説明

二次電池

【課題】電池容器が内圧の上昇により変形し、ガス排出弁が開裂したときにガスが漏れることを防止する。
【解決手段】二次電池100は、正極電極および負極電極をセパレータを介在させて扁平形状に捲回した捲回電極群と、捲回電極群を収容する金属製の電池缶101と、電池缶101を封止する金属製の電池蓋102と、電池蓋102に設けられたガス排出弁と、ガス排出弁から排出されるガスを案内する金属製の案内ダクト110とを備え、案内ダクト110は、ガス排出弁の周囲において電池蓋102に当接して溶接されたフランジ111と、電池蓋102の上方に向かってフランジ111から延在する先細り形状のテーパ部112と、テーパ部112から連続して設けられた筒部113とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド電気自動車や純粋な電気自動車等の動力源として大容量(Wh)の二次電池が開発されており、その中でもエネルギー密度(Wh/kg)の高い角形のリチウムイオン二次電池が注目されている。
【0003】
角形のリチウムイオン二次電池においては、正極箔に正極活物質を塗布した正極電極、負極箔に負極活物質を塗布した負極電極およびそれぞれを絶縁するためのセパレータを重ね合わせて捲回することで扁平形状の捲回電極群が形成される。捲回電極群は、電池容器の電池蓋に設けられた正極外部端子および負極外部端子に電気的に接続される。捲回電極群は、電池容器の電池缶に収容され、電池缶の開口部は電池蓋で封止溶接される。二次電池は、捲回電極群を収容した電池容器の注液口から電解液が注液された後、注液栓が挿入されてレーザ溶接により封止溶接されることで形成される。
【0004】
リチウムイオン二次電池は、過充電や短絡を生じた場合に発熱して、電池内部に高温のガスが発生することがある。そこで、二次電池には、ガスが発生して内圧が上昇したときに、所定の圧力で開裂してガスを排出するガス排出弁およびガス排出弁から排出されるガスをガス排出ダクトに案内する案内ダクト(ガス排出部材)が設けられる(特許文献1参照)。特許文献1には、各単電池の案内ダクト(ガス排出部材)がガス排出ダクトに熱融着により接続されたガス排出構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−100840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガス排出弁は、電池容器内の圧力を速やかに逃がすために、所定の大きさに形成されている。一方、複数の二次電池(単電池)により構成される組電池は、小型化が望まれている。組電池の小型化を図るために、ガス排出ダクトのサイズを小さくする場合があり、ガス排出ダクトと案内ダクトとの接続部の断面積がガス排出弁の面積よりも小さくなることがある。
【0007】
この場合、案内ダクトの流路は、ガス排出弁側からガス排出ダクト側に向かって狭くなるように形成される。このように形成された案内ダクトには、ガス排出弁開裂時に、ガス圧により単電池から離れる方向の力が作用するため、案内ダクトと電池容器との接続部には所定の強度を要する。
【0008】
電池容器内の圧力が上昇すると、電池容器が変形し、その後所定圧力でガス排出弁が開裂することになる。このため、案内ダクトと電池容器との接続構造には電池容器の変形を考慮する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、正極電極および負極電極をセパレータを介在させて扁平形状に捲回した捲回電極群と、捲回電極群を収容する金属製の電池缶と、電池缶を封止する金属製の電池蓋と、電池蓋に設けられたガス排出弁と、ガス排出弁から排出されるガスを案内する金属製の案内ダクトとを備え、案内ダクトは、ガス排出弁の周囲において電池蓋に当接して溶接されたフランジと、電池蓋の上方に向かってフランジから延在する先細り形状のテーパ部と、テーパ部から連続して設けられた筒部とを有していることを特徴とする二次電池である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の二次電池において、案内ダクトを電池缶側から見た開口の面積がガス排出弁の面積よりも大きいことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の二次電池において、フランジは、環状であって、フランジの全周に亘って電池蓋に溶接されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の二次電池において、筒部は、円筒形状であることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二次電池において、フランジは、平面視で長円形状とされていることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の二次電池において、ガス排出弁は、電池蓋表面に凹設され、案内ダクトのフランジは、ガス排出弁が凹設されることにより形成された凹部に嵌合されていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の二次電池において、フランジの外周縁には、面取りがなされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電池容器が内圧の上昇により変形し、ガス排出弁が開裂したときにガスが漏れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の外観を示す斜視図。
【図2】案内ダクトを取り除いた二次電池の外観を示す斜視図。
【図3】図2の二次電池の構成を示す分解斜視図。
【図4】図2の二次電池の構成を示す分解斜視図。
【図5】捲回電極群を示す斜視図。
【図6】組電池を示す破断斜視図。
【図7】図7(a)は図6のA方向から見たガス排出弁、案内ダクトおよびガス排出ダクトを示す側面断面図、図7(b)は図7(a)のC部拡大模式図。
【図8】図8(a)は図6のB方向から見たガス排出弁、案内ダクトおよびガス排出ダクトを示す側面断面図、図8(b)は図8(a)のD部拡大模式図。
【図9】図2の二次電池のガス排出弁を示す平面模式図。
【図10】電池容器の変形およびガス排出弁の開裂の様子を説明するための概念図。
【図11】図11(a)は図7(a)の比較例を示す図、図11(b)は図11(a)のE部拡大模式図。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の外観を示す斜視図。
【図13】図12の二次電池のガス排出弁を示す平面模式図。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る二次電池の外観を示す斜視図。
【図15】図14の二次電池のガス排出弁を示す平面模式図。
【図16】図16(a)は図14のF方向から見たガス排出弁および案内ダクトを示す側面断面図、図16(b)は図16(a)のH部拡大模式図。
【図17】図17(a)は図14のG方向から見たガス排出弁および案内ダクトを示す側面断面図、図17(b)は図17(a)のI部拡大模式図。
【図18】本発明の第4の実施の形態に係る二次電池の外観を示す斜視図。
【図19】図18の二次電池のガス排出弁を示す平面模式図。
【図20】本発明の第5の実施の形態に係る二次電池の外観を示す斜視図。
【図21】図20の二次電池のガス排出弁を示す平面模式図。
【図22】図22(a)は図20のJ方向から見たガス排出弁および案内ダクトを示す側面断面図、図22(b)は図22(a)のL部拡大模式図。
【図23】図23(a)は図20のK方向から見たガス排出弁および案内ダクトを示す側面断面図、図23(b)は図23(a)のM部拡大模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による二次電池を角形リチウムイオン電池に適用した実施の形態を、図面を参照して説明する。
―第1の実施の形態―
図1は二次電池100の外観斜視図であり、図2は案内ダクト110を取り除いた二次電池100の外観を示す斜視図である。図3および図4は二次電池100の構成を示す分解斜視図であり、図5は捲回電極群170を示す斜視図である。
【0013】
図1および図2に示すように、二次電池(以下、単電池と記す)100は、扁平な直方体形状であって、電池缶101と電池蓋102とからなる電池容器を備えている。電池缶101および電池蓋102の材質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などである。
【0014】
図3に示すように、電池缶101には電池蓋組立体107に保持された捲回電極群170が収容されている。電池缶101は一端が開口された矩形箱状に形成されている。捲回電極群170は絶縁シート108に覆われた状態で電池缶101に収容されている。絶縁シート108の材質は、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の絶縁性を有する樹脂である。これにより、電池缶101の底面および側面と、捲回電極群170とは電気的に絶縁されている。
【0015】
図1〜4に示すように、電池蓋102は、矩形平板状であって、電池缶101の開口を塞ぐようにレーザ溶接されている。つまり、電池蓋102は、電池缶101を封止している。図3に示すように、電池蓋102には、捲回電極群170の正極電極174および負極電極175のそれぞれと電気的に接続された正極外部端子141および負極外部端子151が配設されている。
【0016】
正極外部端子141が捲回電極群170の正極電極174に電気的に接続され、負極外部端子151が捲回電極群170の負極電極175に電気的に接続されているため、正極外部端子141および負極外部端子151を介して外部負荷に電力が供給され、あるいは、正極外部端子141および負極外部端子151を介して外部発電電力が捲回電極群170に供給されて充電される。
【0017】
蓄電要素である捲回電極群170は、図5に示すように、長尺状の正極電極174および負極電極175をセパレータ173を介在させて捲回軸W周りに扁平形状に捲回することで積層構造とされている。
【0018】
正極電極174は、正極箔171と、正極活物質に結着材(バインダ)が配合された正極活物質合剤が正極箔171の両面に塗工されて形成された正極活物質合剤層176とを有する。負極電極175は、負極箔172と、負極活物質に結着材(バインダ)が配合された負極活物質合剤が負極箔172の両面に塗工されて形成された負極活物質合剤層177とを有する。正極活物質と負極活物質との間では、充放電が行われる。
【0019】
正極箔171は、厚さ20〜30μm程度のアルミニウム箔であり、負極箔172は、厚さ15〜20μm程度の銅箔である。セパレータ173の素材は多孔質のポリエチレン樹脂である。正極活物質は、マンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属複酸化物であり、負極活物質は、リチウムイオンを可逆に吸蔵、放出可能な黒鉛等の炭素材である。
【0020】
捲回電極群170の幅方向(捲回方向に直交する捲回軸W方向)の両端部は、一方が正極活物質合剤層176が形成されていない未塗工部(正極箔171の露出部)が積層された部分とされ、他方が負極活物質合剤層177が形成されていない未塗工部(負極箔172の露出部)が積層された部分とされている。正極側未塗工部の積層体および負極側未塗工部の積層体は、図4に示すように、それぞれ予め押し潰され、それぞれ後述する電池蓋組立体107の正極集電体180および負極集電体190と超音波接合され、電極群組立体(図3参照)が形成される。
【0021】
図4に示すように、電池蓋組立体107は、電池蓋102と、電池蓋102に取り付けられた正極外部端子141および負極外部端子151と、正極集電体180および負極集電体190と、一対の絶縁シール部材104と、一対の絶縁部材105とを含んで構成されている。
【0022】
正極外部端子141および正極集電体180の材質はアルミニウムである。負極外部端子151および負極集電体190の材質は銅である。絶縁シール部材104および絶縁部材105の材質はポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂等の絶縁性を有する樹脂である。
【0023】
正負極外部端子141,151は、それぞれ電池蓋102に設けられた貫通孔(不図示)に装着されている。正極外部端子141は、電池缶101側の端部において正極集電体180にかしめおよび溶接により、機械的、電気的に接続されている。同様に、負極外部端子151は、電池缶101側の端部において負極集電体190にかしめおよび溶接により、機械的、電気的に接続されている。
【0024】
正負極外部端子141,151のそれぞれと電池蓋102に設けられた貫通孔(不図示)との間には絶縁シール部材104が配設され、正負極外部端子141,151のそれぞれと電池蓋102との間が封止され、電池容器の気密性が確保されている。絶縁シール部材104は、上記したように絶縁性を有しているため、正負極外部端子141,151のそれぞれと電池蓋102とは電気的に絶縁されている。
【0025】
電池蓋102の内面と、正負極集電体180,190との間には、絶縁部材105が配設されている。絶縁部材105は、上記したように絶縁性を有しているため、正負極集電体180,190のそれぞれと電池蓋102とは電気的に絶縁されている。
【0026】
図3に示すように、正極集電体180は、捲回電極群170の正極箔171の露出部に超音波接合される接合部189を有している。同様に、負極集電体190は、捲回電極群170の負極箔172の露出部に超音波接合される接合部199を有している。正負極集電体180,190のそれぞれと捲回電極群170とが超音波接合されることで、正負極集電体180,190のそれぞれと捲回電極群170とが機械的、電気的に接続され、上記したように、電極群組立体が形成される。
【0027】
図1および図2に示すように、電池蓋102には、注液部106が設けられている。注液部106には、電池容器内に電解液を注入するための注液孔が穿設されている。注液孔は、電解液注入後に注液栓(不図示)によって封止される。電解液としては、たとえば、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を用いることができる。
【0028】
図2に示すように、電池蓋102の表面には、ガス排出弁103が凹設されている。ガス排出弁103は、内圧作用時の応力集中度合が相対的に高くなるように、プレス加工によって電池蓋102を部分的に薄肉化することで形成されている。ガス排出弁103は、単電池100が過充電等の異常により発熱してガスが発生し、電池容器内の圧力が上昇して所定圧力(たとえば、約1MPa)に達したときに開裂して、内部からガスを排出することで電池容器内の圧力を低減させる。
【0029】
図2に示すように、電池蓋102には、プレス加工により平面視矩形状の凹部109が形成されている。凹部109の底部の表面には、内側溝部109aと外周溝部109bとがプレス加工にて形成されている。外周溝部109bは、凹部109の側壁に沿って平面視矩形状に形成されている。内側溝部109aは、外周溝部109bの対角線に沿って形成されている。内側溝部109aは、外周溝部109bよりも深く形成されている。
【0030】
ガス排出弁103は、開裂したときにガスを排出する開口を形成するための部材であって、本実施の形態では外周溝部109bに沿って画成される矩形状の薄板(図7(a)および図8(a)、図9参照)により構成されている。ガス排出弁103は、図2に示すように、外周溝部109bと内側溝部109aによって区画される4つの三角形領域を有している。ガス排出弁103は、電池容器の内圧が所定値以上に上昇して、内側溝部109aが開裂すると、各三角形領域のそれぞれが弁素片となって外周溝部109bを回転軸として容器外方に開くように構成されている。
【0031】
図1に示すように、電池蓋102には、ガス排出弁103の開裂時に、ガス排出弁103から排出されるガスを上方に案内するアルミニウムまたはアルミニウム合金製の案内ダクト110が取り付けられている。
【0032】
案内ダクト110は、ガス排出弁103の周囲において電池蓋102に当接して溶接されたフランジ111と、電池蓋102の上方に向かってフランジ111から延在する先細り形状のテーパ部112と、テーパ部112から連続して設けられた円筒部113とを有している。
【0033】
図6は、単電池100を複数備えてなる組電池を示す破断斜視図である。図6は、破断斜視図であって、図中手前側の単電池が省略されるとともに、ガス排出ダクト120の断面構造がわかるようになっている。複数の単電池100は、並べて配置されており、後述するエンドプレート162、セルホルダ161およびシャフト163を含んで構成される一体化機構によって一体的に組み立てられている。
【0034】
図6に示すように、複数の各単電池100は、側面のうちで広い面積を有する幅広面同士が対向するように並べて配置されている。並置された複数の単電池100は、各単電池100のそれぞれの正極外部端子141および負極外部端子151の位置が、隣接する単電池100同士で逆転するように、向きが反転して配置されている。組電池は、隣接する単電池100の正極外部端子141と負極外部端子151とが金属製の板材からなるバスバー128によって電気的に接続されることで形成されている。
【0035】
図中、最も奥に位置する単電池100の正極外部端子141は、不図示の他の組電池に電気的に直列または並列にバスバー129により接続されるか、不図示の電力取り出し用の端子にバスバー129により接続される。
【0036】
各単電池100間には絶縁性を有する樹脂製のセルホルダ161が介装されて、両端の単電池100の外側には一対のエンドプレート162(一方のエンドプレートについては不図示)が配置されている。エンドプレート162およびセルホルダ161の幅方向両端には貫通孔が設けられ、各貫通孔にはシャフト163が挿通されている。シャフト163の両端部には、おねじが形成されている。一対のエンドプレート162の外側からナットをシャフト163の両端部に装着することで、一対のエンドプレート162に挟まれたセルホルダ161が所定量圧縮された状態で保持される。したがって、各単電池100は、セルホルダ161を介して一対のエンドプレート162により保持され、各単電池100の相対位置が規定される。
【0037】
各単電池100同士の間には絶縁性を有するセルホルダ161が介在し、両端に配置される単電池100とエンドプレート162との間には絶縁性を有する絶縁板(不図示)が介在しているため、絶縁性が確保されている。
【0038】
セルホルダ161が単電池100の幅広面を拘束しているため、電池容器の内圧が上昇すると、電池蓋102が膨らむように電池容器が変形することになる。
【0039】
組電池の上部には、ガス排出ダクト120が設けられている。ガス排出ダクト120は弾性変形可能な樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂など)により形成されている。ガス排出ダクト120は、各単電池100のそれぞれに設けられた案内ダクト110の円筒部113が接続され、案内ダクト110から導かれたガスを車両外部やタンク(不図示)に案内する。
【0040】
図7(a)は図6のA方向から見たガス排出弁103、案内ダクト110およびガス排出ダクト120を示す側面断面図であり、図7(b)は図7(a)のC部拡大模式図である。図8(a)は図6のB方向から見たガス排出弁103、案内ダクト110およびガス排出ダクト120を示す側面断面図であり、図8(b)は図8(a)のD部拡大模式図である。
【0041】
図7(a)および図8(a)に示すように、フランジ111はガス排出弁103を囲むように電池蓋102に当接している。フランジ111は、図1に示したように、平面視矩形環状であって、フランジ111の内縁によって矩形状の開口が画成されている。フランジ111の外周縁には、組立作業時に他の部品や手指を傷つけないように、R面取りやC面取りが施されている(不図示)。
【0042】
テーパ部112は、フランジ111の内縁から上方に向かって先細り形状となるように延在している。テーパ部112は、中空の四角錐台形状となるように形成されている。円筒形状の円筒部113は、テーパ部112の上端部から連続して設けられている。
【0043】
円筒部113は、円筒部113の外径寸法がガス排出ダクト120の下部に設けられた円筒形状の接続用筒部123の内径寸法よりも僅かに大きくなるように形成されている。円筒部113は、ガス排出ダクト120の接続用筒部123に押し入れられ、円筒部113と接続用筒部123との間が封止されている。
【0044】
フランジ111は、フランジ111の全周に亘って電池蓋102に溶接されている。これにより、ガス排出弁103が開裂したときに、電池蓋102とフランジ111との間からガスが漏れることが防止される。
【0045】
図7(a)および図7(b)に示すように、フランジ111の短辺部と、電池蓋102とによって隅部が形成されている。図7(b)に示すように、フランジ111と電池蓋102とが隅部において隅肉レーザ溶接されることで、隅肉溶接部(溶接金属)118aが形成されている。
【0046】
図8(a)および図8(b)に示すように、フランジ111の短辺寸法と電池蓋102の短辺寸法とは同一寸法とされており、フランジ111の長辺側端面と電池蓋102の長辺側端面とは同一平面上に位置している。図8(b)に示すように、フランジ111の長辺部と、電池蓋102の長辺部との突合せ部において突合せレーザ溶接されることで、突合せ溶接部(溶接金属)118bが形成されている。
【0047】
図9は、ガス排出弁103を示す平面模式図である。図9では、テーパ部112の根元部分の内側側面であるフランジ111の内縁によって画成される矩形開口111aおよびフランジ111の外縁、ならびに、案内ダクト110の円筒部113の内側側面により画成される円形開口113aを二点鎖線で示している。
【0048】
図9に示すように、ガス排出弁103の面積は、フランジ111の内縁によって画成される矩形開口111aの面積よりも小さく形成されており、ガス排出弁103は案内ダクト110によって覆われている。換言すれば、案内ダクト110を電池缶101側から見た矩形開口111aの面積は、ガス排出弁103の面積よりも大きい。
【0049】
図10を参照して、電池容器内の圧力が上昇し、ガス排出弁103が開裂する様子について説明する。図10は、電池容器の変形およびガス排出弁103の開裂の様子を説明するための概念図である。図10では、圧力を矢印で模式的に示している。図10(a)に示すように、通常、電池容器には所定の圧力が作用している。電池容器の内圧が上昇すると、図10(b)に示すように、電池容器の幅広面がセルホルダ161によって拘束されているため、電池蓋102が膨らむように電池容器が変形する。
【0050】
電池蓋102が膨らむと、フランジ111とテーパ部112との境界部分が、フランジ111がテーパ部112から離れるように曲げられる。すなわち、案内ダクト110は、電池蓋102の変形に追従して変形する。これにより、フランジ111と電池蓋102との間に形成される溶接金属118a,118b(図7(b)および図8(b)参照)に大きな力が作用することを防止できる。
【0051】
ガス排出弁103は外方に膨張し、内側溝部109aに引張応力が発生する。電池容器の内圧が上昇し続け、所定圧力に達すると、図10(c)に示すように、内側溝部109aが開裂し、ガス排出弁103が開弁する。ガス排出弁103は、4つの弁素片(三角形領域)103aに分断されつつ、外周溝部109bを支点として外側にめくれ上がることによって、ガス排出弁103には大きな開口が生じる。
【0052】
ガス排出弁103が開裂すると、ガスが案内ダクト110によってガス排出ダクト120(図6、図7(a)および図8(a)参照)に案内され、ガス排出ダクト120に流入したガスは車両外部やタンク(不図示)に導かれる。案内ダクト110のテーパ部112は先細り形状とされ、流路がガス排出弁103側からガス排出ダクト120側に向かって狭くなっているため、ガス排出弁103の開裂時に、案内ダクト110には上方に向かって力が作用することになる。本実施の形態では、フランジ111の全周に亘って、フランジ111が電池蓋102に溶接により強固に固定されているため、フランジ111と電池蓋102との間からガスが漏れることが防止される。
【0053】
上述した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)ガス排出弁103の周囲において電池蓋102に当接して溶接されたフランジ111と、電池蓋102の上方に向かってフランジ111から延在する先細り形状のテーパ部112と、テーパ部112から連続して設けられた円筒部113とによって案内ダクト110を構成した。
【0054】
これにより、電池容器の内圧が上昇して、電池容器が変形したときに、電池容器の変形に追従して案内ダクト110も変形することになるため、溶接金属118a,118bに大きな力が作用することを防止できる。すなわち、溶接金属118a,118bが損傷することが防止される。その結果、ガス排出弁103が開裂して案内ダクト110にガス圧が作用しても、案内ダクト110と電池蓋102とは溶接金属118a,118bにより強固に結合された状態が維持され、フランジ111と電池蓋102との間からガスが漏れることが防止される。
【0055】
これに対して、たとえば、図11(a)および図11(b)に示すように、フランジ111を設けずにテーパ部912の端部912aを凹部109の側壁に突き合わせ溶接した場合には、電池蓋102の変形時に突合せ溶接部(溶接金属)918に大きな力が作用するため、溶接金属918が損傷してしまうおそれがある。溶接金属918が損傷すると電池蓋102と案内ダクト910との結合強度が低下するため、ガス排出弁103の開裂時に案内ダクト910が電池蓋102から剥離するなどして、テーパ部912の端部912aと電池蓋102との間からガスが漏れてしまうおそれがある。
【0056】
(2)本実施の形態では、電池蓋102の上方に向かって先細り形状のテーパ部112を案内ダクト110に設けた。電池容器の内圧が所定圧に達すると、図10(c)に示すように、ガス排出弁103は4個の三角形形状の弁素片103aに分断されつつ、外側にめくれ上がる。各弁素片103aは、外周溝部109bを支点として外側に開くことになるが、弁素片103aの頂点部分がテーパ部112に接触することで、弁素片103aの屈曲角度が制限される。その結果、外周溝部109bでの応力を抑えることができるため、弁素片103aが飛散することを防止できる。
【0057】
(3)本実施の形態では、円筒形状の円筒部113をガス排出ダクト120の接続用筒部123に接続した。円筒部113と接続用筒部123との接触面が平面視で円形状であるため、高い気密性を確保することができる。
【0058】
―第2の実施の形態―
図12および図13を参照して第2の実施の形態に係る単電池200を説明する。図12は本発明の第2の実施の形態に係る単電池200の外観を示す斜視図であり、図13はガス排出弁203を示す平面模式図である。図13では、テーパ部212の根元部分の内側側面であるフランジ211の内縁によって画成される長円形開口211aおよびフランジ211の外縁、ならびに、案内ダクト210の円筒部213の内側側面により画成される円形開口213aを二点鎖線で示している。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、相違点について主に説明する。
【0059】
第2の実施の形態では、図12(b)に示すように、電池蓋202に長円形状のガス排出弁203が凹設され、図12(a)に示すように、長円錐台形状のテーパ部212を有する案内ダクト210がガス排出弁203を覆うように電池蓋202に溶接されている。
【0060】
凹部209の底部の表面には、図13に示すように、内側溝部209aと外周溝部209bとがプレス加工にて形成されている。外周溝部209bは、凹部209の側壁に沿って平面視長円形状に形成されている。内側溝部209aは、平面視でX字状に形成されている。内側溝部209aは、外周溝部209bよりも深く形成されている。
【0061】
ガス排出弁203は、開裂したときにガスを排出する開口を形成するための部材であって、本実施の形態では外周溝部209bに沿って画成される長円形状の薄板により構成されている。ガス排出弁203は、外周溝部209bと内側溝部209aによって区画される4つの領域を有している。ガス排出弁203は、電池容器の内圧が所定値以上に上昇して、内側溝部209aが開裂すると、4つの領域のそれぞれが弁素片となって容器外方に開くように構成されている。
【0062】
図12(a)に示すように、案内ダクト210は、長円形状のガス排出弁203の周囲において電池蓋202に当接して溶接された環状のフランジ211を有している。図13に示すように、フランジ211は、外周側が平面視矩形状であって内周側が平面視長円形状となるように形成され、フランジ211の内縁によって長円形状の長円形開口211aが画成されている。図12(a)に示すように、案内ダクト210は、電池蓋202の上方に向かってフランジ211から延在する先細り形状のテーパ部212を有している。テーパ部212は、中空の長円錐台形状となるように形成されている。案内ダクト210は、テーパ部212の上端部から連続して設けられた円筒形状の円筒部213を有している。
【0063】
フランジ211は、上記した第1の実施の形態と同様に、フランジ211の全周に亘って電池蓋202に溶接されており、フランジ211の長辺部では突合せ溶接され、フランジ211の短辺部では隅肉溶接されている。
【0064】
図13に示すように、ガス排出弁203の面積は、フランジ211の内縁によって画成される長円形開口211aの面積よりも小さく形成されており、ガス排出弁203は案内ダクト210によって覆われている。換言すれば、案内ダクト210を電池缶101側から見た長円形開口211aの面積は、ガス排出弁203の面積よりも大きい。
【0065】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様、ガス排出弁203の周囲において電池蓋202に当接して溶接されたフランジ211と、電池蓋202の上方に向かってフランジ211から延在する先細り形状のテーパ部212と、テーパ部212から連続して設けられた円筒部213とによって案内ダクト210を構成した。したがって、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果(1)〜(3)を奏する。
【0066】
―第3の実施の形態―
図14〜図17を参照して第3の実施の形態に係る単電池300を説明する。図14は本発明の第3の実施の形態に係る単電池300の外観を示す斜視図であり、図15はガス排出弁203を示す平面模式図である。図16(a)は図14のF方向から見たガス排出弁203および案内ダクト310を示す側面断面図であり、図16(b)は図16(a)のH部拡大模式図である。図17(a)は図14のG方向から見たガス排出弁203および案内ダクト310を示す側面断面図であり、図17(b)は図17(a)のI部拡大模式図である。図15では、テーパ部312の根元部分の内側側面であるフランジ311の内縁によって画成される長円形開口311aおよびフランジ311の外縁、ならびに、案内ダクト310の円筒部313の内側側面により画成される円形開口313aを二点鎖線で示している。なお、図中、第2の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、相違点について主に説明する。
【0067】
第3の実施の形態の単電池300と第2の実施の形態の単電池200とは略同様の構成とされるが、第3の実施の形態の単電池300では、案内ダクト310のフランジ311の短手方向長さが第2の実施の形態の単電池200の案内ダクト210のフランジ211の短手方向長さに比べて短い。つまり、第3の実施の形態では、案内ダクト310のフランジ311の短手方向長さは、電池蓋202の短手方向長さよりも短い。
【0068】
第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様、電池蓋202に長円形状のガス排出弁203が凹設され、長円錐台形状のテーパ部312を有する案内ダクト310がガス排出弁203を覆うように電池蓋202に溶接されている。
【0069】
図14および図15に示すように、案内ダクト310は、長円形状のガス排出弁203の周囲において電池蓋202に当接して溶接された環状のフランジ311を有している。フランジ311は、外周側が平面視矩形状であって内周側が平面視長円形状となるように形成されている。案内ダクト310は、電池蓋202の上方に向かってフランジ311から延在する先細り形状のテーパ部312を有している。テーパ部312は、中空の長円錐台形状となるように形成されている。案内ダクト310は、テーパ部312の上端部から連続して設けられた円筒形状の円筒部313を有している。
【0070】
図15に示すように、ガス排出弁203の面積は、フランジ311の内縁によって画成される長円形開口311aの面積よりも小さく形成されており、ガス排出弁203は案内ダクト310によって覆われている。換言すれば、案内ダクト310を電池缶101側から見た長円形開口311aの面積は、ガス排出弁203の面積よりも大きい。
【0071】
第3の実施の形態では、図16および図17に示すように、電池蓋202とフランジ311とは、レーザがフランジ311の表面に対して垂直に、上方から照射されることで、重ね貫通溶接されている。電池蓋202にフランジ311が溶接されると、フランジ311の全周に亘って重ね溶接部(溶接金属)318が形成される。
【0072】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果(1)〜(3)を奏する。さらに、第3の実施の形態によれば、次の(4)の作用効果を奏する。
【0073】
(4)第1および第2の実施の形態では、溶接の際、フランジ111,211の長辺側において電池缶101の側方からレーザを照射して突合せ溶接部118bを形成し(図8参照)、フランジ111,211の短辺側において電池蓋102の上方からフランジ111,211と電池蓋102,202とによって形成される隅部に向かって斜めにレーザを照射して隅肉溶接部118aを形成した(図7参照)。これに対して、第3の実施の形態では、フランジ311に向かって垂直に、上方からレーザを照射すればよいため、第1および第2の実施の形態に比べて溶接作業時間を低減できる。
【0074】
―第4の実施の形態―
図18および図19を参照して第4の実施の形態に係る単電池400を説明する。図18は本発明の第4の実施の形態に係る単電池400の外観を示す斜視図であり、図19はガス排出弁203を示す平面模式図である。図19では、テーパ部412の根元部分の内側側面であるフランジ411の内縁によって画成される長円形開口411aおよびフランジ411の外縁、ならびに、案内ダクト410の円筒部413の内側側面により画成される円形開口413aを二点鎖線で示している。なお、図中、第3の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、相違点について主に説明する。
【0075】
第3の実施の形態では案内ダクト310のフランジ311の外形が平面視で矩形状に形成されていたのに対し、第4の実施の形態では案内ダクト410のフランジ411の外形が平面視で長円形状に形成されている。
【0076】
第4の実施の形態では、第3の実施の形態と同様、電池蓋202に長円形状のガス排出弁203が凹設され、長円錐台形状のテーパ部412を有する案内ダクト410がガス排出弁203を覆うように電池蓋202に溶接されている。
【0077】
図18および図19に示すように、案内ダクト410は、長円形状のガス排出弁203の周囲において電池蓋202に当接して溶接された長円形環状のフランジ411を有している。案内ダクト410は、電池蓋202の上方に向かってフランジ411から延在する先細り形状のテーパ部412を有している。テーパ部412は、中空の長円錐台形状となるように形成されている。案内ダクト410は、テーパ部412の上端部から連続して設けられた円筒形状の円筒部413を有している。
【0078】
図19に示すように、ガス排出弁203の面積は、フランジ411の内縁によって画成される長円形開口411aの面積よりも小さく形成されており、ガス排出弁203は案内ダクト410によって覆われている。換言すれば、案内ダクト410を電池缶101側から見た長円形開口411aの面積は、ガス排出弁203の面積よりも大きい。
【0079】
第4の実施の形態では、第3の実施の形態と同様、電池蓋202とフランジ411とは、レーザがフランジ411の表面に対して垂直に、上方から照射されることで、重ね貫通溶接されている。電池蓋202にフランジ411が重ね貫通溶接されると、フランジ411の全周に亘って重ね溶接部(不図示)が形成される。
【0080】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した(1)〜(3)、および第3の実施の形態で説明した(4)と同様の効果を奏する。さらに、第4の実施の形態によれば、次の(5)の作用効果を奏する。
【0081】
(5)第4の実施の形態では、フランジ411の外形を長円形状としたため、上方から連続的にレーザをフランジ411に照射して、フランジ411と電池蓋202とを重ね貫通溶接できる。その結果、第3の実施の形態に比べて、溶接作業時間をより低減できる。
【0082】
―第5の実施の形態―
図20〜図23を参照して第5の実施の形態に係る単電池500を説明する。図20は本発明の第5の実施の形態に係る単電池500の外観を示す斜視図であり、図21はガス排出弁103を示す平面模式図である。図22(a)は図20のJ方向から見たガス排出弁103および案内ダクト510を示す側面断面図であり、図22(b)は図22(a)のL部拡大模式図である。図23(a)は図20のK方向から見たガス排出弁103および案内ダクト510を示す側面断面図であり、図23(b)は図23(a)のM部拡大模式図である。図21では、テーパ部512の根元部分の内側側面であるフランジ511の内縁によって画成される矩形開口511aおよび案内ダクト510の円筒部513の内側側面により画成される円形開口513aを二点鎖線で示している。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、相違点について主に説明する。
【0083】
図20に示すように、第5の実施の形態では、案内ダクト510のフランジ511が、ガス排出弁103が電池蓋102の表面に凹設されることにより形成された凹部109(図2、図22および図23参照)に嵌合されている。ガス排出弁103は、第1の実施の形態と同様、外周溝部109bに沿って画成される矩形状の薄板によって構成されている。図21〜図23に示すように、ガス排出弁103の外周には、ガス排出弁103を保持する弁保持部102aが形成されている。
【0084】
図20〜図23に示すように、案内ダクト510は、矩形状のガス排出弁103の周囲において、矩形環状の弁保持部102aに当接された矩形環状のフランジ511を有している。図20、図22および図23に示すように、案内ダクト510は、第1の実施の形態と同様、電池蓋102の上方に向かってフランジ511から延在する先細り形状のテーパ部512を有している。テーパ部512は、中空の四角錐台形状となるように形成されている。案内ダクト510は、テーパ部512の上端部から連続して設けられた円筒形状の円筒部513を有している。案内ダクト510は、フランジ511が凹部109に嵌合され、ガス排出弁103を覆うように電池蓋102の弁保持部102aに当接されている。
【0085】
図21に示すように、ガス排出弁103の面積は、フランジ511の内縁によって画成される矩形開口511aの面積よりも小さく形成されており、ガス排出弁103は案内ダクト510によって覆われている。換言すれば、案内ダクト510を電池缶101側から見た矩形開口511aの面積は、ガス排出弁103の面積よりも大きい。
【0086】
図22および図23に示すように、フランジ511の全周に亘って、フランジ511の外周部と凹部109の側壁とが突合せ溶接され、突合せ溶接部(溶接金属)518が形成されている。
【0087】
第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した(1)〜(3)、および第3の実施の形態で説明した(4)と同様の効果を奏する。
【0088】
なお、次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
[変形例]
(1)上記した第2〜4の実施の形態では、ガス排出弁203の形状を平行する2本の直線の両端にそれぞれ円弧を接続した形状であるレーシングトラック形状としたが本発明はこれに限定されない。本明細書において、長円形状には楕円形状および楕円形状を潰した扁平な形状が含まれるものとする。
(2)上記した第1〜5の実施の形態では、ガス排出弁103,203の形状を矩形状または長円形状としたが、本発明はこれに限定されない。円形状や多角形状など種々の形状を採用できる。
【0089】
(3)上記した第4の実施の形態では、フランジ411の外形形状を平行する2本の直線の両端にそれぞれ円弧を接続した形状であるレーシングトラック形状としたが、長円形状とはレーシングトラック形状に限らず、楕円形状および楕円形状を潰した扁平な形状が含まれる。
(4)上記した第1〜第3および第5の実施の形態では、フランジ111,211,311,511の外形を平面視矩形状に形成し、第4の実施の形態では、フランジ411の外形を平面視長円形状に形成したが、本発明はこれに限定されない。円形状や多角形状など種々の形状を採用できる。
【0090】
(5)外周溝部109b,209bは、凹部109,209の側壁に沿って連続的に設ける場合に限定されず、部分的にプレス加工されない不連続部を設けて、ガス排出弁103,203の開裂時に不連続部で弁素片を保持させる構成としてもよい。なお、外周溝部109b,209bや内側溝部109a,209aを形成せずに、開裂したときにガスを排出する開口を形成するための部分をガス排出弁とした二次電池においても本発明を適用することができる。
【0091】
(6)上記した実施の形態では、電池容器の形状を角形としたが、本発明はこれに限定されない。断面長円形状の扁平形電池容器としてもよく、電池缶の開口を電池蓋によって封止する薄形の種々の電池容器を採用できる。
(7)リチウムイオン二次電池を一例として説明したが、ニッケル水素電池などその他の二次電池にも本発明を適用できる。
【0092】
(8)正極外部端子141、正極集電体180および正極箔171の材質は、アルミニウムに限定されることなく、アルミニウム合金としてもよい。負極外部端子151、負極集電体190および負極箔172の材質は、銅に限定されることなく、銅合金としてもよい。
(9)電池容器や案内ダクトの材質には、アルミニウムやアルミニウム合金を採用する場合に限定されることなく、種々の金属材料を採用できる。
【0093】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0094】
100 二次電池(単電池)、101 電池缶、102 電池蓋、102a 弁保持部、103 ガス排出弁、103a 弁素片、104 絶縁シール部材、105 絶縁部材、106 注液部、107 電池蓋組立体、108 絶縁シート、109 凹部、109a 内側溝部、109b 外周溝部、110 案内ダクト、111 フランジ、111a 矩形開口、112 テーパ部、113 円筒部、113a 円形開口、118a 隅肉溶接部(溶接金属)、118b 突合せ溶接部(溶接金属)、120 ガス排出ダクト、123 接続用筒部、128 バスバー、129 バスバー、141 正極外部端子、151 負極外部端子、161 セルホルダ、162 エンドプレート、163 シャフト、170 捲回電極群、171 正極箔、172 負極箔、173 セパレータ、174 正極電極、175 負極電極、176 正極活物質合剤層、177 負極活物質合剤層、180 正極集電体、189 接合部、190 負極集電体、199 接合部、200 単電池、202 電池蓋、203 ガス排出弁、209 凹部、209a 内側溝部、209b 外周溝部、210 案内ダクト、211 フランジ、211a 長円形開口、212 テーパ部、213 円筒部、213a 円形開口、300 単電池、310 案内ダクト、311 フランジ、311a 長円形開口、312 テーパ部、313 円筒部、313a 円形開口、318 重ね溶接部(溶接金属)、400 単電池、410 案内ダクト、411 フランジ、411a 長円形開口、412 テーパ部、413 円筒部、413a 円形開口、500 単電池、510 案内ダクト、511 フランジ、511a 矩形開口、512 テーパ部、513 円筒部、513a 円形開口、518 突合せ溶接部(溶接金属)、910 案内ダクト、912 テーパ部、912a 端部、918 突合せ溶接部(溶接金属)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電極および負極電極をセパレータを介在させて扁平形状に捲回した捲回電極群と、
前記捲回電極群を収容する金属製の電池缶と、
前記電池缶を封止する金属製の電池蓋と、
前記電池蓋に設けられたガス排出弁と、
前記ガス排出弁から排出されるガスを案内する金属製の案内ダクトとを備え、
前記案内ダクトは、前記ガス排出弁の周囲において前記電池蓋に当接して溶接されたフランジと、前記電池蓋の上方に向かって前記フランジから延在する先細り形状のテーパ部と、前記テーパ部から連続して設けられた筒部とを有していることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池において、
前記案内ダクトを前記電池缶側から見た開口の面積が前記ガス排出弁の面積よりも大きいことを特徴とする二次電池。
【請求項3】
請求項1または2に記載の二次電池において、
前記フランジは、環状であって、前記フランジの全周に亘って前記電池蓋に溶接されていることを特徴とする二次電池。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の二次電池において、
前記筒部は、円筒形状であることを特徴とする二次電池。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二次電池において、
前記フランジは、平面視で長円形状とされていることを特徴とする二次電池。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の二次電池において、
前記ガス排出弁は、前記電池蓋表面に凹設され、
前記案内ダクトのフランジは、前記ガス排出弁が凹設されることにより形成された凹部に嵌合されていることを特徴とする二次電池。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の二次電池において、
前記フランジの外周縁には、面取りがなされていることを特徴とする二次電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2013−114991(P2013−114991A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262181(P2011−262181)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】