説明

交通手段の通過時刻表示方法、これをコンピュータに実行させるためのプログラム及びこのプログラムを記録した記録媒体、並びに携帯電子機器

【課題】列車が通過する経路の任意の地点、例えば駅間の任意の地点を通過する列車の通過時刻情報を知ることができる通過時刻表示方法を提供する。
【解決手段】列車の予め定められた運行経路のうちの任意の範囲の経路が指定され、指定された範囲内の経路における任意の特定位置が特定手順により特定される。特定された任意の特定位置を通過する列車の通過時刻は、列車の時刻表情報を記憶している第1データベースを参照して算出手順により算出され、算出された通過時刻が通過時刻情報32dとしてモニタに表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通手段の位置情報を入力してその交通手段の通過時刻に関する情報を表示手段に表示させる交通手段の通過時刻表示方法、この交通手段の通過時刻表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、及びこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、並びにこのプログラムを実行する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の、交通手段の位置情報を入力してその交通手段の通過時刻に関する情報を表示手段に表示させる技術としては、例えば、特許文献1に開示された交通ナビゲーション方法がある。この交通ナビゲーション方法では、乗車駅および下車駅の駅名が選択入力されることにより、最も速く到着する例えば3つの経路が選び出されて表示される。表示されたいずれかの経路が選択されると、その経路にある乗車駅、乗換駅、下車駅や、通過するすべての駅といった特定地点を通過する時刻が取得される。そして、特定地点の通過時刻の所定時間前になったことが検知されると、特定地点に関する関連情報が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−178923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の交通ナビゲーション方法では、乗車駅および下車駅を入力することにより、予め決められた特定の地点、例えば、乗車駅および下車駅間の各駅を通過する列車の通過時刻情報を知ることはできるが、列車が通過する経路の任意の地点、例えば駅間の任意の地点を通過する列車の通過時刻情報を知ることはできない。従って、駅間の任意の地点で列車を撮影したい場合などには、わざわざ時刻表を見て、任意の地点を列車が通過する通過時刻を調べたり推測したりしなければならず、煩わしかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
交通手段の予め定められた運行経路のうちの任意の範囲の経路を指定する指定手順と、
指定手順により指定された範囲内の経路における任意の特定位置を特定する特定手順と、特定手順により特定された任意の特定位置を通過する交通手段の通過時刻を交通手段の時刻表情報を記憶しているデータベースを参照して算出する算出手順と、
算出手順により算出された通過時刻を表示手段に表示させる表示手順と
からなる交通手段の通過時刻表示方法、及びこの交通手段の通過時刻表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、並びにこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を構成した。
【0006】
また、本発明は、交通手段の予め定められた運行経路のうちの任意の範囲の経路を指定する指定手段と、
指定手段により指定された範囲内の経路における任意の特定位置を特定する特定手段と、特定手段により特定された任意の特定位置を通過する交通手段の通過時刻を交通手段の時刻表情報を記憶しているデータベースを参照して算出する算出手段と、
算出手段により算出された通過時刻が表示される表示手段とを備えて携帯電子機器を構成した。
【0007】
また、本発明は、算出手順で、特定手順により特定された任意の特定位置を通過する複数の交通手段の通過時刻を、交通手段の時刻表情報を記憶しているデータベースを参照して算出し、
表示手順で、算出手順により算出された複数の通過時刻を表示手段に表示させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、指定手順で、運行経路が表示手段における地図上に表示されて任意の範囲の経路の指定が行われることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、表示手順で、算出手順により算出された通過時刻に特定位置を通過する交通手段の識別情報をデータベースを参照して通過時刻と共に表示手段に表示させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、表示手順で、算出手順により算出された通過時刻に特定位置を通過する交通手段の画像をデータベースを参照して通過時刻と共に表示手段に表示させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、交通手段の識別情報の入力を受け付ける識別情報受付手順を備え、
指定手順で、識別情報受付手順により受け付けた識別情報を持つ交通手段の運行経路のうちの任意の範囲の経路を指定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、時間帯の入力を受け付ける時間帯受付手順を備え、
算出手順で、時間帯受付手順により受け付けた時間帯における通過時刻を算出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、算出手順で、特定位置を通過する通過時刻が所定の時間範囲内に複数算出された場合、
表示手順で、表示手段に警告表示させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、指定手順で、交通手段の画像がその撮影地と関連付けられて記憶されているデータベースを参照して表示手段に表示された地図上の撮影地の位置に撮影地と関連づけられた画像または所定のマークを表示させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、交通手段の乗降位置から所定の距離内にある撮影地の位置には画像または所定のマークを表示させないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、交通手段の任意の地点の通過時刻を容易に知ることができる交通手段の通過時刻表示方法及びこれをコンピュータに実行させるためのプログラム並びにこのプログラムを記録した記録媒体が提供される。また、このプログラムを実行する携帯電子機器として例えばカメラを持ち歩いている場合、交通手段の通過時刻を携帯電子機器の表示手段にその場で表示させることができるため、その場を通過する交通手段を撮影などする際の利便性が向上する携帯電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態によるパソコンの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すパソコンのCPUによって行われる列車の通過時刻をモニタに表示させる通過時刻表示処理の概略を示すフローチャートである。
【図3】図2に示す通過時刻表示処理で、路線名を選択する路線一覧表ウィンドウをモニタに表示させた図である。
【図4】図2に示す通過時刻表示処理で、見たい範囲の駅間および年月日を指定する駅一覧表ウィンドウをモニタに表示させた図である。
【図5】図2に示す通過時刻表示処理で、列車進行方向および列車種別を指定する設定ダイアログをモニタに表示させた図である。
【図6】図2に示す通過時刻表示処理で、末端駅を通過する列車の通過時刻を表示させた地図ウィンドウをモニタに表示させた図である。
【図7】図2に示す通過時刻表示処理で、指定された特定位置を通過する列車の通過時刻を図6に示す地図ウィンドウに表示させた図である。
【図8】図2に示す通過時刻表示処理で、図6、図7に示す地図ウィンドウを閉じた後、アプリケーション終了確認ウィンドウをモニタに表示させた図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明による交通手段の通過時刻表示方法、及びこの交通手段の通過時刻表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、並びにこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を、パーソナルコンピュータ(以下パソコンと記す)に適用した場合における、本発明を実施するための一形態について説明する。
【0019】
図1は、この一実施の形態によるパソコン1の概略構成を示す図である。パソコン1は、ネットワーク2を介して第1データベース(DB)4、第2データベース(DB)5、および第3データベース(DB)6が設けられたサーバ3に接続されている。
【0020】
パソコン1は、表示手段を構成する表示部(モニタ)11、表示制御部12、CPU(Central Processing Unit)13、ハードディスク(HD)14、通信部15、および操作部16から構成される。CPU13は、利用者による操作部16の操作に応じた操作信号を受ける。操作部16は、操作釦、マウス、キーボード、タッチパネルや、モニタ11の画面に表示される種々のボタン等から構成される。利用者がモニタ11に表示される種々のボタンのうち、所望のボタンにポインタを合わせてマウスでクリックすることにより、ボタンを押す操作が行われてボタンの選択およびそのボタンによる指示が行われ、操作信号がCPU13へ出力される。表示制御部12は、CPU13からの指令信号に基づいて、モニタ11の表示を制御する。また、CPU13は、通信部15を介してネットワーク2にパソコン1を接続し、通信部15を介してサーバ3との通信を制御する。サーバ3に接続された第1データベース4には、交通手段を構成する列車の時刻表や列車名等の識別情報等が記憶されている。また、第2データベース5には、インターネットのネットワーク2上で投稿された列車の画像がその撮影地と関連付けられて記憶されている。また、第3データベース6には、列車が運行される地域の地図データが記憶されている。なお、第1、第2データベース4、5および第3データベース6に記憶されるデータは、パソコン1のハードディスク14に例えばソフトウェアの一部として格納される構成であってもよい。
【0021】
パソコン1には、通過時刻表示ソフトウェアがインストールされており、利用者は、この通過時刻表示ソフトウェアを用いて、通過時刻を表示させたい列車の路線名、および路線範囲の末端にある2駅を指定する。モニタ11には、指定された路線範囲にある駅を表示した地図が表示され、この地図上で末端駅間の任意の特定の位置を利用者が指定すると、CPU13は、第1データベース4にアクセスして時刻表を参照し、特定位置を通過する列車の通過時刻を算出する。算出された通過時刻はモニタ11に表示される。
【0022】
通過時刻表示ソフトウェアは、本実施形態による交通手段の通過時刻表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムから構成され、また、通過時刻表示ソフトウェアがインストールされたハードディスク14は、本実施形態のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を構成する。本実施形態のプログラムをハードディスク14に記録して、このハードディスク14に記録された本実施形態のプログラムをコンピュータシステムに読み込ませることにより、本実施形態のプログラムが実行される。ここで、コンピュータシステムとはOS(Operating System)や、周辺機器のハードウェアを含むものとする。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク14等の記憶装置に限定されず、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、およびメモリカード等の可搬型記録媒体であってもよい。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持するものであってもよい。
【0023】
図2は、パソコン1のCPU13によって行われる列車の通過時刻をモニタ11に表示させる通過時刻表示処理の概略を示すフローチャートである。
【0024】
利用者が、パソコン1で通過時刻表示ソフトウェアをスタートさせると、CPU13は、ステップ(以下、Sと記す)1において、通過時刻表示ソフトウェアを起動する。次に、CPU13は、S2において、第1データベース4に記憶されているデータを参照して、図3に示す、路線名が一覧表示された路線一覧表ウィンドウ41をモニタ11に表示させる指令信号を表示制御部12に出力する。なお、路線名が一覧表示された路線一覧表ウィンドウ41をモニタ11に表示させる代わりに、地域別の路線図のウィンドウをモニタ11に表示させて、利用者に路線名を選択させる構成でもよい。次に、CPU13は、S3において、路線一覧表ウィンドウ41上において、路線名の前にあるラジオボタン42をクリックしてから決定ボタン43を押される操作による、路線名の選択がされたか否かを判別する。利用者が路線名を選択せず、S3の判別が“NO”の場合、CPU13は、路線名が選択されるまで待機状態となる。
【0025】
一方、利用者が、通過時刻を表示させたい列車の路線名を選択し、S3の判別が“YES”の場合、CPU13は、S4において、図4に示す、S3で選択された路線名の駅が一覧表示された駅一覧表ウィンドウ51をモニタ11に表示させる指令信号を表示制御部12に出力する。例えば、利用者がS3で東海道本線を路線名として選択した場合、東海道本線の駅が一覧表示された駅一覧表ウィンドウがモニタ11に表示される。次に、利用者が、見たい範囲の駅間および年月日を指定すると、CPU13は、S5の指定手順において、列車の予め定められた運行経路のうちの指定された任意の範囲の経路(見たい範囲の駅間)および指定された年月日を選択する。利用者による駅間の指定操作は、駅が一覧表示された駅一覧表ウィンドウ上で、通過時刻を見たい範囲の駅間をドラッグしたり、それに準拠する操作を行うことで行われる。例えば、駅一覧表ウィンドウ51上で、駅名を右クリックして表示された「開始駅に選択」または「終了駅に選択」メニューを選んで、「範囲開始駅」および「範囲終了駅」を選択する。選択された駅名は、駅一覧表ウィンドウ51の「範囲開始駅」および「範囲終了駅」の各欄に表示される。このような操作により、見たい範囲の駅間、例えば、東海道本線の横浜−大船間が指定される。また、一般に運行状況は日によって代わるため、利用者は、この駅間の指定と同時に年月日も指定する。利用者による年月日の指定操作は、例えば、駅一覧表ウィンドウ51上で、年、月、日の各欄に数字を入力することで行われる。なお、不図示のカレンダーを表示して日付をクリックすることで、年月日を選択する構成にしてもよい。また、利用者による列車種類の指定操作は、図4に示す駅一覧表ウィンドウ51における「表示設定」ボタン53を押すことで、図5に示す設定ダイアログ21がモニタ11に表示されて行われる。この設定ダイアログ21には、下り方面、上り方面、下り/上り方面等の列車進行方向、および特急列車、急行列車、普通・快速列車、貨物等の列車種別が表示されている。利用者は、例えば、同図に示すように、列車進行方向を下り方面、列車種別を特急列車に限定する選択を行い、「OK」ボタン22を押すことで、列車種類が指定され、この設定ダイアログ21は閉じる。
【0026】
次に、CPU13は、S6において、モニタ11の画面上の図4に示す駅一覧表ウィンドウ51における「地図表示」ボタン52が押されたか否かを判別する。「地図表示」ボタン52が押されず、S6の判別が“NO”の場合、CPU13は、「地図表示」ボタン52が押されるまで待機状態となる。一方、「地図表示」ボタン52が押され、S6の判別が“YES”の場合、CPU13は、S7において、モニタ11に図6に示す地図ウィンドウ31を表示させる指令信号を表示制御部12に出力する。この際、上述したS5で選択した見たい駅を網羅する範囲の地図データを第3データベース6から入手して、地図ウィンドウ31上に表示する。次に、CPU13は、S8において、この地図ウィンドウ31上に、S5で選択した見たい経路範囲の末端駅を通過する列車名および各列車が通過する通過時刻を表示させる。同図に示す例では、利用者が指定した横浜−大船間の経路範囲における、横浜および大船の各末端駅を通過する列車名および通過時刻を記した通過時刻情報32a、32bが地図ウィンドウ31上に表示される。この際、通過時刻情報32a、32bに表示される通過時刻の時間帯は、0:00から24:00までの間である。また、通過時刻情報32a、32bに表示される列車名は、上述した図5に示す設定ダイアログ21で設定したように、列車進行方向が下り方面で、列車種別が特急列車に限定されている。通過時刻情報32a、32bには列車名と通過時刻が一覧表示されるため、利用者が、もしも狙った列車の写真を撮り逃しても、次は何時にその列車が発車(通過)するかを利用者は知ることができ、次なる撮影スケジュールを容易に組むことが可能となる。
【0027】
なお、「地図表示」ボタン52が押されて行われる地図表示は、駅が一覧表示されたウィンドウを閉じて、通過時刻表示ソフトウェアのメインのウィンドウとして地図ウィンドウ31を表示させてもよいし、また、駅が一覧表示されたウィンドウを表示させたまま、別のウインドウとして地図ウィンドウ31を表示させてもよい。また、地図ウィンドウ31上に、選択した路線の末端駅間(東海道本線の横浜−大船間)に色をつけて分かりやすく表示させてもよい。
【0028】
次に、CPU13は、S9において、通過時刻の時間帯が指定されたか否かを判別する。時間帯の入力を受け付けるこの時間帯受付手順により、通過時刻の時間帯が指定される。S9の判別が“YES”の場合、CPU13は、S10において、指定された時間帯の通過時刻を地図上に表示させる指令信号を表示制御部12に出力する。本実施形態では、図6に示すように、地図ウィンドウ31上に通過時刻の時間帯を指定する「通過時刻表示」設定スライダー34が設けられている。「現在時刻以降」ボタン36が押されると、CPU13は、本アプリケーションが動作しているパソコン1の時刻情報を参照して、現在時刻以降の通過時刻を表示させる指令信号を表示制御部12に出力する。例えば、現在時刻が13時の場合、「現在時刻以降」ボタン36が押されると、地図ウィンドウ31上に図7に示すように13時以降の各末端駅の通過時刻情報32c、32eを表示させる。なお、この「通過時刻表示」設定スライダー34を利用者がスライドさせることで、地図ウィンドウ31上に表示される通過時刻の時間帯を任意の時間帯に設定することができる。また、「終日」ボタン35が押されると、現在時刻に関係なく、0:00−24:00の全日範囲の通過時刻が図6に示したように表示される。
【0029】
次に、CPU13は、S11において、地図ウィンドウ31に表示された地図で任意の地点が指定されたか否かを判別する。利用者が通過時刻を表示させたい任意の地点を地図ウィンドウ31上で指定して、S11の判別が“YES”の場合、CPU13は、S12において、指定地点の通過時刻および列車名を地図上に表示させる指令信号を表示制御部12に出力する。ここで、CPU13は、S5の指定手順により指定された範囲内の経路における任意の特定位置をS11の地点指定に応じて特定し、この特定手順により特定された任意の特定位置を通過する列車の通過時刻を、列車の時刻表情報を記憶している第1データベース4を参照して算出し、この算出手順により算出された通過時刻をモニタ11に表示させる。なお、特定位置が経路上(図7の場合、鉄道路線上)であることが認識できない場合には、この動作は行われない。また、CPU13は、この表示手順で、算出手順により算出された通過時刻に指定された特定位置を通過する列車名を、第1データベース4を参照して通過時刻と共にモニタ11に表示させる。例えば、図7に示す地図ウィンドウ31上で、利用者が横浜−大船間の東戸塚付近をクリックした場合、クリックした地点の通過時刻情報32dが表示される。ここで、表示される通過時刻情報32dの通過時刻の時間帯は、「現在時刻以降」ボタン36が既に押されているため、現在時刻の13時以降の時間帯である。この通過時刻情報32dを算出する際、CPU13は、クリックした地点から最も近い上り下りの大船と横浜の各駅停車時刻(または通過時刻)、および大船と横浜の各駅からクリックした地点までの距離を参照して、クリックした地点を通過する列車の通過時刻を計算する。例えば、A駅の出発時刻が7:00、隣の駅のB駅到着時刻が7:15として、クリック地点XがA駅とB駅の間の路線沿い距離の1:2の場所に位置しているとすると、単純な比率計算で7:05をクリック地点Xの通過時刻として算出する。なお、上述した単純な比率計算ではなく、駅間を走る列車の速度データを加えてより正確な通過時刻を算出する構成であってもよい。また、地図ウィンドウ31に表示される通過時刻の表示量が多い場合もあるので、その場合にはマウスを近づけた各駅や指定地点のみの通過時刻が表示される構成であってもよい。
【0030】
また、図6、図7に示す地図ウィンドウ31に表示される通過時刻情報32a〜32eのC列車の頭には(終)の文字が記されている。この(終)は、C列車、例えばブルートレインがラストラン(最終運行)であることを意味している。この最終運行の情報の表示により、鉄道マニアは、最終運行の列車の写真の撮影を逃すことがなくなる。なお、臨時列車、季節限定列車の場合は、通過時刻情報32a〜32eの列車名の頭に、それらの意味がわかるように(臨)や(季)の文字を付加して表示させてもよい。また、利用者が通過時刻情報32a〜32eの列車の写真を取り損ねた場合には、通過時刻情報32a〜32eに基づいてサーバ3経由で所望の列車の写真をダウンロードしてもよい。この場合、ダウンロードした写真のレンズ情報や構図情報などを今度の撮影の参考にすることができる。
【0031】
地図ウィンドウ31に表示された地図で任意の地点が指定されず、S11の判別が“NO”の場合、または、S12の処理後、CPU13は、S13において、地図ウィンドウ31の「閉じる」ボタン37が押されたか否かを判別する。地図ウィンドウ31の「閉じる」ボタン37が押されず、S13の判別が“NO”の場合、CPU13は、S9の処理に戻る。一方、地図ウィンドウ31の「閉じる」ボタン37が押され、S13の判別が“YES”の場合、CPU13は、S14において、地図ウィンドウ31を閉じる。次に、CPU13は、S15において、図8に示すアプリケーション終了確認ウィンドウ61を表示する。その後、CPU13は、S16において、アプリケーション終了確認ウィンドウ61のボタン選択において、「終了」ボタン62が押されたか否かを判別する。「終了」ボタン62が押されず、「路線の選択に戻る」ボタン63が押され、S16の判別が“NO”の場合、CPU13は、S2の処理に戻る。一方、「終了」ボタン62が押され、S16の判別が“YES”の場合、CPU13は、ソフトウェアを終了する。
【0032】
このような本実施形態による列車の通過時刻表示方法及びこれをコンピュータに実行させるためのプログラム並びにこのプログラムを記録した記録媒体によれば、列車の予め定められた運行経路のうちの任意の範囲の経路が図2、S5の指定手順により指定され、指定された範囲内の経路における任意の特定位置が特定手順のS11で特定される。特定された任意の特定位置を通過する列車の通過時刻は、列車の時刻表情報を記憶している第1データベース4を参照して前述した算出手順により算出され、算出された通過時刻が例えば図7に示す通過時刻情報32dとしてモニタ11に表示手順のS12で表示される。このため、列車の任意の範囲の経路における任意の特定位置、例えば駅間の任意の地点を通過する列車の通過時刻を知りたい場合、従来のようにわざわざ時刻表を調べて列車の任意の地点の通過時刻を調べたり推測する手間は必要なくなる。従って、列車の任意の地点の通過時刻を容易に知ることができる交通手段の通過時刻表示方法及びこれをコンピュータに実行させるためのプログラム並びにこのプログラムを記録した記録媒体が提供できる。
【0033】
また、本実施形態では、算出手順により算出された通過時刻に任意の特定位置を通過する列車の列車名が、第1データベース4を参照して通過時刻と共にモニタ11に、図6、図7に示す通過時刻情報32a〜32eのように表示される。このため、任意の特定位置を通過する列車の列車名を通過時刻と共に知ることができ、列車を撮影する際、列車の詳しい情報が分かって撮影の興趣が向上する。
【0034】
また、本実施形態では、時間帯の入力を受け付ける図2、S9の時間帯受付手順により受け付けた時間帯における列車の通過時刻が、S10で算出される。このため、所望の時間帯に通過する列車を撮影したい者は、時間帯受付手順により所望の時間帯に通過する列車を簡単に調べることできて、より検索しやすくなる。
【0035】
なお、本実施形態では、図2、S5の指定手順で、通過時刻を見たい範囲の駅間を指定する構成であったが、列車名の入力を受け付ける識別情報受付手順を備え、この手順により受け付けた列車名を持つ列車の運行経路のうちの任意の範囲の経路を指定する構成としてもよい。この構成によれば、列車名の入力を受け付ける識別情報受付手順により受け付けた列車名を持つ列車の運行経路のうちの任意の範囲の経路が指定され、指定された範囲内の経路における任意の特定位置を通過する列車の通過時刻がモニタ11に表示される。このため、列車の通過時刻を調べる際、列車の識別情報を所望の列車名に限定して調べることができ、検索しやすくなる。
【0036】
また、本実施形態では、図2、S4で、駅の一覧表ウィンドウ上で、通過時刻を見たい駅間、例えば横浜−大船間を指定する構成であったが、運行経路がモニタ11の地図上に表示されて、任意の範囲の経路、例えば横浜−大船間の指定が行われる構成でもよい。つまり、S4では駅の一覧表ウィンドウが表示されず、「地図表示」ボタン52が押されると表示される地図ウィンドウ31上で、利用者が、通過時刻を見たい駅間である横浜−大船間をマウスのドラッグ操作で指定する。このマウスドラッグ操作の後、横浜−大船間の通過時刻情報32a、32bが図6に示すようにモニタ11に表示される。この構成によれば、運行経路がモニタ11における地図上に表示されて任意の範囲の経路の指定が行われる。このため、任意の範囲の経路を指定して、指定した範囲内の経路における任意の特定位置を特定する操作は、地図上で視覚的に容易に行える。
【0037】
また、本実施形態では、図6、図7に示すように、地図ウィンドウ31上に列車名および通過時刻を記した通過時刻情報32a〜32eが表示されたが、図2、S12の表示手順で、前述した算出手順により算出された通過時刻に任意の特定位置を通過する列車のサムネイル画像を、第1データベース4を参照して通過時刻と共にモニタ11に表示させる構成であってもよい。また、この表示されたサムネイル画像をクリックすると全画面表示に切り換える構成としてもよい。この構成によれば、算出手順により算出された通過時刻に任意の特定位置を通過する列車の画像が第1データベース4を参照して通過時刻と共にモニタ11に表示される。このため、列車名のような文字情報だけでは具体的な列車を認識できない初心者は、画像を見ることで具体的な列車を容易に認識でき、また、その列車を撮影するか否かなどを簡単に判断できて利便性が向上する。
【0038】
また、算出手順で、任意の特定位置を通過する通過時刻が所定の時間範囲内、例えば1分や2分以内に複数算出された場合、図2、S12の表示手順で、モニタ11に警告表示させる構成としてもよい。この構成によれば、任意の特定位置を通過する通過時刻が所定の時間範囲内に複数算出された場合、モニタ11に警告表示されるため、特定の列車を撮影したい撮影者は、この警告表示により、特定の列車が通過する際に他の列車も近い時間に通過することを知ることができる。従って、この警告表示により、例えば、逆方向から通過する別の列車が障壁となって特定の列車を撮影できない可能性を知ることができるため、撮影場所や撮影時間を変えることにより、確実に所望の列車を撮影できる。ここで、警告表示は、図6、図7に示す通過時刻情報32a〜32eの列車名にエクスクラメーションマーク(!)を付加するなどして表示させる。
【0039】
また、図2、S5の指定手順で、列車の画像がその撮影地と関連付けられて記憶されている第2データベース5を参照して、モニタ11に表示された地図ウィンドウ31上の撮影地の位置に撮影地と関連づけられた画像を表示させる構成としてもよい。この構成によれば、投稿された列車の画像がその撮影地と関連付けられて記憶されている第2データベース5を参照して、モニタ11に表示された地図ウィンドウ31上の撮影地の位置に、撮影地と関連づけられたサムネイル画像が表示されるため、画像が特定の場所に集中して表示されている場合、この特定の場所は、撮影スポットである可能性が高いため、撮影スポットを一目で確認でき、また、その撮影スポットで撮影を行える。また、今まで知らなかった撮影スポット、およびその撮影スポットで撮影された画像を調べることができる。
【0040】
また、地図ウィンドウ31上に画像ではなく所定のマークで撮影スポットの分布を表示させ、その撮影スポットをクリックすると、撮影スポットで撮影された投稿画像をモニタ11に表示させてもよい。また、利用者が撮影した画像の撮影地を撮影スポットとして地図ウィンドウ31上に表示させてもよい。また、地図ウィンドウ31上の撮影スポットに投稿された列車のサムネイル画像を表示させる際に、利用者が指定した列車のサムネイル画像のみを表示させるようにしてもよい。また、地図ウィンドウ31上の撮影スポットに投稿された列車のサムネイル画像を表示させる際に、この列車の前後の時間に通過する先行列車や後続列車もついでに撮影できるようにするため、この先行列車や後続列車のサムネイル画像も地図ウィンドウ31上に表示させてもよい。また、撮影スポットに関して、投稿された画像の撮影地点や自ら撮影を行った撮影地点を、利用者が地図ウィンドウ31上で「お気に入りスポット」として登録できる機能を設けてもよい。この場合、後日に撮影記録を振り返ったり、再撮影の計画を行う際に、この「お気に入りスポット」を役立てることができる。
【0041】
また、駅や駅周辺で撮影した列車の画像は、一般的に駅撮り画像と呼ばれ、その手軽さ故に鉄道写真愛好者の中では、好ましくないと感じる者もいるため、列車の乗降位置から所定の距離内にある撮影地の位置には上述した画像または所定のマークを表示させない構成としてもよい。この構成によれば、列車の乗降位置から所定の距離内、例えば駅から500メートル以内にある撮影地の位置には、画像または所定のマークが表示されない。このため、モニタ11に表示される画像または所定のマークの場所は、列車の駅などの乗降位置から所定の距離以上離れているため、この場所で撮影された画像は、駅撮り画像である可能性は低くなるため、列車を撮影したい者にとって、列車の撮影スポットを容易に確認できて、利便性が向上する。
【0042】
また、本実施形態では、交通手段の通過時刻表示方法、及びこの交通手段の通過時刻表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、並びにこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を、パソコンに適用する構成であったが、列車の予め定められた運行経路のうちの任意の範囲の経路を指定する指定手段と、指定手段により指定された範囲内の経路における任意の特定位置を特定する特定手段と、特定手段により特定された任意の特定位置を通過する列車の通過時刻を列車の時刻表情報を記憶している第1データベース4を参照して算出する算出手段と、算出手段により算出された通過時刻が表示されるモニタ11とを備えて携帯電子機器を構成してもよい。この構成によれば、上述したプログラムを実行する携帯電子機器として例えばカメラを持ち歩いている場合、列車の通過時刻を携帯電子機器のモニタ11にその場で表示させることができるため、その場を通過する列車を撮影などする際の利便性が向上する携帯電子機器が提供される。また、この際、本実施形態におけるプログラムを、サーバ3から携帯電子機器であるカメラにダウンロードして実行させる構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
上記実施形態においては、交通手段の通過時刻表示方法及びこれをコンピュータに実行させるためのプログラム並びにこのプログラムを記録した記録媒体における交通手段を列車に適用した場合について説明したが、列車に限らず、バス、航空機、船舶等の他の交通手段にも適用することが可能である。また、上記実施形態においては、携帯電子機器をカメラに適用した場合について説明したが、ビデオカメラや、携帯電話機等のその他の携帯電子機器にも適用することが可能である。このような交通手段や携帯電子機器に本発明を適用した場合においても、上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0044】
1…パソコン
4…第1データベース
5…第2データベース
6…第3データベース
11…モニタ
13…CPU
14…ハードディスク
31…地図ウィンドウ
32a〜32e…通過時刻情報
34…「通過時刻表示」設定スライダー
35…「終日」ボタン
36…「現在時刻以降」ボタン
37…「閉じる」ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通手段の予め定められた運行経路のうちの任意の範囲の経路を指定する指定手順と、
前記指定手順により指定された範囲内の経路における任意の特定位置を特定する特定手順と、
前記特定手順により特定された任意の特定位置を通過する交通手段の通過時刻を交通手段の時刻表情報を記憶しているデータベースを参照して算出する算出手順と、
前記算出手順により算出された前記通過時刻を表示手段に表示させる表示手順と
からなる交通手段の通過時刻表示方法。
【請求項2】
交通手段の予め定められた運行経路のうちの任意の範囲の経路を指定する指定手順と、
前記指定手順により指定された範囲内の経路における任意の特定位置を特定する特定手順と、
前記特定手順により特定された任意の特定位置を通過する交通手段の通過時刻を交通手段の時刻表情報を記憶しているデータベースを参照して算出する算出手順と、
前記算出手順により算出された前記通過時刻を表示手段に表示させる表示手順と
をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項3】
交通手段の予め定められた運行経路のうちの任意の範囲の経路を指定する指定手順と、
前記指定手順により指定された範囲内の経路における任意の特定位置を特定する特定手順と、
前記特定手順により特定された任意の特定位置を通過する交通手段の通過時刻を交通手段の時刻表情報を記憶しているデータベースを参照して算出する算出手順 と、
前記算出手順により算出された前記通過時刻を表示手段に表示させる表示手順と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のプログラムにおいて、
前記算出手順で、前記特定手順により特定された任意の前記特定位置を通過する複数の交通手段の前記通過時刻を、交通手段の時刻表情報を記憶している前記データベースを参照して算出し、
前記表示手順で、前記算出手順により算出された複数の前記通過時刻を前記表示手段に表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のプログラムにおいて、
前記指定手順で、前記運行経路が前記表示手段における地図上に表示されて任意の範囲の経路の指定が行われることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、
前記表示手順で、前記算出手順により算出された前記通過時刻に前記特定位置を通過する交通手段の識別情報を前記データベースを参照して前記通過時刻と共に前記表示手段に表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項3から請求項6のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、
前記表示手順で、前記算出手順により算出された前記通過時刻に前記特定位置を通過する交通手段の画像を前記データベースを参照して前記通過時刻と共に前記表示手段に表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項3から請求項7のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、
交通手段の識別情報の入力を受け付ける識別情報受付手順を備え、
前記指定手順で、前記識別情報受付手順により受け付けた識別情報を持つ交通手段の前記運行経路のうちの任意の範囲の経路を指定することを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項3から請求項8のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、
時間帯の入力を受け付ける時間帯受付手順を備え、
前記算出手順で、前記時間帯受付手順により受け付けた時間帯における前記通過時刻を算出することを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムにおいて、
前記算出手順で、前記特定位置を通過する前記通過時刻が所定の時間範囲内に複数算出された場合、
前記表示手順で、前記表示手段に警告表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項5に記載のプログラムにおいて、
前記指定手順で、交通手段の画像がその撮影地と関連付けられて記憶されているデータベースを参照して前記表示手段に表示された地図上の前記撮影地の位置に前記撮影地と関連づけられた画像または所定のマークを表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
交通手段の乗降位置から所定の距離内にある前記撮影地の位置には前記画像または所定のマークを表示させないことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
交通手段の予め定められた運行経路のうちの任意の範囲の経路を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された範囲内の経路における任意の特定位置を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された任意の特定位置を通過する交通手段の通過時刻を交通手段の時刻表情報を記憶しているデータベースを参照して算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記通過時刻が表示される表示手段と
を備える携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−20632(P2012−20632A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159276(P2010−159276)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】