説明

交通流分散システム、交通流分散方法、交通流分散プログラムおよびプログラム記録媒体

【課題】渋滞発生、CO排出量を低減可能な交通流分散システムを提供する。
【解決手段】交通情報収集手段32aにより道路交通量センサ40、プローブシステム50から取得した現在の交通情報、走行予定ルート収集手段31aにより収集した各車両の走行予定ルート情報に応じて、今後の渋滞、CO排出量の発生が最低になる交通流の分散を交通流分散計画として交通流分散手段31cにて決定し、該交通流分散計画に基づく走行ルートの変更を走行ルート変更指示手段31dにて個々の車両に対して指示する。その後、走行実績ルート収集手段32cにて収集した各車両の走行ルートによる交通流の実績結果およびその渋滞発生、CO排出量低減効果を実績管理手段32dにて評価し、交通流分散手段31cの交通流分散アルゴリズムを補正する。また、変更指示の通り走行ルートを変更した車両に対して、インセンティブをインセンティブ提供手段32eにより送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通流分散システム、交通流分散方法、交通流分散プログラムおよびプログラム記録媒体に関する。特に、道路交通情報を生成する技術分野、都市部での交通渋滞問題やCO発生を低減させる技術分野、道路建設・整備する技術分野、カーナビゲーションの技術分野などに好適に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
運輸系によるCO(二酸化炭素)排出量の増加は、社会的な問題になって久しい。特に、都市部においては、交通渋滞によるCO排出量の増加が深刻化してきている。交通規制により交通量を大幅に減らすことは、産業・経済を減速させることにもつながってしまい、好ましくない。現状の交通量を変えないで、如何に渋滞を解消していくかが課題であり、集中している交通流を効果的に分散させることが期待されている。
【0003】
特許文献1の特開2006−309736号公報「交通渋滞緩和装置および方法」には、高速道路や自動車専用道路を走行する車両に対して、個別に、渋滞情報を通知することにより、各車線の利用率の適正化、道路進行方向の車線密度の適正化を図る技術が提案されている。
【特許文献1】特開2006−309736号公報(第7−10頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、カーナビゲーションの普及により、ドライバは目的地を設定するだけで、運転中に目的地までの走行ルート、予定到着時刻などを把握できるようになっている。また、過去の統計上の渋滞状況や現在の交通渋滞の状況を基にして、渋滞を避けるルートを選択することができるようにもなっている。
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術を含め、従来の交通渋滞緩和技術つまり交通流の分散技術には、次のような問題がある。
【0006】
第1に、過去の統計上の交通渋滞の情報は、現在の交通渋滞の状況を正確に反映しているということにはならなく、過去の統計上の交通情報に基づいて、渋滞を真に避けるルートを求めることになるとは限らない。このため、ルートを変更して、交通流の分散を図ろうとしても、反って、渋滞が発生してしまうようなルートを走行し、COの発生量を増加させる原因になってしまう可能性もある。
【0007】
第2に、現在の交通情報は既に発生している渋滞状況のみを示す情報であることから、今後、渋滞が減少するのかあるいは増加するのかということを提示する情報になっていない。また、その渋滞に起因する周辺道路の渋滞の発生を予想することもできないことから、現在の交通情報によって渋滞を避けるルートを真に選択することができるとは限らない。逆に、渋滞を発生するようなルートを走行し、COの発生量を増加させる原因になってしまうかもしれない。
【0008】
第3に、現在のカーナビゲーションシステムは、どのシステムでも、採用されている過去の統計上の交通情報や現在の交通情報の情報源が概ね同じであるため、どのカーナビゲーションシステムもドライバに対して同様のルートを推奨している。このため、多くのドライバが、同一ルートを選択し、ルートを変更するという行動を、一斉に行ってしまう可能性が高く、特に、渋滞発生時においては、連鎖的な渋滞を誘発することが想定され、COの発生量を増加させる可能性がある。
【0009】
かくのごとく、カーナビゲーションシステムによるルート案内機能が、反って、渋滞発生を齎してしまうという可能性もある。また、カーナビゲーションシステムを利用していないドライバは、交通情報を十分に把握することができていないことから、適切なルート選択を行うことができないため、渋滞を誘発するような走行をしている場合も多い。
【0010】
第4に、推奨ルートへの変更指示に対する実績やその結果実際に得られた渋滞の低減やCOの発生量の低減などの効果を、交通流の分散処理を行う交通流分散アルゴリズムにフィードバックする仕組みを備えていないため、交通流分散アルゴリズムを実績に応じて更新していくことができない。したがって、いつも、同一の交通流分散アルゴリズムにしたがって交通流の分散処理が実施されてしまうため、交通流の分散効果が得られない状況の場合、渋滞やCOの発生量の低減を図ることができない。
【0011】
第5に、交通流の分散を促進するために、推奨ルートへの変更指示の通り、車両の走行ルートを変更してもらうように、ドライバを誘導するインセンティブを与える仕組みを用意していないため、ドライバは、ルートの変更を行うことなく、今までの走行ルートをそのまま継続して走行してしまう場合が生じかねない。その結果、期待する交通流の分散を実施することができず、渋滞やCOの発生量を低減することができなくなる。
【0012】
なお、前記特許文献1の技術においては、道路に設置された交通流センサによって現在の交通状況を収集し、また、道路に設置された道路通信インフラと車両に搭載された車載機との間で双方向通信を行うことによって、前述のように、個々の車両に対して、渋滞緩和のための適切な情報を送信する方法が取られている。かくのごとき方法によって、ドライバが一斉に同じ行動を取ることがなく、交通流が適切に分散されると想定されている。しかし、あくまでも現在の交通状況のみによる情報であるため、交通流が分散されても一時的な渋滞緩和となる可能性がある。
【0013】
すなわち、情報提供により、ドライバが走行車線、走行ルートなどを変更した直後においては、渋滞が緩和する可能性があるものの、しかる後、走行車線、走行ルートなどを変更した行動が反って渋滞を発生させるという悪影響を及ぼす可能性がある。また、ドライバの目的地などを考慮しないで、一方的な情報提供を行うような仕組みであり、ドライバが受信した情報通りに、走行車線、ルートなどを変更することが難しいという課題もある。
【0014】
さらに、たとえ、走行ルートを変更しても、交通流を分散させる処理アルゴリズムが常時固定されており、渋滞を緩和することができなく、反って、走行ルートを変更した行動が渋滞を発生させるという可能性もある。
【0015】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、交通渋滞の発生を確実に防ぎ、渋滞に起因するCOの排出量を削減することを可能とする仕組みを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述の課題を解決するため、本発明による交通流分散システム、交通流分散方法、交通流分散プログラムおよびプログラム記録媒体は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0017】
(1)現在の交通状況および今後に予想される交通量に応じて交通流を分散させる交通流分散計画を決定し、該交通流分散計画を実現するために、個々の車両ごとに走行予定ルートの変更を指示するルート変更指示を生成する交通流分散アルゴリズムを有し、該交通流分散アルゴリズムにより生成された前記ルート変更指示を個々の車両に出力する交通流分散システムであって、前記ルート変更指示の出力後における実際の交通流の実績およびその交通流の分散効果と前記交通流分散アルゴリズムから得られる交通流およびその際の交通流の分散効果との照合結果に基づいて、前記交通流分散アルゴリズムを補正する交通流分散システム。
【発明の効果】
【0018】
本発明の交通流分散システム、交通流分散方法、交通流分散プログラムおよびプログラム記録媒体によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0019】
交通量分散結果の実績とその効果を反映しながら、交通流の分散処理を行うとともに、交通流の分散のために算出された推奨ルートへ走行ルートを変更したドライバに対するインセンティブを与える仕組みを採用しているので、交通量が多い道路特に都市部の道路やその周辺の道路で発生する交通渋滞を未然に防止し、渋滞に起因するCOの排出量をより確実に削減することが可能となる。また、交通流を把握することができることから効果的な道路の建設・整備計画に応用することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明による交通流分散システム、交通流分散方法、交通流分散プログラムおよびプログラム記録媒体の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による交通流分散システム、交通流分散方法について説明するが、かかる交通流分散方法をコンピュータにより実行可能な交通流分散プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、交通流分散プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0021】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴について、その概要をまず説明する。本発明は、今後に予測される交通量に応じて、交通流を分散させるように、個々の車両ごとに、走行予定ルートの変更を指示する仕組み、さらに、交通流の分散を算出する交通流分散アルゴリズムヘのフィードバックを行い、また、ドライバへ推奨ルートへの変更に対するインセンティブを与えるという仕組みを提供するものであり、特に都市部で発生する交通渋滞の発生を未然に防ぎ、渋滞に起因するCOの排出量を削減することを可能としている。
【0022】
ここで、今後に予測される交通量の把握のために、本発明においては、道路に設置されたセンサ等によって収集される現在の渋滞状況と、走行中の個々の車両の走行予定ルート、通過予定時刻とから、今後の交通量の増減を算定した結果を基にして予測することを特徴としている。つまり、今後に予測される交通量は、現状の交通渋滞を把握するとともに、どの程度の車両台数がどこを目的地にどの走行ルートを走行して移動しようとしているかという情報を時間推移とともに把握することによって求める。現在の交通渋滞に関する情報は、例えば、道路に設置されたセンサからの情報やプローブカー(交通基礎情報検出用の車両)の情報を収集するプローブシステムからの情報により把握する。一方、どの程度の車両台数がどこを目的地にどの走行ルートを走行して移動しようとしているかという情報は、例えば、ドライバがカーナビゲーションで設定した情報を収集することによって把握する。
【0023】
また、渋滞緩和、CO排出量の削減を確実に実現するために、渋滞緩和実績と走行ルート変更状況の結果とから、ルート変更指示の内容つまり交通流分散アルゴリズムに対してフィードバックをかける機能を備えることを特徴としている。さらに、期待する交通流の分散を促進させるために、指示された通りに走行ルートを変更したドライバに対しては、インセンティブを与えることを特徴としている。なお、交通流を分散させるために、個々の車両のドライバに対する走行ルートの変更指示は、例えば、道路通信インフラからの通信によって、個々の車両それぞれのカーナビゲーションに送信され、カーナビゲーションの画面に反映させることによって行う。
【0024】
(本発明の一実施形態)
次に、本発明による交通流分散システムつまり交通流の分散により交通渋滞およびCO排出量を削減させるシステム(渋滞およびCO排出量削減システム)の一例について説明する。
【0025】
(実施形態の構成)
まず、本実施形態における交通流分散システムのシステム構成について説明する。図1は、本発明による交通流分散システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。図1のシステム構成図に示すように、交通流分散システムは、カーナビゲーション10、カーナビゲーション10と相互に通信する道路通信インフラ20、現在の交通状況を収集するために道路に設置された道路交通量センサ40、車両の車速や位置情報を出力するプローブカー60、プローブカー60が出力する車両位置情報などに基づいて交通情報を生成するプローブシステム50、収集された交通量や交通情報を基に今後の交通流を予測し、交通流を分散させるためのルート変更指示を出力する交通流分散アルゴリズムを実施する交通流予測システム30、交通流予測システム30と道路通信インフラ20、道路交通量センサ40、プローブシステム50との間の通信情報を転送するネットワーク70を、少なくとも含んで構成される。
【0026】
カーナビゲーション10は、ドライバが目的地を設定することにより、最適の走行ルートを計算し画面表示することができる機能が搭載されており、計算された走行予定ルートと走行予定時刻とを最適の走行ルートに関する情報として道路通信インフラ20との通信により該道路通信インフラ20に対して送信することができる機能を有している。また、カーナビゲーション10は、道路通信インフラ20との通信により、ルート変更指示を受信し、その結果を画面に表示する機能も搭載している。
【0027】
道路通信インフラ20は、交通量が多い道路例えば都市部の交通流が集中するエリアおよびその周辺エリアの交差点付近に設置され、接近してきた車両のカーナビゲーション10と通信する機能を有する。また、カーナビゲーション10から受信した情報をネットワーク70経由で交通流予測システム30へ送信することができる。逆に、交通流予測システム30からネットワーク70経由で道路通信インフラ20宛に送信されてくる情報を受信することもできる。
【0028】
交通流予測システム30は、前述のように、収集した現在の交通量や今後の走行予定ルートなどの交通情報を基に、今後の交通流を予測し、最適の交通流分散計画を決定し、交通流を分散させるためのルート変更指示を出力する交通流分散アルゴリズムを実施するシステムである。つまり、まず、道路通信インフラ20、道路交通量センサ40およびプローブシステム50からの情報をネットワーク70経由で受信し、現状の交通情報の生成処理と今後の交通流およびCO排出量の予測処理とを実施する。次に、予測した今後の交通流から渋滞の発生を事前に検出し、渋滞発生を未然に抑制するような交通流の分散処理を実施する。さらに、渋滞抑制によるCO排出量削減効果も合わせて算出する。さらに、交通流の分散処理結果を基に、道路通信インフラ20を経由してカーナビゲーション10に対してルート変更指示を出力する。
【0029】
道路交通量センサ40は、道路に設置された超音波センサやループコイルなどによって構成されるものであり、単位時間当たりの交通量を計測することができる機能を備え、交通量の計測結果を交通流予測システム30に対してネットワーク70経由で送信することが可能である。
【0030】
プローブカー60は、走行状況を把握するために走行している車両であり、現在の車両位置を検出して、車両位置情報として、車速とともに、プローブシステム50へ通知する機能を有している。
【0031】
プローブシステム50は、複数のプローブカー60から収集した車速や車両位置情報などに基づいて、現状の走行速度や区間旅行時間などのプローブ交通情報を生成する機能があり、生成したプローブ交通情報を交通流予測システム30にネットワーク70経由で送信することが可能である。
【0032】
ネットワーク70は、道路通信インフラ20、道路交通量センサ40、プローブシステム50と交通流予測システム30との間の情報を転送する通信媒体であり、有線の通信媒体であっても良いし、無線の通信媒体であっても良い。
【0033】
図2は、図1に示す交通流予測システム30の機能ブロック構成の一例を示すブロック構成図であり、交通流予測システム30は、交通流制御部31と交通流管理部32とを備えている。
【0034】
交通流制御部31は、走行予定ルートや現状の交通情報を入力として、今後の交通流の予測処理と予測した交通流から渋滞の発生を事前に検出し、渋滞発生を未然に抑制するような処理およびルート変更指示を出力する機能を担務する。
【0035】
交通流管理部32は、道路交通量センサ40およびプローブシステム50からの情報を入力として、交通情報生成処理と実際に車両が走行した実績走行ルートとを入手し、交通流制御部31からのルート変更指示に従って、どの車両が走行ルートを変更したかを把握、管理する機能を担務する。
【0036】
交通流制御部31は、走行予定ルート収集手段31a、交通流予測手段31b、交通流分散手段31c、走行ルート変更指示手段31dを少なくとも含んで構成されている。
【0037】
走行予定ルート収集手段31aは、各車両のカーナビゲーション10で設定されている各車両の走行予定ルートを走行予定時刻とともに道路通信インフラ20経由で収集し、交通流予測手段31bに転送する。交通流予測手段31bは、走行予定ルート収集手段31aから受信した走行予定ルート、走行予定時刻と交通流管理部32で生成された現在の交通情報とを基にして、交通流の予測処理を実施し、交通渋滞の発生を事前に検出する。また、交通渋滞の発生に伴うCO排出量を予測する。
【0038】
交通流分散手段31cは、交通流予測手段31bで算出された結果と交通流管理部32から出力されるルート変更実績による効果の情報とを受け取って、交通流を分散させ、渋滞発生を未然に抑制できるように各車両の走行予定ルートの変更案を算出する。各車両の走行予定ルートの変更案の算出処理は、各車両の現在地、目的地、走行予定ルート、走行予定時刻、通過時刻、車種(小型車、トラックなど)などに基づいて、道路ネットワーク全体において渋滞発生およびCO排出量が最低となるように、交通流分散計画を決定し、各車両ごとの最適のルートを導き出す処理になっている。走行ルート変更指示手段31dは、各車両ごとに導出された最適なルートを各車両に道路通信インフラ20を経由して送信する機能を有する。また、走行ルート変更指示手段31dは、同時に、各車両ごとに導出された最適なルートを交通流管理部32に対しても送信する機能を有している。
【0039】
また、交通流予測システム30の交通流管理部32は、交通情報収集手段32a、交通情報生成手段32b、走行実績ルート収集手段32c、実績管理手段32d、インセンティブ提供手段32eを少なくとも含んで構成されている。
【0040】
交通情報収集手段32aは、道路交通量センサ40およびプローブシステム50に対してネットワーク70経由で現在の交通基礎情報を要求し、要求した現在の交通基礎情報を入手する。交通情報生成手段32bは、交通情報収集手段32aで入手した交通基礎情報を基にして、現在の交通情報を生成し、生成した現在の交通情報を交通流制御部31に送信する。また、同時に、生成した現在の交通情報を実績管理手段32dに対しても送信する。
【0041】
実績管理手段32dは、走行実績ルート収集手段32cで収集した車両の走行実績ルートと交通流制御部31により指示された変更ルートとの照合を実施する。また、交通流制御部31で計算した交通流の分散計画と交通情報生成手段32bから受信した実際の交通状況との照合を実施することによって、ルート変更の実績とその効果を算出する。実績管理手段32dにて算出されたルート変更による効果の情報は、交通流制御部31に送信され、より効果が上がるように、交通流分散、ルート変更指示の処理へフィードバックをかけるために用いられる。
【0042】
インセンティブ提供手段32eは、交通流制御部31からのルート変更の指示通りに、走行ルートを変更することを促進するために、ドライバにインセンティブを提供する機能を有する。インセンティブは、実績管理手段32dでルートを照合した結果から、ルート変更の指示通りにルートを変更したドライバのみに提供される。
【0043】
(実施形態の動作の説明)
次に、図1、図2に示した交通流分散システムの動作の一例について、図3ないし図6に示す各フローチャートを参照して説明する。ここで、図3ないし図6に示す各フローチャアートは、本発明による交通流分散方法の一例として交通流分散アルゴリズムの実施例を示すものである。図3は、図1、図2に示した交通流分散システムにおいて交通流を把握する手順の一例を説明するためのフローチャートであり、図4は、図1、図2に示した交通流分散システムにおいて交通流の分散、走行ルートの変更指示を行う手順の一例を説明するためのフローチャートである。また、図5は、図1、図2に示した交通流分散システムにおいてルート変更実績を確認する手順の一例を説明するためのフローチャートであり、図6は、図1、図2に示した交通流分散システムにおいてルート変更指示へのフィードバックをかける手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0044】
<交通流の把握>
まず、交通流を把握する手順の一例について、図3を用いて説明する。図3には、本交通流分散システムを構成するカーナビゲーション10、道路通信インフラ20、交通流予測システム30、道路交通量センサ40、プローブシステム50のそれぞれにおける処理手順を示している。図3に示すように、道路交通量センサ40は、常時、単位時間当たりの交通量を収集している(ステップ1)。また、プローブシステム50は、プローブカー60からの情報をあらかじめ定めた周期で定期的に処理して、プローブ交通情報を生成している(ステップ2)。
【0045】
また、交通流予測システム30からは、あらかじめ定めた周期で、定期的に、道路交通量センサ40、プローブシステム50に対して、現在の交通基礎情報の転送を要求する転送要求信号を送信している(ステップ3)。該転送要求信号を受け取った道路交通量センサ40、プローブシステム50は、それぞれが、収集・生成した交通基礎情報(交通量やプローブ交通情報)を、交通流予測システム30に対して送信する(ステップ4,5)。
【0046】
道路交通量センサ40、プローブシステム50それぞれからの交通基礎情報を受け取った交通流予測システム30は、交通情報収集手段32aにて、受信した交通基礎情報を格納する(ステップ6)。次いで、交通流予測システム30の交通情報生成手段32bにおいて、交通情報収集手段32aにて格納した交通基礎情報の特性(精度、リアルタイム性など)を考慮した上で、各交通基礎情報間の融合を実施し、現在の交通状況を示す交通情報として生成する(ステップ7)。以上の処理により、道路交通量センサ40、プローブシステム50が配置されている交通量が多い道路特に都市部やその周辺の道路における現在の渋滞状況を把握する。
【0047】
一方、交通量が多い道路特に都市部に進入してくる車両の今後の走行予定ルートの把握するために、以下の手順が実施される。まず、ドライバがカーナビゲーション10に目的地を設定すると(ステップ8)、カーナビゲーション10により、走行予定ルート、走行予定時刻が計算される(ステップ9)。
【0048】
走行中の車両が、道路通信インフラ20に接近して、道路通信インフラ20の通信可能エリアに入った時点に至ると、道路通信インフラ20から、当該車両に搭載されたカーナビゲーション10に対して、計算された走行予定ルート、走行予定時刻の転送要求信号が出力される(ステップ10)。該転送要求信号を受信したカーナビゲーション10は、当該カーナビゲーション10固有の車載機IDを含めて、計算された走行予定ルート、走行予定時刻に関する情報を道路通信インフラ20に対して送信する(ステップ11)。なお、道路通信インフラ20からの転送要求ではなく、車両が道路通信インフラ20の通信可能エリアに入ることによって、カーナビゲーション10から、自動的に、計算された走行予定ルート、走行予定時刻に関する情報が送信されるようにしても良い。
【0049】
道路通信インフラ20は、カーナビゲーション10から受信した走行予定ルート、走行予定時刻に関する情報を交通流予測システム30へ転送する(ステップ12)。道路通信インフラ20から走行予定ルート、走行予定時刻に関する情報を受け取った交通流予測システム30は、走行予定ルート収集手段31aにて、受け取った走行予定ルート、走行予定時刻に関する情報を格納する(ステップ13)。
【0050】
以上の手順を実施することによって、交通流予測システム30は、現在の交通流および今後に予測される交通流に関する情報を収集した状態になる。
【0051】
<交通流分散、走行ルートの変更指示>
次に、交通流の分散および走行ルートの変更指示を実施する手順の一例について、図4を用いて説明する。図4には、本交通流分散システムを構成するカーナビゲーション10、道路通信インフラ20および交通流予測システム30のそれぞれにおける処理手順を示している。図4に示すように、交通流予測システム30は、交通流予測手段31bにおいて、交通情報収集手段32aにて格納した現在の交通情報と、走行予定ルート収集手段31aにて格納した走行予定ルート、走行予定時刻に関する情報を読み込み(ステップ21)、交通流およびCO排出量の予測を行う(ステップ22)。交通流の予測は、現在の交通状況・渋滞状況をベースに個々の車両の流入、流出の動きや道路の交通容量などから渋滞発生箇所の検出と発生時刻、変化を時間の推移に対応する形式で算出する処理を行う。
【0052】
次に、交通流予測手段31bにて算出された交通流およびCO排出量の予測結果を基にして、道路ネットワーク全体において渋滞発生およびCO排出量が最低となるように、交通流分散手段31cにおいて、あらかじめ設定している交通流分散アルゴリズムにしたがって交通流の分散処理を実施する(ステップ23)。この交通流分散アルゴリズムは、現在の交通状況および今後に予想される交通量に基づいて、つまり、各車両の現在地、目的地、走行予定ルート、車種(小型車、トラックなど)などに基づいて、渋滞の発生およびCO排出量が最低となる交通流の分散を判断し、最適の交通流分散計画として決定するものであって、個々の車両の走行ルートを変更させることによって、交通流の分散効果が最大となるように、交通流の分散処理を行う。さらに、交通流分散手段31cにおいては、交通流の分散処理結果を基にして、個々の車両に対するルート変更指示を作成する(ステップ24)。
【0053】
走行ルート変更指示手段31dは、交通流分散手段31cによって作成された個々の車両ごとのルート変更指示を、該当する車両が走行している近傍の道路通信インフラ20に対して送信し(ステップ25)、該ルート変更指示を受け取った道路通信インフラ20は、受け取ったルート変更指示を、該当する車両のカーナビゲーション10へ転送する(ステップ26)。該当するカーナビゲーション10を搭載した車両が道路通信インフラ20の通信可能エリアに侵入した時点で、当該カーナビゲーション10は、道路通信インフラ20からルート変更指示を受信し、そのルート変更指示に関する情報を格納する(ステップ27)。そして、当該カーナビゲーション10は、道路通信インフラ20から受け取ったルート変更指示を画面に表示することによって、ドライバに走行ルートの変更を促す(ステップ28)。
【0054】
以上の手順を実施することによって、交通流予測システム30は、今後、渋滞発生およびCO排出量が最も少なくなるものと予測される最適の交通流の分散を決定することができ、決定した最適の交通流の分散を実現するために、個々の車両に対する走行ルートの変更指示を出力することができる。さらに、走行中の個々の車両は、交通流予測システム30から出力される走行ルートの変更指示を、道路通信インフラ20経由で受け取ることによって、カーナビゲーション10の画面として画面表示して、ドライバに走行ルートの変更を促すこともできる。
【0055】
<ルート変更実績確認>
次に、個々の車両への走行ルートの変更指示に対する実績を確認する手順の一例について、図5を用いて説明する。図5には、本交通流分散システムを構成するカーナビゲーション10、道路通信インフラ20、交通流予測システム30、道路交通量センサ40、プローブシステム50のそれぞれにおける処理手順を示している。図5に示すように、交通流予測システム30からの走行ルートの変更指示を道路通信インフラ20経由で受け取った車両のドライバは、カーナビゲーション10に表示されたルート変更指示に対して、走行ルートを変更するか否かの判断を行って、ドライバが選択したいずれかの走行ルートで走行を継続する(ステップ31,32)。
【0056】
しかる後、車両が道路通信インフラ20の通信可能エリアに侵入した時点において、道路通信インフラ20からカーナビゲーション10に対して走行実績ルートの転送を要求する転送要求信号が出力されてくる(ステップ33)。道路通信インフラ20からの転送要求信号を受け取ったカーナビゲーション10は、実際の走行実績ルートに関する情報を、当該カーナビゲーション10を一意に特定する車載機IDとともに、道路通信インフラ20に対して送信する(ステップ34)。なお、道路通信インフラ20からの転送要求ではなく、車両が道路通信インフラ20の通信可能エリアに入ることによって、カーナビゲーション10から、自動的に、実際の走行実績ルートに関する情報が、車載機IDとともに、送信されるようにしても良い。
【0057】
実際の走行実績ルートに関する情報と車載機IDとを受け取った道路通信インフラ20は、受信した走行実績ルートに関する情報と車載機IDとを交通流予測システム30へ転送する(ステップ35)。道路通信インフラ20から転送されてきた走行実績ルートに関する情報と車載機IDとを受け取った交通流予測システム30は、走行実績ルート収集手段32cにて、受信した走行実績ルートに関する情報と車載機IDとを格納する(ステップ37)。一方、現在の交通情報については、図3の<交通流の把握>処理に示したステップ1ないしステップ7までの処理手順にしたがって、交通流予測システム30の交通情報生成手段32bにて生成されている(ステップ36)。
【0058】
次に、交通流予測システム30は、実績管理手段32dにおいて、走行実績ルート収集手段32cで収集蓄積した、車載機IDにて特定される個々の車両の走行実績ルートと、交通流制御部31で指示した当該車両に対するルート変更指示との照合を実施する。また、交通流制御部31で計算した交通流の分散計画と交通情報生成手段32bから出力される現時点の実際の交通情報との照合を実施することによって、ルート変更指示に対する実績とその効果(実際の渋滞の発生やCO排出量の低減効果)とを算出する(ステップ38)。
【0059】
また、どの車両がルート変更指示の指示通りにルート変更したかを識別し、ルート変更指示にしたがって走行ルートを変更した車両のドライバに対して、インセンティブとして、例えば有料道路料金割引などのポイントを与えることを決定する(ステップ39)。決定したインセンティブに関する情報は、交通流予測システム30のインセンティブ提供手段32eから道路通信インフラ20へ送信され(ステップ40)、さらに、道路通信インフラ20からカーナビゲーション10へと転送される(ステップ41)。
【0060】
カーナビゲーション10は、当該カーナビゲーション10を搭載した車両が道路通信インフラ20の通信可能エリアに進入した時点で、道路通信インフラ20から転送されてきたインセンティブに関する情報を受け取り、受信したインセンティブに関する情報に含まれている例えば有料道路料金割引などのポイントを格納し、ポイントを累積していく(ステップ42)。さらに、累積ポイントはカーナビゲーション10の画面に表示されて、ドライバに通知される(ステップ43)。なお、インセンティブとして累積されたポイントは、前述のような有料道路料金割引の他に、ガソリンスタンドでの給油時のガソリン料金割引などに利用するようにしても良い。
【0061】
以上の手順を実施することによって、交通流予測システム30は、個々の車両へのルート変更指示に対する実績を把握して、ルート変更指示にしたがって走行ルートを変更した車両のドライバに対して、インセンティブとなる情報を提供することによって、渋滞の発生およびCO排出量の低減を効果的に促進することができる。
【0062】
<ルート変更指示へのフィードバック>
最後に、ルート変更指示に対する実際の走行ルートの実績を反映して、今後のルート変更指示に対してフィードバックを実施する手順の一例について、図6を用いて説明する。図6には、本交通流分散システムを構成する交通流予測システム30における処理手順を示している。図6に示すように、交通流予測システム30は、実績管理手段32dにて求めた走行ルートの変更の実績とその効果とを、交通流分散手段31cに、フィードバック用の情報として供給する。交通流分散手段31cは、実績管理手段32dから供給されたルート変更の実績および効果に基づき、より効果的な渋滞緩和、CO排出量の削減につながるように、交通流の分散の算出を行う交通流分散アルゴリズムに含まれる各係数に対する補正値を算出する(ステップ51)。
【0063】
さらに、交通流分散手段31cは、交通流予測手段31bで算出された現時点の交通流およびCO排出量の予測処理結果を受け取り、算出された補正値により各係数が補正された補正後の交通流分散アルゴリズムにしたがって、交通流の分散処理を行う(ステップ52)。しかる後、交通流分散手段31cは、補正値により各係数が補正された補正後の交通流分散アルゴリズムにしたがって交通流の分散処理を行った結果を基にして、個々の車両に対するルート変更指示を作成する(ステップ53)。さらに、走行ルート変更指示手段31dは、交通流分散手段31cにより作成されたルート変更指示を、道路通信インフラ20に対して送信する(ステップ54)。以降、道路通信インフラ20、カーナビゲーション10は、図4に示した<交通流分散、走行ルートの変更指示>の処理手順と全く同様の処理を行う。
【0064】
以上の手順を実施することによって、交通流予測システム30は、ルート変更指示の実績および効果をフィードバックして、より効果的な渋滞緩和、CO排出量の削減につながるように、交通流の分散処理アルゴリズムを補正し、今後のルート変更指示に反映することができる。
【0065】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、交通量分散結果の実績とその効果を反映しながら、交通流の分散処理を行うとともに、交通流の分散のために算出された推奨ルートへ走行ルートを変更したドライバに対するインセンティブを与える仕組みを採用しているので、交通量が多い道路特に都市部の道路やその周辺の道路で発生する交通渋滞を未然に防止し、渋滞に起因するCOの排出量をより確実に削減することが可能となる。また、交通流を把握することができることから効果的な道路の建設・整備計画に応用することも可能となる。
【0066】
(本発明の他の実施形態)
前述の実施形態と異なる他の実施形態として、カーナビゲーション10と交通流予測システム30との情報の送受信において、道路通信インフラ20を経由しないで、直接、車両の乗員(ドライバなど)が携行する携帯電話機のパケット通信機能を利用することも可能である。この場合、すべての車両のカーナビゲーションを携帯電話機利用のタイプとすることにより、道路通信インフラを道路に整備する必要がなく、インフラ整備に要するコストが低減することができるという利点がある。
【0067】
また、現在の交通情報を生成するために必要な車速や車両位置の情報を収集するプローブカー60にカーナビゲーション10を搭載する構成もあり得る。この場合、さらに、プローブシステム50のプローブ交通情報を生成する機能を、交通流予測システム30に備えるようにして、プローブカー60からの情報を、直接、交通流予測システム30に送信するようにしても良い。
【0068】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。例えば、本発明の実施態様は、課題を解決するための手段における構成(1)に加えて、次のような構成として表現できる。
【0069】
(2)前記ルート変更指示を送信した車両について、送信後における走行ルート実績と前記ルート変更指示とを照合した結果、前記ルート変更指示に従った走行ルートを走行していた場合、当該車両のドライバに対して与えるインセンティブに関する情報を当該車両へ送信する上記(1)の交通流分散システム。
(3)前記交通流分散計画を、交通流の分散による分散効果として、今後の渋滞の発生と渋滞による二酸化炭素の排出量とが最低になるように決定する上記(1)または(2)の交通流分散システム。
(4)前記交通流分散計画を決定するために用いる現在の交通状況は、単位時間当たりの交通量を検知するために道路に備えられた交通量センサおよび/または車速、車両位置情報を検出するプローブシステムを用いて取得する上記(1)ないし(3)のいずれかの交通流分散システム。
(5)前記交通流分散計画を決定するために用いる今後に予想される交通量は、個々の車両に搭載されたカーナビゲーションにより算出された目的地までの走行予定ルート、走行予定時刻に関する情報を取得することにより算出される上記(1)ないし(4)のいずれかの交通流分散システム。
(6)現在の交通状況および今後に予想される交通量に応じて交通流を分散させる交通流分散計画を決定し、該交通流分散計画を実現するために、個々の車両ごとに走行予定ルートの変更を指示するルート変更指示を生成する交通流分散アルゴリズムを有し、該交通流分散アルゴリズムにより生成された前記ルート変更指示を個々の車両に出力する交通流分散方法であって、前記ルート変更指示の出力後における実際の交通流の実績およびその交通流の分散効果と前記交通流分散アルゴリズムから得られる交通流およびその際の交通流の分散効果との照合結果に基づいて、前記交通流分散アルゴリズムを補正する交通流分散方法。
(7)前記ルート変更指示を送信した車両の送信後における走行ルート実績と前記ルート変更指示との照合結果、前記ルート変更指示に従った走行ルートを走行していた場合、当該車両のドライバに対してインセンティブを与える上記(6)の交通流分散方法。
(8)前記交通流分散計画を、交通流の分散による分散効果として、今後の渋滞の発生と渋滞による二酸化炭素の排出量とが最低になるように決定する上記(6)または(7)の交通流分散方法。
(9)前記交通流分散計画を決定するために用いる現在の交通状況は、単位時間当たりの交通量を検知するために道路に備えられた交通量センサおよび/または車速、車両位置情報を検出するプローブシステムを用いて取得する上記(6)ないし(8)のいずれかの交通流分散方法。
(10)前記交通流分散計画を決定するために用いる今後に予想される交通量は、個々の車両に搭載されたカーナビゲーションにより算出された目的地までの走行予定ルート、走行予定時刻に関する情報を取得することにより算出される上記(6)ないし(9)のいずれかの交通流分散方法。
(11)上記(6)ないし(10)のいずれかの交通流分散方法を、コンピュータにより実行可能なプログラムとして実施する交通流分散プログラム。
(12)上記(11)の交通流分散プログラムを、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録しているプログラム記録媒体。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明による交通流分散システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】図1に示す交通流予測システム30の機能ブロック構成の一例を示すブロック構成図である。
【図3】図1、図2に示した交通流分散システムにおいて交通流を把握する手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1、図2に示した交通流分散システムにおいて交通流の分散、走行ルートの変更指示を行う手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1、図2に示した交通流分散システムにおいてルート変更実績を確認する手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1、図2に示した交通流分散システムにおいてルート変更指示へのフィードバックをかける手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
10 カーナビゲーション
20 道路通信インフラ
30 交通流予測システム
31 交通流制御部
31a 走行予定ルート収集手段
31b 交通流予測手段
31c 交通流分散手段
31d 走行ルート変更指示手段
32 交通流管理部
32a 交通情報収集手段
32b 交通情報生成手段
32c 走行実績ルート収集手段
32d 実績管理手段
32e インセンティブ提供手段
40 道路交通量センサ
50 プローブシステム
60 プローブカー
70 ネットワーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の交通状況および今後に予想される交通量に応じて交通流を分散させる交通流分散計画を決定し、該交通流分散計画を実現するために、個々の車両ごとに走行予定ルートの変更を指示するルート変更指示を生成する交通流分散アルゴリズムを有し、該交通流分散アルゴリズムにより生成された前記ルート変更指示を個々の車両に出力する交通流分散システムであって、前記ルート変更指示の出力後における実際の交通流の実績およびその交通流の分散効果と前記交通流分散アルゴリズムから得られる交通流およびその際の交通流の分散効果との照合結果に基づいて、前記交通流分散アルゴリズムを補正することを特徴とする交通流分散システム。
【請求項2】
前記ルート変更指示を送信した車両について、送信後における走行ルート実績と前記ルート変更指示とを照合した結果、前記ルート変更指示に従った走行ルートを走行していた場合、当該車両のドライバに対して与えるインセンティブに関する情報を当該車両へ送信することを特徴とする請求項1に記載の交通流分散システム。
【請求項3】
前記交通流分散計画を、交通流の分散による分散効果として、今後の渋滞の発生と渋滞による二酸化炭素の排出量とが最低になるように決定することを特徴とする請求項1または2に記載の交通流分散システム。
【請求項4】
前記交通流分散計画を決定するために用いる現在の交通状況は、単位時間当たりの交通量を検知するために道路に備えられた交通量センサおよび/または車速、車両位置情報を検出するプローブシステムを用いて取得することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の交通流分散システム。
【請求項5】
前記交通流分散計画を決定するために用いる今後に予想される交通量は、個々の車両に搭載されたカーナビゲーションにより算出された目的地までの走行予定ルート、走行予定時刻に関する情報を取得することにより算出されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の交通流分散システム。
【請求項6】
現在の交通状況および今後に予想される交通量に応じて交通流を分散させる交通流分散計画を決定し、該交通流分散計画を実現するために、個々の車両ごとに走行予定ルートの変更を指示するルート変更指示を生成する交通流分散アルゴリズムを有し、該交通流分散アルゴリズムにより生成された前記ルート変更指示を個々の車両に出力する交通流分散方法であって、前記ルート変更指示の出力後における実際の交通流の実績およびその交通流の分散効果と前記交通流分散アルゴリズムから得られる交通流およびその際の交通流の分散効果との照合結果に基づいて、前記交通流分散アルゴリズムを補正することを特徴とする交通流分散方法。
【請求項7】
前記ルート変更指示を送信した車両の送信後における走行ルート実績と前記ルート変更指示との照合結果、前記ルート変更指示に従った走行ルートを走行していた場合、当該車両のドライバに対してインセンティブを与えることを特徴とする請求項6に記載の交通流分散方法。
【請求項8】
前記交通流分散計画を、交通流の分散による分散効果として、今後の渋滞の発生と渋滞による二酸化炭素の排出量とが最低になるように決定することを特徴とする請求項6または7に記載の交通流分散方法。
【請求項9】
前記交通流分散計画を決定するために用いる現在の交通状況は、単位時間当たりの交通量を検知するために道路に備えられた交通量センサおよび/または車速、車両位置情報を検出するプローブシステムを用いて取得することを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の交通流分散方法。
【請求項10】
前記交通流分散計画を決定するために用いる今後に予想される交通量は、個々の車両に搭載されたカーナビゲーションにより算出された目的地までの走行予定ルート、走行予定時刻に関する情報を取得することにより算出されることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の交通流分散方法。
【請求項11】
請求項6ないし10のいずれかに記載の交通流分散方法を、コンピュータにより実行可能なプログラムとして実施することを特徴とする交通流分散プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の交通流分散プログラムを、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録していることを特徴とするプログラム記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−176187(P2009−176187A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15918(P2008−15918)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】