説明

交換レンズ方式カメラシステム及びカメラ本体

【課題】レンズ交換方式カメラシステムにおいて交換レンズの起動時、起動後におけるエラー発生時に適切な対処方法をユーザに提示できるカメラシステムを提供する。
【解決手段】レンズ交換方式カメラシステムは、カメラ本体120と、カメラ本体120に着脱可能な交換レンズ100とを含む。エラー検出手段138は、カメラ本体120の通信手段113bと交換レンズ100の通信手段113a間の通信において通信エラーが発生したか否かを検出する。表示手段130に、交換レンズの起動時にエラー検出手段138により通信エラーが検出された場合、第1のエラー対処メッセージを表示し、交換レンズの起動後に通信エラーを検出した場合、第2のエラー対処メッセージを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ本体とカメラ本体に対して着脱可能な交換レンズとを備えた交換レンズ方式カメラシステム及びカメラ本体に関し、特にカメラ本体と交換レンズ間で通信可能であって、カメラ本体においてエラー表示が可能な、交換レンズ方式カメラシステム及びカメラ本体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラ本体と交換レンズとからなる交換レンズ方式カメラシステムが知られており、更に、カメラ本体と交換レンズ間で通信を行うものもある。そのような交換レンズ方式カメラシステムでは、例えば、交換レンズが交換レンズ内の光学に関する情報をカメラ本体に送信する。カメラ本体はその情報に基づいて交換レンズ内の絞りやフォーカス用のレンズを駆動するためのコマンドを交換レンズに送信する。これにより、カメラ本体が交換レンズを制御する。
【0003】
これらの交換レンズ方式カメラシステムには、カメラ本体に交換レンズが取り付けられたことを検知するための検知手段が設けられている。カメラ本体はこの検知手段により交換レンズが取り付けられたことを検知すると、交換レンズとの通信を試みる。交換レンズと正常に通信が出来た場合、カメラ本体は、通常の撮影動作を可能とする。しかし、通信エラーが発生した場合、交換レンズに異常があるので正常な撮影が行えないと判断する。そのため、カメラ本体はまずレリーズを禁止する。次にユーザがレリーズ許可手段で強制的にレリーズの許可を行うと、カメラ本体は撮影機能を限定して撮影動作を可能とする。例えば、特許文献1に、このように動作する交換レンズ方式カメラシステムが開示されている。
【0004】
また、通信エラーが発生した場合には交換レンズに異常があるので正常な撮影が行えないと判断し、カメラ本体が交換レンズの初期化動作を行わせるためのリセット信号を交換レンズに送信する、交換レンズ方式カメラシステムも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、監視プログラムによって、カメラ本体の各ユニットの警告やエラーを検出した場合には、カメラ本体がいずれのユニットに異常があるかを該当するマークを点滅表示してユーザに知らせる、交換レンズ方式カメラシステムがある(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、カメラ本体と、カメラ本体に着脱可能な交換レンズを有し、カメラ本体から交換レンズに電源供給する交換レンズ方式カメラシステムにおいて、カメラ本体に、交換レンズに電力を供給する電源と、電源から交換レンズへ供給される供給電圧をモニタするモニタ手段と、モニタ手段の出力に基づいて電源供給の異常を検出する検出手段と、電源から交換レンズへの電源供給を開始または停止させる手段であって、検出手段が異常を検出したときは、電源供給を停止させる制御手段とを備えた交換レンズ方式カメラシステムがある(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2006−38924号公報
【特許文献2】特開2005−164966号公報
【特許文献3】特開平11−119319号公報
【特許文献4】特開2002−250964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献3に記載の交換レンズ方式カメラシステムでは、各ユニットの警告やエラーをユーザに確実に伝えるとともに、そのユニットを容易に知らせることができる。しかし、ユーザには警告やエラーの対処方法が分からなかった。更に、LEDの点灯と点滅との組み合わせによって警告状態やエラー状態のユニットがあることをユーザに知らせるだけなので、ユーザは自ら交換レンズ方式カメラシステムの各部を調べて警告状態やエラー状態にあるユニットを探し警告やエラーの対処方法を調べなければならなかった。そのような作業はユーザにとって非常に煩わしいものであった。
【0009】
また、上記特許文献1、特許文献2及び特許文献4に記載の交換レンズ方式カメラシステムでは、各ユニットの警告やエラーをユーザに確実に伝えることなく、レリーズの禁止を行ったり、交換レンズへの電源供給を停止させたり、交換レンズの初期化動作を行わせるためのリセット信号を送信したりする。このため、ユーザはなぜレリーズが禁止されたのか、なぜ電源供給が停止されたのか、またなぜリセットされたのかが理解できず、自ら交換レンズ方式カメラシステムの各部を調べる必要があった。そのような作業はユーザにとって非常に煩わしいものであった。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためのもので、通信エラー発生時の適切な対処方法をユーザに示すことができる交換レンズ方式カメラシステム及びカメラ本体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る交換レンズ方式カメラシステムは、第1の通信手段を有するカメラ本体と、前記カメラ本体に着脱可能であって前記第1の通信手段と通信可能な第2の通信手段を有する交換レンズと、から構成される交換レンズ方式カメラシステムである。カメラ本体は、第1の通信手段と第2の通信手段間の通信において通信エラーが発生したか否かを検出するエラー検出手段と、交換レンズの起動時にエラー検出手段が通信エラーを検出した場合は第1のエラー対処メッセージを表示し、交換レンズの起動後にエラー検出手段が通信エラーを検出した場合は第2のエラー対処メッセージを表示する、表示手段と、を有する。
【0012】
交換レンズの起動時とは、カメラ本体が交換レンズから所定の情報を受信する前または受信したときであってもよい。所定の情報は、交換レンズが起動処理を完了したことを示す情報であってもよい。または、所定の情報は、交換レンズが保持する交換レンズに関する情報であってもよい。
【0013】
また、第1のエラー対処メッセージは、交換レンズの付け直しを促すものであり、第2のエラー対処メッセージは、前記カメラ本体の電源の入れ直しを促すものであってもよい。
【0014】
表示手段は、交換レンズの駆動において、エラー検出手段が通信タイムアウトの通信エラーや位置情報等の通信データの異常値のエラーを検出した場合に交換レンズの駆動系異常と判断したときは、第3のエラー対処メッセージを表示してもよい
。また、第3のエラー対処メッセージは、交換レンズに異常があることを示すものであってもよい。
【0015】
本発明に係るカメラ本体は、第2の通信手段を有する交換レンズが装着可能なカメラ本体である。カメラ本体は、第2の通信手段と通信可能な第1の通信手段と、第1の通信手段と第2の通信手段間の通信において通信エラーが発生したか否かを検出するエラー検出手段と、エラーメッセージを表示する表示手段とを有する。表示手段は、交換レンズの起動時にエラー検出手段が通信エラーを検出した場合は、第1のエラー対処メッセージを表示し、交換レンズの起動後にエラー検出手段が通信エラーを検出した場合は、第2のエラー対処メッセージを表示する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の交換レンズ方式カメラシステム及びカメラ本体は、エラー発生時の適切な対処方法をユーザに示すことができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の交換レンズ方式カメラシステム及びカメラ本体は、通信エラー発生時の適切な対処方法をユーザに示すという目的を、簡単な構成で、通信エラー検出とエラー対処メッセージ表示とを組み合わせて実現した。
【0018】
1.構成
図1は、本実施の形態における交換レンズ方式カメラシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態の交換レンズ方式カメラシステムは、交換レンズ100とカメラ本体120とから構成されている。
【0019】
1−1.交換レンズ
交換レンズ100は、ズームレンズ101と、フォーカスレンズ102と、絞り103と、フォーカスモータ104と、アイリスモータ105と、フォーカスモータドライバ106と、アイリスモータドライバ107と、レンズマイコン108と、ズームエンコーダ109と、フォーカスエンコーダ110と、アイリスエンコーダ111と、メモリ112と、第1の通信端子113aとを備えている。
【0020】
レンズマイコン108は、交換レンズ100のフォーカスモータ104とアイリスモータ105を、フォーカスモータドライバ106とアイリスモータドライバ107を介して駆動制御し、フォーカスレンズ102と絞り103を動作させる。さらに、レンズマイコン108は、フォーカスエンコーダ110で検出されたフォーカスレンズ102の位置情報と、アイリスエンコーダ111で検出された絞り103の位置情報とに基づき、フォーカスレンズ102と絞り103の絞り位置やフォーカスレンズ位置を演算する。また、レンズマイコン108は、カメラマイコン131との間で、通信端子113a、113bを介してシリアル通信が可能であり、カメラマイコン131から送信される駆動情報に基づき、フォーカスモータドライバ106やアイリスモータドライバ107を駆動制御する。また、レンズマイコン108は、交換レンズ100の各種の情報(絞り位置やフォーカスレンズ位置等)を、シリアル通信によりカメラマイコン131に送信できる。
【0021】
メモリ112は、EEPROM等の不揮発性メモリで構成され、交換レンズ100を動作制御する際に必要なレンズデータを記憶する。レンズデータは、交換レンズ固有のデータであり、交換レンズの種類や型番毎に設定されている。レンズデータには、レンズID、絞り量、レンズ駆動係数、ズーム範囲等の情報が含まれる。
【0022】
ズームレンズ101は、ユーザによるズームリング(図示せず)の回転操作に応じて光軸方向(図1のO−O’方向)へ移動し、カメラ本体120に入射する光学画像を拡大または縮小する。ズームレンズ101の位置はズームエンコーダ109で読み取られ、その位置情報はレンズマイコン108に送られる。なお、ズームレンズ101の移動は、ズームリングにより手動で移動する構成に限らず、モータ等により電動で移動する構成でもよい。
【0023】
フォーカスレンズ102は、フォーカスモータ104によって、カメラ本体120において光学画像の焦点が合うように光軸方向へ移動される。フォーカスモータ104は、フォーカスモータドライバ106によって、フォーカスレンズ102が所定の移動方向へ所定の移動量だけ移動するように動作制御される。また、フォーカスレンズ102の位置はフォーカスエンコーダ110で読み取られ、その位置情報はレンズマイコン108に送られる。
【0024】
絞り103は、アイリスモータ105によって動作され、交換レンズ100の通過光量を増減させる。アイリスモータ105は、アイリスモータドライバ107によって、絞り103が所定の絞り量になるように動作制御される。また、絞り103の絞り量はアイリスエンコーダ111で検出され、その絞り量情報はレンズマイコン108に送られる。
【0025】
1−2.カメラ本体
カメラ本体120は、シャッタ121と、撮像素子であるCCD122と、信号処理部123と、カードインターフェース124と、情報記録媒体125と、シャッタ制御部126と、測光部127と、測距センサ140と、焦点検出部128と、表示制御部129と、液晶表示部130と、カメラマイコン131と、メモリ132と、装着検出部133と、電源スイッチ134と、シャッタスイッチ135と、各種キースイッチ136と、第2の通信端子113bと、通信手段137と、エラー検出手段138と、各部との信号の授受を行うバス139とを備えている。
【0026】
また、カメラ本体120は、交換レンズ100を着脱可能な機械的な機構(図示せず)を備えている。交換レンズ100をカメラ本体120に装着すると、交換レンズ100の通信端子113aとカメラ本体120の通信端子113bとが電気的に接続され、交換レンズ100とカメラ本体120間で通信手段137によってデータ通信が可能になる。レンズマイコン108と第1の通信端子113aは、本発明の第2の通信手段の一例であり、通信手段137と第2の通信端子113bは、本発明の第1の通信手段の一例である。エラー検出手段138は、本発明のエラー検出手段の一例である。表示制御部129と液晶表示部130は、本発明の表示手段の一例である。
【0027】
カメラマイコン131は、カメラ本体120の各部の動作を制御する。また、カメラマイコン131は、測距センサ140の出力値に基づいて、既存のアルゴリズムで被写体までの測距を行い、フォーカスレンズ102のレンズ移動量を演算する。演算されたレンズ移動量の情報は、通信手段137によって第2の通信端子113bと第1の通信端子113aを介してレンズマイコン108へ送信される。その送信に対してエラー検出手段138が通信エラーの発生を監視する。通信エラーには、レンズマイコン108から所定時間内に応答が返ってこないタイムアウトがある。その他、パリティチェック、チェックサム、CRC等、エラー確認のために付加された符号に基づき、通信エラーを検出する方式もある。
【0028】
また、カメラマイコン131は、レンズマイコン108から送信されるレンズデータをメモリ132に書き込んだり、メモリ132に保存されているレンズデータを読み出したりすることができる。また、カメラマイコン131は、カメラ本体120及び交換レンズ100の電源ON/OFF制御、シャッタ制御部126を介したシャッタ121の動作制御、各種キースイッチ136の操作に基づいた各種動作制御等を行うことができる。カメラマイコン131は、各部との信号の通信をバス139を介して行う。なお、本実施の形態では、カメラマイコン131が通信手段137とエラー検出手段138とを内蔵する構成としたが、これに限定されない。
【0029】
表示制御部129は、交換レンズ方式カメラシステムのバッテリ残量、撮影枚数、TV値(シャッタ速度値)、AV値(絞り量)、露出補正値、エラー情報等を液晶表示部130に表示させるよう制御する。なお、本実施の形態では、液晶表示部130は液晶表示素子(LCD)で構成したが、情報を表示することができるものであれば、他の表示素子でもよい。また、本実施の形態では、液晶表示部130に、上記各種情報のみを表示させる構成としたが、液晶表示部130をカラー液晶表示素子で構成し、上記各種情報とともに、信号処理部123から出力される映像信号(スルー画像や撮影済みの画像等)を表示させる構成としてもよい。
【0030】
焦点検出部128は、既存の位相差検出方式によりオートフォーカス(以下「AF」と称す)を行うためのラインセンサと、その蓄積読み出しのための回路ユニットから構成されている。焦点検出部128は、カメラマイコン131によって動作制御される。なお、焦点検出部128は、CCD122上の光学画像のコントラストに基づいてAFを行うコントラスト検出方式でもよい。
【0031】
測光部127は、カメラマイコン131による動作制御により、被写体における光量の測定(測光)を行い、測定された光量の情報はカメラマイコン131に送られる。なお、測光部127は、CCD122上の光学画像の輝度に基づいて被写体における光量の測定(測光)を行ってもよい。
【0032】
シャッタ制御部126は、シャッタ121における先幕及び後幕の走行制御を行う。具体的には、シャッタ制御部126は、カメラマイコン131において演算されたシャッタスピードで先幕及び後幕を走行させることができるように、シャッタ121を動作制御するものである。
【0033】
カメラマイコン131は、電源スイッチ134、シャッタスイッチ135、各種キースイッチ136の操作状態や装着検出部133の出力信号にしたがい、所定の機能を実行する。
【0034】
電源スイッチ134は、カメラシステムの動作を開始させるスイッチであり、電源スイッチ134がONされたことをカメラマイコン131が認識すると、カメラマイコン131は、測光、測距、表示等の機能をスタートさせる。
【0035】
シャッタスイッチ135がONされたことをカメラマイコン131が認識すると、カメラマイコン131は、露光動作スタートの指示をシャッタ制御部126に送る。
【0036】
各種キースイッチ136は、カメラのモード(TV優先、AV優先、マニュアル、プログラム等)を切り換えるスイッチや、AFモードのシングルAFや常に被写体に合焦させるコンティニアスAFの設定をするスイッチや、測光モードの評価測光、中央重点測光、部分測光、スポット測光の設定をするスイッチ等を含む。各種キースイッチ136が操作されたことをカメラマイコン131が認識すると、カメラマイコン131は、各機能の動作を実行させる。
【0037】
装着検出部133は、カメラ本体120に対する交換レンズ100の機械的な着脱を検出するスイッチであり、検出信号はカメラマイコン131に出力される。なお、本実施の形態では、独立した装着検出部133を設ける構成としたが、装着検出部133を通信手段137と一体に設ける構成としてもよい。
【0038】
シャッタ121は、シャッタ制御部126によって動作制御される先幕及び後幕で構成され、ズームレンズ101、フォーカスレンズ102、絞り103を介して入射する光学画像を所定時間、CCD122に入射させる。CCD122は、入射した光学画像を電気信号に変換して出力する。CCDイメージセンサの代わりにCMOSイメージセンサ等の他の撮像素子を使用してもよい。
【0039】
信号処理部123は、CCD122から出力される電気信号に対して、A/D変換、画質調整、画像圧縮処理等の各種信号処理を行い、画像データを出力している。なお、本実施の形態では、信号処理部123を単一の構成としたが、アナログ信号処理部とデジタル信号処理部を別々の構成としてもよい。また、カメラマイコン131、表示制御部129、カードインターフェース124等と一体の構成としてもよい。カードインターフェース124は、信号処理部123から出力される画像データを情報記録媒体125へ記録させるものである。なお、情報記録媒体125への記録のみに限らず、情報記録媒体125に記録されているデータを読み出すことも可能である。情報記録媒体125は、例えば半導体メモリを内蔵した着脱可能なメモリカードで構成されているが、少なくともデジタル画像を記録させることが可能であれば、ディスク状記録媒体等の他の媒体であってもよい。なお、図1では、説明の簡単化のため、バッテリ、電源回路等を省略している。
【0040】
2.動作
図2は、本実施の形態に於ける交換レンズ方式カメラシステムの動作を示したフローチャートである。図2は、特にエラー発生時の処理を示す。
【0041】
図3A〜3Cは、本実施の形態に於ける交換レンズ方式カメラシステムのエラー対処メッセージの表示例を示した図である。図3Aは、起動時のエラー発生時に表示されるエラー対処メッセージの表示例を示す。図3Bは、起動後のエラー発生時に表示されるエラー対処メッセージの表示例を示す。図3Cは、起動後のエラー発生時に表示される別のエラー対処メッセージの表示例を示している。図3Aに示すエラー対処メッセージ1「交換レンズを着け直してください」は、本発明の第1のエラー対処メッセージの一例である。図3Bに示すエラー対処メッセージ2「電源を入れ直してください」は、本発明の第2のエラー対処メッセージの一例である。図3Cに示すエラー対処メッセージ3「交換レンズに異常があります」は、本発明の第3のエラー対処メッセージの一例である。
【0042】
以下、図1、図2及び図3を参照して、本実施の形態に於ける交換レンズ方式カメラシステムのエラー発生時の動作についてステップ毎に説明する。なお、以下の動作説明においては、交換レンズ100は機械的にはカメラ本体120に装着されていることを前提とする。
【0043】
2−1.起動時
(ステップS201)
電源スイッチ134がユーザによってONされると、カメラマイコン131はこれを認識して、カメラ本体120の各部に電源を供給する。交換レンズ100が装着されていれば、交換レンズ100にも電源供給を開始する。交換レンズ100が装着されているか否かは装着検出部133の出力によって判断される。
【0044】
(ステップS202)
次に、交換レンズ100の起動処理が実行される。具体的には、カメラマイコン131は、第2の通信端子113bと第1の通信端子113aを介して、レンズマイコン108へ起動コマンドを送信し、交換レンズ100を起動させるよう制御する。レンズマイコン108は、カメラマイコン131からの起動コマンドを受信すると、メモリ112に保存されているレンズデータをカメラマイコン131へ送信する。カメラマイコン131は、レンズデータを受信すると、それをメモリ132に保存する。保存されたレンズデータは、フォーカスレンズ101駆動や絞り103駆動等において使用される。
【0045】
以上が、交換レンズ100の起動処理(ステップS202)である。カメラマイコン131は、本発明の所定の情報であるレンズデータ(交換レンズ100に関する情報)を受信することで、交換レンズ100の起動処理が完了したことを認識することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、レンズデータの受信をもって、交換レンズ100の起動処理の完了としたが、レンズマイコン108からカメラマイコン131に交換レンズが起動処理を完了したことを示す情報(例えば、撮影可能なことを通知するフラグ)を送信するようにしてもよい。その場合は、レンズマイコン108からカメラマイコン131にレンズデータを送信してもよいし、送信しなくてもよい。
【0047】
(ステップS203)
エラー検出手段138が、交換レンズ100の起動処理(ステップS202)で通信エラーが発生していないか確認する。通信エラーが発生していない場合は制御コマンド受信(ステップS204)に進み、通信エラーが発生していた場合はエラー対処メッセージ1表示(ステップS209)に進む。
【0048】
(ステップS209)
交換レンズ100の起動処理(ステップS202)で通信エラーが発生していた場合、起動時のエラー対処メッセージ1「交換レンズを着け直してください」(図3A参照)を液晶表示部130に表示する。交換レンズ100の起動処理において通信エラーが発生した場合、交換レンズ100からレンズデータを受信する前、または交換レンズ100からレンズデータを受信したときに、通信エラーを検出したことを意味する。この場合、原因として、交換レンズ100に電源が供給できていない、交換レンズ100に正常にリセットがかかっていない、第2の通信端子113bと第1の通信端子113a間の接触が悪いことが考えられる。そのような場合、交換レンズを着け直すことで正常に通信できるようになる場合がある。そこで、ユーザに交換レンズの着け直しを促すために、エラー対処メッセージ1「交換レンズを着け直してください」を表示する。
【0049】
(ステップS210)
カメラマイコン131は装着検出部133の出力を監視している。エラー対処メッセージ1「交換レンズを着け直してください」表示後、ユーザによって交換レンズ100が一旦取り外され、再度、装着検出部133により交換レンズ100が装着し直されたこと(機械的に接続されたこと)が検出されると、カメラマイコン131は、液晶表示部130に表示された起動時のエラー対処メッセージ1「交換レンズを着け直してください」(図3A参照)を消去し、再度、交換レンズ100の起動処理(ステップS202)に戻る。
【0050】
2−2.起動後
交換レンズ100の起動処理(ステップS202)で通信エラーが発生していない場合は、起動後の通常動作(ステップS204〜S208)を実行する。起動後の通常動作では、レンズマイコン108は、基本的にカメラマイコン131からの制御コマンドを受信し(ステップS204)、制御コマンドにしたがい処理を実行し(ステップS206)、処理結果をカメラマイコン131に送信する、ことを繰り返している。制御コマンドには、例えば、フォーカスレンズ102や絞り103を駆動する制御コマンドがある。起動後の通常動作(ステップS204〜S208)は、本発明の交換レンズの第2の動作状態の一例である。以下、起動後の動作をステップ毎に具体的に説明する。
【0051】
(ステップS204)
カメラマイコン131からレンズマイコン108へ制御コマンドが送信される。レンズマイコン108はこれを受信する。
【0052】
(ステップS205)
エラー検出手段138は、カメラマイコン131からレンズマイコン108への制御コマンドの送信(ステップS204)において通信エラーが発生したか否かを確認する。通信エラーが発生していない場合は、制御コマンド処理(ステップS206)に進み、レンズマイコン108は、カメラマイコン131からの制御コマンドの指示に従い、制御コマンド処理を実行する(ステップS206)。通信エラーが発生していた場合、エラー対処メッセージ2表示処理に進む(ステップS211)。
【0053】
(ステップS211)
制御コマンド受信時(ステップS204)において通信エラーが発生していた場合、起動後のエラー対処メッセージ2「電源を入れ直してください」(図3B参照)を液晶表示部130に表示する。制御コマンド受信時(ステップS204)にて通信エラーが発生したことは、交換レンズ100からレンズデータを正常に受信した起動後に、通信エラーを検出したことを意味する。制御コマンド受信時(ステップS204)に通信エラーが発生していた場合、外来ノイズの影響で通信エラーになっていることがある。そのような場合、カメラ本体120の電源を入れ直すことで正常に通信できるようになる場合がある。そこで、ユーザに電源の入れ直しを促すために、液晶表示部130にエラー対処メッセージ2「電源を入れ直してください」を表示させる。
【0054】
(ステップS212)
エラー対処メッセージ2「電源を入れ直してください」表示後、ユーザが電源を入れ直すと、再度、スタート(ステップS201)から処理が開始される。
【0055】
(ステップS206)
制御コマンド受信時(ステップS204)に通信エラーが発生していない場合、レンズマイコン108は、カメラマイコン131から送信された制御コマンドに従い、フォーカスモータドライバ106に対して、フォーカスレンズ102を所定位置へ移動させるよう制御する。また、アイリスモータドライバ107に対して、絞り103が所定の絞り量になるよう制御する。レンズマイコン108は、フォーカスレンズ102と絞り103の制御が終了すると、カメラマイコン131に対して結果を送信する。
【0056】
(ステップS207)
エラー検出手段138が、制御コマンド処理(ステップS206)においてレンズマイコン108からカメラマイコン131への制御コマンド処理結果の送信に通信エラーが発生していなかったか確認する。通信エラーが発生していない場合は、駆動エラーの確認(ステップS208)に進む。通信エラーが発生していた場合は、エラー対処メッセージ2表示(ステップS211)に進む。
【0057】
(ステップS211)
制御コマンド処理(ステップS206)で通信エラーが発生していた場合、起動後のエラー対処メッセージ2「電源を入れ直してください」(図3B参照)を液晶表示部130に表示する。エラー対処メッセージ2を表示する理由は、制御コマンド処理(ステップS206)にて通信エラーが発生したことは、交換レンズ100からレンズデータを正常に受信した起動後に、通信エラーを検出したことを意味するからである。
【0058】
制御コマンド処理(ステップS206)においてレンズマイコン108からカメラマイコン131への制御コマンド処理結果の送信で通信エラーが発生していた場合は、外来ノイズの影響で通信エラーになっている虞がある。そのような場合、電源を入れ直すことで正常に通信できるようになる場合がある。そこで、ユーザに電源の入れ直しを促すために、液晶表示部130にエラー対処メッセージ2「電源を入れ直してください」を表示させる。
【0059】
(ステップS212)
エラー対処メッセージ2表示後、ユーザが電源を入れ直すことによって、再度、スタート(ステップS201)から処理が開始される。
【0060】
(ステップS208)
制御コマンド処理(ステップS206)で通信エラーが発生していない場合、カメラマイコン131は駆動エラーの発生を確認する。この確認は、レンズマイコン108から送信される制御コマンド処理結果に基づき行われる。具体的には、レンズマイコン108は、カメラマイコン131からの制御コマンドにしたがい処理を実行後、その処理結果をカメラマイコン131に送信する。カメラマイコン131はその処理結果に基づいて、制御コマンドにしたがった処理結果が得られたか否かを判断することで、駆動エラーの発生を判断する。
【0061】
例えば、レンズマイコン108が、所望の位置までレンズを移動させる制御コマンドをカメラマイコン131から受信した場合、その制御コマンドにしたがいレンズを移動させた結果の位置を処理結果としてカメラマイコン131に送信する。カメラマイコン131は、処理結果として受信した位置に基づき、正常に動作したか否かを判断できる。つまり、処理結果として受信した位置が所望の位置でなかったときに(すなわち、通信データの異常値を検出したときに)、カメラマイコン131は、駆動エラーが発生したと判断できる。または、所定時間以上、レンズマイコン108からの処理結果を受信しないときに(すなわち、タイムアウトを検出したとき)、カメラマイコン131は、駆動エラーが発生したと判断できる。
【0062】
このように、レンズマイコン108からの制御コマンドの処理結果に基づき、駆動エラー(フォーカスレンズ102や絞り103の駆動部が電気的または機械的な異常により正常に動作しないこと)を判断する。
【0063】
制御コマンドの処理結果に基づき駆動エラーが発生していないと判断される場合、処理は再び制御コマンド受信(ステップS204)に戻り、カメラマイコン131は、レンズマイコン108に次の制御コマンドを送信する。制御コマンドの処理結果に駆動エラーが発生したと判断される場合、エラー対処メッセージ3表示処理(ステップS213)に進む。
【0064】
(ステップS213)
制御コマンド処理(ステップS206)で駆動エラーが発生していた場合、起動後のエラー対処メッセージ3「交換レンズに異常があります」(図3C参照)を液晶表示部130に表示する。すなわち、駆動エラーが発生していた場合、フォーカスレンズ102や絞り103の駆動部が電気的または機械的に異常であるので、ユーザに交換レンズ100の修理の依頼を促すために、液晶表示部130にエラー対処メッセージ3「交換レンズに異常があります」(図3C参照)を表示する。
【0065】
(ステップS214)
エラー対処メッセージ3「交換レンズに異常があります」(図3C参照)表示後、ユーザが電源を入れ直すと、再度、スタート(ステップS201)に戻り、処理が開始される。
また、本実施の形態では、交換レンズ100の起動後に、レンズ制御コマンドに従いフォーカスレンズを所定位置へ移動させた場合、カメラマイコン131は、処理結果として受信した通信データの異常値を検出したときに、または処理結果の受信のタイムアウトを検出したときに、駆動エラーが発生したと判断し、起動後のエラー対処メッセージ3「交換レンズに異常があります」を液晶表示部130に表示するとしたが、エラー対処メッセージ3の表示は、交換レンズ100の起動後でなくてもよい。たとえば、交換レンズ100の初期化のときの駆動処理において、位置情報などの通信データの異常値を検出した場合や、通信タイムアウトを検出した場合に、エラー対処メッセージ3「交換レンズに異常があります」を液晶表示部130に表示してもよい。
【0066】
以上のように本実施の形態によれば、エラー状況に応じて、エラー発生時の適切な対処方法をユーザに提示することができるという利点がある。
【0067】
3.その他
本実施の形態では、通信エラーまたは駆動エラーを検出した場合、すぐにエラー対処メッセージを表示するように構成したが、通信エラーまたは駆動エラーを検出した場合は一定時間間隔を空けてリトライを何回か行い、それでも通信エラーまたは駆動エラーになる場合にエラー対処メッセージを表示するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、交換レンズとカメラ本体とが着脱可能であって、交換レンズとカメラ本体との間で情報を通信可能な交換レンズ方式カメラシステムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の交換レンズ方式カメラシステムのブロック図
【図2】本発明の交換レンズ方式カメラシステムのフローチャート
【図3A】本発明の交換レンズ方式カメラシステムのエラー対処メッセージ表示例を示す図
【図3B】本発明の交換レンズ方式カメラシステムのエラー対処メッセージ表示例を示す図
【図3C】本発明の交換レンズ方式カメラシステムのエラー対処メッセージの表示例を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信手段を有するカメラ本体と、
前記カメラ本体に着脱可能であって前記第1の通信手段と通信可能な第2の通信手段を有する交換レンズと、
から構成される交換レンズ方式カメラシステムであって、
前記カメラ本体は、
前記第1の通信手段と前記第2の通信手段間の通信において通信エラーが発生したか否かを検出するエラー検出手段と、
前記交換レンズの起動時に前記エラー検出手段が通信エラーを検出した場合は、第1のエラー対処メッセージを表示し、前記交換レンズの起動後に前記エラー検出手段が通信エラーを検出した場合は、第2のエラー対処メッセージを表示する表示手段とを有する、
ことを特徴とする交換レンズ方式カメラシステム。
【請求項2】
前記交換レンズの起動時は、前記カメラ本体が前記交換レンズから所定の情報を受信する前または受信したときである、ことを特徴とする請求項1に記載の交換レンズ方式カメラシステム。
【請求項3】
前記所定の情報は、前記交換レンズが起動処理を完了したことを示す情報である、ことを特徴とする請求項2に記載の交換レンズ方式カメラシステム。
【請求項4】
前記所定の情報は、前記交換レンズが保持する前記交換レンズに関する情報である、ことを特徴とする請求項2に記載の交換レンズ方式カメラシステム。
【請求項5】
前記第1のエラー対処メッセージは前記交換レンズの付け直しを促すものであり、前記第2のエラー対処メッセージは前記カメラ本体の電源の入れ直しを促すものである、ことを特徴とする請求項1に記載の交換レンズ方式カメラシステム。
【請求項6】
前記表示手段は、前記交換レンズの駆動において、前記エラー検出手段が通信タイムアウトや通信データの異常値を検出した場合にエラーが発生したと判定したときは第3のエラー対処メッセージを表示する、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれに記載の交換レンズ方式カメラシステム。
【請求項7】
前記第3のエラー対処メッセージは、前記交換レンズに異常があることを示すものである、ことを特徴とする請求項1に記載の交換レンズ方式カメラシステム。
【請求項8】
第2の通信手段を有する交換レンズが装着可能なカメラ本体であって、
前記第2の通信手段と通信可能な第1の通信手段と、
前記第1の通信手段と前記第2の通信手段間の通信において通信エラーが発生したか否かを検出するエラー検出手段と、
前記交換レンズの起動時に前記エラー検出手段が通信エラーを検出した場合は、第1のエラー対処メッセージを表示し、前記交換レンズの起動後に前記エラー検出手段が通信エラーを検出した場合は、第2のエラー対処メッセージを表示する表示手段とを有する、カメラ本体。
【請求項9】
前記交換レンズの起動時は、前記カメラ本体が前記交換レンズから所定の情報を受信する前または受信したときである、ことを特徴とする請求項8に記載のカメラ本体。
【請求項10】
前記所定の情報は、前記交換レンズが起動処理を完了したことを示す情報である、ことを特徴とする請求項9に記載のカメラ本体。
【請求項11】
前記所定の情報は、前記交換レンズが保持する前記交換レンズに関する情報である、ことを特徴とする請求項9に記載のカメラ本体。
【請求項12】
前記第1のエラー対処メッセージは前記交換レンズの付け直しを促すものであり、前記第2のエラー対処メッセージは前記カメラ本体の電源の入れ直しを促すものである、ことを特徴とする請求項8に記載のカメラ本体。
【請求項13】
前記表示手段は、前記交換レンズの駆動において、前記エラー検出手段が通信タイムアウトや通信データの異常値を検出した場合にエラーが発生したと判定したときは第3のエラー対処メッセージを表示する、ことを特徴とする請求項8に記載のカメラ本体。
【請求項14】
前記第3のエラー対処メッセージは、前記交換レンズに異常があることを示すものである、ことを特徴とする請求項13に記載の交換レンズ方式カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公開番号】特開2009−260949(P2009−260949A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64700(P2009−64700)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】