比のパラジウム及びコバルトの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
パラジウムの装填量が約1重量%であり、コバルトの装填量が約5重量%であり、触媒担体が、H−ZSM−5、シリカ、黒鉛、シリカ−アルミナ、ジルコニア、チタニア、又は酸化鉄である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
消費された酢酸を基準とする酢酸エチルへの選択率が少なくとも60%である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
消費された酢酸を基準とする酢酸エチルへの選択率が85%より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
消費された酢酸を基準とする酢酸エチルへの選択率が87.5%以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
消費された酢酸を基準とする酢酸エチルへの選択率が90%以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
酢酸エチルへの水素化を、気相中、約200℃〜300℃の範囲の温度において行う、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
酢酸エチルへの水素化を、気相中、約225℃〜275℃の範囲の温度において行う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
供給流が不活性キャリアガスを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
反応物質が約100:1〜1:100の範囲のモル比の酢酸及び水素から構成され、反応区域の温度が約200℃〜300℃の範囲であり、反応区域の圧力が約5〜25絶対気圧の範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
反応物質が約1:20〜1:2の範囲のモル比の酢酸及び水素から構成され、反応区域の温度が約225℃〜275℃の範囲であり、反応区域の圧力が約8〜20絶対気圧の範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
酢酸及び水素を含む供給流を、昇温温度において、好適な触媒担体上の約0.5重量%〜約1重量%の白金又はパラジウム及び2.5重量%〜約5重量%の銅又はコバルトを含む好適な水素化触媒と接触させることを含む、酢酸から酢酸エチルを選択的且つ直接に生成する方法。
【請求項24】
触媒担体が約1重量%の装填レベルの白金及び約5重量%の装填レベルの銅を含み、触媒担体がシリカである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
触媒担体が約1重量%の装填レベルのパラジウム及び約5重量%の装填レベルのコバルトを含み、触媒担体がシリカ又はH−ZSM−5である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
反応物質が約1:20〜1:5の範囲のモル比の酢酸及び水素から構成され、反応区域の温度が約225℃〜275℃の範囲であり、反応区域の圧力が約8〜20絶対気圧の範囲である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
触媒が、H−ZSM−5、シリカ、又は炭素上に担持されているニッケル/モリブデン(Ni/Mo)、パラジウム/モリブデン(Pd/Mo)、又は白金/モリブデン(Pt/Mo)の2元金属の組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
触媒が、炭素上に担持されている1重量%のニッケル及び5重量%のモリブデン(1重量%Ni/5重量%Mo)の2元金属の組み合わせである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
触媒が、H−ZSM−5又はシリカ上に担持されている1重量%のパラジウム及び5重量%のモリブデン(1重量%Pd/5重量%Mo)の2元金属の組み合わせである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
触媒が、シリカ又は炭素上に担持されている1重量%の白金及び5重量%のモリブデン(1重量%Pt/5重量%Mo)の2元金属の組み合わせである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
触媒がチタニア上に担持されている1重量%の白金である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
触媒が、チタニア上に担持されているニッケル/レニウム(Ni/Re)又はパラジウム/レニウムの2元金属の組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
触媒が、チタニア上に担持されている1重量%のニッケル及び5重量%のレニウム(1重量%Ni/5重量%Re)の2元金属の組み合わせである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
触媒が、チタニア上に担持されている1重量%のパラジウム及び5重量%のレニウム(1重量%Pd/5重量%Re)の2元金属の組み合わせである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
酢酸及び水素を含む供給流を、昇温温度において、好適な触媒担体上の、約0.5重量%〜約1重量%のパラジウム及び2.5重量%〜約5重量%のレニウムを含む好適な水素化触媒と接触させることを含む、酢酸から酢酸エチルを選択的且つ直接に生成する方法。
【請求項36】
触媒担体が約1重量%の装填レベルのパラジウム及び約5重量%の装填レベルのレニウムを含み、触媒担体がチタニアである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
反応物質が約1:10〜1:5の範囲のモル比の酢酸及び水素から構成され、反応区域の温度が約225℃〜275℃の範囲であり、反応区域の圧力が約10〜20絶対気圧の範囲である、請求項35に記載の方法。

【公表番号】特表2011−529493(P2011−529493A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521092(P2011−521092)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/004186
【国際公開番号】WO2010/014145
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(500175107)セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション (77)
【Fターム(参考)】