説明

二色性フォトダイオード

【課題】二色性フォトダイオードおよび二色性光検出のための方法を提供する。
【解決手段】広バンドギャップ接合は、第1光スペクトルを検出するよう動作可能な格子整合接合を含む。狭バンドギャップ接合は、広バンドギャップ接合に結合されており、かつ、フォトダイオード構造を含む。狭バンドギャップ接合は、第2光スペクトルを検出するよう動作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、電気光学に関する。詳しくは、本開示の実施形態は、電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体は、一般に、波長のスペクトルにわたって赤外線放射を発するが、センサは、通常、特定の帯域幅内でしか放射を収集しないので、時として該スペクトルの限られた領域しか対象とならない。複数スペクトル画像解析は、ある電磁スペクトルにわたる周波数において画像データを取り込み、かつ、人間の目が可視の赤色、緑色および青色光の受容体によってでは取り込めない追加の情報の抽出を可能とすることができる。複数スペクトル画像解析は、各画素上に到達している放射の全強度の記録のみとは対照的に、あるスペクトルを数多くの帯域に分割する。
【0003】
周波数の波長は、フィルタにより、または、特定の波長に対して感度の高い器具の使用により分離されてもよい。例えば、周波数からの光は、赤外光のように可視光範囲を超えていることがある。可視スペクトルのある帯域、例えば、赤緑青色(RGB)領域と呼ばれる約0.7μmから約0.4μmの範囲において、また、約0.7μmから約10μmまたはそれ以上の赤外波長においても1つのデジタル画像を取得することが望ましいことがある。
【0004】
可視光と赤外光との境界は、精密に定められてはいない。人間の目は、約700nm波長を超える光に対して著しく感度が低下するので、より長い波長は、一般的な光源により照らされた光景に対して限られた貢献しかしない。赤外の始まりは、概して約700nmと約800nm波長の間のさまざまな値においてさまざまな基準にしたがって定められてもよい。
【0005】
赤外スペクトルは、赤外光に対する種々のセンサ反応によりより小さなセクションにさらに分割されることが多い。例えば、近赤外は、人間の目により検出可能な放射にもっとも波長が近いスペクトル領域であってもよく、中赤外および遠赤外は、可視スペクトルから徐々に離れていてもよい。赤外スペクトルは、材料を送出吸収する光源(例えば、光ファイバー)および検出器の利用可能性に基づき複数の帯域に分割されてもよい。例えば、短波長赤外(SWIR)、近赤外(NIR)、中赤外(MIR)および遠赤外(FIR)または温度は、周波数帯域に対して一般的に用いられる言及である。SWIRは、概して、例えば、約1から約3μm、約1.4から約3μm、または類似の範囲によりさまざまに定められてもよい。数多くの帯域、細かなスペクトル解像度および広いスペクトル範囲を有するスペクトル画像解析は、「ハイパースペクトル」と呼ばれることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二色性フォトダイオードおよび二色性光検出のための方法を開示する。広バンドギャップ接合は、第1光スペクトルを検出するよう動作可能な格子整合接合を含む。狭バンドギャップ接合は、広バンドギャップ接合に結合されており、かつ、アバランシェフォトダイオード(APD)構造を含む。狭バンドギャップ接合は、第2光スペクトルを検出するよう動作可能である。
【0007】
このように、二色性フォトダイオードは、SWIRカメラ感度範囲を可視領域へと拡張するために提供される。SWIRカメラ感度範囲を可視領域へと拡張することにより、SWIRセンサ技術をより多くの用途へと広げ、かつ、より高度な統合を得られる可能性がある。二色性フォトダイオードは、複数帯域光検出および画像解析の統合の困難性を大幅に低下させる。フォトダイオードおよびアレイは、高い効率および密度で複数の光学帯域をカバーすることにより、カメラ画質、統合、重量、体積および消費電力における競争力が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施形態において、二色性フォトダイオードは、狭バンドギャップ接合に結合されている広バンドギャップ接合を含む。広バンドギャップ接合は、第1光スペクトルを検出するよう動作可能な格子整合接合を含む。狭バンドギャップ接合は、第2光スペクトルを検出するよう動作可能なフォトダイオード構造を含む。
【0009】
別の実施形態において、二色性光検出のための方法は、広バンドギャップ接合を介して第1光スペクトルを検出する。広バンドギャップ接合は、格子整合接合を含む。該方法はさらに、広バンドギャップ接合と結合された狭バンドギャップ接合を介して第2光スペクトルを検出する。狭バンドギャップ接合は、フォトダイオード構造を含む。
【0010】
さらに別の実施形態において、二色性フォトダイオードを提供するための方法は、格子整合接合を含む広バンドギャップ接合を設ける。該方法はさらに、第1光スペクトルを検出するよう広バンドギャップ接合を構成し、フォトダイオード構造を含む狭バンドギャップ接合を設ける。該方法はさらに、第2光スペクトルを検出するよう狭バンドギャップ接合を構成し、狭バンドギャップ接合を広バンドギャップ接合に結合する。
【0011】
本概要は、詳細な説明において下でさらに説明するいろいろな概念を単純な形態で紹介するために提供されている。本概要は、特許請求されている主題の鍵となる特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、特許請求されている主題の範囲の決定における補助として用いられることも意図していない。
【0012】
本開示の実施形態のより完全な理解は、以下の図とともに考慮された際の詳細な説明および請求項に言及することにより導き出されてもよい。それらの図において、同様の参照番号は、図全体を通じて類似の構成要素を指す。これらの図は、本開示の広さ、範囲、規模または適用可能性を限定することなく本開示の理解を促進するために提供されている。図面は、必ずしも一定の縮尺にしたがってはいない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、アバランシェフォトダイオードの一例を示している。
【図2】図2は、本開示の一実施形態に係る二重接合構造を含む正面照明二色性フォトダイオードの一例を示している。
【図3】図3は、本開示の一実施形態に係るInP基板除去後の二重接合構造を含む背面照明二色性フォトダイオードの一例を示している。
【図4】図4は、本開示の一実施形態に係る透明基板および/またはマイクロレンズに結合された二重接合構造を含む背面照明二色性フォトダイオードの一例を示している。
【図5】図5は、本開示の一実施形態に係る二色性フォトダイオードアレイシステムの一例を示している。
【図6】図6は、本開示の一実施形態に係る二色性光検出のためのプロセスを示すフローチャートの一例を示している。
【図7】図7は、本開示の一実施形態に係る二色性フォトダイオードを提供するためのプロセスを示すフローチャートの一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明は、事実上例示的なものであり、本開示または本開示の実施形態の用途および使用を限定するよう意図されていない。特定の装置、技法および用途の説明は、例としてのみ示されている。ここに説明する実施例に対する修正は、当業者にとって容易に明らかとなるだろうし、かつ、ここに定義されている一般的原理は、本開示の精神および範囲から逸脱することなくその他の実施例および用途に適用することができる。本開示は、請求項と一致した範囲を与えられるべきであり、かつ、ここに説明され、示される実施例に限定されるべきではない。
【0015】
本発明の実施形態は、機能的かつ/または論理的なブロック要素およびさまざまな処理工程に関してここに説明することができる。そのようなブロック要素は、特定した機能を行うよう構成されたあらゆる数のハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェア構成要素により実現可能であることは理解されたい。簡潔にするために、ここに説明するフォトダイオード、半導体、マイクロエレクトロニクスに関連する従来の技法および構成要素、ならびに、システムのその他の機能的側面(および該システムの個々の動作構成要素)は、ここには詳細に説明しないかもしれない。これに加えて、当業者は、本開示の実施形態がさまざまなハードウェアおよびソフトウェアとともに実用に供されてもよく、かつ、ここに説明する実施形態が単に本開示の例示的実施形態に過ぎないことを理解するだろう。
【0016】
本開示の実施形態は、実用的かつ非限定的な用途、すなわち、フォトダイオードとの関連においてここに説明する。ただし、本開示の実施形態は、そのようなフォトダイオード用途に限定はされず、ここに説明する技法は、その他の用途にもまた利用可能である。例えば限定はされないが、実施形態は、太陽電池、動作検出装置およびその他の光処理用途に適用可能であってもよい。
【0017】
本説明を読んだ後、当業者にとって明らかであろうように、以下は、本開示の実施例および実施形態であり、これらの実施例にしたがった動作には限定されない。その他の実施形態を利用してもよく、かつ、本開示の例示的実施形態の範囲を逸脱することなく構造的な変更を行ってもよい。
【0018】
マルチバンド画像融合は、画像技術において重要な動向である。小型の空中作業台およびハイパースペクトル画像解析用に、複数の帯域検出器を1つのセンサアレイに統合することは、大きさ、重量および電力(SWAP)の無駄をなくすためにきわめて重要であることがある。限定はされないが生物医学的画像解析のような商用の用途に対して、可視からSWIRまでの波長範囲が、実質的に理想的であることがある。
【0019】
本開示の実施形態は、SWIRカメラ感度範囲を可視領域へと拡張可能な二色性フォトダイオードを提供する。SWIRカメラ感度範囲を可視領域へと拡張することにより、SWIRセンサ技術をより多くの用途へと広げ、かつ、より高度な統合を得られることがある。
【0020】
格子整合二重接合構造を利用することによって、異なる波長範囲において動作する2つのフォトダイオードを単一のエピタキシャル構造へと統合可能である。格子整合二重接合構造の各接合を線形モードで動作させることにより、一波長より長い波長における画像を単一のアレイにより取得可能である。一波長より長い波長からの画像の融合によりより高い画像コントラストを達成してもよく、これを重畳および同期させることができる。
【0021】
格子整合二重接合構造の二色性構造は、限定はされないがP‐I‐Nダイオード、アバランシェフォトダイオード(APD)、感光体およびその他の半導体ダイオードなどのさまざまなフォトダイオードに適用可能である。そのような統合のコンパクトな性質により、ここに説明する二色性フォトダイオードは、大判アレイへの拡大が実質的に容易であり得る。例えば、リン化インジウム/ヒ化インジウムガリウム(InP/InGaAs)格子整合材料系において、長い波長範囲は、InGaAs吸収体を有する二色性フォトダイオードによりカバーすることができる一方、短い波長範囲は、二色性フォトダイオードのリン化インジウム(InP)吸収体により検出することができる。
【0022】
図1は、アバランシェフォトダイオード100の一例を示した図である。アバランシェフォトダイオード100は、アバランシェフォトダイオード(APD)構造104およびリン化インジウム(InP)基板122(InP基板122)を含む。APD構造104は、負にドープされた(n型)ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)(n‐InGaAs)コンタクト層106(n‐InGaAs層106)、n型リン化インジウム(n‐InP)層108(n‐InP層108)、InGaAs/リン化InGaAs(InGaAsP)吸収層110(InGaAsP層110)、ヒ化リン化インジウムガリウム(InGaAsP)傾斜層112(InGaAsP傾斜層112)、負にドープされたリン化インジウム(n‐InP)電荷層114(n‐InP電荷層114)、真性(i型)InP(i‐InP)増倍層116(i‐InP増倍層116)、第1の正にドープされた(p型)リン化インジウム(p‐InP)バッファ層118(第1p‐InPバッファ層118)および第2の正にドープされた(p型)リン化インジウム(p‐InP)バッファ層120(第2p‐InPバッファ層120)を含んでもよい。
【0023】
APD104構造は、例えば限定はされないが、約930nmからInGaAs吸収体では約1600nmまで、もしくは、InGaAsP吸収体では約1064nmまでに感度を持つガイガーモード、線形モードまたはその他のフォトダイオード動作モードで動作してもよい。ガイガーモードAPD(G‐APD)は、光発生キャリアが、衝突イオン化機構によるアバランシェイベントを引き起こす可能性のある逆バイアスp‐n接合に基づき、半導体光検出器のクラスを識別する。この装置は、単一光子レベルまでの低強度信号を検出し、かつ、数十ピコ秒のジッターを有する光子の到着時間を登録することができる。線形モードのAPDと同様に、G‐APDは、逆バイアスp‐n接合の光子により引き起こされたアバランシェ電流を利用して、入射放射線を検出する。G‐APDと線形モードAPDとの根本的な差異は、(線形モードAPDが降伏電圧より低いバイアス電圧で動作するのに対して)G‐APDが降伏電圧より高い逆バイアス電圧により動作するよう特に設計されているということである。
【0024】
図1に示すように、APD100のような一般的なSWIRのAPDは、広バンドギャップP層(第1p‐InPバッファ層118および第2p‐InPバッファ層120)とN層(n‐InP層108)とに挟まれた吸収体(InGaAsP層110およびInGaAsP傾斜層112)ならびにi‐InP増倍層116を含む機能領域を含んでもよい。動作波長範囲は、吸収体のバンドギャップと光路(InP基板122、第2p‐InPバッファ層120および第1p‐InPバッファ層118)における広バンドギャップ材料のバンドギャップとにより決定される。InP/InGaAs材料系において、この範囲の上側結合は、InPと格子整合されているInGaAsのバンドギャップにより定められ、300Kにおいて約1.65μmである。通常、InPが基板であり、P層およびN層に用いられて、P‐I‐N構造を構成する。InPのバンドギャップは、動作波長範囲の下側結合を決定し、これは、約0.92μmである。
【0025】
P‐I‐Nダイオードは、p型半導体とn型半導体領域との間の広幅の低濃度にドープされた「近」真性半導体領域を有するダイオードである。p型領域およびn型領域は、オーミックコンタクトに用いられるので、典型的には高濃度にドープされている。広幅の真性領域は、通常のPNダイオードと接触している。広幅の真性領域は、P‐I‐Nダイオードを下位(inferior)整流器(ダイオードの典型的な機能の1つ)とするが、P‐I‐Nダイオードを減衰器、高速スイッチ、光検出器および高圧電源電子機器用途に適したものとする。
【0026】
n‐InGaAs層106は、APD構造104を読み出し集積回路(ROIC)518(図5)を介して読み出しチャネル(ROC)524(図5)と結合するよう動作可能な頂部導電体を提供する。
【0027】
n‐InP層108は、APD構造104用の格子整合N層を提供する。
【0028】
InP基板122は、APD構造104がその上に構成されている基板ベースを含む。InP基板122は、APD構造104に対して構造的支持を与える。
【0029】
図2は、本開示の一実施形態に係る二重接合構造204/206を含む正面照明二色性フォトダイオード200(二色性フォトダイオード200)の一例を示している。二色性フォトダイオード200は、広バンドギャップ接合204、狭バンドギャップ接合206およびInP基板228を含む。広バンドギャップ接合204と狭バンドギャップ接合206とは、両者とも、負にドープされた(n型)リン化インジウム層214(n‐InP層214)を含む。
【0030】
広バンドギャップ接合204は、正にドープされたヒ化インジウムガリウム(p‐InGaAs)層208(p‐InGaAs層208)、正にドープされた(p型)リン化インジウム層210(p‐InP層210)、真性(i型)リン化インジウム層212(i‐InP層212)およびn‐InP層214を含む。i‐InP層212は、p‐InP層210とn‐InP層214とに挟まれている。
【0031】
狭バンドギャップ接合206は、n‐InP層214、InGaAs/InGaAsP吸収層216、InGaAsP傾斜層218、負にドープされたリン化インジウム(n‐InP)電荷層220(n‐InP電荷層220)、真性リン化インジウム(i‐InP)増倍層222(i‐InP増倍層222)、第1の正にドープされた(p型)リン化インジウム(p‐InP)バッファ層224(第1p‐InPバッファ層224)および第2の正にドープされた(p型)リン化インジウム(p‐InP)バッファ層226(第2p‐InPバッファ層226)を含む。
【0032】
広バンドギャップ接合204は、限定はされないが、約400nmから約930nmまでをカバーし、狭バンドギャップ接合206は、限定はされないが、約930nmから約1064nmまで(InGaAsP吸収体)または約1600nmまで(InGaAs吸収体)をカバーする。格子整合広バンドギャップ材料を有するホモ接合をSWIRフォトダイオードの前に挿入することにより、SWIR光検出器に対して光学的な影響なくより短い波長範囲において作用する別のフォトダイオードが得られる。図2における材料の選択は、限定はされないがInP/InGaAs材料系に基づいている。例えば、格子整合ヒ化インジウムアルミニウム(InAlAs)を用いて、図2におけるすべてのInP層を置き換えることもできる。
【0033】
可視範囲から約0.92μmまでの光は、p‐InP層210、i‐InP層212およびn‐InP層214を含む頂部InP P‐I‐Nホモ接合230(格子整合ホモ接合230)におけるP領域およびI領域に吸収されることとなる。p‐InP層210の厚みが電子拡散長さと同等である限りは、格子整合ホモ接合230は、良好な吸収および収集効率を有することとなる。i‐InP層212に高電界を印加することにより、衝突イオン化が起こる可能性があり、かつ、格子整合ホモ接合230はAPDとして動作可能である。0.92μmより長い波長は、ほとんど損失なく格子整合ホモ接合230を通過でき、かつ、狭バンドギャップ接合206のようなSWIRフォトダイオードに吸収されることができる。
【0034】
図3は、本開示の一実施形態に係るInP基板除去後の二重接合構造304/306を含む背面照明二色性フォトダイオード300(二色性フォトダイオード300)の一例を示している。二色性フォトダイオード300は、キャリア308、広バンドギャップ接合304、狭バンドギャップ接合306を含む。広バンドギャップ接合304と狭バンドギャップ接合306とは、両者とも、p‐InP層322を含む。
【0035】
広バンドギャップ接合304は、p‐InP層322、i‐InP層324およびn‐InP層326を含む。i‐InP層324は、p‐InP層322とn‐InP層326とに挟まれている。
【0036】
狭バンドギャップ接合306は、n‐InGaAs層310、n‐InP層312、InGaAs/InGaAsP吸収層314、InGaAsP傾斜層316、n‐InP電荷層318、i‐InP増倍層320およびp‐InP層322を含む。
【0037】
図3に示すように、背面照明構造は、n‐InP層326とp‐InP層322とに挟まれたi‐InP層324を含むN‐I‐PのInPホモ接合330(格子整合ホモ接合330)の後に狭バンドギャップ接合306のようなSWIRフォトダイオード構造を成長させることにより実施可能である。InP基板228の除去後、該構造は、背面照明hv302用に機能する。基板の除去により、背面側の照明およびマイクロレンズの統合が促進される。キャリア308は、犠牲プロセスキャリアまたは読み出し集積回路(ROIC)であってもよい。広バンドギャップ接合304は、限定はされないが、約400nmから約930nmまでをカバーし、狭バンドギャップ接合306は、限定はされないが、約930nmから約1064nmまで(InGaAsP吸収体)または約1600nm(InGaAs吸収体)までをカバーする。
【0038】
構造中の広バンドギャップ接合304と狭バンドギャップ接合306との両方を独立して動作させるために、頂部接点(図示せず)および底部接点(図示せず)に加えて、図2におけるn‐InP層214および図3におけるp‐InP層322に対して追加の接点を設けねばならない。頂部接点は、例えば限定はされないが、それぞれの二色性フォトダイオード200および300のp‐InGaAs層208、キャリア308またはその他の適切な接点に結合されてもよい。底部接点は、例えば限定はされないが、それぞれの二色性フォトダイオード200および300のInP基板228およびn‐InP層326に結合されてもよい。したがって、3つの端子(例えば、頂部接点、追加の接点および底部接点)は、例えば限定はされないが、二色性フォトダイオード200におけるp‐InGaAs層208、n‐InP層214およびInP基板228に結合されてもよい。
【0039】
同様に、3つの端子は、例えば限定はされないが、二色性フォトダイオード300におけるキャリア308、p‐InP層322およびn‐InP層326に結合されてもよい。これら3つの端子は、それぞれの広バンドギャップ接合204/304および狭バンドギャップ接合206/306を別々にまたは組み合わせて動作させるために用いてもよい。これら3つの端子により、広バンドギャップ接合204/304および狭バンドギャップ接合206/306は、個々に線形モードまたはガイガーモードのいずれかで動作可能であり、かつ、画像用途のための柔軟性をもたらす。上記接合のうちの1つがガイガーモードで動作される場合、2つの接合の間に適切な吸収体を挿入して、二次電子放出による可能性のある光学的クロストークを回避する必要がある。
【0040】
長距離に達する光検出と測距(LIDAR)用途のために、両接合は、ガイガーモードで動作可能であり、検出効率を最大化することができる。例えば、約1064nmパルスレーザおよび約532nmにおけるその第二高調波により、これら二重接合画素を有するアレイは、両波長において3D画像を生成する。水中のそれらの透過率の違いに起因して、2つの3D画像の融合は、例えば、沿岸領域の遠隔検知において非常に効果的であることがある。
【0041】
図4は、本開示の一実施形態に係る透明基板および/またはマイクロレンズ426に結合された二重接合構造404/406を含む背面照明二色性フォトダイオード(二色性フォトダイオード400)の一例を示している。二色性フォトダイオード400は、広バンドギャップ接合404および狭バンドギャップ接合406を含む。広バンドギャップ接合404と狭バンドギャップ接合406とは、両者とも、p‐InP層420を含む。広バンドギャップ接合404は、p‐InP層420、i‐InP層422およびn‐InP層424を含む。
【0042】
図4に示すように、背面照明構造は、n‐InP層424とp‐InP層420とに挟まれたi‐InP層422を含むN‐I‐PのInPホモ接合430(格子整合ホモ接合430)の後に狭バンドギャップ接合406のようなSWIRフォトダイオード構造を成長させることにより実施可能である。狭バンドギャップ接合406はまた、n‐InGaAs層408、n‐InP層410、InGaAs/InGaAsP吸収層412、InGaAsP傾斜層414、n‐InP電荷層416、i‐InP増倍層418およびp‐InP層420を含む。
【0043】
二重接合構造404/406は、InP基板の除去および透明基板またはマイクロレンズへの転写後に生じる。基板の除去は、背面側の照明およびマイクロレンズの統合を促進する。マイクロレンズは、アレイ充填率を高めるのに役立つ。広バンドギャップ接合404は、限定はされないが、約400nmから約930nmまでをカバーし、狭バンドギャップ接合406は、限定はされないが、約930nmから約1064nm(InGaAsP吸収体)まで、または、約1600nm(InGaAs吸収体)までをカバーする。
【0044】
本二色性構造の実施形態は、PIN、アバランシェフォトダイオード(APD)および光伝導体を含むさまざまなフォトダイオードとともに組み込むことができる。この統合のコンパクトな性質により、本二色性フォトダイオードは、大判アレイへの拡大が容易である。
【0045】
上で説明した格子整合ホモ接合230/330/430は、i‐InP層324、n‐InP層326およびp‐InP層322においてリン化インジウム(InP)を材料の一例として含んでいる。しかしながら、その他の真性(i型)材料、正にドープされた(p型)材料および負にドープされた(n型)材料もまた、下でより詳細に説明するように、これらの層を構成するために用いてもよい。
【0046】
図5は、本開示の一実施形態に係る二色性フォトダイオードアレイシステム(システム500)を示している。実用的なシステム500は、あらゆる数の入力モジュール、あらゆる数のプロセッサモジュール、あらゆる数のメモリモジュールおよびあらゆる数のその他のモジュールを含んでいてもよい。示されているシステム500は、説明を容易にするために単純な実施形態を描写している。システム500のこれらの構成要素およびその他の構成要素は、ともに相互接続されていることにより、システム500のさまざまな構成要素間の通信を可能としている。一実施形態において、システム500のこれらの構成要素およびその他の構成要素は、通信回線526を介してともに相互接続されていてもよい。当業者は、ここに開示している実施形態に関連して説明されるさまざまな説明的ブロック、モジュール、回路および処理論理が、ハードウェア、コンピュータ読み取り可能なソフトウェア、ファームウェアまたはそれらのあらゆる実用的な組み合わせにおいて実施可能であることを理解するだろう。
【0047】
ハードウェア、ファームウェアおよびソフトウェアのこの互換性および親和性を明確に示すために、さまざまな説明的構成要素、ブロック、モジュール、回路および工程をそれらの機能性の点から概して説明する。そのような機能性がハードウェア、ファームウェアまたはソフトウェアのいずれとして実施されるのかということは、特定の用途およびシステム全体に課せられる設計の制約にかかっている。ここに説明する概念に精通している者は、各特定の用途に対して適切な手法でそのような機能性を実施するかもしれないが、そのような実施の決定は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈されるべきではない。
【0048】
システム500は、図2〜図4に示した実施形態と類似の機能、材料および構造を有していてもよい。したがって、共通の特徴、機能および要素は、ここでは重複して説明しないことがある。
【0049】
システム500は、二色性フォトダイオード1 502、二色性フォトダイオードN 512(N番目の二色性フォトダイオード)のようなあらゆる数の二色性フォトダイオード1〜Nと、読み出し集積回路518と、読み出しチャネル524とを含んでもよい。Nは、1以上のいかなる数とすることもできる。Nは、フォトダイオード1〜Nが用いられる用途に応じて選択してもよい。例えば限定はされないが、二色性1080p高精細テレビ(HDTV)画像アレイは、2,073,600と等しいNを要するかもしれない。
【0050】
システム500は、例えば限定はされないが、フォトダイオードアレイを表していてもよい。
【0051】
二色性フォトダイオード1 502は、広バンドギャップ接合504および狭バンドギャップ接合506を含む。同様に、二色性フォトダイオードN 512は、広バンドギャップ接合508および狭バンドギャップ接合510を含む。
【0052】
読み出し集積回路518は、二色性フォトダイオード1〜Nからの広帯域信号および狭帯域信号を受信するよう構成されている。
【0053】
読み出しチャネル524は、二色性フォトダイオード1〜Nの光検出を記録するよう構成されている。読み出しチャネル524は、プロセッサモジュール520およびメモリモジュール522を含む。
【0054】
プロセッサモジュール520は、システム500の動作に関連付けられた機能、技法および処理タスクを実行するよう構成されている処理論理を含む。とりわけ、処理論理は、ここに説明するシステム500を支持するよう構成されている。プロセッサモジュール520は、ここに説明する機能を行うよう設計された汎用プロセッサ、連想記憶装置、デジタルシグナルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、あらゆる適切なプログラマブル論理装置、個別ゲートまたはトランジスタ論理、個別ハードウェアコンポーネントまたはそれらのあらゆる組み合わせにより実施または実現されてもよい。このように、プロセッサは、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、状態機械などとして実現されてもよい。
【0055】
プロセッサはまた、コンピューティング装置の組み合わせ、例えば、デジタルシグナルプロセッサとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサコアと併用される1つ以上のマイクロプロセッサまたはその他あらゆるそのような構成として実施されてもよい。
【0056】
メモリモジュール522は、システム500の動作を指示するようフォーマットされたメモリを有するデータ記憶領域を含んでいてもよい。メモリモジュール522は、システム500の機能性を支持する必要に応じてデータを記憶、維持および提供するよう構成されている。実用的な実施形態において、メモリモジュール522は、例えば限定はされないが、不揮発性記憶装置(例えば、不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置)、ランダムアクセス記憶装置(例えば、SRAM、DRAM)または当該技術において知られているその他あらゆる形態の記憶媒体を含んでいてもよい。
【0057】
メモリモジュール522は、プロセッサモジュール520と結合され、かつ、例えば限定はされないが、光子到着時期、光スペクトル周波数値、データベース、プロセッサモジュール520により実行されるコンピュータプログラム、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、プログラムの実行に用いられる一時的データまたはその他の光処理ソフトウェアを記憶するよう構成されていてもよい。また、メモリモジュール522は、データベースを更新するためのテーブルを含む動的更新データベースを表していてもよい。メモリモジュール522は、プロセッサモジュール520がメモリモジュール522から情報を読み取り、メモリモジュール522へ情報を書き込めるようにプロセッサモジュール520と結合されていてもよい。例えば、上で触れたように、プロセッサモジュール520は、光スペクトル周波数値、光子到達時期またはその他の適用可能な光学処理データにアクセスするためにメモリモジュール522にアクセスしてもよい。
【0058】
一例として、プロセッサモジュール520およびメモリモジュール522は、それぞれの特定用途向け集積回路(ASIC)に存在していてもよい。メモリモジュール522はまた、プロセッサモジュール520内に組み込まれていてもよい。ある実施形態において、メモリモジュール522は、プロセッサモジュール520により実行されるべき命令の実行中に一時的変数またはその他の中間情報を記憶するためのキャッシュメモリを含んでもよい。
【0059】
図6は、本開示の一実施形態に係る二色性光検出のためのプロセス600を示したフローチャートの一例を示している。プロセス600に関連して行われるさまざまなタスクは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、プロセス方法を行うためのコンピュータ実行可能な命令を有するコンピュータ読み取り可能な媒体またはそれらのいかなる組み合わせにより機械的に行われてもよい。
【0060】
プロセス600は、いかなる数の追加のまたは代替のタスクを含んでもよく、図6に示されているタスクは、示されている順序で行われる必要はなく、かつ、プロセス600は、ここで詳細には説明しない追加の機能性を有するより包括的な手順またはプロセスに組み込まれてもよいことは理解されたい。説明の目的で、プロセス600の以下の説明は、図2〜図5に関連して上で触れた構成要素に言及することがある。
【0061】
実用的な実施形態において、プロセス600の部分は、二色性フォトダイオード1 502、二色性フォトダイオードN 512、読み出し集積回路518および読み出しチャネル524などのようなシステム500の種々の構成要素により行われてもよい。プロセス600は、図2〜図5に示した実施形態と類似の機能、材料および構造を有していてもよい。したがって、共通の特徴、機能および構成要素は、ここでは重複して説明しないことがある。
【0062】
プロセス600は、格子整合ホモ接合230/330/430のような格子整合ホモ接合を含む広バンドギャップ接合204/304/404のような広バンドギャップ接合を介して第1光スペクトルを検出することにより開始してもよい(タスク602)。格子整合ホモ接合230/330/430は、例えば限定はされないが、正にドープされた(p型)層と負にドープされた(n型)層とに挟まれた真性(i型)層またはその他のホモ接合フォトダイオードを含んでもよい。真性(i型)層、正にドープされた(p型)層および負にドープされた(n型)層の各々は、例えば限定はされないが、リン化インジウム、ヒ化インジウムアルミニウム(InAlAs)、水銀カドミウムテルルまたはその他の光活性材料を含んでもよい。例えば、上で説明したように、格子整合ホモ接合230/330/430は、p‐lnP層210/322/420のような正にドープされた(p型)リン化インジウム層とn‐lnP層214/326/424のような負にドープされた(n型)リン化インジウム層とに挟まれたi‐lnP層212/324/422のような真性(i型)リン化インジウム層を含んでもよい。第1光スペクトルは、例えば限定はされないが、SWIRスペクトルを含んでもよい。
【0063】
プロセス600は、広バンドギャップ接合204/304/404に結合された狭バンドギャップ接合206/306/406のような狭バンドギャップ接合を介して第2光スペクトルを検出することにより続行してもよく、該狭バンドギャップ接合206/306/406は、アバランシェフォトダイオード(APD)構造を含む(タスク604)。第2光スペクトルは、例えば限定はされないが、可視光スペクトルを含んでもよい。
【0064】
図7は、本開示の一実施形態に係る二色性フォトダイオードを提供するためのプロセス700を示したフローチャートの一例を示している。プロセス700に関連して行われるさまざまなタスクは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、プロセス方法を行うためのコンピュータ実行可能な命令を有するコンピュータ読み取り可能な媒体またはそれらのいかなる組み合わせにより機械的に行われてもよい。説明の目的で、プロセス700の以下の説明は、図2〜図5に関連して上で触れた構成要素に言及することがある。
【0065】
プロセス700は、いかなる数の追加のまたは代替のタスクを含んでもよく、図7に示されているタスクは、示されている順序で行われる必要はなく、かつ、プロセス700は、ここで詳細には説明しない追加の機能性を有するより包括的な手順またはプロセスに組み込まれてもよいことは理解されたい。実用的な実施形態において、プロセス700の部分は、二色性フォトダイオード1 502、二色性フォトダイオードN 512、読み出し集積回路518および読み出しチャネル524などのようなシステム500の種々の構成要素により行われてもよい。プロセス700は、図2〜図5に示した実施形態と類似の機能、材料および構造を有していてもよい。したがって、共通の特徴、機能および構成要素は、ここでは重複して説明しないことがある。
【0066】
プロセス700は、i‐lnP層212/324/422のような真性(i型)層を設けることにより開始してもよい(タスク702)。
【0067】
プロセス700は、p‐lnP層210/322/420のような正にドープされた(p型)層を設けることにより続行してもよい(タスク704)。
【0068】
プロセス700は、n‐lnP層214/326/424のような負にドープされた(n型)層を設けることにより続行してもよい(タスク706)。
【0069】
プロセス700は、正にドープされた(p型)層と負にドープされた(n型)層との間に真性(i型)層を挟むことにより格子整合ホモ接合230/330/430のような格子整合接合を設けることにより続行してもよい(タスク708)。
【0070】
プロセス700は、格子整合ホモ接合230/330/430を含む広バンドギャップ接合204/306/404のような広バンドギャップ接合を設けることにより続行してもよい(タスク710)。
【0071】
プロセス700は、第1光スペクトルを検出するよう広バンドギャップ接合204/306/404を構成することにより続行してもよい(タスク712)。第1光スペクトルは、例えば限定はされないが、短波長赤外(SWIR)スペクトルを含んでもよい。
【0072】
プロセス700は、アバランシェフォトダイオード(APD)構造を含む狭バンドギャップ接合206/306/406のような狭バンドギャップ接合を設けることにより続行してもよい(タスク714)。
【0073】
プロセス700は、第2光スペクトルを検出するよう狭バンドギャップ接合206/306/406を構成することにより続行してもよい(タスク716)。第2光スペクトルは、例えば限定はされないが、可視光スペクトルを含んでもよい。
【0074】
プロセス700は、狭バンドギャップ接合206/306/406を広バンドギャップ接合204/306/404に結合することにより続行してもよい(タスク718)。
【0075】
このように、本開示の実施形態は、複数帯域光検出および画像解析の統合の困難性を大幅に低下させる二色性フォトダイオードを提供する。結果として得られるフォトダイオードおよびアレイは、高い効率および密度で複数の光学帯域をカバーすることにより、カメラ画質、統合、重量、体積および消費電力における競争力が得られる。
【0076】
本文献において、「コンピュータプログラム製品」、「コンピュータ読み取り可能な媒体」、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」などの用語は、概して、例えば、メモリ、記憶装置または記憶ユニットといった媒体を指すために用いられてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体のこれらおよびその他の形態は、プロセッサモジュール520により用いられて、プロセッサモジュール520に特定の動作を行わせるための1つ以上の命令を記憶するのに関わっていてもよい。概して「コンピュータプログラムコード」または「プログラムコード」と呼ばれるそのような命令は、(コンピュータプログラムの形態またはその他の分類にまとめられてもよいが)、実行されると、システム500の電力利用スケジューリング法を可能とする。
【0077】
上記説明は、構成要素またはノードまたは特徴がともに「接続」または「結合」されているとして言及している。ここで用いられているように、特にはっきりと断らないかぎり、「接続されている」とは、ある構成要素/ノード/特徴が別の構成要素/ノード/特徴と直接接合されて(または直接連通して)いることを意味し、かつ、必ずしも機械的にでなくともよい。同様に、特にはっきりと断らないかぎり、「結合されている」とは、ある構成要素/ノード/特徴が別の構成要素/ノード/特徴と直接もしくは間接的に接合されて(または直接もしくは間接的に連通して)いることを意味し、かつ、必ずしも機械的にでなくともよい。したがって、図2〜図5は、構成要素の配置例を描写しているが、本開示の実施形態において追加の介在構成要素、装置、特徴または構成部品が存在していてもよい。
【0078】
本文献において用いられている語および句ならびにその変形は、特にはっきりと断らないかぎり、限定的とは対照的に制約のないものとして解釈されるべきである。上記の例として、「を含む(including)」という語は、「限定はされないが、〜を含む」などを意味するとして読まれるべきであり、「例(example)」という語は、取り上げられている項目の網羅的または限定的な一覧ではなく該項目の典型的な例を提供するために用いられており、かつ、「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準的な」、「知られている」といった形容詞および類似の意味の語は、説明されている項目をある期間に、または、ある時に入手可能な項目に限定するものとして解釈されるべきではなく、その代わりに、現在または将来のあらゆる時に入手可能であるか、または、知られている可能性のある従来の、伝統的な、通常のまたは標準的な技術を包含するよう読まれるべきである。
【0079】
同様に、「および」という接続詞によりつながれている一群の項目は、それらの項目の各々すべてが該分類内に存在しなければならないとして読まれるべきではなく、むしろ、特にはっきりと断らないかぎり、「および/または」として読まれるべきである。同様に、「または」という接続詞によりつながれている一群の項目は、その分類の中での相互排他性を要求するものとして読まれるべきではなく、むしろ、特にはっきりと断らないかぎり、これもまた「および/または」として読まれるべきである。さらに、本開示の項目、構成要素または構成部品は、単数形で説明または請求されているかもしれないが、複数形がその範囲内であると考えられている。ただし、単数形に限定する旨が明確に記載されている場合は除く。いくつかの場合における「1つ以上の」、「少なくとも」、「限定はされないが」といった上位概念の単語および句またはその他同様の句の存在は、そのような上位概念の句がない例ではより狭い場合が意図されているか、または、要件とされていることを意味するよう読まれてはならない。
【0080】
ここで用いられているように、特にはっきりと断らないかぎり、「動作可能な」は、使用または稼動に用いられるか、適しているか、または、準備状態であることが可能であり、特定の目的に使用可能であり、かつ、ここに説明されている記載されたまたは望まれる機能を行うことができるという意味である。システムおよび装置に関連して、「動作可能な」という語は、システムおよび/または装置が、完全に機能的かつ調整されており、起動時に記載された機能を行うための適用可能な動作可能要件のための構成要素を含み、かつ、該要件を満たすという意味である。システムおよび回路に関連して、「動作可能な」という語は、システムおよび/または回路が、完全に機能的かつ調整されており、起動時に記載された機能を行うための適用可能な動作可能要件のための論理を含み、かつ、該要件を満たすという意味である。
【符号の説明】
【0081】
100 アバランシェフォトダイオード
104 アバランシェフォトダイオード構造
106 負にドープされたヒ化インジウムガリウムコンタクト層
108 n型リン化インジウム層
110 InGaAs/リン化InGaAs吸収層
112 ヒ化リン化インジウムガリウム傾斜層
114 負にドープされたリン化インジウム(n‐InP)電荷層
116 真性InP増倍層
118 第1の正にドープされたリン化インジウムバッファ層
120 第2の正にドープされたリン化インジウムバッファ層
122 リン化インジウム基板
200 二色性フォトダイオード
204 広バンドギャップ接合
206 狭バンドギャップ接合
208 正にドープされたヒ化インジウムガリウム層
210 正にドープされたリン化インジウム層
212 真性リン化インジウム層
214 負にドープされたリン化インジウム層
216 InGaAs/InGaAsP吸収層
218 InGaAsP傾斜層
220 負にドープされたリン化インジウム電荷層
222 真性リン化インジウム増倍層
224 第1の正にドープされたリン化インジウムバッファ層
226 第2の正にドープされたリン化インジウムバッファ層
228 InP基板
300 二色性フォトダイオード
302 背面照明hv
304 広バンドギャップ接合
306 狭バンドギャップ接合
308 キャリア
310 n‐InGaAs層
312 n‐InP層
314 InGaAs/InGaAsP吸収層
316 InGaAsP傾斜層
318 n‐InP電荷層
320 i‐InP増倍層
322 p‐InP層
324 i‐InP層
326 n‐InP層
330 格子整合ホモ接合
400 二色性フォトダイオード
404 広バンドギャップ接合
406 狭バンドギャップ接合
408 n‐InGaAs層
410 n‐InP層
412 InGaAs/InGaAsP吸収層
414 InGaAsP傾斜層
416 n‐InP電荷層
418 i‐InP増倍層
420 p‐InP層
422 i‐InP層
424 n‐InP層
426 透明基板および/またはマイクロレンズ
430 格子整合ホモ接合
500 二色性フォトダイオードアレイシステム
502 二色性フォトダイオード1
504 広バンドギャップ接合
506 狭バンドギャップ接合
508 広バンドギャップ接合
510 狭バンドギャップ接合
512 二色性フォトダイオードN
518 読み出し集積回路
520 プロセッサモジュール
522 メモリモジュール
524 読み出しチャネル
526 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光スペクトルを検出するよう動作可能な格子整合接合を含む広バンドギャップ接合、および、
広バンドギャップ接合に結合されており、かつ、第2光スペクトルを検出するよう動作可能なフォトダイオード構造を含む狭バンドギャップ接合
を含む二色性フォトダイオード。
【請求項2】
格子整合接合が、正にドープされた(p型)リン化インジウム層と負にドープされた(n型)リン化インジウム層とに挟まれている真性(i型)リン化インジウム層を含む請求項1に記載の二色性フォトダイオード。
【請求項3】
格子整合接合が、正にドープされた(p型)層と負にドープされた(n型)層とに挟まれている真性(i型)層を含む請求項1に記載の二色性フォトダイオード。
【請求項4】
真性(i型)層、正にドープされた(p型)層および負にドープされた(n型)層は、各々が、リン化インジウム、ヒ化インジウムアルミニウム(InAlAs)および水銀カドミウムテルルからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む請求項3に記載の二色性フォトダイオード。
【請求項5】
広バンドギャップ接合が、正にドープされたヒ化インジウムガリウム(p‐InGaAs)層をさらに含む請求項1に記載の二色性フォトダイオード。
【請求項6】
狭バンドギャップ接合に結合されているキャリアをさらに含む請求項1に記載の二色性フォトダイオード。
【請求項7】
広バンドギャップ接合に結合されている透明基板およびマイクロレンズのうちの少なくとも一方をさらに含む請求項1に記載の二色性フォトダイオード。
【請求項8】
フォトダイオード構造が、ヒ化リン化インジウムガリウム(InGaAsP)傾斜層、負にドープされたリン化インジウム(n‐InP)電荷層、真性リン化インジウム(i‐InP)増倍層および正にドープされた(p型)リン化インジウム(p‐InP)バッファ層を含む請求項1に記載の二色性フォトダイオード。
【請求項9】
フォトダイオード構造が、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)層およびヒ化リン化インジウムガリウム(InGaAsP)層からなる群から選択される少なくとも1つの要素をさらに含む請求項8に記載の二色性フォトダイオード。
【請求項10】
正にドープされた(p型)リン化インジウム(p‐InP)バッファ層が、第1の正に(p型)ドープされたリン化インジウム(p‐InP)バッファ層および第2の正に(p型)ドープされたリン化インジウム(p‐InP)バッファ層を含む請求項8に記載の二色性フォトダイオード。
【請求項11】
第1光スペクトルが、短波長赤外(SWIR)スペクトルを含む請求項1に記載の二色性フォトダイオード。
【請求項12】
第2光スペクトルが、可視光スペクトルを含む請求項1に記載の二色性フォトダイオード。
【請求項13】
二色性光検出のための方法であって、
格子整合接合を含む広バンドギャップ接合を用いて第1光スペクトルを検出すること、および、
広バンドギャップ接合と結合された狭バンドギャップ接合を用いて第2光スペクトルを検出することであって、狭バンドギャップ接合がフォトダイオード構造を含む、検出すること
を含む方法。
【請求項14】
格子整合接合が、正にドープされた(p型)リン化インジウム層と負にドープされた(n型)リン化インジウム層とに挟まれている真性(i型)リン化インジウム層を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
格子整合接合が、正にドープされた(p型)層と負にドープされた(n型)層とに挟まれている真性(i型)層を含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
真性(i型)層、正にドープされた(p型)層および負にドープされた(n型)層は、各々が、リン化インジウム、ヒ化インジウムアルミニウム(InAlAs)および水銀カドミウムテルルからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
広バンドギャップ接合が、正にドープされたヒ化インジウムガリウム(p‐InGaAs)層をさらに含む請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−62504(P2013−62504A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−199061(P2012−199061)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】