説明

二重織りガラスクロス、並びに該ガラスクロスを使用したプリプレグ及びプリント配線板用基板

たて糸とよこ糸から構成されるガラスクロスであって、表組織と裏組織からなる二重組織を有し、該表組織と該裏組織が織物組織で接結され一体化していることを特徴とするプリント配線板用二重織りガラスクロス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板用途に用いられるガラスクロスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
両面プリント配線板の製造は、通常以下のような工程で行われる。第一のプリプレグ製造工程において、ガラスクロス等の基材にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と溶媒からなるワニスを含浸させて加熱乾燥させたプリプレグを作製する。二番目の積層工程において、該プリプレグを単数又は複数枚積層して、得られた積層板の両面に銅箔を貼り、加熱加圧して硬化させた銅張り積層板を作製する。三番目の回路パターン形成工程において、該銅張り積層板の両面にフォトリソグラフィー及びエッチング又はメッキによって銅箔からなる回路パターンを作成する。最後のスルーホール加工工程において、ドリル又はレーザによりスルーホールを形成し、無電解銅メッキ等の公知の工程により両面の電気的接続を確保する。上述の積層工程の熱と圧力により、また回路パターン形成工程において銅箔の一部がエッチアウトされることにより、銅張り積層板の寸法が変化することが一般的に知られている。
また、多層プリント配線板は、上述の両面プリント配線板をコア基板とし、さらにその表層に上述のプリプレグを単数又は複数枚重ね合わせ、得られた積層板の両面に銅箔を貼り、加熱加圧して硬化接着させる逐次成型法により製造することができる。
【0003】
近年のデジタル機器の高機能、小型軽量化のために、使用されるプリント配線板にもさらなる小型化及び薄型化、並びに高密度化が要求されている。そのための手法として、上述した逐次成型法によるビルドアップ多層プリント配線板の層数を増大させることも可能であるが、近年は両面プリント配線板同士を中間接続体をはさんで積層し一度に加熱加圧して硬化接着させる一括成型法が採用されることが多くなっている。上記中間接続体となるプリプレグは(以下において、コア基板製造に使用されるプリプレグ等と、中間接続体となるプリプレグを区別する必要がある場合は、「中間接続プリプレグ」という。)、その貫通孔(インタースティシャルビアホール又はインナビアホールを略して、以下、IVHという。)に導電性ペースト等の導電体を充填することによって、部品ランド直下や任意の層間にIVHを形成可能である。そのため、基板サイズの小型化や高密度実装が実現できる全層IVH構造の多層プリント配線板なども提案されている。
【0004】
これらの多層プリント配線板の製造方法においては、各層を構成するコア基板や中間接続プリプレグの薄型化により前述したさらなる小型化及び薄型化、並びに高密度化を達成しようとしている。しかしながら、各層を構成する材料の薄型化に伴い搬送時等の取り扱い性が悪化するため、使用される中間接続プリプレグ及びコア基板の剛性向上が求められている。
また、プリント配線板の高密度化のためには基板のさらなる寸法安定性、特にばらつきの低減が、薄型化に必要な基板やプリプレグと同様に、歩留まりを向上させるために必要となっている。さらに多層化による層間のビア接続の増加に伴い、厚さ方向の接続信頼性を向上するために、厚さ方向(Z方向)の熱膨張係数の低減も求められている。
【0005】
厚さ方向の熱膨張係数の低減に対応できる基材として、三次元構造織物のガラス(以下「三次元ガラス」という。)をプリント配線板に用いることが提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1において、上記三次元構造織物は、たて方向繊維とよこ方向繊維と厚み方向繊維とからなる織物と定義されており、具体的には平行に配列したたて方向繊維の層とよこ方向繊維の層を交互に積み上げ、たて方向繊維とよこ方向繊維との間に存在する上下方向の隙間を縫うように厚み方向繊維を通した構造が記載されている。なお、特許文献2には、具体的な三次元ガラスの構造は記載されていない。特許文献1の記載によると、該三次元ガラスを用いたプリント配線板のZ方向の熱膨張係数は、平織ガラスを使用した従来例の約1/3とされている。また、特許文献1には記載は無いものの、該三次元ガラスを用いたプリント配線板の剛性は、従来例に比較して高いことも予想される。
しかしながら、上述の三次元ガラスを製織するためには、たて方向の繊維(経糸)、よこ方向の繊維(緯糸)及び厚み方向の繊維という3方向に対応した特殊な織機が必要であり、経糸と緯糸という2方向のみに対応した通常の織機では製織することはできないという大きな問題がある。
また、該三次元ガラスには、厚み方向のガラス量の分布が場所によって大幅に異なるという問題点がある。プリント配線板にスルーホール又はIVH等の加工をする場合、厚み方向のガラス量の分布に差があると孔形状にばらつきが発生する。平織ガラスクロス等の二次元構造織物においては、開繊加工が上記ばらつきの減少に効果があることが知られている。しかしながら、上記三次元ガラスでは厚み方向繊維が上下同列に配置し、拘束されているために開繊加工を行ったとしてもばらつきの解消は困難である。これらの問題のために、上述の三次元ガラスをプリント配線板の基材として使用することは行われていない。
【0006】
そこで、コア基板の場合は、高剛性化のために、可能な限り薄いガラスクロスを使用したプリプレグを複数枚積層して加熱加圧成型して作成する手法が一般的である。例えば、厚さ100μmのコア基板を作成する場合に、ガラス含有量が同一であれば、1枚で厚さ100μmのプリプレグから作成されたコア基板よりも、50μmのプリプレグ2枚から作成されたコア基板の方が剛性が高い。同様に、厚さ33μmのプリプレグ3枚から作成されたコア基板の方がさらに好ましい。
しかしながら、極薄のガラスクロスを使用したプリプレグは製造工程での取り扱い性等の歩留まりの悪さや、使用するガラスクロスの枚数増加に伴うコストアップの要因となり好ましくない。また、上述の複数プリプレグを積層したコア基板は、剛性は向上するものの、Z方向の熱膨張係数の減少には効果がない。
また、中間接続プリプレグの場合は、ロールに巻いたガラスクロスを連続してワニスに含浸させプリプレグを製造する方法が現在の主流である。このため、中間プリプレグを複数枚積層することは困難であるという問題点があった。そこで、プリプレグを積層せずに高剛性化することが可能な手法として、複数枚のガラスクロスを重ねたままワニスに含浸させ1枚のプリプレグを得る製造方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、本手法では1枚の厚さが50μm以下の極薄のガラスクロスを複数枚使用した場合、ガラスクロスにたるみ、しわ等が発生し、均一なプリプレグを得ることが困難である。仮にプリプレグ製造時のライン張力を大幅に高め、たるみ、しわ等の発生を回避できた場合においても、多大な残留応力のために積層工程における寸法変化の安定性を損なうという問題点があった。また、上述の複数ガラスクロスを1枚のプリプレグにしたコア基板は、剛性はより向上するものの、Z方向の熱膨張係数の減少には効果がない。
【0007】
一方、プリント配線板のそりねじれを低減させることを目的として、片重ね組織である、緯二重朱子織り及び経二重朱子織りのガラスクロスを用いたプリント配線板が提案されている(特許文献4参照)。片重ね組織とは、たて糸又はよこ糸のいずれか一方に2種以上の糸を用いた組織で、緯二重織りの場合は、たて糸1種とよこ糸2種とを用いて作られる二重の織物組織である。該織物組織においては、表組織はたて糸と表よこ糸で織り成され、裏組織はたて糸と裏よこ糸で織り成されている。経二重織りの場合は、たてとよこの関係が逆になるだけで緯二重織りと同様である。
特許文献4のガラスクロスは、糸の織縮みを減らすためにたて糸とよこ糸の交差の少ない朱子織りとした上で、朱子織りの有する表裏の差をキャンセルさせるために片重ね組織としたものである。片重ね組織の織物によって、厚さが通常の一重組織の織物の1.5倍程度で表裏差のないガラスクロスを得ることはできるが、プリプレグの剛性の向上には役立たない。また、朱子織りは糸同士の拘束力が弱いため目曲がりが生じやすく、薄物のガラスクロスには適さない。
【0008】
【特許文献1】特公平7−36465号公報
【特許文献2】特開平7−202362号公報
【特許文献3】特開平9−151027号公報
【特許文献4】特開2001−55642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、特殊な織機によらずに製織可能なガラスクロスであって、両面プリント配線板に使用されるコア基板及びプリプレグの薄型化に必要な剛性の向上と生産性の向上とに対応し、寸法変化量のばらつき及び厚さ方向の熱膨張係数の低減を可能とするガラスクロス、及び該ガラスクロスを使用したプリプレグ、さらには該プリプレグを使用したプリント配線板用基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、たて糸とよこ糸から構成されるガラスクロスの織物構造に着目して鋭意研究を重ねた結果、ガラスクロス2枚を重ねた二重組織を有し、かつその2枚が接結された構造の二重織りガラスクロスを基材として使用することにより、ガラスクロス1枚を使用したプリプレグ2枚を積層して成型したのと同等の剛性を有するプリプレグを安定的に得ることが可能であり、かつ寸法安定性のばらつき及び厚さ方向の熱膨張係数を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第1はたて糸とよこ糸から構成されるガラスクロスであって、表組織と裏組織からなる二重組織を有し、該表組織と該裏組織が織物組織で接結され一体化していることを特徴とするプリント配線板用の二重織りガラスクロスである。
上記表組織は該表組織のみを織り成す表たて糸、該表組織のみを織り成す表よこ糸、及び該表組織と該裏組織の双方を織り成す共通糸からなり、裏組織は該裏組織のみを織り成す裏たて糸、該裏組織のみを織り成す裏よこ糸、及び該表組織と該裏組織の双方を織り成す該共通糸からなる二重織りガラスクロスであることが好ましい。また、表組織と裏組織が平織組織からなる二重織りガラスクロスであることがより好ましい。さらに、単位組織当たり少なくとも1カ所の割合で表組織と裏組織とが接結されている二重織りガラスクロスであることが最も好ましい。
本発明の第2は、本発明の第1のガラスクロスと半硬化状態のマトリックス樹脂を含んでなるプリント配線板用のプリプレグである。
本発明の第3は、本発明の第2のプリプレグを加熱加圧硬化させてなるプリント配線板用基板である。
本発明の第4は、本発明の第2のプリプレグを単数又は複数枚積層して、得られた積層板の両面に銅箔を貼り、加熱加圧して、硬化させた銅張り積層板を作製する工程、該銅張り積層板の両面に銅箔からなる回路パターンを作成する工程、及びスルーホールを形成し該両面の回路パターン間の電気的接続を確保する工程を含むプリント配線板の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガラスクロスを使用したプリプレグで成型したプリント配線板用基板は、生産性と剛性に優れ、寸法変化量のばらつきの低減、及び厚さ方向の熱膨張係数の低減が可能であるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明について以下に具体的に説明する。
(1)ガラスクロスの特徴
本発明のガラスクロスは、たて糸とよこ糸から構成されるガラスクロス2枚を重ねた二重組織を有し、かつその2枚の織物が織物組織で接結され一体化した二重織りガラスクロスである。二重組織を有する織物とは、一重織物を上下に2枚重ね合わせて同時に織り出したもので、表になる表組織は表たて糸と表よこ糸とから作られ、裏になる裏組織は裏たて糸と裏よこ糸とから作られるものである。このような織物組織にすることにより、表組織と裏組織が接結されているため厚み方向の熱膨張係数を小さくできるという効果を奏する。なお、二重組織を有する織物は、少なくともたて糸2種よこ糸2種を使用する点で、前述の特許文献4に記載された片重ね組織の織物とは異なる。
上述した表裏のたて糸同士が同じ糸種であり、且つ表裏のよこ糸同士が同じ糸種であることが好ましく、さらにたて糸とよこ糸が同じ糸種であることがより好ましいが、これらすべてが異なる糸種であってもよい。
好ましい二重組織の織物の一例としては、表組織は該表組織のみを織り成す表たて糸、該表組織のみを織り成す表よこ糸、及び該表組織と該裏組織の双方を織り成す共通糸からなり、裏組織は該裏組織のみを織り成す裏たて糸、該裏組織のみを織り成す裏よこ糸、及び該表組織と該裏組織の双方を織り成す該共通糸からなる二重織りガラスクロスが挙げられる。ここで、該共通糸は、該表組織と該裏組織を接結する織物組織又はその一部を構成し、たて糸のみで構成されること、又はよこ糸のみで構成されること、又はたて糸とよこ糸の双方で構成されることが可能である。
このような織物組織にすると、表組織と裏組織の織点が重なることが非常に少ないため穴加工性にすぐれるという効果を奏する。特に極薄の平織りガラスクロスを単に二枚重ねた場合には、上下のガラスクロスが同周期で重なる部分や、交互にずれて重なる部分が不規則に発生するのに対し、本発明の二重織りガラスクロスは、隣り合う糸同士が基本的に上下に分かれるために、表面から見た場合、均一に糸が配列し、ドリル加工やレーザ加工等で重要な面方向の均一性に優れる。
また、本発明の二重織りガラスクロスを、三重織り以上の多層組織を有するガラスクロスの連続する2層として採用することも、剛性の向上の観点から好ましい。
【0014】
本発明の二重織りガラスクロスの表組織及び裏組織は、ともに平織り組織を基本としてそれに両組織を接結するための織物組織を加えた構成であることが好ましい。平織り組織は、拘束力の低い斜文織り組織、朱子織り組織に比較し、たて糸とよこ糸の拘束力に優れ、織物の目曲がりを生じ易い細い糸で構成されるガラスクロスであっても、規則的な織物構造を維持し、寸法安定性のばらつきを抑制することが可能となるからである。
また、接結(接合)の手法については、織物の全幅に対し、一点以上で連続的又は部分的に接結されることが好ましく、さらに接結点が織物全面に一様に配置され、できるだけ周囲の組織と同じように上下に浮沈させることがより好ましい。二重組織を有する織物としては袋織の織物がよく知られているが、袋織は端部のみにおいて織物組織で接結されているにすぎず、本発明のプリント配線板用二重織りガラスクロスの目的のためにはより好ましい態様であるとは言えない。
すなわちプリプレグのカット幅に合わせるなどして一点以上接結している場合は、表組織と裏組織の中だるみを抑制し、安定的にプリプレグを製造することができる。また、接結点が織物全面に一様に配置されている場合とは、単位組織当たり少なくとも1カ所の割合で表組織と裏組織とが接合されていることを意味する。これにより織物拘束力を高め、目曲がりを抑制し、寸法変化のばらつきをさらに低減することが可能となる。加えて厚さ方向の補強効果も高まることから、多層プリント配線板の層間接続信頼性の向上に有利な厚さ方向の熱膨張係数の低減も可能となる。
【0015】
本発明の二重織りガラスクロスの厚さは、二層併せて10μm以上、400μm以下であることが好ましく、10μm以上、200μm以下であることがより好ましく、特に10μm以上、100μm以下である場合、例えば、一層あたりの厚さが50μm以下の極薄ガラスクロスの取り扱い性及び品質を効果的に改善することが可能になるので好ましい。厚さが10μm未満の二重織りガラスクロスを製造することは非常に困難であり、また300μmより厚い場合は使用するガラス糸が太く、隣り合う糸同士の間隔が狭いために、たて糸及び/又はよこ糸を上下交互に配列することが難しく、糸の重なりを生じ、ガラスクロスを製造することが困難となる。
ガラスクロスの薄地化を図るためには、構成するガラス糸の単繊維径が細い方が効果的であるが、細すぎると強度上の問題が生じる。そのためガラス糸はJIS R3413に規定される単繊維の呼び径3(直径約3.0μm)以上、呼び径7(直径約7.0μm)以下が好ましく、呼び径3(直径3.0μm)以上、呼び径6(直径約6.0μm)以下がより好ましい。
構成するガラス糸として、1インチあたりの撚り数が、1インチあたり0から1.0回の撚りを施されたガラス糸を用いることが好ましく、0から0.2回の低撚糸(以下、特に撚り数が0回の低撚糸を無撚糸ともいう。)を用いることがより好ましい。あるいは、通常の撚り糸を解撚しながら製織することによって、1インチあたりの撚り数が0.2回以下に低撚糸化されたガラスクロスを用いてもよい。低撚糸化により、糸の断面が扁平形状に近づくため、二重織りガラスクロスの面内の隙間を減少させて面方向のガラス分布量の均一性を高め、またガラス糸の撚りが戻ろうとする力が働くことによる基板のそりねじれ量も同時に抑制できる。
【0016】
(2)ガラスクロスの開繊処理
本発明のプリプレグに使用されるガラスクロスを得るためには、開繊処理を実施することによりガラス糸束中の単繊維をばらけさせることが好ましい。開繊処理により、二重織りガラスクロスの面内の隙間を少なくすることが可能となる。また、開繊処理により樹脂ワニスの含浸性を向上させ、ガラスとマトリックス樹脂との均一性を上げ、耐熱性等の向上が可能になることは言うまでもない。
表面からガラスクロスの各層を観察した際、たて糸とよこ糸により囲まれた隙間部の一辺の小さいほうの平均長さ(以下、「隙間長さ」という。)が、0μm以上50μm以下であることが好ましく、0μm以上30μm以下であることがより好ましい。該隙間長さが、0μm以上50μm以下であると、ドリルやレーザ等の加工穴の品質向上が可能となる。
開繊処理としては、例えば、水流圧力による開繊、液体を媒体とした高周波の振動による開繊、面圧を有する流体の圧力による加工、ロールによる加圧での加工等が挙げられる。開繊処理を施すことによって、糸束中の単繊維はばらけた状態となる。これらの開繊処理法の中では、水流圧力による開繊、又は液体を媒体とした高周波の振動による開繊を使用することが、均一性のためにより好ましい。また、該開繊処理の効果を高めるためには、搬送のためにガラスクロスにかかる張力を少なくした状態で開繊処理を実施することが好ましい。
さらに、ガラス糸に滑剤の特性を示す有機物が付着した状態のガラスクロス、又は通常のガラスクロスを製織する際に使用されるバインダー、糊剤等が付着した状態のガラスクロス(以下、「生機」という。)において、開繊処理と低撚糸化の組み合わせによって、さらに糸束中の単繊維をばらけた状態にする効果をより大きくすることが可能となる。
また、開繊処理を行った後に、次に述べるシランカップリング剤による表面処理を施し、さらに開繊処理を施すことにより、集束したガラス単繊維間の隙間をさらに広げることが可能である
なお、本発明の二重織りガラスクロスに開繊処理を行う場合においては、例えば両面から開繊処理を施すなどの方法によって、該二重織りガラスクロスの各層に表裏ができないように実施することがより好ましい。
ガラスクロスの糸束が拡幅された状態の場合、レーザ加工性(穴径分布の均一性、加工速度など)の向上も可能となることは言うまでもない。
【0017】
(3)ガラスの組成及び表面処理
プリント配線板等に使用される積層板のガラスクロスには、通常Eガラス(無アルカリガラス)と呼ばれるガラスが使用されるが、Dガラス等の低誘電率ガラス、Sガラス等の高強度ガラス、Hガラス等の高誘電率ガラス等を使用してもよい。
同様に、プリント配線板等に使用される積層板のガラスクロスには、通常シランカップリング剤を含んだ処理液による表面処理が施されるが、該シランカップリング剤としては通常一般に用いられるシランカップリング剤を使用することができ、必要に応じて、酸、染料、顔料、界面活性剤などを添加してもよい。
(4)プリプレグの製造及び特徴
本発明のプリプレグを製造するには定法に従えばよい。例えば、本発明のガラスクロスに、エポキシ樹脂のようなマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥炉にて有機溶剤を揮発させ、熱硬化性樹脂をBステージ状態(半硬化状態)にまで硬化させて樹脂含浸プリプレグを作ればよい。この際に、極力ガラスクロスに張力を与えないようにすると、さらに寸法安定性に優れたプリプレグを得ることができるのでより好ましい。
マトリックス樹脂としては、上述のエポキシ樹脂の他に、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、BT樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂や、PPO樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、又はそれらの混合樹脂などが挙げられる。また、樹脂中に水酸化アルミニウム等の無機充填剤を混在させた樹脂を使用してもかまわない。
また、該ガラスクロスへのマトリックス樹脂付着量は、ワニスの固形分とガラスクロスの質量の合計に対して、ワニス固形分の質量が20%から80%になるようにするのが好ましい。
また、本発明のプリプレグに金属箔を少なくとも片面に張り合わせて金属箔付きプリプレグとしてもよく、その製造方法については、プリプレグに金属箔を加熱接着する方法、又はガラスクロスと金属箔に同時にワニスを塗工する方法等が好適に使用できる。
上述の金属箔付きプリプレグの金属箔としては、通常は銅箔を用いるが、アルミニウム箔も用いることができる。金属箔の厚さは用途にもよるが、3μmから100μmのものが好適に使用される。
【0018】
(5)プリント配線板の製造
本発明のプリプレグを用いたプリント配線板は、背景技術に示す方法及び関連する公知技術に従って製造することができる。
例えば、本発明のプリプレグを単数又は複数枚積層して、得られた積層板の両面に銅箔を貼り、加熱加圧して、硬化させた銅張り積層板を作製する工程、該銅張り積層板の両面に銅箔からなる回路パターンを作成する工程、及びスルーホールを形成し、該両面の回路パターン間の電気的接続を確保する工程で両面プリント配線板を製造することができる。
また、本発明のプリプレグを、レーザで穴加工してIVHを形成した後、導電性ペーストによりIVHを充填してIVH接続用の中間接続プリプレグを製造し、両面プリント配線板又は両面導体配線シートと交互に重ねて加熱加圧成型することにより、多層プリント配線板とする方法なども好適に使用できる。
この際の成型条件としては加熱温度が100℃から230℃、圧力が1MPaから5MPaの条件とすることが好ましく、この条件下に0.5時間から2.0時間保持することが好ましい。
本発明のプリプレグへのレーザによるIVH加工の方法については、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、又はエキシマレーザなどの加工方法が適宜使用できる。また加熱加圧、レーザによるIVH加工の前後で、プリプレグの保護又は加工性向上等のために有機フィルム等をプリプレグに張り合わせて用いてもよい。この際の有機フィルムとしてはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリフッ化エチレンフィルム等が使用できる。
また、形成されたIVHに導電性ペーストを充填する場合、銅・銀等の公知の各種素材の導電性ペーストが使用可能である。
【0019】
本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例及び比較例中のガラスクロスの物性、及び隙間長さ、ガラスクロスを用いたプリプレグ、及びプリント配線板用基板の作成方法、並びに試験方法は以下の方法で行った。
1.ガラスクロスの物性測定方法
JIS−R−3420に従い測定した。
2.ガラスクロスの隙間長さの測定方法
ガラスクロスを顕微鏡にて観察し、表面写真を撮影し、たて糸とよこ糸により囲まれた隙間部を20点測定し、一辺の小さい方の長さの平均値をガラスクロスの隙間長さとした。
3.プリプレグの作成方法
ガラスクロスに、下記調合割合で調製したエポキシ樹脂ワニスを含浸させ、各ガラスクロスの厚さの約2倍のスリットで余剰樹脂ワニスを掻き落とし、170℃で3分間乾燥させてプリプレグを得た。
エポキシ樹脂ワニス調合割合
5046B80(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名):70質量%、180S75B70(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名):14質量%、ジシアンジアミド:1.6質量%、2−エチル−4−メチル−イミダゾール:0.2質量%、ジメチルホルムアミド:7.1質量%、メチルセロソルブ:7.1質量%。
4.基板の作成方法
上述のプリプレグの作成方法により得た、たて340mm、よこ340mmのプリプレグを1枚又は4枚重ね、両面に12μmの銅箔を配し、175℃、3.9MPaで、1時間加熱加圧し、硬化させて寸法安定性と剛性評価用の1ply基板(プリプレグを1枚重ねたもの)と熱膨張係数評価用の4ply基板(プリプレグを4枚重ねたもの)を得た。なお、後述の比較例1においては、ガラスクロスの厚さが実施例1及び2及び比較例2のおよそ半分、比較例4においては実施例3から7及び比較例3及び5のおよそ半分であるため、寸法安定性と剛性評価は2ply基板(プリプレグを2枚重ねたもの)、熱膨張係数評価は8ply基板(プリプレグを8枚重ねたもの)を用いて基板を作成した。
【0020】
5.基板の寸法安定性の測定方法
上述の基板の作成方法により得た、1ply基板(比較例1及び4は2ply基板)に125mm間隔で、たて糸方向3カ所×よこ糸方向3カ所の合計9カ所の標点をつけ、たて糸方向、よこ糸方向のそれぞれについて、隣接する2標点の標点間隔6箇所を測定した(測定値a)。次に、エッチング処理によって銅箔を除去し、170℃、30分加熱した後、該標点間隔を再度測定した(測定値b)。測定値aと測定値bの差の測定値aに対する割合(%)を寸法変化率とした。たて方向、よこ方向それぞれについて、6つの寸法変化率の測定値を平均値(後述の表1及び表2では「寸法変化率の平均」という。)、及び6つの寸法変化率測定値の最大値から最小値を引いた後の絶対値(後述の表1及び表2では「寸法変化率のばらつき」という。)を計算した。
6.基板の剛性(たわみ量)の測定方法
上述の基板の作成方法により得た、1ply基板(比較例1のみは2ply基板)をエッチング処理によって銅箔を除去し、たて糸方向、よこ糸方向にそれぞれ長さ125mm、幅25mmの短冊状に切断し、支点から自由端までの長さが100mmとなるように固定し、該自由端に0.25gの荷重を加え、片持ち梁のたわみ量を測定し、剛性の指標とした。
7.基板のZ方向(厚さ方向)の熱膨張係数の測定方法
上述の基板の作成方法により得た、4ply基板(比較例1及び4は8ply基板)をエッチング処理によって銅箔を除去し、10mm角の基板に切断し、セイコーインスツルメンツ(株)社製TMA/SS6100にて50℃から100℃間の熱膨張係数を測定した。
【0021】
<実施例1>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD450 1/0 1.0Z(撚りが1.0回/インチの糸を示す。)を使用し、エアジェットルームで、たて糸90本/25mm、よこ糸90本/25mmの織物密度で、たて・よこともに二重で、一枚織物を上下に二枚重ね合わせて同時に織り出し、上下の織物は基本的に平織り組織にて製織した。この上下の織物を接結するために、たて糸6本のうち2本を斜紋織りで、たて糸1本でよこ糸4本を接結し、さらによこ糸を2本ずらして、もう1本のたて糸でよこ糸4本を接結し、該織り組織を1組織とするガラスクロスの生機を得た。該ガラスクロスの織り構造を示す三面図を図1に示し、組織図を図2に示す。この組織における単位組織(最小繰り返し単位)あたりの接結点は2箇所となる。
図1を参照すると理解できるように、該ガラスクロスの織物組織は、表たて糸と表よこ糸からなる平織りの表組織と、裏たて糸と裏よこ糸からなる平織りの裏組織と、表組織と裏組織の両組織を接結する共通糸から構成されており、該表組織と該裏組織とをずらして重ねて単位組織あたり2箇所の共通糸で接続結合したものである。
得られた生機に高圧散水流による開繊加工を施した後、ヒートクリーニングした。なお、上記のD450はJIS R3413におけるECD450を略した標記であり、Dは呼び径5を意味している(以下、同様)。
続いて、表面処理として、シランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング(株)製:商品名)を用いて処理液とし、ガラスクロスを浸漬し、絞液後乾燥し、さらに高圧水流による開繊加工を施し、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により実施例1のプリプレグとした。表1に示す評価結果からわかるように、該プリプレグを用いて得られた基板の寸法変化量のばらつき、たわみ量、Z方向の熱膨張係数は小さいものであった。
【0022】
<実施例2>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD450 1/0 無撚糸(撚りが0回/インチの糸を示す。)を使用し、エアジェットルームで、たて糸90本/25mm、よこ糸90本/25mmの織物密度で、たて・よこともに二重で、一枚織物を上下に二枚重ね合わせて同時に織り出し、上下の織物は基本的に平織り組織にて製織した。この上下の織物を接結するために、たて糸6本のうち2本を斜紋織りで、たて糸1本でよこ糸4本を接結し、さらによこ糸を2本ずらして、もう1本のたて糸でよこ糸4本を接結し、該織り組織を1組織としてガラスクロスの生機を得た他は、実施例1と同様の方法で、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により実施例2のプリプレグとした。該ガラスクロスの織り構造、組織図は実施例1のガラスクロスと同一である。表1に示す評価結果からわかるように、該プリプレグを用いて得られた基板の寸法変化量のばらつき、たわみ量、Z方向の熱膨張係数は小さいものであった。
【0023】
<比較例1>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD450 1/0 1.0Zを使用し、エアジェットルームで、たて糸45本/25mm、よこ糸45本/25mmの織物密度で平織りに製織し生機を得た他は、実施例1と同様の方法で、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により比較例1のプリプレグとした。表1に示す評価結果からわかるように、比較例1のプリプレグを2枚用いて得られた基板の寸法変化量のばらつき、Z方向の熱膨張係数は大きいものであった。
【0024】
<比較例2>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD225 1/0 1.0Zを使用し、エアジェットルームで、たて糸60本/25mm、よこ糸57本/25mmの織物密度で平織りに製織し生機を得た他は、実施例1と同様の方法で、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により比較例2のプリプレグとした。表1に示す評価結果からわかるように、該プリプレグを用いて得られた基板の寸法変化量のばらつき、たわみ量、Z方向の熱膨張係数は大きいものであった。
【0025】
【表1】

【0026】
<実施例3>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD900 1/0 1.0Zを使用し、エアジェットルームで、たて糸112本/25mm、よこ糸112本/25mmの織物密度で、たて・よこともに二重で、一枚織物を上下に二枚重ね合わせて同時に織り出し、上下の織物は基本的に平織り組織にて製織した。この上下の織物を接結するために、たて糸6本のうち2本を斜紋織りで、たて糸1本でよこ糸4本を接結し、さらによこ糸を2本ずらして、もう1本のたて糸でよこ糸4本を接結し、該織り組織を1組織としてガラスクロスの生機を得た他は、実施例1と同様の方法で、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により実施例3のプリプレグとした。該ガラスクロスの織り構造、組織図は実施例1のガラスクロスと同一である。表2に示す評価結果からわかるように、該プリプレグを用いて得られた基板の寸法変化量のばらつき、たわみ量、Z方向の熱膨張係数は小さいものであった。
【0027】
<実施例4>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD900 1/0 1.0Zを使用し、エアジェットルームで、たて糸112本/25mm、よこ糸112本/25mmの織物密度で、たて・よこともに二重で、一枚織物を上下に二枚重ね合わせて同時に織り出し、上下の織物は基本的に平織り組織にて図3の組織図で示されるガラスクロスを製織した。実施例1と同様の方法で、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により実施例4のプリプレグとした。表2に示す評価結果からわかるように、該プリプレグを用いて得られた基板の寸法変化量のばらつき、たわみ量、Z方向の熱膨張係数は小さいものであった。
【0028】
<実施例5>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD900 1/0 1.0Zを使用し、エアジェットルームで、たて糸112本/25mm、よこ糸112本/25mmの織物密度で、たて・よこともに二重で、一枚織物を上下に二枚重ね合わせて同時に織り出し、上下の織物は基本的に平織り組織にて図4の組織図で示されるガラスクロスを製織した。実施例1と同様の方法で、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により実施例5のプリプレグとした。表2に示す評価結果からわかるように、該プリプレグを用いて得られた基板の寸法変化量のばらつき、たわみ量、Z方向の熱膨張係数は小さいものであった。
【0029】
<実施例6>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD900 1/0 1.0Zを使用し、エアジェットルームで、たて糸112本/25mm、よこ糸112本/25mmの織物密度で、たて・よこともに二重で、一枚織物を上下に二枚重ね合わせて同時に織り出し、上下の織物は基本的に平織り組織にて図5の組織図で示されるガラスクロスを製織した。実施例1と同様の方法で、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により実施例6のプリプレグとした。表2に示す評価結果からわかるように、該プリプレグを用いて得られた基板の寸法変化量のばらつき、たわみ量、Z方向の熱膨張係数は小さいものであった。
【0030】
<実施例7>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD900 1/0 1.0Zを使用し、エアジェットルームで、たて糸112本/25mm、よこ糸112本/25mmの織物密度で、たて・よこともに二重で、一枚織物を上下に二枚重ね合わせて同時に織り出し、上下の織物は基本的に平織り組織にて図6の組織図で示されるガラスクロスを製織した。実施例1と同様の方法で、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により実施例7のプリプレグとした。表2に示す評価結果からわかるように、該プリプレグを用いて得られた基板の寸法変化量のばらつき、たわみ量、Z方向の熱膨張係数は小さいものであった。
【0031】
【表2】

【0032】
<比較例3>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD900 1/0 1.0Zを使用し、エアジェットルームで、たて糸112本/25mm、よこ糸112本/25mmの織物密度で平織りに製織し生機を得た他は、実施例1と同様の方法で、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により比較例3のプリプレグとした。表3に示す評価結果からわかるように、該プリプレグを1枚用いて得られた基板のたわみ量は大きいものであった。
<比較例4>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD900 1/0 1.0Zを使用し、エアジェットルームで、たて糸56本/25mm、よこ糸56本/25mmの織物密度で平織りに製織し生機を得た他は、実施例1と同様の方法で、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により比較例4のプリプレグとした。表3に示す評価結果からわかるように、比較例4のプリプレグを2枚用いて得られた基板の寸法変化量のばらつき、Z方向の熱膨張係数は大きいものであった。
<比較例5>
ガラスクロスとして、たて糸及びよこ糸にD450 1/0 1.0Zを使用し、エアジェットルームで、たて糸55本/25mm、よこ糸54本/25mmの織物密度で平織りに製織し生機を得た他は、実施例1と同様の方法で、表面処理ガラスクロスを得た後、上述のプリプレグ作成方法により比較例5のプリプレグとした。表3に示す評価結果からわかるように、比較例5のプリプレグを1枚用いて得られた基板の寸法変化量のばらつき、たわみ量、Z方向の熱膨張係数は大きいものであった。
【0033】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、プリプレグ及び多層プリント配線板を作成する工程で生産性を向上させることができ、寸法変化量のばらつき、及び厚さ方向の熱膨張係数を低減させることができるので、プリント配線板の分野で好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例1〜3のガラスクロスの織り構造を示す三面図。
【図2】実施例1〜3のガラスクロスの組織図。
【図3】実施例4のガラスクロスの組織図。
【図4】実施例5のガラスクロスの組織図。
【図5】実施例6のガラスクロスの組織図。
【図6】実施例7のガラスクロスの組織図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
たて糸とよこ糸から構成されるガラスクロスであって、表組織と裏組織からなる二重組織を有し、該表組織と該裏組織が織物組織で接結され一体化していることを特徴とするプリント配線板用二重織りガラスクロス。
【請求項2】
表組織は該表組織のみを織り成す表たて糸、該表組織のみを織り成す表よこ糸、及び該表組織と該裏組織の双方を織り成す共通糸からなり、裏組織は該裏組織のみを織り成す裏たて糸、該裏組織のみを織り成す裏よこ糸、及び該表組織と該裏組織の双方を織り成す該共通糸からなる請求項1記載の二重織りガラスクロス。
【請求項3】
表組織と裏組織が平織組織からなる請求項2記載の二重織りガラスクロス。
【請求項4】
単位組織当たり少なくとも1カ所の割合で表組織と裏組織とが接結されている請求項2又は3記載の二重織りガラスクロス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の二重織りガラスクロスと半硬化状態のマトリックス樹脂を含んでなるプリント配線板用プリプレグ。
【請求項6】
請求項5に記載のプリプレグを加熱加圧硬化させてなるプリント配線板用基板。
【請求項7】
請求項5に記載のプリプレグを単数又は複数枚積層して、得られた積層板の両面に銅箔を貼り、加熱加圧して、硬化させた銅張り積層板を作製する工程、該銅張り積層板の両面に銅箔からなる回路パターンを作成する工程、及びスルーホールを形成し該両面の回路パターン間の電気的接続を確保する工程を含むプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の二重織りガラスクロスのプリント配線板用プリプレグ又はプリント配線板への使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【国際公開番号】WO2005/075724
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【発行日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517787(P2005−517787)
【国際出願番号】PCT/JP2005/001832
【国際出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】