説明

二重の焦点距離のレンズシステム

二重の焦点距離の光学的なシステム(100)は、第一の光学的なシステム(200)及び第二の光学的なシステム(300)を含む。第一の光学的なシステム(200)は、光軸(125)に沿って位置決めされたものであると共に物体側の表面及び像側の表面を有する光学的な構造体(205)を含む。物体側の表面及び像側の表面は、屈折性の表面(140,240)及び反射性の表面(225,235)を含む。第一の光学的なシステム(200)は、ある焦点距離を有する。第二の光学的なシステムは、同じ光軸(125)に位置決めされたものであると共にある焦点距離を有する。第一の光学的なシステムの焦点距離は、第二の光学的なシステムのものと比べてより長いものである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に、反射性の光学的なシステムの分野に、及び、特に、コンパクトなイメージングシステムにおける使用のために適切な光学的なシステムに、関係する。
【背景技術】
【0002】
屈折性の光学部品を備えた屈折性の光学部品を組み合わせる光学的なシステムは、知られたものである。例えば、Bodkinへ発行された、米国特許第7,049,597号(特許文献1)、及び、Amonへ発行された、米国特許第7,119,969号(特許文献2)は、二重のスペクトルの光学的なシステムにおける使用のための反射性の及び屈折性の素子を備えた二重の光路を開示する。各々の光学的なシステムは、可視のイメージングのための一つの光学的なシステム及びハイパースペクトルのイメージングための別の光学的なシステムを含む。ビームスプリッターは、二つの光路を形成するために使用される。
【0003】
Von Hoessleへ発行された、米国特許第5,051,830号(特許文献3)は、開示されたものである内側の及び外側のゾーンを備えた屈折性のレンズを開示する。外側のゾーンからの光は、第一のセンサーへと光を集束させる反射性のレンズへ伝わる。内側のゾーンからの光は、第一のセンサーと背中合わせの構成に位置させられたものである第二のセンサーへと集束させられる。単一の電子的なシステムは、イメージングシステムの一つのみがある時間に使用されることができるように、両方のイメージングシステムを支持するために使用される。二つのセンサーの位置決めすることは、案内されたミサイルの用途において重量を最小化するために設計されたものである。より短い焦点距離のイメージングシステムは、ターゲットへのミサイルの一般の案内のために提供されたものである。より長い焦点距離のイメージングシステムは、ターゲットへのミサイルの案内の第一のステージの間におけるミサイルのより正確な案内のために提供されたものである。
【0004】
Lawsonへ発行された、米国特許第6,870,690号(特許文献4)は、レンズの外側の部分が、一つのスペクトルの帯域のために設計されたものであると共に、レンズの内側の部分が、別のスペクトルの帯域のために設計されたものであるレンズを開示する。Wilmへ発行された、米国特許第5,172,235号(特許文献5)は、一つのセンサーへとフォーカシングされる二つのレンズを開示する。相補的なゾーンフィルターは、解像度の異なるエリアを備えた複合のイメージを生じさせるために二つのレンズからの二つのイメージが互いにオーバーレイすることを可能とする。
【0005】
しかしながら、まだ、同じシーン又は物体の同時に異なる焦点距離の像を提供する二つの独立なレンズシステムを含む二重の焦点距離のレンズシステムを組み込むコンパクトなイメージングシステムを提供することの要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,049,597号
【特許文献2】米国特許第7,119,969号
【特許文献3】米国特許第5,051,830号
【特許文献4】米国特許第6,870,690号
【特許文献5】米国特許第5,172,235号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の一つの態様に従ったもので、二重の焦点距離の光学的なシステムは、第一の光学的なシステム及び第二の光学的なシステムを含む。第一の光学的なシステムは、光軸に沿って位置決めされたものであると共に、物体側の表面及び像側の表面を有する光学的な構造体を含む。物体側の表面及び像側の表面は、屈折性の表面の部分及び反射性の表面の部分を含む。第一の光学的なシステムは、ある焦点距離を有する。第二の光学的なシステムは、同じ光軸に位置決めされたものであると共に、ある焦点距離を有する。第一の光学的なシステムの焦点距離は、第二の光学的なシステムの焦点距離と比べてより長いものである。
【0008】
発明の別の態様に従ったもので、二重の焦点距離の光学的なシステムは、第一の光学的なシステム及び第二の光学的なシステムを含む。第一の光学的なシステムは、光路に沿って位置決めされたものであると共に、物体側の表面及び像側の表面を有する光学的な構造体を含む。第一の光学的なシステムは、また、光路に沿って目視される際に、光学的な構造体の物体側の表面及び像側の表面の間に位置させられた中間の反射性の素子の第一の表面を含む。第一の光学的なシステムは、第一の焦点距離を有する。第二の光学的なシステムは、同じ光路の部分を共有すると共に、第一の光学的なシステムのものと同じ中間の反射性の素子の第二の表面を含む。第二の光学的なシステムは、第二の焦点距離を有する。第一の光学的なシステムの第一の焦点距離は、第二の光学的なシステムの第二の焦点距離と比べてより長いものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、発明の第一の例の実施形態を通じて伝播する光の光線追跡を示す概略的な図である。
【図2】図2は、発明の第一の例の実施形態の光学的な構成部品の概略的な図である。
【図3】図3は、発明の第一の例の実施形態の例の実施を示す概略的な図である。
【図4】図4は、発明の第二の例の実施形態を通じて伝播する光の光線追跡を示す概略的な図である。
【図5】図5は、図4に示された発明の第二の例の実施形態の部分を通じて伝播する光の光線追跡を示す概略的な図である。
【図6】図6は、図4に示された発明の第二の例の実施形態の部分を通じて伝播する光の光線追跡を示す概略的な図である。
【図7】図7は、発明の第二の例の実施形態の例の実施を示す概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
より下に与えられた発明の好適な実施形態の詳細な説明において、参照は、付随するものである図面になされたものであるが、それらにおいて:
図1は、発明の第一の例の実施形態を通じて伝播する光の光線追跡を示す概略的な図である;
図2は、発明の第一の例の実施形態の光学的な構成部品の概略的な図である;
図3は、発明の第一の例の実施形態の例の実施を示す概略的な図である;
図4は、発明の第二の例の実施形態を通じて伝播する光の光線追跡を示す概略的な図である;
図5は、図4に示された発明の第二の例の実施形態の部分を通じて伝播する光の光線追跡を示す概略的な図である;
図6は、図4に示された発明の第二の例の実施形態の部分を通じて伝播する光の光線追跡を示す概略的な図である;と共に、
図7は、発明の第二の例の実施形態の例の実施を示す概略的な図である。
【0011】
本記載は、特に、本発明に従った装置、の部分を形成する、又は、それとより直接的に協働する、素子へ方向付けられることになる。具体的に示された又は記載されたものではない素子が、当業者に周知の様々な形態を取ることがあることは、理解されるものである。
【0012】
図1を参照すると、二重の焦点距離のレンズシステム100の第一の実施形態を通じて伝播する光の光線追跡を示す概略的な図面は、示される。二重の焦点距離のレンズシステム100は、第一の(例えば、望遠の)光学的なシステム200及び第二の(例えば、広角の)光学的なシステム300を含む。第一の光学的なシステム200の(図2を参照してより詳細に記載された)光学的な表面は、光学的なシステム200が光学的なパワーを有する屈折性の及び反射性の光学的な表面の両方を含む反射屈折性の光学的なシステムを定義する。第二の光学的なシステム300の(図2を参照してより詳細に記載された)光学的な表面は、光学的なシステム300が光学的なパワーを有する屈折性の光学的な表面を含む光屈折性の光学的なシステムを定義する。
【0013】
第一の光学的なシステム200及び第二の光学的なシステム300は、光軸125に沿って位置決めされたものであると共に、光学的な素子の光学的な表面を共有する。表面105及び110は、第一の光学的なシステム200及び第二の光学的なシステム300の両方に使用される、一般的に補償板と称された、弱い屈折させる光学的なパワーを有するレンズ素子140を定義する。レンズ素子140の異なる部分は、外側の輪状の領域115を使用する第一の光学的なシステム200及び中央の領域120を使用する第二の光学的なシステム300を備えた各々のレンズシステムに使用される。
【0014】
レンズ素子140の表面105は、非球面のものであると共に、レンズ素子140の表面110は、球面のものである。しかしながら、表面105及び110のいずれか又は両方は、収差を補正することを助けるために非球面のものであることができる。あるいは、表面105及び110は、汚染から残留する光学的なシステムを保護するためのカバー窓として作用するために平面のものであることができる。
【0015】
ある焦点距離を有する、第一の光学的なシステム200は、光路又は光軸125に沿って位置決めされたものである。ある焦点距離を有する、第二の光学的なシステム300は、同じ光路125に沿って位置決めされたものである。第一の光学的なシステム200の焦点距離(第一の焦点距離)は、第二の光学的なシステム300の焦点距離(第二の焦点距離)と比べてより長いものである。第二の光学的なシステム300が、イメージセンサー135へ光を方向付ける一方で、第一の光学的なシステム200は、イメージセンサー130へ光を方向付ける。
【0016】
図2を参照すると、第一の光学的なシステム200は、物体側の表面210及び像側の表面215を有する光学的な構造体205を含む。物体側の表面210は、屈折性の表面の部分220及び反射性の表面の部分225を含む。像側の表面215は、屈折性の表面の部分230及び反射性の表面の部分235を含む。
【0017】
光学的な構造体205の像側の表面215の反射性の表面の部分235は、光学的なパワーを有すると共に非球面のものである。光学的な構造体205の物体側の表面210の反射性の表面の部分225は、また、光学的なパワーを有すると共に非球面のものである。しかしながら、反射性の表面の部分225は、非球面のものであることができる。第一の光学的なシステム200のための光学的なパワーの大部分は、反射性の表面235及び225に有るものである。表面235及び225が、反射性のものである際には、これらの表面は、光学的なシステム200へと色収差を導入するものではない。第一の光学的なシステム200は、開口290を含む。
【0018】
表面225及び235の間における空間は、空気又は(図3を参照してより詳細に記載された)屈折性の材料で充填されたものであることができる。この空間が、屈折性の材料で充填されたものであるとき、材料の分散は、いくらかの色収差を導入することがある。これが、起こるとき、イメージセンサー130及び光学的な構造体205の間に位置決めされた表面245及び250を有する屈折性の光学的な素子240は、視野の収差が有るものであるとすれば視野の収差のみならず色収差を補正するために使用されることができる。
【0019】
図2に示されたように、光学的な構造体205の像側の表面215の屈折性の表面の部分230は、光学的な素子240の表面245及び250の一つ又は両方を含む。しかしながら、表面225及び235の間における空間が、屈折性の材料で充填されたものである(図3を参照すること)とき、光学的な構造体205の像側の表面215の屈折性の表面の部分230は、材料それ自体から、例えば、曲率半径を成形することによって、形成されることができる。
【0020】
図2に示されたように、光学的な構造体205の物体側の表面210の屈折性の表面の部分220は、レンズ素子140の表面105及び110の一つ又は両方を含む。それに応じて、光学的な構造体205の物体側の表面210の光学的なパワーは、光学的な構造体205の像側の表面215の光学的なパワーと比べてより少ないものである。あるいは、光学的な構造体205の物体側の表面210は、別の表面を含むことができる。例えば、レンズ素子140が、平面の板であるとき、物体側の表面210は、別のレンズ素子の表面又は表面225及び235の間における空間を充填するために使用された材料の物体側の表面330であることができる(図3を参照すること)。
【0021】
まだ図2を及び逆戻りに図1を参照すると、レンズ素子140の異なる部分は、外側の輪状の領域115を使用する第一の光学的なシステム200及び中央の領域120を使用する第二の光学的なシステム300を備えた各々のレンズシステムに使用されたものである。この意味において、光学的な構造体205の物体側の表面210は、第二の屈折性の表面の部分120が第二の光学的なシステム300と関連させられたものであること及び第一の屈折性の表面の部分115が第一の光学的なシステム200と関連させられたものであることを備えた、第一の屈折性の表面の部分115及び第二の屈折性の表面の部分120を含む。図1及び2に示されたように、光学的な構造体205の物体側の表面210の第一の屈折性の表面の部分115及び第二の屈折性の表面の部分120は、連続的な表面を形成するが、しかし、これは、常に、そのケースであることを必要とするものではない。加えて、光学的な構造体205の物体側の表面210の第一の屈折性の表面の部分115及び第二の屈折性の表面の部分120は、同じ曲率半径を有する。しかしながら、屈折性の表面の部分115及び120は、異なる曲率半径を有することができる。
【0022】
表1Aは、発明の第一の例の実施形態の第一のレンズシステム200の一つの具体的な構成を記載する。この構成においては、レンズシステム200は、望遠のレンズシステムである。しかしながら、他の構成が許されることは、認識される。典型的には、これらの他の構成は、二重の焦点距離のレンズシステム100の第一のレンズシステム200のために企図された具体的な用途に依存する。
【0023】
表1A
【0024】
【表1】

まだ図2を参照すると、第二の光学的なシステム300は、第一の光学的なシステム200を備えた光学的な素子140の表面105及び110を共有する。光学的な素子140を通過した後に、第二の光学的なシステム300は、一つの又はより多い追加のレンズ225を通じてイメージセンサー135へ光を方向付ける。図2に示されたように、これらのレンズは、表面260,265を有する両凸のレンズ;表面270,275を有する両凸のレンズ;及び表面280,285を有する両凹のレンズを含む。あるいは、第二の光学的なシステム300は、図2に示されたレンズの数と比べてより多い又はより少ないレンズを有することができる。
【0025】
光学的なシステム300のための光学的なパワーの、全てではないが、大部分は、表面260乃至285に含有される。レンズ225は、+,+,−の光学的なパワーを有する三つの素子のレンズ群を形成するが、しかし、他の構成は、ちょうど可視のもののようなものである。表面260乃至285は、球面のものであるが、しかしながら、これらの光学的な表面のいずれもが、収差のコントロールのための非球面を有することができる。
【0026】
表1Bは、発明の第一の例の実施形態の第二のレンズシステム300の一つの具体的な構成を記載する。この構成においては、レンズシステム300は、広角のレンズシステムである。しかしながら、他の構成が許されることは、認識される。典型的には、これらの他の構成は、二重の焦点距離のレンズシステム100の第一のレンズシステム300のために企図された具体的な用途に依存する。
【0027】
表1B
【0028】
【表2】

逆戻りに図1及び2を参照すると、第一の光学的なシステム200の第一の焦点距離及び第二の光学的なシステム300の第二の焦点距離の少なくとも一つは、固定された焦点距離である。しかしながら、追加の光学的な素子が、焦点距離、焦点、又はそれら両方における変化に影響を及ぼすために可動なものである、イメージセンサー130及び第一の光学的なシステム200並びにイメージセンサー135及び第二の光学的なシステム300のいずれか又は両方の間に位置決めされることができることは、企図される。これは、一つの又はより多い光学的な素子を移動させるための従来の技術を使用することで成し遂げられることができる。あるいは、イメージセンサー130及びイメージセンサー135の一つ又は両方は、焦点における変化に影響を及ぼすためにそれの関連させられた光路に沿って可動なものであることができる。イメージセンサーの移動は、従来の技術を使用することで成し遂げられる。別の代替の実施形態において、第一の光学的なシステム200又は第二の光学的なシステム300は、焦点における変化に影響を及ぼすためにそれらのそれぞれのイメージセンサー130及び135に対して相対的に移動させられることができる。再度、移動は、従来の技術を使用することで成し遂げられる。
【0029】
コントローラーは、二重の焦点距離のレンズシステム100の第一の光学的なシステム200及び第二の光学的なシステム300によって生じさせられたイメージの両方を使用することでディジタルズーミングの機能を行うために提供されたものであると共に構成されたものであることができる。ディジタルズーミングは、Border等の2008年2月7日に公開された米国特許出願公開第2008/0030592号に記載されたものと同様の技術を使用するものであることで成し遂げられることができる。
【0030】
図3を及び逆戻りに図2を参照すると、二重の焦点距離のレンズシステム100の例の実施360は、示されたものである。光学的な構造205は、レンズ255及びイメージセンサー135のまわりに一緒に接合された二つのピース310,320を含む固体の材料の素子である。適切な材料は、アクリル系のプラスチック、シクロオレフィン重合体(共重合体)、例えば、Zeon Corporation,Tokyo,Japanから商業的に入手可能なものである、Zeonex、と同様の低い分散の材料を含む。ピース310は、物体側の表面210の屈折性の表面の部分220として役に立つ素子140を含む。ピース320は、物体側の表面210の反射性の表面の部分225及び像側の表面215の反射性の表面の部分235を含む。図3において、像側の表面215の反射性の表面の部分235の真ん中における材料の表面は、平面のものであるが、そのように、屈折性の光学的な素子240は、像側の表面215の屈折性の表面の部分230として役に立つ。二重の焦点距離のレンズシステム100の例の実施360は、また、開口290を形成するピース320における光を遮る表面350を含む。図3においては、光学的な素子225は、図2を参照して記載された光学的なレンズと同じものである。イメージセンサー130は、また、示されたものである。
【0031】
図4を参照すると、二重の焦点距離のレンズシステム400の第二の実施形態を通じて伝播する光の光線追跡を示す概略的な図面は、示されたものである。二重の焦点距離のレンズシステム400は、第一の(例えば、望遠の)光学的なシステム500及び第二の(例えば、広角の)光学的なシステム600を含む。第一の光学的なシステム500の(図5を参照してより詳細に記載された)光学的な表面は、光学的なシステム500が光学的なパワーを有する屈折性の及び反射性の光学的な表面の両方を含む反射屈折性の光学的なシステムを定義する。第二の光学的なシステム600の(図6を参照してより詳細に記載された)光学的な表面は、光学的なシステム600が光学的なパワーを有する屈折性の光学的な表面を含む光屈折性の光学的なシステムを定義する。第一の光学的なシステム500及び第二の光学的なシステム600は、光軸410の部分、いくつかの光学的な表面、及び光学的な素子を共有する。
【0032】
第一の焦点距離を有する、第一の光学的なシステム500は、光路又は光軸に沿って位置決めされたものである。第二の焦点距離を有する、第二の光学的なシステム600は、同じ光路の部分を共有する。光路は、光学的なシステム400を通じて伝播する光の光線追跡を使用することで描かれたものである。光学的なシステム500の第一の焦点距離は、第二の光学的なシステム600の第二の焦点距離と比べてより長いものである。
【0033】
図5を参照すると、第一の光学的なシステム500は、(光学的なシステム500を通じて伝播する光の光線追跡によって描かれた)光路に沿って目視された際に、物体側の表面505及び像側の表面510を含む光学的な構造体550を含む。中間の光学的な素子515は、光学的な構造体550の物体側の表面505及び像側の表面510の間に位置させられたものである。第一の光学的なシステム500は、また、中間の素子515の第一の表面520を含む。
【0034】
物体側の表面505は、第一の光学的なシステム500の全長を低減することを助けるいくらかの正の光学的なパワーを有する。物体側の表面505は、非球面のものであるが、しかしながら、表面505は、また、球面のものであることができる。像側の表面510は、(表面505に対して比較されたとき)より大きい量の光学的なパワーを提供する反射性の表面であると共に、それが、反射性のものであるという理由のために、色収差を追加すること無しにそのようにするものである。像側の表面510は、また、非球面のものであることができる。中間の素子515の表面520は、平面の反射させる表面、例えば、第一の光学的なシステム500の光路又は光軸を再方向付けする又はそれを折りたたむ光学的なパワーを備えたものはない、ミラーの表面、である。
【0035】
図5に示されたように、第一の光学的なシステム500は、中間の光学的な素子515が第一の中間の光学的な素子であることを備えた第二の中間の光学的な素子を含む。中間の素子は、屈折性の表面525を含むと共に、第二の光学的なシステム600によって共有されたものではない光路の部分に沿って位置決めされたものである。表面525は、光学的な構造体550に含まれたものである。しかしながら、光学的な表面525は、光学的な構造体550の部分ではない中間の光学的な素子の表面であることができる。第一の光学的なシステム500は、イメージセンサー530へ光を方向付ける。図5に示されたものではないとはいえ、追加の光学的な素子は、(図6を参照して記載された)イメージセンサー675及び第二の光学的なシステム600の間に位置決めされた光学的な素子と同様の、イメージセンサー530及び第一の光学的なシステム500の間に位置決めされたものであることができる。図5において、表面525は、平面のものである。しかしながら、表面525は、光学的なパワーを有すると共に自由選択で視野補正の表面、横方向の色をコントロールするための方式、又はそれら両方として使用されるために非球面のものであることができる。
【0036】
表2Aは、発明の第二の例の実施形態の第一のレンズシステム500の一つの具体的な構成を記載する。この構成において、レンズシステム500は、望遠のレンズシステムである。しかしながら、他の構成が許されることは、認識される。典型的には、これらの他の構成は、二重の焦点距離のレンズシステム400の第一のレンズシステム500のために企図された具体的な用途に依存する。
【0037】
表2A
【0038】
【表3】

図6を参照すると、第二の光学的なシステム600は、第一の光学的なシステム500を備えた表面505を共有する。第二の光学的なシステム600は、中間の素子515の第二の表面620を含む。この事例においては、第二の表面620は、反対の第一の表面520である。中間の素子515の第二の表面620は、第二の光学的なシステム600の光路又は光軸を再方向付けする光学的なパワーを備えたものではない平面の反射させる表面である。
【0039】
二重の焦点距離のレンズシステム400を設計するとき、第二の表面620は、表面620(及び中間の素子515)の物理的な空間の要件を低減する又はそれを最小化するために第二の光学的なシステム600の開口絞りとして指定されたものであることができる。類似して、中間の素子515における第一の表面520は、第一の光学的なシステム500の開口絞りとして指定されたものであることができる。
【0040】
第二の光学的なシステム600は、球面のものであると共に光学的なパワーを有する光学的な表面625を含む。表面625は、非球面のものであることができる。光学的な表面625は、光学的な構造体550に含まれたものである。この意味において、光学的な表面625は、光学的な構造体550の像側の表面510が光学的な構造体550の第一の像側の表面であることを備えた光学的な構造体550の第二の像側の表面である。しかしながら、像側の表面510が、反射性のものであるのに対して、光学的な表面625が、屈折性のものであることは、留意されるべきである。光学的な表面625は、第一の光学的なシステム500によって共有されたものではない光路の部分に沿って位置決めされたものである。あるいは、光学的な表面625は、光学的な構造体550の部分ではない光学的な素子の表面であることができる。
【0041】
光学的な表面625を通過した後に、第二の光学的なシステム600は、一つの又はより多い追加のレンズを通じてイメージセンサー675へ光を方向付ける。図6に示されたように、これらのレンズは、表面630,635,640を有する二重レンズ;表面645,650を有する両凸のレンズ;並びに、それぞれ、表面655,660及び665,670を有する第一の及び第二のメニスカスレンズを含む。第一の及び第二のメニスカスレンズは、それらのイメージセンサー675側において両方とも凹面のものである。あるいは、第二の光学的なシステム600は、図6に示されたレンズの数と比べてより多い又はより少ないレンズを有することができる。
【0042】
表2Bは、発明の第二の例の実施形態の第二のレンズシステム600の一つの具体的な構成を記載する。この構成において、レンズシステム600は、広角のレンズシステムである。しかしながら、他の構成が許されることは、認識される。典型的には、これらの他の構成は、二重の焦点距離のレンズシステム400の第一のレンズシステム600のために企図された具体的な用途に依存する。
【0043】
表2B
【0044】
【表4】

逆戻りに図4−6を参照すると、第一の光学的なシステム500の第一の焦点距離及び第二の光学的なシステム600の第二の焦点距離の少なくとも一つのものは、固定された焦点距離である。しかしながら、追加の光学的な素子が、焦点距離、焦点、又はそれら両方における変化に影響を及ぼすために可動なものである、イメージセンサー530及び第一の光学的なシステム500並びにイメージセンサー675及び第二の光学的なシステム600のいずれか又は両方の間に位置決めされたものであることができることは、企図される。これは、一つの又はより多い光学的な素子を移動させるための従来の技術を使用することで成し遂げられることができる。あるいは、イメージセンサー530及び第二のイメージセンサー675の一つ又は両方は、焦点における変化に影響を及ぼすためにそれの関連させられた光路に沿って可動なものであることができる。イメージセンサーの移動は、従来の技術を使用することで成し遂げられる。別の代替の実施形態において、第一の光学的なシステム500又は第二の光学的なシステム600は、焦点における変化に影響を及ぼすためにそれらのそれぞれのイメージセンサー530及び675に対して相対的に移動させられたものであることができる。再度、移動は、従来の技術を使用することで成し遂げられる。
【0045】
コントローラーは、二重の焦点距離のレンズシステム400の第一の光学的なシステム500及び第二の光学的なシステム600によって生じさせられたイメージの両方を使用することでディジタルズーミングの機能を行うために提供された及び構成されたものであることができる。ディジタルズーミングは、Border等の2006年8月1日に出願された米国特許出願シリアル番号11/461,574に記載されたものと同様の技術によって成し遂げられることができるが、その開示は、ここにおいて参照によって組み込まれる。
【0046】
図7を並びに逆戻りに図5及び6を参照すると、二重の焦点距離のレンズシステム400の例の実施は、示されたものである。光学的な構造体550は、中間の光学的な素子515のまわりの一緒に接合された二つのピース710,720を含む固体の材料の素子である。適切な材料は、アクリル系のプラスチック、シクロオレフィン重合体(共重合体)、例えば、Zeon Corpoation,Tokyo,Japanから商業的に入手可能なものである、Zeonex、と同様の低い分散の材料を含む。中間の素子515(及び反射性の表面520)、表面525、並びに、第一の光学的なシステム500の光学的な構造体550の物体側の表面505及び像側の表面510は、同じ光学的な素子の部分を作り上げる。加えて、この光学的な素子は、また、中間の素子515の反射性の表面620及び第二の光学的なシステム600の表面625を含む。図7において、光学的な素子730は、図6を参照して記載された光学的なレンズと同じものである。イメージセンサー530及び675は、また、示されたものである。
【0047】
共通の光軸を共有する二つの別個のイメージングシステムを含む光学的なシステムを作り出すために反射性の及び屈折性の光学部品を使用する光学的なシステムは、多数の用途において使用されることができる。共通の光軸を共有することによって、二つの別個のイメージングシステムは、視差の差無しに像を提供するために作られたものであることができる。より上に記載されたものと同様の光学的なシステムは、コンパクトなイメージングシステムのために特に良好に適合させられたものである。反射性の光学部品は、本質的には、それ自体へと光学的なシステムを折りたたむが、それによって光学的なシステムの全長を低減するものである。共通の光軸の少なくとも部分を共有するために光学的なシステムを構成することは、また、物理的な空間の要件を低減すると共に、共通の光軸を共有するものではない光学的なシステムに対して比較されたとき光学的なシステムの複雑さを減少する。
【符号の説明】
【0048】
100 二重の焦点距離のレンズシステム
105 屈折性の表面
110 屈折性の表面
115 外側の輪状の領域(第一の屈折性の表面の部分)
120 中央の領域(第二の屈折性の表面の部分)
125 光軸又は光路
130 イメージセンサー
135 イメージセンサー
140 屈折性の素子
200 第一の光学的なシステム
205 光学的な構造体
210 物体側の表面
215 像側の表面
220 屈折性の表面の部分
225 屈折性の表面の部分
230 屈折性の表面の部分
235 屈折性の表面の部分
240 屈折性の光学的な素子
245 屈折性の表面
250 屈折性の表面
255 レンズ
260 屈折性の表面
265 屈折性の表面
270 屈折性の表面
275 屈折性の表面
280 屈折性の表面
285 屈折性の表面
290 開口
300 第二の光学的なシステム
310 ピース
320 ピース
330 物体側の表面
350 光を遮る表面
360 光学的なシステムの実施
400 二重の焦点距離のレンズシステム
410 光軸
500 第一の光学的なシステム
505 物体側の表面
510 像側の表面
515 中間の光学的な素子
520 第一の屈折性の表面
525 屈折性の表面
530 イメージセンサー
550 光学的な構造体
600 第二の光学的なシステム
620 第二の屈折性の表面
625 屈折性の表面
630 屈折性の表面
635 屈折性の表面
640 屈折性の表面
645 屈折性の表面
650 屈折性の表面
655 屈折性の表面
660 屈折性の表面
665 屈折性の表面
670 屈折性の表面
675 イメージセンサー
700 実施
710 ピース
720 ピース
730 光学的な素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重の焦点距離の光学的なシステムであって、
光軸に沿って位置決めされた第一の光学的なシステム、前記第一の光学的なシステムが物体側の表面及び像側の表面を有する光学的な構造体を含むこと、前記物体側の表面及び前記像側の表面が屈折性の表面の部分及び反射性の表面の部分を含むこと、前記第一の光学的なシステムがある焦点距離を有すること;並びに、
同じ光軸に位置決めされた第二の光学的なシステム、前記第二の光学的なシステムがある焦点距離を有すること、前記第一の光学的なシステムの焦点距離が前記第二の光学的なシステムの焦点距離と比べてより長いものであること
:を具備する、システム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、
前記光学的な構造体の像側の表面の反射性の表面の部分は、光学的なパワーを有する、システム。
【請求項3】
前記光学的な構造体の物体側の表面の屈折性の表面の部分が光学的なパワーを有する、請求項2のシステムにおいて、
前記光学的な構造体の物体側の表面の光学的なパワーは、前記光学的な構造体の像側の表面の光学的なパワーと比べてより少ないものである、システム。
【請求項4】
請求項2のシステムにおいて、
前記光学的な構造体の像側の表面は、非球面の表面を含む、システム。
【請求項5】
請求項1のシステムにおいて、
前記光学的な構造体の物体側の表面の屈折性の表面の部分は、光学的なパワーを有する、システム。
【請求項6】
請求項5のシステムにおいて、
前記光学的な構造体の物体側の表面は、非球面の表面を含む、システム。
【請求項7】
請求項1のシステムにおいて、
前記第一の光学的なシステムの光学的な構造体の物体側の表面及び像側の表面は、同じ光学的な素子の部分を作り上げる、システム。
【請求項8】
請求項7のシステムにおいて、
前記光学的な素子は、固体の材料の素子である、システム。
【請求項9】
請求項8のシステムにおいて、
前記固体の材料の素子は、一緒に接合された二つの素子を具備する、システム。
【請求項10】
請求項1のシステムであって、さらに、
前記第一の光学的なシステムと関連させられた第一のイメージセンサー;及び
前記第二の光学的なシステムと関連させられた第二のイメージセンサー
:を具備する、システム。
【請求項11】
請求項10のシステムであって、さらに、
前記第一のイメージセンサー及び前記第一の光学的なシステムの間に位置決めされた追加の光学的な素子
:を具備する、システム。
【請求項12】
請求項11のシステムにおいて、
前記追加の光学的な素子は、焦点距離、焦点、又はそれら両方における変化に影響を及ぼすために位置決めされた可動なものである、システム。
【請求項13】
請求項10のシステムにおいて、
前記第一のイメージセンサー及び前記第二のイメージセンサーの一つ又は両方は、焦点における変化に影響を及ぼすためのそれの関連させられた光路に沿って可動なものである、システム。
【請求項14】
請求項10のシステムであって、さらに、
前記第一の光学的なシステム及び前記第二の光学的なシステムによって生じさせられた像の両方を使用するディジタルズーミングの機能を行うために構成されたコントローラー
:を具備する、システム。
【請求項15】
前記光学的な構造体の物体側の表面の屈折性の表面の部分が第一の屈折性の表面の部分及び第二の屈折性の表面の部分を有する、請求項1のシステムにおいて、
前記第一の屈折性の表面の部分は、前記第一の光学的なシステムと関連させられたものであると共に、前記第二の屈折性の表面の部分は、前記第二の光学的なシステムと関連させられたものである、システム。
【請求項16】
請求項15のシステムにおいて、
前記光学的な構造体の物体側の表面の第一の屈折性の表面の部分及び第二の屈折性の表面の部分は、連続的な表面を形成する、システム。
【請求項17】
請求項16のシステムにおいて、
前記光学的な構造体の物体側の表面の第一の屈折性の表面の部分及び第二の屈折性の表面の部分は、同じ曲率半径を有する、システム。
【請求項18】
請求項15のシステムであって、さらに、
前記第一の光学的なシステムと関連させられた第一のイメージセンサー;及び
前記第二の光学的なシステムと関連させられた第二のイメージセンサー
:を具備する、システム。
【請求項19】
請求項10のシステムであって、さらに、
前記第二のイメージセンサー及び前記光学的な構造体の第二の屈折性の表面の部分の間に位置決めされた追加の光学的な素子
:を具備する、システム。
【請求項20】
請求項19のシステムにおいて、
前記追加の光学的な素子は、焦点距離、焦点、又はそれら両方における変化に影響を及ぼすために位置決めされた可動なものである、システム。
【請求項21】
請求項1のシステムにおいて、
前記第一の光学的なシステムの焦点距離及び前記第二の光学的なシステムの焦点距離の少なくとも一つのものは、固定された焦点距離である、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−505022(P2011−505022A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535953(P2010−535953)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/012817
【国際公開番号】WO2009/070213
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】