説明

二酸化炭素排出量管理システムおよび二酸化炭素排出量管理方法

【課題】 複数顧客が共有で利用する倉庫において、ピッキング作業によるCO2排出量を、高い精度で顧客ごとに管理することが可能な二酸化炭素排出量管理システムおよび二酸化炭素排出量管理方法を提供する。
【解決手段】 複数エリアにそれぞれ保管された商品のピッキング作業を行うフォークリフトPから排出されるCO2排出量を所定時間間隔で取得する排出量取得部142と、ピッキング作業におけるエリアごとのピッキング作業開始時刻およびピッキング作業完了時刻を、作業時間情報として取得する作業時間情報取得部143と、取得された所定時間間隔ごとのCO2排出量と作業時間情報とから、ピッキング作業によるエリアごとのCO2排出量を算出する中央管理装置のエリア別排出量算出部231とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト等の車両の稼動による二酸化炭素(CO2)排出量を算出して管理する二酸化炭素排出量管理システムおよび二酸化炭素排出量管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の影響などにより環境問題に対する意識が高まっており、その一環としてさまざまな分野でCO2排出量に基づいた省エネ対策がとられている。
【0003】
このような省エネ対策に利用するため、流通業界においては、物流システムの流通過程で商品が保管される倉庫内で、商品のピッキング作業を行うフォークリフトの稼動により排出されるCO2量が管理されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−64091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、物流システムにより商品が倉庫で保管される際には、複数会社(顧客)が共有で利用する倉庫内に保管されることがあるが、そのような場合にはピッキング作業によるCO2排出量を顧客ごとに管理することが要求される。
【0006】
しかし、複数顧客が共有で利用する倉庫では、1台のフォークリフトで複数会社の商品を連続してピッキングする場合もあり、顧客ごとに区別してCO2排出量を管理することが困難であった。
【0007】
そのため従来は、例えば倉庫内で実施された全てのピッキング作業により排出されたCO2量を単に利用顧客数で割ることにより一の顧客に対するCO2排出量として算出していたため、管理情報としての精度が低くなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、複数顧客が共有で利用する倉庫において、ピッキング作業によるCO2排出量を、高い精度で顧客ごとに管理することが可能な二酸化炭素排出量管理システムおよび二酸化炭素排出量管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の二酸化炭素排出量管理システムは、複数エリアにそれぞれ保管された商品を順次ピッキングするピッキング作業を行う車両と、中央管理装置とが接続され、前記ピッキング作業により前記車両から排出される二酸化炭素排出量を、所定時間間隔で取得する排出量取得部と、前記ピッキング作業における、前記エリアごとのピッキング作業開始時刻およびピッキング作業完了時刻を、作業時間情報として取得する作業時間情報取得部と、前記排出量取得部で取得された所定時間間隔ごとの二酸化炭素排出量と、前記作業時間情報取得部で取得された作業時間情報とから、前記ピッキング作業による前記エリアごとの二酸化炭素排出量を算出するエリア別排出量算出部とを備えることを特徴とする。
【0010】
またこの二酸化炭素排出量管理システムは、前記エリア別排出量算出部において算出された前記エリアごとの二酸化炭素排出量を所定期間分記録し、前記エリアごとおよび所定期間ごとの二酸化炭素排出量の積算値を算出するエリア別期間別排出量算出部をさらに有していてもよい。
【0011】
また本発明の二酸化炭素排出量管理方法は、複数エリアにそれぞれ保管された商品を順次ピッキングするピッキング作業を行う車両と、中央管理装置とが接続された二酸化炭素排出量管理システムが、前記ピッキング作業により前記車両から排出される二酸化炭素排出量を、所定時間間隔で取得する排出量取得ステップと、前記ピッキング作業における、前記エリアごとのピッキング作業開始時刻およびピッキング作業完了時刻を、作業時間情報として取得する作業時間情報取得ステップと、前記排出量取得ステップにより取得された所定時間間隔の二酸化炭素排出量と、前記作業時間情報取得ステップにより取得された作業時間情報とから、前記ピッキング作業による前記エリアごとの二酸化炭素排出量を算出するエリア別排出量算出ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の二酸化炭素排出量管理システムおよび二酸化炭素排出量管理方法によれば、複数会社が共有で利用する倉庫において、ピッキング作業によるCO2排出量を高い精度で顧客ごとに管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態によるCO2排出量管理システム構成および本システムを利用するエリアを示す全体図である。
【図2】本発明の一実施形態によるCO2排出量管理システムの構成を示す概念図である。
【図3】本発明の一実施形態によるCO2排出量管理システムの詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態によるCO2排出量管理システムの車載器に記憶されるピッキング作業スケジュールの一例を示す表である。
【図5】本発明の一実施形態によるCO2排出量管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の一実施形態によるCO2排出量管理システムの中央管理装置に記録された作業時間情報の一例を示す表である。
【図7】本発明の一実施形態によるCO2排出量管理システムの中央管理装置に記録されたCO2排出量と作業時間情報との対応を示したグラフである。
【図8】本発明の一実施形態によるCO2排出量管理システムの中央管理装置に記録されたエリアごとのCO2排出量の一例を示す表である。
【図9】本発明の一実施形態によるCO2排出量管理システムの中央管理装置で表示された管理情報の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〈一実施形態によるCO2排出量管理システムの構成〉
本発明の一実施形態によるCO2排出量管理システムの構成について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本実施形態によるCO2排出量管理システム1の構成および本システムを利用するエリアを示す全体図であり、図2は、本実施形態によるCO2排出量管理システム1の構成を示す概念図であり、図3は、本実施形態によるCO2排出量管理システム1の詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【0015】
本実施形態のCO2排出量管理システム1は、図1に示すように、倉庫X内のエリアA、エリアB、およびエリアCの複数エリア間を移動しながら、それぞれのエリアに保管された商品を順次ピッキングするフォークリフトPに搭載された車載器10と、中央管理装置20とが、無線にて通信可能な状態で接続されて構成されている。本実施形態におけるフォークリフトPは、電力により稼動する車両である。
【0016】
本実施形態において、エリアA、エリアB、およびエリアCはそれぞれ、顧客であるA社、B社、およびC社ごとにそれぞれ振り分けられたエリアである。
【0017】
そして、A社は商品a1、商品a2、および商品a3を取り扱っており、エリアAには、商品a1の在庫を保管するエリアa1、商品a2の在庫を保管するエリアa2、および商品a3の在庫を保管するエリアa3が設けられている。また、B社は商品b1、商品b2、および商品b3を取り扱っており、エリアBには、商品b1の在庫を保管するエリアb1、商品b2の在庫を保管するエリアb2、および商品b3の在庫を保管するエリアb3が設けられている。また、C社は商品c1、商品c2、および商品c3を取り扱っており、エリアCには、商品c1の在庫を保管するエリアc1、商品c2の在庫を保管するエリアc2、および商品c3の在庫を保管するエリアc3が設けられている。
【0018】
車載器10は、図2および図3に示すように、電圧計測器11と、CO2排出量算出器12と、速度計測器13と、車両管理装置14と、無線アンテナ15とを有する。
【0019】
電圧計測器11は、稼動中のフォークリフトPがピッキング作業を行う際に消費される電力の電圧値を、所定時間間隔で計測する。
【0020】
CO2排出量算出器12は、電圧計測器11で計測された電圧計測値から、フォークリフトPがピッキング作業を行う際に排出されたCO2量を、所定時間間隔ごとに算出する。
【0021】
速度計測器13は、フォークリフトPの移動速度を、所定時間間隔で計測する。
【0022】
車両管理装置14は、ピッキング作業スケジュール記憶部141と、CO2排出量取得部142と、作業時間情報取得部143とを有する。
【0023】
ピッキング作業スケジュール記憶部141は、管理者により入力された、ピッキング作業を行うエリアのフォークリフトPの巡回順序、および各エリアにおいてピッキングを行う商品の個数を、ピッキング作業スケジュール情報として記憶する。
【0024】
CO2排出量取得部142は、CO2排出量算出器12で算出された所定時間間隔ごとのCO2排出量を取得し、無線アンテナ15を介して中央管理装置20に順次送信する。
【0025】
作業時間情報取得部143は、速度計測器13で計測されたフォークリフトPの移動速度が、予め設定された閾値よりも高くなったときにフォークリフトPの稼動が開始したと判断し、閾値よりも低くなったときにフォークリフトPの稼動が終了したと判断することにより、ピッキング作業スケジュール記憶部141に記憶されたピッキング作業スケジュールに従って稼動したフォークリフトPの、エリアA〜Cごとのピッキング作業開始時刻およびピッキング作業終了時刻を作業時間情報として取得し、無線アンテナ15を介して中央管理装置20に送信する。
【0026】
中央管理装置20は、図3に示すように、無線アンテナ21と、記録部22と、制御部23と、表示部24とを有する。
【0027】
記録部22は、CO2排出量記録部221と、作業時間情報記録部222と、エリア別排出量記録部223とを有する。
【0028】
CO2排出量記録部221は、車載器10から送信されたCO2排出量を、無線アンテナ21を介して順次取得し、記録する。
【0029】
作業時間情報記録部222は、車載器10から送信された作業時間情報を、無線アンテナ21を介して取得して記録する。
【0030】
エリア別排出量記録部223は、後述する制御部23で算出されるエリア別排出量を記録する。
【0031】
制御部23は、エリア別排出量算出部231と、管理情報生成部232とを有する。
【0032】
エリア別排出量算出部231は、CO2排出量記録部221に記録された所定時間間隔のCO2排出量と、作業時間情報記録部222に記録された作業時間情報とから、ピッキング作業によるエリアA〜CごとのCO2排出量を算出する。
【0033】
管理情報生成部232は、エリア別排出量記録部223に記録されたエリア別排出量から、週単位や月単位等、管理者により指定された期間単位のピッキング作業によるエリアA〜CごとのCO2排出量の積算値を表示するための管理情報を生成する。
【0034】
表示部24は、管理情報生成部232で生成された管理情報を表示する。
【0035】
〈一実施形態によるCO2排出量管理システムの動作〉
本実施形態においてCO2排出量管理システム1が稼動するにあたり、ピッキング作業スケジュール記憶部141には、例えば図4に示すようにピッキング作業スケジュールが記憶されているものとする。
【0036】
図4のピッキング作業スケジュールでは、ピッキング作業を行うエリアのフォークリフトPの巡回順序情報として、「エリアAのエリアa1→エリアa2→エリアa3→エリアBのエリアb1→エリアb2→エリアb3→エリアCのエリアc1→エリアc2→エリアc3」が記憶され、また各エリアにおいてピッキングを行う商品の個数情報として、「エリアa1において商品a1を10個」、「エリアa2において商品a2を1個」、「エリアa3において商品a3を6個」、「エリアb1において商品b1を20個」、「エリアb2において商品b2を30個」、「エリアb3において商品b3を10個」、「エリアc1において商品c1を4個」、「エリアc2において商品c2を3個」、「エリアc3において商品c3を1個」が記憶されている。
【0037】
このピッキング作業スケジュールが記憶されている状態で、CO2排出量管理システム1が稼動するときの処理について、図5のシーケンス図を参照して説明する。
【0038】
まず、フォークリフトPが稼動し始めると、車載器10の電圧計測器11において、稼動により消費される電力の電圧値の、所定時間間隔における計測が開始される(S1)。
【0039】
電圧計測器11で電圧値の計測が開始されると、取得された電圧計測値に基づいて車載器10のCO2排出量算出器12において、フォークリフトPがピッキング作業を行う際に排出されたCO2量が所定時間間隔ごとに算出される。
【0040】
このCO2排出量は、例えば下記式(1)により算出される。
【0041】
[数1]
CO2排出量(kg.CO2)=電気消費量(Kwh)×CO2係数(kg.CO2/Kwh)・・・(1)
ここで、電気消費量(kwh)=(電圧計測値)2/R
CO2係数(kg.CO2/Kwh)=0〜1の係数(各電力会社より開示される係数)
である。
【0042】
算出されたCO2排出量は車両管理装置14のCO2排出量取得部142で取得され、無線アンテナ15を介して中央管理装置20に順次送信される(S2)。
【0043】
中央管理装置20では、車載器10から送信されたCO2排出量が無線アンテナ21を介して受信され、CO2排出量記録部221に記録される(S3)。
【0044】
またフォークリフトPが稼動し始めると、このフォークリフトPの車載器10の速度計測器13において、所定時間間隔でのフォークリフトPの移動速度の計測が開始される(S4)。
【0045】
速度計測器13で移動速度の計測が開始されると、車両管理装置14の作業時間情報取得部143において、計測されたフォークリフトPの移動速度計測値が予め設定された閾値よりも高くなったときにフォークリフトPの稼動が開始したと判断され、ピッキング作業スケジュールに基づいてまずエリアA内のエリアa1における商品a1のピッキング作業が開始されたと判断される。そして、この時点の時刻情報がエリアAの作業開始時刻として無線アンテナ15から中央管理装置20に送信される(S5)。
【0046】
中央管理装置20では、車載器10から送信されたエリアAの作業開始時刻が無線アンテナ21を介して受信され、作業時間情報記録部222に記録される(S6)。
【0047】
エリアa1における商品a1のピッキング作業が終了すると、速度計測器13で計測される移動速度計測値は予め設定された閾値よりも低くなる。
【0048】
次に、速度計測器13で計測されたフォークリフトPの移動速度計測値が再度閾値よりも高くなると、車両管理装置14の作業時間情報取得部143においてピッキング作業スケジュールに基づいてエリアA内のエリアa2における商品a2のピッキング作業が開始されたと判断される。
【0049】
エリアa2における商品a2のピッキング作業が終了すると、速度計測器13で計測される移動速度計測値は予め設定された閾値よりも低くなる。
【0050】
さらに、速度計測器13で計測されたフォークリフトPの移動速度計測値が再度閾値よりも高くなると、車両管理装置14の作業時間情報取得部143においてピッキング作業スケジュールに基づいてエリアA内のエリアa3における商品a2のピッキング作業が開始されたと判断される。
【0051】
エリアa3における商品a3のピッキング作業が終了すると、速度計測器13で計測される移動速度計測値が予め設定された閾値よりも低くなり、商品a3のピッキング作業が終了したことによりエリアAにおけるすべての作業が終了したと作業時間情報取得部143において判断される。そして、この時点の時刻情報がエリアAの作業終了時刻として無線アンテナ15から中央管理装置20に送信される(S7)。
【0052】
中央管理装置20では、車載器10から送信されたエリアAの作業終了時刻が無線アンテナ21を介して受信され、作業時間情報記録部222に記録される(S8)。
【0053】
同様にして、エリアBの作業開始時刻、エリアBの作業終了時刻、エリアCの作業開始時刻、およびエリアCの作業終了時刻も車載器10の作業時間情報取得部143から順次送信され、中央管理装置20の記録部22の作業時間情報記録部222にそれぞれ記録される(S9〜S16)。
【0054】
このようにして、中央管理装置20の記録部22の作業時間情報記録部222では、ピッキング作業スケジュール記憶部141に記憶されたピッキング作業スケジュールに従って稼動したフォークリフトPの、エリアA〜Cごとのピッキング作業開始時刻およびピッキング作業完了時刻が、作業時間情報として記録される。
【0055】
記録された作業時間情報の一例を、図6に示す。図6の作業時間情報には、エリアAのピッキング作業開始時刻(エリアa1における作業開始時刻)が「9:30」であり、エリアAのピッキング作業終了時刻(エリアa3における作業終了時刻)が「9:40」であり、エリアBのピッキング作業開始時刻(エリアb1における作業開始時刻)が「9:50」であり、エリアBのピッキング作業終了時刻(エリアb3における作業終了時刻)が「10:10」であり、エリアCのピッキング作業開始時刻(エリアc1における作業開始時刻)が「10:15」であり、エリアCのピッキング作業終了時刻(エリアc3における作業終了時刻)が「10:20」として記録されている。
【0056】
次に、中央管理装置20の制御部23のエリア別排出量算出部231において、CO2排出量記録部221に記録された所定時間間隔のCO2排出量と、作業時間情報記録部222に記録された作業時間情報とが対応付けられる。
【0057】
CO2排出量記録部221に記録された所定時間間隔のCO2排出量と、作業時間情報記録部222に記録された作業時間情報との対応をグラフに表したものを、図7に示す。
【0058】
図7は、時間の経過に伴って、エリアA内のエリアa1における商品a1のピッキング作業→エリアA内のエリアa2における商品a2のピッキング作業→エリアA内のエリアa3における商品a3のピッキング作業の一巡で排出されたCO2排出量の変化を示したものである。
【0059】
次にエリア別排出量算出部231において、所定時間間隔のCO2排出量と作業時間情報とが対応付けられた情報から、ピッキング作業によるエリアA〜CごとのCO2排出量が算出される。
【0060】
このエリアA〜CごとのCO2排出量は、各エリアのピッキング作業開始時刻から作業終了時刻までの間に該当するCO2排出量を積算することにより、それぞれ算出される。
【0061】
このようにして算出されたエリアA〜CごとのCO2排出量は、中央管理装置20の記録部22のエリア別排出量記録部223に記録される(S17)。
【0062】
記録されたエリアA〜CごとのCO2排出量の一例を、図8示す。
【0063】
図8のエリアA〜CごとのCO2排出量には、エリアAにおけるピッキング作業で排出されたCO2量が「0.02 kg.CO2」であり、エリアBにおけるピッキング作業で排出されたCO2量が「0.03 kg.CO2」であり、エリアCにおけるピッキング作業で排出されたCO2量が「0.01 kg.CO2」であることが記録されている。
【0064】
次に、中央管理装置20の制御部23の管理情報生成部232において、エリア別排出量記録部223に記録されたエリア別排出量から、週単位や月単位等、管理者により指定された期間単位でのピッキング作業によるエリアA〜CごとのCO2排出量の積算値を表示するための管理情報が生成される。
【0065】
生成された管理情報は、中央管理装置20の表示部24に表示される(S18)。
【0066】
表示された管理情報の一例を、図9に示す。図9は月単位で生成され表示された管理情報であり、A社の月間作業数が「2000」、月間作業時間が「200h」、月間CO2排出量が「200kg」であり、B社の月間作業数が「3000」、月間作業時間が「300h」、月間CO2排出量が「300kg」であり、C社の月間作業数が「4000」、月間作業時間が「400h」、月間CO2排出量が「400kg」であることが示されている。
【0067】
以上の本実施形態によれば、複数会社が共有で利用する倉庫において、ピッキング作業によるCO2排出量を、フォークリフトの稼動による電圧計測値、速度計測値に基づいて高い精度で算出し、顧客ごとに管理することができる。
【0068】
上述した実施形態においては、車載器で取得した所定時間間隔のCO2排出量および作業時間情報を無線通信により順次送信して中央管理装置で管理する場合について説明したが、これには限定されず、車載器の車両管理装置に記録媒体を設置してこれにCO2排出量および作業時間情報を蓄積し、必要に応じてこの記録媒体に記録された情報を中央管理装置に入力するように構成してもよい。
【0069】
このように構成することにより、無線通信機能を搭載しない車載器や中央管理装置の利用を可能にすることができる。
【0070】
またこのとき、車載器の車両管理装置にエリア別排出量算出部の機能を設けることにより、車両管理装置でエリアごとのCO2排出量を算出して記録媒体に蓄積しておき、必要に応じて中央管理装置に入力するようにしてもよい。
【0071】
また、上述した実施形態においては、車載器の車両管理装置においてCO2排出量を算出する場合について説明したが、これには限定されず、車載器で計測された電圧値を順次中央管理装置に送信し、中央管理装置においてCO2排出量を算出して管理するように構成してもよい。
【0072】
また、上述した実施形態においては、車両であるフォークリフトが電力により稼動する場合について説明したが、これには限定されず、ガソリン等の燃料により稼動する車両が稼動する場合も、この稼動によりCO2排出量を算出する機能を設けることにより適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1…排出量管理システム
10…車載器
11…電圧計測器
12…CO2排出量算出器
13…速度計測器
14…車両管理装置
15…無線アンテナ
20…中央管理装置
21…無線アンテナ
22…記録部
23…制御部
24…表示部
141…ピッキング作業スケジュール記憶部
142…CO2排出量取得部
143…作業時間情報取得部
221…CO2排出量記録部
222…作業時間情報記録部
223…エリア別排出量記録部
231…エリア別排出量算出部
232…管理情報生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数エリアにそれぞれ保管された商品を順次ピッキングするピッキング作業を行う車両と、中央管理装置とが接続された二酸化炭素排出量管理システムにおいて、
前記ピッキング作業により前記車両から排出される二酸化炭素排出量を、所定時間間隔で取得する排出量取得部と、
前記ピッキング作業における、前記エリアごとのピッキング作業開始時刻およびピッキング作業完了時刻を、作業時間情報として取得する作業時間情報取得部と、
前記排出量取得部で取得された所定時間間隔ごとの二酸化炭素排出量と、前記作業時間情報取得部で取得された作業時間情報とから、前記ピッキング作業による前記エリアごとの二酸化炭素排出量を算出するエリア別排出量算出部と、
を備えることを特徴とする二酸化炭素排出量管理システム。
【請求項2】
前記エリア別排出量算出部において算出された前記エリアごとの二酸化炭素排出量を所定期間分記録し、前記エリアごとおよび所定期間ごとの二酸化炭素排出量の積算値を算出するエリア別期間別排出量算出部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素排出量管理システム。
【請求項3】
複数エリアにそれぞれ保管された商品を順次ピッキングするピッキング作業を行う車両と、中央管理装置とが接続された二酸化炭素排出量管理システムが、
前記ピッキング作業により前記車両から排出される二酸化炭素排出量を、所定時間間隔で取得する排出量取得ステップと、
前記ピッキング作業における、前記エリアごとのピッキング作業開始時刻およびピッキング作業完了時刻を、作業時間情報として取得する作業時間情報取得ステップと、
前記排出量取得ステップにより取得された所定時間間隔の二酸化炭素排出量と、前記作業時間情報取得ステップにより取得された作業時間情報とから、前記ピッキング作業による前記エリアごとの二酸化炭素排出量を算出するエリア別排出量算出ステップと、
を有することを特徴とする二酸化炭素排出量管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−131620(P2012−131620A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286064(P2010−286064)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】