説明

二流体ノズルおよび該二流体ノズルを用いた基板処理装置

【課題】 長尺な基板に対して長尺方向に均一に処理することができる二流体ノズルおよび該二流体ノズルを用いた基板処理装置を提供する。
【解決手段】 第2流体吐出管38から吐出された純水は対向面371に衝突することによって粉砕され、該純水の液滴群が生成される。そして、生成された液滴群は対向面371に沿ってY方向に扇形状に広がりながら、Y方向に延設された混合室32に送り込まれる。このため、液体の液滴群はY方向に広がった状態で第1流体吐出路33から吐出された圧縮空気と混合され、Y方向において均一にミスト状の純水が生成される。したがって、Y方向に均一に生成されたミスト状の純水をY方向に延びる開口31から基板Wに向けて噴射することによって、長尺な基板Wに対しても長尺方向(Y方向)に均一に処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気体と液体とを混合させてミスト状の液体を生成するとともに、該ミスト状の液体を基板に向けて噴射する二流体ノズルおよび該二流体ノズルを用いて、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)用基板、あるいは磁気ディスク用のガラス基板やセラミックなどの各種基板(以下、単に「基板」という)に対して所定の処理を施す基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの電子部品の製造工程では、基板の表面に成膜やエッチングなどの処理を繰り返し施して微細パターンを形成していく工程が含まれる。ここで、微細加工を良好に行うためには基板表面を清浄な状態に保つ必要があり、必要に応じて基板の洗浄処理が行われる。
【0003】
例えば、液晶表示装置などに用いられる長尺なガラス基板に有利に対応できる洗浄方法として、エッチング液などの処理液を複数のノズルからスプレー状に基板に向けて吐出する基板処理装置がある(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の装置では、処理液と気体とを混合して噴射する、複数個の二流体ノズルを一列に配置することにより、各二流体ノズルから噴射された扇状に広がるスプレー状の処理液(ミスト状の液体)が列方向(長尺方向)に連なって基板上に供給される。これによって、長尺な基板を一度に処理可能となっている。
【0004】
また、長尺な基板など被処理対象の形状にあわせてノズル先端の開口を変形させて該開口からエッチング液などの処理液をミスト状にして吐出する二流体ノズルを用いた基板処理装置がある(特許文献2参照)。この特許文献2に記載の装置では、処理液導入口より導入され放射された処理液をミスト発生部(混合部)において、ガス導入口より導かれたガスと混合させることで処理液をミスト状としている。そして、ミスト状の処理液をへん平口としたノズル先端より放射させることにより、処理液を長尺状(ライン状)に吐出させている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−256458号公報(段落「0043」、図5)
【特許文献2】特開平4−132246号公報(第4頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装置のように、複数のノズルをアレイ状に配設する方式では、ノズルから吐出されるスプレー状の処理液(ミスト状の液体)が有する噴角によって、各ノズルから吐出された処理液が互いに重なり合う領域が存在している。つまり、1つのノズルから吐出された処理液が基板上に供給される供給領域において、他のノズルから吐出された処理液と重なり合う部分とそうでないない部分が存在する。その結果、洗浄などの処理において濃淡(処理ムラ)ができることにより、均一な洗浄を阻害することとなる。
【0007】
一方で、特許文献2に記載の装置のように、ミスト発生部(混合部)に導入された処理液とガスとを混合させて生成したミスト状の処理液を長尺状に吐出させた場合には、上記特許文献1に記載の装置のような問題は生じないものの、以下に示すような別異の問題が生じていた。すなわち、ミスト状の処理液を長尺な開口としたノズル先端より吐出させる場合には、処理液の重なり合いは生じないものの、ミスト状の処理液の吐出勢いが長尺な開口の中央部と端部とでは異なり、長尺方向にわたって基板を均一に処理することができなかった。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、長尺な基板に対して長尺方向に均一に処理することができる二流体ノズルおよび該二流体ノズルを用いた基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる二流体ノズルは、気体と液体のうち一方を第1流体として、他方を第2流体として第1流体と第2流体とを第1方向に延設された混合室で混合させてミスト状の液体を生成するとともに該混合室に繋がり、しかも第1方向に延びる開口から基板に向けて噴射する二流体ノズルであって、上記目的を達成するため、混合室に第1流体を吐出する第1流体吐出部と、混合室と連通路を介して連通して設けられるとともに、その内壁面の一部が連通路を介して混合室と対向する対向面となっている拡散室と、第2流体を対向面に向けて放射状に拡散室に吐出することによって拡散室内で拡散された第2流体を対向面に衝突させて散乱させるとともに連通路を介して混合室に送り込む第2流体吐出部とを備えている。
【0010】
このように構成された発明では、第2流体が第1流体とが混合室で混合されるまでに、第2流体の流体幅は2段階にわたって広げられる。つまり、第2流体吐出部から拡散室に放射状に吐出されることで第2流体の流体幅は1次的に広げられる。そして、第2流体はその流体幅を広げながら拡散室内を進行して混合室と対向する対向面に衝突して散乱される。これによって、第2流体は2次的に広がりながら連通路を介して混合室に送り込まれる。その結果、第2流体はその流体幅が2段階にわたって広げられた状態で、第1方向に延設された混合室で第1流体と混合される。したがって、気体と液体とが第1方向にわたって均一に混合され、第1方向に均一にミスト状の液体が生成される。
【0011】
このため、特許文献2に記載された装置のように、単に気体と液体とを混合部で混合して、長尺な開口から吐出させる場合に比べて次のような利点がある。すなわち、特許文献2に記載された装置では、長尺な開口の端部と中央部とでは、混合部におけるミスト状の液体の生成部位から長尺な開口の端部までの距離が該ミスト状液体の生成部位から長尺な開口の中央部までの距離に比べて必然的に大きくなり、長尺方向にミスト状の液体の吐出勢いが異なり、長尺方向に均一な処理ができなかった。
【0012】
これに対し、本発明によれば、第1流体と混合されるまでに第2流体の流体幅を第1方向に2段階にわたって広げているので、第1方向において均一にミスト状の液体が生成される。したがって、第1方向に均一に生成されたミスト状の液体を第1方向に延びる開口から基板に噴射することによって、長尺な基板に対しても長尺方向(第1方向)に均一に処理することができる。
【0013】
ここで、対向面は平面視において第2流体吐出部から吐出される第2流体の吐出中心を中心として混合室に向けて第1方向に扇形状に広がって形成されるのが望ましい。この構成によれば、第2流体吐出部から吐出され拡散室の対向面に衝突し、散乱する第2流体は該第2流体の吐出中心を中心としてその流体幅が第1方向に扇形状に広がりつつ、混合室に向けて送り込まれる。そのため、第2流体の流体幅を第1方向に効率良く広げた状態で第1流体と混合させることができる。
【0014】
また、第1流体を気体とし、第2流体を液体とするか、あるいは第1流体を液体とし、第2流体を気体とするかはいずれであってもよいが、前者の方が後者に比べてより好ましい。この構成によれば、液体は拡散室に放射状に吐出されることで液体幅が1次的に広げられる。そして、液体はその液体幅を広げながら混合室と対向する対向面に衝突して散乱される。これによって、液体は2次的に広がりながら膜状に、さらには粒子状(液滴)となって混合室に送り込まれる。このように液体は拡散室を介して2段階にわたって広げられて混合室に導かれるように構成されているので、拡散室に吐出する液体の流量等を調節することによって、液滴の粒径、液滴の基板供給位置および液密度(気体と液体との混合流体の単位体積当たりの液滴量)などの液制御性を高めることができる。
【0015】
また、この発明にかかる二流体ノズルは、気体と液体とを第1方向に延設された混合室で混合させてミスト状の液体を生成するとともに混合室に繋がり、しかも第1方向に延びる開口から基板に向けて噴射する二流体ノズルであって、上記目的を達成するため、混合室に気体を吐出する気体吐出部と、液体を粉砕することで生成した液体の液滴群を第1方向に広げながら混合室に案内する液粉砕案内部とを備えている。
【0016】
このように構成された発明では、液体は混合室で気体と混合されるまでに、液粉砕案内部において液体を粉砕して生成した液体の液滴群を第1方向に広げながら第1方向に延設された混合室に案内している。このため、液体の液滴群は第1方向に広がった状態で気体と混合され、第1方向において均一にミスト状の液体が生成される。したがって、第1方向に均一に生成されたミスト状の液体を第1方向に延びる開口から基板に噴射することによって、長尺な基板に対しても長尺方向(第1方向)に均一に処理することができる。
【0017】
しかも、液体を粉砕して液滴群を生成するとともに、該液滴群を混合室に案内して気体と衝突させているので、液体(ミスト状の液体)の液滴の粒子径を微粒子化することができる。このように、液滴を微粒子化することにより、次のような作用効果が得られる。すなわち、各液滴を微粒子化していくことによって、基板に供給される液滴群全体の表面積を大きくすることができる。これによって、液滴群全体の表面エネルギーを増大させ、液滴群が捕捉する物質の移動速度を大きくすることができる。その結果、例えば、パーティクル等の汚染物を除去する際に除去効率を向上させ、洗浄効果を高めることができる。
【0018】
ここで、液粉砕案内部は、液体をその内部で拡散させる拡散室と、拡散室に液体を吐出する液体吐出部とを備え、拡散室は、平面視において液体吐出部により吐出される液体の吐出中心を中心として混合室に向けて第1方向に扇形状に広がって形成される案内面を有するように構成してもよい。この構成によれば、液体吐出部から拡散室に吐出された液体は案内面に衝突することによって粉砕され、該液体の液滴群が生成される。そして、生成された液体の液滴群は案内面に沿って第1方向に扇形状に広がりながら混合室に送り込まれる。その結果、液体を第1方向に効率良く広げた状態で気体と混合させることができる。
【0019】
また、液体吐出部および気体吐出部をそれぞれ第1方向に複数個配置するとともに、混合室と該混合室に連通される拡散室とを第1方向に延びるように形成してもよい。この構成によれば、液体吐出部および気体吐出部をそれぞれ第1方向に列状に配置しているので、各液体吐出部ごとに吐出された液体からそれぞれに液滴群が生成され、該液滴群が第1方向に広がりながら、各気体吐出部から吐出された気体と混合室で混合される。そのため、各液体吐出部ごとに第1方向に均一にミスト状の液体が生成されるとともに、第1方向に延びる開口から帯状に連なって基板に噴射される。したがって、基板の大面積化等の基板サイズに柔軟に対応して長尺方向(第1方向)に均一に処理することができる。
【0020】
また、混合室に繋がる開口は第1方向に延びるスリットを形成していることが望ましい。この構成によれば、混合室で生成されたミスト状の液体は、第1方向に延びるスリットから噴射されることで、第1方向とは異なる方向に飛散しようとするミスト状の液体がスリットによって規制される。このため、第1方向においてミスト状の液体を基板に安定して供給することができ、処理において濃淡(処理ムラ)が発生するのを確実に防止することができる。
【0021】
また、本発明にかかる基板処理装置は、請求項1ないし7のいずれかに記載の二流体ノズルを備えることにより、第1方向において均一に生成されたミスト状の液体を基板に向けて噴射することができ、長尺な基板に対しても長尺方向(第1方向)に均一に処理することができる。
【0022】
ここで、第1方向とは異なる第2方向に搬送される基板に対して、二流体ノズルを固定配置して該二流体ノズルからミスト状の液体を噴射させることで洗浄処理を行うようにしてもよい。このように構成することで、第1方向においてミスト状の液体が均一に基板上に供給されることで、第1方向に均一に処理しながらも、第1方向と異なる第2方向に基板が搬送されることで、基板表面全体を均一にかつ効率良く洗浄処理することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、第1流体が第1方向に延設された混合室に吐出されるとともに、第2流体が混合室と対向する拡散室の対向面に向けて吐出されることで流体幅が2段階にわたって広げられ混合室に送り込まれる。その結果、第1流体と第2流体とが第1方向において均一に混合されミスト状の液体が生成されるとともに、第1方向に延びる開口から基板に向けて噴射される。したがって、長尺な基板に対しても長尺方向(第1方向)に均一に処理することができる。
【0024】
また、この発明によれば、液粉砕案内部において液体を粉砕して生成した液体の液滴群を第1方向に広げながら第1方向に延設された混合室に導いている。これにより、液体の液滴群は第1方向に広がった状態で気体と混合され、第1方向において均一にミスト状の液体が生成される。したがって、生成されたミスト状の液体を第1方向に延びる開口から基板に噴射することによって、長尺な基板に対しても長尺方向(第1方向)に均一に処理することができる。しかも、液体を粉砕して液滴群を生成するとともに、該液滴群を混合室に案内して気体と衝突させているので、各液滴の粒子径を微粒子化することができる。これによって、基板に供給される液滴群全体の表面積を大きくすることができ、該液滴群による基板の処理効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<基板処理装置の全体構成>
図1は、本発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。この基板処理装置は、矩形状の液晶表示パネル用ガラス基板(以下、単に「基板」という)Wを基板搬送経路Cに沿って搬送する搬送機構100と、この搬送機構100により搬送される基板Wの表面に現像液を供給して現像処理する現像処理部200と、現像処理された基板表面に純水を供給してリンス処理するとともに、リンス処理された基板Wの表面に圧縮空気(または窒素ガス)を吹き付けて乾燥させるリンス乾燥部300と、現像処理部200およびリンス乾燥部300から回収した現像液を現像処理部200に循環させる現像液循環部400とを備えている。なお、図1および以降の各図には、XYZ直交座標系を付して適宜参照する。
【0026】
搬送機構100は、複数の搬送ローラ100aをX方向に並べた構成となっており、これらの搬送ローラ100aの一部(あるいは全て)を回転させることで搬送機構100上の基板WをX方向(図1の左方から右方に向かう方向)に直線的に、しかも連続的に搬送する。複数の搬送ローラ100aは基板搬送方向(X方向)と略直交する方向(Y方向)に配設された支持軸(図示せず)に軸支され、基板Wをほぼ水平姿勢で支持して搬送する。
【0027】
現像処理部200は、処理チャンバ201(処理室)を備え、処理チャンバ201の内部には、搬送ローラ100aにより搬送される基板WにTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液などの現像液を噴出するノズル202が基板搬送経路C上に配設されている。また、処理チャンバ201の底部には、基板Wに供給された現像液を回収する回収路203が設けられている。現像処理部200の下方には、現像液循環部400に装備された回収液貯槽401が配置されており、回収路203は開閉弁204を介して回収液貯槽401に連通している。
【0028】
現像処理部200に対して搬送方向(X方向)の下流側にはリンス乾燥部300が配置されている。リンス乾燥部300は、処理チャンバ(処理室)301を備え、処理チャンバ301の内部には送引均衡型水洗ノズルヘッド10と、送引均衡型エアーナイフヘッド20とが緩衝部9を挟んで基板搬送経路C上に近接して配設されている。これら送引均衡型水洗ノズルヘッド10と送引均衡型エアーナイフヘッド20の基板搬送方向(X方向)に直交する方向(Y方向)の幅は、基板Wの直交幅(Y方向の幅)以上の大きさで形成されており、基板WがX方向に搬送されることで、各ヘッドは基板表面全体を処理することが可能となっている。また、処理チャンバ301の底部には、該処理チャンバ301内に搬送される基板Wから落下する液を回収する回収路303が設けられており、開閉弁304を介して回収液貯槽401に連通している。
【0029】
図2は、図1の基板処理装置に装備されたリンス乾燥部の要部拡大図である。図2に示すように、送引均衡型水洗ノズルヘッド10は、基板Wの搬送方向の上流側から順に、現像排液チューブウォール1と、前排液チューブウォール2と、水洗用の二流体ノズル3と、後排液チューブウォール4と、予備排液チューブウォール5とを備えている。また、送引均衡型エアーナイフヘッド20は、基板Wの搬送方向の上流側から順に、前排気チューブウォール6と、エアーナイフ7と、後排気チューブウォール8とを備えている。なお、各ヘッドに備えられたチューブウォールは以下のように構成されている。
【0030】
図3は、チューブウォールの概略構成を示す図である。チューブウォールは基板上の処理済液あるいは処理済ガスを吸引除去する吸引除去手段として機能している。図3(a)に示すように、チューブウォールは、複数のチューブを所定の方向(この実施形態ではY方向)に列状に密に配置することで構成されている。各チューブの一端は減圧ポンプと接続されており、減圧ポンプを稼動させることにより、チューブ他端(チューブの基板側先端部)の吸引口より基板上の処理済液あるいは処理済ガスを吸引除去する。チューブの基板側先端部は基板Wに非接触で近接配置されるが、基板Wに接触する場合も想定して各チューブは耐薬品を有するPVC(ポリ塩化ビニル)等の樹脂で形成される。各チューブの基板側先端部は吸引効率を考慮して基板表面に対して90度未満の角度で傾斜する(例えば基板表面に対して45度の角度をなす)ようにカットされている。なお、基板上の処理済液あるいは処理済ガスを吸引除去する吸引除去手段としてはチューブウォールに限定されない。例えば、チューブウォールに代えて、X方向に所定の間隔を隔ててY方向に延びるように開口されたスリットノズルを用いて吸引除去するようにしてもよい。
【0031】
現像排液チューブウォール1は、図1に示すように、現像液回収ポンプ11を介して回収液貯槽401に接続されている。そのため、現像液回収ポンプ11を稼動させることで、現像排液チューブウォール1から基板Wに供給された現像液(現像排液および現像液によって溶解されたレジスト)が基板上から除去されるとともに回収され回収液貯槽401に送液される。
【0032】
二流体ノズル3は純水供給ポンプ12を介して純水供給源13と接続される一方で、圧縮空気供給ポンプ14を介して圧縮空気供給源15と接続されている。そのため、純水供給ポンプ12および圧縮空気供給ポンプ14を稼動させることで、二流体ノズル3に純水と圧縮空気とがそれぞれ供給される。これにより、後述するように、Y方向(本発明の「第1方向」に相当)に均一にミスト状の純水が生成される。その結果、二流体ノズル3から基板W上にミスト状の純水を供給しつつ、Y方向と直交するX方向(本発明の「第2方向」に相当)に基板Wが搬送されることで、基板表面全体を均一にかつ効率良くリンス処理することができる。なお、二流体ノズル3の構成および動作については後で詳述する。
【0033】
二流体ノズル3に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側にはそれぞれ、前排液チューブウォール2と、後排液チューブウォール4とが配設されている。これらは排液ポンプ16と接続されており、排液ポンプ16を稼動させることでリンス処理後の純水(処理済リンス液)が前排液チューブウォール2および後排液チューブウォール4を構成する各チューブの吸引口から吸引除去され、基板外に排液される。ここで、チューブウォールは基板Wに近接して、しかも二流体ノズル3に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ配置されることで、チューブウォールを構成する各チューブが障壁となってリンス処理後の純水が送引均衡型水洗ノズルヘッド10に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側に飛散するのが防止される。その結果、汚染物を飛沫同伴した純水の再付着を防止することができる。
【0034】
さらに、図3(b)に示すように、二流体ノズル3をY方向から挟み込むようにチューブウォール3a,3bを配設するのが望ましい。このように二流体ノズル3をチューブウォールによって四方から囲むことで、基板搬送方向に直交する方向(Y方向)に飛散するミスト状の純水をも吸引除去して、汚染物を飛沫同伴した純水の再付着を防止するとともに、基板Wの裏面側への純水の回り込みを防止することができる。なお、二流体ノズル3を四方から囲む各チューブウォールの吸引口は、ミスト状の純水を効率良く吸引するために、二流体ノズル3側に向けて吸引口の開口面積が拡大するように各チューブの基板側先端部が基板表面に対して斜めにカットされている。
【0035】
後排液チューブウォール4に対して基板Wの搬送方向の下流側には、さらに予備排液チューブウォール5が配設されており、上流側のチューブウォールによって吸引除去されず逸脱するリンス処理後の純水を確実に吸引除去している。
【0036】
続いて、上記のように構成された送引均衡型水洗ノズルヘッド10に対して基板Wの搬送方向の下流側に配置された送引均衡型エアーナイフヘッド20について説明する。エアーナイフ7は圧縮空気供給ポンプ14を介して圧縮空気供給源15と接続されており、圧縮空気供給ポンプ14を稼動させることで、基板Wの表面に乾燥ガスとして圧縮空気が吹き付けられ、該基板表面に残留付着するリンス処理後の純水(処理済リンス液)が液切りされる。
【0037】
エアーナイフ7に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側にはそれぞれ、前排気チューブウォール6と後排気チューブウォール8とが配設されている。これらは排気ポンプ17と接続されており、排気ポンプ17を稼動させることで乾燥処理後の液体成分を含んだガス(処理済乾燥ガス)が基板外に排気される。このように、エアーナイフ7に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側とにチューブウォールがそれぞれ配置されることで、チューブウォールを構成する各チューブが障壁となって液体成分を含んだガスが送引均衡型エアーナイフヘッド20に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側に飛散するのが防止される。さらに、二流体ノズル3と同様にしてエアーナイフ7をY方向から挟み込むようにチューブウォールを配設すると、エアーナイフ7をチューブウォールによって四方から囲むことができ、液体成分を含んだ空気が周囲に飛散するのが確実に防止される。
【0038】
前排気チューブウォール6と送引均衡型水洗ノズルヘッド10に装備された予備排液チューブウォール5との間には緩衝部9が配設されている。これによって、前排気チューブウォール6と予備排液チューブウォール5とでそれぞれに減圧吸引することで、互いに引き合って干渉するのが回避される。
【0039】
また、図2に示すように、二流体ノズル3とエアーナイフ7の下方には基板Wを挟んでそれぞれ、前バックアップローラ311と後バックアップローラ312とが設けられている。各バックアップローラはY方向に延びるように真直度および真円度に優れる円柱状に形成されており、二流体ノズル3およびエアーナイフ7から各々に噴出されるミスト状の純水および圧縮空気の噴出圧に対抗する。これによって、基板Wの撓みを防止するとともに、二流体ノズル3から噴出されるミスト状の純水の基板上の打点(供給位置)を均一にすることができる。
【0040】
次に、図1に戻って現像液循環部400の構成について説明する。上述したように回収液貯槽401は現像液回収ポンプ11を介して現像排液チューブウォール1に接続されており、回収液貯槽401には現像排液チューブウォール1によって吸引された現像液(濃排液)が回収される。また、回収液貯槽401の頂部は回収路203,303と連通されており、開閉弁204,304の開閉を適宜制御することにより、現像液を含む処理済液を回収することができる。このように構成することで、基板Wに供給した現像液を全て回収することが可能になっている。
【0041】
回収液貯槽401はポンプ402に接続されており、ポンプ402によって回収液貯槽401に回収され貯留されている回収液(現像液)が減圧脱泡装置403を経由して脱泡液貯槽404に送給される。ここで、ポンプ402は、ダイヤフラム方式等の容積型ポンプを用いてもよいし、渦巻き方式等の非容積型ポンプを用いてもよい。つまり、使用条件に合ったポンプを選択すればよい。なお、その他のポンプについても同様である。
【0042】
減圧脱泡装置403はファイバー状の中空糸を備えており、減圧脱泡装置403に接続される減圧ポンプ403aによって減圧脱泡装置403内を減圧することによって中空糸を通過する回収液が脱泡される。これにより、回収液から気体(気泡)が除去され、現像液の発泡を防止することができる。そして、脱泡された回収液(脱泡液)は脱泡液貯槽404に貯留される。ここで、減圧脱泡装置403を2つ用意して、回収液貯槽401と脱泡液貯槽404との間に並設してもよい。このように構成することで、2つの減圧脱泡装置403を交互に運転させることができる。これにより、例えば、減圧脱泡装置403の一方が目詰まりを起こした場合には当該装置403に逆栓を施し、他方の減圧脱泡装置403により回収液を脱泡するとともに、その間に目詰まりを起こした装置403を交換することで連続運転することが可能となる。
【0043】
脱泡液貯槽404はポンプ405に接続されており、脱泡液が脱泡液貯槽405からノズル202に送液される。これによって、脱泡液がノズル202から基板Wの表面に噴出され、基板Wに付着するレジストが現像される。なお、脱泡液貯槽404は現像液貯槽406に接続されており、純水の混入により現像液の濃度が低下した場合に適宜、現像液貯槽406から現像液が脱泡液貯槽404に補充されるように構成されている。具体的には、脱泡液貯槽404の脱泡液の濃度はレシピ等で規定される所定の濃度範囲となるように濃度センサ(図示せず)によって管理されており、脱泡液の濃度が該濃度範囲から逸脱した場合に現像液貯槽406から現像液が補充されるように構成されている。。これによって、連続的な現像液の循環使用を可能とし、現像液の使用量を低減させている。
【0044】
<二流体ノズルの構成>
次に、二流体ノズルの構成および動作について図4ないし図8を参照しつつ詳述する。図4は本発明にかかる二流体ノズルの断面斜視図である。この二流体ノズル3は、その先端部に基板搬送方向(X方向)と直交するY方向(本発明の「第1方向」に相当)に延びる開口31を有し、ノズル内部で純水(本発明の「液体」に相当)と圧縮空気(本発明の「気体」に相当)とを混合させてミスト状の純水を生成するとともに開口31から基板Wに向けて噴射する二流体ノズルである。二流体ノズル3は、その内部に開口31に繋がり、Y方向に延設された混合室32を有し、該混合室32において純水と圧縮空気とを混合している。
【0045】
混合室32の天井部はY方向に沿って略等間隔に配列された複数の第1流体吐出管33と接続されている。各第1流体吐出管33はY方向に延設された第1流体マニホールド34を介して二流体ノズル3の上部に設けられた第1流体注入部35に連通している。第1流体注入部35は圧縮空気供給ポンプ14を介して圧縮空気供給源15に接続されており、圧縮空気供給ポンプ14を稼動させることで、圧縮空気供給源15から圧縮空気が第1流体として第1流体注入部35に注入される。注入された圧縮空気は第1流体マニホールド34を介して第1流体吐出管33から混合室32に吐出される。このように、この実施形態では、第1流体吐出管33が本発明の「第1流体吐出部」および「気体吐出部」として機能している。
【0046】
第1流体マニホールド34は、第1流体注入部35から注入された圧縮空気をマニホールド内で分散させて、複数の第1流体吐出管33に圧縮空気を均等に分配する役割を果たす。なお、この実施形態では、マニホールドの断面形状を半月形としているが、マニホールドの形状は特に限定されない。例えば、四角形などの角形であってもよい。また、圧縮空気を平均分配するものであれば、マニホールドに限らず、遮蔽板等を設けて注入される圧縮空気を遮蔽しながら分散させるような構成であってもよい。これは、後述の第2流体マニホールドについても同様である。
【0047】
また、混合室32の側面にはY方向に延びる連通口36(本発明の「連通路」に相当)が設けられており、該連通口36を介して拡散室37と連通している。拡散室37の奥手側、つまり混合室32から離れた部位の天井部はY方向に沿って略等間隔に配列された複数の第2流体吐出管38と接続されている。各第2流体吐出管38はY方向に延設された第2流体マニホールド39を介して二流体ノズル3の上部に設けられた第2流体注入部40に連通している。第2流体注入部40は純水供給ポンプ12を介して純水供給源13に接続されており、純水供給ポンプ12を稼動させることで、純水供給源13から純水が第2流体として第2流体注入部40に注入される。注入された純水は第2流体マニホールド39を介して第2流体吐出管38から拡散室37に吐出される。第2流体マニホールド39は、第2流体注入部40から注入された純水をマニホールド内で分散させて、複数の第2流体吐出管38に純水を均等に分配する役割を果たす。これにより、各第2流体吐出管38から吐出される純水の流量が一定となる。
【0048】
ここで、上記のようにして、二流体ノズル3の上部から、つまり二流体ノズル3からのミスト状の純水の吐出方向(Z方向)と同じ方向から圧縮空気および純水をそれぞれ第1流体注入部35および第2流体注入部40を介して注入することで、水平方向(XY方向)において省スペースで二流体ノズル3を配置することができる。なお、二流体ノズル3への圧縮空気および純水の供給は上部に限らず、ノズル側部から供給するようにしてもよい。
【0049】
次に、拡散室の構成について図5ないし図7を参照しつつ詳述する。図5は、図4の二流体ノズルをY方向からみた部分側面図である。図6は、図5のA−A’矢視図である。また、図7は、図5のB−B’矢視図である。図5に示すように、拡散室37は連通口36を介して混合室32と繋がっており、拡散室37の内壁面の一部が混合室32と対向する対向面371を形成している。図6,7に示すように、対向面371は複数の第2流体吐出管38の各々に対応して設けられ、各第2流体吐出管38から吐出される純水の吐出中心Jを中心として混合室32に向けてY方向に扇形状に広がって形成されている。各対向面371は略等間隔で配設された第2流体吐出管38を中心に同一形状に互いに隣接して形成されている。したがって、後述するように、各第2流体吐出管38から均等に純水が拡散室37に吐出されることで、各対向面371において等しく純水の液滴群が生成されることとなる。
【0050】
ここで、図5に示すように、対向面371は純水の吐出方向(鉛直方向)からの傾斜角度θが0°<θ<90°の範囲で、好ましくはθ=70°であることが望ましい。この対向面371の傾斜角度θは、第2流体吐出管38から吐出された液柱状の純水が対向面371と衝突して液膜状(フィルム状)から非連続体である粒子状(液滴)へと変化する際に、液膜状の純水の厚みを決定する重要なファクターとなる。すなわち、対向面371の傾斜角度θを純水の吐出圧に合わせて最適化することで、液膜状の純水の厚みを薄くして該純水の液滴の粒径を細かく(例えば粒径を数十μm以下)することが可能となる。
【0051】
次に上記のように構成された二流体ノズル3の動作について説明する。圧縮空気供給ポンプ14および純水供給ポンプ12を稼動させることで圧縮空気および純水がそれぞれ第1流体注入部35および第2流体注入部40に注入される。各注入部35,40に注入された圧縮空気および純水はそれぞれ第1流体マニホールド34および第2流体マニホールド39を介して各第1流体吐出管33および各第2流体吐出管38に均等に分配される。これにより、各第1流体吐出管33から混合室32に均等に圧縮空気が放射状に吐出されるとともに、各第2流体吐出管38から拡散室37に均等に純水が放射状に吐出される。拡散室37に吐出された純水は次のようにして混合室32に送り込まれる。
【0052】
図8は、図4の二流体ノズルの部分切欠斜視図である。拡散室37では、第2流体吐出管38から拡散室37に純水が放射状に吐出されることで、純水の液幅が1次的に広げられる。そして、第2流体吐出管38から吐出された純水はその液(液柱)幅を広げながら拡散室37内を進行して対向面371に衝突して散乱される。これによって純水は液柱状から液膜状に2次的に広がりながら粉砕され、粒子状(液滴群)となって混合室32に送り込まれる。ここで、対向面371の各々は、各第2流体吐出管38から吐出される純水の吐出中心Jを中心として混合室32に向けてY方向に扇形状に広がって形成されているので、生成された液滴群は該対向面371に沿ってY方向に広がりながら連通口36を介して混合室32に案内されることとなる。このように、この実施形態では、第2流体吐出管38が本発明の「第2流体吐出部」および「液体吐出部」として、対向面371が本発明の「案内面」として機能している。また、拡散室37と第2流体吐出管38とにより、本発明の「液粉砕案内部」を構成している。
【0053】
そして、各対向面371から混合室32に案内された液滴群はY方向に広がった状態で第1流体吐出管33から混合室32に吐出された圧縮空気と混合される。これにより、Y方向において均一にミスト状の純水が生成される。ここで、第1流体吐出管33および第2流体吐出管38はY方向に列状に配置されているので、各第2流体吐出管38ごとにY方向に均一にミスト状の純水が生成されるとともに、Y方向に延びる開口31から帯状に連なって基板Wに噴射される。なお、各第2流体吐出管38から吐出される純水の吐出中心Jを中心としてY方向に扇形状に広がった対向面371の各々は、図7に示すように、凹状に窪んでいるので、対向面371に衝突することによって生成される液滴群は、対向面371に沿って速やかに扇形状に広がりながらも、隣接する対向面371にまで跳び移るのが防止される。これによって、隣接する対向面371にて生成される液滴群との衝突によるエネルギー損失を回避することができる。
【0054】
ここで、二流体ノズル3の開口31はX方向に所定の距離を隔ててY方向に延びるスリットを形成している。そのため、混合室32で生成されたミスト状の純水は開口31から噴射されることでY方向と異なる方向に飛散しようとするミスト状の純水がスリットによって規制される。このため、Y方向においてミスト状の純水を基板Wに安定して供給することができ、洗浄処理において濃淡(処理ムラ)が発生するのが確実に防止される。
【0055】
以上のように、この実施形態によれば、純水の液幅が2段階にわたって広げられ混合室32に送り込まれる。つまり、第2流体吐出管38から拡散室37に純水が吐出されることで、純水の液幅が1次的に広げられる。続いて、拡散室37内を進行する純水は対向面371に衝突することで散乱され2次的に広がりながら混合室32に送り込まれる。詳しくは、拡散室37に吐出された純水は対向面371に衝突して粉砕されることで純水の液滴群が生成されるとともに、該液滴群がY方向に広がりながら混合室32に案内される。その結果、Y方向において均一に圧縮空気と純水とが混合されミスト状の純水が生成される。したがって、Y方向において均一に生成されたミスト状の純水をY方向に延びる開口31から基板Wに向けて噴射することによって、長尺な基板Wに対しても長尺方向(Y方向)に均一に処理することができる。
【0056】
このように、この実施形態によれば、純水は拡散室37を介して2段階にわたって広げられて混合室32に導かれるように構成されているので、拡散室32に吐出する純水の流量等を調節することによって、液滴の粒径、液滴の基板供給位置および液密度(圧縮空気と純水との混合流体の単位体積当たりの液滴量)などの液制御性を高めることができる。
【0057】
また、この実施形態によれば、純水を粉砕して液滴群を生成するとともに、該液滴群を混合室32に案内して圧縮空気と衝突させているので、純水(ミスト状の純水)の液滴の粒径を微粒子化することができる。このように、純水の液滴を微粒子化していくことによって、基板Wに供給される液滴群全体の表面積を大きくすることができる。これによって、液滴群全体の表面エネルギーを増大させ、液滴群が捕捉する物質の移動速度を大きくすることができる。その結果、パーティクル等の汚染物の除去効率を向上させ、洗浄効果を高めることができる。
【0058】
さらに、このような微粒子化された純水(ミスト状の純水)の液滴群を噴射する二流体ノズル3とチューブウォール等の吸引除去手段を組合わせて使用することにより、基板上の現像液を純水に速やかに置換することができ、処理効率を高めることができる。
【0059】
また、この実施形態によれば、対向面371は平面視において第2流体吐出管38から吐出される純水の吐出中心Jを中心として混合室32に向けてY方向に扇形状に広がって形成されている。このため、対向面371に衝突して粉砕されることで生成された液滴群は対向面31に沿ってY方向に扇形状に広がりながら混合室32に送り込まれる。その結果、純水をY方向に効率良く広げた状態で圧縮空気と混合させることができる。
【0060】
また、この実施形態によれば、第1流体吐出管33および第2流体吐出管38をそれぞれY方向に複数個配列させるとともに、混合室32と該混合室32に連通される拡散室37とをY方向に延びるように形成している。このため、各第2流体吐出管38ごとにY方向に均一にミスト状の純水が生成されるとともに、Y方向に延びる開口31から帯状に連なって基板Wに噴射される。したがって、基板の大面積化等の基板サイズに柔軟に対応して長尺方向(Y方向)に均一に処理することができる。
【0061】
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、第1流体を気体(圧縮空気)とし、第2流体を液体としているが、第1流体を液体とし、第2流体を気体としてもよい。このように構成した場合には、Y方向に延設された混合室32に、第2流体吐出管38から気体が拡散室32に吐出されることで気体が2段階にわたって広げられた状態で送り込まれ、第1流体吐出管33から吐出された液体と
混合され、Y方向に均一にミスト状の純水が生成される。したがって、Y方向に均一に生成されたミスト状の純水をY方向に延びる開口31から基板Wに噴射することによって、長尺な基板に対しても長尺方向(Y方向)に均一に処理することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、複数の第2流体吐出管38を列状に配置するとともに、各第2流体吐出管38ごとに対向面371を形成しているが、これに限定されない。例えば基板サイズによっては、単一の第2流体吐出管38から対向面371に向けて純水を吐出させることで、純水の液幅(液滴群の散乱幅)を長尺方向(Y方向)に広げるようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、二流体ノズル3は基板Wに向けて噴射されるミスト状の純水が基板Wの法線方向とほぼ平行となる姿勢で固定されているが、基板Wの法線方向に対して傾斜させてミスト状の純水を噴射させるようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、二流体ノズル3は、Y方向を第1方向として、Y方向に直交するX方向を第2方向としてX方向に搬送される基板Wに対してY方向に延びる開口31からミスト状の純水を噴射しているが、これに限定されない。つまり、第2方向として第1方向とは異なる方向に搬送される基板Wに二流体ノズル3からミスト状の純水を噴射する基板処理装置にも適用することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、一方向(X方向)に搬送される基板Wに対して二流体ノズル3を用いて洗浄しているが、これに限定されない。例えば回転される半導体ウエハやガラス基板等の基板に対して二流体ノズル3を用いて処理を行う基板処理装置にも適用することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、搬送される基板をガラス基板としているが、半導体ウエハを搬送するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、二流体ノズル3を固定して搬送される基板Wを洗浄するようにしているが、これに限定されない。例えば基板Wを固定して二流体ノズル3を移動させながら洗浄してもよいし、基板Wと二流体ノズル3の双方を移動させながら洗浄するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、二流体ノズル3に「液体」として純水を供給して基板Wを洗浄処理させているがこれに限定されない。例えば、「液体」として薬液を供給してエッチング処理、現像処理、剥離処理を行うようにしてもよい。この場合にも、二流体ノズル3の基板搬送経路Cの上流側および/または下流側に配置されるチューブウォール等の吸引除去手段と組合わせて使用することにより、薬液の置換を効率良く行うとともに、薬液による各種反応を促進させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
この発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)用基板、あるいは磁気ディスク用のガラス基板やセラミック基板などを含む基板全般の表面に気体と液体とを混合させることで生成したミスト状の純水を噴射する二流体ノズルおよび該二流体ノズルを用いた基板処理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の基板処理装置に装備されたリンス乾燥部の要部拡大図である。
【図3】チューブウォールの概略構成を示す図である。
【図4】図4は本発明にかかる二流体ノズルの断面斜視図である。
【図5】図4の二流体ノズルをY方向からみた部分側面図である。
【図6】図5のA−A’矢視図である。
【図7】図5のB−B’矢視図である。
【図8】図4の二流体ノズルの部分切欠斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
3…二流体ノズル
31…開口
32…混合室
33…第1流体吐出管(第1流体吐出部、気体吐出部)
37…拡散室
38…第2流体吐出管(第2流体吐出部、液体吐出部)
371…対向面(案内面)
J…(第2流体の)吐出中心
W…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体と液体のうち一方を第1流体として、他方を第2流体として前記第1流体と前記第2流体とを第1方向に延設された混合室で混合させてミスト状の液体を生成するとともに該混合室に繋がり、しかも前記第1方向に延びる開口から基板に向けて噴射する二流体ノズルにおいて、
前記混合室に前記第1流体を吐出する第1流体吐出部と、
前記混合室と連通路を介して連通して設けられるとともに、その内壁面の一部が前記連通路を介して前記混合室と対向する対向面となっている拡散室と、
前記第2流体を前記対向面に向けて放射状に前記拡散室に吐出することによって前記拡散室内で拡散された前記第2流体を前記対向面に衝突させて散乱させるとともに前記連通路を介して前記混合室に送り込む第2流体吐出部と
を備えたことを特徴とする二流体ノズル。
【請求項2】
前記対向面は平面視において前記第2流体吐出部から吐出される前記第2流体の吐出中心を中心として前記混合室に向けて前記第1方向に扇形状に広がって形成される請求項1記載の二流体ノズル。
【請求項3】
前記第1流体を気体とし、前記第2流体を液体として前記混合室で前記ミスト状の液体を生成するとともに前記開口から前記基板に向けて噴射する請求項1または2記載の二流体ノズル。
【請求項4】
気体と液体とを第1方向に延設された混合室で混合させて前記ミスト状の液体を生成するとともに前記混合室に繋がり、しかも前記第1方向に延びる開口から基板に向けて噴射する二流体ノズルにおいて、
前記混合室に前記気体を吐出する気体吐出部と、
前記液体を粉砕することで生成した前記液体の液滴群を第1方向に広げながら前記混合室に案内する液粉砕案内部と
を備えたことを特徴とする二流体ノズル。
【請求項5】
前記液粉砕案内部は、前記液体をその内部で拡散させる拡散室と、前記拡散室に前記液体を吐出する液体吐出部とを備え、
前記拡散室は、平面視において前記液体吐出部により吐出される前記液体の吐出中心を中心として前記混合室に向けて前記第1方向に扇形状に広がって形成される案内面を有する請求項4記載の二流体ノズル。
【請求項6】
前記液体吐出部および前記気体吐出部はそれぞれ前記第1方向に列状に複数個配置されるとともに、
前記混合室および該混合室に連通される前記拡散室が前記第1方向に延びるように形成される請求項5記載の二流体ノズル。
【請求項7】
前記開口は前記第1方向に延びるスリットを形成する請求項1ないし6のいずれかに記載の二流体ノズル。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の二流体ノズルを備え、該二流体ノズルからミスト状の液体を基板に噴射して前記基板に対して所定の処理を行う基板処理装置。
【請求項9】
前記第1方向とは異なる第2方向に搬送される前記基板に対して、前記二流体ノズルを固定配置して該二流体ノズルから前記ミスト状の液体を噴射させることで前記所定の処理として洗浄処理を行う請求項8記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−247618(P2006−247618A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71519(P2005−71519)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】