交通量計測方法および交通量計測装置
【課題】道路を通行する車両をカメラで撮影して得た画像を解析して交通量を計測する交通量計測装置において、並走車両が重なって撮影された場合や、夜間の車両にヘッドライトと紛らわしい発光体が存在する場合であっても、交通量を正確に計数する。
【解決手段】処理部12はカメラ11の撮影した画像上で、車両の特定箇所(昼間は車両の前端部、夜は一対のヘッドライト)が存在する位置(基点)を検出する。そして、この基点に対応する実世界での位置に特定箇所が位置するようにして道路に沿って配置された所定の標準車両をカメラ11から見た場合の3次元形状を算出し、該3次元形状を先の画像上に重ね合わせる。画像上でこの3次元形状に覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定し、該3次元形状の外側を対象に別の車両の有無を判定する。
【解決手段】処理部12はカメラ11の撮影した画像上で、車両の特定箇所(昼間は車両の前端部、夜は一対のヘッドライト)が存在する位置(基点)を検出する。そして、この基点に対応する実世界での位置に特定箇所が位置するようにして道路に沿って配置された所定の標準車両をカメラ11から見た場合の3次元形状を算出し、該3次元形状を先の画像上に重ね合わせる。画像上でこの3次元形状に覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定し、該3次元形状の外側を対象に別の車両の有無を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を通行する車両をカメラで撮影して得た画像を解析して交通量を計測する交通量計測方法および交通量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の状況をカメラで撮影し、その画像を解析することで交通量を計測したり、通行する車両の車種や走行速度を判定したりする計測装置では、道路を跨ぐように支持枠を架け渡してカメラを設置すると設備が大掛かりになるので、道路脇に立てた支柱にカメラを設置し、斜め前方から車両を撮影することがしばしば行なわれる。
【0003】
しかし、このように車両を斜めから撮影すると、図2に示すように、隣の車線を並走する車両A,Bが重なり合って撮影されるため、複数の並走車両を1台として誤認する虞がある。そこで、たとえば、車線領域毎に映像を抽出し、車線毎の映像から車両を検出することで、隣接する車線を走行する車両の重なりを分離して画像を解析するといった方法がとられている。
【0004】
一方、夜間は、車両の輪郭が不明確になるので、ヘッドライトなどの高輝度部を抽出して画像解析が行なわれる。通常、ヘッドライトは左右で対を成すなどの特徴を有するので、このような特徴を利用して一対のヘッドライトを他のランプなどと区別して抽出し、該抽出したヘッドライト対を基準に、交通量や車両の車種を判定することが行なわれる(たとえば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−353580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車線領域毎に映像を抽出して解析する方法では、隣り合う車線を並走する車両を分離して認識できるが、逆に、大型車両においては、屋根の部分が隣の車線に入り込むため、1台の大型車両を2台に誤認する虞がある。また、車線と車線の間を走行するような車両を正しく検出することはできない。さらに、車両を正面から撮影するようにカメラを設置した場合においても、車間距離を詰めて走行する前後の車両が重なりあって撮影されることがあり、かかる場合には、車線領域毎に映像を抽出しても、前後の車両を分離することはできない。
【0007】
また、ヘッドライト対を基準に夜間の車両を検出する場合において、ヘッドライト対と他の発光体とを、ヘッドライトの特性(ペアをなすことや、ペアを成す発光体の間隔が車幅程度であることなど)を利用して判別する方法では、判別の精度には限界があり、ヘッドライト以外の発光体や路面の反射をヘッドライト対として誤認する可能性がある。たとえば、大型トラックには上部や側部に様々なランプが設置されていることが多く、これらの発光体のいずれかをヘッドライト対として誤認すると、1台のトラックを複数台の車両として計数してしまい、正しい交通量を把握できないといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、並走する車両や前後の車両が重なって撮影された場合や、夜間の車両にヘッドライトと紛らわしい発光体が存在する場合であっても、道路を通行する車両の交通量を的確に計測することのできる交通量計測方法および交通量計測装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
[1]道路を通行する車両をカメラで撮影して得た画像を解析して交通量を計測する交通量計測方法において、
前記カメラで撮影して得た画像上で、車両の位置を検出する検出ステップと、
前記道路上に配置された所定の標準車両を前記カメラから見た場合の3次元形状を求め、前記検出した車両の位置に合わせて、前記3次元形状を前記画像上に重ね合わせる重畳ステップと、
前記画像上の前記3次元形状で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定する判定ステップと
を有する
ことを特徴とする交通量計測方法。
【0011】
上記発明では、カメラで撮影した画像内で車両の位置を検出し、道路を通行する所定の標準車両をカメラから見た場合の3次元形状を求め、該3次元形状を、先に検出した車両の位置に基づいて位置合わせをして画像上に重ね合わせる。そして、画像上の該3次元形状で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定する。
【0012】
これにより、並走する車両が重なり合っていても、たとえば、手前の1台の車両の位置を検出し、この位置に標準車両の3次元形状を重ね合わせることで、画像上で手前にある1台の車両が占める領域を把握でき、重なり合った2台の並走車両を車両毎に分離して認識することができる。また、夜間においては、たとえば、ヘッドライトの存在する位置に基づいて車両の位置を検出し、この位置に、カメラから見た標準車両の3次元形状を重ね合わせる。これにより、車両の輪郭が不明確に映る夜間でも、画像上で1台の車両が占める領域を認識でき、この領域内に紛らわしい他の高輝度部が存在しても、それらを統合して1台の車両と判定することができる。
【0013】
標準車両は、道路を通行する車両の標準的な立体形状をモデル化したものであり、たとえば、車両を直方体にモデル化したものを使用する。標準車両の3次元形状は、画像上で検出された車両の位置に応じて算出してもよいし、検出された車両の位置に係わらず、予め算出して記憶してある固定の3次元形状を使用してもかまわない。また、画像上での代表的な車両の位置を複数設定し、各位置に対応する3次元形状を予め算出して記憶しておき、これらの中から、検出された車両の位置に応じた3次元形状を選択して重ね合わせるようにしてもよい。
【0014】
[2]前記重畳ステップでは、前記画像上で検出された前記車両の位置に対応する実世界での位置に配置された前記標準車両を前記カメラから見た場合の3次元形状を算出する
ことを特徴とする[1]に記載の交通量計測方法。
【0015】
上記発明では、画像の手前寄りに車両が大きく映っていても、奥寄りに比較的小さく車両が写っていても、その車両の位置に応じた3次元形状を算出するので、車両の位置に係わらず画像上でその車両の占める領域を少ない誤差で特定することができる。
【0016】
[3]前記画像上の前記3次元形状で覆われた範囲の外側の領域に、他の車両が存在するか否かを判定する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の交通量計測方法。
【0017】
上記発明では、3次元形状で覆われた範囲を1台の車両の存する範囲としているので、この範囲の外側に、他の車両が存在するか否かを判定する。すなわち、並走車両の2台目の検出が行なわれる。
【0018】
[4]前記標準車両として、大型車、小型車など車種の異なる複数種類の標準車両を設定しておき、
前記検出ステップにおいて位置検出された車両の車種を判定する車種判定ステップをさらに設け、
前記車種判定ステップの判定結果が示す車種に対応する標準車両の3次元形状を前記画像上に重ね合わせる
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の交通量計測方法。
【0019】
上記発明では、車種を判定し、その車種に応じた標準車両の3次元形状を求めて画像上に重ね合わせる。車種の判定は、たとえば、車幅やヘッドライト対の間隔などで判定することができる。このように大型車、小型車などの車種を判定し、その車種に応じた標準車両の3次元形状を画像に重ね合わせるので、1台の車両が存する領域をより高い精度で特定することができる。なお、車種は大型車、小型車に限定されず、必要に応じて適宜に設定すればよい。
【0020】
[5]前記検出ステップでは、前記画像上で車両の特定箇所が存する基点を検出することにより車両の位置を検出する
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の交通量計測方法。
【0021】
上記発明では、車両の特定箇所を基準に車両の位置を検出する。特定箇所は、車両の前端部や一対のヘッドライトなど、画像上で車両の位置を識別可能な部位であればよい。
【0022】
[6]前記特定箇所を車両の前端部とし、
前記検出ステップにおいて、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する車両の前端部を前記基点として検出する
ことを特徴とする[5]に記載の交通量計測方法。
【0023】
上記発明では、複数の車両が重なり合っていても、画像内で最も車両の進行方向側(画像内での最も下方)に存する車両の前端部については、その輪郭を確実に認識できるので、基点として好適である。
【0024】
[7]前記特定箇所を一対のヘッドライトとし、
前記検出ステップにおいて、一対のヘッドライトに相当する特徴を備えた対を成す高輝度部を一対のヘッドライトの候補として検出し、該検出した候補の中で、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する一対のヘッドライトの候補を前記基点として検出する
ことを特徴とする[5]に記載の交通量計測方法。
【0025】
上記発明では、車両を前方から撮影する状態では、大型車両の屋根や側部にあるライトよりもヘッドライトは必ず画像内で車両の進行方向側に存在するので、これを基点にすることで、車両の存する位置を正しく認識して3次元形状を当てはめることができる。
【0026】
[8]昼夜を判別する昼夜判別ステップを有し、
前記昼夜判別ステップの判別結果が昼の場合は、
前記特定箇所を車両の前端部とすると共に、前記検出ステップにおいて、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する車両の前端部を前記基点として検出し、
前記昼夜判別ステップの判別結果が夜の場合は、
前記特定箇所を一対のヘッドライトとすると共に、前記検出ステップにおいて、一対のヘッドライトに相当する特徴を備えた対を成す高輝度部を一対のヘッドライトの候補として検出し、該検出した候補の中で、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する一対のヘッドライトの候補を前記基点として検出する
ことを特徴とする[5]に記載の交通量計測方法。
【0027】
上記発明では、昼夜を判別し、昼は、車両の輪郭を認識できるので、車両の前端部を基準にして基点を検出し、夜は、一対のヘッドライト対を基準にして基点を検出する。昼夜の判別は、たとえば、撮影時の周囲照度や、画像の平均の明るさが予め定めたしきい値以上か否かなどにより判別することができる。
【0028】
[9]道路を通行する車両をカメラで撮影して得た画像を解析して交通量を計測する交通量計測装置において、
前記カメラで撮影して得た画像に対して、[1]乃至[8]のいずれかに記載の交通量計測方法を実行する処理部を有する
ことを特徴とする交通量計測装置。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係わる交通量計測方法および交通量計測装置によれば、カメラで撮影して得た画像上で、車両の位置を検出すると共に、道路上に配置した所定の標準車両をカメラから見た場合の3次元形状を求め、先に検出した車両の位置に合わせてこの3次元形状を画像上に重ね合わせ、該3次元形状で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定するようにしたので、複数の車両が重なり合って撮影されている場合や、夜間の車両にヘッドライトと紛らわしい発光体が存在する場合であっても、画像上で車両の占める領域を1台ずつ的確に認識して交通量を正しく計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0031】
図1は、本発明に係わる交通量計測装置10の概略構成を示すブロック図である。交通量計測装置10は、道路の状況をカメラ11で撮影して得た画像を解析することで交通量を計測する装置であり、カメラ11で撮影して得た画像を処理する処理部12を備えている。カメラ11は、道路脇に立てた支柱などに固定され、道路を通行する車両を斜め前方から撮影して図2に例示するような画像を取得するように設置される。
【0032】
処理部12は、画像取得部13と、画像メモリ14と、前処理部15と、車両位置・車種判定部16と、座標変換部18と、車両領域分離統合部19と、車両追跡部21と、交通量計測部22とを備えている。
【0033】
カメラ11は、毎秒数十フレームの画像を撮影し、画像取得部13は、カメラ11からその画像データを取り込む。画像メモリ14は、画像取得部13がカメラ11から取り込んだ画像データを一時記憶する。前処理部15は、撮影時の周囲の明るさに基づいて昼夜を判定する機能と、昼と判定した場合は画像メモリ14に記憶されている画像から移動する物体を車両領域として抽出する。また、夜と判定した場合は画像メモリ14に記憶されている画像から一定以上の明るさを持つ高輝度部を抽出する機能を果たす。周囲の明るさは別途のセンサを設けて検知してもよいし、カメラ11で撮影した画像の平均の明るさもしくは予め定めた特定領域(たとえば、道路脇の一部)の明るさに基づいて判定してもよい。また、移動体の抽出には、フレーム差分、背景差分などの手法を用いる。
【0034】
車両位置・車種判定部16は、前処理部15で車両領域もしくは高輝度部を抽出した後の画像上で、車両の特定箇所が存在する位置を基点として検出することにより車両の位置を検出する機能と、該位置(基点)の検出された車両の車種を判定する機能とを果たす。ここでは、前処理部15によって昼と判定された場合は車両の前端部を特定箇所とし、夜と判定された場合は一対のヘッドライトを特定箇所として使用する。車種の判定には、車幅や車両の長さを用いる。
【0035】
座標変換部18は、車両位置・車種判定部16にて検出した基点に対応する実世界(カメラ11で撮影している実際の世界)での位置に特定箇所(車両の前端部もしくは一対のヘッドライト)が存するようにして予め定めた標準車両を道路に沿って配置し、カメラ11から見た場合の該標準車両の3次元形状を算出する機能を果たす。
【0036】
標準車両は、車両の大きさに応じて数種類設定される。ここでは、大型車と小型車の2タイプとする。また、標準車両として車両を直方体にモデル化したものを用いる。たとえば、大型車の標準車両のサイズは、法律で定められた最大車幅などに準じて決定するとよい。座標変換部18は車両位置・車種判定部16での車種判定結果に応じた車種の標準車両の3次元形状を算出する。算出には、事前に設定しておいた、カメラ11の姿勢情報や画角情報を利用する。
【0037】
車両領域分離統合部19は、座標変換部18で算出した3次元形状を、基点の検出に使用した画像上に重ね合わせ、該3次元形状で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定する。また、上記のように3次元形状を画像上に重ね合わせた後、車両位置・車種判定部16および座標変換部18、車両領域分離統合部19は、この3次元形状で覆われた範囲を除外した残りの領域(外側の領域)を対象に、他の車両が存在するか否かをさらに判定する。
【0038】
車両追跡部21は、移動する車両を認識して追跡する機能を果たし、交通量計測部22は車両領域分離統合部19の判定結果と車両追跡部21の追跡状況とに基づき、当該道路を通行する車両の台数を計数し、単位時間あたりの交通量などを計測する機能を果たす。
【0039】
次に、カメラ11で撮影される画像上での座標(カメラ座標)と実世界での座標(ワールド座標)との相互変換式について説明する。
【0040】
図3は、カメラ座標とワールド座標との関係を示している。この図において、カメラの位置・姿勢・特性を以下のように定義する。
レンズの焦点距離:λ
カメラ雲台の位置:W0=(X0,Y0,Z0)
カメラ雲台から撮像面へのベクトル:r=(r1,r2,r3)
X,Y,Z軸周りのカメラ姿勢の回転をそれぞれα、β、θとする。
このとき、ワールド座標系での位置(X,Y,Z)がカメラ座標系(x,y)のどの点に投影されるかは、以下に示す(1)式で求めることができる。
【0041】
【数1】
【0042】
また、逆に、カメラ座標系の点(x,y)がワールド座標系(X,Y,Z)でどの位置であるかは、ワールド座標系のZを定数とすることで、以下に示す(2)式で求めることができる。
【0043】
【数2】
【0044】
図4は、交通量計測装置10が行なう処理全体の流れを示している。まずカメラ11で画像を取り込む(ステップS101)。次に、撮影時の周囲照度が所定のしきい値以上か否かを判定する(ステップS102)。しきい値以上の明るさがあって昼と判定したときは(ステップS102;高)、車両全体の特徴量をとる(車両の輪郭を認識する)ことができるため、車両領域を抽出し、並走車両などの重なり合った車両を分離する車両分離処理を行なう(ステップS103)。一方、しきい値以上の明るさがなく、夜と判定したときは(ステップS102;低)、ヘッドライトや車体側部のランプなどの高輝度部を抽出し、該抽出した高輝度部を車両単位に統合するライト統合処理を行なう(ステップS104)。車両分離処理もしくはライト統合処理の詳細は後述する。
【0045】
車両分離処理もしくはライト統合処理により画像内で各車両の存在する領域を認識した後、車両追跡処理(ステップS105)および交通量計測処理(ステップS106)を行なう。このような処理を繰り返し行なうことで、道路を通行する車両の交通量や通行車両の車種を計測する。
【0046】
図5は、図4のS103で行なわれる車両分離処理の流れを示している。図6、図7に車両分離処理の処理過程の画像を示す。この例では、カメラ11により、図2に示す画像30を撮影したものとし、この画面上で重なって撮影された2台の車両A、Bを分離する過程を説明する。前処理部15は、カメラ11から取り込んだ画像30から、移動している物体を抽出する(図5ステップS201)。図6(a)は図2の画像30から移動体(車両領域32)を抽出した抽出画像31を示している。
【0047】
次に、車両位置・車種判定部16は、図6(b)に示すように、抽出した車両領域32の下部分(図中は破線Lの下方部分)に対して縦方向(y方向)の射影処理を行なうことで(ステップS202)、図6(c)に示す分布35を取得する。分布35は、画像の横方向(x方向)の各座標位置で破線Lより下方の部分に存在する車両領域32の画素数(射影画素数)を示している。図6(c)において、車幅に相当する範囲Wにおける射影画素数の加算値(図中の斜線部の面積)を求める作業を、車幅Wの位置を横方向(x方向)に移動させながらそれぞれ求め(ステップS203、S204)、射影画素数の加算値が最大となったときの範囲Wの位置を車両の前端部が存在する位置として求める(ステップS205)。図6(c)に示す例では、車両の前端部の右端が存在する位置を基点Kとして検出している。
【0048】
さらに、検出した車両の存在位置の近傍における車両領域32の大きさ(車幅、車長など)から車種の判定を行なう(ステップS206)。この判定は数段階(ここでは、小型車と大型車の2段階)に分けて行なう。
【0049】
次に、座標変換部18は、車両位置・車種判定部16での判定結果の示す車種に応じた標準車両を、基点に対応する実世界の位置に特定箇所が位置するように配置し、カメラ11から見た該標準車両の3次元形状(3次元直方体モデル)を算出する(ステップS207)。ここでは、実世界における車幅、車長、車高のデータを標準車両の車種毎に予め定めて記憶してあり、判定結果の車種に応じた標準車両のデータを算出に使用する。
【0050】
車両領域分離統合部19は、図7(a)に示すように、座標変換部18で算出した3次元形状33を、基点Kの検出に用いた画像上に重ね合わせ、該3次元形状33で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定し、かつ、この3次元形状33で覆われた範囲の外側を他の車両の存在し得る範囲と判定する(ステップS208)。そして、3次元形状33で覆われた範囲の外側に車両と考えられる抽出部分が存在するか否かを判定する(ステップS209)。ここでは、図7(b)に示すように、3次元形状33で覆われた範囲を画像から削除し、削除後に残った車両領域34について他の車両の存否を判断する。たとえば、削除後に残った車両領域34の面積、形状などから当該車両領域34に別の車両が存在するか否かを判定する。
【0051】
別の車両が存在すると判定したときは(ステップS209;Y)、ステップS202に戻り、この車両領域34を対象に同様の処理を行ない(S202〜S208)、これ以上別の車両がないと判定したら(ステップS209;N)、該車両分離処理を終了する。
【0052】
この処理により、画面上で重なって撮影される複数の車両を一台ずつ分離して検出することができ、交通量の計測精度が向上する。
【0053】
次に、ライト統合処理について説明する。
【0054】
図8は、ライト統合処理の流れを示し、図9、図10はその処理過程の画像の一例を示している。図9(a)は、夜間にカメラ11で道路の状況を撮影した画像の一例を示している。図9(a)では、説明の都合上、車両Cや背景の道路などを鮮明に表したが、実際は周囲照度が低く、車両Cの輪郭情報などは得にくい。そこで、ヘッドライトなどの高輝度部に着目し、一対のヘッドライトを車両の特定箇所として車両の位置検出を行なう。
【0055】
まず、取り込み画像から高輝度部を抽出する(図8:ステップS301、図9(b))。図9(b)では、ヘッドライトのほか、車両Cの屋根や側部に設置されたランプなどが高輝度部として抽出されている。
【0056】
つぎに、抽出した高輝度部から、一対のヘッドライトに相当する特徴を備えた対を成す高輝度部を探し、これを一対のヘッドライト(以後、ライトペアと呼ぶ。)の候補として検出する(ステップS302)。ライトペアの候補は、ライト相互間のワールド座標におけるX方向の距離、Y方向の距離が予め定めたしきい値以下のものとする。これにより、予め定めたライト間隔以下であってほぼ水平に並ぶ一対の高輝度部がライトペアの候補として検出される。なお、X方向については、ワールド座標におけるX方向の距離の最小値と最大値とを定め、該最小値・最大値間に入るものをライトペアの候補として抽出してもよい。こうすればヘッドライトとしては近すぎる高輝度部の対を排除することができる。
【0057】
図10(a)は、ライトペア候補として検出された部分を破線で囲って示してある。この例では、3つのライトペア候補P1、P2、P3が見つかっている。これらのライトペア候補P1〜P3のうち、カメラ座標が一番下(画像内で最も車両の進行方向側)にあるライトペアP1を、車両位置を定めるための基点に選択する。
【0058】
基点に選択したライトペアP1のX方向の距離、すなわち車幅から、車種を判定する(ステップS303)。そして、該車種に応じた標準車両の3次元形状を算出する(ステップS304)。すなわち、先に検出した基点に対応する実世界での位置に、先の判定結果の示す車種の標準車両をその特定箇所(この例では一対のヘッドライト)が存するようにして道路に沿って配置し、この標準車両をカメラ11から見たときに見える3次元形状を算出する。
【0059】
車両領域分離統合部19は、図10(b)に示すように、算出した3次元形状41を、基点P1の検出に用いた画像上に重ね合わせ、該3次元形状41で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定する。すなわち、3次元形状41の内側に取り込まれたライトペア候補P2、P3やその他の高輝度部はすべてライトペアP1と同一車両に含まれると判断する。その結果、ライトペア候補P2、P3は他の車両を検出するための基点の候補から除外される。この例では、大型車両Cの屋根や側部などに多数存在する高輝度部が、大型車両の3次元形状(3次元直方体モデル)41の内部にすべて入っているため、これらすべての高輝度部は統合されて1台の車両として計数される。
【0060】
その後、3次元形状41で覆われた範囲の外側を対象に他のライトペア候補があるか否かを判断し(ステップS306)、他のライトペア候補があるときは(ステップS306;Y)、ステップS304に戻り、当該他のライトペア候補を対象にして次の車両位置の検出および3次元形状の当てはめを行なう(ステップS304、S305)。他のライトペアが存在しなくなったら(ステップS306;N)、処理を終了する。
【0061】
このようなライト統合処理を行なうことで、夜間の計測において、一台の車両を複数台として誤って計測することが防止される。
【0062】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0063】
たとえば、標準車両は、大型車、小型車以外の車種を設けてもよく、長尺のトレーラなどを設定してもよい。また、標準車両として直方体モデルを使用したが、標準車両の形状はこれに限定されるものではなく、対象とする車両の形状に応じて適宜設定すればよい。
【0064】
車両の位置の検出は、車両の前端部やヘッドライト対などの特定箇所を基準にして検出するものに限定されない。また、実施の形態では、画像から検出した基点の位置(車両の位置)に応じて標準車両の3次元形状を算出したが、検出された基点の位置に係わらず、固定の3次元形状を使用してもかまわない。たとえば、車両が画像内のほぼ一定の位置に撮影される場合には、その位置に応じた標準車両の3次元形状を予め算出して記憶しておき、該3次元形状を画像上に重ね合わせるようにしてもよい。また、代表的な基点の位置を複数設定し、各基点に対応する3次元形状を予め算出して記憶しておき、これらの中から、画像上で実際に検出された基点の位置に応じた3次元形状を選択して使用するように構成してもかまわない。こうすれば、毎回、3次元形状を算出する場合に比べて、処理負担が軽減される。
【0065】
また、実施の形態では、車両を斜め前方から撮影するようにカメラ11を設置した場合を例示したが、カメラ11の設置状態はこれに限定されず、車両を正面から撮影したり、通り過ぎた車両を後方から撮影したりするようにカメラ11を設置した場合においても、本発明は有効に作用する。たとえば、車両を正面から撮影するようにカメラ11を設置した場合でも、車間距離を詰めて同一車線を走行する前後の車両が重なって撮影されることがある。このとき、本発明では、3次元形状の当てはめによって1台(たとえば前方の1台)の存在する範囲を特定するので、前後の車両を分離して認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態に係わる交通量計測装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる交通量計測装置のカメラにより撮影した画像の一例を示す説明図である。
【図3】カメラ座標とワールド座標との関係を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる交通量計測装置が行なう処理全体の流れを示すフローチャートである。
【図5】車両分離処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】車両分離処理の処理過程の画像(車両領域抽出、基点検出)を例示した説明図である。
【図7】車両分離処理の処理過程の画像(3次元形状の重ね合わせ、3次元形状の外側領域)を例示した説明図である。
【図8】ライト統合処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】ライト統合処理の処理過程の画像(撮影画像、高輝度部抽出画像)を例示した説明図である。
【図10】ライト統合処理の処理過程の画像(ライトペア候補検出、3次元形状の重ね合わせ)を例示した説明図である。
【符号の説明】
【0067】
10…交通量計測装置
11…カメラ
12…処理部
13…画像取得部
14…画像メモリ
15…前処理部
16…車両位置・車種判定部
18…座標変換部
19…車両領域分離統合部
21…車両追跡部
22…交通量計測部
32…車両領域
33、41…算出した3次元形状
34…削除後に残った車両領域
A、B、C…車両
P1、P2、P3…ライトペア候補
K…基点
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を通行する車両をカメラで撮影して得た画像を解析して交通量を計測する交通量計測方法および交通量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の状況をカメラで撮影し、その画像を解析することで交通量を計測したり、通行する車両の車種や走行速度を判定したりする計測装置では、道路を跨ぐように支持枠を架け渡してカメラを設置すると設備が大掛かりになるので、道路脇に立てた支柱にカメラを設置し、斜め前方から車両を撮影することがしばしば行なわれる。
【0003】
しかし、このように車両を斜めから撮影すると、図2に示すように、隣の車線を並走する車両A,Bが重なり合って撮影されるため、複数の並走車両を1台として誤認する虞がある。そこで、たとえば、車線領域毎に映像を抽出し、車線毎の映像から車両を検出することで、隣接する車線を走行する車両の重なりを分離して画像を解析するといった方法がとられている。
【0004】
一方、夜間は、車両の輪郭が不明確になるので、ヘッドライトなどの高輝度部を抽出して画像解析が行なわれる。通常、ヘッドライトは左右で対を成すなどの特徴を有するので、このような特徴を利用して一対のヘッドライトを他のランプなどと区別して抽出し、該抽出したヘッドライト対を基準に、交通量や車両の車種を判定することが行なわれる(たとえば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−353580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車線領域毎に映像を抽出して解析する方法では、隣り合う車線を並走する車両を分離して認識できるが、逆に、大型車両においては、屋根の部分が隣の車線に入り込むため、1台の大型車両を2台に誤認する虞がある。また、車線と車線の間を走行するような車両を正しく検出することはできない。さらに、車両を正面から撮影するようにカメラを設置した場合においても、車間距離を詰めて走行する前後の車両が重なりあって撮影されることがあり、かかる場合には、車線領域毎に映像を抽出しても、前後の車両を分離することはできない。
【0007】
また、ヘッドライト対を基準に夜間の車両を検出する場合において、ヘッドライト対と他の発光体とを、ヘッドライトの特性(ペアをなすことや、ペアを成す発光体の間隔が車幅程度であることなど)を利用して判別する方法では、判別の精度には限界があり、ヘッドライト以外の発光体や路面の反射をヘッドライト対として誤認する可能性がある。たとえば、大型トラックには上部や側部に様々なランプが設置されていることが多く、これらの発光体のいずれかをヘッドライト対として誤認すると、1台のトラックを複数台の車両として計数してしまい、正しい交通量を把握できないといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、並走する車両や前後の車両が重なって撮影された場合や、夜間の車両にヘッドライトと紛らわしい発光体が存在する場合であっても、道路を通行する車両の交通量を的確に計測することのできる交通量計測方法および交通量計測装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
[1]道路を通行する車両をカメラで撮影して得た画像を解析して交通量を計測する交通量計測方法において、
前記カメラで撮影して得た画像上で、車両の位置を検出する検出ステップと、
前記道路上に配置された所定の標準車両を前記カメラから見た場合の3次元形状を求め、前記検出した車両の位置に合わせて、前記3次元形状を前記画像上に重ね合わせる重畳ステップと、
前記画像上の前記3次元形状で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定する判定ステップと
を有する
ことを特徴とする交通量計測方法。
【0011】
上記発明では、カメラで撮影した画像内で車両の位置を検出し、道路を通行する所定の標準車両をカメラから見た場合の3次元形状を求め、該3次元形状を、先に検出した車両の位置に基づいて位置合わせをして画像上に重ね合わせる。そして、画像上の該3次元形状で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定する。
【0012】
これにより、並走する車両が重なり合っていても、たとえば、手前の1台の車両の位置を検出し、この位置に標準車両の3次元形状を重ね合わせることで、画像上で手前にある1台の車両が占める領域を把握でき、重なり合った2台の並走車両を車両毎に分離して認識することができる。また、夜間においては、たとえば、ヘッドライトの存在する位置に基づいて車両の位置を検出し、この位置に、カメラから見た標準車両の3次元形状を重ね合わせる。これにより、車両の輪郭が不明確に映る夜間でも、画像上で1台の車両が占める領域を認識でき、この領域内に紛らわしい他の高輝度部が存在しても、それらを統合して1台の車両と判定することができる。
【0013】
標準車両は、道路を通行する車両の標準的な立体形状をモデル化したものであり、たとえば、車両を直方体にモデル化したものを使用する。標準車両の3次元形状は、画像上で検出された車両の位置に応じて算出してもよいし、検出された車両の位置に係わらず、予め算出して記憶してある固定の3次元形状を使用してもかまわない。また、画像上での代表的な車両の位置を複数設定し、各位置に対応する3次元形状を予め算出して記憶しておき、これらの中から、検出された車両の位置に応じた3次元形状を選択して重ね合わせるようにしてもよい。
【0014】
[2]前記重畳ステップでは、前記画像上で検出された前記車両の位置に対応する実世界での位置に配置された前記標準車両を前記カメラから見た場合の3次元形状を算出する
ことを特徴とする[1]に記載の交通量計測方法。
【0015】
上記発明では、画像の手前寄りに車両が大きく映っていても、奥寄りに比較的小さく車両が写っていても、その車両の位置に応じた3次元形状を算出するので、車両の位置に係わらず画像上でその車両の占める領域を少ない誤差で特定することができる。
【0016】
[3]前記画像上の前記3次元形状で覆われた範囲の外側の領域に、他の車両が存在するか否かを判定する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の交通量計測方法。
【0017】
上記発明では、3次元形状で覆われた範囲を1台の車両の存する範囲としているので、この範囲の外側に、他の車両が存在するか否かを判定する。すなわち、並走車両の2台目の検出が行なわれる。
【0018】
[4]前記標準車両として、大型車、小型車など車種の異なる複数種類の標準車両を設定しておき、
前記検出ステップにおいて位置検出された車両の車種を判定する車種判定ステップをさらに設け、
前記車種判定ステップの判定結果が示す車種に対応する標準車両の3次元形状を前記画像上に重ね合わせる
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の交通量計測方法。
【0019】
上記発明では、車種を判定し、その車種に応じた標準車両の3次元形状を求めて画像上に重ね合わせる。車種の判定は、たとえば、車幅やヘッドライト対の間隔などで判定することができる。このように大型車、小型車などの車種を判定し、その車種に応じた標準車両の3次元形状を画像に重ね合わせるので、1台の車両が存する領域をより高い精度で特定することができる。なお、車種は大型車、小型車に限定されず、必要に応じて適宜に設定すればよい。
【0020】
[5]前記検出ステップでは、前記画像上で車両の特定箇所が存する基点を検出することにより車両の位置を検出する
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の交通量計測方法。
【0021】
上記発明では、車両の特定箇所を基準に車両の位置を検出する。特定箇所は、車両の前端部や一対のヘッドライトなど、画像上で車両の位置を識別可能な部位であればよい。
【0022】
[6]前記特定箇所を車両の前端部とし、
前記検出ステップにおいて、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する車両の前端部を前記基点として検出する
ことを特徴とする[5]に記載の交通量計測方法。
【0023】
上記発明では、複数の車両が重なり合っていても、画像内で最も車両の進行方向側(画像内での最も下方)に存する車両の前端部については、その輪郭を確実に認識できるので、基点として好適である。
【0024】
[7]前記特定箇所を一対のヘッドライトとし、
前記検出ステップにおいて、一対のヘッドライトに相当する特徴を備えた対を成す高輝度部を一対のヘッドライトの候補として検出し、該検出した候補の中で、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する一対のヘッドライトの候補を前記基点として検出する
ことを特徴とする[5]に記載の交通量計測方法。
【0025】
上記発明では、車両を前方から撮影する状態では、大型車両の屋根や側部にあるライトよりもヘッドライトは必ず画像内で車両の進行方向側に存在するので、これを基点にすることで、車両の存する位置を正しく認識して3次元形状を当てはめることができる。
【0026】
[8]昼夜を判別する昼夜判別ステップを有し、
前記昼夜判別ステップの判別結果が昼の場合は、
前記特定箇所を車両の前端部とすると共に、前記検出ステップにおいて、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する車両の前端部を前記基点として検出し、
前記昼夜判別ステップの判別結果が夜の場合は、
前記特定箇所を一対のヘッドライトとすると共に、前記検出ステップにおいて、一対のヘッドライトに相当する特徴を備えた対を成す高輝度部を一対のヘッドライトの候補として検出し、該検出した候補の中で、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する一対のヘッドライトの候補を前記基点として検出する
ことを特徴とする[5]に記載の交通量計測方法。
【0027】
上記発明では、昼夜を判別し、昼は、車両の輪郭を認識できるので、車両の前端部を基準にして基点を検出し、夜は、一対のヘッドライト対を基準にして基点を検出する。昼夜の判別は、たとえば、撮影時の周囲照度や、画像の平均の明るさが予め定めたしきい値以上か否かなどにより判別することができる。
【0028】
[9]道路を通行する車両をカメラで撮影して得た画像を解析して交通量を計測する交通量計測装置において、
前記カメラで撮影して得た画像に対して、[1]乃至[8]のいずれかに記載の交通量計測方法を実行する処理部を有する
ことを特徴とする交通量計測装置。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係わる交通量計測方法および交通量計測装置によれば、カメラで撮影して得た画像上で、車両の位置を検出すると共に、道路上に配置した所定の標準車両をカメラから見た場合の3次元形状を求め、先に検出した車両の位置に合わせてこの3次元形状を画像上に重ね合わせ、該3次元形状で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定するようにしたので、複数の車両が重なり合って撮影されている場合や、夜間の車両にヘッドライトと紛らわしい発光体が存在する場合であっても、画像上で車両の占める領域を1台ずつ的確に認識して交通量を正しく計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0031】
図1は、本発明に係わる交通量計測装置10の概略構成を示すブロック図である。交通量計測装置10は、道路の状況をカメラ11で撮影して得た画像を解析することで交通量を計測する装置であり、カメラ11で撮影して得た画像を処理する処理部12を備えている。カメラ11は、道路脇に立てた支柱などに固定され、道路を通行する車両を斜め前方から撮影して図2に例示するような画像を取得するように設置される。
【0032】
処理部12は、画像取得部13と、画像メモリ14と、前処理部15と、車両位置・車種判定部16と、座標変換部18と、車両領域分離統合部19と、車両追跡部21と、交通量計測部22とを備えている。
【0033】
カメラ11は、毎秒数十フレームの画像を撮影し、画像取得部13は、カメラ11からその画像データを取り込む。画像メモリ14は、画像取得部13がカメラ11から取り込んだ画像データを一時記憶する。前処理部15は、撮影時の周囲の明るさに基づいて昼夜を判定する機能と、昼と判定した場合は画像メモリ14に記憶されている画像から移動する物体を車両領域として抽出する。また、夜と判定した場合は画像メモリ14に記憶されている画像から一定以上の明るさを持つ高輝度部を抽出する機能を果たす。周囲の明るさは別途のセンサを設けて検知してもよいし、カメラ11で撮影した画像の平均の明るさもしくは予め定めた特定領域(たとえば、道路脇の一部)の明るさに基づいて判定してもよい。また、移動体の抽出には、フレーム差分、背景差分などの手法を用いる。
【0034】
車両位置・車種判定部16は、前処理部15で車両領域もしくは高輝度部を抽出した後の画像上で、車両の特定箇所が存在する位置を基点として検出することにより車両の位置を検出する機能と、該位置(基点)の検出された車両の車種を判定する機能とを果たす。ここでは、前処理部15によって昼と判定された場合は車両の前端部を特定箇所とし、夜と判定された場合は一対のヘッドライトを特定箇所として使用する。車種の判定には、車幅や車両の長さを用いる。
【0035】
座標変換部18は、車両位置・車種判定部16にて検出した基点に対応する実世界(カメラ11で撮影している実際の世界)での位置に特定箇所(車両の前端部もしくは一対のヘッドライト)が存するようにして予め定めた標準車両を道路に沿って配置し、カメラ11から見た場合の該標準車両の3次元形状を算出する機能を果たす。
【0036】
標準車両は、車両の大きさに応じて数種類設定される。ここでは、大型車と小型車の2タイプとする。また、標準車両として車両を直方体にモデル化したものを用いる。たとえば、大型車の標準車両のサイズは、法律で定められた最大車幅などに準じて決定するとよい。座標変換部18は車両位置・車種判定部16での車種判定結果に応じた車種の標準車両の3次元形状を算出する。算出には、事前に設定しておいた、カメラ11の姿勢情報や画角情報を利用する。
【0037】
車両領域分離統合部19は、座標変換部18で算出した3次元形状を、基点の検出に使用した画像上に重ね合わせ、該3次元形状で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定する。また、上記のように3次元形状を画像上に重ね合わせた後、車両位置・車種判定部16および座標変換部18、車両領域分離統合部19は、この3次元形状で覆われた範囲を除外した残りの領域(外側の領域)を対象に、他の車両が存在するか否かをさらに判定する。
【0038】
車両追跡部21は、移動する車両を認識して追跡する機能を果たし、交通量計測部22は車両領域分離統合部19の判定結果と車両追跡部21の追跡状況とに基づき、当該道路を通行する車両の台数を計数し、単位時間あたりの交通量などを計測する機能を果たす。
【0039】
次に、カメラ11で撮影される画像上での座標(カメラ座標)と実世界での座標(ワールド座標)との相互変換式について説明する。
【0040】
図3は、カメラ座標とワールド座標との関係を示している。この図において、カメラの位置・姿勢・特性を以下のように定義する。
レンズの焦点距離:λ
カメラ雲台の位置:W0=(X0,Y0,Z0)
カメラ雲台から撮像面へのベクトル:r=(r1,r2,r3)
X,Y,Z軸周りのカメラ姿勢の回転をそれぞれα、β、θとする。
このとき、ワールド座標系での位置(X,Y,Z)がカメラ座標系(x,y)のどの点に投影されるかは、以下に示す(1)式で求めることができる。
【0041】
【数1】
【0042】
また、逆に、カメラ座標系の点(x,y)がワールド座標系(X,Y,Z)でどの位置であるかは、ワールド座標系のZを定数とすることで、以下に示す(2)式で求めることができる。
【0043】
【数2】
【0044】
図4は、交通量計測装置10が行なう処理全体の流れを示している。まずカメラ11で画像を取り込む(ステップS101)。次に、撮影時の周囲照度が所定のしきい値以上か否かを判定する(ステップS102)。しきい値以上の明るさがあって昼と判定したときは(ステップS102;高)、車両全体の特徴量をとる(車両の輪郭を認識する)ことができるため、車両領域を抽出し、並走車両などの重なり合った車両を分離する車両分離処理を行なう(ステップS103)。一方、しきい値以上の明るさがなく、夜と判定したときは(ステップS102;低)、ヘッドライトや車体側部のランプなどの高輝度部を抽出し、該抽出した高輝度部を車両単位に統合するライト統合処理を行なう(ステップS104)。車両分離処理もしくはライト統合処理の詳細は後述する。
【0045】
車両分離処理もしくはライト統合処理により画像内で各車両の存在する領域を認識した後、車両追跡処理(ステップS105)および交通量計測処理(ステップS106)を行なう。このような処理を繰り返し行なうことで、道路を通行する車両の交通量や通行車両の車種を計測する。
【0046】
図5は、図4のS103で行なわれる車両分離処理の流れを示している。図6、図7に車両分離処理の処理過程の画像を示す。この例では、カメラ11により、図2に示す画像30を撮影したものとし、この画面上で重なって撮影された2台の車両A、Bを分離する過程を説明する。前処理部15は、カメラ11から取り込んだ画像30から、移動している物体を抽出する(図5ステップS201)。図6(a)は図2の画像30から移動体(車両領域32)を抽出した抽出画像31を示している。
【0047】
次に、車両位置・車種判定部16は、図6(b)に示すように、抽出した車両領域32の下部分(図中は破線Lの下方部分)に対して縦方向(y方向)の射影処理を行なうことで(ステップS202)、図6(c)に示す分布35を取得する。分布35は、画像の横方向(x方向)の各座標位置で破線Lより下方の部分に存在する車両領域32の画素数(射影画素数)を示している。図6(c)において、車幅に相当する範囲Wにおける射影画素数の加算値(図中の斜線部の面積)を求める作業を、車幅Wの位置を横方向(x方向)に移動させながらそれぞれ求め(ステップS203、S204)、射影画素数の加算値が最大となったときの範囲Wの位置を車両の前端部が存在する位置として求める(ステップS205)。図6(c)に示す例では、車両の前端部の右端が存在する位置を基点Kとして検出している。
【0048】
さらに、検出した車両の存在位置の近傍における車両領域32の大きさ(車幅、車長など)から車種の判定を行なう(ステップS206)。この判定は数段階(ここでは、小型車と大型車の2段階)に分けて行なう。
【0049】
次に、座標変換部18は、車両位置・車種判定部16での判定結果の示す車種に応じた標準車両を、基点に対応する実世界の位置に特定箇所が位置するように配置し、カメラ11から見た該標準車両の3次元形状(3次元直方体モデル)を算出する(ステップS207)。ここでは、実世界における車幅、車長、車高のデータを標準車両の車種毎に予め定めて記憶してあり、判定結果の車種に応じた標準車両のデータを算出に使用する。
【0050】
車両領域分離統合部19は、図7(a)に示すように、座標変換部18で算出した3次元形状33を、基点Kの検出に用いた画像上に重ね合わせ、該3次元形状33で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定し、かつ、この3次元形状33で覆われた範囲の外側を他の車両の存在し得る範囲と判定する(ステップS208)。そして、3次元形状33で覆われた範囲の外側に車両と考えられる抽出部分が存在するか否かを判定する(ステップS209)。ここでは、図7(b)に示すように、3次元形状33で覆われた範囲を画像から削除し、削除後に残った車両領域34について他の車両の存否を判断する。たとえば、削除後に残った車両領域34の面積、形状などから当該車両領域34に別の車両が存在するか否かを判定する。
【0051】
別の車両が存在すると判定したときは(ステップS209;Y)、ステップS202に戻り、この車両領域34を対象に同様の処理を行ない(S202〜S208)、これ以上別の車両がないと判定したら(ステップS209;N)、該車両分離処理を終了する。
【0052】
この処理により、画面上で重なって撮影される複数の車両を一台ずつ分離して検出することができ、交通量の計測精度が向上する。
【0053】
次に、ライト統合処理について説明する。
【0054】
図8は、ライト統合処理の流れを示し、図9、図10はその処理過程の画像の一例を示している。図9(a)は、夜間にカメラ11で道路の状況を撮影した画像の一例を示している。図9(a)では、説明の都合上、車両Cや背景の道路などを鮮明に表したが、実際は周囲照度が低く、車両Cの輪郭情報などは得にくい。そこで、ヘッドライトなどの高輝度部に着目し、一対のヘッドライトを車両の特定箇所として車両の位置検出を行なう。
【0055】
まず、取り込み画像から高輝度部を抽出する(図8:ステップS301、図9(b))。図9(b)では、ヘッドライトのほか、車両Cの屋根や側部に設置されたランプなどが高輝度部として抽出されている。
【0056】
つぎに、抽出した高輝度部から、一対のヘッドライトに相当する特徴を備えた対を成す高輝度部を探し、これを一対のヘッドライト(以後、ライトペアと呼ぶ。)の候補として検出する(ステップS302)。ライトペアの候補は、ライト相互間のワールド座標におけるX方向の距離、Y方向の距離が予め定めたしきい値以下のものとする。これにより、予め定めたライト間隔以下であってほぼ水平に並ぶ一対の高輝度部がライトペアの候補として検出される。なお、X方向については、ワールド座標におけるX方向の距離の最小値と最大値とを定め、該最小値・最大値間に入るものをライトペアの候補として抽出してもよい。こうすればヘッドライトとしては近すぎる高輝度部の対を排除することができる。
【0057】
図10(a)は、ライトペア候補として検出された部分を破線で囲って示してある。この例では、3つのライトペア候補P1、P2、P3が見つかっている。これらのライトペア候補P1〜P3のうち、カメラ座標が一番下(画像内で最も車両の進行方向側)にあるライトペアP1を、車両位置を定めるための基点に選択する。
【0058】
基点に選択したライトペアP1のX方向の距離、すなわち車幅から、車種を判定する(ステップS303)。そして、該車種に応じた標準車両の3次元形状を算出する(ステップS304)。すなわち、先に検出した基点に対応する実世界での位置に、先の判定結果の示す車種の標準車両をその特定箇所(この例では一対のヘッドライト)が存するようにして道路に沿って配置し、この標準車両をカメラ11から見たときに見える3次元形状を算出する。
【0059】
車両領域分離統合部19は、図10(b)に示すように、算出した3次元形状41を、基点P1の検出に用いた画像上に重ね合わせ、該3次元形状41で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定する。すなわち、3次元形状41の内側に取り込まれたライトペア候補P2、P3やその他の高輝度部はすべてライトペアP1と同一車両に含まれると判断する。その結果、ライトペア候補P2、P3は他の車両を検出するための基点の候補から除外される。この例では、大型車両Cの屋根や側部などに多数存在する高輝度部が、大型車両の3次元形状(3次元直方体モデル)41の内部にすべて入っているため、これらすべての高輝度部は統合されて1台の車両として計数される。
【0060】
その後、3次元形状41で覆われた範囲の外側を対象に他のライトペア候補があるか否かを判断し(ステップS306)、他のライトペア候補があるときは(ステップS306;Y)、ステップS304に戻り、当該他のライトペア候補を対象にして次の車両位置の検出および3次元形状の当てはめを行なう(ステップS304、S305)。他のライトペアが存在しなくなったら(ステップS306;N)、処理を終了する。
【0061】
このようなライト統合処理を行なうことで、夜間の計測において、一台の車両を複数台として誤って計測することが防止される。
【0062】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0063】
たとえば、標準車両は、大型車、小型車以外の車種を設けてもよく、長尺のトレーラなどを設定してもよい。また、標準車両として直方体モデルを使用したが、標準車両の形状はこれに限定されるものではなく、対象とする車両の形状に応じて適宜設定すればよい。
【0064】
車両の位置の検出は、車両の前端部やヘッドライト対などの特定箇所を基準にして検出するものに限定されない。また、実施の形態では、画像から検出した基点の位置(車両の位置)に応じて標準車両の3次元形状を算出したが、検出された基点の位置に係わらず、固定の3次元形状を使用してもかまわない。たとえば、車両が画像内のほぼ一定の位置に撮影される場合には、その位置に応じた標準車両の3次元形状を予め算出して記憶しておき、該3次元形状を画像上に重ね合わせるようにしてもよい。また、代表的な基点の位置を複数設定し、各基点に対応する3次元形状を予め算出して記憶しておき、これらの中から、画像上で実際に検出された基点の位置に応じた3次元形状を選択して使用するように構成してもかまわない。こうすれば、毎回、3次元形状を算出する場合に比べて、処理負担が軽減される。
【0065】
また、実施の形態では、車両を斜め前方から撮影するようにカメラ11を設置した場合を例示したが、カメラ11の設置状態はこれに限定されず、車両を正面から撮影したり、通り過ぎた車両を後方から撮影したりするようにカメラ11を設置した場合においても、本発明は有効に作用する。たとえば、車両を正面から撮影するようにカメラ11を設置した場合でも、車間距離を詰めて同一車線を走行する前後の車両が重なって撮影されることがある。このとき、本発明では、3次元形状の当てはめによって1台(たとえば前方の1台)の存在する範囲を特定するので、前後の車両を分離して認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態に係わる交通量計測装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる交通量計測装置のカメラにより撮影した画像の一例を示す説明図である。
【図3】カメラ座標とワールド座標との関係を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる交通量計測装置が行なう処理全体の流れを示すフローチャートである。
【図5】車両分離処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】車両分離処理の処理過程の画像(車両領域抽出、基点検出)を例示した説明図である。
【図7】車両分離処理の処理過程の画像(3次元形状の重ね合わせ、3次元形状の外側領域)を例示した説明図である。
【図8】ライト統合処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】ライト統合処理の処理過程の画像(撮影画像、高輝度部抽出画像)を例示した説明図である。
【図10】ライト統合処理の処理過程の画像(ライトペア候補検出、3次元形状の重ね合わせ)を例示した説明図である。
【符号の説明】
【0067】
10…交通量計測装置
11…カメラ
12…処理部
13…画像取得部
14…画像メモリ
15…前処理部
16…車両位置・車種判定部
18…座標変換部
19…車両領域分離統合部
21…車両追跡部
22…交通量計測部
32…車両領域
33、41…算出した3次元形状
34…削除後に残った車両領域
A、B、C…車両
P1、P2、P3…ライトペア候補
K…基点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を通行する車両をカメラで撮影して得た画像を解析して交通量を計測する交通量計測方法において、
前記カメラで撮影して得た画像上で、車両の位置を検出する検出ステップと、
前記道路上に配置された所定の標準車両を前記カメラから見た場合の3次元形状を求め、前記検出した車両の位置に合わせて、前記3次元形状を前記画像上に重ね合わせる重畳ステップと、
前記画像上の前記3次元形状で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定する判定ステップと
を有する
ことを特徴とする交通量計測方法。
【請求項2】
前記重畳ステップでは、前記画像上で検出された前記車両の位置に対応する実世界での位置に配置された前記標準車両を前記カメラから見た場合の3次元形状を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の交通量計測方法。
【請求項3】
前記画像上の前記3次元形状で覆われた範囲の外側の領域に、他の車両が存在するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の交通量計測方法。
【請求項4】
前記標準車両として、大型車、小型車など車種の異なる複数種類の標準車両を設定しておき、
前記検出ステップにおいて位置検出された車両の車種を判定する車種判定ステップをさらに設け、
前記車種判定ステップの判定結果が示す車種に対応する標準車両の3次元形状を前記画像上に重ね合わせる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の交通量計測方法。
【請求項5】
前記検出ステップでは、前記画像上で車両の特定箇所が存する基点を検出することにより車両の位置を検出する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の交通量計測方法。
【請求項6】
前記特定箇所を車両の前端部とし、
前記検出ステップにおいて、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する車両の前端部を前記基点として検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の交通量計測方法。
【請求項7】
前記特定箇所を一対のヘッドライトとし、
前記検出ステップにおいて、一対のヘッドライトに相当する特徴を備えた対を成す高輝度部を一対のヘッドライトの候補として検出し、該検出した候補の中で、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する一対のヘッドライトの候補を前記基点として検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の交通量計測方法。
【請求項8】
昼夜を判別する昼夜判別ステップを有し、
前記昼夜判別ステップの判別結果が昼の場合は、
前記特定箇所を車両の前端部とすると共に、前記検出ステップにおいて、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する車両の前端部を前記基点として検出し、
前記昼夜判別ステップの判別結果が夜の場合は、
前記特定箇所を一対のヘッドライトとすると共に、前記検出ステップにおいて、一対のヘッドライトに相当する特徴を備えた対を成す高輝度部を一対のヘッドライトの候補として検出し、該検出した候補の中で、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する一対のヘッドライトの候補を前記基点として検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の交通量計測方法。
【請求項9】
道路を通行する車両をカメラで撮影して得た画像を解析して交通量を計測する交通量計測装置において、
前記カメラで撮影して得た画像に対して、請求項1乃至8のいずれかに記載の交通量計測方法を実行する処理部を有する
ことを特徴とする交通量計測装置。
【請求項1】
道路を通行する車両をカメラで撮影して得た画像を解析して交通量を計測する交通量計測方法において、
前記カメラで撮影して得た画像上で、車両の位置を検出する検出ステップと、
前記道路上に配置された所定の標準車両を前記カメラから見た場合の3次元形状を求め、前記検出した車両の位置に合わせて、前記3次元形状を前記画像上に重ね合わせる重畳ステップと、
前記画像上の前記3次元形状で覆われた範囲に1台の車両が存在すると判定する判定ステップと
を有する
ことを特徴とする交通量計測方法。
【請求項2】
前記重畳ステップでは、前記画像上で検出された前記車両の位置に対応する実世界での位置に配置された前記標準車両を前記カメラから見た場合の3次元形状を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の交通量計測方法。
【請求項3】
前記画像上の前記3次元形状で覆われた範囲の外側の領域に、他の車両が存在するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の交通量計測方法。
【請求項4】
前記標準車両として、大型車、小型車など車種の異なる複数種類の標準車両を設定しておき、
前記検出ステップにおいて位置検出された車両の車種を判定する車種判定ステップをさらに設け、
前記車種判定ステップの判定結果が示す車種に対応する標準車両の3次元形状を前記画像上に重ね合わせる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の交通量計測方法。
【請求項5】
前記検出ステップでは、前記画像上で車両の特定箇所が存する基点を検出することにより車両の位置を検出する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の交通量計測方法。
【請求項6】
前記特定箇所を車両の前端部とし、
前記検出ステップにおいて、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する車両の前端部を前記基点として検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の交通量計測方法。
【請求項7】
前記特定箇所を一対のヘッドライトとし、
前記検出ステップにおいて、一対のヘッドライトに相当する特徴を備えた対を成す高輝度部を一対のヘッドライトの候補として検出し、該検出した候補の中で、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する一対のヘッドライトの候補を前記基点として検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の交通量計測方法。
【請求項8】
昼夜を判別する昼夜判別ステップを有し、
前記昼夜判別ステップの判別結果が昼の場合は、
前記特定箇所を車両の前端部とすると共に、前記検出ステップにおいて、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する車両の前端部を前記基点として検出し、
前記昼夜判別ステップの判別結果が夜の場合は、
前記特定箇所を一対のヘッドライトとすると共に、前記検出ステップにおいて、一対のヘッドライトに相当する特徴を備えた対を成す高輝度部を一対のヘッドライトの候補として検出し、該検出した候補の中で、前記画像内で最も車両の進行方向側に存する一対のヘッドライトの候補を前記基点として検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の交通量計測方法。
【請求項9】
道路を通行する車両をカメラで撮影して得た画像を解析して交通量を計測する交通量計測装置において、
前記カメラで撮影して得た画像に対して、請求項1乃至8のいずれかに記載の交通量計測方法を実行する処理部を有する
ことを特徴とする交通量計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−52517(P2008−52517A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228340(P2006−228340)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
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