説明

二次電池装置及び車両

【課題】電圧・温度監視装置から電池管理装置へ送信された測定データの正確性を判断できるようにする。
【解決手段】この発明は組電池モジュールには、複数のセルの各セル電圧データを得る電圧検出部と、前記各セル電圧データを合計した発信側総和データを得る加算部と、前記各セル電圧データ及び前記発信側総和データを出力する通信部が設けられ、電池管理装置には、前記通信部からの前記各セル電圧データを合計し受信側総和データを得る総和データ計算部と、前記通信部からの前記発信側総和データと前記受信側総和データとを比較し、一致するか否かを判定し、一致判定を得たとき、正常報告信号を出力する報告部と、不一致判定を得たとき、前記電圧検出部の各セル電圧データと前記加算部の前記発信側総和データを再読み取り指示する再読み取り指令部を具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は二次電池装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、電池装置を搭載した有人車両、また無人車両が使用されるようになってきている。使用されている電池装置には、鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池(LiB)が採用されている。二次電池装置を搭載した車両は、排気ガスが無く、環境保全に有効であるからである。
【0003】
二次電池装置は、複数の電池(セル)を直列接続した組電池と各電池の状態を監視する監視装置を一体化した、組電池モジュールを有する。二次電池装置として車両に搭載されるときは、さらに複数の組電池モジュールが直列接続された状態で搭載され、要求される電圧を得られるようになっている。複数の組電池モジュールを組み合わせて使用するようにしたのは、電池交換、搬送作業などのとき、小さいモジュール単位として取り扱いを容易にしたためである。
【0004】
車両の電源装置として、特許文献1がある。この文献には、電池装置の全体ブロックが開示され、電源ラインが遮断したときなどの故障対策が工夫されている。
【0005】
不均等となったエネルギーを均等化する方法として、抵抗放電方法(特許文献2)が知られている。また、どの二次電池を放電するかを決める方法として、電池間の電圧差を検出し、この電圧差に基づいて放電すべき二次電池を決める方法(特許文献3)、また電池間のSOC(State Of Charge)差を検出し、このSOC差に基づいて放電すべき二次電池を決める方法(特許文献4)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−193757号公報
【特許文献2】特開平11−150877号公報
【特許文献3】特開2001−218376号公報
【特許文献4】特開2003−219572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種の電池装置には電池管理系統が設けられている。電池管理系統は、電池交換を行うために電池の劣化状態を適切に把握し、また、充電を行うために電池の残容量などを適切に把握する必要がある。
【0008】
そのために電池装置を構成する複数の組電池モジュール内の電圧・温度監視装置からセル電圧データなどの情報がマイクロプロセッサに送信されてくる。マイクロプロセッサは、各電圧・温度監視装置からのセル電圧データをデータ処理し、電池の残容量を把握することができる。
【0009】
しかし、故障や外来ノイズの影響を考慮すれば複数の電圧・温度監視装置から送信されてくるセル電圧データが常に正しいものではない。
【0010】
また従来の装置においては、ノイズ対策、あるいは故障対策の面でさらに不十分な点があり、測定データの正確性の向上が要望されている。
【0011】
車両に搭載された電池装置では、その測定した電圧データが昇電圧を得るインバータなどから放出されるノイズの影響を受けることがある。電圧データがノイズにより改変され高い残量を示すと充電が十分に行われないことになる。逆に電圧データがノイズにより改変され低い残量を示すと過充電状態になる。
【0012】
そこでこの発明は、電圧・温度監視装置から電池管理装置へ送信された測定データの正確性を判断できる機能を設け、安全な電池管理を行えるようにした電池装置及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、直列接続された複数のセルと、前記複数のセルの各セル電圧データを得る電圧検出部と、前記各セル電圧データを合計した発信側総和データを得る加算部及び前記各セル電圧データ及び前記発信側総和データを出力する通信部を有した組電池モジュールと、前記通信部からの前記各セル電圧データを合計し受信側総和データを得る総和データ計算部と、前記通信部からの前記発信側総和データを取得する総和データ取得部と、取得した前記発信側総和データと前記受信側総和データとを比較し、一致するか否かを判定する一致判定部と、前記一致判定部が一致判定を得たとき、正常報告信号を出力する報告部及び前記一致判定部が不一致判定を得たとき、前記電圧検出部の各セル電圧データと前記加算部の前記発信側総和データの再読み取りを指示する再読み取り指令部を有する電池管理装置を具備した二次電池装置を提供する。
【0014】
また本発明はこの二次電池装置が駆動系を動作させるエネルギーの貯留部として搭載された車両を提供する。
【発明の効果】
【0015】
上記の手段により、信頼性が高く安定した動作を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施例による電池装置の車両搭載例を示す図である。
【図2】図1の組電池モジュールの内部構成例を示す図である。
【図3】組電池モジュール内の温度検出装置の基本的な構成例を示す図である。
【図4】組電池モジュール内の電池電圧検出部及び均等化処理部の基本的な構成例を示す図である。
【図5】図1の電池管理装置(BMU)の構成例を示す図である。
【図6】図5の電池管理装置(BMU)内の電力供給管理装置の構成例を示す図である。
【図7】この発明に係る二次電池装置におけるノイズ対策機能の構成例を示す図である。
【図8】この発明に係る二次電池装置における動作チェック用信号(アラート信号)の処理系統例を示す図である。
【図9】この発明に係る二次電池装置におけるシャットダウン信号経路の例を示す図である。
【図10】図8のアラート信号の処理系統のアラート信号検出部の構成例を示す図である。
【図11】図10のアラート信号検出部の各部信号波形例を示す図である。
【図12】図10のアラート信号検出部の論理回路の内部の構成例を示す図である。
【図13】図12のアラート信号検出部の各部信号波形例を示す図である。
【図14】上記したノイズ対策機能とアラート信号の処理系統の動作タイミングを説明するタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1はこの発明の一実施例による電池装置が車両100に搭載された例を説明する。但し、図1は車両100、車両100への電池装置の搭載個所、及び車両100の駆動モータなどは概略的に示している。
【0018】
電池装置は、複数の組電池モジュール101(1)、101(2)・・・・101(4)が直列接続されている。組電池モジュール101(1)、101(2)・・・・101(4)は、それぞれ独立して取り離すことが可能であり、別の組電池モジュールと交換することができる。
【0019】
電池装置の下位側(電圧が低い方を下位と称する)の組電池モジュール101(1)の負極端子には、接続ライン31の一方の端子が接続されている。この接続ライン31は、後述する電池管理装置60内の電流検出部を介してインバータ40の負極入力端子に接続されている。また電池装置の上位側(電圧が高い方を上位と称する)の組電池モジュール101(4)の正極端子には、接続ライン32の一方の端子が、スイッチ装置33を介して接続されている。接続ライン32の他方の端子は、インバータ40の正極入力端子に接続されている。スイッチ装置33は、電池への充電が行われるときにオンするプリチャージスイッチ、電池出力が負荷へ供給されるときにオンするメインスイッチを含む。
【0020】
インバータ40は、入力した直流電圧をモータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。このインバータ40は、また後述する電池管理装置60あるは車両全体動作を制御するための電気制御装置71からの制御信号に基づいて、出力電圧が制御される。インバータ40の3相の出力端子は、モータ45の各3相の入力端子に接続されている。
【0021】
組電池モジュール101(1)、101(2)・・・・101(4)は、それぞれ、組電池11,12、13、14と電圧・温度監視装置21、22、23、14を有する。
【0022】
電圧・温度監視装置21、22は互いの通信部を介して接続され双方向通信が可能であり、また電圧・温度監視装置23、24も互いの通信部を介して接続され双方向通信が可能である。電圧・温度監視装置21の下位側の情報入力出力端子は、コネクタ51を介して電圧管理装置60に接続されている。電圧・温度監視装置21の上位側の情報入力出力端子は、電圧・温度監視装置22の下位側の情報入力出力端子に接続されている。また電圧・温度監視装置23の下位側の情報入力出力端子は、コネクタ52を介して電圧管理装置60に接続されている。電圧・温度監視装置23の上位側の情報入力出力端子は、電圧・温度監視装置24の下位側の情報入力出力端子に接続されている。
【0023】
上記の例は、電圧・温度監視装置21、22の通信部が直列接続され、また電圧・温度監視装置23、24の通信経路が直列接続されたが、それぞれの電圧・温度監視装置21−24の通信部が独立して電圧管理装置60に接続されてもよい。
【0024】
電圧管理装置60には、独立した電圧管理装置用電源70が接続されている。また運転者などの操作入力に応答して車両全体の管理を行う上位制御装置71も接続されている。
【0025】
図2は電圧・温度監視装置21−24の機能ブロックを詳しく示している。電圧・温度監視装置21−24の機能ブロックは、同じであるために、電圧・温度監視装置21を代表してその機能ブロックを説明する。電圧・温度監視装置21は、先のコネクタ51に接続される下位側の通信部211と、電圧・温度監視装置22に接続される上位側の通信部212を含む。また電圧・温度監視装置21は、電圧検出部214、温度検出部214を含む。また電圧・温度監視装置21は、各セルの電圧を均等化するための均等化処理部215を含む。また電圧・温度監視装置21は、電圧・温度監視装置21の動作状態を出力する診断用信号回路216を含む。
【0026】
電圧検出部214は、組電池の各セルの端子間の電圧を検出する。検出されたセル電圧は、通信部を介して電圧管理部60に転送される。温度検出部214は、各セルまたは複数セルの近辺の温度を検出する。検出された温度データは、通信部を介して電圧管理部60に転送される。
【0027】
均等化処理部215は、次のような理由で設けられている。組電池装置では、二次電池の充放電や温度のばらつきなどにより、組み合わされたセル間のエネルギーが不均等となってくることが知られている。セル間のエネルギーが不均等となることにより、電池装置として機能を最大に発揮できるような効率のよい充放電を行うことができなくなってくる。均等化処理せずに残容量の高いセルが存在する状態で充電を行うと、残容量の低いセルが満充電状態にならないまま残容量の高いセルが早く満充電状態となり、全体充電が完了することがある。そこで、充電を行うに際して、均等化処理部215により、セル間のエネルギーを均等化処理する必要がある。
【0028】
診断用信号回路216は、電圧・温度監視装置21が正常に動作していることを示す動作チェック用信号(ここでは例えばアラート信号を利用している)を出力している。
【0029】
このアラート信号は、例えば16KHzの信号として、通信部の伝送経路とは独立したラインで独自に電池管理装置60へ送信される。アラート信号はこの発明では動作チェック用信号として利用される。
【0030】
アラート信号は、電圧・温度監視装置21がセル電圧を正常に測定しているかどうかを監視している。電圧・温度監視装置21は、クロックに基づいて、一定の周期でセル電圧を測定する。そして測定値を一定の周期のパルスで通信部へ転送している。このとき測定値を取得できたときを「1」取得できないときを「0」として前記一定の周期のパルス(2値化信号と称してもよい)が診断用回路にて生成され、これをアラート信号として利用する。このアラート信号が欠如したり停止した場合は、電圧・温度監視装置21がセル電圧を正常に測定していないことの判断材料とするとすることができる。
【0031】
また、電圧・温度監視装置21−24内にはそれぞれシーケンサを含む制御部が設けられており、データの送受信及びスイッチなどの動作タイミングが統括されている。また制御部は、電圧検出部213が測定した各セルの電圧の総和を求め通信部を介して電池管理部60へ転送する。なお前記アラート信号は、別の目的でも利用可能であり、例えば1つのセル電圧が3Vより小さいとは正常に出力されるが3V以上になると過充電防止を示すアラート信号として例えば制御部により停止される。
【0032】
図3は、温度検出装置の基本的な構成例を示す。直列に接続された複数のセル11(1)〜11(x)は、組電池11を構成している。各セル11(1)〜11(x)の正極端子と負極端子は、電圧検出部213に接続されている。電圧検出部13は、各セルの正極端子と負極端子間の端子間電圧を個別に測定する。また各セル11(1)〜11(x)の近傍に、温度センサT(a)〜T(x)が配置されている。各温度センサT(a)〜T(x)の出力端子は、温度検出部214に接続されている。温度検出部214は、各温度センサT(a)〜T(x)の出力をデータ化し、通信部に出力する。
【0033】
図4は、均等化処理部215を示している。複数のセル11(1)〜11(x)の負極端子と正極端子は、それぞれ、放電抵抗21r(1)〜21r(x+1)を介して電圧検出部213に接続されている。
【0034】
放電抵抗21r(1)と21r(2)の一方の端子はセル11(1)の負極端子と正極端子に接続され、他方の端子は放電スイッチSW(1)の一方と他方の端子に接続されている。放電抵抗21r(2)と21r(3)の一方の端子はセル11(2)の負極端子と正極子に接続され、他方の端子は放電スイッチSW(2)の一方と他方の端子に接続されている。同様に2つの組の放電抵抗は、対応するセルの負極端子と正極端子に接続され、他方の端子は対応する放電スイッチの一方と他方の端子に接続されている。
【0035】
放電抵抗21r(1)〜21r(x+1)と放電スイッチSW(1)〜SW(x+1)は、均等化回路21Aに含まれる。放電スイッチSW(1)〜SW(x+1)は、スイッチ制御回路21Bによりオンオフ制御される。
【0036】
電圧検出回路213は、各セル11(1)〜11(x)の端子間の電圧を検出する。検出された各セル電圧は、通信部を介して電池管理部60のエネルギー偏差算出部601に取り込まれる。また組電池11に流れている電流Iも電流検出回路602で検出されてエネルギー偏差算出部601に取り込まれる。
【0037】
エネルギー偏差算出部601は、個々のセルの充電量が求められたら、エネルギー偏差部601は、最も小さい充電量のセルと他の各セル間の充電量の差を求める。この差を用いて、放電時間換算部603は、最も小さい充電量と各セルの充電量とを同じにするために、各セルの放電時間を求める。この放電時間のデータは、スイッチ制御部21Bに設定される。
【0038】
スイッチ制御部21Bは、各セルに対応する放電スイッチSW(1)〜SW(x+1)を放電時間データに従ってオンオフ制御する。例えばセル11(1)が放電対象であるとすると、スイッチSW(1)がオンされる。これによりセル11(1)からの電流が抵抗21r(2)−21r(1)を介して流れ放電される。また例えばセル11(x+1)が放電対象であるとすると、スイッチSW(x−1)、SW(x−2)、SW(x−3)、・・・SW(1)がオンされる。これによりセル11(x+1)からの電流が抵抗21r(x+1)−21r(1)を介して流れ放電される。
【0039】
エネルギー均等化に必要な放電時間長は、放電抵抗の抵抗値を小さくして電流量を大きくすれば短縮できる。しかし電流量が大きいと、発熱量が大きくなるので、装置としては好ましくない。そこで放電抵抗の抵抗値は比較的大きな値が選択され、要求される均等化処理時間(1時間乃至数時間)とのトレードオフにより決められる。
【0040】
なお充電量ではなく、電池容量に対する充電量の割合、即ちSOCを用いて放電時間を求める場合もある。
【0041】
図5に電池管理装置60の全体ブロックを示して説明する。電池管理装置60と、組電池モジュール101(1)、101(3)は、コネクタ51、52を介して電気的に接続されている。両者の接続ラインとしては、双方向データライン、クロックライン、アラート信号ライン(本装置では動作チェック用信号ラインとしても機能する)、電源ライン、アースラインなどがある。
【0042】
電池管理装置60は、コネクタ51、52に接続されるインターフェース611、612を有する。電圧・温度監視装置21、22、23、24からは、それぞれ動作中を示す警戒(アラート)信号ALT1、ALT2、ALT3、ALT4が出力されており、それぞれのアラート信号ALT1、ALT2、ALT3、ALT4は、コネクタ51、52、インターフェース611、612を介して、アラート信号プロセッサ(ASP)614に入力される。アラート信号プロセッサ(ASP)614は、アラート信号ALT1、ALT2、ALT3、ALT3を監視することにより、各電圧・温度監視装置21、22、23、24が正常に動作しているかどうかを判定することができる。アラート信号プロセッサ614は、後述する動作チェック用信号を処理する動作チェック用信号判定装置と考えてよい。
【0043】
また電池管理装置60と組電池モジュール101(1)、101(2)、101(3)、101(4)の双方向通信のために、インターフェース611、612とマイクロプロセッサ(MPU)614の間は、ライン621、622で接続されている。このライン621、622を通じて行う通信規格としては、例えば双方向シリアル通信規格が採用されている。
【0044】
またマイクロプロセッサ615とインターフェース611、612間に接続されたライン623は、シャットダウン信号SHDNを各組電池モジュール101(1)、101(2)、101(3)、101(4)に与えるラインである。シャットダウン信号は、例えばマイクロプロセッサ615の論理的な動作により、電圧・温度監視装置21、22、23、24をシャットダウンするとき、また、マイクロプロセッサ621の電源電圧が所定値より低下したときなどに出力される。このシャットダウン信号SHDNは、通信部を含む通信経路を介して送信される。
【0045】
マイクロプロセッサ615には、先に説明した電流検出回路602も接続されている。またマイクロプロセッサ615には、電池装置の負極端子61Tの電圧情報が端子61INを介して入力され、電池装置の正極端子62Tの電圧情報が端子62INを介して入力されている。
【0046】
さらにまた、マイクロプロセッサ615とアラート信号プロセッサ614間には、ライン624、625が接続されている。これにより、マイクロプロセッサ615のアラート信号は、ライン624を介してアラート信号プロセッサ614に入力されて監視され、逆にアラート信号プロセッサ614のアラート信号は、ライン625を介してマイクロプロセッサ615に入力されて監視される。したがって、マイクロプロセッサ615とアラート信号プロセッサ614はお互いが正常動作しているかどうかを監視することができる。
【0047】
電力供給管理装置616は、電源ライン626を介して、インターフェース611、612及び電流検出回路602に電源電圧を供給している。また電力供給管理装置616は、電源ライン627を介して、マイクロプロセッサ615とアラート信号プロセッサ614に電源電圧(例えば5V)を供給している。
【0048】
電力供給管理装置616には、先のBMS用電源70から12ボルトの直流電源電圧がコネクタ80を介して供給されている。電力供給管理装置616は、DC−DCコンバータを有し、12ボルトの電源電圧を、アラート信号プロセッサ614及びマイクロプロセッサ615で使用する5ボルトの電源電圧に変換している。
【0049】
電力供給管理装置616は、上記動作状態を維持する機能と、定期的にタイマー617に設定された時間に応じて非動作状態と動作状態を繰り返す機能とがある。通常の車両運転状態においては、マイクロプロセッサ615からのオン制御信号がライン628を介して電力供給管理装置616に与えられる。しかし、例えば、車両が運転停止中には、電池管理装置60における消費電力を削減するために電源供給を止めることが好ましい。しかしながら、一方では、セルバランス、所謂均等化処理を実行するためには、電池管理装置60が動作状態に無ければならない。そこで定期的にタイマー617に設定された時間に応じて非動作状態と動作状態を繰り返すように構成されている。タイマー617は、マイクロプロセッサ615からライン631を通じてスタート信号を受け取り、一定時間のパルス計測を行い、計測終了信号を出力する。次に再度一定時間のパルス計測状態に移行し、この動作を繰り返す。マイクロプロセッサ615は、タイマー617の動作状態を監視し、電源供給状態を認識することができる。
【0050】
タイマー617は常時動作するように、電源70からの電力が供給されている。タイマー617の内部ラインを介してメモリ(EEPROM)618にも電源が供給されている。このメモリ(E2PROM)618には、マイクロプロセッサ615で使用するソフトウエアプログラム、パラメータのためのデータなどが格納されている。したがって、メモリ(E2PROM)618とマイクロプロセッサ615とは、ライン632を介して接続されている。
【0051】
マイクロプロセッサ615は、車両及び装置の起動を行うためのイグニッションキーが装着或いは離脱されたことを検出したとき、イグニッションメインスイッチをオン又はオフするためのイグニッションイグ制御信号をライン633を介してドライバ619に供給する。またマイクロプロセッサ615は、外部充電器が接続或いは離脱されたことを検出したとき、充電スイッチをオンまたはオフするための充電スイッチ制御信号をライン634を介してドライバ619に供給する。
【0052】
ドライバ619は、イグニッションイグ制御信号、充電スイッチ制御信号に応答して、電圧電流変換を行い、イグニッションメインスイッチSW1及び充電スイッチSW2の駆動コイル74、75に供給する。
【0053】
また、ドライバ619には、アラート信号プロセッサ614からのアラート信号も供給されている。アラート信号がシステム異常を示す場合、ドライバ619は、回路動作の暴走やセルへの過充電・過放電を防止するためにイグニッションメインスイッチSW1及び充電スイッチSW2をオフ状態に制御する。
【0054】
アラート信号は、異常時にはライン640、コネクタ81を車両の上位制御部(ECU)71にも伝送される。またマイクロプロセッサ615の正極性データ、負極性データは、ライン641、642、コネクタ81を介して上位制御部(ECU)71に送信される。データ内容としては、例えば、電池残量、電池寿命を知らせるデータ、電池管理状態(均等化処理中、スリープ中)を知らせるデータなどがある。またデバッグのためにデータもライン643を介してマイクロプロセッサ615から上位制御部(ECU)71に送信することができる。さらにまたライン644は、上位制御部(ECU)71からマイクロプロセッサ615に対してデータ要求などのコマンドを与えるラインである。ライン645は、アースラインである。
【0055】
図6に電力供給管理装置616の内部を示す。電力管理装置616のスイッチ6100には、電源70からの電力が供給される。このスイッチ6100は、オア回路6101の出力により、オンオフ制御される。スイッチ6100の出力は、DC−DCコンバータ6111に入力し電圧変換される。変換された電圧は、先に説明したインターフェース611、612、アラート信号プロセッサ614及びマイクロプロセッサ615などに供給される。
【0056】
オア回路6101には、ライン6102を介してマイクロプロセッサ615からのスイッチオンオフ制御信号が入力される。またオア回路6101には、ライン6103を介してイグニッションキーが装着或いは離脱されたことを示すイグニッションキー検出信号が入力される。またライン6104を介して、外部充電器が接続或いは離脱されたことを示す外部充電器検出信号が入力される。さらにまたタイマー617の例えばカウント終了パルスがライン6105を介して入力されている。
【0057】
上記の構成によりスイッチ6100は、マイクロプロセッサ615からのオンオフ制御信号が常時ハイレベルであれば、オン状態を持続する。またイグニッションスイッチ検出信号が、常時ハイレベルであってもオン状態を持続する。外部充電器検出信号が、常時ハイレベルであってもオン状態を持続する。
【0058】
いまライン6102、6103、6104がローレベルであるとする。そしてタイマー617が起動されたとする。すると、一定時間のサイクルで、タイマー出力がハイレベルとなる。このために、スイッチ6100は一定時間のサイクルでオンすることができる。電力を削減しつつ、一方では、均等化処理を実行するために定期的に電池管理装置60の動作状態を得ることができる。
【0059】
図7は、この発明に係る二次電池装置の特徴部を取り出して示している。電圧・温度監視装置21、22内の各電圧検出部213で測定されたた各セル電圧データと、各加算部213aで得られた各セル電圧データの総和データは、通信部211、コネクタ51を介して、インターフェース611に入力する。また電圧・温度監視装置23、24内の各電圧検出部213で測定されたた各セル電圧データと、各加算部213aで得られた各セル電圧データの総和データは、通信部211、コネクタ52を介して、インターフェース612に入力する。通信部211には、安全を考慮して,電圧・温度監視装置間 (組電池モジュール間) および 電圧・温度監視装置と電池管理装置の間の接地レベルを分離するために直流遮断部が含まれる。直流遮断部は例えば1次側のコイルと2次側のコイルで構成されるコイル結合回路、あるいは発光素子と受光素子を用いたフォト結合回路が採用されている。
【0060】
コネクタ51を介して、インターフェース611に入力された各セル電圧データV(1),V(2)・・・・V(x)と、各セル電圧データの総和データMVALL(発信側総和データと称する)は、インターフェース611に設けられている通信部6212を介して、マクロプロセッサ615のバッファ6311に一旦入力する。ここで各セル電圧データの総和データMVALLは、組電池を構成する各セルの電圧データを合計して求めたデータである。
【0061】
またコネクタ52を介して、インターフェース612に入力された各セル電圧データと、各セル電圧データの総和データは、インターフェース612に設けられている通信部6214を介して、マクロプロセッサ615のバッファ6311に一旦入力する。
【0062】
次に、それぞれの電圧・温度監視装置21、22、23、24で得られた各セル電圧データと総和データとは、それぞれセル電圧データ取得部6312と総和データ取得部6313に入力される。
【0063】
次に、総和データ計算部6314は、セル電圧データ取得部6312に入力された電圧・温度監視装置21からのセル電圧データV(1),V(2)・・・・V(x)の総和データSVALL(受信側総和データと称する)を得る。この受信側総和データSVALLと発信側総和データMVALLとは、一致判定部6315に入力され、一致するか否か判定される。両者が一致した場合は、データ伝送が正常に行われたことであり、一致判定信号が正常報告部6316に送られる。これにより、各セル電圧データは各種の計算や判定用(例えば先に説明したエネルギー偏差計算用)に使用される。
【0064】
受信側総和データと発信側総和データとが、一致しなかった場合は、一致判定部6315から再読み取り指令部6317に判定信号が与えられる。すると、再読み取り指令部6317は、前記電圧・温度監視装置21の各セル電圧データとその総和データとの読み取りコマンドを出力する。読み取りコマンドは、通信部を介して電圧・温度監視装置21に送られる。電圧・温度監視装置21は、読み取りコマンドに応答して、各セル電圧データとその総和データを再度出力する。
【0065】
電圧検出部213と加算部213aには、バッファがあり、次の測定が行われるまでは前回の各セル電圧データと、各セル電圧データの総和データを維持している。したがって、再読み取り指令部6317からの読み取りコマンドに応答して、再度各セル電圧データと、各セル電圧データの総和データを送信することができる。再送信された各セル電圧データと、総和データがマクロプロセッサ615に送られてくると、マイクロプロセッサ615では、受信側総和データと発信側総和データの比較が再度行われる。このとき両者が一致した場合は、データ伝送が正常に行われたことであり、一致判定信号が正常報告部6316に送られる。しかし、両者が一致しなかった場合は、再読み取り指令部6317は、前記電圧・温度監視装置21の各セル電圧データとその総和データとの読み取りコマンドを再度出力する。
【0066】
ここで、再読み取り回数のデータが、中止指令部6318において監視されている。中止指令部6318は、連続して再読み取り回数が所定回数(例えば5回)に到達すると、伝送系或いは測定系に問題があるものと判定し、再読み取りを中止するための再読み取り中止コマンドを出力する。またこの中止コマンドに応答して、マイクロプロセッサ615は警告信号を上位制御部71に出力するとともに、通信部を介してシャットダウン信号を電圧・温度監視装置21−24に与える。
【0067】
上記の説明は、電圧・温度監視装置21の各セル電圧データとその総和データとが正しくマイクロプロセッサ615へ伝送されているか否かを判断する例を説明した。これと同様に、他の電圧・温度監視装置22、23、及び24の各セル電圧データとその総和データに関しても、正しくマイクロプロセッサ615へ伝送されているか否かが判断される。このため、電圧・温度監視装置21、22、23及び24に関して受信側総和データSVALLと発信側総和データMVALLの一致不一致判定出力を、別々に得ることができる。よって、不一致出力が得られたときは、どの電圧・温度監視装置について、不一致出力が得られたのかを判断できる。この判断結果は、ヒストリー情報としてマイクロプロセッサ615で管理され、要求に応じて上位制御部71に転送される。
【0068】
これにより、マイクロプロセッサ615では、データ取得が正しく行われ、装置の動作信頼性を得ることができる。またデータ取得がノイズの影響を受け難くなり、データ取得の正確性を向上できる。
【0069】
なお電圧検出部213の内部に加算部213aが含まれるように記載しているが、両者は独立して設けられても良い。また電圧・温度監視装置22内の制御部が加算部を兼用していてもよい。
【0070】
図8には、アラート信号の処理系等を取り出して示している。電圧・温度監視装置21、22、23及び24では、それぞれアラート信号を生成している。このアラート信号は、たとえば発振器から出力されている動作クロックが診断用信号回路216により分岐されて16Hzのパルス信号として生成されている。電圧・温度監視装置21、22、23及び24内の例えば電圧検出部213、或いは均等化処理部215内には、制御部が設けられ、制御部は前記動作クロックを発生している。
【0071】
電圧・温度監視装置21、22からのアラート信号ALT1、ALT2は、コネクタ51、インターフェース611を介してアラート信号プロセッサ614に入力される。また電圧・温度監視装置23、24からのアラート信号ALT3、ALT4は、コネクタ521、インターフェース612を介してアラート信号プロセッサ614に入力される。アラート信号ALT1−ALT4は、先の通信経路とは独立した経路でアラート信号プロセッサ614に入力される。
【0072】
アラート信号プロセッサ614には、各アラート信号ALT1−ALT4に対応して、アラート信号検出部6411,6412,6413,6414が設けられている。またアラート信号検出部6420は、マルチプロセッサ615からのアラート信号ALT5を検出している。本発明ではアラート信号検出部と題しているが、動作チェック用信号検出部と称してもよい。
【0073】
アラート信号検出部6411,6412,6413,6414、6420はそれぞれ、16Hzのアラート信号が正常に入力されているときは、ハイレベル出力を得ることができ、各ハイレベル出力は、アンド回路6415に入力される。アンド回路6415は、全入力がハイレベルのときハイレベル出力を得て、タイマー6416に供給する。タイマー6416は、アンド回路6415の出力がハイレベルであるかぎり、ハイレベル出力を出力し、10Hz発振器6417の発振を持続させる。しかし、タイマー6416は、アンド回路6415の出力がローレベルとなり、例えば0.5秒以上継続した場合には、10Hz発振器6417の発振を停止させるローレベルを出力得る。
【0074】
これにより、アラート信号が異常となったときは、10Hz発振器6417の発振が停止し、この情報が異常発生情報としてマイクロプロセッサ615に伝達される。マイクロプロセッサ615は、異常発生情報を認識すると、システムのシャットダウン信号を出力する。シャットダウン信号は、図5に示したライン623を介してインターフェース611、612に入力される。インターフェース611、612内には、フリップフロップ回路が設けられており、シャットダウン信号により出力が反転し、組電池モジュールをオフするための出力を得る。また図5で示したように上位制御部71にも異常発生情報としてアラート信号が伝達される。
【0075】
図9に、インターフェース611内のシャットダウン信号の経路を取り出して示して説明する。インターフェース611内には、シャットダウン信号を転送するフリップフロップ回路6111が設けられている。フリップフロップ回路6111のQ出力端子は、コネクタ51を介して電圧・温度監視装置21のシャットダウン制御端子に接続される。フリップフロップ回路6111のセット入力端子Sには、信号I/F回路6116を介してシャットダウン解除信号が入力される。信号I/F回路6116は、絶縁回路であり、例えば一時側コイルと2次側コイルが電磁結合して信号を伝送する。このシャットダウン解除信号は、マイクロプロセッサ615から出力されている。信号I/F回路6116は、シャットダウン解除信号が入力すると、パルスを出力し、フリップフロップ回路6111をセットする。
【0076】
フリップフロップ回路6111のリセット入力端子Rには、フォトカプラ6117を介して、シャットダウン信号が入力される。
【0077】
フォトカプラ6117の入力端子には、モノマルチ回路6115の出力が接続されている。モノマルチ回路6115の一方の入力端子には、電源電圧低下検出回路6116の出力が供給されている。電源電圧低下検出回路6116は、電力供給管理装置616からの電源の12Vの電圧が低下したかどうかを検出する。電源電圧が予め設定しているレベル以下になると、その出力がローベルに変化し、モノマルチ回路6115はそのセット端子の立下りエッジに応答し、パルスを出力する。これにより、フォトカプラ6117から、フリップフロップ回路6111に対してリセットパルスが供給され、このフリップフロップ回路6111のQ出力がローレベルとなり、電圧・温度監視装置21のシャットダウンが得られる。またモノマルチ回路6115からパルスを得ようとする場合、そのリセット端子に対してマイクロプロセッサ615からシャットダウン信号を与えることもできる。
【0078】
なおモノマルチ回路6115には、端子6118、ダイオード6119、抵抗6112、を介して常時電源電圧が供給されている。抵抗6112、コンデンサ6113は平滑フィルタを形成している。
【0079】
またマイクロプロセッサ615は、異常発生情報を例えばデータライン643を介して上位制御部71に送信する。
【0080】
シャットダウン信号出力部6630は、マイクロプロセッサ615内あるいはこのアラート信号プロセッサ614に設けられていてもよい。
【0081】
上記のフリップフロップ回路6111の電源端子には、電圧・温度監視装置21からの電源がコネクタ51、ダイオード6112を介して供給され、また電力供給管理装置616からの電源も電源I/F回路6114、ダイオード6113を介して供給される。したがって、フリップフロップ回路6111は、2つの電源供給路を持ち、いずれか一方の電源がオフされても動作することができる。電源I/F回路6114も一次側コイルと二次側コイルを有するトランス回路である。
【0082】
図10にアラート信号検出部6411,6412,6413,6414、6420、アンド回路6415、タイマー6416、10Hz発振器6417を示し、特にアラート信号検出部6411の内部を代表して詳しく示して説明する。また図11には、各部の信号波形を示す。
【0083】
16Hzのパルスであるアラート信号ALT1は、信号A11(図11にも示す)としては、エッジ検出部6514に入力されるとともに、インバータ6501を介して反転アラート信号A12(図11にも示す)としてサンプル回路6511に入力される。またアラート信号A11は、サンプル回路6512に入力される。サンプル回路6511、6512は、400HzのクロックA13(図11にも示す)により、入力したアラート信号A11,A12をサンプルする。アラート信号A11,A12が正常であれば、いずれか一方のサンプル回路6511、6512の出力を合わせると、常に正のサンプル信号を得ることができる。アラート信号A11が正の期間は、サンプル回路6512から正のサンプル信号が出力され、アラート信号A11が負の期間は、サンプル回路6511から正のサンプル信号が出力されるからである。
【0084】
サンプル回路6511、6512の出力は、論理回路6513に入力され、サンプル信号の状態が監視され、アラート信号A11が正常であるか異常であるかの判定出力を得る。
【0085】
図12に上記の論理回路6513の構成例を示す。図13に各部の信号波形を示す。サンプル回路6511の出力とサンプル回路6512の出力は、同じ構成の回路で処理されるので、サンプル回路6511の出力の処理回路を詳細に示し、サンプル回路6512の出力の処理回路は、ブロック6620として示す。
【0086】
サンプル回路6511の出力は、カウンタ6611に入力されるとともに、インバータ6613を介してカウンタ6612に入力される。カウンタ6611と6612は、エッジ検出部6514からのエッジ検出パルスA14でリセットされる。エッジ検出パルスは、例えば、16Hzのアラート信号の立下りエッジを検出してパルスを出力している。
【0087】
カウンタ6611と6612のカウント出力は、比較器6614と比較器6614に入力される。比較器6614は、カウンタ6611のカウント出力が20以上を示すときハイレベル“H”を出力し、20に満たないときはローレベル“L”を出力する。比較器6614は、カウンタ6612のカウント出力が5以下を示すときハイレベル“H”を出力し、5を超えるときはローレベル“L”を出力する。
【0088】
カウンタ6611のカウント出力が20以上で、カウンタ6612のカウント出力が5以下のときは、信号A11が16Hzのパルスにほぼ近いことである。しかし、カウント出力が20に満たない、カウンタ6612のカウント出力が5以上となったときは、信号A11が無い、あるいは波形が乱れていることである。このときは、アンド回路6616からローレベルが出力される。
【0089】
上記と同様な動作がブロック6620内でも行われる。したがって、アンド回路616の出力と、ブロック6620内の同様なアンド回路の出力をアンド回路6617に入力し、このアンド回路6617の出力をアラート信号検出部6411の出力として用いる。
【0090】
ここで比較器6614と比較器6614に設定する比較値20と値5を変えれば、判定を厳しくすることもできるし、緩和することもできる。例えば比較値18と値7のように変えると、アラート信号にノイズが混入して波形がある程度乱れても正常検出を得ることが可能である。
【0091】
上記したセル電圧データの取得が正しく行われているかどうか、また、各電圧・温度監視装置21−24からそれぞれ正常なアラート信号が得られているかどうかのチェック処理は、例えばイグニッションスイッチ検出信号B11が得られたときに、マイクロプロセッサ615が起動する。図14にイグニッションスイッチ検出信号B11が得られた後の処理の例を示している。これは、車両が運転される前に各種信号状態をチェックし、事故に発展するのを未然に防ぐためである。イグニッションスイッチ検出信号B11が得られると、続く期間T1では図10で説明したセル電圧データのチェックが行われる。また同時に図11−図13で説明したアラート信号ALT1−ALT5が正しく得られているかどうかのチェックが行われる。次の期間T2では、チェック結果が出力される。装置が正常に動作している場合は、全体動作を許可する許可信号B12が得られ、異常の場合は、シャットダウン信号が得られる。許可信号B12は、上位制御装置71に送信される。上位制御装置71は許可信号B12を受け取ると、車両運転のための操作信号を受け付けるようになる。
【0092】
上記したように本発明によると、電圧・温度などを測定する監視装置から電池管理装置へ送信された測定データの正確性を判断できる機能を設け、安全な電池管理を行える。また簡単な構成で、複数の電圧・温度監視装置から送信されてくるセル電圧データが正しいものであるかどうかをチェックできる。このため誤って不正確なデータを読み取るような事態が防止される。
【0093】
なおこの発明は、上記した実施例は一例であり、この構成に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
【符号の説明】
【0094】
100・・・車両、101(1)−101(4)・・・組電池モジュール、11−14・・・組電池、21−24・・・電圧・温度監視装置、40・・・・インバータ、45・・・モータ、51、52、80,81・・・コネクタ、60・・・電圧管理装置、70・・・電圧管理装置用電源、71・・・上位制御装置、211、6212・・・通信部、213・・・電圧検出部、213a・・・加算部、216・・・診断回路、602・・・電流検出回路、611、612・・・インターフェース、614・・・アラート信号プロセッサ、615・・・マイクロプロセッサ、616・・・電力供給管理装置、617・・・タイマー、618・・・メモリ、619・・・ドライバ、6312・・・セル電圧データ取得部、6313・・・総和データ取得部、6314・・・総和データ計算部、6315・・・一致判定部、6314・・・正常報告部、6317・・・再読み取り指令部、6318・・・中止指令部、6411−6414、6420・・・アラート信号検出部、6415・・・アンド回路、6416・・・タイマー、6417・・・10Hz発振部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数のセルと、前記複数のセルの各セル電圧データを得る電圧検出部と、前記各セル電圧データを合計した発信側総和データを得る加算部及び前記各セル電圧データ及び前記発信側総和データを出力する通信部を有した組電池モジュールと、
前記通信部からの前記各セル電圧データを合計し受信側総和データを得る総和データ計算部と、前記通信部からの前記発信側総和データを取得する総和データ取得部と、取得した前記発信側総和データと前記受信側総和データとを比較し、一致するか否かを判定する一致判定部と、前記一致判定部が一致判定を得たとき、正常報告信号を出力する報告部及び前記一致判定部が不一致判定を得たとき、前記電圧検出部の各セル電圧データと前記加算部の前記発信側総和データの再読み取りを指示する再読み取り指令部を有する電池管理装置を具備したことを特徴とする二次電池装置。
【請求項2】
前記再読み取り指令部が行う再読み取り指示回数をカウントし、
前記カウント値が所定回数より少ないときは前記再読み取り指示を実行せしめ、前記カウント値が前記所定回数以上になると再読み取りの中止指令を出力する中止指令部をさらに有することを特徴とする請求項1記載の二次電池装置。
【請求項3】
前記電池管理装置には、前記報告部からの前記正常報告信号に応答して、前記各セル電圧データを用いて各セル間のエネルギー差を計算するエネルギー偏差算出部がさらに設けられていることを特徴とする請求項1記載の二次電池装置。
【請求項4】
前記各セル電圧データの取得、前記発信側総和データの取得、前記発信側総和データと前記受信側総和データとの比較は、前記組電池モジュールを搭載した装置を起動するためのイグニッションスイッチ検出信号が得られた直後に開始されることを特徴とする特徴とする請求項1記載の二次電池装置。
【請求項5】
請求項1乃至5記載のいずれかの二次電池を搭載したことを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−75457(P2011−75457A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228882(P2009−228882)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】