説明

二輪車用タイヤ

【課題】スチールコードからなるスパイラルベルト層を備える二輪車用タイヤにおいて、所望のコード強度を担保しつつコード重量の低減を図ることで、直進走行性能、高速性能、乗り心地、ユニフォミティ等のタイヤ諸性能を損なうことなくタイヤ重量を低減した二輪車用タイヤを提供する。
【解決手段】破断強力TsがTs>4000MPaであるスチール素線を用い、かつ、1×N構造(N=2〜8)でオープン撚りしたスチールコードがゴムに埋設されてなり、素線本数をN(本)、素線径をd(mm)、コード径をD(mm)としたとき、Dc=d[(1/sin(π/N))+1],D>Dc×1.4を満足するスチール−ゴム複合体か、または、撚り合わせずに螺旋型付けしてなるスチールコードがゴムに埋設されてなるスチール−ゴム複合体からなるスパイラルベルト層23を備える二輪車用タイヤである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二輪車用タイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、高速コーナリング走行される、一般にスーパースポーツタイプと称される高性能自動二輪車に供される自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ、特には、高速耐久性、直進安定性等の諸性能を保持しつつ、高速コーナリング時の操縦安定性能を向上した高性能自動二輪車用低偏平空気入りラジアルタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高性能二輪車用タイヤでは、タイヤの回転速度が高速となるために遠心力の影響が大きくなるが、タイヤのトレッド部分が外側に膨張してしまうと、操縦安定性を害する場合がある。このため最近では、1本乃至並列した複数本のコードを被覆ゴム中に埋設してなる帯状体を、タイヤのクラウン部分に、略タイヤ周方向に向かう角度で螺旋状にタイヤ回転軸方向に巻き回した、いわゆるスパイラルベルト層が採用されている。
【0003】
かかるスパイラルベルト層に、スチールコードで補強したスチール−ゴム複合体を採用することで、いわゆる「たが」効果を高めることができ、高速回転時に遠心力によりタイヤのクラウン部分がタイヤ赤道方向に伸びようとする変形を抑制することができるため、二輪車用タイヤの高速耐久性、直線安定性、ユニフォミティ性能および加速性能等を向上することが可能である。
【0004】
スパイラルベルト層における補強材としてのスチールコードの改良に係る技術としては、例えば、特許文献1に、螺旋巻きされたスチールコードからなるベルトコードの引張り伸びを所定に規定することで、高速走行時における直進性、旋回性を著しく低下させることなく、また、ハンドリング性を維持して耐摩耗性を向上した自動二輪車用ラジアルタイヤが開示されている。また、特許文献2には、螺旋巻きされた帯状プライを構成するバンドコードの荷重−伸び曲線により規定された自動二輪車用ラジアルタイヤが開示されており、特許文献3には、所定の引張強さのスチールフィラメントの複数本を撚り合わせた単撚り構造であって、所定の切断時伸びを有するベルトコードを用いた二輪車用空気入りラジアルタイヤが開示されている。
【特許文献1】特開平4−362402号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2001−130218号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】特開2002−19413号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スチール素線は比重が高いために、スチールコードをスパイラルベルトに適用した二輪車タイヤにおいては、重量増の問題があった。これに対し、スチールコードを高強度化する技術は種々提案されているが、従来のコード構造のまま、単に置き換えて適用したのでは、目標とする強度が得られるものではなかった。
【0006】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、スチールコードからなるスパイラルベルト層を備える二輪車用タイヤにおいて、所望のコード強度を担保しつつコード重量の低減を図ることで、直進走行性能、高速性能、乗り心地、ユニフォミティ等のタイヤ諸性能を損なうことなくタイヤ重量を低減した二輪車用タイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討した結果、補強材として用いるスチール−ゴム複合体において、スチール素線の破断強力を所定に規定するとともに、そのコード構造を特定することで、所望のコード強度とタイヤの軽量化とを両立できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の二輪車用タイヤは、トレッド部と、該トレッド部の両縁部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なるビード部とからなり、これら各部をビード部内に埋設されたビードコア相互間にわたり補強し、かつ、タイヤ赤道面に対して60〜90度をなすコードをゴムで被覆した少なくとも1層のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に、タイヤ赤道面に対して実質上平行に螺旋巻き形成されてなる少なくとも1層のスパイラルベルト層とを具備する二輪車用タイヤにおいて、
前記スパイラルベルト層が、破断強力TsがTs>4000MPaであるスチール素線を1×N構造(N=2〜8)でオープン撚りしたスチールコードがゴムに埋設されてなり、素線本数をN(本)、素線径をd(mm)、コード径をD(mm)としたとき、下記式(1)および(2)、
Dc=d[(1/sin(π/N))+1] (1)
D>Dc×1.4 (2)
を満足するスチール−ゴム複合体からなることを特徴とするものである。ここで、オープン撚りとは、コードを構成するフィラメント間に隙間を有する撚り構造を意味する。
【0009】
また、本発明の他の二輪車用タイヤは、トレッド部と、該トレッド部の両縁部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なるビード部とからなり、これら各部をビード部内に埋設されたビードコア相互間にわたり補強し、かつ、タイヤ赤道面に対して60〜90度をなすコードをゴムで被覆した少なくとも1層のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に、タイヤ赤道面に対して実質上平行に螺旋巻き形成されてなる少なくとも1層のスパイラルベルト層とを具備する二輪車用タイヤにおいて、
前記スパイラルベルト層が、破断強力TsがTs>4000MPaであるスチール素線を、撚り合わせずに螺旋型付けしてなるスチールコードがゴムに埋設されてなるスチール−ゴム複合体からなることを特徴とするものである。
【0010】
この場合、前記スチール−ゴム複合体が、螺旋型付けした前記スチール素線の複数本を、撚り合わせずに束ねてなるスチールコードがゴムに埋設されてなるものであることが好ましく、実質的に同一ピッチで螺旋型付けした前記スチール素線の複数本を、略同位相で撚り合わせずに束ねてゴムに埋設してなるものであることがより好ましい。また、前記スチール素線の任意の1本と、少なくとも1本の他のスチール素線との、型付け螺旋の外接円同士が重なり合うことが好ましく、前記複数本のスチール素線の素線径および型付け量が、全て同一であることも好ましい。さらに、前記スチール素線の型付け螺旋の外接円直径をD(mm)、螺旋ピッチをP(mm)、該スチール素線の素線径をd(mm)としたとき、下記式(3)、
L=√(1+(D−d)π/P)−1 (3)
で表されるLが、好適には0.1>L>0.005を満足する。
【0011】
さらにまた、本発明においては、前記スチール素線として、炭素含有量0.90〜1.0重量%かつクロム含有量0.1〜0.4重量%である高炭素鋼を用いることが好ましく、前記スチール素線の表層部の残留応力量Rsは、好適にはRs<0を満足する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記構成としたことにより、従来より少ない打込み数で従来と同等の強度を得ることができるスチール−ゴム複合体を得ることができ、これにより、スチールコードからなるスパイラルベルト層を備える二輪車用タイヤにおいて、所望のコード強度を担保しつつコード重量の低減を図って、直進走行性能、高速性能、乗り心地、ユニフォミティ等のタイヤ諸性能を損なうことなくタイヤ重量を軽量化した二輪車用タイヤを実現することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の二輪車用タイヤの一例の概略断面図を示す。図示するように、本発明の二輪車用タイヤは、トレッド部11と、その両縁部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部12と、そのタイヤ半径方向内側に連なるビード部13とからなり、これら各部をビード部13内に埋設されたビードコア21相互間にわたり補強し、かつ、タイヤ赤道面に対して60〜90度をなすコードをゴムで被覆した少なくとも1層のカーカスプライからなるカーカス層22と、そのタイヤ半径方向外側に、タイヤ赤道面に対して実質上平行に螺旋巻き形成されてなる少なくとも1層のスパイラルベルト層23とを具備している。
【0014】
本発明の二輪車用タイヤにおいては、かかるスパイラルベルト層23を、破断強力TsがTs>4000MPa、特には、4000MPaを超え4500MPa以下であるスチール素線を用いるとともに、特定のコード構造を適用したスチール−ゴム複合体からなるものとする。これは、以下のような理由による。
【0015】
すなわち、破断強力Tsが4000MPaを超えるスチール素線は、一般に高炭素鋼を延伸塑性加工することにより得られるが、このようなスチール素線は側面からの圧力に対し脆い傾向にあり、充分な引張り強度を発揮できない。よって、外力の入力時に素線同士が接触すると、本来持っている強度を発揮できないのである。
【0016】
そのため本発明の第一の実施形態においては、上記スチール素線を1×N構造(N=2〜8)でオープン撚りしたコード構造を採用するとともに、スチール素線の素線本数をN(本)、素線径をd(mm)、コード径をD(mm)としたとき、下記式(1)および(2)、
Dc=d[(1/sin(π/N))+1] (1)
D>Dc×1.4 (2)
を満足するスチール−ゴム複合体を用いる。これにより、コード内部にゴムが十分に浸透することとなるため、加硫後には、ゴムの流動性がなくなることにより素線同士が接触しなくなって、結果として本来の強度を発揮できるスチール−ゴム複合体が得られるものである。ここで、上記式中のDcは、クローズ状態でのコード径を示す。図2,3に、このようなスチール−ゴム複合体の具体例の断面図をそれぞれ示す。
【0017】
また、本発明の第二の実施形態においては、上記スチール素線を撚り合わせずに螺旋型付けしてなるスチールコードがゴムに埋設されてなる構造、好適には、螺旋型付けした前記スチール素線の複数本を、撚り合わせずに束ねてなるスチールコードがゴムに埋設されてなる構造のスチール−ゴム複合体を用いる。これにより、引張り入力下でも素線同士が接触しないため、上記第一の実施形態の場合と同様に、本来のコード強度が得られるものとなる。図4,5に、このようなスチール−ゴム複合体の具体例の断面図を示す。
【0018】
この場合、隣接するスチール素線を互いに接触しにくくするためには、スチール素線の螺旋型付けを実質的に同一ピッチとすることが好適である。より具体的には、実質的に同一ピッチで螺旋型付けされたスチール素線の2本以上を、略同位相で撚り合わせずに束ねてゴムに埋設してなるスチール−ゴム複合体を、好適に用いることができる。
【0019】
また、図示するように、スチール素線1の任意の1本と、少なくとも1本の他のスチール素線1との、型付け螺旋の外接円同士が重なり合うことが好ましい。すなわち、スチール−ゴム複合体を構成する各スチール素線を、互いの型付けの外接円同士が重なり合う状態に配置することで、高剛性および高強度を得ることができる。
【0020】
さらに、本発明においては、スチールコードを構成する全てのスチール素線の素線径および型付け量を同一とすることも好ましく、これにより、応力が各スチール素線に均一にかかることになり、強度効率を向上することができる。
【0021】
さらにまた、スチール素線の型付け螺旋の外接円直径をD(mm)、螺旋ピッチをP(mm)、該スチール素線の素線径をd(mm)としたとき(図4参照)、下記式(3)、
L=√(1+(D−d)π/P)−1 (3)
で表されるLが、0.1>L>0.005を満足することも好ましい。これにより、成形作業性を良好に担保することができるとともに、タイヤ製品としても乗心地・旋回性能のバランスを向上することができる。なお、このLの値は、螺旋が伸びきったときの伸び歪を表す。
【0022】
本発明におけるスチール素線としては、炭素含有量が0.90〜1.0重量%であってクロム含有量が0.1〜0.4重量%である高炭素鋼を好適に使用することができ、このような高炭素鋼を用いることで、延伸加工により高強度を得る際に好適である。また、タイヤの使用環境によらず十分な疲労寿命を保持するためには、スチール素線の表層部の残留応力量RsをRs<0とすることが好ましい。ここで、Rs<0、すなわち、残留応力量Rsが0未満であるとは、スチール素線の表層部における残留応力が圧縮側にあることを意味する。
【0023】
本発明の第二の実施形態に係るスチール−ゴム複合体を安定して効率的に作製する方法としては、例えば、別個のリールに巻かれた複数本のスチール素線を一つの口金に通して束ねてスチールコードとし、このスチールコードを、ゴムにより被覆した後、ゴム複合体に埋設する方法や、別個のリールに巻かれた複数本のスチール素線を1つのスリットに通して束ねてスチールコードとし、このスチールコードに対し上下からゴムを圧着した後、このスチールコードをゴム複合体に埋設して製造する方法などが有用である。
【0024】
本発明に用いるスチール−ゴム複合体としては、上記スチール素線およびコード構造に係る条件について満足するものであれば、それ以外の、具体的なコード構造や、使用するゴムの材質等については、特に制限されるものではない。
【0025】
また、本発明の二輪車用タイヤにおいては、上記条件を満足するスチール−ゴム複合体をスパイラルベルト層に適用したものであればよく、それ以外のタイヤ構造、各構成部材の材質等については、特に制限されるものではなく、これにより、本発明の所期の効果を得ることが可能である。例えば、スパイラルベルト層における上記スチール−ゴム複合体の打込み数は、7〜250本/50mmの範囲内とすることができる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
下記表1,2にそれぞれ示す型付け量およびピッチで型付けされたスチール素線(炭素含有量1.0重量%、クロム含有量0.2重量%の高炭素鋼にブラスめっき(Cu63重量%,Zn37重量%)を施したもの)を用いて、下記表1,2中に示す条件に従い、スチール−ゴム複合体を作製した。コーティングゴムとしては、天然ゴム(NR)100重量部と、カーボンブラック(HAF)55重量部と、酸化亜鉛(ZnO)7重量部と、硫黄5重量部と、Co塩(ナフテン酸コバルト)0.1重量部とからなるゴム組成物を使用した。
【0027】
<表層部の残留応力量Rsの測定>
得られた各スチール−ゴム複合体を長さ方向に10cm切り取り、素線にほぐした後、過硫酸アンモニウム水溶液によりブラスめっきを除去し、図6(a)に示すように、この素線100のうち長手方向に半周部部分Aについてはエッチングされないようにラッカーで被覆し、端部Bについては全周をラッカーで被覆した。その後、50℃の50容量%硝酸でエッチングし、端部Bを基準として、素線の曲がりが最大となったときの曲がり量を残留応力量とした。残留応力が圧縮であるか引張りであるかの判別は、エッチングされた側に素線が曲がった場合を圧縮(−)、ラッカー被覆側に曲がった場合を引張り(+)とした(図6(b)参照)。その結果を、スチール素線の破断強力Ts、前記式(1),(3)に従い求めたDcおよびLの値とともに、下記の表1,2中に示す。
【0028】
得られた各スチール−ゴム複合体を、図1に示すスパイラルベルト構造を有する自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ(MCタイヤ)(タイヤサイズ:190/50ZR17)のスパイラルベルト層に打込み数40本/50mmにて適用して、下記に従い評価を行った。これらの結果を、下記の表1中に併せて示す。
【0029】
なお、図示するタイヤは、トレッド部11と、その両縁部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部12と、そのタイヤ半径方向内側に連なるビード部13とからなり、これら各部をビード部13内に埋設されたビードコア21相互間にわたり補強し、かつ、タイヤ赤道面に対して80度をなすコードをゴムで被覆したカーカス層22と、そのクラウン部タイヤ半径方向外側に、タイヤ赤道面に対して実質上平行に螺旋巻き形成されてなるスパイラルベルト層23を具備しており、このスパイラルベルト層は、より具体的には、2本の並列したコードを被覆ゴム中に埋設した帯状体を略タイヤ赤道方向に向かう角度で実質上平行に螺旋状に巻き回して形成されてなり、コードがカーカスの円弧に沿ってタイヤ幅方向に並列して配置されてなる構造を有する。
【0030】
<疲労性>
供試タイヤのインナーライナーを剥ぎ取り、タイヤ内に水を入れて、低内圧で15000kmドラム走行させた後、タイヤのベルトコードを取り出し、コード切れが発生していたものを不合格(×)、発生していなかったものを合格(○)とした。
【0031】
<水圧破壊強度>
水圧破壊強度の評価を、タイヤをリムに組み、空気の代わりに水を徐々に注入していって、タイヤが破壊した時の水圧を測定することにより行って、結果を、比較例1を100とする指数にて示した。数値が大なるほど破壊強度が高く、良好である。
【0032】
<成型作業性>
スチール素線を製造後、リールに巻きつけて3ヶ月放置してから使用する際に、スチー
ル素線がパスから脱落する等の生産性を阻害する事態を起こさず、通常のスピード
で成型できるものを合格(○)とした。
【0033】
<補強材重量>
各スチール−ゴム複合体からなる補強材の重量を、(メーターあたりコード重量)×(巻き付けメーター数)の条件にて測定した。結果は、比較例1を100とする指数にて示した。数値が小なるほど軽量であり、良好である。
【0034】
【表1】

*1)コードを構成するフィラメント間に隙間を有する構造。
*2)前記式(1)に従う値×100(%)である。
【0035】
【表2】

【0036】
上記表1,2に示すように、所定の破断強力を有するスチール素線を用いた所定のコード構造のスチール−ゴム複合体をスパイラルベルト層に適用した各実施例の二輪車用タイヤにおいては、疲労性や破壊強度、成形作業性を満足しつつ、タイヤ重量を軽減できることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一例の自動二輪車用空気入りラジアルタイヤを示す概略断面図である。
【図2】本発明に係るスチール−ゴム複合体の一好適例に係るコード部を示す断面図である。
【図3】本発明に係るスチール−ゴム複合体の他の好適例に係るコード部を示す断面図である。
【図4】本発明に係るスチール−ゴム複合体のさらに他の好適例に係るコード部を示す断面図である。
【図5】本発明に係るスチール−ゴム複合体のさらに他の好適例に係るコード部を示す断面図である。
【図6】実施例における残留応力量の測定方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 スチール素線
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13 ビード部
21 ビードコア
22 カーカス層
23 スパイラルベルト層
100 スチール素線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部と、該トレッド部の両縁部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なるビード部とからなり、これら各部をビード部内に埋設されたビードコア相互間にわたり補強し、かつ、タイヤ赤道面に対して60〜90度をなすコードをゴムで被覆した少なくとも1層のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に、タイヤ赤道面に対して実質上平行に螺旋巻き形成されてなる少なくとも1層のスパイラルベルト層とを具備する二輪車用タイヤにおいて、
前記スパイラルベルト層が、破断強力TsがTs>4000MPaであるスチール素線を1×N構造(N=2〜8)でオープン撚りしたスチールコードがゴムに埋設されてなり、素線本数をN(本)、素線径をd(mm)、コード径をD(mm)としたとき、下記式(1)および(2)、
Dc=d[(1/sin(π/N))+1] (1)
D>Dc×1.4 (2)
を満足するスチール−ゴム複合体からなることを特徴とする二輪車用タイヤ。
【請求項2】
トレッド部と、該トレッド部の両縁部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なるビード部とからなり、これら各部をビード部内に埋設されたビードコア相互間にわたり補強し、かつ、タイヤ赤道面に対して60〜90度をなすコードをゴムで被覆した少なくとも1層のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に、タイヤ赤道面に対して実質上平行に螺旋巻き形成されてなる少なくとも1層のスパイラルベルト層とを具備する二輪車用タイヤにおいて、
前記スパイラルベルト層が、破断強力TsがTs>4000MPaであるスチール素線を、撚り合わせずに螺旋型付けしてなるスチールコードがゴムに埋設されてなるスチール−ゴム複合体からなることを特徴とする二輪車用タイヤ。
【請求項3】
前記スチール−ゴム複合体が、螺旋型付けした前記スチール素線の複数本を、撚り合わせずに束ねてなるスチールコードがゴムに埋設されてなる請求項2記載の二輪車用タイヤ。
【請求項4】
前記スチール−ゴム複合体が、実質的に同一ピッチで螺旋型付けした前記スチール素線の複数本を、略同位相で撚り合わせずに束ねてゴムに埋設してなる請求項3記載の二輪車用タイヤ。
【請求項5】
前記スチール素線の任意の1本と、少なくとも1本の他のスチール素線との、型付け螺旋の外接円同士が重なり合う請求項3または4記載の二輪車用タイヤ。
【請求項6】
前記複数本のスチール素線の素線径および型付け量が、全て同一である請求項3〜5のうちいずれか一項記載の二輪車用タイヤ。
【請求項7】
前記スチール素線の型付け螺旋の外接円直径をD(mm)、螺旋ピッチをP(mm)、該スチール素線の素線径をd(mm)としたとき、下記式(3)、
L=√(1+(D−d)π/P)−1 (3)
で表されるLが、0.1>L>0.005を満足する請求項2〜6のうちいずれか一項記載の二輪車用タイヤ。
【請求項8】
前記スチール素線が、炭素含有量0.90〜1.0重量%かつクロム含有量0.1〜0.4重量%である高炭素鋼である請求項1〜7のうちいずれか一項記載の二輪車用タイヤ。
【請求項9】
前記スチール素線の表層部の残留応力量RsがRs<0を満足する請求項1〜8のうちいずれか一項記載の二輪車用タイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−285009(P2008−285009A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131935(P2007−131935)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】