説明

二次電池

【課題】冷間鍛造加工によっても亀裂の発生の危険のないリベット状部材を用いた二次電池を提供する。
【解決手段】二次電池は、正極電極と負極電極とがセパレータを狭持しながら巻回された巻回体が収納されているケースの開口を密閉する封口板の中央部に中央に開いた貫通穴を相互に合わせて重ねられる絶縁性およびシール性を有したガスケット、その外側から重ねられるロアプレートおよび中央部から一体に突出した円筒部を上記貫通穴および上記ロアプレートの貫通穴に挿入してかしめられるリベット状部材からなる端子部が設けられる二次電池において、上記リベット部材は、マンガンが0.3重量%以上、0.6重量%、銅が0.1重量%以下、残りがニッケルの材質、かつ、ビッカス硬度が110以上、130以下であるニッケル・銅・マンガン合金からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電極に接続された端子が改良された二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン二次電池は、一端が開口した金属製の直方体の本体ケースに、電極巻回体を内装し、前記開口を中央部に端子部が設けられた封口板で密閉して構成されている。封口板は本体ケースの一部をなしている。前記端子部は、リベット状部材、ガスケット、ロアプレートで構成されている。前記電極巻回体は、リチウム金属酸化物からなる正極(電極)とリチウムを吸蔵・放出可能な負極(電極)とが非水電解液を含浸させたセパレータを介在させて巻回された後、方形に成形されている。
【0003】
また、前記封口板には、絶縁性及びシール性を有したガスケットがそれぞれ中央に開いた貫通穴を合わせて封口板を挟むように重ねられる。更にその外側からロアプレートを重ね、リベット状部材の中央部から一体に突出した円筒部を前記貫通穴及びロアプレートの貫通穴に挿入する。この状態で前記円筒部の先端を加締め、端子部は封口板に設けられる。
【0004】
これにより、リベット状部材は封口板と絶縁され、かつ、内部の非水電解液は密閉される。このようにして取り付けられた端子部には電極の一方が接続される。他方の電極は本体ケースに接続される。それにより、電池として機能する。
【0005】
このリベット状部材には、Niまたは、Ni10〜60%、Cu90〜40%のNi−Cu合金の無垢材を用いて、これを冷間鍛造成形したのち、焼きなまし効果を目的とした熱処理を施したものを採用している。端子部が有するリベット状部材をNiまたは、Ni−Cu合金の無垢材とすることで、耐食性及び導電性を確保するので、Niメッキ処理を省略できる。そのため、加締め加工により変形した円筒部先端からNiメッキが剥離脱落して電極間を短絡する心配がない。また、リベット状部材には焼きなまし処理を行っているので、リベット状部材の製造工程である冷間鍛造における加工硬化も緩和されており、その後の加締め工程において加工性の優れたリベット状部材になった(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−42779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、リベット状部材としてNiまたはNi10〜60%、Cu90〜40%のNi−Cu合金の無垢材を用いると、冷間鍛造でヘッダー加工したとき、突き出した円筒部に亀裂などが入りやすく、冷間鍛造の加工を慎重に進めなければならないという問題がある。
また、亀裂の有無を確認するために、リベット状部材のチェックを行う工数が掛かり、高価な部材になってしまうという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、冷間鍛造加工によっても亀裂の発生の危険のないリベット状部材を用いた二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の係わる二次電池は、正極電極と負極電極とがセパレータを狭持しながら巻回された巻回体が収納されているケースの開口を密閉する封口板の中央部に中央に開いた貫通穴を相互に合わせて重ねられる絶縁性およびシール性を有したガスケット、その外側から重ねられるロアプレートおよび中央部から一体に突出した円筒部を上記貫通穴および上記ロアプレートの貫通穴に挿入してかしめられるリベット状部材からなる端子部が設けられる二次電池において、上記リベット部材は、マンガンが0.3重量%以上、0.6重量%、銅が0.1重量%以下、残りがニッケルの材質、かつ、ビッカス硬度が110以上、130以下であるニッケル・銅・マンガン合金からなる。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係わる二次電池の効果は、リベット部材の作製において、マンガンが0.3〜0.6重量%、銅が0.1重量%以下、残りがニッケルの構成、かつ、ビッカス硬度が110以上、130以下であるニッケル・銅・マンガン合金を用いているので、冷間鍛造加工において加工品に亀裂などが入らず、そのため外観検査などの余分な工数が掛からないので、安価なリベット部材を提供することができる。
また、リベット部材のビッカス硬度が110以上、130以下であるので、円筒部のかしめ工程での加工が確実に行われるので、封口板、ガスケット、ロアプレートを確実に一体化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係わる二次電池としてのリチウムイオン電池の一部透視図である。図2は、実施の形態1に係わる端子部の組立状態を示す分解斜視図である。図3は、実施の形態1に係わる端子部の断面図である。
リチウムイオン二次電池1は、図1に示すように、一端が開口した金属製の直方体の本体ケース2に、電極巻回体3を内装し、この開口を中央部に端子部4が設けられた封口板5で密閉して構成されている。封口板5は本体ケース2の一部をなしている。
端子部4は、図3に示すように、リベット状部材12、ガスケット9、10、ロアプレート11で構成されている。電極巻回体3は、リチウム金属酸化物からなる正極(電極)6とリチウムを吸蔵・放出可能な負極(電極)7とが非水電解液を含浸させたセパレータ8を介在させて巻回された後、方形に成形されている。
【0012】
また、封口板5には、図2に示すように、絶縁性及びシール性を有したガスケット9、10がそれぞれ中央に開いた貫通穴5a、9a、10aを合わせて封口板5を挟むように重ねられる。更にその外側からロアプレート11を重ね、リベット状部材12の中央部から一体に突出した円筒部13を貫通穴5a、9a、10aおよびロアプレート11の貫通穴11aに挿入する。この状態で円筒部13の先端14を加締め、端子部4は図3に示すように封口板5に設けられる。
【0013】
これにより、リベット状部材12は封口板5と絶縁され、かつ、内部の非水電解液は密閉される。このようにして取り付けられた端子部4には電極の一方が接続される。他方の電極は本体ケース2に接続される。それにより、電池として機能する。
【0014】
また、リベット状部材12には、マンガンが0.3〜0.6重量%、銅が0.1重量%以下、残りがニッケルの材質、かつ、ビッカス硬度が110以上、130以下であるニッケル・銅・マンガン合金を用いることにより、リベット状部材12の製造工程である冷間鍛造における加工硬化も緩和されており、その後の加締め工程において加工性の優れたリベット状部材12になった。
【0015】
また、リベット部材12のビッカス硬度が110以上、130以下であるので、円筒部13のかしめ工程での加工が確実に行われるので、封口板5、ガスケット9、10、ロアプレート11を確実に一体化できる。
【0016】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係わる二次電池としてのリチウムイオン二次電池は、実施の形態1のリチウムイオン電池とリベット部材の材質が異なっており、これ以外は同様であるので同様な部分の説明は省略する。
【0017】
実施の形態2に係わるリベット部材は、銅が30重量%以上、40重量%以下、残りがニッケルの構成、かつ、ビッカス硬度が110以上、130以下であるニッケル・銅合金を冷間鍛造加工により作製されている。
そして、銅が30重量%以上、40重量%以下、残りがニッケルの構成のニッケル・銅合金を用いても、ビッカス硬度を110以上、130以下の範囲に抑えることにより、円筒部をかしめても均一に延ばされて、封口板、ガスケット、ロアプレートを確実に一体化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1に係わる二次電池としてのリチウムイオン電池の一部透視図である。
【図2】実施の形態1に係わる端子部の組立状態を示す分解斜視図である。
【図3】実施の形態1に係わる端子部の断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 リチウムイオン二次電池、2 本体ケース、3 電極巻回体、4 端子部、5 封口板、6 正極(電極)、7 負極(電極)、8 セパレータ、9、10 ガスケット、11 ロアプレート、12 リベット状部材、13 円筒部、14 円筒部の先端。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電極と負極電極とがセパレータを狭持しながら巻回された巻回体が収納されているケースの開口を密閉する封口板の中央部に中央に開いた貫通穴を相互に合わせて重ねられるガスケット、その外側から重ねられるロアプレートおよび中央部から一体に突出した円筒部を上記貫通穴および上記ロアプレートの貫通穴に挿入してかしめるリベット状部材からなる端子部が設けられる二次電池において、
上記リベット部材は、マンガンが0.3重量%以上、0.6重量%以下、銅が0.1重量%以下、残りがニッケルの材質、かつ、ビッカス硬度が110以上、130以下であるニッケル・銅・マンガン合金からなることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
正極電極と負極電極とがセパレータを狭持しながら巻回された巻回体が収納されているケースの開口を密閉する封口板の中央部に中央に開いた貫通穴を相互に合わせて重ねられる絶縁性およびシール性を有したガスケット、その外側から重ねられるロアプレートおよび中央部から一体に突出した円筒部を上記貫通穴および上記ロアプレートの貫通穴に挿入してかしめられるリベット状部材からなる端子部が設けられる二次電池において、
上記リベット部材は、銅が30重量%以上、40重量%以下、残りがニッケルの材質、かつ、ビッカス硬度が110以上、130以下であるニッケル・銅合金からなることを特徴とする二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−286586(P2006−286586A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132981(P2005−132981)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(598061519)
【出願人】(505004879)
【Fターム(参考)】