説明

交通信号機用表示制御装置

表示制御装置10は、異常状態であることを検知する異常検知手段11と、赤色及び黄色表示灯3,4の点滅動作を行わせる点滅表示制御と、青色表示灯5に異常情報のキャラクタ表示を行わせる映像表示制御を行う異常表示制御部21と、異常検知手段による異常検知結果を受けて、表示制御部7による制御から異常表示制御21による制御に切り替える制御切替え部28とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、道路の交差点等に設置される交通信号機に適用される交通信号機用表示制御装置に関する。
【背景技術】
従来、交通信号機は、白熱ランプと赤,青,黄色のカラーフィルタにより構成された3つの発光表示灯を備えており、点灯及び消灯あるいは点滅動作が繰り返し行なわれることにより、交差点等における車両、人の通行の整理を行なうものである。ところで、近年、青色の発光ダイオードが開発されたことにより、交通信号機の発光源として発光ダイオードのみを用いて構成された交通信号機が採用されるようになってきている。このように、発光ダイオードを発光手段とすることにより、信号に変調を加えることが可能になり、交通信号機が、単なる交通表示のみならず、種々の交通情報等を可視光変調信号として発信することが可能になった。
このような交通信号機としては、例えば特開2001−67585号公報に示すように、情報発信源から通信網を通して集められた情報信号を変調して変調パルス信号として出力する変調手段と、変調パルス信号に基づいて点灯信号を変調パルス信号と同一周期のパルス信号に変換して出力する変調点灯信号出力手段と、変調点灯信号出力手段からの出力に基づいて表示灯を駆動して可視光の光変調信号を発信させる駆動手段とを備えたものが知られている。そして、自動車に、表示灯から放射される光変調信号を受信して電気信号に変換する受光手段と、受光手段からの出力信号を復調する復調手段と、復調手段からの出力の内容を表示する表示手段からなる受光装置を設けることにより、信号機から車両への光変調信号の伝達が可能になっている。
ところで、上記交通信号機の場合、光変調信号を車両に設けた受信装置で受信して復調させることにより、通信内容を把握することができるものであり、表示灯の点灯表示のみでは通信内容を把握できない。したがって、車両内に受信装置を設けていない場合には、このような可視光通信の効果が得られない。そのため、地震や洪水等の天災が発生した場合に、交通信号機から災害の発生を報知する可視光光変調信号が送信されても、受信装置を備えていない車があると、可視光通信の効果が得られず、従来と同様に大きな混乱は避けられない。また、このような可視光通信を、大きな天災のみではなく、日常的な道路の渋滞あるいは、地域的なイベント等による道路通行規制等を適用する場合にも、天災の場合と同様の問題がある。
本発明は、交通信号機に地震、水害、津波等の異常情報がもたらされたときに、通常の交通信号表示から異常表示に切り替えて、道路を走行する車両の乗員に対して、視覚により異常状態の発生及びそれに対する対応を簡易に把握できるような表示を行うことが可能な交通信号機用表示制御装置を提供することを目的とする。また、本発明は、交通信号機の近くに設けられた外部の情報発信手段からの情報を、道路を走行する車両の乗員等に対して、視覚により簡易に把握できるような表示を行うことが可能な交通信号機用表示制御装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
上記目的を達成するために本発明の構成上の特徴は、それぞれが多数の発光素子によって構成されており、赤色、黄色、青色の3色をそれぞれ表示する第1乃至第3の表示灯と、第1乃至第3の表示灯の通常状態での点灯表示を制御する表示制御部とを有する交通道路に設置される交通信号機に適用される交通信号機用表示制御装置であって、異常状態であることを検知して検知信号を発生する異常検知手段と、第1及び第2の表示灯の点滅動作を行わせる点滅表示制御手段と、第3の表示灯に異常情報のキャラクタ表示を行わせる映像表示制御手段と、異常検知手段による異常検知結果を受けて、表示制御部による制御から、点滅表示制御手段及び映像表示制御手段による制御に切り替える制御切替え手段とを備えたことにある。なお、異常状態とは、地震、水害、津波等の天災や、交通事故等による渋滞、その他、お祭り等のイベントによる一時的な交通渋滞等が含まれる。また、発光素子としては、発光ダイオード、レーザーダイオード等が用いられる。
上記のように構成した本発明においては、異常状態であることが異常検知手段により検知されると、これに応じて制御切替え手段により、第1乃至第3の表示灯の点灯表示が、通常状態での点灯表示を制御する表示制御部による制御から、点滅表示制御手段及び映像表示制御手段による制御に切り替えられる。これにより、点滅表示制御手段の制御に基づいて、第1及び第2の表示灯の点滅動作が行われる。そのため、車両の乗員は、天災等の異常が発生したことを直ちに認識することができる。さらに、映像表示制御手段の制御に基づいて、第3の表示灯により異常情報のキャラクタ表示が行われる。その結果、車両の乗員は、表示灯によるキャラクタ表示によって発生した異常の内容を知ると共に異常状態に対する対応方法を簡易に知ることができる。
また、上記交通信号機用表示制御装置において、点滅表示制御手段が、さらに第1及び第2の表示灯のいずれかから可視光情報信号を発信させる光情報発信制御機能を備えることができる。このように、点滅表示制御手段の光情報発信制御機能により、第1及び第2の表示灯のいずれかから発信された可視光情報信号を車両側で受信することにより、異常状態を及びそれに対する対応方法をさらに詳しく知ることができる。
また、上記交通信号機用表示制御装置において、映像表示制御手段が、第3の表示灯の多数の発光素子の駆動制御を、直交座標制御から極座標制御に変換する直交・極座標変換手段を設けてもよい。このように、映像表示制御手段の直交・極座標変換手段により、第3の表示灯の多数の発光素子の駆動制御を、直交座標制御から極座標制御に変換することにより、第3の表示灯におけるキャラクタ表示が簡易に行われる。
また、上記交通信号機用表示制御装置において、点滅表示制御手段及び映像表示制御手段を駆動する電源として、自己発電電源あるいは充電電源を用いることができる。このように、点滅表示制御手段及び映像表示制御手段を駆動する電源が、商用電源ではない自己発電電源あるいは充電電源にされていることにより、災害等の発生により商用電源が寸断された場合でも、制御部への給電が継続して行われ、信号機による異常状態の表示が確実に行われる。
また、上記交通信号機用表示制御装置において、異常検知手段が、交通信号機に取り付けられた振動センサであってもよい。これにより、地震の発生が、交通信号機に取り付けられた振動センサによって確実に検知される。
また、上記交通信号機用表示制御装置において、異常検知手段が、交通信号機に取り付けられた水位センサであってもよい。これにより、洪水の発生が、交通信号機に取り付けられた水位センサによって確実に検知される。
また、本発明の他の構成上の特徴は、それぞれが多数の発光素子によって構成されており、赤色、黄色、青色の3色をそれぞれ表示する第1乃至第3の表示灯と、第1乃至第3の表示灯の通常状態での点灯表示を制御する表示制御部とを有する交通道路に設置される交通信号機に適用される交通信号機用表示制御装置であって、外部の異常状態発信手段からの異常状態信号を受信する異常受信手段と、第1及び第2の表示灯の点滅動作を行わせる点滅表示制御手段と、第3の表示灯に異常情報のキャラクタ表示を行わせる映像表示制御手段と、異常受信手段による異常状態の受信結果を受けて、表示制御部による制御から、点滅表示制御手段及び映像表示制御手段による制御に切り替える制御切替え手段とを備えたことにある。
上記のように構成した発明においては、異常受信手段が外部の異常状態発信手段からの異常状態の発信を受けると、これに応じて制御切替え手段により、第1乃至第3の表示灯の点灯表示が、通常状態での点灯表示を制御する表示制御部による制御から、点滅表示制御手段及び映像表示制御手段による制御に切り替えられる。これにより、点滅表示制御手段の制御に基づいて、第1及び第2の表示灯の点滅動作が行われる。そのため、車両の乗員は、天災等の異常が発生したことを直ちに認識することができる。さらに、映像表示制御手段の制御に基づいて、第3の表示灯により異常情報のキャラクタ表示が行われる。その結果、車両の乗員は、表示灯によるキャラクタ表示によって発生した異常の内容を知ると共に異常状態に対する対応方法を簡易に知ることができる。
また、上記交通信号機用表示制御装置において、点滅表示制御手段が、さらに第1及び第2の表示灯のいずれかから可視光情報信号を発信させる光情報発信制御機能を備えることができる。このように、点滅表示制御手段の光情報発信制御機能により、第1及び第2の表示灯のいずれかから発信された可視光情報信号を車両側で受信することにより、異常状態を及びそれに対する対応方法をさらに詳しく知ることができる。
また、上記交通信号機用表示制御装置において、映像表示制御手段が、第3の表示灯の多数の発光素子の駆動制御を、直交座標制御から極座標制御に変換する直交・極座標変換手段を設けることができる。このように、映像表示制御手段の直交・極座標変換手段により、第3の表示灯の多数の発光素子の駆動制御を、直交座標制御から極座標制御に変換することにより、第3の表示灯におけるキャラクタ表示が簡易に行われる。
また、上記交通信号機用表示制御装置において、点滅表示制御手段及び映像表示制御手段を駆動する電源として、自己発電電源あるいは充電電源を用いてもよい。このように、このように、点滅表示制御手段及び映像表示制御手段を駆動する電源が、商用電源ではない自己発電電源あるいは充電電源にされていることにより、災害等の発生により商用電源が寸断される場合でも、制御部への給電が継続して行われ、信号機による異常状態の表示が確実に行われる。
また、上記交通信号機用表示制御装置において、異常状態発信手段が、車両に取り付けられたものであってもよい。これにより、車両の乗員が、車両に設けた発信装置により異常状態を発信することによっても、これを受けた交通信号機側から、異常状態を発信できるので、異常状態に対する対応がさらに多様に行われる。
また、上記交通信号機用表示制御装置において、異常状態発信手段が、異常情報を発信する情報発信センターに設けられたものであってもよい。このように、異常状態発信手段が、異常情報を発信する情報発信センターに設けられたものであることにより、広い範囲で正確な異常情報が信号機にもたらされるので、信号機から発信される異常情報の精度が高められる。
また、本発明のさらに他の構成上の特徴は、それぞれが多数の発光素子によって構成されており、赤色、黄色、青色の3色をそれぞれ表示する第1乃至第3の表示灯と、該第1乃至第3の表示灯の通常状態での点灯表示を制御する表示制御部とを有する交通道路に設置される交通信号機に適用される交通信号機用表示制御装置であって、交通信号機の近くに設けられた外部の情報発信手段からの光情報信号を直接受信する情報受信手段と、情報受信手段からの信号に応じて点灯発信を行うための点灯発信信号及び/又はキャラクタ表示を行うためのキャラクタ信号を生成する情報信号生成手段と、情報信号生成手段からの信号を前記表示制御部からの表示制御信号に重ね合せて、第1、第2あるいは第3の表示灯に点灯動作に合わせて点灯発信及び/又はキャラクタ表示を行わせる情報発信表示制御手段とを備えたことにある。
上記のように構成した発明においては、交通信号機の近くに設けられた外部の情報発信手段から、例えば駐車スペースの情報に関する光情報信号が発信されると、情報受信手段がこれを直接受信し、この受信信号に応じて情報信号生成手段により点灯発信を行うための点灯発信信号及び/又はキャラクタ表示を行うためのキャラクタ信号が生成される。この受点灯発信信号、キャラクタ信号が、情報発信表示制御手段により、表示制御部からの表示制御信号に重ね合されて、第1、第2あるいは第3の表示灯に点灯動作に合わせて点灯発信又はキャラクタ表示が行われる。この点灯発信された光信号を、通行する車両が光信号受信装置等によって受信することにより、外部の情報発信手段からの情報を交通信号機を通して簡易に入手することができる。また、キャラクタ表示により、外部の情報発信手段からの情報を交通信号機を通して直接視覚により認識することができる。これにより、本発明によれば、通行する車両等から、交通信号機を介して外部情報発信手段からの情報信号を簡易に入手できるので、通信回線設置のコストを削減でき、また新たな通信回線設置の手間も抑えられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1実施例である交通信号機用表示制御装置の概略構成を示すブロック図である。
第2図は、交通信号機の表示盤の構成を説明する説明図である。
第3図は、可視光信号の伝播状態を説明する説明図である。
第4図は、第2実施例である交通信号機用表示制御装置の概略構成を示すブロック図である。
第5図は、第3実施例である交通信号機用表示制御装置の概略構成を示すブロック図である。
第6図は、車両から信号機への異常信号の伝播状態を説明する説明図である。
第7図は、第4実施例である交通信号機用表示制御装置の概略構成を示すブロック図である。
第8図は、交通信号機と、その周囲の駐車場におけるパーキングメータと、通行する車両との信号の授受の関係を説明する説明図である。
第9図は、交通信号機の表示灯に表示された文字表示の例を説明する説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。第1図は第1実施例である道路の交差点等に設けた交通信号機用表示制御装置の概略構成をブロック図により示したものである。交通信号機1は、第2図に示すように、それぞれが多数の発光素子によって構成されており、赤色、黄色、青色の3色をそれぞれ表示する第1,第2,第3の表示灯である赤色表示灯3、黄色表示灯4、青色表示灯5とが図の右から順に配置されてなる表示盤2と、地面に垂直に立設されて上端側で表示盤2を支持している支柱6と、赤色表示灯3、黄色表示灯4、青色表示灯5の通常状態での点灯表示を制御する表示制御部7とを有している。表示制御部7は、切替えスイッチ8を介して各表示灯3,4,5の端子3a,4a,5aに接続されており、商用電源9から給電されて、各表示灯3,4,5に通常状態での点灯表示を行わせるものである。切替えスイッチ8は、通常状態ではオンにされている。なお、切替えスイッチ8は、表示制御部7と商用電源9の間に接続されてもよい。
青色表示灯5は、青色発光ダイオードにより構成されており、黄色表示灯4は、赤色発光ダイオードと青色発光ダイオードにより構成されており、また赤色表示灯3は、赤色発光ダイオードにより構成されている。各表示灯3,4,5は、発光ダイオードが中心に対して同軸状に配列されており、表示制御部7または異常表示制御部21からの駆動信号により駆動される。各表示灯3,4,5は極座標制御により駆動される。なお、発光体ダイオードの代わりに、レーザダイオードを用いることも可能である。
交通信号機用表示制御装置(以下、表示制御装置と記す)10は、異常状態であることを検知する異常検知手段11と、赤色及び黄色表示灯3,4の点滅動作を行わせる点滅表示制御と、青色表示灯5に異常情報のキャラクタ表示を行わせる映像表示制御を行う異常表示制御部21と、異常検知手段11による異常検知結果を受けて、切替えスイッチ22を切り替えることにより表示制御部7による制御から異常表示制御部21による制御に切り替える制御切替え部28とを備えている。
異常検出手段11としては、水位センサ12と、地震による振動を検知する振動センサ13とが、それぞれ支柱6に取り付けられている。水位センサ12は、支柱の例えば地上30cm位置に取り付けられて水位が30cmに達したときに洪水信号を発生するものである。また、振動センサ13は、車両の通行に混乱を生じさせる地震の震度に応じた出力信号を発信するようになっている。なお、両センサ12,13については、必要に応じていずれか一方のみが用いられることもある。
異常表示制御部21は、図示しない点滅表示制御部と映像表示制御部とを備えており、それぞれの制御部は、CPU,ROM,RAM,I/O等からなるマイクロコンピュータ等により構成されている。異常表示制御部21の入力側には、水位センサ12と振動センサ13の出力線が接続されている。点滅表示制御部と映像表示制御部の出力側は、それぞれ切替えスイッチ22を介して、点滅スイッチ23と、直交・極座標変換部24に接続されている。切替えスイッチ22は、通常状態ではオフにされている。点滅スイッチ23は、点滅表示制御部と共に点滅表示制御手段を構成し、その一対の出力は赤色表示灯3の端子3a及び黄色表示灯4の端子4aに接続されている。また、映像表示制御部と共に映像表示制御手段を構成する直交・極座標変換部24の出力は、青色表示灯5の端子5aに接続されている。異常表示制御部21への給電は、自己発電蓄電式の電源装置26により行われる。なお、切替えスイッチ22は、異常表示制御部21の入力側に接続されてもよい。
制御切替え部28は、入力側が水位センサ12と振動センサ13の出力線に接続されており、出力側が切替えスイッチ8及び切替えスイッチ22に接続されている。制御切替え部28は、水位センサ12あるいは振動センサ13、あるいは両者からの検出信号を受けると、切替えスイッチ8のオン状態をオフ状態に切替え、同時に切替えスイッチ22をオフ状態からオン状態に切り替えるものである。
つぎに、上記のように構成した第1実施例の動作について説明する。
地震による異常が振動センサ13により検知されると、これに応じて制御切替え部28により、切替えスイッチ8がオフに、切替えスイッチ22がオンに切替え制御される。これにより、赤色、黄色、青色表示灯3,4,5の点灯表示が、通常状態での点灯表示を制御する表示制御部7による制御から、異常表示制御部21による制御に切り替えられる。その結果、異常表示制御部21の点滅表示制御部からの出力に基づいて、点滅スイッチ23による赤色,黄色表示灯3,4の点灯表示の切替えが反復して行われ、赤色,黄色表示灯3,4の点滅動作が行われる。そのため、車両の乗員は、この点滅表示を見ることにより、天災等の異常が発生したことを直ちに認識することができる。
さらに、映像表示制御部からの制御信号が直交・極座標変換部24で変換されて青色表示灯5に入力され、地震による異常情報のキャラクタ表示が例えば「交通止めうかい」のように行われる。このように、青色表示灯5の多数の発光素子の駆動制御を、極座標制御から直交制御に変換することにより、青色表示灯5におけるキャラクタ表示が簡易に行われる。その結果、車両の乗員は、青色表示灯5に表示された文字情報によって、発生した異常の内容を知ると共に異常状態に対する対応方法を簡易に知ることができる。
また、点滅表示制御部からの点滅信号には、災害情報を含んだ可視光情報信号が乗せられているため、第3図に示すように、赤色あるいは黄色表示灯3,4のいずれかから発信された可視光情報信号を車両側の受信装置41で受信することにより、異常状態及びそれに対する対応方法をさらに詳しく知ることができる。また、異常情報を車両側で受信したことを、ハザードランプ42によって他の車両にも伝達することにより、異常発生情報を広く伝達することができ、異常発生による混乱を抑えることが可能になる。
また、異常表示制御部21を駆動する電源として、商用電源の代りに自己発電電源あるいは充電電源26が用いられていることにより、災害等の発生により商用電源が寸断された場合でも、制御部への給電が継続して行われ、信号機による異常状態の表示が確実に行われる。なお、洪水による異常の場合には、水位センサ12により検知され、表示制御装置10により、上記と同様の異常表示動作が行われる。
つぎに、第2実施例について説明する。
本実施例では、第4図に示すように、異常情報が、上記異常検知手段11からではなく、地域の交通管理センターのように広範囲の情報を集めて発信する情報発信センターに設けられた異常情報発信部33から送信され、交通信号機の異常受信手段である異常受信部31で受信されるようになっている。異常受信部31が異常信号を受けると、これに応じて制御切替え部28により、青色、黄色、赤色表示灯3,4,5の点灯表示が、通常状態での点灯表示を制御する表示制御部7による制御から、異常表示制御部21による制御に切り替えられる。
これにより、上記第1実施例と同様に、異常表示制御部21の点滅表示制御部からの出力に基づいて、点滅スイッチ23による黄色、赤色表示灯4,5の点灯表示の切替えが行われ、黄色、赤色表示灯4,5の点滅動作が行われ、さらに、映像表示制御部からの制御信号が直交・極座標変換部24で変換されて青色表示灯3に入力され、地震による異常情報のキャラクタ表示が例えば「交通止めうかい」のように行われる。そのため、第2実施例においても、車両の乗員は、点滅表示を見ることにより、天災等の異常が発生したことを直ちに認識することができ、青色表示灯3に表示された文字情報によって発生した異常の内容を知ると共に異常状態に対する対応方法を簡易に知ることができる。
さらに、第2実施例においては、広範囲の情報を集めて発信する異常情報発信部33が異常発信源となっているため、地震等の災害に限らず、地域のイベント、お祭り等による一時的な交通渋滞に対しても、それに応じた交通整理情報を各地の信号機に送信することができるため、交通渋滞に伴う大きな混乱を未然に防止することが可能になる。
つぎに、第3実施例について説明する。
本実施例では、第5図に示すように、異常情報が、車両に設けた送信装置44から光信号として送信され、交通信号機の表示盤2に設けた受光素子2aよって検知されるようになっている。例えば、洪水情報については、車体の下部に取り付けた水位センサ45とエンジンの回転センサ46とを用い、水位センサ45が水位を検知し、かつ回転センサ46がエンジンの停止を検知したとき、洪水による水位上昇を送信装置44から発信することができる。受光素子2aによる検知信号に応じて制御切替え部28により、青色、黄色、赤色表示灯3,4,5の点灯表示が、通常状態での点灯表示を制御する表示制御部7による制御から、異常表示制御部21による制御に切り替えられる。これにより、上記第1、2実施例と同様に、黄色、赤色表示灯4,5の点滅動作が行われ、さらに、青色表示灯3に入力され、地震による異常情報のキャラクタ表示が例えば「交通止めうかい」のように行われる。
なお、上記第3実施例において、送信装置44からの信号の発信については、センサ45,46の検知によるものの他に、車両の乗員の入力操作により行われるものであってもよい。また、ハザードランプ42の点滅信号を車両からの異常信号とし、これを受光素子2aにより検知する異常信号受信形態も可能である。
なお、上記実施例1,2,3は、異常情報の発信が、信号機に設けたセンサ、交通管理センター等の異常情報発信部、車両の送信装置から行われているが、これらのいずれかあるいは全ての組合せとすることも可能である。
つぎに、第4実施例について説明する。
第4実施例は、上記交通信号機を介して、交通信号機の近辺に設けられた情報を発信する情報発信手段であるパーキングメータと、道路を通行する車両に搭載された光信号受信装置等により構成される可視光通信システムに関するものである。この可視光通信システムの一例として、交差点付近の道路における駐車場情報を提供するシステムに適用される。
第7図に示すように、第1の交差点C1及び第2の交差点C2に、上記実施例に示したと同様の構造の第1交通信号機1Aと第2交通信号機1Bが設置されている。第1及び第2交通信号機1A,1Bには、交通信号機の近くに設けられた外部の情報発信手段からの光情報信号を直接受信する情報受信部51と、情報受信部51からの信号に応じて点灯発信を行うための点灯発信信号及びキャラクタ表示を行うためのキャラクタ信号を生成する情報信号生成部52と、情報信号生成部52からの信号を表示制御部7からの表示制御信号に重ね合せて、赤色表示灯3、黄色表示灯4あるいは青色表示灯5に点灯動作に合わせて点灯発信及びキャラクタ表示を行わせる情報発信表示制御部53とを備えている。
一方、第8図に示すように、第1の交差点C1の左側の路上には、5台の駐車スペースが確保されており、各スペースの車道側にはパーキングメータ55が設けられている。このパーキングメータ55は、車両の駐車を管理すると共に、互いの間で光信号による伝達が行われ、各スペースの駐車されているか否かを判定し、その結果を光信号により第1交通信号機1Aに発信できるようになっている。また、第1の交差点C1の右側の路上にも、左側と同様に5台の駐車スペースが確保されており、各スペースの車道側にはパーキングメータ56が設けられている。このパーキングメータ56も、パーキングメータ55同様に、各スペースの駐車されているか否かを判定して判定信号を第1交通信号機1Aに発信できるようになっている。さらに、第2の交差点C2の左側の路上には、3台の駐車スペースが確保されており、各スペースの車道側にはパーキングメータ57が設けられている。このパーキングメータ57は、車両の駐車を管理すると共に、各スペースの駐車されているか否かを判定して判定信号を第2交通信号機1Bに発信できるようになっている。
上記のように構成した第4実施例においては、第1あるいは第2交通信号機1A,1Bの近くに設けられたパーキングメータ55,56,57から駐車スペースの情報に関する光情報信号が発信されると、情報受信部51がこれを直接受信する。この受信信号に応じて、情報信号生成部52により、点灯発信を行うための点灯発信信号及びキャラクタ表示を行うためのキャラクタ信号が生成される。さらに、情報発信表示制御部53により、点灯発信信号及びキャラクタ信号が表示制御部7からの表示制御信号に重ね合されて、赤色表示灯3、黄色表示灯4あるいは青色表示灯5において点灯動作に合わせて点灯発信及びキャラクタ表示が行われる。
この点灯発信された光信号を、通行する車両59において車両に搭載した光信号受信装置等によって受信することにより、パーキングメータ55,56,57からの駐車情報を交通信号機1A,1Bを通して簡易に入手することができる。また、キャラクタ表示としては、例えば第9図に示すように、矢印及び「空」の文字によって空の駐車場があること及びその位置を明示することができる。第9図に示すような文字表示によれば、遠くから見たら単色の発行に見えるが、近くから見ると文字表示と認識することができるのである。このようなキャラクタ表示により、パーキングメータ55,56,57からの駐車情報を交通信号機を通して直接視覚により認識することができる。
これにより、本実施例においては、通行する車両等から、交通信号機を介してパーキングメータ等の外部情報発信手段からの情報信号を簡易に入手できるので、通信回線設置のコストを削減でき、また新たな通信回線設置の手間も抑えられる。また、パーキングメータ間の情報通信も可視光通信を利用することができるため、パーキングメータ間を回線で接続するコストが削減される。
その他、上記各実施例に示したものは一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明にかかる交通信号機用表示制御装置においては、外部の異常状態発信手段からの異常状態の発信を受けると、第1乃至第3の表示灯の点灯表示が、通常状態での点灯表示を制御する表示制御部による制御から、点滅表示制御手段及び映像表示制御手段による制御に切り替えられ、第1及び第2の表示灯の点滅動作が行われ、映像表示制御手段の制御に基づいて、第3の表示灯により異常情報のキャラクタ表示が行われる。そのため、車両の乗員が、天災等の異常が発生したことを直ちに認識することができ、表示灯によるキャラクタ表示によって発生した異常の内容を知ると共に異常状態に対する対応方法を簡易に知ることができるので、本発明は有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが多数の発光素子によって構成されており、赤色、黄色、青色の3色をそれぞれ表示する第1乃至第3の表示灯と、該第1乃至第3の表示灯の通常状態での点灯表示を制御する表示制御部とを有する交通道路に設置される交通信号機に適用される交通信号機用表示制御装置であって、
異常状態であることを検知して検知信号を発生する異常検知手段と、
前記第1及び第2の表示灯の点滅動作を行わせる点滅表示制御手段と、
前記第3の表示灯に異常情報のキャラクタ表示を行わせる映像表示制御手段と、
前記異常検知手段による異常検知結果を受けて、前記表示制御部による制御から、前記点滅表示制御手段及び前記映像表示制御手段による制御に切り替える制御切替え手段と
を備えたことを特徴とする交通信号機用表示制御装置。
【請求項2】
前記点滅表示制御手段が、さらに前記第1及び第2の表示灯のいずれかから可視光情報信号を発信させる光情報発信制御機能を備えたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の交通信号機用表示制御装置。
【請求項3】
前記映像表示制御手段が、前記第3の表示灯の多数の発光素子の駆動制御を、直交座標制御から極座標制御に変換する直交・極座標変換手段を設けたことを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の交通信号機用表示制御装置。
【請求項4】
前記点滅表示制御手段及び前記映像表示制御手段を駆動する電源として、自己発電電源あるいは充電電源を用いることを特徴とする請求の範囲第1項から第3項のいずれか1項に記載の交通信号機用表示制御装置。
【請求項5】
前記異常検知手段が、交通信号機に取り付けられた振動センサであることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか1項に記載の交通信号機用表示制御装置。
【請求項6】
前記異常検知手段が、交通信号機に取り付けられた水位センサであることを特徴とする請求の範囲第1項から第5項のいずれか1項に記載の交通信号機用表示制御装置。
【請求項7】
それぞれが多数の発光素子によって構成されており、赤色、黄色、青色の3色をそれぞれ表示する第1乃至第3の表示灯と、該第1乃至第3の表示灯の通常状態での点灯表示を制御する表示制御部とを有する交通道路に設置される交通信号機に適用される交通信号機用表示制御装置であって、
外部の異常状態発信手段からの異常状態信号を受信する異常受信手段と、
前記第1及び第2の表示灯の点滅動作を行わせる点滅表示制御手段と、
前記第3の表示灯に異常情報のキャラクタ表示を行わせる映像表示制御手段と、
前記異常受信手段による異常状態の受信結果を受けて、前記表示制御部による制御から、前記点滅表示制御手段及び前記映像表示制御手段による制御に切り替える制御切替え手段と
を備えたことを特徴とする交通信号機用表示制御装置。
【請求項8】
前記点滅表示制御手段が、さらに前記第1及び第2の表示灯のいずれかから可視光情報信号を発信させる光情報発信制御機能を備えたことを特徴とする請求の範囲第7項に記載の交通信号機用表示制御装置。
【請求項9】
前記映像表示制御手段が、前記第3の表示灯の多数の発光素子の駆動制御を、直交座標制御から極座標制御に変換する直交・極座標変換手段を設けたことを特徴とする請求の範囲第7項又は第8項に記載の交通信号機用表示制御装置。
【請求項10】
前記点滅表示制御手段及び前記映像表示制御手段を駆動する電源として、自己発電電源あるいは充電電源を用いることを特徴とする請求の範囲第7項から第9項のいずれか1項に記載の交通信号機用表示制御装置。
【請求項11】
前記異常状態発信手段が、車両に取り付けられたものであることを特徴とする請求の範囲第7項から第10項のいずれか1項に記載の交通信号機用表示制御装置。
【請求項12】
前記異常状態発信手段が、異常情報を発信する情報発信センターに設けられたものであることを特徴とする請求の範囲第7項から第11項のいずれか1項に記載の交通信号機用表示制御装置。
【請求項13】
それぞれが多数の発光素子によって構成されており、赤色、黄色、青色の3色をそれぞれ表示する第1乃至第3の表示灯と、該第1乃至第3の表示灯の通常状態での点灯表示を制御する表示制御部とを有する交通道路に設置される交通信号機に適用される交通信号機用表示制御装置であって、
前記交通信号機の近くに設けられた外部の情報発信手段からの光情報信号を直接受信する情報受信手段と、
該情報受信手段からの信号に応じて点灯発信を行うための点灯発信信号及び/又はキャラクタ表示を行うためのキャラクタ信号を生成する情報信号生成手段と、
該情報信号生成手段からの信号を、前記表示制御部からの表示制御信号に重ね合せて、前記第1、第2あるいは第3の表示灯に点灯動作に合わせて点灯発信及び/又はキャラクタ表示を行わせる情報発信表示制御手段と
を備えたことを特徴とする交通信号機用表示制御装置。

【国際公開番号】WO2005/010847
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【発行日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512099(P2005−512099)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010904
【国際出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(599137828)株式会社 サンウェイブレックス (15)
【出願人】(503267331)
【出願人】(502287473)
【出願人】(503267342)
【出願人】(503268132)
【出願人】(503267353)
【Fターム(参考)】