説明

二液型エポキシ系構造用接着剤

硬化性エポキシ樹脂と、アミン硬化剤と、強靭化剤と、油変位剤と、を含む二液型エポキシ系構造用接着剤組成物。この構造用接着剤は、所望により、反応性液体改質剤、充填剤、二次硬化剤、反応性希釈剤、界面活性剤、金属塩、顔料及びこれらの組み合わせを含んでもよい。構造用接着剤は、清浄な表面を有する被着体の間に、並びに油、加工助剤及び潤滑剤などの炭化水素含有物質で汚染された表面を有するものの間に、接合継手を形成するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液型エポキシ系構造用接着剤、特に硬化すると構造組立品において有用な特性を呈するエポキシ系接着剤に関する。本発明はまた、二液型エポキシ系構造用接着剤の製造及び使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
構造用接着剤は、典型的には、ねじ、ボルト、釘、ホッチキス、リベット及び金属溶解プロセス(例えば、溶接、ろう付け及びはんだ付け)などの従来の接合技術に代わって又はこれらを増強するために使用され得る熱硬化性樹脂組成物である。構造用接着剤は、汎用工業用途、並びに、自動車及び航空宇宙産業における高性能用途を含む様々な用途に使用される。構造用接着剤として好適であるためには、接着剤は、高い機械的強度及び高い耐衝撃性を呈するべきである。
【0003】
接着は表面物理化学現象であるので、当然、接着接合の物理的特性は、接着接合を形成するのに使用される被着体の表面との構造用接着剤の相互作用に強く依存することになる。理想的条件下では、構造用接着剤は、被着体の清浄な表面に適用される。しかしながら、費用及び加工制限に起因して、被着体(例えば、自動車部品)の表面は、多くの場合、炭化水素含有物質により汚染されており、未処理のまま放置されると、接着剤/被着体境界面に望ましくない接合破壊を引き起こす恐れがある。汚染物質には、スチール及びアルミニウムにおける圧延及び腐食保護油、指紋、及び、製造プロセス及び倉庫業務において見られる他の煤及び汚れが挙げられる。
【0004】
被着体の表面から炭化水素含有物質を除去するのは困難であり得る。機械的プロセス、例えば、乾拭き、及び/又は加圧空気の使用は、炭化水素含有物質の薄い層を金属表面上に残す傾向がある。液体洗浄組成物は有効であり得るが、洗浄液が回収及び再利用されるか、又は廃棄されなくてはならないため、加工の観点から、より望ましくない場合がある。加えて、洗浄工程の後に、通常は乾燥時間が必要とされる。したがって、業界内には、清浄な表面、並びに、炭化水素含有物質で汚染された表面に強力な接着接合を形成する構造用接着剤への必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本発明は、第一部分と第二部分を有する二液型接着剤組成物を提供し、この接着剤は、第一部分にある硬化性エポキシ樹脂と、第二部分にあるアミン硬化剤と、第一部分、第二部分又はこれらの組み合わせにある強靭化剤と、第一部分、第二部分又はこれらの組み合わせにある油変位剤とを含み、第一部分と第二部分が二液型接着剤組成物を形成するために組み合わされる。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、複合物品を製造する方法を提供し、この方法は、二液型接着剤を表面に適用することと、二液型接着剤を表面に接触させたまま硬化して複合物品を形成することと、を含む。
【0007】
更なる実施形態では、本発明は、部材間の接合継手を形成する方法を提供し、この方法は、二液型接着剤を2つ以上の部材のうちの少なくとも1つの表面に適用することと、部材を接合して、二液型接着剤をこれらの2つ以上の部材の間に挟むことと、二液型接着剤を硬化させてこれらの2つ以上の部材の間に接合継手を形成することと、を含む。
【0008】
本発明の他の特徴及び態様は、「発明を実施するための形態」及び添付図面を検討することによって、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1に記載の、可能性を有する油変位化合物の落下試験時の被膜破裂を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のいずれかの実施形態を詳細に説明するのに先立って、本発明は、以下の説明文に記載されるかあるいは以下の図面に示される構成の詳細及び構成要素の配置にその用途が限定されない点は理解されるべきである。本発明には他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。更に、本明細書で使用される専門語句及び専門語は説明を目的としたものであり、発明を限定するものとして見なされるべきではない点は理解されるべきである。「含む(including)」、「含む(comprising)」、又は「有する(having)」、及びこれらの変形は、それらの後に列記される要素及びそれらの均等物、並びに更なる要素を包含することを意味するものである。本明細書に引用される任意の数値的な範囲には、低位の値から高位の値までの全ての値を含む。例えば、濃度範囲が1%〜50%として示される場合、2%〜40%、10%〜30%又は1%〜3%などといった値が明示的に列挙されることが意図される。これらは何が具体的に意図されているのかの例に過ぎず、列挙された最も低位の値と最も高位の値との間並びにこれらを含む、数値の全ての可能性のある組み合わせが、本明細書において明確に記載されていると考慮される。
【0011】
本発明は、清浄な基材に、並びに、炭化水素含有物質で汚染された基材に、適用され得る二液型エポキシ系構造用接着剤に関する。この二液型エポキシ系構造用接着剤は、少なくとも1つの硬化性エポキシ樹脂と、少なくとも1つのアミン硬化剤と、少なくとも1つの強靭化剤と、少なくとも1つの油変位剤と、を含む。構造用接着剤は、充填剤(特に無機鉱物繊維、有機繊維、並びに/又は、非球形及び/若しくは平板構造を有する繊維)、二次硬化剤、反応性液体改質剤、反応性希釈剤、界面活性剤、金属塩、顔料及びこれらの組み合わせなどの他の成分を含み得る。部品を共に接合させる際の溶接又は機械的締結具などの従来の接合手段を置き換えたり又は補完したりするために、構造用接着剤を使用してもよい。
【0012】
硬化性エポキシ樹脂
本発明の構造用接着剤は、少なくとも1つのエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂は、1分子当たり少なくとも1つのエポキシ官能基を含有するモノマー、ダイマー、オリゴマー又はポリマーのエポキシ材料であり得る。このような樹脂は、芳香族又は脂肪族、環式又は非環式、一官能性又は多官能性であり得る。例えば、樹脂の主鎖は任意の種類であってよく、その置換基はオキシラン環と反応する、求核基又は求電子基(活性水素原子など)を有さない任意の基であり得る。代表的な置換基には、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基、アミド基、ニトリル基及びリン酸基が挙げられる。
【0013】
エポキシ樹脂の分子量は、モノマー又はオリゴマーの樹脂については約100g/モルからであり、ポリマーの樹脂については50,000g/モルまでである。好適なエポキシ樹脂は、典型的には、室温で液体である。しかしながら、可溶性固体エポキシ樹脂もまた使用され得る。エポキシ樹脂は単独で又は組み合わせて使用してもよい。いくつかの実施形態では、エポキシ構成要素は、具体的な必要条件として、架橋された構造用接着剤の機械的性質を改質して適合させるために、2つ以上のエポキシ樹脂の混合物を含む。
【0014】
使用され得るエポキシ樹脂の種類には、例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応生成物、フェノールとホルムアルデヒド(ノボラック樹脂)とエピクロロヒドリンの反応生成物、過酸エポキシ、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、エピクロロヒドリンとp−アミノフェノールの反応生成物、エピクロロヒドリンとグリオキサールテトラフェノールの反応生成物などが挙げられる。
【0015】
本発明で特に有用なエポキシドは、グリシジルエーテルタイプのものである。好適なグリシジルエーテルエポキシドには、一般式(I)のものを挙げてもよい。
【0016】
【化1】

【0017】
式中、R’は、例えば、アルキル基、アルキルエーテル基又はアリール基が挙げられるn価の有機残基であり、nは少なくとも1である。いくつかの実施形態では、R’は、ポリ(アルキレンオキシド)である。いくつかの実施形態では、nは1〜4の範囲である。
【0018】
好適な式(I)のグリシジルエーテルエポキシドには、ビスフェノールA及びF、脂肪族ジオール又は脂環式ジオールのグリシジルエーテルが挙げられる。いくつかの実施形態では、式(I)のグリシジルエーテルエポキシドは、約170g/モル〜約10,000g/モルの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、式(I)のグリシジルエーテルエポキシドは、約200g/モル〜約3,000g/モルの範囲の分子量を有する。
【0019】
有用な式(I)のグリシジルエーテルエポキシドには、エポキシ基末端(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)及び芳香族グリシジルエーテル(例えば、二価フェノールを過剰量のエピクロロヒドリンと反応させることにより調製されるもの)を有する、直鎖ポリマーのエポキシドが挙げられる。有用な二価フェノールの例には、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、及びp,p’−ジヒドロキシジベンジル、p,p’−ジヒドロキシフェニルスルホン、p,p’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシフェニルスルホン、p,p’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−1,1−ジナフチルメタンを包含する多核フェノール、並びにジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルメチルプロピルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルプロピレンフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルブチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルトリルエタン、ジヒドロキシジフェニルトリルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルジシクロヘキシルメタン、及びジヒドロキシジフェニルシクロヘキサンの2,2’、2,3’、2,4’、3,3’、3,4’、及び4,4’異性体が挙げられる。
【0020】
好適な市販の芳香族及び脂肪族エポキシドには、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals GmbH(Rosbach,Germany)から、EPON 828、EPON 872、EPON 1001、EPON 1310及びEPONEX 1510という商品名で入手可能)、DER−331、DER−332及びDER−334(Dow Chemical Co.(Midland,MI,USA)から入手可能)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(例えば、大日本インキ化学工業株式会社から入手可能なEPICLON 830)、PEG1000DGE(Polysciences,Inc.(Warrington,PA,USA)から入手可能)、難燃性エポキシ樹脂(例えば、Dow Chemical Co.(Midland,MI,USA)から入手可能な、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂であるDER 580)、1,4−ジメタノールシクロヘキシルジグリシジルエーテル、及び1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルが挙げられる。ビスフェノールをベースにしたその他のエポキシ樹脂は、商品名D.E.N.、EPALLOY、及びEPILOXで市販されている。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、構造用接着剤は、少なくとも約20重量%の硬化性エポキシ樹脂を含み、いくつかの実施形態では少なくとも約40重量%の硬化性エポキシ樹脂を含み、いくつかの実施形態では少なくとも約50重量%の硬化性エポキシ樹脂を含む。本発明のいくつかの実施形態では、構造用接着剤は、約90重量%未満の硬化性エポキシ樹脂を含み、いくつかの実施形態では少なくとも約80重量%未満の硬化性エポキシ樹脂を含み、いくつかの実施形態では少なくとも約70重量%未満の硬化性エポキシ樹脂を含む。重量パーセントは、二液型構造用接着剤の総重量(第一部分と第二部分の合計重量)に基づく。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、構造用接着剤は、約20重量%〜約90重量%の硬化性エポキシ樹脂を含む。他の実施形態では、構造用接着剤は、約40重量%〜約70重量%の硬化性エポキシ樹脂を含む。更に他の実施形態では、構造用接着剤は、約50重量%〜約70重量%の硬化性エポキシ樹脂を含む。
【0023】
アミン硬化剤
本発明の構造用接着剤はまた、硬化性エポキシ樹脂を架橋できる少なくとも1つの硬化剤も含む。典型的には、これらの作用剤は、第一級又は第二級アミンである。アミンは、脂肪族、脂環式、芳香族、又は1つ以上のアミノ部分を有する芳香族構造体であってもよい。
【0024】
好適なアミン硬化剤は、一般式(II)を有するアミンを含む。
【0025】
【化2】

【0026】
式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素又は、約1〜約15個の炭素原子を含有する炭化水素であり、炭化水素はポリエーテルを含み、nの値は約1〜10の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化剤は第一級アミンである。同一又は他の実施形態では、Rはポリエーテルアルキルである。
【0027】
代表的なアミン硬化剤には、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタメチレン−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、アミノエチルピペラジン及びこれらに類するものが挙げられる。
【0028】
いくつかの実施形態では、アミン硬化剤は、1つ以上のアミン部分を有するポリエーテルアミンであり、例えば、ポリプロピレンオキシド又はポリエチレンオキシドから誘導可能なポリエーテルアミンが挙げられる。市販のポリエーテルアミンには、JEFFAMINE(商標)シリーズのポリエーテルポリアミン(Huntsman Corporation(The Woodlands,TX,USA)から入手可能)及び4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン(TTD)(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)が挙げられる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、構造用接着剤は、少なくとも約3重量%のアミン硬化剤を含み、いくつかの実施形態では少なくとも約5重量%のアミン硬化剤を含み、いくつかの実施形態では少なくとも約10重量%のアミン硬化剤を含む。本発明のいくつかの実施形態では、構造用接着剤は、約30重量%未満のアミン硬化剤を含み、いくつかの実施形態では約20重量%未満のアミン硬化剤を含み、いくつかの実施形態では少なくとも約15重量%未満のアミン硬化剤を含む。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、構造用接着剤は、約3重量%〜約30重量%のアミン硬化剤を含む。他の実施形態では、構造用接着剤は、約5重量%〜約15重量%のアミン硬化剤を含む。
【0031】
エポキシド部分対第一級又は第二級アミン水素のモル比は、決められた実験を通じて、最適性能を得るように調整することができる。本発明の構造用接着剤は、硬化性エポキシ樹脂におけるエポキシ部分対アミン硬化剤におけるアミン水素のモル比が約0.5:1〜約3:1の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、モル比は約2:1である。他の実施形態では、モル比は約1:1である。
【0032】
二次硬化剤
いくつかの実施形態では、本発明の構造用接着剤は、所望により、二次硬化剤を含んでもよい。本発明による二次硬化剤は、式(III)の構造を有するものを含むイミダゾール、イミダゾール塩、イミダゾリン又は芳香族第三級アミンを含む。
【0033】
【化3】

【0034】
式中、
はH又はアルキル(例えば、メチル又はエチル)である。
【0035】
はCHNRであり、
及びRは、互いに独立して、存在しても又は存在しなくてもよく、存在する場合は、R及びRは−CHNRであり、
及びRは、互いに独立して、アルキル(例えば、CH又はCHCH)である。
【0036】
代表的な二次硬化剤は、トリス−2,4,6−(ジメチルアミノメチル)フェノール(Air Products Chemicals(Europe B.V)からANCAMINE K54として入手可能)である。
【0037】
油変位剤
構造用接着剤と、炭化水素含有物質で汚染された被着体の表面と、の間の接着を促進するために、1つ以上の油変位剤が本発明の構造用接着剤に添加される。炭化水素含有物質は、被着体の加工、処理及び保存から生じ得る種々の表面汚染物質を指す。炭化水素含有物質の例には、鉱油、油脂、乾燥した潤滑油、深絞り加工用油、腐食保護剤、光沢剤及びワックスが挙げられる。しかしながら、表面は、炭化水素含有物質に加えて、他の汚染物質を含み得る。理論に束縛されるものではないが、接着剤内の油変位剤は、接着接合の改善のために、汚染された被着体の表面から被着体のバルクの中に炭化水素含有物質が移動するのを促進すると考えられている。油変位剤を含む接着剤を使用すると、十分な接合強度が熱硬化工程を必要とせずに得られる。
【0038】
本発明の油変位剤は通常、適用及び硬化中にバルク接着剤との混和を維持しながら被着体の表面の炭化水素含有物質を分裂又は変位することができる液体化合物である。このような化合物は、炭化水素含有物質よりも低い表面張力、及び/又は、炭化水素含有物質と同様の溶解度パラメータを呈し得る。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、油変位剤は、約35mN/m未満の表面張力を有する。他の実施形態では、油変位剤は、約32mN/m未満の表面張力を有する。これは、油変位剤の表面張力が約15〜約32mN/mの範囲である実施形態を含む。これはまた、油変位剤の表面張力が約25〜約30mN/mの範囲である実施形態も含む。本発明の油変位剤の表面張力は、例えば、Drop Image Advanced Softwareを備えるRame−Hart F1 Series Goniometerを用いて、「Surface tension:Pendant Drop Shape Analysis」(F.K.Hansen,G.Rodsrun,J.Coll.&Inter.Sci.,141(1991),pp.1〜12)に特定されているようないわゆる懸滴法(懸滴形状分析法とも称される)を使用して測定される。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、油変位剤は、油変位剤の表面張力が炭化水素含有物質の表面張力よりも低くなるに、特定の炭化水素含有汚染物質について選択され得る。これは、炭化水素含有物質の表面張力が油変位剤の表面張力を少なくとも2.5mN/m上回る実施形態を含む。これはまた、炭化水素含有物質の表面張力が油変位剤の表面張力を少なくとも4.0mN/m上回る実施形態も含む。これは、炭化水素含有物質の表面張力が油変位剤の表面張力を少なくとも8.0mN/m上回る実施形態を更に含む。これはまた、炭化水素含有物質の表面張力が油変位剤の表面張力を少なくとも12.0mN/m上回る実施形態も更に含む。鉱油及びこれに類するものなどの、室温で液体である炭化水素含有物質の表面張力は、上記で言及した懸滴法によって決定することができる。乾燥潤滑剤及びこれに類するものなどの、室温で固体である炭化水素含有物質の表面張力は、接触角法により、ASTM C813−90(1994)e1に従って決定することができる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、油変位剤の溶解度パラメータは、約7〜約10.5cal0.5/cm3/2の範囲である。これは、油変位剤の溶解度パラメータは、約7.5〜約9cal0.5/cm3/2の範囲である実施形態を含む。本発明の油変位剤の溶解度パラメータは、van Krevelen,D.W.,「Properties of Polymers:Their Correlation with Chemical Structure:Their Numerical Estimation and Prediction from Additive Group Contributions」(4th Ed.,1990,Elsevier:Amsterdam,The Netherlands,pp.200〜225)に開示される方法を使用して、Molecular Modeling Pro software(ChemSW,Inc.(Fairfield,CA,U.S.A.)から入手可能)で算出される。いくつかの実施形態では、本発明の油変位剤は、油変位剤の溶解度パラメータが炭化水素含有物質の溶解度パラメータと同様であるように、特定の炭化水素含有汚染物質について選択され得る。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態では、油変位剤の表面張力は約15〜約32mN/mの範囲であり、油変位剤の溶解度パラメータは約7〜約10.5cal0.5/cm3/2の範囲である。他の実施形態では、油変位剤の表面張力は約25〜約30mN/mの範囲であり、油変位剤の溶解度パラメータは約7.5〜約9cal0.5/cm3/2の範囲である。
【0043】
実施例1の落下試験は、本発明に好適な油変位剤として機能し得る化合物を同定するための実験方法を提供する。図1に示されているように、試験される化合物のおよそ20〜100μL液滴1を、選択された炭化水素含有物質3で汚染された被着体2の表面に付着させる。油変位剤として機能する可能性を有する化合物は、典型的には、広がり、炭化水素含有物質の被膜を破裂させる。理論に束縛されるものではないが、油変位化合物は、汚染された被着体2上に静置されると炭化水素含有物質3を少なくとも部分的に溶解し、及び/又は、炭化水素含有物質3の層の中に迅速に拡散する。これにより、炭化水素含有物質3の表面張力の局所的減少が生じ、それゆえに化合物の液滴1が広がることが可能になる(図1b〜c)。液滴1が広がるにつれて、液滴は炭化水素含有物質を衝撃域から外側へ押す。化合物が、汚染された被着体2上の特定の炭化水素含有物質3を変位させることができる場合、炭化水素含有物質3の被膜は、少なくとも部分的に破裂する。破裂している表面被膜は、それと共に、炭化水素含有物質3の変位を更に促進する化合物を運搬する。
【0044】
本発明の油変位剤は、典型的には、落下試験にかけられると、被膜破裂を起こす。しかしながら、被膜破裂を起こす全ての化合物が良好な油変位剤を作るわけではなく、全ての油変位剤が被膜破裂を起こし得るわけでもない。例えば、n−ヘプタンは実施例1に示すように被膜破裂を起こすが、n−ヘプタンは、エポキシ系接着剤に組み込まれると貧弱な性能しか示せないことが判明している。特に、エポキシマトリックスと共連続相を形成しないバルク接着剤及び/又は化合物を脱し得る揮発性化合物は、典型的には、油変位剤として好適ではない。したがって、落下試験は、可能性を有する油変位化合物を同定するための比較的迅速な方法として使用され得るが、単独で行われる際には、この方法は、その化合物が本発明の文脈で油変位剤として機能することを保証するものではない。
【0045】
本発明の好適な油変位剤が、脂肪族及び芳香族炭化水素、アルキルエステル、アルキルエーテル、アリールエステル、アリールエーテル、アルキルアルコール、グリコール及びグリコールエーテルを含む化合物の部類から選択され得ることが判明している。代表的な油変位剤には、3,3−ジメチル−1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシドデカン、α−ピネン、2−オクタノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、リモネン、β−ピネン、1,2−エポキシデカン、1,8−シネオール、リモネンオキシド、α−ピネンオキシド、C〜C10グリシジルエーテル(例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、並びに、Air Products and Chemicals Inc.(Allentown,PA,USA)から入手可能なEPODIL 746及びEPODIL 747)、バーサチック酸のグリシジルエステル誘導体(欧州のHexion Chemicalから入手可能なCARDURA(商標)N−10)及びグリシジルエステルのヒドロキシルアクリレートモノマー(欧州のHexion Chemicalから入手可能なACE(商標)ヒドロキシルアクリレートモノマー)が挙げられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、油変位剤は、1,8−シネオール、α−ピネンオキシド、リモネンオキシド、C〜C10グリシジルエーテル及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態では、油変位剤は、1,8−シネオール、C〜C10グリシジルエーテル及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。更に他の実施形態では、油変位剤は1,8−シネオールを含む。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態では、構造用接着剤は、少なくとも約0.001重量%の油変位剤を含み、いくつかの実施形態では少なくとも約0.01重量%の油変位剤を含み、いくつかの実施形態では少なくとも約2重量%の油変位剤を含む。本発明のいくつかの実施形態では、構造用接着剤は、約50重量%未満の油変位剤を含み、いくつかの実施形態では約25重量%未満の油変位剤を含み、いくつかの実施形態では約10重量%未満の油変位剤を含む。
【0048】
本発明の構造用接着剤は、約0.001重量%〜約50重量%の油変位剤を含み得る。他の実施形態では、本発明の構造用接着剤は、約0.01重量%〜約25重量%の油変位剤を含み得る。更に他の実施形態では、本発明の構造用接着剤は、約2重量%〜約10重量%の油変位剤を含み得る。
【0049】
強靭化剤
硬化性エポキシ樹脂又は反応性液体改質剤(下記)以外の強靭化剤は、硬化したエポキシ樹脂の強靭性を増加させることができるポリマーである。強靭性は、硬化した組成物の剥離強度によって測定することができる。典型的な強靭化剤には、コア/シェル型ポリマー、ブタジエンニトリルゴム、アクリルポリマー及びアクリルコポリマーなどが挙げられる。市販の強靭化剤には、Dynamar(商標)Polyetherdiamine HC 1101(3M Corporation(St.Paul,MN)から入手可能)及びカルボキシ末端化ブタジエンアクリロニトリル(Emerald Chemical(Alfred,ME)から入手可能)が挙げられる。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明の構造用接着剤は、約5重量%〜約55重量%の強靭化剤を含み得る。他の実施形態では、構造用接着剤は、約5重量%〜約30重量%の強靭化剤を含み得る。更に他の実施形態では、構造用接着剤は、約5重量%〜約15重量%の強靭化剤を含み得る。
【0051】
好適な強靭化剤には、コア/シェル型ポリマーが挙げられる。コア/シェル型ポリマーは、グラフト化可能なエラストマー(その上にシェルをグラフトさせることができるエラストマーを意味する)からなるコアを有するグラフトポリマーを意味すると理解されている。エラストマーは、0℃よりも低いガラス転移温度を有してもよい。典型的には、コアは、ブタジエンポリマー若しくはコポリマー、アクリロニトリルポリマー若しくはコポリマー、アクリレートポリマー若しくはコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含むか又はそれによって構成される。ポリマー又はコポリマーは、架橋されていても、あるいは架橋されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、コアポリマーは架橋されている。
【0052】
コア上には、1種類以上のポリマー、「シェル」、がグラフトされている。典型的には、シェルポリマーは、高いガラス転移温度、即ち26℃を超えるガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、動的機械熱分析(DMTA)(「Polymer Chemistry,The Basic Concepts」(Paul C.Hiemenz,Marcel Dekker 1984))によって決定することもできる。
【0053】
「シェル」ポリマーは、スチレンポリマー若しくはコポリマー、メタクリレートポリマー若しくはコポリマー、アクリロニトリルポリマー若しくはコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。このようにして生成された「シェル」は更に、エポキシ基又は酸基によって官能化されてもよい。「シェル」の官能化は、例えば、グリシジルメタクリレート又はアクリル酸との共重合によって実現することもできる。特に、シェルは、アセトアセトキシ部分を含んでよく、その場合には、アセトアセトキシ官能化ポリマーの量を減らしてもよく、あるいはアセトアセトキシ官能化コア/シェル型ポリマーによって完全に置き換えてもよい。
【0054】
好適なコア/シェル型ポリマーのシェルは、例えば、ポリメチルメタクリレートシェルなどのポリアクリレートポリマー又はコポリマーシェルを含んでもよい。ポリメチルメタクリレートシェルなどのポリアクリレートシェルは、架橋されていなくてもよい。
【0055】
好適なコア/シェル型ポリマーのコアは、ブタジエンポリマー若しくはコポリマー、スチレンポリマー若しくはコポリマー、又はブタジエン−スチレンコポリマーを含んでもよい。ブタジエン−スチレンコアなどのコアを構成するポリマー又はコポリマーは、架橋されていてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明によるコア/シェル型ポリマーは、約10nm〜約1,000nmの粒径を有し得る。他の実施形態では、コア/シェル型ポリマーは、約150nm〜約500nmの粒径を有し得る。
【0057】
好適なコア/シェル型ポリマー及びそれらの調製については、例えば、米国特許第4,778,851号に記載されている。市販のコア/シェル型ポリマーには、例えば、PARALOID EXL 2600及び2691(Rohm & Haas Company(Philadelphia,PA,USA)から入手可能)並びにKANE ACE MX120(Kaneka(Belgium)から入手可能)が挙げられる。
【0058】
反応性液体改質剤
反応性液体改質剤が、所望により、硬化性エポキシ樹脂に可撓性を付与するために、及び、得られる接着剤の中で強靭化剤の効果を増強するために、添加されてもよい。
【0059】
本発明の反応性液体改質剤は、少なくとも1つのアセトアセトキシ基を好ましくは末端位置に含有している、アセトアセトキシ官能化化合物を含んでもよい。このような化合物には、アルキル、ポリエーテル、ポリオール、ポリエステル、ポリヒドロキシポリエステル、ポリオキシポリオール及びこれらの組み合わせなどの炭化水素を有するアセトアセトキシ基が挙げられる。
【0060】
アセトアセトキシ官能化化合物はポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、本発明のアセトアセトキシ官能化化合物は、約100g/モル〜約10,000g/モルの分子量を有し得る。他の実施形態では、アセトアセトキシ官能化化合物は、約200g/モル〜約1,000g/モルの分子量を有し得る。更に他の実施形態では、アセトアセトキシ官能化化合物は、約150g/モル〜約4,000g/モル未満又は約3,000g/モル未満の分子量を有し得る。好適な化合物には、一般式(IV)を有するものが挙げられる。
【0061】
【化4】

【0062】
Xは1〜10の整数である。いくつかの実施形態では、Xは1〜4の整数である。反応性液体改質剤がXにおいて変動する化合物の混合物を含む場合、残基(R)1個当たりのアセトアセトキシ基の平均数は、1〜10の間の非整数であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、残基(R)1個当たりのアセトアセトキシ基の平均数は、約2〜5の範囲であり得る。これは、残基(R)1個当たりのアセトアセトキシ基の平均数が約3.5である実施形態を含む。
【0063】
Yは、O、S又はNHを表す。いくつかの実施形態において、YはOである。
【0064】
Rは、ポリヒドロキシアルキル、ポリヒドロキシアリール若しくはポリヒドロキシアルキルアリール;ポリオキシアルキル、ポリオキシアリール及びポリオキシアルキルアリール;ポリオキシポリヒドロキシアルキル、−アリール、−アルキルアリール;ポリエーテルポリヒドロキシアルキル、−アリール若しくは−アルキルアリール;又はポリエステルポリヒドロキシアルキル、−アリール若しくは−アルキルアリールからなる残基の群から選択される残基を表し、式中、Xが1である場合には、Rは炭素原子を介してYに連結され、Xが1以外の場合には、Rは、Xに相当する数の炭素原子を介して、Yに連結されている。いくつかの実施形態では、Rはポリエーテルポリヒドロキシアルキル、−アリール又は−アルキルアリール残基、又はポリエステルポリヒドロキシアルキル、−アリール又は−アルキルアリール残基を表す。
【0065】
残余部分Rは、例えば、2〜20個の又は2〜10個の炭素原子を含有してもよい。残余部分Rは更に、例えば、2〜20個の又は2〜10個の酸素原子を含有してもよい。残余部分Rは、直鎖又は分岐鎖であってもよい。
【0066】
ポリエステルポリヒドロキシ残基の例には、多塩基性カルボン酸又は多塩基性カルボン酸無水物と、化学量論的過剰量の多価アルコールとの縮合反応から得ることができ、あるいは、多塩基酸、単塩基酸及び多価アルコールの混合物からの縮合反応から得ることができるポリエステルポリヒドロキシ残基が挙げられる。多塩基性カルボン酸、一塩基性カルボン酸又はそれらの無水物の例には、2〜18個の炭素原子を有するものが挙げられる。いくつかの実施形態では、多塩基性カルボン酸、一塩基性カルボン酸又はそれらの無水物は、2〜10個の炭素原子を有する。
【0067】
多塩基性カルボン酸又は多塩基性カルボン酸無水物の例には、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、アゼライン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヒドロフタル酸(例えば、テトラヒドロ酸又はヘキサデヒドロフタル酸)及び対応する無水物並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
一塩基性カルボン酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸など、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
多価アルコールには、2〜18個の炭素原子を有するようなものが挙げられる。いくつかの実施形態では、多価アルコールには、2〜10個の炭素原子を有するようなものが挙げられる。多価アルコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタエリスリトール(pentaerythriol)、グリセロールなど、並びにこれらのポリマーが挙げられる。
【0070】
ポリエーテルポリオール残基の例には、ポリアルキレンオキシドから誘導されるものが挙げられる。通常は、ポリアルキレンオキシドは約2〜約8個の炭素原子のアルキレン基を含有する。いくつかの実施形態では、ポリアルキレンオキシドは、約2〜約4個の炭素原子のアルキレン基を含有する。アルキレン基は、直鎖又は分枝鎖であり得る。ポリエーテルポリオール残基の例には、ポリエチレンオキシドポリオール残基、ポリプロピレンオキシドポリオール残基、ポリテトラメチレンオキシドポリオール残基、などが挙げられる。
【0071】
R’は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチルなどの、C〜C12の直鎖若しくは分枝鎖又は環状のアルキルを表す。
【0072】
アセトアセトキシ官能化オリゴマーは、ポリヒドロキシ化合物と、アルキルアセトアセテート、ジケテン又は例えば、欧州特許第0 847 420(B1)号に記載されているその他のアセトアセチル化化合物のアセトアセチル化により調製することができる。
【0073】
その他のポリヒドロキシ化合物は、アクリレート及び/又はメタクリレートと、ヒドロキシル基を含有する1種以上の不飽和モノマーとのコポリマーであってもよい。ポリヒドロキシポリマーの更なる例には、ヒドロキシル基で末端処理した、ブタジエンとアクリロニトリルとのコポリマー、ヒドロキシ基で末端処理した、有機ポリシロキサン、ポリテトラヒドロフランポリオール、ポリカーボネートポリオール又はカプロラクトン系ポリオール、が挙げられる。
【0074】
アセトアセトキシ官能化ポリマーは例えば、K−FLEX XM−B301及びK−FLEX 7301(どちらもKing Industries(Norwalk,CT)から入手可能)として市販されている。その他のアセトアセトキシ官能化化合物には、MaAcAc 1000MW Oligomer、MaAcAc 2000MW Oligomer、Urethane diAcAc #1及びUrethane diAcAc #2が挙げられ、そのそれぞれについての合成は実施例12に記載される。いくつかの実施形態では、反応性液体改質剤は、トリ−アセトアセテート官能性エステルを含む。
【0075】
本発明の反応性液体改質剤はまた、オキサミドも含み得る。好適なオキサミド系改質剤には、オキサミドエステル末端化ポリプロピレンオキシドを挙げることができ、その合成もまた実施例12に記載される。
【0076】
本発明の構造用接着剤は、約5重量%〜約15重量%の反応性液体改質剤を含み得る。他の実施形態では、構造用接着剤は、約6重量%〜約12重量%の反応性液体改質剤を含み得る。更に他の実施形態では、構造用接着剤は、約6重量%〜約10重量%の反応性液体改質剤を含み得る。
【0077】
金属塩
いくつかの実施形態では、本発明の構造用接着剤は、金属塩触媒を含み得る。本発明の組成物中で使用可能である好適な触媒には、I族金属(例えば、リチウム)、II族金属(例えば、カルシウム及びマグネシウム)又はランタノイド塩(例えば、ランタン)が挙げられ、ここで、アニオンは、ニトレート、ヨウ化物、チオシアネート、トリフレート、アルコキシド、過塩素酸及びスルホネートから選択される。代表的な金属塩には、硝酸ランタン、ランタントリフレート、ヨウ化リチウム、硝酸リチウム、硝酸カルシウム及びこれらの対応する水和物が挙げられる。
【0078】
一般に、触媒量の塩が用いられる。いくつかの実施形態では、構造用接着剤は、約0.05重量%〜3.0重量%未満の金属塩を含有し得る。
【0079】
界面活性剤
界面活性剤は、所望により、基材上の油変位を補助するために構造用接着剤に添加され得る。接着剤配合物中に可溶である任意の界面活性剤が使用され得、これにはイオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び双極性界面活性剤が挙げられる。代表的な界面活性剤には、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル及びポリエチレンソルビトールが挙げられる。
【0080】
反応性希釈剤
反応性希釈剤が、所望により、接着性組成物の流れ特性を制御するために添加され得る。好適な希釈剤は、少なくとも1つの反応性末端部分、及び好ましくは飽和又は不飽和の環状主鎖を有することができる。反応性末端部分にはグリシジルエーテルが挙げられる。好適な希釈剤の例には、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテルが挙げられる。市販の反応性希釈剤は例えば、Reactive Diluent 107(Hexion Specialty Chemical(Houston,TX)から入手可能)及びEPODIL 757(Air Products and Chemical Inc.(Allentown,PA)から入手可能)である。
【0081】
いくつかの実施形態では、構造用接着剤は、約0.001重量%〜25重量%の反応性希釈剤を含有し得る。
【0082】
充填剤
充填剤が、所望により、例えば、接着の促進、腐食耐性の改善、接着剤のレオロジー特性の制御、及び/又は、硬化中の収縮の低減のために、構造用接着剤に添加され得る。充填剤には、シリカゲル、Caシリケート、ホスフェート、モリブデン酸塩、ヒュームドシリカ、ベントナイト、有機粘土などの粘土、アルミニウム三水和物、中空ガラス微小球、中空高分子微小球及びカルシウムカーボネートが挙げられる。代表的な市販の充填剤には、SHIELDEX AC5(W.R.Grace(Columbia,MD,USA)から入手可能な、合成非晶質シリカ、水酸化カルシウム混合物)、CAB−O−SIL TS 720(Cabot GmbH(Hanau,Germany)から入手可能な、ポリジメチルシロキサンポリマーで処理した疎水性ヒュームドシリカ)、AEROSIL VP−R−2935(Degussa(Dusseldorf,Germany)から入手可能な疎水性ヒュームドシリカ)、glass−beads class IV(250〜300マイクロメートル):Micro−billes de verre 180/300(CVP S.A.(France)から入手可能)、glass bubbles K37:非晶質シリカ(3M Deutschland GmbH(Neuss,Germany)から入手可能)、MINSIL SF 20(Minco Inc.(510 Midway,Tennessee,USA)から入手可能)、非晶質の融解シリカ(fused silica)、及びAPYRAL 24 ESF(Nabaltec GmbH(Schwandorf,Germany)から入手可能な、エポキシシラン官能化(2重量%)アルミニウム三水和物)が挙げられる。
【0083】
特に関心のある充填剤には、無機鉱物繊維、有機繊維、並びに、非球形及び/若しくは平板構造を有する繊維が挙げられる。この部類内の好適な充填剤は親油性である傾向を有し、本発明の構造用接着剤に添加されると、他のタイプの充填剤を含有する若しくは充填剤を全く含有しない接着剤を超えて又はそれよりも大きく、接着剤の接合強度を高め得る。例えば、油変位剤1,8−シネオールを含有する構造用接着剤においてCAB−O−SIL TS720(ポリジメチルシロキサン−ポリマーで処理された疎水性ヒュームドシリカ)をCOATFORCE CF50(鉱物繊維)に代えると、T型剥離強度に215%の増加が生じた(実施例S5−A2及びS6−A2を参照されたい)。理論に束縛されるものではないが、これらの充填剤は、被着体の表面にある炭化水素含有物質の少なくとも一部を吸収し得、それゆえに接着接合を強化するものと考えられる。
【0084】
無機鉱物繊維は主に岩、粘土、スラグ又はガラスから製造される、繊維状の無機物である。鉱物繊維には、ガラス繊維(グラスウール及びグラスフィラメント)、ミネラルウール(ロックウール及びスラグウール)及び耐火セラミック繊維が挙げられる。特に好適な鉱物繊維は、10μm未満の平均繊維径を有し得る。いくつかの実施形態では、鉱物繊維は、約37重量%〜約42重量%のSiO、約18重量%〜約23重量%のAl、約34重量%〜約39重量%のCaO+MgO、0重量%〜約1重量%のFeO、及び約3重量%のKO+NaOを含み得る。市販の繊維には例えば、COATFORCE(登録商標)CF50及びCOATFORCE(登録商標)CF10(Lapinus Fibres BV in Roermond,The Netherlandsから入手可能)が挙げられる。他の繊維には、ウォラストナイト(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI,USA))が挙げられる。
【0085】
有機繊維には、SYLOTHIX 52(登録商標)、SYLOTHIX 53(登録商標)及びARBOTHIX PE100(EP Minerals(Reno,NV,USA)から入手可能)、SHORT STUFF(登録商標)ESS2F、SHORT STUFF(登録商標)ESS5F及びSHORTSTUFF(登録商標)ESS5F(MiniFIBERS,INC.(Johnson City,TN,USA)から入手可能)及びINHANCE(登録商標)PEF(Inhance/Fluoro−Seal,Limited(Houston,TX,USA)から入手可能)などの高密度ポリエチレン繊維が挙げられる。有機繊維にはまた、INHANCE(登録商標)KF(Inhance/Fluoro−Seal,Limited(Houston,TX,USA)から入手可能)などの高密度アラミド繊維も挙げられる。
【0086】
非球形及び/又は平板構造を有する充填剤は、Huber 70C及びHuber 2000C(KaMin,LLC(Macon,GA,USA)、海泡石、ベントナイト、珪藻土及び、NPCC−201(NanoMaterials Technology(Singapore)から入手可能)などのナノカルサイトが挙げられる。
【0087】
本発明の構造用接着剤は、約0.001重量%〜約50重量%の充填剤を含み得る。これは、構造用接着剤中の充填剤の量が約2重量%〜約30重量%の充填剤、特に約2重量%〜約10重量%の充填剤の範囲である実施形態を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、本発明の構造用接着剤は、無機鉱物繊維、有機繊維、並びに、非球形及び/若しくは平板構造を有する充填剤、並びにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態では、構造用接着剤は、無機鉱物繊維を含む。更に他の実施形態では、構造用接着剤は、有機繊維を含む。
【0089】
顔料
顔料には、酸化第二鉄、れんが粉、カーボンブラック、酸化チタンなどを含む無機又は有機顔料を挙げてもよい。
【0090】
構造用接着剤組成物
本発明による二液型組成物は、第一部分と、これとは別個の第二部分と、を含む。第一部分は硬化性エポキシ樹脂を含み、第二部分はアミン硬化剤を含む。第二部分は、第一部分内のものに加えて、硬化性エポキシ樹脂を含んでもよい。使用される際、反応性液体改質剤は典型的には第一部分に添加される。任意の残りの成分(例えば、強靭化剤、油変位剤、二次硬化剤、充填剤、反応性希釈剤、金属塩、界面活性剤、顔料など)に関して、エポキシ反応性基を有する化合物は第二部分に添加され、アミン反応性基を有する化合物は第一部分に添加され、エポキシ反応性基もアミン反応性基もいずれも含有しない化合物は第一部分、第二部分又はこれらの組み合わせに添加され得る。あるいは、これらの成分の1つ以上のために別個の部分が想到され得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、第一部分は硬化性エポキシ樹脂、強靭化剤及び油変位剤を含み、第二部分はアミン硬化剤及び二次硬化剤を含む。他の実施形態では、充填剤は第一部分及び/又は第二部分に添加され、充填剤は無機鉱物繊維、有機繊維、並びに、非球形及び/若しくは平板構造を有する繊維、並びにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0092】
二液型構造用接着剤は、第一部分と第二部分を一緒に混合することにより、調製される。第一部分及び第二部分の量は、構造用接着剤における所望のエポキシ対アミン水素のモル比に依存する。いくつかの実施形態では、本発明の構造用接着剤は、硬化性エポキシ樹脂におけるエポキシ部分対アミン硬化剤におけるアミン水素のモル比が約0.5:1〜約3:1の範囲であり得る。他の実施形態では、モル比は約2:1である。更に他の実施形態では、モル比は約1:1である。それぞれの量の第一部分及び第二部分は、好ましくは、使用の直前に混合される。
【0093】
本発明の構造用接着剤は、硬化させた際に以下の1つ以上の機械的特性を有することができる:重ね引っ張り強度により測定される、少なくとも17.2MPa(2500psi)の凝集力、妥当な硬化時間、清浄な金属表面への接着、並びに炭化水素含有物質(様々な油及び潤滑剤など)で汚染された金属表面に対する接着。
【0094】
硬化
本発明の構造用接着剤は、室温硬化性及び/又は熱硬化性である。いくつかの実施形態では、接着剤は、室温にて少なくとも3時間かけて硬化し得る。これは、接着剤が室温にて少なくとも24時間かけて硬化する実施形態を含む。これはまた、接着剤が室温にて少なくとも72時間かけて硬化する実施形態も含む。
【0095】
他の実施形態では、接着剤は室温にて硬化し、その後、後硬化される。これは、接着剤が室温にて約18時間かけて硬化し、その後、約180℃にて約30分かけて後硬化が続く実施形態を含む。
【0096】
更なる実施形態では、接着剤は、短い熱硬化期間後に望ましい凝集力に到達し得る。凝集力は、同一条件にてより長期間組成物を硬化した場合でも依然として増大することもできるので、この種の硬化は、本明細書において部分硬化と呼ばれる。原理上は、部分硬化は任意の加熱方法によって実施することができる。いくつかの実施形態では、誘導硬化(例えば、局部誘導硬化又は環誘導硬化)が部分硬化のために使用され得る。誘導硬化は、誘導コイル(それが材料に接近し、その中に交流が流れる)を配置することによって、電導材料中に熱を発生させるための電力を使用した非接触式加熱法である。ワークコイル内の交流は、被加工物中に循環電流を発生させる電磁場を確立する。被加工物中のこの循環電流は、材料の固有抵抗に逆らって流れ、熱を発生する。誘導硬化装置は、例えば、IFF−GmbH(Ismaning,Germany)からのEWSが市販品として入手可能である。
【0097】
更なる実施形態では、本発明の接着剤は、誘導硬化を起こし得、その後、室温硬化及び後硬化が続き得る。
【0098】
接合強度
硬化時に1つ以上の基材上で頑丈で強固な接合を形成することが、二液型エポキシ系接着剤については望ましい。重ね引っ張り強度試験で試験した際には高い剪断値で、及びT型剥離試験で試験した際には高いT型剥離値で接合が凝集的に離れるならば、接合は強固であると見なされる。接合は以下の3つの異なるモードで離れ得る、(1)凝集破壊モードで、接着剤が、両方の金属表面への接着剤の接着部分を残して裂ける、(2)接着破壊モードで、どちらかの金属表面から接着剤が引き離される、又は(3)接着及び凝集破壊の組み合わせ(すなわち、組み合わせ破壊モード)。本発明の構造用接着剤は、重ね引っ張り強度試験及びT型剥離試験中に、接着及び凝集破壊の組み合わせを、より好ましくは凝集破壊を呈し得る。かかる接着剤は、清浄な基材又は油の付いた基材に適用することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、本発明の構造用接着剤は、室温にて約18時間かけて硬化させ、その後、180℃にて30分置くと、少なくとも6.9MPa(1,000psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。他の実施形態では、構造用接着剤は少なくとも17.2MPa(2500psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。更に他の実施形態では、構造用接着剤は少なくとも27.6MPa(4000psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明の構造用接着剤は、室温にて約18時間かけて硬化させ、その後、180℃にて30分置くと、少なくとも8.7N/cm幅(5lb/インチ幅)のT型剥離強度を有し得る。他の実施形態では、構造用接着剤は少なくとも35N/cm幅(20lb/インチ幅)のT型剥離強度を有し得る。更に他の実施形態では、構造用接着剤は少なくとも52.5N/cm幅(30lb/インチ幅)のT型剥離強度を有し得る。
【0101】
本発明の構造用接着剤は、室温にて約18時間かけて硬化させ、その後、180℃にて30分置くと、少なくとも6.9MPa(1,000psi)の接着面引っ張り強度及び少なくとも8.7N/cm幅(5lb/インチ幅)のT型剥離強度を有し得る。更に、本発明の構造用接着剤は、室温にて約18時間かけて硬化させ、その後、180℃にて30分置くと、少なくとも17.2MPa(2500psi)の接着面引っ張り強度及び少なくとも35N/cm幅(20lb/インチ幅)のT型剥離強度を有し得る。更に、本発明の構造用接着剤は、室温にて約18時間かけて硬化させ、その後、180℃にて30分置くと、少なくとも27.6MPa(4000psi)の接着面引っ張り強度及び少なくとも52.5N/cm幅(30lb/インチ幅)のT型剥離強度を有し得る。
【0102】
接着剤組成物の使用
本発明の接着剤組成物を使用して、接着剤組成物を、接合させるべき2つの部品の間に適用することによって、及び接合継手を形成するために接着剤を硬化させることによって、溶接又は機械的な締結を補完又は完全に排除することもできる。その上に本発明の接着剤を適用することができる好適な基材には、金属(例えば、スチール、鉄、銅、アルミニウムなどと、これらの合金が含まれる)、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス、エポキシ繊維複合材料、木材及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、基材の少なくとも1つは金属である。他の実施形態では、基材の両方が金属である。
【0103】
基材の表面は、構造用接着剤の適用前に洗浄してもよい。しかしながら、本発明の構造用接着剤はまた、表面に炭化水素含有物質を有する基材へと接着剤を適用する場合の適用においても有用である。特に、構造用接着剤は圧延油、切削油、引抜油及びこれらに類するもので汚染されたスチール表面へと適用され得る。
【0104】
接着剤接着の分野では、接着剤は、液体、ペースト、及び加熱によって液化可能な半固体又は固体として適用することができ、あるいは接着剤はスプレーとして適用されてもよい。それは、有用な接着の形成に適合する連続ビード、中間ドット、ストライプ、対角線又はその他のあらゆる幾何学的形状として適用することができる。いくつかの実施形態では、接着剤組成物は液体又はペーストの形態である。
【0105】
接着剤配置の選択肢は、溶着又は機械的締結によって増やしてもよい。溶着は、スポット溶接、連続シーム溶接、又は接着剤組成物と組み合わせることが可能な任意のその他の溶接技術によって行い、機械的にしっかりした継手を形成することができる。
【0106】
本発明による組成物は、構造用接着剤として使用され得る。特に、これらは、船舶、航空機、又は車、モーターバイク若しくは自転車などのモータークラフトの組立などの輸送手段の組立における構造用接着剤として使用され得る。特に、この接着剤組成物は、ヘムフランジ接着剤として使用され得る。この接着剤はまた、ボディフレーム組立においても使用され得る。この組成物はまた、建築における構造用接着剤として、又は家庭及び工業製品における構造用接着剤としても使用され得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明は、複合物品を製造する方法を提供し、この方法は、本発明の二液型接着剤を表面に適用することと、二液型接着剤を表面に接触させたまま硬化して複合物品を形成することと、を含む。
【0108】
他の実施形態では、本発明は、部材間の接合継手を形成する方法を提供し、この方法は、本発明の二液型接着剤を2つ以上の部材のうちの少なくとも1つの表面に適用することと、部材を接合して、二液型接着剤をこれらの2つ以上の部材の間に挟むことと、二液型接着剤を硬化させてこれらの2つ以上の部材の間に接合継手を形成することと、を含む。
【0109】
本発明の組成物は更に、溶接添加剤としても使用することができる。
【0110】
この組成物は、金属−金属接着剤、金属−炭素繊維接着剤、炭素繊維−炭素繊維接着剤、金属−ガラス接着剤、及び、炭素繊維−ガラス接着剤として使用され得る。
【0111】
二液型エポキシ系構造用接着剤の代表的な実施形態は、以下の実施例において提供される。以下の実施例は、構造用接着剤及び構造用接着剤を適用するための方法を説明するために示され、当業者が同様のもののを製造、及び使用することを補助する。実施例は、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0112】
用いられる材料
AEROSIL VP−R−2935(Degussa in Dusseldorf,Germanyから入手可能)は、疎水性ヒュームドシリカである。
【0113】
ANCAMINE K54(Air Products and Chemicals Inc.(Allentown,PA,USA)から入手可能)は、工業銘柄トリス−2,4,6−ジメチルアミノメチル−フェノール触媒第三級アミン添加剤である。
【0114】
アセト酢酸t−ブチル(Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI,USA)から入手可能)。
【0115】
n−ブチルグリシジルエーテル(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0116】
tert−ブチルグリシジルエーテル(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)。
【0117】
CAB−O−SIL TS720(Cabot(Billerica,MA,USA)から入手可能)は、ポリジメチルシロキサンポリマーで処理された疎水性ヒュームドシリカである。
【0118】
CedarDraw 303PX2 Barium Free(ITW Rocol North America(Glenview,IL,USA)から入手可能)は、潤滑油である。
【0119】
1,8−Cineole(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0120】
COATFORCE(登録商標)CF50(Lapinus Fibres BV in Roermond,The Netherlandsから入手可能)は、鉱物繊維である。
【0121】
n−デカン(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0122】
1,2,7,8−ジエポキシオクタン(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0123】
シュウ酸ジエチル(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0124】
EPALLOY 5000(CVC Specialty Chemicals(Moorestown,NJ)から入手可能)は、およそ210のエポキシ当量を有する水素添加ビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。
【0125】
EPODIL 746(Air Products and Chemicals Inc.(Allentown,PA,USA)から入手可能)は、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルである。
【0126】
EPODIL 747(Air Products and Chemicals Inc.(Allentown,PA,USA)から入手可能)は、Epoxide 7と比較可能な脂肪族グリシジルエーテルである。
【0127】
EPODIL 748(Air Products and Chemicals Inc.(Allentown,PA,USA)から入手可能)は、Epoxide 8と比較可能な脂肪族グリシジルエーテルに基づく反応性希釈剤である。
【0128】
EPODIL 757(Air Products and Chemicals Inc.(Allentown,PA,USA)から入手可能)は、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルに基づく反応性希釈剤である。
【0129】
EPON 828(Hexion Specialty Chemicals(Houston,TX,USA)から入手可能)は、およそ187.5のエポキシ当量を有する、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。
【0130】
EPONEX 1510(Hexion Specialty Chemicals(Houston,TX,USA)から入手可能)は、およそ210のエポキシ当量を有する、水素添加ビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。
【0131】
エチルアセテート(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0132】
エチルグリシジルエーテル(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)。
【0133】
直径212〜300μmのガラスビーズ(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI,USAから入手可能)、スペーサーとして使用。
【0134】
(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0135】
n−ヘプタン(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0136】
HUBER 70C(KaMin,LLC(Macon,GA,USA)から入手可能)は、焼成カオリン粘土である。
【0137】
HUBER 2000C(KaMin,LLC(Macon,GA,USA)から入手可能)は、焼成カオリン粘土である。
【0138】
INHANCE(登録商標)PEF(Inhance/Fluoro−Seal,Limited(Houston,TX,USA)から入手可能)は、表面活性化された20μmの直径を有する高密度フィブリル化ポリエチレン繊維である。
【0139】
INHANCE(登録商標)KF(Inhance/Fluoro−Seal,Limited(Houston,TX,USA)から入手可能)は、表面活性化された20μmの直径を有する高密度フィブリル化アラミド繊維である。
【0140】
IOTGA(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)は、チオグリシド酸のイソオクチルエステルである。
【0141】
イソブチルグリシジルエーテル(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI,USA)から入手可能)。
【0142】
イソデシルベンゾエート(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI,USA)から入手可能)。
【0143】
イソプロピルグリシジルエーテル(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)。
【0144】
JEFFAMINE(登録商標)D−400ポリエーテルアミン(Hunstman Corporation(The Woodlands,TX,USA)から入手可能)。
【0145】
KANEKA ACE MX125(Kaneka Texas Corporation(Houston,TX)から入手可能)は、25重量/重量充填量のコア−シェルゴム粒子を含有するビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。
【0146】
K−FLEX XM−311(King Industries(Norwalk,CT,USA)から入手可能)は、ポリウレタンポリオールである。
【0147】
K−FLEX XMB−301(King Industries(Norwalk,CT,USA)から入手可能)は、トリアセトアセテート官能性エステルである。
【0148】
K−FLEX UD−320−1000(King Industries(Norwalk,CT,USA)から入手可能)は、ポリウレタンポリオールである。
【0149】
(+)−リモネン(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)。
【0150】
(+)−リモネンオキシド(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI,USA)から入手可能)。
【0151】
リモネンジオキシド(Pfaltz and Bauer,Inc.(Waterbury,CT,USA)から入手可能)。
【0152】
MaAcAc(Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI,USA)から入手可能)は、2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテートである。
【0153】
メチルグリシジルエーテル(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)。
【0154】
MULTIDRAW(登録商標)KTL N16(Zeller+Gmelin GmbH & Co.KG(Eislingen,Germany)から入手可能)は、深絞り油である。
【0155】
ピアノ線(直径0.127mm(0.005”)及び0.254mm(0.010”))(Small Parts Inc.(Miramar,FL)から入手可能)。
【0156】
NPCC−201は、ナノカルサイトである(NanoMaterials Technology(Singapore)から入手可能)。
【0157】
1−オクタノール(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0158】
2−オクタノール(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)。
【0159】
OEST B804/3 COW−1(Oest Mineralolwerk GmbH & Co.KG(Freudenstadt,Germany)から入手可能)は、深絞り油である。
【0160】
PARALOID EXL 2600(Rohm and Haas Company(Philadelphia,PA,USA)から入手可能)は、粒径約250nmのコア/シェル構造(ポリブタジエン−co−ポリスチレン−コポリマー、シェル:ポリメタクリレートを含む、コアを架橋されたゴム)を備えるメタクリレート/ブタジエン/スチレンポリマーである。
【0161】
PARALOID EXL 2691(Rohm and Haas Company in Philadelphia,PA,USAから入手可能)は、粒径約250nmのコア/シェル構造(ポリブタジエン−co−ポリスチレン−コポリマー、シェル:ポリメタクリレートを含む、コアを架橋されたゴム)を備えるメタクリレート/ブタジエン/スチレンポリマーである。
【0162】
α−ピネン(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)。
【0163】
α−ピネンオキシド(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI,USA)から入手可能)。
【0164】
β−ピネン(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)。
【0165】
β−ピネンオキシド(Acros Organics(Geel,Belgium)から入手可能)。
【0166】
ポリソルベート80(Alfa Aesar(Ward Hill,MA,USA)から入手可能)は、ポリエチレングリコールソルビタルである。
【0167】
SHIELDEX AC5(W.R.Grace(Columbia,MD,USA)から入手可能)は、カルシウム処理されたヒュームドシリカ腐食防止剤である。
【0168】
SHORT STUFF(登録商標)ESS2F(MiniFIBERS,INC.(Johnson City,TN,USA)から入手可能)は、600μmの長さ及び5μmの直径を有する乾燥したフィブリル化ポリエチレンパルプである。
【0169】
SHORT STUFF(登録商標)ESS5F(MiniFIBERS,INC.(Johnson City,TN,USA)から入手可能)は、100μmの長さ及び5μmの直径を有する乾燥したフィブリル化ポリエチレンパルプである。
【0170】
SHORT STUFF(登録商標)ESS5F(MiniFIBERS,INC.(Johnson City,TN,USA)から入手可能)は、100μmの長さ及び5μmの直径を有する親水処理表面を持つ乾燥したフィブリル化ポリエチレンパルプである。
【0171】
SILANE Z−6040(Dow Corning(Midland,MI)から入手可能)は、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランである。
【0172】
SYLOTHIX 52(登録商標)(EP Minerals(Reno,NV,USA)から入手可能)は、400μmの長さのポリエチレン繊維と合成非晶質ケイ酸との組み合わせである。
【0173】
SYLOTHIX 53(登録商標)(EP Minerals(Reno,NV,USA)から入手可能)は、100μmの長さのポリエチレン繊維と合成非晶質ケイ酸との組み合わせである。
【0174】
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)。
【0175】
TTD(TCI America(Portland,OR,USA)から入手可能)は、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンである。
【0176】
VAZO−67又はAIBN(DuPont Chemicals(Wilmington,DE,USA)から入手可能)は、アゾイソブチロニトリルである。
【0177】
ウオラストナイト(Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI,USA)から入手可能)は、ケイ酸カルシウムである。
【0178】
試験パネルの調製
試験試料の調製は、American Society for Testing and Materials(ASTM)Specification D 6386−99及びSociety for Protective Coatings Surface Preparation Specifications and Practices,Surface Preparation Specification No.1に基づく。
【0179】
清浄スチールパネル。リン酸鉄処理したスチールパネル(Type「RS」Steel、10.16cm×2.54cm×0.16cm(4”×1”×0.063”)又は10.16cm×15.24cm×0.16cm(4”×6”×0.063”)、Square Corners,Iron Phosphated(B−1000)、Q−Lab Corporation(Cleveland,OH)から入手可能)又は冷延スチールパネル(Type「S」Steel(30.48cm×2.54cm×0.08cm(12”×1”×0.032”))、Square Corners,1010CRS、Q−Lab Corporation(Cleveland,OH)から入手可能)を、ヘプタンとアセトンの50:50混合物でふき取った。次いで、パネルを、80℃に維持されたアルカリ洗浄バス(45g/Lの三リン酸ナトリウムと45g/LのAlconoxクリーナー)中に60秒間浸漬した。続いてパネルを脱イオン蒸留水でリンスし、80℃のオーブンで乾燥させた。パネルの下塗りした側(ground side)を全ての試験に使用した。
【0180】
油の付いたスチールパネル。好適な油のMaterial Safety Data Sheet(MSDS)から入手された密度データを使用して、コーティングされる領域に対して3g/mのコーティングを得るのに十分な量の油を、洗浄したスチールパネル(上記)上に適用することにより、油の付いたスチールパネルを調製した。ニトリル手袋の清浄な指先を使用して、油を表面上に注意深く均一に塗り広げた。次いで表面にカバーをして、スチールパネルを使用までの24時間にわたって室温で保管した。
【0181】
エッチングしたアルミニウムパネル。Optimized Forest Products Laboratory(FPL)プロセスを使用して、アルミニウムパネル(10.16cm×17.78cm×0.16cm(4”×7”×0.063”)又は7.62cm×20.32cm×0.064cm(3”×8”×0.025”)2024−T3裸アルミニウム)をエッチングした。88℃に維持されたアルカリ性洗浄剤(15,308.74グラムのISOPREPと166.6〜238.5L(44〜63ガロン)の水)にアルミニウムパネルを10分にわたって浸漬した。洗浄剤からアルミニウムパネルを取り出し、水道水でリンスした。次いで55〜60℃に維持されたFPLエッチングバス(10,697グラムの二クロム酸ナトリウム、72,219グラムの96%硫酸、358グラムの2024T3裸アルミニウムと238.9L(63.1ガロン)の水)に、パネルを10分にわたって浸漬した。エッチングバスから取り出した後、パネルは水道水でリンスし、10分にわたって風乾させ、次いで更に55〜60℃で10分にわたって強制乾燥させた。
【0182】
接着面引っ張り強度測定
10.16cm×2.54cm×0.16cm(4”×1”×0.063”)スチールパネル又は10.16cm×17.78cm×0.16cm(4”×7”×0.063”)2024−T3エッチングされたアルミニウムパネルを使用して、接着面引っ張り試料を作製した。ASTM Specification D 1002−05に従って、各試料を調製した。スクレーパーを使用して、およそ1.27cm(”)幅及び0.025cm(0.010”)厚さの接着剤のストリップを2枚のパネル(すなわち、被着体)のそれぞれの一方の端に適用した。スペーサーを使用して、接着層の厚さを制御した。一方法(方法1)では、接着剤内のガラスビーズ(直径212〜300μm)がスペーサーとして機能した。代わりの方法(方法2)では、2本の0.013cm(0.005”)のピアノ線を接合の各端に(剪断の方向に平行に)配置して、スペーサーとして機能させた。接合を閉じ、2.54cm(1”)の大型クリップを用いて挟みつけて、接着剤の塗り広がりを提供するための圧力を供給した。各試験条件について少なくとも5つの接合を作製した。接着剤を硬化させ、室温における破壊について、Sintech引張試験機で、0.25cm/分(0.1”/分)のクロスヘッド変位速度を用いて接合を試験した。破壊荷重を記録し、重なり幅をノギスで測定した。見積もられた接着面引っ張り強度は、破壊荷重/(測定された接着の幅×測定された接着長さ)として算出した。平均及び標準偏差は、特に断りの無い限り少なくとも5回の試験の結果から算出した。
【0183】
T型剥離強度測定
30.48cm×2.54cm×0.081cm(12”×1”×0.032”)の寸法の洗浄したスチールパネルか又は7.62cm×20.32cm×0.064cm(3”×8”×0.025”)の寸法のエッチングされたアルミニウムパネルかのいずれかを使用して、T型剥離試料を作製した。ASTM D−1876に記載され、下記に要約されるように、各試料を作製した。
【0184】
3つの方法のうちの1つを使用して、接着剤を金属パネルに適用した。
【0185】
(方法1)2枚のスチールパネル(すなわち、被着体)を隣同士に配置し、およそ2.54cm×22.86cm×0.025cm(1”×9”×0.010”)の接着剤のストリップをそれぞれ被着体に適用した。接着剤内のガラスビーズ(直径212〜300μm)はスペーサーとして機能した。
【0186】
(方法2)2枚のエッチングされたアルミニウムパネル(すなわち、被着体)を隣同士に配置し、およそ5.08cm×12.7cm×0.025cm(2”×5”×0.010”)の接着剤のストリップをそれぞれ被着体に適用した。接合線厚さ制御のために接合領域の端部に黄銅シム製の10mLの厚さのスペーサーを適用した。
【0187】
(方法3)2枚のスチールパネル(すなわち、被着体)を隣同士に配置し、およそ2.54cm×22.86cm×0.025cm(1”×9”×0.010”)の接着剤のストリップをそれぞれ被着体に適用した。3本の0.025cm(0.010”)のピアノ線を接着の剥離方向と垂直に、1つは接着の開始部に、1つは接着のおよそ中央部に、そして1つは接着の終止部に配置して、スペーサーとして機能した。
【0188】
接着剤を各被着体に適用した後、接合を閉じ、接着テープを適用して、硬化段階中に被着体と共に保持した。アルミホイルのシート間及び更に厚紙の間に接着剤接着を配置した。2枚の14番スチールプレートを使用して、接着剤の展延のために圧力を印加した。接着剤を硬化させた後、より大きな試料を2.54cm(1”)幅の試料へと切断して、2つの2.54cm(1”)幅の試料を得た。Sintech引張試験機にて、クロスヘッド変位速度30.48cm/分(12”/分)を使用し、室温にて、接合が破壊するまで検査した。荷重データの初期部分は無視した。平均荷重は、約2.54cm(1”)剥離した後に測定した。引用されたT型剥離強度は、少なくとも2回の剥離測定の平均値である。
【0189】
実施例1−油変位化合物の同定
落下試験。10.16cm×15.24cm×0.16cm(4”×6”×0.063”)の油の付いたスチールパネル上で表1の化合物を落下試験にかけて、これらのスチールの表面上の炭化水素含有物質を変位する能力を評価した。3g/mのMULTIDRAW(登録商標)KTL N16油を用いて、油の付いたスチールパネルを上記のように調製した。
【0190】
それぞれの化合物の100μL液滴を油の付いたスチールパネルに適用することにより、落下試験を行った。スチールパネルへの適用時に液滴が拡散し、被膜が破裂する場合には、化合物を油変位化合物に分類した。一方、液滴が滞留する場合には、化合物を油変位化合物に分類しなかった。MULTIDRAW(登録商標)KTL N16油について油変位挙動を呈した全化合物は、表1においてアスタリスク()により識別されている。
【0191】
【表1】

【0192】
【表2】

【0193】
は、油変位化合物を指す。
【0194】
表1には各化合物について溶解度パラメータ及び表面張力値も提供されている。溶解度パラメータは、van Krevelen,D.W.「Properties of Polymers:Their Correlation with Chemical Structure:Their Numerical Estimation and Prediction from Additive Group Contributions」(4th Ed.,1990,Elsevier:Amsterdam,The Netherlands,pp.200〜225)に開示される方法を使用して、Molecular Modeling Pro software(ChemSW,Inc.(Fairfield,CA,U.S.A.)から入手可能)で算出された。
【0195】
表面張力値は、例えば、Drop Image Advanced Softwareを備えるRame−Hart F1 Series Goniometerを用いて、「Surface tension:Pendant Drop Shape Analysis」(F.K.Hansen,G.Rodsrun,J.Coll.&Inter.Sci.,141(1991),pp.1〜12)に特定されているようないわゆる懸滴法(懸滴形状分析法とも称される)に従って測定された。
【0196】
概して、油変位挙動を示した(すなわち、油被膜破裂により特徴付けられた)化合物は、低い溶解度パラメータ(7.19〜10.24cal0.5/cm3/2)と、試験された油よりも低い表面張力値と、を有した(油変位化合物は、懸滴落下試験により測定された際に15.6〜31.4mN/mの範囲の表面張力を有した)。
【0197】
実施例2:油変位剤を有する二液型エポキシ接着剤と油変位剤を有さない二液型エポキシ接着剤
エポキシ配合物(第一部分)。表2に要約され、以下に更に詳細に記載されるようにエポキシ配合物を調製した。
【0198】
【表3】

【0199】
エポキシ配合物E2−A2、B2、C2及びD2は、油変位剤1,8−シネオールを含有する。残りの配合物は、油変位剤を含有しない。
【0200】
エポキシ配合物E2−A1の調製。1パイント金属缶に100グラムのEPON 828を充填した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0201】
エポキシ配合物E2−A2の調製。1パイント金属缶に100グラムのEPON 828と5グラムの1,8−シネオールとを充填した。この混合物を均質になるまで混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0202】
エポキシ配合物E2−B1の調製。1パイント金属缶に100グラムのEPON 828を充填した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。8グラムのLapinus COATFORCE(登録商標)CF50を混合物に加え、5分にわたって撹拌した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0203】
エポキシ配合物E2−B2の調製。1パイント金属缶に100グラムのEPON 828と5グラムの1,8−シネオールとを充填した。この混合物を均質になるまで混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。8グラムのLapinus COATFORCE(登録商標)CF50を混合物に加え、5分にわたって撹拌した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0204】
エポキシ配合物E2−C1の調製。1パイント金属缶に100グラムのEPON 828を充填した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。8グラムのSYLOTHIX 53(登録商標)を混合物に加え、5分にわたって撹拌した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0205】
エポキシ配合物E2−C2の調製。1パイント金属缶に100グラムのEPON 828と5グラムの1,8−シネオールとを充填した。この混合物を均質になるまで混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。8グラムのSYLOTHIX 53(登録商標)を混合物に加え、5分にわたって撹拌した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0206】
エポキシ配合物E2−D1の調製。1パイント金属缶に100グラムのEPON 828を充填した。8グラムのSYLOTHIX 53(登録商標)を混合物に加え、5分にわたって撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0207】
エポキシ配合物E2−D2の調製。1パイント金属缶に100グラムのEPON 828と5グラムの1,8−シネオールとを充填した。この混合物を均質になるまで混合した。8グラムのSYLOTHIX 53(登録商標)を混合物に加え、5分にわたって撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0208】
アミン配合物A1(第二部分)。600mLガラスビーカー内において、117グラムのTTDを25.4グラムのANCAMINE K54と、室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。この混合物を均質になるまで撹拌し、次にこれを脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0209】
接着剤。各接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表3に要約されている。金属カップ中でアミン配合物A1をそれぞれのエポキシ配合物と均質になるまで混合することにより、各接着剤を作製した。
【0210】
【表4】

【0211】
接着剤配合物S2−A2、B2、C2及びD2は、油変位剤1,8−シネオールを含有する。残りの配合物は、油変位剤を含有しない。
【0212】
3g/mのZeller−Gmelin KTL N 16油を用い、ガラスビーズをスペーサーとして1セットの接着面引っ張り継手上に軽く散乱させた(接合線表面の1%未満の適用範囲)、油の付いたスチールパネルから接着面引っ張り試料(方法1)を調製した。接着剤S2−A1、A2、B1及びB2を室温にて18時間、その後、熱プレスにおいて180℃にて30分硬化させた。接着剤S2−C1、C2、D1及びD2を室温にて18時間硬化させた。接着面引っ張り測定の結果を表3に示す。
【0213】
接合線内で10mLワイヤスペーサーを使用して、3g/mのZeller−Gmelin KTL N 16油を用いた、油の付いたスチールパネルからT型剥離試料(方法3)を調製した。接着剤S2−A1、A2、B1及びB2を室温にて18時間、その後、熱プレスにおいて180℃にて30分硬化させた。接着剤S2−C1、C2、D1及びD2を室温にて18時間硬化させた。T型剥離測定の結果を表3に示す。
【0214】
実施例3:高濃度の油変位剤を有する二液型エポキシ接着剤
エポキシ配合物(第一部分)。表4に要約され、以下に更に詳細に記載されるように、エポキシ配合物を調製した。
【0215】
【表5】

【0216】
エポキシ配合物E3−A、B及びCはそれぞれ、油変位剤α−ピネンオキシド、リモネンオキシド及び1,8−シネオールを含有する。エポキシ配合物E3−Dは油変位剤を含有しない。EPODIL 757は反応性希釈剤である。
【0217】
600mLガラスビーカー内において、100gのEPON 828を26.5グラムの油変位剤(又はE3−Dの場合には希釈剤)と室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。15グラムのPARALOID EXL 2600をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。このEPON 828混合物を熱源から外し、室温に冷却させ、配合物の残りの成分を加えた。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0218】
アミン配合物A1(第二部分)。実施例2に記載したように、アミン配合物A1を調製した。
【0219】
接着剤。各接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表5に要約されている。アミン配合物A1と、それぞれのエポキシ配合物と、0.3グラムのガラスビーズと、を金属カップ内で均質になるまで混合することにより、各接着剤を作製した。
【0220】
【表6】

【0221】
接着剤配合物S3−A、B及びCはそれぞれ、油変位剤α−ピネンオキシド、リモネンオキシド及び1,8−シネオールを含有する。接着剤配合物S3−Dは油変位剤を含有しない。
【0222】
以下の条件下で各接着剤の接着面引っ張り性能及びT型剥離性能を測定した。
【0223】
1.a.エッチングされたアルミニウムから接着面引っ張り試料(方法1)及びT型剥離試料(方法2)を調製した。接着剤接合を室温にて18時間、その後、13.8MPa(2000psi)において熱プレス内で180℃にて30分硬化させた。結果を、表6に要約する。全ての接着剤は、接着面引っ張り強度試験及びT型剥離強度試験の両方で凝集モード破壊を呈した。
【0224】
【表7】

【0225】
1.b.3g/mのOEST B804/3 COW−1油を用いた、油の付いたスチールパネルから接着面引っ張り試料(方法1)及びT型剥離試料(方法1)を調製した。接着剤接合を室温にて18時間、その後、13.8MPa(2000psi)において熱プレス内で180℃にて30分硬化させた。結果を表7に要約する。
【0226】
【表8】

【0227】
S3−A、B及びCは油変位剤を含有した。S3−Dは油変位剤を含有しなかった。しかしながら、硬化性エポキシ基の硬化剤アミノ基に対する重量比はまた他の例のものよりもいくらか低い。接着面引っ張り強度試験中、接着剤S3−A、B及びCはそれぞれ明白な混合モード破壊を呈したが、これに対して、接着剤S3−Dは、明白な接着破壊を呈した。T型剥離強度試験中、全ての接着剤は明白な接着破壊を呈した。
【0228】
1.c.3g/mのOEST B804/3 COW−1油を用いた、油の付いたスチールパネルから接着面引っ張り試料(方法1)及びT型剥離試料(方法1)を調製した。接着接合を室温にて最短でも72時間にわたって硬化させた。結果を表8に要約する。全ての接着剤は、接着面引っ張り強度試験及びT型剥離強度試験の両方で明白な接着破壊を呈した。
【0229】
【表9】

【0230】
この組成物に対しては、4つの接着面引っ張り試験試料のみを作製した。
【0231】
実施例4:様々な油変位剤を含む二液型エポキシ接着剤
エポキシ配合物(第一部分)。表9に要約され、以下に更に詳細に記載されるように、エポキシ配合物を調製した。
【0232】
【表10】

【0233】
600mLガラスビーカー内において、85グラムのEPON 828と15グラムのEPONEX 1510とを5グラムのそれぞれ対応する希釈剤と室温にてプロペラミキサーを使用することにより混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。このEPON 828混合物を熱源から外し、室温に冷却させ、配合物の残りの成分を加えた。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、得られた混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0234】
アミン配合物A1(第二部分)。実施例2に記載したように、アミン配合物A1を調製した。
【0235】
接着剤。各接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表10に要約されている。アミン配合物A1と、それぞれのエポキシ配合物と、0.3グラムのガラスビーズと、を金属カップ内で均質になるまで混合することにより、各接着剤を作製した。
【0236】
【表11】

【0237】
3g/mのOEST B804/3 COW−1油を用いた、油の付いたスチールパネルから接着面引っ張り試料(方法1)及びT型剥離試料(方法1)を調製した。接着剤接合を室温にて18時間、その後、13.8MPa(2000psi)において熱プレス内で180℃にて30分硬化させた。結果を表10に要約する。全ての接着剤は、接着面引っ張り強度試験及びT型剥離強度試験の両方で明白な混合モード破壊を呈した。
【0238】
実施例5:充填剤を含有する二液型接着剤
エポキシ配合物(第一部分)。表11に要約され、以下に更に詳細に記載されるように、エポキシ配合物を調製した。
【0239】
【表12】

【0240】
エポキシ配合物E5−A2及びBは、油変位剤1,8−シネオールを含有する。エポキシ配合物E5−A1は油変位剤を含有しない。EPODIL 757は反応性希釈剤である。
【0241】
エポキシ配合物E5−A1の調製。1パイント金属缶内において、85グラムのEPON 828を15グラムのEPONEX 1510と5グラムのEPODIL 757と室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。13.1グラムのK−FLEX XMB−301を混合物にゆっくりと加え、混合物を1分にわたって撹拌した。2グラムのCAB−O−SIL TS−720をEPON 828混合物に加え、混合物中にシリカが十分に分散するまで混合物を800RPMで撹拌した(およそ5分)。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0242】
エポキシ配合物E5−A2の調製。1パイント金属缶内において、85グラムのEPON 828を15グラムのEPONEX 1510と5グラムの1,8−シネオールと室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。13.1グラムのK−FLEX XMB−301を混合物にゆっくりと加え、混合物を1分にわたって撹拌した。2グラムのCAB−O−SIL TS−720をEPON 828混合物に加え、混合物中にシリカが十分に分散するまで混合物を800RPMで撹拌した(およそ5分)。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0243】
エポキシ配合物E5−Bの調製。600mLガラスビーカー内において、85グラムのEPON 828と15gのEPONEX 1510とを5グラムの1,8−シネオールと室温にてプロペラミキサーを使用することにより混合した。15グラムのPARALOID EXL 2600をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。このEPON 828混合物を熱源から外し、室温に冷却させ、配合物の残りの成分を加えた。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0244】
アミン配合物A1(第二部分)。実施例2に記載したように、アミン配合物A1を調製した。
【0245】
接着剤。各接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表12に要約されている。金属カップ中でアミン配合物A1をそれぞれのエポキシ配合物と均質になるまで混合することにより、各接着剤を作製した。
【0246】
【表13】

【0247】
この組成物に対しては、4つのT型剥離試験試料のみを作製した。
【0248】
**接着面引っ張り測定を行わなかった。
【0249】
3g/mのMULTIDRAW(登録商標)KTL N16油を用いた、油の付いたスチールパネルから接着面引っ張り試料(方法2)及びT型剥離試料(方法3)を調製した。接着剤接合を室温にて18時間、その後、およそ138kPa(20psi)において熱プレス内で180℃にて30分硬化させた。結果を表12に要約する。
【0250】
接着剤S5−A1及びA2は、接着面引っ張り強度試験及びT型剥離強度試験の両方で明白な混合モード破壊を呈した。接着剤S5−Bは、T型剥離強度試験中に明白な混合モード破壊を呈した。
【0251】
実施例6:無機鉱物繊維又は非球形平板構造を有する充填剤を持つ二液型エポキシ接着剤
エポキシ配合物(第一部分)。表13に要約され、以下に更に詳細に記載されるように、エポキシ配合物を調製した。
【0252】
【表14】

【0253】
エポキシ配合物E6−A1の調製。1パイント金属缶内において、85グラムのEPON 828を15グラムのEPONEX 1510と5グラムのEPODIL 757と室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。13.1グラムのK−FLEX XMB−301を混合物にゆっくりと加え、混合物を1分にわたって撹拌した。8グラムのLapinus COATFORCE(登録商標)CF50繊維をEPON 828混合物に加え、この混合物を繊維が混合物中に十分に分散するまで800rpmで撹拌した(およそ5分)。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0254】
エポキシ配合物E6−A2の調製。1パイント金属缶内において、85グラムのEPON 828を15グラムのEPONEX 1510と5グラムの1,8−シネオールと室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。13.1グラムのK−FLEX XMB−301を混合物にゆっくりと加え、混合物を1分にわたって撹拌した。8グラムのLapinus COATFORCE(登録商標)CF50繊維をEPON 828混合物に加え、この混合物を繊維が混合物中に十分に分散するまで800RPMで撹拌した(およそ5分)。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0255】
エポキシ配合物E6−B、C及びDの調製。600mLガラスビーカー内において、85グラムのEPON 828と15gのEPONEX 1510とを5グラムの1,8−シネオールと室温にてプロペラミキサーを使用することにより混合した。15グラムのPARALOID EXL 2600をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。このEPON 828混合物を熱源から外し、室温に冷却させ、配合物の残りの成分を加えた。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0256】
アミン配合物A1(第二部分)。実施例2に記載したように、アミン配合物A1を調製した。
【0257】
接着剤。各接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表14に要約されている。金属カップ中でアミン配合物A1とそれぞれのエポキシ配合物とを均質になるまで混合することにより、各接着剤を作製した。
【0258】
【表15】

【0259】
この組成物に対しては、4つのT型剥離試験試料のみを作製した。
【0260】
**接着面引っ張り測定を行わなかった。
【0261】
3g/mのMULTIDRAW(登録商標)KTL N16油を用いた、油の付いたスチールパネルから接着面引っ張り試料(方法2)及びT型剥離試料(方法3)を調製した。接着剤接合を室温にて18時間、その後、およそ138kPa(20psi)において熱プレス内で180℃にて30分硬化させた。結果を表12に要約する。接着面引っ張り試験中、S6−A1は、明白な混合モード破壊を呈し、S6−A2は凝集破壊を呈した。T剥離試験中、S6−A1及びBは混合モード破壊を呈し、S−A2、C及びDは凝集破壊を呈した。
【0262】
実施例7:充填剤/繊維の組み合わせを有する二液型エポキシ接着剤
エポキシ配合物(第一部分)。表15に要約され、以下に更に詳細に記載されるようにエポキシ配合物を調製した。
【0263】
【表16】

【0264】
1パイント金属缶内において、85グラムのEPON 828を15グラムのEPONEX 1510と5グラムの1,8−シネオールと室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。13.1グラムのK−FLEX XMB−301を混合物にゆっくりと加え、混合物を1分にわたって撹拌した。3.8グラムの(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランを混合物にゆっくりと加え、この混合物を1分にわたって撹拌した。8グラムのLapinus COATFORCE(登録商標)CF50繊維をEPON 828混合物に加え、この混合物を繊維が混合物中に十分に分散するまで800RPMで撹拌した(およそ5分)。8グラムのSHIELDEX AC5を混合物にゆっくりと加え、この混合物を1分にわたって撹拌した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0265】
アミン配合物A1(第二部分)。実施例2に記載したように、アミン配合物A1を調製した。
【0266】
アミン配合物A2(第二部分)。1パイント金属缶内に117グラムのTTDを74.5グラムのEPONEX 1510と1時間にわたって80℃に加熱した。続いて、9.8グラムの硝酸カルシウムを溶液に加え、80℃で1時間にわたって混合した。次に、25.4グラムのANCAMINE K54を溶液に加え、80℃で6時間にわたって混合した。得られた溶液を室温に冷却させ、脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0267】
接着剤(誘導硬化)。接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表16に要約されている。アミン配合物A1と、それぞれのエポキシ配合物と、0.3グラムのガラスビーズと、を金属カップ内で均質になるまで混合することにより、接着剤を作製した。
【0268】
【表17】

【0269】
3g/mのMULTIDRAW(登録商標)KTL N16油を用いた、油の付いた10.16cm×2.54cm×0.16cm(4”×1”×0.063”)スチールパネルから接着面引っ張り試料を調製した。スクレーパーを使用して、およそ1.27cm(1/2”)幅及び0.025cm(0.010”)厚さの接着剤のストリップを2枚のパネル(すなわち、被着体)のそれぞれの一方の端に適用した。2.54cm(1”)バインダークリップを使用して、この接着接合を直ちにクランプ付けし、Miller Induction Heating System(Miller Electric Manufacturing Co.(Appleton,WI,USA)から入手可能)内で誘導硬化させた。このシステムは、モデルIHPS5 10−5 Induction Heatingパワーシステムと、モデルIHCA 25−50誘導加熱制御機と、Radiator 1A冷却システムと、を含んだ。試料を誘導加熱ユニットに配置し、誘導加熱コイルで10秒にわたって加熱して、40秒にわたって約120℃の接合線温度を得た。室温に達したところで、直ちに、室温における破壊について、Sintech引張試験機で、0.025cm/分(0.1”/分)のクロスヘッド変位速度を用いて接合を試験した。破壊荷重を記録した。接着面幅は、ノギスにて測定した。見積もられた接着面引っ張り強度は、破壊荷重/(測定された接着の幅×測定された接着長さ)として算出した。平均及び標準偏差は、特に断りの無い限り少なくとも5回の試験の結果から算出した。試料は、2.0±0.8MPa(296.8±113.4psi)の接着面引っ張り強度を呈し、明白な混合モード破壊を有した。
【0270】
粘着剤(室温硬化)。各接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表17に要約されている。アミン配合物A2と、それぞれのエポキシ配合物と、0.3グラムのガラスビーズと、を金属カップ内で均質になるまで混合することにより、接着剤を作製した。
【0271】
【表18】

【0272】
3g/mのMULTIDRAW(登録商標)KTL N16油を用いた、油の付いたスチールパネルから接着面引っ張り試料(方法1)を調製した。接着接合を室温にて3時間にわたって硬化させた。試料は、14.4±2.3MPa(2095±329psi)の接着面引っ張り強度を呈し、明白な混合モード破壊を有した。
【0273】
実施例8:SYLOTHIXを用いる二液型エポキシ粘着剤
エポキシ配合物(第一部分)。表18に要約され、以下に更に詳細に記載されるように、エポキシ配合物を調製した。
【0274】
【表19】

【0275】
エポキシ配合物E8−Aの調製。1パイント金属缶内において、85グラムのEPON 828を15グラムのEPONEX 1510と5グラムのEPODIL 757と室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。13.1グラムのK−FLEX XMB−301を混合物にゆっくりと加え、混合物を1分にわたって撹拌した。8グラムのSYLOTHIX 52(登録商標)繊維をEPON 828混合物に加え、この混合物を繊維が混合物中に十分に分散するまで800RPMで撹拌した(およそ5分)。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0276】
エポキシ配合物E8−Bの調製。1パイント金属缶内において、85グラムのEPON 828を15グラムのEPONEX 1510と5グラムの1,8−シネオールと室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。13.1グラムのK−FLEX XMB−301を混合物にゆっくりと加え、混合物を1分にわたって撹拌した。8グラムのSYLOTHIX 53(登録商標)繊維をEPON 828混合物に加え、この混合物を繊維が混合物中に十分に分散するまで800RPMで撹拌した(およそ5分)。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0277】
アミン配合物A1(第二部分)。実施例2に記載したように、アミン配合物A1を調製した。
【0278】
接着剤(室温硬化+後硬化)。各接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表19に要約されている。金属カップ中でアミン配合物A1とそれぞれのエポキシ配合物とを均質になるまで混合することにより、各接着剤を作製した。
【0279】
【表20】

【0280】
3g/mのMULTIDRAW(登録商標)KTL N16油を用いた、油の付いたスチールパネルから接着面引っ張り試料(方法1)及びT型剥離試料(方法3)を調製した。接着剤接合を室温にて18時間、その後、およそ13.8MPa(20psi)において熱プレス内で180℃にて30分硬化させた。接着結合強度検査の結果を表19に示す。どちらの接着剤も接着面引っ張り及びT型剥離強度試験中に凝集破壊を呈した。
【0281】
接着剤(室温硬化)。各接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表20に要約されている。金属カップ中でアミン配合物A1とそれぞれのエポキシ配合物とを均質になるまで混合することにより、各接着剤を作製した。
【0282】
【表21】

【0283】
3g/mのMULTIDRAW(登録商標)KTL N16油を用いた、油の付いたスチールパネルから接着面引っ張り試料(方法1)及びT型剥離試料(方法3)を調製した。接着接合を室温にて最短でも24時間にわたって硬化させた。接着結合強度検査の結果を表20に示す。どちらの接着剤も接着面引っ張り及びT型剥離強度試験中に凝集破壊を呈した。
【0284】
実施例9:様々な充填剤を有する二液型エポキシ接着剤
エポキシ配合物(第一部分)。表21に要約され、以下に更に詳細に記載されるように、エポキシ配合物を調製した。
【0285】
【表22】

【0286】
エポキシ配合物E9−A〜Eの調製。1パイント金属缶内において、80グラムのEPON 828を20グラムのEPONEX 1510と7.5グラムのイソデシルベンゾエートと室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。3.8グラムのSILANE Z−6040を混合物にゆっくりと加え、混合物を1分にわたって撹拌した。8グラムの繊維をEPON 828混合物に加え、この混合物を繊維が混合物中に十分に分散するまで800RPMで撹拌した(およそ5分)。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0287】
アミン配合物A1(第二部分)。実施例2に記載したように、アミン配合物A1を調製した。
【0288】
接着剤S9−A〜Eの調製。各接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表22に要約されている。金属カップ中でアミン配合物A1とそれぞれのエポキシ配合物とを均質になるまで混合することにより、各接着剤を作製した。
【0289】
【表23】

【0290】
様々な条件下で接着剤を硬化させ、これらの接着面引っ張り強度及び/又はT型剥離強度を測定した。
【0291】
全ての接着面引っ張り強度測定は、方法1に従って行った。接合の形成に先立って、硬化しつつある接着剤中に1%(重量/重量)の量でガラスビーズを加えた。各試験条件について少なくとも3つの接合を作製した。報告された接着面引っ張り強度及び標準偏差は、少なくとも3つの試験測定値の平均である。
【0292】
全てのT型剥離強度測定は、測定がより大きな試料で行われた(すなわち、試料を2.54cm(1”)幅の試料に切り分けなかった)ことを除き、方法3に従って行った。T型剥離強度及び標準偏差は、少なくとも3つの試験測定値の平均である。
【0293】
1.a.清浄な冷間圧延スチールパネルからT型剥離試料を調製した。接着接合を室温にて最短でも24時間にわたって硬化させた。結果を表23に要約する。
【0294】
【表24】

【0295】
1.b.3g/mのMULTIDRAW(登録商標)KTL N16を用いた、油の付いたスチールパネルから接着面引っ張り試料及びT型剥離試料を調製した。接着接合を室温にて最短でも24時間にわたって硬化させた。結果を表24に要約する。
【0296】
【表25】

【0297】
TCF−薄い凝集破壊;MM−混合モード破壊
1.c.3g/mのMULTIDRAW(登録商標)KTL N16を用いた、油の付いたスチールパネルから接着面引っ張り試料を調製した。接着接合を室温にて最短でも24時間にわたって硬化させ、177℃にて45分にわたって硬化させ、次に、試験まで室温に冷却した。接着接合を80℃にて試験した。結果を表25に要約する。
【0298】
【表26】

【0299】
MM−混合モード破壊
実施例10:ナノカルサイトを有する二液型エポキシ接着剤
エポキシ配合物(第一部分)。表26に要約され、以下に更に詳細に記載されるように、エポキシ配合物を調製した。
【0300】
【表27】

【0301】
NPCC−201/EPON 828マスターバッチの調製。SilversonモデルL4R高剪断ミキサーを使用して、NPCC−201をトルエン中に25%固形分にて分散した。これを10分にわたって混合したところ、滑らかな混合物を生じた。次に、このトルエン分散液をEPON 828に加え、トルエンをロータリーエバポレーターで除去した。得られたマスターバッチは、EPON 828中に20重量%のナノカルサイトであった。
【0302】
エポキシ配合物E10−Aの調製。1パイント金属缶内において、27.2グラムのEPON 828を63.16グラムのNPCC−201/EPON 828マスターバッチと、20グラムのEPONEX 1510と、7.5グラムのイソデシルベンゾエートと、室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。15グラムのPARALOID EXL 2600をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。3.8グラムのSILANE Z−6040を混合物にゆっくりと加え、混合物を1分にわたって撹拌した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0303】
エポキシ配合物E10−Bの調製。1パイント金属缶内において、80グラムのEPON 828を20グラムのEPONEX 1510と7.5グラムのイソデシルベンゾエートと室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。15グラムのPARALOID EXL 2600をゆっくりと加え、15分にわたってEPON 828混合物中に混合した。続いて、このEPON 828混合物を80℃に加熱し、その温度で90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。3.8グラムのSILANE Z−6040を混合物にゆっくりと加え、混合物を1分にわたって撹拌した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して撹拌した。全成分を加えた後、このEPON 828混合物を脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0304】
アミン配合物A3(第二部分)。1パイント金属缶内に、117グラムのTTDを28.5グラムのANCAMINE K54と、室温にてプロペラミキサーを使用して混合した。この混合物を均質になるまで撹拌し、次にこれを脱気し、使用まで室温にて密閉容器内に保管した。
【0305】
接着剤配合物S10−A1〜4。各接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表27に要約されている。金属カップ中でアミン配合物A3をエポキシ配合物E10−Aと均質になるまで混合することにより、各接着剤を作製した。
【0306】
【表28】

【0307】
T型剥離強度測定は、測定がより大きな試料で行われた(すなわち、試料を2.54cm(1”)幅の試料に切り分けなかった)ことを除き、方法3に従って行った。清浄な冷間圧延スチールパネルから、あるいは、3g/mのMULTIDRAW(登録商標)KTL N16(KTL)、OEST B804/3 COW−1(COW)又はCedar Draw 303PX2 Barium Free(CD 303)を用いた、油の付いたスチールパネルから、T型剥離試料を調製した。接着接合を室温にて最短でも24時間、続いて、180℃にて30分にわたって硬化させた。T型剥離強度及び標準偏差は、少なくとも3つの試験測定値の平均である。
【0308】
接着剤配合物S10−B1〜4。各接着剤を作製するために使用したアミン配合物(第二部分)及びエポキシ配合物(第一部分)の量は、表28に要約されている。金属カップ中でアミン配合物A3をエポキシ配合物E10−Bと均質になるまで混合することにより、各接着剤を作製した。
【0309】
【表29】

【0310】
T型剥離強度測定は、測定がより大きな試料で行われた(すなわち、試料を2.54cm(1”)幅の試料に切り分けなかった)ことを除き、方法3に従って行った。清浄な冷間圧延スチールパネルから、あるいは、3g/mのMULTIDRAW(登録商標)KTL N16(KTL)、OEST B804/3 COW−1(COW)又はCedar Draw 303PX2 Barium Free(CD 303)を用いた、油の付いたスチールパネルから、T型剥離試料を調製した。接着接合を室温にて最短でも24時間、続いて、180℃にて30分にわたって硬化させた。T型剥離強度及び標準偏差は、少なくとも3つの試験測定値の平均である。
【0311】
実施例11:二液型エポキシ接着剤
エポキシ接着剤の調製。DACスピードミキサーに87.52グラムのKANEKA ACE MX125と、79.5グラムのEPON 828と、10グラムのK−FLEX XMB−301と、3グラムのSILANE Z−6040と、20グラムのEPALLOY 5000と、を充填した。このエポキシ混合物をFlackTek SpeedMixer DAC(Landrum,SC)内で2500RPMにておよそ1分にわたって混合した。次に、100グラムのエポキシ混合物をDACスピードミキサーカップ内に配置し、この混合物に4グラムの1,8−シネオールと6グラムのSYLOTHIX 53とを加えた。次に、この混合物をFlackTek Speed Mixer DAC内で2500RPMにておよそ1分にわたって混合した。この混合物を真空下で脱気し、2:1シリンジのより大きな容積の方の中に充填した。シリンジのより小さな容積の方に、SCOTCH−WELD Epoxy Adhesive DP420 Black(Part A)(3M,St Paul,MN)からのAサイドの硬化剤を充填した。適用時には、3M EPXディスペンサー及び静的ミキサーを使用して、2:1シリンジカートリッジからこの接着剤を分配した。
【0312】
接着剤試料の調製。3g/mのZeller−Gmelin KTL N 16及び接合線内のガラスビーズを用いた油の付いたアルミニウムパネルから重ね引っ張り(方法1)試料を調製した。接合線内で10mLワイヤスペーサーを使用して、3g/mのZeller−Gmelin KTL N 16油を用いた、油の付いたスチールパネルからT型剥離試料(方法3)を調製した。接着剤を室温にて18時間にわたって硬化させた。重ね引っ張り値(3つの試料からの)は27.8±3.9MPa(4039±572psi)であり、凝集破壊であった。T型剥離値(3つの試料からの)は53.1±13.0N/cm幅(30.3±7.4(lb/インチ幅)であり、明白な混合モード破壊であった。
【0313】
実施例12:反応性液体改質剤の合成
DEO−400。オキサミドエステル末端化ポリプロピレンオキシドは、以下の反応スキームに従って調製した。
【0314】
【化5】

【0315】
シーブ乾燥させた730.70グラムのジエチルオキサラートと、ヘッドスペースをパージするのに十分な量のアルゴンとを2Lのフラスコに添加した。滴下漏斗を用いて、200.00グラムのJEFFAMINE(登録商標)D−400を激しく撹拌しながら90分にわたって滴加した。蒸留アルゴンスパージ(distillation-argon sparge)(サブ表面(sub-surface))のためのセットアップを用いて、過剰なジエチルオキサラートとエタノールを留去するために、フラスコ内の内容物の温度をゆっくりと150℃へと上昇させた。得られた生成物は、ウィスキーブラウン色の、重量273.2グラムの透明な液体で、3,400cPの粘度を有していた。
【0316】
MaAcAc 1000 MWオリゴマー(AcAc1K)。20グラムのMaAcAcと、4.75グラムのIOTGAと、0.051グラムのVAZO 67と、30グラムのエチルアセテートと、を4oz.のガラス製の重合ボトルに充填した。ボトルは窒素で5分間パージし、密閉し、60℃に維持したウォーターバスに24時間浸した。次いで反応混合物をバスから取り外し、真空下で溶媒を除去した。H NMR(CDCl)における、骨格プロトン(backbone protons)に対しての末端フラグメントプロトン(tail fragment protons)のピーク比は、1分子あたりおよそ4.65の繰り返し単位、又は270のエポキシド当量(EEW)を示した。
【0317】
20グラムのMaAcAc 2000 MW Oligomer(AcAc2K)と、2.32グラムのIOTGAと、0.051グラムのVAZO 67と、30グラムのエチルアセテートと、を4oz.のガラス製の重合ボトルに充填した。ボトルは窒素で5分間パージし、密閉し、60℃に維持したウォーターバスに24時間浸した。次いで反応混合物をバスから取り外し、真空下で溶媒を除去した。H NMR(CDCl)における、骨格プロトン(backbone protons)に対しての末端フラグメントプロトン(tail fragment protons)のピーク比は、1分子あたりおよそ9繰り返し単位、又は243のEEWを示した。
【0318】
ウレタンジAcAc #1(AcAcUD)。35グラムのアセト酢酸t−ブチルを20グラムのK−FLEX UD−320−100に加えた。得られた混合物を120℃へと加熱し、vigoreaux凝縮器を用いて一晩還流した。次いで反応生成物を真空下で蒸留して過剰なアセト酢酸t−ブチルを除去した。H NMR(CDCl)は、Urethane diAcAc #1が本質的に純粋であることを裏付ける。
【0319】
ウレタンジAcAc #2(AcAcXM)。50グラムのアセト酢酸t−ブチルを20グラムのK−FLEX XM−311に加えた。得られた混合物を120℃へと加熱し、vigoreaux凝縮器を用いて一晩還流した。次いで反応生成物を真空下で蒸留して過剰なアセト酢酸t−ブチルを除去した。H NMR(CDCl)は、Urethane diAcAc #2が本質的に純粋であることを裏付ける。
【0320】
上記に述べ、図面に示した実施形態はあくまで一例として示したものであり、本発明の概念及び原理に対する限定を目的としたものではない。したがって、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく各要素並びにその構成及び配置における様々な変更が可能である点は認識されるであろう。
【0321】
それゆえに、本発明は、とりわけ、二液型エポキシ系構造用接着剤を提供する。本発明の種々の特徴及び利点は、添付の請求項に定める。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部分と第二部分を有する二液型接着剤組成物であって、前記接着剤組成物は、
前記第一部分にある硬化性エポキシ樹脂と、
前記第二部分にあるアミン硬化剤と、
前記第一部分、前記第二部分又はこれらの組み合わせにある強靭化剤と、
前記第一部分、前記第二部分又はこれらの組み合わせにある油変位剤とを含み、
前記第一部分と前記第二部分が接着剤を形成するために組み合わされる、二液型接着剤組成物。
【請求項2】
前記硬化性エポキシ樹脂がビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記強靭化剤がコア/シェル型ポリマー、アクリルポリマー、ブタジエンニトリルゴム及びこれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記強靭化剤が、ブタジエンポリマー、ブタジエンコポリマー、スチレンポリマー、スチレンコポリマー又はブタジエン−スチレンコポリマーを含むコアと、ポリアクリレートポリマー又はポリアクリレートコポリマーを含むシェルと、を有するコア/シェル型ポリマーを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記油変位剤が約35mN/m未満の表面張力を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記油変位剤が約15〜約32mN/mの範囲の表面張力を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記油変位剤が約7〜約10.5cal0.5/cm3/2の範囲の溶解度パラメータを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記油変位剤が1,8−シネオール、α−ピネンオキシド、リモネンオキシド、C〜C10グリシジルエーテル又はこれらの組み合わせを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記接着剤組成物が約0.01重量%〜約25重量%の油変位剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記硬化性エポキシ樹脂が1つ以上のエポキシ部分を有し、前記アミン硬化剤が1つ以上のアミン水素を有し、前記硬化性エポキシ樹脂におけるエポキシ部分対前記アミン硬化剤におけるアミン水素のモル比が約0.5:1〜約3:1の範囲である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記第一部分、前記第二部分又はこれらの組み合わせに反応性液体改質剤を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記反応性液体改質剤がトリ−アセトアセテート官能性エステルを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記反応性液体改質剤がオキサミドエステル末端化ポリプロピレンオキシドを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記第一部分、前記第二部分又はこれらの組み合わせに充填剤を更に含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記充填剤が無機鉱物繊維、有機繊維、非球形構造を有する繊維、平板構造を有する繊維又はこれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記充填剤が高密度ポリエチレン繊維である、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記充填剤が、約37重量%〜約42重量%のSiO、約18重量%〜約23重量%のAl、約34重量%〜約39重量%のCaO+MgO、0重量%〜約1重量%のFeO、及び約3重量%のKO+NaOを含む無機鉱物繊維を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
室温にて18時間、続いて、180℃にて30分にわたって硬化させた前記接着剤組成物が少なくとも17.2MPa(2500psi)の接着面引っ張り測定値を有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
室温にて18時間、続いて、180℃にて30分にわたって硬化させた前記接着剤組成物が少なくとも35.0N/cm幅(20lb/インチ幅)のT型剥離測定値を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記第一部分、前記第二部分又はこれらの組み合わせに二次硬化剤を更に含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
複合物品を製造する方法であって、前記方法が、
請求項1〜20のいずれか一項に記載の二液型接着剤組成物を表面に適用することと、
前記二液型接着剤組成物を前記表面に接触させたまま硬化して複合物品を形成することと、を含む、方法。
【請求項22】
前記表面が炭化水素含有物質で汚染されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記油変位剤が、前記炭化水素含有物質よりも低い表面張力、前記炭化水素含有物質と同様の溶解度パラメータ、又はこれらの組み合わせを呈する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
部材間の接合継手を形成する方法であって、前記方法が、
請求項1〜20のいずれか一項に記載の二液型接着剤組成物を2つ以上の部材のうちの少なくとも1つの表面に適用することと、
前記部材を接合して、前記二液型接着剤組成物を前記2つ以上の部材の間に挟むことと、
前記二液型接着剤を硬化させて前記2つ以上の部材の間に接合継手を形成することと、を含む、方法。
【請求項25】
前記2つ以上の部材のうちの少なくとも1つの表面が炭化水素含有物質で汚染されている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記油変位剤が、前記炭化水素含有物質よりも低い表面張力、前記炭化水素含有物質と同様の溶解度パラメータ、又はこれらの組み合わせを呈する、請求項25に記載の方法。

【公表番号】特表2011−529118(P2011−529118A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520150(P2011−520150)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/051346
【国際公開番号】WO2010/011710
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】